俺は親がいなかった。小さい頃から祖父の所にいた。
祖父は今はいつも家にいるが、5歳ぐらいまでご飯以外放置状態。
両親は、行方不明。
別にいなくなったことを恨んでいない。
何かあったんだろう、と思いそこはなんとかなる。
だが…。
父さん母さん、じいちゃん厳しすぎ…。
叫びたくもなることとは、ずばり祖父の特訓だった。
性格は別に普通なのだが、やることが凄すぎるのである。
今俺は小学3年生なのだが、毎日過度の筋トレやっている。
腹筋割れとるし、絞り込まれ細身に見えるがやろうすれば瓦30枚は割れる。
走れば20㌔は普通に走れる…、とまあ様々なトレーニング実施中。
運動神経はいいと言われていたがまさかこんなことになるとは思ってもみなかった。
これもみな祖父のおかげ?、である。
なんでこんなことをやるのかは知らないでいたがそろそろ分かることになる。
俺、光(ひかり)刃(やいば)を巻き込んでいく争いが…。
第1章
――――――――――始まり――――――――――
いつものように起きて朝飯作って食べて顔洗って歯磨いた。
鏡から見る俺の髪は母さんから受け継いだ銀色に近い灰色で俺の自慢できるとこでもある。
いつものように家を出て学校に行こうとした…、のだが…。
俺の家では日常茶飯事のことが起きた。
「じいちゃん!!車だしてー!!」
すると、3階の窓から祖父が顔を出した。
「走れ」
たった一言を告げ、部屋の中に入っていく。
俺の家は山奥の大きな家で、小学校は海鳴市と違う市にあたり、離れている。
さすがに走ることはできても1時間30分か、2時間くらいは走ることになる。
毎日5時ととても健康的に朝起きているのだが、車じゃないと間に合わないのである。
6時に準備完了しても、俺には祖父が取り付けた錘が手首足首についておりしかも一個10キロなのでものすごく重い。
普通に走れる時間をオーバーすることが多々ある。
まあ3年もやればさすがに慣れたのだが…。
そのことで先生方に、お前虐待受けていないか?とよく心配される。
新しい先生だとなおさら、君のおじいちゃんにやめてもらいなさい!!と強く言われることが多い。
だが、じいちゃんが学校で権力が強いのか何故か入学してから数ヶ月もたつと言ってこなくなった。
どーでもいい話だが…。
ともかく3階へ走る。
やたら重いドアを開け祖父を見つけ、肩をつかみ前後に揺らす。
「じいちゃん、つ・れ・て・い・け!!」
叫ぶ叫ぶ、すると祖父はやっと動いてくれた。
はあ、と溜め息をつく…。
溜め息をつきたいのはこっちだけどな…、まぁじいちゃんさっさとして。
思いが涙となって出てきたのだが、祖父はそんなことは気にもしないようすで3階の窓から外にジャンプしていた。
普通の人が見たら唖然とするんだろうな、と思いながら俺も3階の窓から外に出る。
「分かっているだろうな、刃」
車に乗り込んだ祖父がやたらめったら真面目な顔で言う。
もちろん祖父が言いたいことは分かるのだが、こんなことを毎日している俺の気持ちにもほしい。
「分かってるよじいちゃん、帰りは走って帰れでしょ…」
祖父は満足そうに頷き、車を運転する。
山道なのによくこんなに速度出せるよな…、ちなみにいま100㌔ぐらい、毎日見ているが苦笑いするしかなかった…。
学校に着くと結構足がふらふらする。
じいちゃんのドライビングテクがすごくて左右によく揺れるし、速いのである。
パトカー無視してるという理由もあるのだが…。
教室にはいると2人の女の子が声をかけてきた。
「おはよう、刃」
「おはよう、刃君」
呼び捨てで呼んだのは気丈そうな蒼い瞳と茶色に近い金の髪のアリサ・バニングスで、君付けで呼んだのは長い黒髪と純白のヘアバンドでまとめた優しげな月村すずかである。
2人とも1年生からの仲である。
「おはよう、すずか、アリサ」
椅子に座りさっさと授業の準備をする。
今日の時間割は算数、国語、国語、総合、理科、体育か…。
体育楽しみだな、できればすずかと違うチームで…と願掛けする。
俺とすずかが揃うとなんでもかんでもスポーツならほとんど勝てる。
だから、面白くないからという理由からというわけで…。
「そういえば、なのはは?」
2人に聞く。
今言ったなのはも1年生からの仲であり、ある共通点があるので親友と言っても過言ではないほどの友達である。
「いつもの通り」
「いつもじゃないけどね…」
極端に2人とも性格違うよな…、と思いながら話していると教室のドアが勢いよく開けられた。
ツインテールで髪を束ね天然そうなオーラを今のところはなっている高町なのはである。
なんかすっごい息切れしてるし走ってきたな、たぶん寝坊したんだろうなぁ…。
今出ているその天然そうなオーラはこのせいで出てきているのであろう。
「お、おはよ~」
椅子に座ると机に倒れる。
バタンキューって昔聞いたことあるけど、こういうことなんだろうなーと納得する。
「おはよう、なのは」
「おはよう、なのはちゃん。」
2人があいさつしたから俺も早くしなきゃな。
「おはよ、なのは」
だが、なのはは手を上げふらふらゆらすだけである。
半分あきれながらなのはの頭を撫でる。
「刃君、やめてよ~」
なのはが嫌がっているのか、テレいるのか分からない返事をする。
顔が隠れているから分からない。
まあ気にしない気にしない、そのまま撫でること続行する。
4人でHRが始まるまで話し続けたのであった。
昼ごはんの時間になり屋上で食べることになり、4時間目の授業の話になった。
「将来の職業か…。」
なのはが呟く。
ちなみに俺も思っていた、将来の職業は何になるんだろう。
あまり考えたことがなかった、まだ早いのかもしれないが考えて損はない。
祖父がいま俺に教えていることは運動方面である。
料理とか家庭方面のことも教えてくれるが、たまにである。
勉強方面なんて教えてくれない、教える気がないのである。
プロ野球選手とかサッカー選手、いろいろなスポーツの職業に向いているかもしれない…。
けど、本当になりたい物が見つからないのである。
祖父が今頃戦闘に関しての様々な事を教えてくれるようになったのだが、正直役に立たない。
ていうかいらない、こんな平和な世界でそんな事はいらないのである。
何故なのだろうかと考えるが思いつかないし、じいちゃんはまだ教えてくれないのである。
俺がううーんと唸っているとアリサがデコピンをしてきた。
「何そんなに悩んでいるの」
けっこうデコピン痛かった、と。
この質問は、俺となのはに言っているのであろう。
「なのはは翠屋の二代目で、刃はスポーツ選手」
苦笑いしながら肯定する、俺。
誇れるものといえば、運動とかちょっと料理が作れるとかそんなもん。
勉強はそこまで悪くないが優秀って訳でもない。
運動を除けば平凡だと…、思う。
「アリサ達はいいよな、親が大企業の社長でほとんど決まってるし純粋に取り組めるんだから」
アリサとすずかは大企業の社長の娘なのでいずれ社長になれるのである。
まぁ別にならんでもいいと思うけど…。
「両親に恩返しって事でやるしかないからね」
「私は将来の職業目指してるものがあるから」
アリサの方はなる気満々のようで、すずかは将来の夢があるようだ。
ついでになのはを見るとすごく深刻な顔をしているのである。
声がとてもかけにくいのですが…。
「私まだやりたいことが見つからないし、特徴的なものもないしで…」
別に特徴的なもので職業を決めるというわけではないんだけどね~。
けど俺はまだ特徴はあるからなのはに対して申し訳なくなる。
そんな時、なのはの言葉に反応する人影があった。
その人物、アリサはなのはの首を締め上げる。
「あんた、私より理数系の点数いいくせにそんなこと言ってんじゃないわよ!!!!」
いや、同じだろうに学校のテストで100点以上はないだろう。
一応心の中でつっこんでおき、なのはが死にそうな顔になりかけたところで仲裁にはいった。
その前にすずかも仲裁にはいっていたが、やんわりと止めていたから止めきれてなかった。
アリサをなんとかしてとれることができ、喧嘩の仲裁が終了した。
今日の6時間目は体育である。
そして今日の授業はドッヂボールである。
願いがつうじたのかすずかと違うチームになった。
願いが叶った事にうれしさで気味の悪い笑い声を出していたようで、同じチームメイトは何歩か後ずさりしていた。
そして開始と同時にすずかと俺だけスペースができる。
みんな巻き添えくうのはごめんだからである。
まず最初は、すずかにボールが渡った。
「「「「いけーーーー!!すずかちゃん」」」」
あちらのチームメイトから大きな応援が始まる。
「「「「いけーーーー!!刃(君)」」」」
こちらも応援が始まる。
他の奴らは観客気分である、おまえらもやれよ…。
すずかがボールを投げる、そのボールは速いし取りにくい膝あたりに飛んでくる。
まずは避ける。
まだあっちも本気ではないのであろう、気迫が見えていない。
外野に渡るとすぐさますずかにパスをする、俺も含めてみんながドッヂの本当のルールを知らない奴が多いから容赦ない。
5分後…、まだ1度もこっちにボールが回ってこない。
すずかのボールが速くて誰も取ろうとはしないからだが…、先生何も言ってくれないしなぁ…。
すずかが投げたボールがちょっと高ければ取れるんだが…。
と思った矢先に飛んでくるボール。
取れる、と確信しキャッチに成功。
「おっしゃ!!!!」
うれしかったので叫ぶ。
アリサが馬鹿よねあいつ、と呟いたのが聞こえた気がした、いや聞こえた。
気持ちを切り替えてすずかの方向に向く。
俺がすずかの方を向くと一斉に左右に分かれる。
俺の投げたボールに当たるとすごい痛いと有名だからだ。
投げる。
すごい回転したボールがすずかに迫り、それを紙一重で避ける。
壁に当たると大きな音がでて、俺にそのまま戻ってくる。
だが、実際問題はすずかがこのボールを取れるということである。
本気ではないのだが、本気で投げたボールもたまに取られる、結構痛いと思うんだけどな~。
さらに10分後…、戦いは本格化する。
バスンバスンと体育館にボールを取る音が聞こえる。
俺とすずかは取ったボールをそのまま投げるという荒業に移行していた。
一向に終わる気配がないと思われていたとき、ゲームが動いた。
すずかがミスって上に投げたボールを俺が跳んで取りすずかにむけて投げたのだ。
観客(先生も含むクラスメート全員)が、おおっと歓声を上げる。
勝ったと思ったが…。
バシィィィィィ!!
『取ったぁ!?』
外野がハモッた。
理由はもちろんすずかが取ったからである。
しかもこっちは空中、ものすごく取りにくい。
すずかが投げる。
無理やり取り着地に成功した。
まだまだと思い投げようとしたが…。
「刃君が取ったところは線から出ているのでアウト♪」
先生が言った一言は戦いが終了したことであった。
その瞬間みんながコートの中に入りボールを投げ始める。
この勝負、すずかの勝ちである。
何故かアリサがフッと笑った…、いやお前が戦ったわけじゃないだろ。
まあ絶対馬鹿にされるなぁ…、負けたとき1番最初に思った事はこれである。
思った通り、帰り道にアリサにいじられつづけている。
今日はなのはたちが塾なので森の近くを通っている。
くやしかったが、負けたというのは本当のことなので殴りたいという衝動に駆られたがおさえた。
ていうか殴るのは男子という点からやめとく、というかできない。
「いやー、最後はすごかったわねー。すずかがとって投げ返したときはもう、それに比べて刃は…ぷぷぷ」
いじけたい、ホントもういじけたい。
あの体勢で取った事もちょっとは褒めてもらいたいものだが…。
そういえば…、結局あの後俺のチームが負けたがアリサ普通に当てられてたよね。
しかも確かなのはに…。
こっちがアリサをいじれるネタを探しているとき、嫌な感じがした。
探しちゃいけなかったかなぁと首をかしげたのだがそんな事はない。
けど感じた嫌な感じはアリサの方からではなく森の方からだった。
森の方向を見る、だが別に見た感じ違うところはない。
「ここから、塾の近道なのよ、今日はここから行こう♪」
心底楽しそうに言うアリサ、そんな俺いじって楽しかった…?
俺は行っていないのだが、俺を除いてアリサ、すずか、なのはは塾に通っている。
今頃点数が悪いので、じいちゃんに頼んで入ろうかと思っていてついでに3人が通っている塾について行っている。
さっきの嫌な感じがなんなのか気になって、もし何かあったらいけないからと神経を研ぎ澄ましながら歩く。
3人は楽しそうに話している、周りを見ても変わりなし。
その時、当然なのはが急に止まった。
「「「どうした(の)」」」
俺とアリサとすずかがハモる。
「えっ、いや、なんでもない、なんでもないよ」
慌てるなのは。
一言で言うと、あやしい。
何か絶対隠している、言ってくれれば助けるのに言ってくれないからなぁ。
なのはの頭を撫でる、こうやると大体なのはは俺が言いたい事を分かってくれる。
なのはは分かってくれたようで頷いてくれた。
アリサとすずかはなのはを見て大丈夫だと思ったようで進んでいっている。
なのはの事が気になるので、なのはの隣にいる。
だが、神経を研ぎ澄まし周りを見る事は続ける。
―――――――――助けて――――――――――
突然頭の中に響く男の子の声が聞こえた。
周りを見たが男の子なんていやしない、この道は森の中なので通る人はまずいないだろう。
「え…、なに?」
「って、もしかしてなのはも声が聞こえたのか?」
「うん」
声が聞こえた方向を見る、聞こえたのかわかんないが何故かわかる。
「どうしたの2人共?」
「なのはちゃん、刃君?」
なのはがさっき何か聞こえなかった?、と聞くが2人共聞こえていないと答える。
なのはが走りだしたのでそれについて走る。
後ろでアリサとすずかがなんか言っているが今は関係ない。
「こっちか?」
「うん」
なのはと確かめながら走る。
そしてついたところは木がなくぽっかりと明いたところであった。
真ん中に小さな動物が倒れていた。
「フェレット…?」
なのはが呟き、フェレットという奴を抱きかかえる。
フェレットって何?動物にあんまり興味ないから分からない。
そのフェレットという動物は首に人間がつけるような首飾りをつけていた。
捨てられたのかな、最初はそう思った。
けどこんなところまで持ってくる必要はないし、こんなに怪我している理由が分からない。
木や地面を見ていると不自然なところがあることに気がついた。
フェレットの近くに何かを引きずったような極太の線があることに気付く。
もしかして俺は今何かに危ないことにとびこんでいってるんじゃ…。
冷や汗を掻いているとアリサとすずかが来た。
「2人共どこ行ってるのよーーー!!もう!!」
「どうし…、それってフェレット?怪我してる!!」
すずかが状況を理解したようで、なのはとアリサと相談し、家に電話して獣医を探しているようである。
どうしても俺はやばい事に頭を突っ込んだでは、という気がしてならなかった。
すずかが探してくれた獣医さんのところでてきぱきとフェレットの看護をしてもらっている。。
俺はあのフェレットはなんであそこにいたか、何が起こって怪我をしていたかそのことを考えていた。
どうしても危険なことに首を突っ込んだ気がしてならなかったからである。
まぁこんなことで事件に巻き込まれるのもどうかと思うが…。
後頭部を殴られる、普通に痛いが考えているので無視する。
後ろで俺を殴った本人は、なんで無視するのよー!!と暴れ中。
その暴れている人を抑えてくれているすずかとなのはに感謝。
隣になのはが座る。
制止はすずかが継続中…、あぁ今終わったな。
「なのは、あの声は何だったのかな…」
「フェレット君が出した声だったんだよ、たぶん…」
ていうか君ということは♂か…、声は男の子だったから確かに合ってる。
けど動物が声を出す?ふざけてると思う、ファンタジーじゃあるまいし。
しかし声が聞こえてきた方にはフェレットがいた。
しかもなのははその声が聞こえている、危険なことに首を突っ込んでいるならまずなのはが危ないだろう。
その時は…守ってやるさ、大切な友達を。
決めた、絶対になのはは守ってやる。
今はもう考えない、考えるのは巻き込まれたときだ。
「刃君、刃君…?」
なのはが心配そうにのぞいてくる。
「―――――なのは、俺」
なのはの手を握る。
「守るからな…、絶対に」
一種の誓い。
うつむきながら手の力を抜く。
顔を上げなのはを見ると顔赤面だった…、手を握っているしほとんど告白みたいな言い方だったから…。
「あっ…、あははははは…」
今頃気付く馬鹿な俺であった…、って何でなのはに向かって誓ってるんだ俺。
誰もいなくて助かった本当に助かった、しかしどうなのはに言えばわかんなかったのでここから硬直していた…。
しかも何にも危険なことが始まっていないから、いいわけもできないわけで…。
地獄だ…、と本気でそう思った。
治療が終わったようなので獣医さんのところにいく。
さっきのことでなのはは俺の方見てくれないし、アリサがなんか感づいている。
汗をだらだら流しながらフェレットの所に来た。
「体調不良と疲労がたまっているようね」
診断結果がそれほど深刻じゃなかったので俺以外の3人の安堵の息がこぼれる。
いや、けっこう大変だろう…。
俺はなのはにした事で頭がいっぱいだった、であるからして全く聞いていない。
「刃君?」
すずかが心配してくれているが、思考停止中…。
それから獣医さんはこれからどうするかなどを話してくれた…と思う。
もちろん覚えていないが…。
ゴッ、頭にすごい衝撃。
そのまま床に頭をぶつける。
…、アリサに喰らった一撃の中で1番強いかも…。
これのおかげで脳が再起動し始めた。
「目覚めた?」
「ア、アリサ、あんがと」
痛いが感謝する。
もうちょっと弱くしてくれよ…、と呟く。
アリサがこちらを向いてきた、聞こえたか…。
とりあえず、さっきまでの話しをすずかに要約してもらった。
1日もすればフェレットは治るから今日はここで休む事になった。
だがこのフェレットはどこで一時的に飼うかを決めなくちゃいけなくなった。
普通に考えれば俺である。
アリサは犬、すずかは猫を飼ってるし、なのはは食べ物を扱っているので無理かもしれない。
しかも危険性があるこのフェレットを俺が預かるのは都合がいいのである。
のだが…、じいちゃんが修行に参加させる可能性がありもし参加したら死ぬか、逃げるんじゃないだろうか…。
というわけで俺は無理と言うと、みんなも無理かもと言い結局どうなるかは塾で話すことに決まった。
まぁそこに俺はいないわけだが…。
そんなこったで俺はメールで知ることになった。
しかしその間にアリサになのはにやったことがばれるかもなぁ、と頭を抱えた。
帰り途中、メールを見た。
なのはが一時的に飼う事が決定したらしい。
結局こうなるかと思いながら携帯をポケットに入れる。
守るのに都合が悪いなぁ、と思った瞬間に夕べ聞いた声が聞こえた。
――――――――聞こえますか、僕の声が聞こえますか――――――――――
――――――――聞いてください、僕の声が聞こえるあなた達僕に少しだけ力を貸してください――――――――――
――――-―――お願い僕の所へ、近く…、危険な…、こう…――――――――――
方向的にはあの病院、ということはやっぱりあのフェレットからか。
距離は…、遠いな。
帰るのが遅くなるぁ、と思いながらも足は自然と病院の方へと走り出す。
これが俺にとどいたということはなのはにも届いているはず…、しかも絶対行くだろう。
携帯取り出し、じいちゃんに遅くなる、とメールを送る。
このまま本気で走れば10分はかからないと思い、走り続ける。
走っている途中で何故か置いてあった鉄パイプを拾い、さらに走る。
道は1回通ればなんとなく覚えているので道には迷わない。
間に合え…!!そう思いながら走り抜けていった。
かなり息切れしながら着いた、そこには半壊状態の病院があった。
遅かったか…!?と思ったその瞬間、隣で木が折れた音がしたというか現在進行形で倒れている。
何が起きているのかと思い、中を見ようと病院の前来ると座りこんでフェレットを持っているなのはがいた。
見た瞬間、なのはの手を握りこの場を離れる。
「刃君、どうしてここへ!!」
「俺も声が聞こえた!!状況わかんないから教えてくれ!!」
「私もよく分からない、けどなんか変な生物にフェレット君がおそわれてるの!!」
「なるほど、と納得するわけないけどね、とりあえずテレパシーで伝えてくれたのそのフェレットだよな!!」
なのはが頷く。
「じゃあそこのフェレット君状況を教えてくれ、できればしゃべって」
なんかこうテレパシーっぽい声なら何回も聞いたけど聞き取りにくかった。
つまり俺たちだけしか聞こえないほど微弱なものだったからだと思う。
だったら話してくれる方がいいと思ったから最後の方は言ったわけである、まぁできればだけど。
「は、はいわかりました、状況を説明します」
フェレットはちょっととまどりながらしゃべった。
…、本当にしゃべってくれるとは思わなかったなぁ…。
なのははちょっと驚いていたがそのまま走り続けている、フェレットはそのまま続ける。
「僕はある探し物のためにこの世界に来ました。それはロストロギアといって様々な世界の遺産で使い方が違うと危険なも…」
「ちょっと待って、状況整理させて。まず君は探し物のためにこの世か…、ってこの世界じゃない世界があるの?」
「はい、僕はその違う世界からきた一人です」
異世界獣…?そう言うのが正しいと思うけどそんな事はどうでもいい。
さっさと状況整理を。
「で探し物というのはロストロギアと言って様々な世界の遺産で一歩間違えると危険物、で合ってる?」
「はい」
「つまりそのロストロギアってやつを探しに来てこうなっていると…、そういうこと?」
「はい」
だが何故その探し物途中でこんなことになっているのかが分からない。
「でどうしたいの?」
「はい?」
「どうしてほしいの?」
「あ、はい、だけど僕だけの力じゃ思いを遂げられないかもしれない、だから迷惑だとわかっているんですが資質をもっている人に協力してほしくて…」
「「資質?」」
なのはとハモッた。
「あなた達にはそのある資質があるんです」
「だからなんの!?」
真剣になって聞く。
「お礼はします必ずします、僕の持っている力をあなた達に使ってほしいんです。僕の力を魔法の力を!!」
「「魔法!?」」
またハモッた。
次の瞬間なのはの腕を引き近くにあった電柱に隠れる。
なんかくる、そう思ったからである。
雲みたいなやつが猛スピードで飛来してコンクリートを粉砕、うわぁ…。
「探し物は…、あれです」
「えっ…」
探しものなのでは…、ってさっき使い方を間違うと危険な物って言ってたか。
何がどうなってこうなったかは知らないが、とりあえず鉄パイプを握り締める。
「君の名前は?」
「えっ」
「名前を聞いてるの」
今度はなのはが言う。
「ユーノ、ユーノ・スクライア」
「とりあえずよろしくな、ユーノ」
「よろしくね、ユーノ君」
名前確認終了。
しばらくすると、雲みたいな奴のようなやつがこちらに動き始めた。
「なのは」
「なに?」
「守るからな、おまえを」
テレながらだが、俺を見てくれて…。
「うん!!」
と頷いてくれた、それだけで十分。
雲みたいなやつの前に立ち鉄パイプを向ける。
「お前の相手は俺だ!!ロストロギア…、だよな」
いまいち決まらなかったなぁ、とか思ったがそんな事は敵さんは気にしてないようで襲い掛かってくる。
「勝負だ!!」
俺は雲みたい奴に殴りかかった…!!
あとがき
えっと刃流(ハル)です。
これが初めて書いた小説です。
なんかちょっと恋愛話も混じってくると思いますのでご勘弁を。
これからがんばっていきますので応援お願いします。
けっこう修正しました。