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No.37300の一覧
[0] 【短編】ブレイクタイム(ユーなの)[銀](2013/06/20 10:32)
[3] 【短編】近くて遠い未来の図(ユーなの)[銀](2013/07/12 14:57)
[4] 【短編】Friends or Lovers?(ユーなの)[銀](2013/06/20 10:36)
[5] 【短編】ユーノインワンダーランド(ユーなの)[銀](2013/06/20 10:37)
[6] 【短編】快活な愛(ユーなの)[銀](2013/06/21 13:10)
[7] 【短編】ブレイクスルー(ユーなの)[銀](2013/06/21 14:43)
[8] 【短編】たった2人だけのプール(ユーなの)[銀](2013/07/12 16:59)
[9] 【短編】ティーブレイク(ユーなの)[銀](2014/05/20 15:34)
[10] 【短編】アンブレイカブル(ユーなの)[銀](2014/10/10 18:13)
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[37300] 【短編】ブレイクタイム(ユーなの)
Name: 銀◆4b281239 ID:143043a1 次を表示する
Date: 2013/06/20 10:32
 無限書庫。時空管理局本局にある、世界のあらゆる記録の詰まった巨大な書庫である。
 ここに勤める司書達は、今日も各部署からの依頼や未発掘の文献の調査に精を出している。


 そして、この無限書庫の司書達を纏める人物こそ、世間一般では考古学士としても有名なユーノ・スクライアである。
 無重力の書庫内で、ユーノはリボンで束ねたクリーム色の髪を揺らし、複数の本を調べていた。一般の司書なら一度の検索魔法に二、三冊が限度だが、ユーノはそれを六冊以上も駆使し、必要な情報のみを書類に纏めている。ユーノの作業スピード、効率、そして仕事量は司書数人分にまで匹敵している。
 仕事が出来、性格も紳士的でおまけにルックスもいい。女性司書達からの人気が高いのも頷ける。最も、朴念仁の本人は全く気付いていないが。


 さて、いくら数人分の仕事が出来る司書長とはいえ、中身は人間である。当然、休憩時間が必要となってくる。だが、ユーノは仕事に没頭しており、自分の時間が来たことに気付いていないようだ。
 根っからの仕事人間であるユーノは有給すら使わずに司書としての仕事を楽しんでいる。そんな仕事熱心な彼の性格は長所であると同時に、人事部の悩みの種でもあったのだ。
 普段ならば近くにいた司書の誰かが知らせて漸く休憩に入るのだが、この日は珍しくユーノに来客が来ており、それを知った司書達は敢えてユーノに知らせようとしなかった。

「ユーノ君っ」

 着々と進んでいたユーノの作業がピタリと止まる。聞き覚えのある女性の呼び声に、ユーノは驚いた表情で振り向いた。

「なのは?」

 ユーノの視線の先にいたのは、彼の幼馴染。
 時空管理局の戦技教導官にして「不屈のエースオブエース」の異名を持つ、高町なのはであった。
 2人は立場や仕事の都合上、昔より会うことが少なくなっていた。少し前まではなのはの養子であるヴィヴィオが無限書庫を待ち合わせ場所にしていたため、ユーノと少し話す時間があった。しかし、ヴィヴィオが成長してからは待ち合わせの必要がなくなり、会う機会も減っていった。
 だが、なのはは何故か今ユーノの目の前にいる。

「どうしてここに?」
「丁度通りかかったから来ちゃった」

 亜麻色のサイドポニーを揺らし、少女時代と変わらない笑顔を見せるなのはに、ユーノの頬が少し赤く染まる。
 どうやら、今日は早朝訓練と午後からの教導の時間が大幅に空いているらしい。そこでまずは昼食を取ろうと移動していたところ、無限書庫の前を通りかかり、寄ってみたということだそうだ。
 そこで漸く、ユーノは昼休憩の時間になったと気付いた。

「お昼、一緒に食べる?」
「あ、うん」

 手も止まってしまったし、ユーノに断る理由はない。何より、折角のなのはと会話できるチャンスを逃す手はない。休憩に出ることを司書達に報告し、ユーノはなのはと2人で食堂へと向かった。
 余談だが、この時ユーノは周囲から暖かい視線を感じたとのこと。




 食堂に着いたユーノとなのはは、昼食にサンドイッチを取りながら互いの近況について談笑した。
 2人はもう10年程の付き合いである。他にも異性の知り合いはいるが、ユーノにとってなのはは命の恩人でもあり、魔導師の弟子でもある特別な関係だった。なのはにとっても自分を魔法世界に引き込んだ存在であり、異性の中ではユーノ以上に仲の良い人物が思い付かない程慕っている。
 故に彼らを知る周囲の人間からは未だに恋愛関係にまで至ってないことが不思議に思われていた。

「そこでクロノの奴がまた人を扱き使うんだよ」

 話題は2人の共通の友人である提督の愚痴にシフトしたようだ。
 クールな表情で次々に資料請求してくるクロノが容易に想像でき、なのはは苦笑する。
 昔と同じ魅力的な笑顔。しかし、全てが昔のままという訳にもいかない。特に制服の上からでも分かる、凹凸のある体は少女が大人の女性へと成長したことを証明していた。
 ユーノは中性的な顔だと言われるが、立派な男だ。女性の体、特に好いている女性ならば猶更気になる訳で。

「ユーノ君?」

 思わず見惚れていたユーノは、なのはに声をかけられ我に返る。
貴方の体を見ていました、なんて正直に言えるはずもなく、ユーノは頬を染めながら何でもないと誤魔化した。

「ユーノ君、ひょっとして眠い?」

 なのははどうやら、ユーノがボーとしていたのは仕事の疲れが溜まって眠いからだと判断したらしい。
 疑われずホッとしたユーノ。だが、次の瞬間には彼の顔を更に真っ赤に染めることが起こる。

「じゃあ、どうぞ?」
「ええええっ!?」

 なのははユーノの傍に寄り、自身の膝をポンポンと叩く。そう、膝枕を勧めてきたのだ。
 ユーノの視線はなのはの無邪気な笑顔と、タイトスカートから覗く白い太腿の間で揺れ動く。

「お、お言葉に甘えて……」

 結局、誘惑に負けてユーノはなのはの膝を借りることとなった。
 最初は恥ずかしさで寝ることなんて出来ないと思っていたが、太腿の柔らかさとやはり日頃の疲れが溜まっていたためかすぐに眠りこけてしまった。
 ユーノがすやすやと眠っている間、なのはは幼馴染の寝顔を堪能することにした。

「ふふっ、ユーノ君の寝顔可愛い」

 ユーノがなのはを異性として気にしていたように、実はなのはもまたユーノを気にしていた。
 というのも、最近教導隊の同僚が寿退社することを発表したのだ。幸せそうに指輪を見せてくる同僚に、なのはも羨望の念が湧いていた。
 思えばクロノは既に結婚し、昔同じ職場で働いていたグリフィスとルキノも婚約していると風の便りで聞いた。そこで自分もそろそろいい相手を見つけてもいいのではないかと思い始めたのだ。


 その時、真っ先になのはの頭に浮かびあがったのがユーノだった。ユーノといえば顔も性格も良く、無限書庫司書長という肩書もあって時空管理局内の人気物件の一角として一部に知られている。
 勿論、そんな評判がなくともなのははユーノが昔から優しく礼儀正しいことを知っていた。
 しかし性格は変わらずとも外見は年を重ねるごとに変わるもの。出会った時には同じだった身長は自分を追い抜かし、男性らしい体つきに成長した。
 因みにユーノを男として意識した瞬間、なのはの顔は火が付いたように赤く染まったとか。


 このように、双方とも少なからず意識しているのだが、どちらも恋愛関係に疎すぎるために進展しないのだった。
 2人の共通の知り合いであり、クロノの妻でもあるエイミィ・ハラオウン曰く、「2人とも仕事好きだし、そういう話はまだ当分先かな」とのこと。





 休憩時間もそろそろ終わりが近付く。普段は無視したり忘れる程だが、親しい相手と過ごす場合は名残惜しいものだ。

「ユーノ君、よく寝てたね。普段ちゃんと寝てる?」
「えっと……論文とか書いてて夜更かし気味かも」
「ダメだよ、ちゃんと睡眠は取らなきゃ!」

 こんな風に気軽に話せるのも幼馴染だからこそである。
 どちらかが告白をすれば、こんな関係が崩れるかもしれない。それならば、今はまだこのままでいいのだろう。

「あはは、気をつけます」

 無限書庫前まで着き、別れの時が来る。

「じゃあここで。今日はありがとう」
「ううん、久しぶりにユーノ君と話せて楽しかったよ」

 笑顔で手を振り、2人は別れる。無限書庫に戻ってきたユーノに進展がないことを悟り、司書達は落胆の溜息を吐いた。
 これで今日の休憩時間は終わり。若い男女は片や無限書庫の司書長、もう片方は戦技教導官に戻る。次の休憩時間は何時になるだろうか。


 2人の「幼馴染」という関係が壊れ、新たに「恋人」という関係になるのはまだまだ先のお話。




あとがき

どうも、銀です。
軽い気持ちと頭でユーなの短編を書いてみました。

タイトルの意味についてですが、

・ユーノとなのはの休憩時間
・2人の関係がブレイクするまでの時間
・作者の休憩時間

このような意味を込めて付けました。

皆様の休憩時間に軽く楽しんで頂けたら幸いです。


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