<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

とらハSS投稿掲示板


[広告]


No.5159の一覧
[0] ループ(リリなの転生物)前書き [BIN](2009/02/24 00:14)
[1] ループ(リリカル転生・習作)[BIN](2009/01/01 01:45)
[2] ループの二(好評のようなので)[BIN](2009/01/01 01:46)
[3] ループの二ノ一[BIN](2009/01/01 01:48)
[4] ループの二ノ二[BIN](2009/01/01 01:50)
[5] ループの二ノ三[BIN](2009/01/01 01:52)
[6] ループの二ノ四[BIN](2009/01/01 01:52)
[7] ループの二ノ五[BIN](2009/01/01 01:52)
[8] ループの二ノ五ノ外――ムカつく変な奴。(俗にいう外伝)[BIN](2009/01/01 01:54)
[9] ループの二ノ六[BIN](2009/01/01 01:54)
[10] ループの二ノ七[BIN](2009/01/01 01:54)
[11] ループの二ノ八[BIN](2009/01/01 01:54)
[12] ループの二ノ終[BIN](2009/01/01 01:55)
[13] ループの二・五ノ一[BIN](2009/01/01 01:55)
[14] ループの二・五ノ二[BIN](2009/01/01 01:55)
[15] ループの二・五ノ三[BIN](2009/01/04 03:45)
[16] ループの二・五ノ四[BIN](2009/01/01 01:53)
[17] ループの二・五ノ五(修正しただけ)[BIN](2009/01/01 01:52)
[18] ループの二・五ノ六[BIN](2009/01/01 01:52)
[19] ループの二・五ノ七(ゴメン、また修正だけなんだ)[BIN](2009/02/23 22:06)
[20] ループの二・五ノ八。[BIN](2009/01/01 01:49)
[21] ループの三ノ一(すずか編 通称どN)[BIN](2009/01/03 03:10)
[22] ループの三ノ二(すずか編 通称どN)[BIN](2009/01/04 03:44)
[23] ループの三ノ三(すずか編 通称どN)[BIN](2009/01/07 00:03)
[24] ループの三ノ四(すずか編 通称どN)修正しました[BIN](2009/01/11 03:07)
[25] ループの三ノ五(すずか編 通称どN)修正しました[BIN](2009/01/11 03:07)
[26] ループの三ノ六(すずか編 通称どN・完結)[BIN](2009/01/13 13:50)
[27] ループの四ノ一(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/19 10:45)
[28] ネタ、作者の病気。反論は受け付けない俗にいうIF-----TS注意!![BIN](2009/01/10 23:02)
[29] 作者の病気は皆の病気?今回は軽度、前回は中度-----TS注意!![BIN](2009/01/17 08:23)
[30] ループの四ノ二(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/19 10:44)
[31] ループの四ノ三(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/21 21:02)
[32] ループの四ノ四(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/21 23:54)
[33] ループの四ノ五(やっとこさA,s…に入れてない?!)修正しただけなんだぜ?[BIN](2009/01/22 10:24)
[34] ループの四ノ六(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/25 00:54)
[35] ループの四ノ七(やっとこさA,s…に入れてない?!)シグナムの紹介を追加[BIN](2009/01/26 20:29)
[36] ループの四ノ八(やっとこさA,sに入りました!!)修正[BIN](2009/02/08 23:00)
[37] 俺のあたまがバニングス!!!!!!!!!!! 熱病だ…自重しようTS注意!![BIN](2009/02/23 22:30)
[38] ループの四ノ九(やっとこさA,sに入りました!!)ミスッタ、ゴメンなさい[BIN](2009/02/23 22:28)
[39] ループの四ノ終(やっとこさA,sに入りました!!)修正しました[BIN](2009/07/07 22:21)
[40] ループの五ノ一[BIN](2009/04/13 03:32)
[41] ループの五ノニ[BIN](2009/04/26 20:00)
[42] ループの五ノ三[BIN](2009/05/11 22:58)
[43] ループの五ノ四[BIN](2009/05/13 23:20)
[44] ループの五ノ五[BIN](2009/05/18 01:48)
[45] ループの五ノ六[BIN](2009/05/18 01:45)
[46] ループの五ノ七(ヴィが活躍?)[BIN](2009/05/22 00:52)
[47] ループの五ノ八[BIN](2009/05/31 23:39)
[48] ループの五ノ九[BIN](2009/06/11 23:06)
[49] ループの五ノ十[BIN](2009/06/23 22:17)
[50] ループ・たたり編。開始[BIN](2009/06/20 14:29)
[51] タタリ編ー2[BIN](2009/07/07 22:15)
[52] タタリ編ー3[BIN](2009/07/24 23:29)
[53] タタリ編ー4[BIN](2009/07/07 22:11)
[54] タタリ編ー5[BIN](2009/07/24 23:27)
[55] タタリ編ー6[BIN](2009/08/15 01:35)
[56] タタリ編七[BIN](2009/09/12 21:06)
[57] タタリ編八[BIN](2009/10/15 01:49)
[58] タタリ編九[BIN](2009/10/21 02:16)
[59] タタリ編十[BIN](2009/11/16 02:55)
[60] タタリ編―十一[BIN](2010/01/22 23:08)
[61] タタリ編十二(少し修正・改行)[BIN](2010/03/23 03:03)
[62] タタリ編 十三(修正しました)[BIN](2010/03/23 02:48)
[63] 日常?(修正しました)[BIN](2010/03/23 02:44)
[64] 日常2?(修正しました)[BIN](2010/03/23 02:39)
[65] A'sに入った!! 一[BIN](2010/03/23 03:22)
[66] ループのA'sの一[BIN](2010/04/20 23:55)
[67] A´sの二[BIN](2010/05/12 19:12)
[68] A'sの三[BIN](2010/06/08 22:45)
[69] A'sの四(2010.06.12修正)[BIN](2010/06/12 01:33)
[70] A'sの5[BIN](2010/07/03 21:15)
[71] A´sの6[BIN](2010/08/27 20:45)
[72] A´sの7[BIN](2010/11/24 23:35)
[73] A´sの8[BIN](2010/12/31 23:29)
[74] A´sの9[BIN](2011/03/27 16:24)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[5159] タタリ編七
Name: BIN◆d3245a21 ID:4b8c7aee 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/12 21:06





一言で言わせれば、それは異常だった。

明智良哉は眼前の戦闘を見て心を奪われるとういう意味を始めて理解出来た。
義眼…ラプラスが見せるその光景。高町恭也の戦闘技術の凄まじさ。小太刀ニ刀流と言う、習得困難な技術を…普通ならば、ソレは一刀流に劣るとさえ言われてしまうその業を、あそこまで…一つの美まで昇華させて尚、実戦でその苛烈さを魅せるその有り方に見ほれてしまう。

際立っている。その動き一つ一つが高町恭也の理想どおりに、思い描いた様に動けているからなのかもしれない。

そう、高町恭也も心を奪われていた。誰にではない。己の動きにでもない。

この、戦いの場の流を作り操る。一人の男に畏敬を抱いた。

信じられるだろうか? 共闘などしたことも無い他人が、友人では有っても、其処まで深い付き合いをした事の無い人間が。
こうも、自分が思い描いた軌跡を現実の物にしてくれているなど…誰が考え付く。

(まただ)

振り上げた八景はフェイク。振り下ろしまでの隙は誘い。その誘いに乗ってこないのは流石なのだろう。
脳裏に自分が思い描く、理想が在る。そう成るように戦い。勝利する。戦いとはそういう一面を持つ。先が解らない事などは多すぎて…だからこそ、自身の流を作り、ソレを掴み、思い描いた通りに事を進められればソレは最高の結果、最小の犠牲のみで事を終わらせる事が出来るのだ。
そして、その思い描いた流と絵は自身にしか解らない。他人がソレを察する事が出来たとしても大まかな事のみで、細部までは理解しきれない。
だからこそ、今、この場がオカシイと気付いてしまう。
抜き放った影打ちに合わせるように氷村が後ろに下がる…が

「グォッ?!」

「ハッハァ!! 周りが見えてねぇぞ三下ぁ!!!」

もう一人の氷村が殴り飛ばされ、俺が相対していた氷村に衝突して体勢を崩し中途半端に後ろに下がった状態に成る。

(あぁ、この位置。この体勢。理想通りだ!!)

振り上げた影打ちを両手で握り込む。

只、速く

只、力強く

何よりも、必殺の意を込めて

自身の鮮血に濡れた刀を振り下ろす。

振るった後の隙は大きい。両手で握り込み、全力を持って踏み込み、振り下ろした。

大丈夫だと確信が在った。否、そうさせた。彼の、ルーダー・アルベルトの行動が俺の背を押した。




高町恭也が使う御神の技に虎乱という技がある。本来ならば二刀の連撃を持って相手を倒す技が有る。
虎切という技がある。御神の技に共通するのは抜刀術だ。恭也の放った一撃は打ち下ろし。
只の打ち下ろしでしかない。だが、侮る無かれ。

その一撃は全力の踏み込みを持って、全力で振り下ろされた。

空が泣く。空が啼く。空が哭く。

その一撃は刀身が氷村の右腕に触れた瞬間に、たった二人にだけにしか分らない轟音を奏でた。
雅に雷が落ちたかのような轟音。氷村は聞いた。体の内に鳴り響いた轟音。理解した、してしまった。刀身が触れた瞬簡に、既に右腕は綺麗に切断されていた事に。
斬撃が、触れた瞬間に体を『徹った』。その一撃は、それだけには留まらなかった。
雷鳴が体の内から聞こえたのだ。

体に当たり、徹って行った斬撃の衝撃が体を徹る瞬間に僅かに拡散し、氷村の体を内側から衝撃を与えた。


後に、高町士郎がこの技を見た瞬間に使う事を禁じる。



その名を



―――――雷徹と名づけられて







啼いた、哭いた。声無き叫びが聞こえた。唇が歪む。半ば背を向けるような格好に成ってしまっている高町恭也に、あの化物は攻撃できない。
その証拠が、目の前のソレだ。ブレている。その姿がブレている。なぜそう成っているのかは分らない。ただ、ソレは一つの可能性をルーダーに気付かせた。

纏う魔力は深緑。握る拳は真紅。引き絞った腕は朱腕。

ルーダー・アドベルトという魔導士は、他の一般魔導士より少し強いだけの存在だ。
ソレに、幼き頃からの経験と目標への努力が有って今、この場に居る。魔力集束率、圧縮率、射出力、魔力制御力…その全てが平均より少し上な程度だ。
一般武装隊員の中にはソレゾレの分野で己より上が居る。ゴロゴロ居る。それでも、ルーダーは勝ってきた。犯罪者に、敵に、味方に勝ち続けてきた。
試合や模擬戦の事ではない。全ての戦いに生き残ってきた。重症を負った事もある、死んだと思ったこともある。挫折した事もある。その全てがバネに成っている。
生きる事に貪欲。纏めてしまえばコレだけで終わる。だから、ルーダーは強く成った、成れた。そう有り続けた。ハッタリも此処まで来れば凄い物に成る。
ルーダーは誰よりも臆病なのだ、だから生き残る事に主軸を置いた。だから、強くなる。戦いの場で、臆病者は時に強者に成り上がる。ルーダーは成り上がり続けた。戦いをコントロールすることに因って勝者で在り続けた。
今までの戦いの経験。それに生き残ってきた技術がルーダーを強くした。
彼が後天的に手に入れた物。ソレは『視界』。簡単に言えば観察力がずば抜けているのだ。ソレを長年の勘と技術が保管している。
高町恭也は自分の理想通りに動けていると思っている。ソレは正しい。しかし、前提が違う。

高町恭也は、己が描いた理想の行動をしている、出来ていると思っている。

ソレは正しく、間違いである。

実際には、ルーダーが作り出した流れに影響され、次第に捕まり、何時の間にかルーダーの思うように動かされている。

というのが正しい。

つまり、いま、この場はルーダーの独壇場なのだ。

(仮称…『ダブル』ってとこか?)

再び二人になった氷村。片方はまだ動けないで居る。此方が本体。そんな事は考えずとも分っている。
真っ赤に染まった両腕。切り傷が多く。力を込めれば血が滲む。不覚を取った訳では無い。態と薄皮一枚で受けていたのだ。全てが前準備であり、本命。
既にルーダーの一撃は、血を流すという余計な行動を省いて行われる。
前に進む前に、腿に前蹴り。一瞬の停滞を作り出し、地面を蹴り上げそのまま氷村の顔…正確にアゴ横に蹴る。魔法で身体強化された体から繰り出されるその一撃は人を殺せる。容易くではない、それなりの場所を、ある程度の力で蹴るか殴るか突く。
分身は簡単に消えた。ルーダーは情報を纏めていく。

分身は殺せば消える。

本体の体がピクリと動いたのを感じ、ルーダーはその体に拳を当てた。ただ、当てるだけの攻撃。威力など無い等しい。
そこで嗤う。馬鹿にする。扱き下ろす。言葉の挑発などは不要。行動で示す。
それだけで、相手の頭に血が上って行くのが分った。
視界の端には常に明智良哉が映っている。その動きを常に観察しながら眼前の敵に集中する。ルーダーは思う。何て察しの良い奴なんだと…明智良哉を見ながら思う。
明智良哉は魔力を込めていた。明智良哉は魔力を圧縮していた。明智良哉は魔力を集束していた。

何に? その手に握るデバイスにだ

(つまりは…こういう事なんだろ!!)

深緑の魔力がその腕を輝かせる。その魔力は何処か粘着質な物のように見えた。

「ほらよ!! お兄さんからのお土産だ!!」

サイドステップで避けた大振りな攻撃、その懐に入るにはとても…とてもとても楽だった。深緑の左腕は当たり前のように氷村の右脇腹に突き進み…少し軽いが、確かな感触をその腕に伝えた。

氷村は動じない。寧ろ不思議に思った。その一撃は余りにも軽く、痛くない。挑発ではない。
氷村は考え、簡単な答えをだす。

奴等が使っている。自分を殺した『力』では今の俺を殺す事は出来ない。

ソレは事実だった。その答えが正しかった。氷村遊の中で今までの事が繋がった。

明智良哉は何故、攻撃してこなかった。否、何故避ける事の出来る攻撃しかしてこなかった?
―――――自身の攻撃が俺に聞かない事を確信させない為だ。

ニヤリと頬が上がった。笑いが出そうな程、愉快だ。

(あ~あ…厄介だ。コレは厄介なくらいに愚かだ。)

ルーダーはそう思いながら、腕の魔力を集束させた、その左肘から指先までが深緑に包まれる。
ソレを観て溜め息が出そうに成るのを我慢し念話で明智良哉に一言つげると、ツプリと音を立てて氷村の体に指を侵入させた。



それは確かに叫びだった。まるで幼い子供が、痛みを始めて知ったような叫びだった。
少なくとも、高町恭也はそう思った。
その叫びを上げさせた男は、またも嗤っていた。何かを掴んだ。掴めた。それは自分達の勝率を上げる為のものだと分った。
故に今だ全力の反動で痺れる右腕を無視して、前線に躍り出る。

「イッ?! ガッァァァァァ!!」

狂乱とはこういう事を言うのだろう。氷村を観ながらそう思う。滅茶苦茶な攻撃はドレも必殺さが避けるには容易い。容易いが…氷村の場合は勝手が違った。
元より人間とは違いすぎる身体能力を持っていた氷村、ソレが怨念となって現れた。タタリという化物を喰らって。
その所為で、更に強く成って居た。滅茶苦茶でデタラメな攻撃が壁のように存在し、近づけない。

(使うか?)

「恭也、何をするかは解かんねーけど…少しだけまて」

「…了解」

神速を使おうと考えた高町恭也は、ルーダーの言葉に従った。この場の流を作り出したのがルーダーであり、自身の考えの間違いに気が付いたからだ。

が、何事もにもイレギュラーは付き纏う。

「逃げて!!」

ソレが避けられたのは、明智良哉が叫んだからだ

その声に体が反応した。全力で飛び引いた場所に雷が落ちた。否、貫いた。後ろに飛んでいたら、間違いなく即死だっただろう。
ルーダーは表情を引き攣らせ、恭也は、気付けなかった己の鈍さに憤った。
ソレは、人としてなら自然な考えで、思い。だからこそ、ほんの一瞬を費やしてしまう。

「しまった?! 避けろ良哉!!」

「グッ?! 間に合うか!!」

ルーダーが叫んだ瞬間に、恭也はモノクロの世界に入った。その世界の中で、氷村の動きは遅い。遅いが、間に合わない。後一歩、どうしても足りない。

(こんなモノなのか? この程度なのか?! くっそぉぉぉぉぉぉ!!)

高町恭也の眼前に、赤が散った。




殺った。確実な手応えが有った。骨を削った、肉を貫いた、削いだ。その証拠に自身の左腕に垂れる赤い液体がその証拠だった。
愉悦が駆け上がる。目的は果たした。この場を離れようと氷村は考えた。今の状態で高町恭也達と戦うのは不利だと考えたからだ。何より警戒しなくては成らないのはルーダーと呼ばれたあの男。
自身の体を突き破った男の存在が、そう考えさせた。アレは危険だと本能が叫んだ。明智良哉という名の糞餓鬼を殺す為とはいえ、『力』を使ってしまった。あの一撃は常に出せるものではない。元から自分の力ではないのだ、扱いは難しい上に『溜め』がいるのだ。直ぐに出せる物ではない、出せる事には出せるがそれは弱いものだ。
久遠という子狐も予めその体の内に溜めていたから出せたのだ。それは自身も同じ事であり使えば使うだけ力が減ると言う事である。

そこまで考えて、氷村は自分の右肩がジンワリと熱を帯びていくの気づいた。
そこで、氷村は自身の眼下に気づいた。

有り得ない

そう考えた瞬間、右肩から肩甲骨に掛けて肉が裂けた。

「ギャァァァァァ!!」

女が座り込んでいた。鈍い鉛色の光が照らしたその顔は一言で言えば綺麗だった。頬に付いた血の雫が余計にそう思わせた。
町で見かければ夜の供に誘っても良いレベルだと、雄としての部分が考えた。
涙で少しだけ歪んだ視界の中で、その女がゆっくりと立ち会った。右肩を抑えて

「あら、意外と情けないのね? 痛いのはこっちの方なんだけど?」

女は自分を見下した用に言い放った。

「キッ!! 貴様!!」

「チョット、隊長!! 良哉君がボロボロじゃないの!!」

全く相手にされていない。まるで、初めから居ないかのように振舞われる。

(何だ?! 何なんだこの女は?!)

混乱した。結界を破ってきたであろう女の存在に混乱した。イレギュラーである高町恭也達はまだ納得できた。結界を打ち破る方法を知っていて、実践したからだ。
だが、この女からは何も感じられない。霊力など微塵も感じなかった。只の女でしかない。その程度の存在に、なぜこうも無碍に扱われているのかが解らない。
解らないからこそ…腹が立った。頭に血が上る。

「いや…隊長って…お前…」

「何? 元部下が隊長と呼んだら可笑しいかしら?」

無視。完全な無視。

「貴様らぁぁぁ!!」

跳ね上がる。足に力を込めて、女の後ろから腕を突き出す。そうして…氷村遊は血濡れの左腕を肘から切断された

ファラリス・アテンザは笑う。

(それでこそよ)

だからこそ嫉妬した。

ファラリス・アテンザは哂う。

(本当に愚か者ね)

だからこそ許せない

ファラリス・アテンザは夢を見る。

(がんばれ良哉…私が見れなかった…行く事が出来なかった先を見せて)

鈍い鉛色の光が残像を残して通り過ぎる。

数瞬前に微かに聞こえた機械音声。

眼前には背中を向ける明智良哉が立っていた。

(あぁ…本当に、嫉ましい位に愛しいわ)







明智良哉は混乱しそうに成った。それをさせなかったのは原因である、ファラリス・アテンザ本人だった。
ファラリスは小声で良哉に告げた。

「私は大丈夫だから…貴方は貴方の出来る事を確実にしなさい」

血を流しながらそう言った。告げた。立ち上がり良哉に背を向けて歩く姿は大きかった。そう見えた。
肩の傷を見る限り、それは歩くだけでも激痛が走るだろう。そんな激痛を飲み込んで、平然とした顔で歩いて言った。

(何が…此処までだ)

腕に力を込める。胸の中のリンカーコアが脈動する。意識が鮮明になり、体中に力が漲る。その瞬間から、思考が高速化し、分裂し、また一つになる。
攻撃手段が揃った。反撃の狼煙が上がった。
『血』が有効なのが解った。
密度を高め、ギチギチに圧縮し、収束した魔力ならば傷をつけられる事が解った。
もう、相手を殺せる。その為の刃が握られた。今まで我慢していた物が一気に噴出す。
胸の中で久遠が小さく鳴いて知らせる。

氷村は完全に明知良哉の存在を忘れている。もしくは瀕死だと思っている。

(馬鹿め)

命の遣り取りをしている最中に、敵に後ろ見せるのは愚の骨頂だ。奇策も何も無しにそんな事をすれば、待ち受けているのは死だ。
だからこそ、明智良哉は自分と久遠…タタリと氷村だけが共有している情報に感謝する。最初は不思議に思った。なぜ、左腕だけが女性…タタリのモノなのか?
戦えば解った。その前に久遠が気づいた。
雷は元々はタタリと久遠の力。確かにタタリは喰われたのだろう。しかし、相手を喰らったと言うだけでその力をアソコまで使える訳が無いのだ。
だからこそ、左腕が残った。力を使う為に

ブチっと頭の奥で音がした。

最初に音が消えた。

『Ready?』

誰が何を言っているかなんて解らない。

槍を構える。

嗅覚が無くなった。自分の内側から出ていた鉄の臭いも分からなくなった。

『……Program start』

『Blitz Action』

『Panzergeist』

ラプラスが制御を補助する。シュベルトが動きを補佐する。クロイツがその守りを強化する。排出されたカートリッジは三つ。全てがシュベルトから吐き出され、クロイツから補給される。
ラプラスが僅かな魔力で脳の負担を軽減する為に演算能力を使い、其れの底上げの為にシュベルト・クロイツがリンクシステムでラプラスと繋がる。

視界から色が消えた。見える景色は白と黒の世界。

味覚は消えうせた。

さぁ、反撃を始めよう。











高町恭也は唾を飲み込んだ。

ファラリス・アテンザは美しく笑った。

ルーダー・アドベルトは驚愕した。

高町恭也とルーダー・アドベルトは明智良哉を見ていた。飛び出す寸前の明智良哉を見ていた。そこに、もう一人の明智良哉を見た。
獣の如き笑みを称えた獣面の槍使いの咆哮の瞬間を











あとがき

PC初期化…イロイロと、大切な物を失いました。仕事でも使うから余裕なんてありゃしない。
家族計画…何処になおしたっけ? てこいれは何処にやったけ? 巣作りは…つよきす…ランスシリーズ…大番長…ニトロ作品…

よく自殺しなかったと思った今日この頃。皆様、お元気ですか? 私は仕事を始めて体重が落ちました。ズボンがブカブカです。

さて、次回から反撃場面。久遠が活躍するのか? 



以下人物設定

高町恭也

海鳴りの兄貴。戦闘狂、リア充。
なんか到達しかけてる。人として失格かもしれない。


ルーダー・アドベルト

アースラの主夫。親馬鹿、馬鹿親。
まぁ、こんなもん。対人は強い。ベルカ適性が低すぎるのが泣きっ面に蜂
兄貴はもっと強いらしい。
本質は臆病者


ファラリス・アテンザ。

過去、武装隊出身。傷持ち。
レスキルがある模様。多分凶悪。
魔法を使うと常に激痛に悩まされる。
昔は真っ直ぐで勝気な少女だったっぽい。

久遠

俺の嫁。


これぐらいかな? 次回もまた、長く掛かりそうだ。
プロジェクトリーダーとか…嘘だと言ってよ主任!! ぜってぇー泣かす。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.032006025314331