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No.27519の一覧
[0] 転生妄想症候群 リリカルなのは(転生オリ主TS原作知識アリ)【空白期終了】[きぐなす](2013/11/24 21:34)
[1] 第一話 目が覚めて[きぐなす](2011/10/30 12:39)
[2] 第二話 ファーストコンタクト[きぐなす](2011/10/30 12:46)
[3] 外伝 レターオブ・アトランティス・ファイナルウォリアー[きぐなす](2011/11/27 11:19)
[4] 外伝2 真・ゼロ話[きぐなす](2012/01/06 18:20)
[5] 第三話 好感度イベント 三連投[きぐなす](2011/05/25 18:56)
[6] 第四話 裏返る世界[きぐなす](2011/05/06 00:33)
[7] 第五話 希とカナコの世界[きぐなす](2011/05/25 18:57)
[8] 第六話 入学式前の職員会議[きぐなす](2011/05/25 21:56)
[9] 第七話 ともだち[きぐなす](2011/05/09 01:17)
[10] 第八話 なのはちゃんのにっき風[きぐなす](2011/05/08 10:13)
[11] 第九話 シンクロイベント2[きぐなす](2011/05/25 19:05)
[12] 無印前までの人物表[きぐなす](2011/05/09 21:24)
[13] 無印予告編 アトランティス最終戦士とシンクロ魔法少女たち[きぐなす](2011/05/13 17:58)
[14] 第十話 いんたーみっしょん[きぐなす](2011/05/12 20:38)
[15] 第十一話 シンクロ魔法少女ならぬ○○少女?[きぐなす](2011/05/15 10:56)
[16] 第十二話 ないしょのかなこさん[きぐなす](2011/05/16 21:30)
[17] 第十三話 魔力測定と魔法訓練[きぐなす](2011/05/20 07:54)
[18] 第十四話 初戦[きぐなす](2011/05/28 11:40)
[19] 第十五話 やっぱりないしょのかなこさん[きぐなす](2011/05/28 13:40)
[20] 第十六話 ドッジボールとカミノチカラ[きぐなす](2011/06/01 21:14)
[21] 第十七話 アリサと温泉とカミ[きぐなす](2011/06/03 18:49)
[22] 第十八話 テスタロッサ視点[きぐなす](2011/06/05 14:04)
[23] 第十九話 フェイト再び[きぐなす](2011/06/12 01:35)
[24] 第十九・五話 プレシア交渉             23/7/4 投稿[きぐなす](2011/07/04 10:26)
[25] 第二十話 デバイス命名と管理局のみなさん[きぐなす](2011/06/12 15:20)
[26] 第二十一話 アサノヨイチ[きぐなす](2011/06/15 10:50)
[27] 外伝3 おにいちゃんのお葬式[きぐなす](2011/06/25 12:59)
[28] 第二十二話 猛毒の真実 [きぐなす](2011/07/03 23:20)
[29] 第二十三話 悪霊[きぐなす](2011/07/04 13:50)
[30] 第二十四話 おにいちゃんとわたし ……おかーさん[きぐなす](2011/07/10 06:51)
[31] 第二十五話 浅野陽一のすべて[きぐなす](2011/07/17 19:15)
[32] 第二十六話 復活と再会 [きぐなす](2011/07/24 15:55)
[33] 第二十七話 再び管理局と女の友情[きぐなす](2011/08/11 19:20)
[34] 第二十八話 三位一体[きぐなす](2011/08/11 19:10)
[35] 第二十九話 すれ違いの親子[きぐなす](2011/08/11 20:38)
[36] 第三十話 眠り姫のキス[きぐなす](2011/08/20 21:51)
[37] 第三十一話 次の戦いに向けて[きぐなす](2011/08/29 17:50)
[38] 外伝4 西園冬彦のカルテ [きぐなす](2012/03/30 00:12)
[39] 無印終了までの歩みと人物表及びスキル設定[きぐなす](2012/03/29 23:49)
[41] 空白期予告編 [きぐなす](2012/04/03 00:34)
[42] 第三十二話 アースラの出来事 前編 [きぐなす](2012/04/07 19:33)
[43] 第三十三話 アースラの出来事 後編 [きぐなす](2012/04/17 22:13)
[44] 第三十四話 梅雨の少女とさざなみ寮[きぐなす](2012/05/05 18:58)
[45] 第三十五話 わかめスープと竜の一族[きぐなす](2012/05/12 00:36)
[46] 第三十六話 見えない悪意と魔法少女始まるよっ![きぐなす](2012/05/20 15:50)
[47] 第三十七話 アトランティスの叫び 前編[きぐなす](2012/05/29 17:34)
[48] 第三十八話 アトランティスの叫び 後編[きぐなす](2012/06/07 00:32)
[49] 第三十九話 幽霊少女リターンズ[きぐなす](2012/07/11 00:38)
[50] 第四十話 暗躍と交渉、お泊まり会 [きぐなす](2012/09/02 23:51)
[51] 第四十一話 トラウマクエスト そして最終伝説へ… 前編[きぐなす](2012/12/01 14:37)
[52] 第四十二話 トラウマクエスト そして最終伝説へ… 後編[きぐなす](2013/03/09 22:08)
[53] 第四十三話 暴走と愛憎の果てに行き着いた先 前編[きぐなす](2013/04/07 22:40)
[54] 第四十四話 暴走と愛憎の果てに行き着いた先 後編[きぐなす](2013/05/25 14:36)
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[27519] 第三十七話 アトランティスの叫び 前編
Name: きぐなす◆bf1bf6de ID:142fb558 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/05/29 17:34
第三十七話 アトランティスの叫び 前編


魔法少女リリカルなのはAs終了のお知らせ。



残念ながら俺たちの計画は始まる前から終わっていた。俺たちは手遅れだったんだよっ!

カナコに話すときには生きた心地がしなかった。幸いバーチャプレシアプログラムシンクロ攻撃の実験台になるだけで済んだ。全身の骨は粉々にされるのは貴重な経験だったと思う。でも普通は死ぬ… いつも通り元に戻ったけど、痛かったです。

さてこれからのことだが、レムリア都市連合物語でこの先に起こる闇の書事件をはやてちゃんにぶっちゃけて、さらに魔法少女リリカルなのはによってジュエルシード事件を教えることでトドメを刺した。

アニメは絶賛放映中、アリサちゃんが気に入って録画しているので、見せないように工作するのはすでにあきらめている。この間も一緒にみたけど、今のところアレンジがよく利いていて、なのはちゃんも首を傾げながら、時折何か聞きたそうにこちらを見ることはあるが、特に何も聞くことはなかった。綱渡りをしている気分である。

なんでアニメに見るのにこんな緊張しないといけないのでしょうか?

答え:自業自得です。

前の浅野陽一はここがまさかリリカルなのはの世界だとは思いもしなかったのでこういう結果になったといえる。昔の俺に隣の県の町くらい気付けよって言いたい。芸能人とかでヒントもありそうだったが、残念ながら浅野陽一は民放は見ない。まとめてDVD派である。

テレビ? ここ十年くらい見てないわ~ マジで見るものないわ~ と見てない自慢ができるくらいは見てなかった。

なのはちゃんに関しては暗示による思考誘導も考えたが、フェイトちゃんやユーノ君の例を見る限りやめておいたほうがいいだろう。むしろ管理局のみなさんに突っ込まれたときにもっともらしいことを考えて話すべきだと考えている。ただし聞かれない限りは話すつもりはない。

はやてちゃんとはアドレス交換してメル友になった。ヴォルケン対策を継続しながら、さりげなく探りや工作を行い柔軟にやっていくしかない。近況を聞いてはいるがアニメ『魔法少女リリカルなのは』はさまざまな思惑が絡んですでにカオスである。



ヴィータはすっかりハマってしまったようで、なのはちゃんカッケーとリスペクトしているそうだ。ちなみにアニメのなのはちゃんは古き魔法少女モノの伝統を守り、変身すると八頭身に伸びて大人の姿に、決め台詞とボーズと低年齢向けを意識している。

この間のコマーシャルで、

「君もレイジングハートでなのはちゃんに変身しよう。レイジングハートセットアップッ!! 」

と変身セットが新発売と放送していた。こういうところは正当派らしい。



ザフィーラは基本無関心だが、役割のかぶるアルフには強い興味を持っているようだ。ただしここでのアルフはムキムキの男性で野太い声を出し、フェイトを守って血を流すナイスガイだ。寡黙な忠犬みたいなポジションである。ますますザフィーラとキャラかぶりしているのだ。

わかってない。監督はわかってない。性別変えんな。無印の貴重な獣耳娘がいなくなってしまったじゃないか。



シグナムはフェイトちゃんの戦い方に興味を持って是非手合わせしたいらしい。フェイトちゃん青白いけどね。しかもキャラ付けをわかりやすくしたいのか技の頭にデスとかデビル、ダークとつけてるし、強いけどテンプレ悪役の道を突き進んでいる。

ダークフォトンランサー・デスファランクスシフトみたいな感じだ。そのうちフェイトちゃん、バルディシュ変身セットも発売されるだろう。話的には浄化されて、あの手強い敵が可愛くなって仲間になるという王道パターンを作りたいのだろう。

シャマルは登場する魔法がミッド式に似ていることに注目している。さすが参謀鋭いな。でも一番注目しているのはイケメン八頭身のユーノ君のようです。

オープニングからして同じくイケメン八頭身のクロノ君が薔薇をバックに思わせぶりな絡みをしているところは明らかに腐を意識しているし、しかも、なのはちゃんのいないところで人間に戻る場面がいくつもあった。

……しかもマッパである。どんなサービスシーンだよっ!

毎回特に意味なく人間形態に戻り、木の葉っぱや不自然な影で股間が見えないようになっている。この間はとうとう魔法少女リリカルなのはのロゴが入った。開き直りすぎ… シャマルさんはきゃあきゃあ言いながら真っ赤な顔を隠しながらも手の隙間からチラチラ見ているらしい。

もはやアレンジの域を超越しているし、どこをターゲットにしているのかわからない。低年齢層を狙いながら、腐女子にもアピールしますよ、みたいな感じなのかもしれない。低年齢層を洗脳して腐女子の英才教育になってしまうんじゃなかろうか? 抗議とか来ないの?

ちなみにユーノ君はリアルフェレットではなく魔法少女正当派マスコットとかぬいぐるみっぽい造形だ。ケロちゃんみたいなものだろう。そのうちリアル獣形態も見れるかもしれない。



はやてちゃんはレムリア都市連合物語で真相に近いことは知っているのだが、私がなんとかすればどうにかできるんやろ? とメールだけでは判断できないが、あまりプレッシャーを感じていない様子だった。それから、今はまだ蒐集を始めていないのでコンタクトの取れない管制人格リインフォースを気にしている様子で、

「やっぱり、蒐集せないかんの? 私は人様に迷惑かけるのはいかん思うとる。せやけど、リインフォースをずっとひとりにさせるわけにいかんし、蒐集せんと死んでしまうのはいややな」

というように悩んでいる様子だった。ていうかまだ会ってないうちからそう呼んでいるのね。体調のほうは真相を知っているので、シャマルが見てくれているそうだ。しかし、先延ばしになるだけで、闇の書はやがてはやてちゃんを蝕み、彼らなりに答えを出さなければいけなくなるだろう。なのはちゃん襲撃の時期はもうあてにならない。

戦わない方向へ誘導したい気持ちはあるが、状況的にせっぱ詰まると主がすべての騎士たちがどういう判断するかわからないし、決めるのははやてではなくヴォルケンリッターである以上、こちらは名乗ることができないから信頼を得るには限界がある。グレアムサイドの監視の目も厳しいはずだ。今のところは経緯を見守るしかない。

戦わないで済めば一番いいに決まってる。はやてちゃんと交流しながら関係を作り、いざというときの牽制と管理局への連絡をどうするか考えることくらいしかできない。しばらくこの問題は頭を悩ましそうである。



とうとう夏休みに入る。ようやく来たというか待ちこがれていた。

浅野陽一の頃、転生した成人男性の記憶を持った子供がもう一度小学校や中学校の授業を受けるのは暇である。だから俺は前世のことで読んでいて面白かった本をノートに記録するのが日課だった。記憶力には自信があったので、時間をかければ思い出すことができる。先生たちも学年トップだった俺に対してはあまりうるさくは言わなかった。

ただ今回で三度目はマジで暇を通り越して苦痛である。

希ちゃんはまだ外に出ることはできないので私が代わりをしなくてはならない。斎ちゃんだけは見ているだけで幸せなのでいいが、担任の先生には悪いがつまらないのである。しかもあの先生なぜか私の様子には異様に注意を払うので気が抜けない。怒るわけではなく眠そうにしてたりすると、優しく声をかけて保健室で休みますか? と聞いてくれたりするので私も罪悪感がチクチクするので下手なことはできない。

やっと長い休みが来て神に感謝している。この解放感がたまらない。とはいえ普段は学校の拘束時間が長く時間を取られていたので、夏休みにしかできないことをやらなければならない。特に今年が正念場である。

早朝はなのはちゃんとトレーニングは継続中、夏休みの課題は3人で役割分担する。日記やレポート系は俺、計算と絵は希ちゃん、カナコはお茶を飲んでいた。

……おまえもやれよ。

希ちゃんは絵が上手い。時間はかかるけど、まるで写真のような絵を描くことができる。一度見たものは書き起こすことができるというからすごい。そのうちさざなみ寮に相談に行こう。

アリサちゃんとすずかちゃんは海外旅行の予定、習い事や塾が忙しくなかなか遊べないのが残念だ。なのはちゃんも家の手伝いと塾と意外と暇がない。俺たちにもやることがあるから、割とぼっちな日は多かった。しかし、今年はそれでいい。来年からはきっと友達と過ごす希ちゃんの楽しい夏休みが待っているはずだ。



夏休みに入ったばかりで、気分はウキウキだ。

今日は高町家の道場に来ている。カナコもだいぶ慣れてきてるが、あくまで向こうにあわせてもらっている練習である。ただカナコにとっては魔力のほとんどない人間の攻撃を防ぐ修行は魔力読みに頼らない洞察力や気配を感じる力を鍛える絶好の機会になっているようだ。無理矢理シンクロさせられて体験させられてる俺にとってはプレッシャーでちびりそうだった。

ひとしきり動いた後は休憩である。今は夏まっさかり、道場は景色が歪むくらいムンムンしている。美由希さんが汗を拭っていて艶めかしい。武道少女もなかなかいいものだと思う。修行のときは厳しい顔で怖いくらいだが、今はゆるんでというか下着とか見えて無防備である。恭也さんも同じく汗を拭っているが、そんな妹をみても何も思わないのだろうか? …もう見慣れてるのかもしれない。この間テーピングとかしてたけど、お互いの距離が近い。顔と顔が触れそうな距離になんの障害もなく近づくなんて恐ろしい。

まだ分別のつかない子供同士や恋人のような距離感だ。俺にも斎ちゃんがいたからよく分かるなぁ。なのはちゃんが疎外感を感じる理由が理解できたような気がする。

風に当たり涼みながらスポーツドリンクを飲む。そして、いつものように戦いの心得について質問を始める。恭也さんと美由希さんが答えてくれるくれる形式でもうかなりの回数になると思う。

「ししょー、質問です。戦いで剣士は怒りのパワーで強くなったりするのですか? スーパーサイヤ人みたいに」

「スーパーサイヤ人? なんだろう? 」

美由希さんは首をかしげる。そういえばここそんな概念なかったな。

「怒りは力みを生むし、判断力を鈍らせるから良くはないよ。いつだって冷静じゃないと」

ほうほう。恭也さんらしい回答だ。もう少し突っ込んでみよう。

「でも、キレると体にかけてるリミッターが外れて、スピードとパワーが上がるんじゃないの? 」

俺の知っているヒーローはみんなそんな感じだ。追い込まれ、仲間を傷つけられ真の力に目覚める。怒りの力が爆発して快感を生むし、カッコいいのだ。カッコいいはそれだけでジャスティスだ。

「確かにそうかもしれないけど、それは暴れる感情をしっかりとコントロールしているか。感情のままに動いても染み着いた習慣のようにきちんと体が動かせるんじゃないのかな? すごい才能だよ。それは」

美由希さんは頭をひねりながら教えてくれる。むぅ、やはり俺には難しいようだ。そうだな。俺はクールキャラ行こう。これはこれでアリだ。

その後、高町兄弟の修練を見学して修行を終えた。明日からはしばらくお休みである。山篭りだそうだ。ふたりともどこか楽しそうである。ここは末永くおしあわせにとでも言えばいいのかな?



夏休みも8月に入る。あっという間に過ぎた。それなりに遊んだけれど物足りない。

今日は図書館。

はやてちゃんに会う為じゃない。むしろ出会うことがないように細心の注意をしている。メールでは八神家の騎士たちが少しピリピリしているが、何も言ってくれないそうだ。どうしたんだろう?

図書館は今日も涼みに来た人でそれなりに盛況である。机には勉強しに来た学生たち、児童書コーナーには希ちゃんくらいか下の子たちが集まっている。司書のおねーさんはなかなか美人だ。

私は歴史のコーナーにいる。大人ばかりで希ちゃんくらいの子は目立っていたが、周囲はそんなことを気にする様子もない。だがむしろ気が楽で助かる。

目的は竹取物語と夏休み課題の社会のレポートの題材を探すつもりだ。テーマは「世界の偉い人」である。

この世界は前の世界と比べると同じ名前で同じような偉業を達成する事件もあれば、全く知らない人物が出てくることもあった。わかりやすくいうならダーウィン、ジャンヌ・ダルク、坂本竜馬等の前の世界では超有名人な人物が教科書に載ってないのである。

また、特徴的な傾向として歴史に名を残す偉人は毛髪がない人物が多い。

アインシュタイン、オッペンハイマー、ノーベル、エジソン、ニュートンなど、科学者は特に頭皮が残念な「転生覚醒者」多い気がする。

イエス・キリストと釈迦を始め、ローマの皇帝たち、中世の王族、偉大な軍人や有能な政治家の中にはスキンヘッドが多い。この世界はスキンヘッド共が歴史を紡いできたといってもいい。

俺は認めない。カミのいない世界なんて… 

きっとこれも奴らのせいだ。他にも軍事面でも第二次大戦辺りから極端な進歩をしていて不自然である。第二次大戦中は旧帝国軍ではサムライマスターと主力二足歩行戦車「学天則」が活躍し、中国のカンフーマスターと革命軍量産型二足歩行戦車「木人」死闘を繰り広げた。最初の世界じゃまだまだ二足歩行なんてまだ試作段階だ。それが第二次大戦中には確立されているのだから驚きである。

また、前の世界を基準にすると人間のレベルがいろいろおかしい。人間も高町家が例に挙げられるように異常に戦闘力が高い。おじいちゃんの話もどうやら本当らしいし、劉さんの話では世界にはもっとすごいやつらがいるらしい。いやもちろん少数だろうけどね。ジュエルシード事件でも町にでっかい木が生えても死者はゼロだし、中国旅行で見たものも中国四千年はすごいなぁ~と思っていたがよくよく考えてみたら前の世界であんな真似ができる人間がいるはずがない。

この世界にはおかしな人がたくさんいますと歴史のレポートを締めくくる。



三時を過ぎてようやく竹取物語を読むことができた。

かぐや姫こと竹取り物語、教科書には採用されていないそうだ。なぜなら内容がファンタジー過ぎるということらしい。

平安の頃、かぐや姫は竹取りの翁より、竹林より見つけられ育てられた。美しく成長したかぐや姫は評判を呼び、多くの有力者の求婚されることになる。

かぐや姫は婚約の条件として、究極幻想第四巻に記された桃色の尻尾、竜探究第三巻に記されたはぐれ液体金属が持つ幸せの靴、浪漫戦記吟遊詩人の出てくる青の剣、魔物狩人二爺巻の出てくる老山龍の天鱗などを見つけてくるように集まった婚約者候補に条件を出した。



いや無理だろ…

結果は知っての通り惨敗。かぐや姫マジ鬼畜。そんなレアモノ集められるわけがない。




噂を聞いた天皇に見初められることになる。だが宮中に上がるのは断ったそうな。

かぐや姫はある告白をする。それは彼女は月の民で祖先は遠い昔日本より海を隔てた巨大な大陸に住んでいたが、地獄より鬼の軍勢が来てすさまじい妖力で大陸を消してしまったそうだ。鬼たちは定期的にやってきては町を滅ぼし、とうとう我慢できなくなったその国の人たちはこの地で隠れるように生きる者、鬼の国へ渡り戦う者、そして、かぐや姫の一族のように月に新天地を求める者に分かれた。

その後、鬼の軍勢は現れなくなり長い長い年月が過ぎたが、最近、月の民は彼らにしか分からない世界が消し飛ぶほどの大きな力の波動を感じ取り、鬼の軍勢の脅威が来ることに備えてかぐや姫を送り込んだそうな。

そのひとつとしてこの国にある対鬼の切り札である神の化身を守ることにあった。その化身は石像として房総半島のある山に安置され、代々そこの守人によって守られていた。しかし、守人の血が薄くなり、力を失い、今では地方の豪族によって管理されていた。

天皇にお願いして後ろ盾を得たかぐや姫は村人のなかから守人の血を引くものを石像に祈りを捧げる儀式を行うことで選び出し、数年にわたって儀式の方法や秘術を教え、のちの世まで伝えよと言い残したそうだ。

彼女自身は守人の一族の近くに居を構え、守人の補佐をした。生前は月見を何よりも好み、不思議な力で月にいる母と会話を交わしていたそうな。かぐや姫は何百年も若々しい姿のままだったという。彼女は老いることも死ぬこともなかったと言い伝えがある。そんな噂を聞きつけてかぐや姫を我が物にしようと考えるものたちもいたが、天皇の後ろ盾もあり手出しされることはなかった。

しかし、350年を過ぎた中央では天皇家が北と南に別れ争いが起こっていた。その結果、天皇の影響力がなくなり、かぐや姫はよからぬものたちによって狙われることになったが、不思議なちからで千の軍勢も一方的に追い払ったそうな。

しかし、それはますます注目される結果となり、百年は護り続けたが、とうとうケガレにあてられて黒い大蛇となり災いを起こすようになった。応仁の乱の頃である。

そして、血族である娘の五行封印により封印され、その娘の肉体の檻に閉じこめられ、その封印された者が死ぬときに運命を共にしたそうだ。

その物語の元になった巨人像と守人と一族、かぐやの一族はその後は世に隠れるように細々と生きて、時に権力に翻弄されながら、希ちゃんの祖母と祖父の代まで続いてきたそうだ。

これが五行封印関する記述だった。

黒い大蛇か。どうしてもこの間呼び出した奴が思い浮かぶな。肉体の檻はカナコの部屋にある鉄格子がよぎる。心の中でも文字通り檻なわけだ。長生きをしたかぐや姫にケガレとは何があったのだろう。応仁の乱が関係あるのかな。封印した人も自分のご先祖を封印しないといけなかったとはやりきれないよな。封印になった人が死ぬとそれで終わりなんだ。

なんとなく今まで見えなかった点が現れてきたような気がする。後は点と点を繋いでいけば全容がみえてくるだろう。



夏休み8月も半ばを過ぎた。自由研究の仕上げをそろそろしたい。

フェイトちゃんのビデオレター、だいぶ慣れて来たのか。アリサちゃんやすずかちゃんを含めたみんな用となのはちゃん用、そして、おねーさま用と別れて届くようになった。なのはちゃんとは順調に友情を育んでいるそうだ。

フェイトちゃんはいつもどおりのはにかむような笑顔で髪はウネってバチバチと帯電しているようにみえる。大丈夫かな? 今度劉さんに聞いてみよう。

「おねーさま、フェイトです。元気ですか? この間のビデオレターで久しぶりに会えてうれしかったです」

いや~ やろう思えばできるもんだね。夢の世界の映像を撮るなんて、心なしかバーチャプレシアも張り切っていたように見える。

「ユーノがアルフと一緒に散歩してたよ。アルフ、鎖に繋がれて喜んでた」

これはどう判断していいかわからんなぁ。

「昨日、クロノの部屋に行ったら、クロノは机に座って仕事してたみたいだけど、机の下に誰かいたみたい。かくれんぼかな? 」

……いやいや、考え過ぎでしょ。どうも俺は心が曇っているようだ。

「あっ、それからリンディ提督からだけど、暗示をかける魔法はあまり使わないようにだって、ここからリンディ提督に変わるね」

バレてる。ユーノ君の件で気づかれたかな? 動画が切り替わりリンディ提督が写った。いつになく厳しい顔をしている。もしかしてお説教タイムでしょうか?

「こんにちわ。希さん、元気ですか? 今日はお願いことがあります」

一度ここで目を閉じて深呼吸する。よほど重大なことらしい。再び目を開けて口を開く。

「あなたの使う暗示魔法をこれから人前で使わないで欲しいことと、それを誰にも言ってはいけません。それは今から説明します」

思ったより深刻な話だった。リンディ提督の話では管理局の法ではカナコの暗示魔法は精神操作系の違法ギリギリのラインらしい。その気になって改良すればどんな行動を強要できる洗脳レベルで、しかもカナコは離れた相手に使用できる点で相当危険と判断できるらしい。そうなるとリミッターかけなればならなくなる可能性が出てくる。もちろんカナコを含めた俺たちは管理外世界なので、管理局の法が適用されることはないが、状況によっては管理局も動かざる得ない。もちろん俺たちは悪用するつもりがないが、テロや犯罪を生業にするものにとってはカナコのスキルは魅力的にみえるからだ。リンディさんの態度は真摯で純粋にこちらを心配してくれている。

(どうする? カナコ、あれだけ言ってくれるのってことは相当やばいんじゃないのか? )

(私は嫌よ。どうしても使うときが来るかもしれないわ。できない約束はしたくない)

(話の要点は希ちゃんが狙われるってことだろ? )

(むぅ… )

最初は渋ってたカナコだったが、希ちゃんの身の危険まで含めて考えて不用意に使わないという妥協点でようやく了承してくれた。お返しビデオレターにはその旨を伝えておこう。



夏休みはあっという間に過ぎる。夏休み締めくくりとして四人で集まり、自由研究の仕上げのために学校の図書館に集まった。

私はプラトン著書のティマイオスとクリティアスの原書を一次資料に人類と超古代文明を正面からストレートに捕らえたその名も「アトランティスストライク」で行こうと決めていた。

「小学生の書く内容じゃないよね」

とすずかちゃんは呆れ気味に言っていたが、すずかちゃんの研究テーマは「自衛隊主力二足戦車アシモと中国次世代主力戦車先行者の構造と戦術運用」だから人のことは言えないと思う。しかも機密文書とか持ち出し厳禁とか赤い印鑑でかでかとヤバげな表紙の資料が山積みになっていた。もしこのまま課題が公表されたら自衛隊員の首が飛び、中国ではリアルに首が飛ぶんじゃなかろうかと思ってしまう。

対抗意識を燃やしたのはアリサちゃんで私たちに負けるもんかと、時間をかけて資料を漁っていた。両親の会社から資料を集めたらしい。テーマは「日銀砲とアメリカファンドの攻防」で、当時総裁と頭取に手紙を書いたらしい。返事返ってくるのか?

なのはちゃんはさほど最初は力は入れていなかったようだったけれど、私たちの熱気に感化されてやる気をだしたみたいだ。解けたら一億もらえるという5つの数学課題にレイジングハートと取り組んでいたけど、残りあとひとつって言ってたけど、まさか解けてたりしないよな。

それぞれの課題を仕上げに取り組み、ここ何日かは学校に通い、帰りに家に集まり最後の思い出にお泊まり会をしていた。

初日はなのはちゃんの家で翠屋の味を堪能し恭也さんと美由希さんの朝練にも参加した。昨日はアリサの家でゲーム大会だったので少し眠い。そして今日はすずか邸の予定だった。

十時過ぎ、アリサちゃんとなのはちゃんは買い出し組。私とすずかちゃんは黙々と課題に取り組んでいた。今はふたりで他には誰もいない。司書の先生の姿もない。

(あら? )

(どうしたカナコ? )

(いえ、なのはの魔力が急に消えたわ、なんか高速で動いたみたい。気のせいかしら)

(アリサちゃんも一緒だし、もう少し待てばわかるだろ)

気がつくと手を止めたすずかちゃんがこちらを見てた。

「希ちゃん」

「どうしたの? すずかちゃん」

「今日は一緒に寝ようか? 」

そんな下心満載な顔で言われてもねえ、私の答えは決まっていた。

「お断りします」

「先っちょだけでいいから、ね」

ちょ! エロいネタ禁止。

「すずかちゃん、前々から思ってたけど、隠す気ないの? 」

「え? 何を隠すの?」

すずかちゃんはなんのことかわらないという顔をしている。まさか、気づいていないのか?

「すずかちゃんが人間の血を嗜好するちょっと特殊な性癖の持ち主ってことだよ」

大人の優しさを幾重にも巻いて指摘する、すずかちゃんはあ~というような表情で答えを返す。

「別に隠してないよ。アリサちゃんとなのはちゃんはもう知ってるし」

あれっ!? 自分が人とは違うとか化け物だとか忌まわしい衝動に悩む深窓のおぜうさまって設定じゃなかったっけ? 

「そうなんだ」

私はまだ理解が追いついていないので、なんとなく返事ををする。すずかちゃんの話は続く。

「もちろん。教えるのは親しい人だけだよ。あんまり声を大きくして言うことじゃないし。もらう人からは麻雀で血を賭けるのがウチのしきたりだから」

麻雀? もしかして月村の家はあの昭和の怪物と親戚関係だったりするのかな?

「いじめられたりしないの? 」

今度も言葉を選んで質問する。

「よくわからないけど、情報の管理と権力とかそういうので大丈夫みたいだよ。お金の力で得られるちからは大事だって、それにこの町はあのさざなみ寮とかなのはちゃんの家みたいな人外魔境の巣窟だから、私の家なんて可愛いものだよ」

すずかちゃんはため息をつく。確かに自分は他人とは違うなんて、ここの町の一部の人外の住人たちからすれば、大した問題じゃないのかもしれない。

「確かにあそこの住人は特殊だよね」

「希ちゃん知ってるんだ。私もね、たまに友達に会いに行くんだよ。そこでちゃんと人を見る目を養えば、受け入れてくれる人は見分けられるってその友達が言ってたんだ」

思ったよりオープンなったのね。友達って誰だろ? 考えてみれば、わざわざ力のある名家に喧嘩を売るやつはあまりいないのかもしれない。俺が勝手に勘違いしてただけのようだ。確かに夜の一族よりよほど危険なのがこの町には揃ってるからな。

「じゃあ、私は? 」

「もちろん合格」

即答で言われて若干照れる。そのくらいは信頼されていたということだろう。

「希ちゃん、今夜は楽しみにしててね」

えっ!?

「どんなことするの? 」

イヤな予感はするが先を聞かずにはいられない。なんとなくだが、すずかの目が鋭く光った気がしたのだ。

「レストラン山猫軒へ招待するよ」

なんのことだ。出張レストランでもしてくれるのだろう
か?

首をかしげる私にすずかちゃんは妖艶な表情で微笑む。何か、何かヒントがあるはずなんだけどなぁ。

そんなときドアが乱暴に開かれる。入ってきたのはアリサちゃん表情はこれまでにないくらい深刻なものだった。

「大変よ。なのはが、なのはが、ゲホッゲホッ」

「どうしたの? アリサちゃん」

慌てすぎてむせるアリサちゃんの背中をすずかちゃんは冷静に背中を撫でながらたずねる。



「なのはが光る物体に連れていかれちゃったのよっ!! 」









「えええええええ~~~~」

珍しくすずかちゃんとシンクロする。

これが人類の未来をかけた俺たちの戦いの始まりだった。




ーーーーーーーーーーーーー



大西洋近海。航海は順調。

我々ネオアトランティスは失われたアトランティス文明の痕跡を辿るべく調査の旅に出ている。

人生最大の目的を達成するための念願の旅だった。

私は違う人間の記憶を持っていた。それを自覚したのは5歳の頃、生まれたのは日本という東洋の島国という認識しかない。

前世の名前はガーゴイル。アトランティス人の超科学を持って世界征服を目指す秘密組織ネオアトランティスの首領だった男である。最期はみじめなものだった。

自覚してから世界征服を目指そうと思ったこともあったが、その頃の私は何の後ろ盾もない庶民の生まれだったうえに、時は戦争の時代、知識は何の役にも立たず、生き抜くことを考えるだけで精一杯であった。戦争が終わる頃には成人して妻も子もいたため、前世の男のことなど記憶の隅に追いやっていた。

時代は徐々に落ち着き、大学で考古学を専攻し講師となり、生活も安定した頃、私は長年の前世の男は本当に存在するだろうかが気になり始めた。すでに世界征服の意志などないし、不可能なこともわかっている。妻や子との生活は非情だった私の心を癒し変えてしまった。

ただ確かめたかったのだ。

さっそく当時の新聞や資料を調べてみたが、ネオアトランティス団の痕跡は全く見つからなかった。我々が使用していた超科学も同様である。結論はこの世界は前世の私がいた世界ではないということだった。

しかし、アトランティス王国は実在したようでプラトンの著書ティマイオスとクリティアスに記述されている。だがこれは口伝でやや信憑性に欠けるところがあった。

その口伝の元を辿るとエジプトの神官から聞かされたものであり、その神官は12枚の「エメラルド・タブレット」の1枚の写本を元に話をしたらしい。

12枚のエメラルド・タブレットはアトランティスの智慧の記録でありエジプトのトートが書いたと言われている。
劣化しないエメラルド板に記載され、謎を解くことができたものは世界を制するちからを与えられるそうだ。オカルトめいた眉唾な話ではあったが、アメリカとソビエトの首脳陣は信じていたような節がある。巨額の資金を投じて研究が行われた。両国とも月面計画の中止を発表したばかりであった。

両国はお互い競い翻訳作業が行われ、私は研究に参加した日本人博士のつてで読ませてもらうことができた。

タブレットの中身を翻訳したものを読んでみると主にアトランティス王国とその周辺国の歴史について記載されていてた。魔法使いや機械人形、巨大獣などにわかには信じられないことが書かれていた。また王の選定や臣下の名称、国を離れて三つ目の仮面をつけていたネオアトランティスを思わせることも書かれていた。博士によると12枚ではなく所在不明の13枚目にすべての門を開くキィワードが記載されている可能性があるそうだ。

何も知らないはずの浅野君がキィワードの断片を発表したときにはちょっとした騒ぎになった。ただの偶然か。それともどこかで読んだのかはっきりしたことはわからない。

浅野陽一君、私と同じ前世の記憶を持つもので、初めて会ったときは私のことも知っていたから驚いたものだ。幼い少年がたくさんの大人たちの前でも堂々と演説を行うさまは神秘性とカリスマ性を与え、本物だと信じてしまえる何かがあった。

実際彼は常人では決して書けないスピードで本を書き、それで得た利益が私たちの資金となっているのだから不思議な縁である。



博士の見解では少なくとも超古代文明は3つ大陸と国が確認できるという。一つは大西洋アトランティス大陸で「エメラルド・タブレット」にその痕跡を残している。

次は太平洋ムー大陸についてはヒンドゥー教門外不出の「ナーカル碑文」に記載されているらしい。しかし、信徒たちのガードは堅く現在までその内容は確認されていない。実は日本ともゆかりが深く。日本人には王族の血が流れる一族がいるという伝承が残されている。有名なのが国宝の指定のムーの巨人像で千年前に作られた日本最大の石像である。神道とも仏教ともほど遠い造形は歴史家の注目を集めている。

最期はインド洋レムリア大陸で所在不明の世界最古の写本ジャーンの書を訳した「シークレット・ドクトリン」にその記述があると聞いているが、訳の段階で怪しい部分があり資料的価値に疑問が残ると言われている。

すべてのエメラルド・タブレット、ナーカル碑文、ジャーンの書を揃えることができれば、超古代文明の研究は多く前進すると博士は言われていた。

しかし、3つの大陸があったのされる場所には何も存在していない。海があるばかりで、忽然と姿を消している。火山の噴火の原因で海底に沈んだ。あるいは、局地的な次元の歪みにより消失したというような突飛な仮説まで存在している。次元を歪めるなど今の科学では検証しようもないが、根拠がないわけではない。その海には他の海域にはない特徴を備えている。

まず天候不順で磁場の乱れが激しく理由を解明することができないこと、次に海洋生物の生態が酷似していることなどが上げられる。具体的には大型で凶暴なものが多い傾向にあり、3つその海域にだけみられる特徴だという。そのせいか昔は海難事故が多く、魔の棲む海と呼ばれ誰も近づくとはなかった。近代ではさすがに事故は減少しているが、迷信深い船乗りは今でも決して近づこうとしないと聞いている。我々がこれから向かう場所も魔の海の境界に近いところになる。

そろそろ目的地近くに着く。これから数ヶ月をかけてこの海域を調査して遺跡の位置を特定する作業に入る。あるいは空振りに終わる可能性もあるが、私だけではない多くの期待を背負っている。

「首領、大変ですっ! 」

部下の一人が飛び込んできた。

「何があった? 」

「とにかく外へ」

そう言われて、外に出る。どこまでも海が広がり、太陽がまぶしく輝いている。特に何か気にするようなものはないようだが…

私はある違和感に気づく海ではない。空だ。遠くて小粒しかみえないが、多数の光る物体と宙に浮いている船のような残骸が目に入る。

光る物体が残骸を持ち上げているようだが、光る物体と残骸は空を上昇していく。すると今度は空が暗くなった。

「む!? 今度はなんだ」

今度は巨大な雲が現れた。遠くて正確な大きさはわからないが、光る物体が皿の上の豆のようにみえるから、超巨大であるのは間違いない。雲の隙間から金属のような光沢が見える。船の残骸を光のようなもので吸い上げ、景色が揺らいだかと思うと忽然と姿を消した。

我々の常識を超えた白昼夢のような出来事に誰もが言葉を失う。

私はひとり頭を巡らせていた。前々から存在を疑ってはいたが、どうやらこの世界にも人類を超越する文明が存在するのは間違いないようだ。前の私の世界ではそれがネオアトランティスであっただけの話だろう。そうなると「転生覚醒者」も彼らの仕業だろうか?

懐からケースを取り出し、浅野君の言うところの「あおいみず」を取り出す。今までなんの反応を示すことはなかったが、ごく微弱ながら光を放ち点滅を繰り返している。電子音のような音も聞こえるが、やがてその光と音は収まった。

ここでも浅野君か… おみやげと言って渡されたときはひどく驚きどこで手に入れたか詰問して、買った場所に部下を派遣したものの何もわからなないままだ。

「いったい何だったのでしょうか? 」

部下のひとりが唖然とつぶやいた。常識で考えて、頭が混乱しているのだろう。私には今回の出来事はわからないが、一つだけ閃いたことがあった。

「恐らくあそこに海底深く沈んだアトランティスの痕跡がある。何者かが船を引き上げたようだったが、何か残っていればいいがな 」

私は自分の目的を果たすだろう。これは世紀の発見になる。そんな予感があった。しかし、跡形もなくなった巨大な船は幻だったのだろうか?

言いようのない不安だけが残った。

「……浅野君、君は何を知っていたんだ? 」

今亡き友人にそう問いかけ部屋に戻った。これから忙しくなる。



ーーーーーーーーーーーー



次元震測定。第一種警戒態勢。直チニ現地ヘ偵察機ヲ派遣セヨ。



小規模次元転送確認。AAA級魔導師ニヨル儀式魔法ト認定。



次元跳躍反応確認。戦艦級一隻確認。第四種警戒態勢。

現地座標確認。人類固有名ニホン国○○県ウミナリ

現地調査主任コードネーム「ジョーンズ」ニ指令。調査員ヲ派遣セヨ。



目標滞在時間100時間突破。現地偵察行為ノ可能性大。本国斥候部隊ノ可能性30パーセント



AAAクラス魔導師2体ニヨル戦闘演習確認。次元魔法発動ヲ確認。目的不明。本国候斥部隊ノ可能性50パーセント

警戒率50パーセント突破。人類種科学技術向上ニヨル本国ノ侵略行為又ハ示威行為ト断定。戦闘準備態勢ヘ移行。

アトランティス王国発令 人類洗脳計画開始。

ムー帝国発令 巨人・発掘兵器探査計画開始。

レムリア都市連合発令 キメラ計画開始。



作戦指令部。休止施設ノ復旧作業二入ル。メインシステム休眠モード解除。再起動準備開始。

人類洗脳計画。第一フェイズ。月基地発電施設復旧率50パーセント。

巨人探査計画。第一フェイズ。調査地域70パーセント終了。ムートロン反応ナシ。調査ヲ継続スル。

キメラ計画。キメラ体候補選定。




各計画ノ進行状況ヲ報告セヨ

作戦指令。月基地復旧100パーセント。「システムカグヤ」起動

発電施設稼働開始。地球衛星型リフレクター再起動開始。人類洗脳計画第二フェイズへ移行。「アトランティス王ノ器」候補探査開始。

地球全域調査完了。ムートロン反応ナシ。巨人ハ大破・消失ノ可能性アリ。ムー帝国レコード検索。巨人最終反応地点再調査開始。座標地点確認人類固有地名ニホン国ボウソウハントウ。残存兵器収集開始。

キメラ体候補選定終了。計108体。第二フェイズヘ移行。捕獲作戦開始。月基地移送準備。魔力増強薬注入用意。現地呼称名ヨリ設定。

コードナンバー00「ヒガシハラ」
別称デスブログ 
種族   人類種? 
魔力値  測定不能
魔力属性 測定不能 解析不能 

最優先目標ニ設定

コードナンバー01「ナインテール」
別称タタリキヅネ 
種族   キツネ
魔力値  S
魔力属性 雷 

最優秀個体

コードナンバー02「ヤマタノオロチ」
別称ミズチ 
種族   蛇
魔力値  AAA
魔力属性 水 

人類種ニヨル人造竜

コードナンバー03「ギュスターブ」

……



「アトランティス王ノ器」候補発見。魔力判定AAA 魔力反応合致率80パーセント。目標ヲ第一候補ト認定。捕獲セヨ。人格消去手術・月基地代表人格移植準備開始。

所属不明ノ魔導師5名ト魔導書確認、捕獲準備開始。第52師団、対魔導師部隊、急襲セヨ。

ボウソウハントウ調査終了。ムートロン反応アリ。巨人発見。発掘兵器収集完了。大規模転送魔法ニテ月基地へ移送開始。

キメラ計画。コードナンバー00「ヒガシハラ」コードナンバー666「ベネディクト」捕獲失敗…

捕獲大隊全滅。詳細不明。捕獲成功率算定開始。一個師団派遣ニヨル成功率0パーセント。捕獲中止ガ最善認定。捕獲キメラ素体、月基地へ移送。




「王ノ器」捕獲成功。デバイス解析。AI搭載型デバイスト認定。ハッキング開始「王ノ杖」プログラムインストール開始。人格消去手術・人格移植開始マデ24時間。

巨人呼称名「ライーディーン」修復終了。再起動開始。起動不能。スキャン開始。魔力DNAロック確認。ムー王国ラ・ムー血族捜査開始。

キメラ体魔力増強剤注入終了。任意・寄生体死亡後発動。生息地域返還。作戦開始マデ待機。キメラ計画最終フェイズ終了。



作者コメント

すべてはアトランティスの仕業だったんだよっ!!

後編に続きます。手直しとコメント返しは後日します。


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