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No.32515の一覧
[0] リリカルなのは+1 Choices of girls (♀オリ主)(チラ裏から)[HE](2012/07/07 12:52)
[1] プロローグ[HE](2012/06/26 18:56)
[2] 1話 記憶と記録[HE](2012/07/13 14:12)
[3] 2話 再生と搬送[HE](2012/06/26 18:57)
[4] 3話 覚醒と偽名[HE](2012/06/26 18:57)
[5] 4話 追求と遭遇[HE](2012/06/26 18:58)
[6] 5話 戦闘と水音[HE](2012/07/13 14:16)
[7] 6話 過去と現在[HE](2012/06/26 18:58)
[8] 7話 出立と学友[HE](2012/06/26 18:59)
[9] 8話 海岸と金色[HE](2012/06/26 18:59)
[10] 9話 虚偽と運命[HE](2012/06/26 18:59)
[11] 10話 決意と因果[HE](2012/06/26 18:59)
[12] 11話 歓迎と歓迎ではないもの・前編[HE](2012/06/26 19:00)
[13] 11話 歓迎と歓迎ではないもの・後編[HE](2012/07/09 22:46)
[14] 12話 追憶と選択[HE](2012/07/10 23:28)
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[32515] 5話 戦闘と水音
Name: HE◆d79c5ab7 ID:5cfbc64a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/07/13 14:16
結界が張られバニングス邸から色が失われる。鳥の囀りは消え、犬の鳴き声も消失する。
そんな中にあって、我関せずとアリスに向かって疾走してくる黒い獣。その姿は後先など考えぬ、
まさに猪突猛進と言った様相で、威嚇も無く、まして宣戦布告などあろうはずもない。
黒い獣は、ただただ、その鋭利な爪を首筋に突き立てる事しか考えていないとでも言う様に彼女に迫る。

「オラクル、クイックムーブ」

<<魔法の使用は控えようと言った側からこれですか。クイックムーブ発動>>

待機状態である眼鏡から3つの縦に長いクリスタルの姿にセットアップされたオラクルから
緑と赤のマーブル色の魔力光が迸り、アリスの身体が一気に加速する。
即座にテラスから大きく跳躍し、肩越しに黒い獣を見やると、
標的を失った爪がテラスを粉々に打ち砕いている姿が目に入る。
まるで自らの身体など顧みる必要など無いと、一心不乱に敵を貪らんとするその姿は、まさに狂獣であった。

「ロストロギアの反応は?」

<<間違いなくあの黒い獣の頭部から出ています、内部に生体反応があるので生物を取り込んでいるのかもしれません>>

想像していたよりも危険なロストロギアだ。そう、アリスは考えを改め、こちらに向かって唸りを上げる
黒い獣を観察する。大きさはこの世界に走る乗用車程度であろうか、押し潰されたらひとたまりもないだろう。
通常の魔法生物の類であるならば、直ぐ様攻撃魔法で迎撃するところだが……アリスはそれが出来なかった。

何故ならば敵は……元は現住生物であると考えられるが今はロストロギアを内包している。
迂闊に魔法攻撃をして大規模な魔力爆発や次元震でも起きようものなら目も当てられない。
相手の正体か、もしくは性質が解らない事には、滅多な事は出来ないのだ。
しかし、そうしている間にも黒い獣はアリスを貪ろうと牙を剥いてくる。敵は厄介な事に遠距離攻撃まで備えているようで
黒い、爪のようなものが絶え間なく飛んでくる。回避はしているものの、これではジリ貧だ。

「くっ……」

<<マスター! 後方から攻撃反応!>>

「クイックムーブ!」

後方からの不意打ちをギリギリのところで躱す、先程回避したはずの爪がブーメランのように戻ってこちらを
狙ってきたのだ。しかも一本どころではなく、今まで回避した全ての爪が地を這い、空を舞い、襲いかかる。
流石に躱しきれず数カ所、掠るようにして爪が通り過ぎ、浅くバリアジャケットが切り裂かれてしまう。

「(私は……確実に、弱く……)」

現役時代、こんな修羅場はいくつも潜ってきた。ロストロギアを取り押さえた事も1度や2度ではない。
だが、その時はこんな無様は晒さなかった……アリスは奥歯を噛み締めるようにして考える。
今すべきは目の前のロストロギアの制圧なのだが、どうしても過去を思い出してしまい精細を欠いてしまう。
過去の自分なら、"アルテッサ"ならこの程度の相手にバリアジャケットとは言えダメージを負うような事はなかったはずだ。

<<マスター! 側面です、直撃コース!>>

「……プロテクション」

アリスは回避を諦め、クリスタルの一つに手をかざし防御魔法の指示を送る。すると瞬時に透明な円盾が彼女を守るように顕在化し
側面から襲いかかってきた複数の爪の攻撃を全て無力化する……爪はプロテクションに傷一つ付ける事も出来ずに四散していった。

が――。

「破片が」

<<吸収されていきますね、吸収率は7割と言ったところでしょうか>>

四散した爪の破片が本体、黒い獣に向かっていき、吸収されているのだ。
余りにも細かくなってしまったモノに関しては吸収されずに消失しているようだが、それでも7割前後の破片は
持ち主の元へ帰って行ったように見えた。

<<自分で放った魔力爪をさらに吸収も出来るなんて、羨ましいですね>>

「ん」

本来ならゲンナリとするところだったが、アリスはその姿、爪を吸収する黒い獣の姿に光明を見ていた。
今までは攻撃するのを酷く躊躇って居たが、身体の特定の部位、という訳でもなくどこからでも爪を吸収するその姿を見て
アリスは仮説を立てる。あの様に魔力を吸収するなど普通の身体、実体のある身体ではできようはずが無い。

もし、あの身体がただ単に魔力で構成された虚構のものであったならば……
魔力制圧もリスク無く行えるのではないか。危険なのは頭部にあるらしいロストロギア本体だが
それは避けて無力化すれば良い話だ。――思案に明け暮れる時間はない。

「仕掛ける」

<<……了解しましたマスター>>

主人の意思を感じ取ったかのように、アリスの周りを回るように浮遊していた3つのクリスタルは
早回しをするように一気に回転すると、そこが定位置だと言わんばかりに一際輝くクリスタルをアリスの前に配置し
残る2つのクリスタルは彼女を補助するように後方に下がる。

そう、このアリスの面前に配置された輝きの大きいクリスタルこそインテリジェントデバイス・オラクルの本体であり、
残りは補助のクリスタル型ストレージデバイスである。この補助デバイスはオラクルと関連付けられており、オラクルが独自の
判断で使用することも出来る。正に三位一体の複合型インテリジェントデバイス、それがオラクルなのである。

<<ダメージは然程ではありませんが、身体の弱体化もありマスターの疲労は限界に近づいています>>

「わかってる。これで決める」

言うが早いか大地を滑るようにして黒い獣に突進するアリス。獣の方は一瞬たじろぐ様に身構えたが
獲物がこちらに向かってくるその光景に我慢できなくなったのか、待ってましたとばかりに高く飛び上がり
上空から大口を空け彼女を噛み砕かんと踊りかかる。

「ホーネットモーション」

<<ホーネットモーション発動>>

瞬間、彼女の姿がブレるように動き、一気に短距離を加速する。その距離はほんの僅かで、アリス二人分程度。
だがその極小の加速は最早瞬間移動と言っても過言ではない程の超高速であり、獣のアギトを躱すには十分だった。
目標を見失った獣は驚愕に目を見開くが、捕食の体制を崩すことが出来ず、逆立ちをするように顔面から地面に突き刺さる。
そしてまるで誘っているかのようにその無防備な腹部をアリスの前に晒してしまった。
もちろんその隙を見逃す彼女ではない。素早くオラクルに手を翳し、魔力込める。

「召し上がれ」

<<スティンガースナイプ>>

間髪置かずに放たれたその巨大な魔力弾丸は、重低音を轟かせながら正しくその腹部を下から上へと
突き上げるようにして刺さり、黒い獣を空中へと吹き飛ばす。だが、まだ終わらない。
空中に打ち上がった獣を見て、アリスはさも当然とばかりに追撃体制に入る。

「クイックムーブ」

<<生きて地上に戻れるとは思わないことですね>>

即座に獣を追い、空中に上がったアリスはクイックムーブで獣に密着するように身体を押し付ける。
はたから見れば傷ついた獣を優しく介抱する可憐な少女に見えなくもない。
が、そんな訳があるはずもなく、彼女は獣の内部振動を慎重に探る。万が一にもロストロギアまで
巻き込んでしまう訳にはいかない。魔力体の鼓動を読み切り、そして放つ。

「ブレイク……インパルスッ」

一瞬の間を置いて、アリスの手から迸るように緑と赤の魔力光が放出され、次の瞬間……
獣の身体は内部に爆薬でも仕掛けられたかのようにけたたましい音を立てて破裂、崩壊した。
――ブレイクインパルス、相手の内部に魔力による振動エネルギーを直接送り込み内から粉砕する荒業である。

<<敵ロストロギアの魔力消失を確認。ロストロギア沈黙。>>

「ん」

オラクルが戦闘終了を告げる。後に残されたのは気を失った子犬と、青色に輝くロストロギア。
アリスはてくてくと子犬に近づき、抱きあげる。表情には出ないものの、その顔には
ほっとしたような暖かな笑みが浮かんでいるようにも見える。

<<さて、残りはこのロストロギアですが……封印処置を施して確保してしまいましょう>>

「ん。ふうい……」

<<マスター! 待ってください。封印する場合特定の詠唱を付ける事で封印確率を上昇させる事ができます>>

「うそだ」

とても胡散臭いものを見る目でアリスはオラクルを見つめるが、オラクルはどうしても譲れないようで
再度彼女に働き掛ける。この姿を見たら誰もがこう言うだろう。めんどくさいデバイスだ、と。

<<嘘ではありません! これは必要な儀式なんです。ぜひ私に続いて詠唱をお願いします>>

「ん」

<<わかってくれましたか。では行きますよ! リリカル☆オラクル☆ロストロギア封印☆>>

「ふういん」

<<ちょっとぉぉぉぉぉぉ!?>>

ロストロギアが正しく封印されると、そのままオラクルの中に吸い込まれるようにして格納される。
アリスはそれを見届け、隣で悲痛な叫びをあげているオラクルを一瞥するが、
しかしバッサリと無視して彼女は結界を解き子犬を抱いたままテラスに戻っていくのだった。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



暖かい湯が頭を流れる、まるで今日の疲労を洗い流してくれるような心地の良い感覚に
頬が緩みそうになる。その後聞こえてくる言葉さえなければ心休まる至福の時であっただろうが

「お客様ぁ? 痒いところはございませんか~?」

「ない」

明らかにこちらをからかう……楽しそうな声色でこちらに質問するのは
見ているものを魅了するような美しい金髪を携える少女、アリサ・バニングスである。
そしてここはバニングス邸の浴場。そこらの家庭とは格が違うとばかりに広く清潔なその浴場に
アリスは一緒に入っていた。何故か?それは1時間前に遡る。

身体がロストロギアにより若返った後の最初の戦闘、その戦闘は予想以上にアリスの体に
負荷を与えていたようで、ロストロギア封印後テラスにたどり着いた彼女は間をおかず
備え付けてあるテーブルに突っ伏し寝てしまった。そして疲労した体は無駄に長い睡眠を求めてしまったようで
結局アリスは自分では起きる事が出来ず、アリサに発見され起こされるまで夢の中から脱出する事が叶わなかったのだ。

一方アリサは、帰って来た後アリスが部屋に居なかった為、もしかしたら勝手に帰宅してしまったのではないか?
と言う焦燥に駆られ必死になって屋敷をくまなく探し……そして、我が家で最近産まれた子犬に頬をペロペロと舐められながら
テラスで幸せそうに涎を垂らして眠りこけるアリスを見つけてしまった。
そのときの彼女の憤慨は推して知るべしである。

寝起きでいきなり怒気をぶつけられたアリスは、捲し立てるアリサにほとんど何の抵抗も出来ず
彼女の要求に次々と頷いてしまったのだ。その結果アリスは、気がつけば一緒に夕飯、一緒にお風呂、一緒にお布団の
三点セットを承認してしまっていた。本来なら今日は礼を言い、早々に帰宅するつもりだったのが……
アリサが最初にテラスを探していれば、もしくはアリスがテラスで寝ずに部屋までちゃんと戻っていれば。
こんな事にはならなかったのかもしれない。

「んふふ~、お湯加減はいかがですか?」

「だいじょぶ」

まるでおままごとの様ではあるが、この入浴をアリサは心から楽しんでいた。
元来世話焼きの気があったアリサなのだが、一人っ子であるためにその庇護欲を持て余し気味だった。
さらに最近できた二人の友人、いや親友も、相手に迷惑を掛けまいとする奥ゆかしい性格……
まぁ片方にはいきなりぶん殴られたりした訳だがそれは置いておいて、世話を焼きたいのだが、焼けない。
そんな感情は発散される事なく、燻り続けていたのだ。

「まったく、髪も肌もこんなに綺麗なんだからちゃんとケアしなきゃだめよ」

「んっ」

遠慮無くアリスを触り倒すアリサ、彼女は今とても生き生きとしており、また違った意味での
お風呂の素晴らしさを生まれてはじめて体感していた。
アリスの体を弄りながら、そういえばココからそう離れて居ない場所に温泉があったわね。と、思い出す。
――絶対行こう。なのはとすずかも一緒に、そうすればきっと、いや絶対楽しいはずである。
そして出来れば目の前の少女も一緒に……そんな事を考えながら目の前で悶えているアリスを見て自然と
笑みが溢れる。夢が広がりまくりなアリサである。

逆に面白くないのがアリスだ。体を弄り倒されている上に、なぜか後ろでニヤニヤと笑みを浮かべられているのである
不審に思わない訳がない。アリサの10倍返しが若干怖くもあるが、アリスは反撃に打って出ることにした。

「アリサも洗う」

「ん? 私はいいわよ、自分でやるし」

「洗う」

そう言うとアリスは間髪入れずにバスチェアーから立ち上がり、アリサを座らせる。
若干不満気なアリサだが、きっと彼女も洗いっこをしたいのだろう、と思い前に設置された鏡に向き直り、
鏡に映った自分と対面する。そこには楽しさを抑えきれない、と言うアリサの表情が写っており
少し恥ずかしくなる。だからだろうか、自分の後ろに映るアリスの顔

……明らかに何かを企むその双眸の輝きを見逃してしまっていたのだ――。

「しっかり頼むわよー! あ、でもあんまり強くしないでね」

「任せて」

アリスは素早くボディーソープを5プッシュすると自分の絶壁と言って過言ではない胸板に塗りつける。
そして反撃が始まった、いや始まってしまったのだ。

「んっ……んっ……どう?」

「んー気持ちいわー……ん? でもなんか感触がおかしいわね」

アリサは小首を傾げる、自分の使っているスポンジは上級品だがここまですべすべとした感触ではなかったはずだ。
背中からは吸い付くようにもちもちとした、それでいてまるで絹のようにきめ細かい心地良い感触が伝わってくる。
持ち方のせいだろうか、両側面から少しぼこぼこした段差の感触と、そして上からは何かを擦るコリコリとした感覚。
これはまるでアリスの……アリスの――

ハッとした表情でアリサは視線を後ろに送る。真後ろまで首が回ろうはずもないが、それでも彼女は決定的なものを
見つけてしまう、それは今アリスが持っているはずのスポンジ……それが無造作にタイルの上に置かれた姿だった。
そして鏡の中ではアリスが一生懸命に自分の身体を上下させている様子……。
ここに来てようやくアリサは全てを悟った。

「アアアアアリス!?」

「ね、きもちいい?」

「き、気持ちいい……いい訳!? ああああああわあわわわ!! 」

耳どころか身体全体を真っ赤に染め上げ慌てるアリサのその反応に、してやったりと言った具合のアリス。
相変わらず無表情ではあるが、そこにはいたずらを楽しむ猫のような雰囲気があった。
だがそれもつかの間。急に立ち上がったアリサのせいで、すってんころりんと後ろに倒れてしまう。

「いたた」

「ふ、ふふふふ、ふふふふふふ! そう、分かったわアリス。そっちがそうならこっちにも考えがあるわ!」

そう言うとアリサは凄まじい速さでボディーソープを手に取ると、何プッシュしたか確認すらできない程の
素早さで白くべたつく液体を手に取り、白い透き通るような肌、今は真っ赤だが……に塗りつけていく。

「アリス! 覚悟しなさい! 」

そう言ってアリスに飛びかかっていくアリサ。だがアリスにしてみればこの程度の反撃は予想の範囲内だ。
背中に身体を押し付けられる位澄ました顔で切り抜けられる。
そう、高をくくっていたのが……アリサは常に予想を越えてくる。10倍返しは伊達では無かった。
アリサが抱きついたのは背中では無く、正面…胸のあたりにおもいっきりぎゅっと抱きついてきたのだ。

「せ、背中はさっき洗ってあげたから! こ、こここんどは! 前を洗ってあげるわ!」

「アリサ、すとっぷ」

「なぁにぃ? 聞こえないわねぇー!!」

声と同時に高速で擦りつけられるアリサの身体。幼い少女が裸で正面から抱き合い、身体を押し付け擦りつけ合うその姿は
もし誰かに見られていたならば、その人間はきっとこう称すであろう。あれは最終兵器であると。

そして暫くの間バスルームからは、二人のじゃれ合う声とボディーソープの混ざり合う音が聞こえていたのだった。



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