外伝2 本編の真の0話になります
夢を見ている。六畳程のくらいの部屋にふたつの影が座っている。
ひとりは女の子の影だ。背格好からまだ幼い。もうひとつは自分であることはわかる。女の子の影に何かせがまれているようだ。
「ねえ、おにいちゃん何かおはなしして」
「そうだなぁ。ここにある絵本は読んでじゃったし…」
「魔法を使う女の子の絵本は? 」
「あれは続きがまだなんだよ。近いうちにできるからね。次回はえーすの闇の書 覚醒だったかな? 」
「う~ん」
「そうだ。実は…僕には秘密があるんだ。このことは誰にも言ったらだめだよ。」
俺は少しもったいつけて話す。こういうことは前置きが大事なのだ。
「はいっ。誰にも言いません」
女の子は神妙な顔でうなづく。うん、いい感じだ。
「実は僕には生まれる前の記憶があるんだ」
「すご~い。私でもそんな前のこと覚えてないよ」
女の子は感嘆したようだ。子供らしい勘違いで微笑ましい。
「ちょっとちがうんだけどね。絵本の女の子なのは様と最初に出会う物語でね。僕はいや、俺はアトランティスの最終戦士ジークフリードなんだ」
語り始める。
なのは王と共に戦い、未練を残して死ぬアトランティス最終戦士ジークフリードの物語だ。まさに漢の生きざまを体現した話である。だが、女の子にはいまいちだったようで
「死んじゃってかわいそう」
女の子は泣きそうだ。あわててフォローする。
「でもね、ジークは幸せだったんだ。最後の未練はあったけど、王に出会うまではダメな人間で大人になっても働かないで家族からお金をもらっていたんだから。じゃあ、そのときの話もして上げよう」
「は~い」
ーーーーーーーーーーー
ここはある邸宅、アトランティス王国でも名家と言われているも一族の住まいだ。この家の主は代々国の要職に収まっている。テラスに20代前半の男と40代後半の女が話をしている。二人は親子のようだ。
「母上。お金を融通してもらえないか? 」
「いくらほしいの? 」
「金貨10枚ほど」
「何に使うのかしら? 」
「新しい音姫の造形が出たのです。インスピレーションを刺激されまして、芸術家・作家志望としては是非手元に置いておきたいのです」
「まあ、いいわ」
「ありがとう、感謝する母上」
「ねえ、ジークフリードいい加減仕事する気はないの? 」
「えっ? そうですね」
男の煮えきらない態度に、母親はスイッチが入ったようだ。
「あなたねぇ、確かにあなたが魔力は多く生まれてきたのはいいけど、魔法行使が上手くできなくて、家を継げなくなったのは残念よ。
でも、あなたの代わりにイツキが跡を立派に継いでくれたわ。王国の内政官に任命されたんですって、だから、あなたもせめて、イツキが恥をかかないように何か仕事をしなさい」
(また、始まったな母上は、いつも優秀な弟と比較されて、何も思わないわけがないではないか。だからこうして、芸術や執筆にいそしんでいるというのに)
母の説教はまだまだ続く。
「そうだ。あなた魔力だけは多いんだからそれを生かして、ちょうどね、王国の西のウミナリというところでね「母上」」
男は母の言葉を遮り言った。
「俺は肉体労働的なことは向いてません。むしろ、感性を生かして芸術・文学的なこと方が合っていると思うのです。今はお金を融通していただいてますが、必ず大成すると確信してます」
「そうなの? 」
「はい、今少しずつですが結果が出てます。プロではありませんが、とあるアマチュアの大人向け芸術グループで台本を担当してました。身を立てるまでいきませんが報酬もありました。次回作も担当することになってます。他にもいくつか声をかけていただいてます」
「そう、ならいいわ。ただし、結果が出ないようなら、ウミナリに行ってもらいます」
「わかりました、必ずや朗報を持ってまいります」
半年後男は勘当されウミナリに行くことになる。元々芸術や文芸の才能などなかったのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここで話はいったん終わる。俺は女の子に聞く
「どうだった?ありもしない希望にすがる哀れな男の姿がよく現れているとおもうんだけど 」
「よくわかんなかった」
「じゃあ、あれから結局ウミナリに行くことになったジークがなのは様と出会うお話。それとも、自慢の弟が殺された母親が敵国のスパイにそそのかされてジークを刺して自分も自殺する愛憎渦巻く話とどっちがいいかな? 」
「おにいちゃんの話は難しいよ~ 違うお話がいい」
女の子には不評のようだ。気を取り直して違う話にすることにした。
「じゃあ新作行こうか、今日は加藤の話をしよう」
「やった~あか~だるま~ 」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ここで目が覚める。ずいぶん懐かしい夢を見たもんだ。夢の女の子は誰だろう? 影だったからはっきりとはわからない。
それにしてもネタのチョイスが微妙だな。子供向けじゃない気がする。
昨日は遅くまで新作作ってたから、まだまだ眠い。しかし、そろそろ昼だ、起きないと、ダメ人間まっしぐらだ。 ……もう手遅れかもしれないけどな。
俺はふと今までの奇妙な人生を振り返る。
転生という言葉がある。いい言葉だ。
前世の知識が詰まってる。
俺は転生者。
しかも何度も繰り返している。最初の前世はアトランティス王国の最終戦士ジークフリードで王の側近だった。王国の命運を賭けた戦いで敵国の王の後継者を討ち取りながら、戦死するという凄絶な最後を迎えている。さらに他の前世では「柳生の最終兵器」と呼ばれたり、「ドイツの撃墜王」あるいは「赤達磨」と歴戦をくぐっている。
ウィキペギアで見てそう確信している。
……すいません嘘です調子こきました。
実際の前世はごく一般の日本家庭で、好きなことの物覚えは良かったものの、子供の頃は弟と比較され劣等感の塊の人生だった。最後なんか思い出したくもない。包丁と灯油は今でもトラウマだ。母親が包丁持ってると不安になる。
今回は強くてニューゲームで前世の鬱憤を晴らそうと子供の頃から優越感に浸りまくって、前より性格も明るく快活になった。ええ、自信だけはつきましたよ。
ただ、いいことだけではなかった。年の割に可愛げのない、察しの良すぎる子供は浮いてしまう。特に母親は少々神経質なところがあり、表では神童と自慢していたが、陰では気味悪がっていた。もっと子供らしくするべきだと思ったときには遅かった。でも、大人になれば大丈夫だろうとそのときは気楽に考えていた。
中学でも我が世の春を謳歌した。調子に乗って生徒会入ったり演劇部入ったりリア充に邁進していた。だが、女性とつきあったこともなかったから高校の初めての彼女で失敗。そのショックで成績下がって母からガミガミ、やる気なくしてガミガミのデススパイラルだった。
それから、大学は中退したせいでえらい目にあった。包丁怖い包丁怖いである。その後は引きこもったというかそうしても大丈夫な仕事をしている。こんなでも一応自立している。
そろそろ起きるか。俺はのっそり身体を起こして、洗面所に立つ。鏡を見る。頭部を見てため息をつく。
あきらめないぞ俺は。特殊な薬剤を頭皮にペタペタとつける。
すると誰かが後ろから近づいてくるようだ。
「俺の後ろに立つんじゃねぇ、死にたいのか? 」
「はいはい、ごめんなさい」
よく知っている顔だ。久しぶりに見る。
髪は肩に触れるくらいの長さで最近の若者らしく茶色く染めている。服装は白いブラウスと新しい紺色のスーツの組み合わせで清潔感がありオフィスレディな雰囲気だ。顔は身内からみても可愛い部類に入ると思うが、気が強いのが珠にキズだ。まあそこがいいという男もいるだろう。
「おはよう。イツキ君」
「おはよう、じゃない兄貴もう昼過ぎだよ。いい加減働きなよ」
「それが久しぶりに会った兄に対する最初にかける言葉か? 昔は可愛かったのに、絵本とか読んでやったろ」
「昔は昔、今は今よ。感謝してるけど。何年も平日の昼間に部屋に籠もっているんだから、そう言いたくもなります」
「ところで何でいるんだ? 大学はどうした? 」
「帰ってきたの。教育実習。地元の小学校へ行くの。お母さんから聞いてない? 」
「あいつがそんなこと俺に教えるもんか。そういや親父から聞いた。イツキ君帰ってくるって」
「兄貴ぃ、イツキ君はやめて! 私は妹」
妹は嫌な顔をする。最近はこの呼び方を許してくれない。俺はささいな反撃を試みる。
「いいじゃないか。どうせおまえとは前世から兄弟のつきあいなんだ。弟じゃなくて、妹が生まれて名前が呼び方が一緒で「斎」になったときは運命を感じたもんさ」
はぁーーーと斎はため息をついた。逆効果だったようだ。
「いい加減にして、その前世とか電波発言」
「なにおーーー だいたいな前世じゃ子供の頃から優秀なおまえと比較されて肩身が狭い思いをしたんだ。しかも、おまえが殺されたせいで前世の母さん心を病んで、俺を包丁で刺したあげく灯油まいて心中しようとしたんだぞ」
「それ、笑えないから」
斎は急に真顔になる。ちょっと選択をミスった。リアリティがありすぎた。俺は話題の軌道修正をしてみる。
「でも、斎君はアトランティス王国の内政官まで勤めたのに、ムー帝国の野望に気づいたせいで暗殺者にナイフで刺されて死んでしまうんだよな」
「なによ。その具体的で不吉な設定。脳沸いてんじゃないの? 」
「失礼なこというな。おまえだって昔は俺を受け入れてくれて弟役につきあってくれたじゃないか?
それに、一緒に葉書を書いて募集かけたろ転生戦士? 」
斎は俺の口元に手のひらを当てて、これ以上しゃべらないようにする。
「それはやめて。子供の頃でしょ。純真だったの無垢だったの。今は封印したの! 」
斉は早口でまくし立てる。
「人集めて楽しかったよな? 」
「怖かったわよお。だいたい、なんであんなに人が集まるのよ? しかも、大人ばっかりで大きな目の仮面つけた変な人もいたし」
「ガーゴイルさんを悪く言うな。あの人ほんとは偉いんだぞ。それに、おまえだって、幼いながらも楽しんだから、お互い様だろぉ~」
俺はわざと甘えるように言う。
「いやらしい言い方しないで。兄貴の変態。そういえば、お母さんから聞いたんだけど、自分の部屋に小さい女の子を連れ込んでるって、ホントなの? 」
「人を犯罪者みたいに、まったくあの母親はあることないことをベラベラと」
「私は兄貴を信じてるけど、世間的には、ほらっ、親御さんだって心配してるだろうし」
斎の言い方にしては珍しくオブラートに包んで言っている。自分が子供の頃みたいに絵本とかお話をしてくれていると信じているんだろう。
「やましいことはないよ。6歳くらいの女の子だぞ。それに親公認だしな。おまえだって、その子に会っているぞ」
「えっ、そうなの? 覚えてないよ」
誤解したままの斎にちゃんと説明することにした。
「俺の部屋の窓、隣の家の窓に近いだろ? 小林さんって覚えてないか? 普段はカーテンしてんだけど、隣から大人の言い争う声と子供の泣き声がして、あんまり、うるさかったもんだから」
「だから…」
「子供の前で、夫婦喧嘩してんじゃね~教育に悪いだろうがこのヤローって大声で言った」
俺はドヤ顔で言った。
「ははは…… はぁ~」
斎はなぜか乾いた笑いとため息をついた。
「あの後、向こうも反省したらしくてな。しばらく夫婦喧嘩は止んだんだ。それ以来そこの家の女の子が窓から遊びにくるようになってな。なんか俺を尊敬したみたいで。まあ親も俺の部屋カーテン開けとけば隣の家からよく見えるからな。心配ないと思ったんだろ。意外と気さくで娘思いで優しかったぞあそこの奥さん。それから、絵本読んだりお話したりしたんだよ。ちょっと変わった子でさ、飽きっぽくってな同じ話は嫌がるんだよ。そのおかげでいろんな話をすることになってな。おれの演技力はますます磨かれていったのさ」
「何の役にも立たないけどね。でもさ、本当に上手いから劇団員くらいにはなれるんじゃない? 」
「いまさらだよイツキ君。たださ、ある時クマの人形使ってやったね○○ちゃんって言ったら、小林さんの奥さん血相変えて飛び込んで来て、俺を投げ飛ばしたんだけど、あれは何だっだんろう? いや~世界が一回転するなんて初めてだったよ」
「それは兄貴が悪いよ、いくら仲の良いお隣さんでも…」
斎は真面目な顔で答える。
「なんで? 」
「その言葉はね。ちいさい女の子にとっては呪いなの。言ってはいけないことばなの。こっくりさんとか花子さんとかそう言うたぐいなの。ダメだからね。…後悔するから」
「…わかった」
斎の深刻な表情に俺も頷いてしまう。どうやら世界には俺の知らないタブーが存在するようだ。
「話は元に戻るけど、その後も2年くらいつきあいは続いたんだけど、最近引っ越ししてな。結局あの夫婦離婚したらしい。駆け落ち同然に結婚したって聞いてのに、現実を思い知っていやな話だよなぁ~」
「そうなんだ。私もちょっとイヤだな離婚なんて、ウチは仲いいもんね。おとうさんとおかあさん」
斎はそう言って同意を求めてきた。
「そうだよな~ あんな神経質なかーちゃんにずぼらものぐさを絵に描いたような親父が結婚したなんて信じられないよな」
「ひどいこと言うね。ふたりが聞いたら怒るよ」
「これくらいの憎まれ口は聞いてもいいだろ。なんせ子供ときから苦労させられたぜ。カーチャンはいつもピリピリしてたし、親父はそんなカーチャンに無関心だしよ」
「ねぇ?おにいちゃん、今の話で思い出したんだけど」
斎は急に優しげな声に変わる。視線もなんだか柔らかい感じがする。
「何だよ、急に昔の呼び方なんかして」
斎はいつのころか意識して兄貴という言葉を使っている。だから、急に呼ばれると戸惑ってしまう。
「私さ、おにいちゃんを尊敬してたんだよ。子供の頃よく一緒に遊んでくれたよね。おにいちゃんは今考えてもちょっと信じられない大人でさ、頭も良くて、絵本とか作ってくれたりさ、お話とか、子供のときにはわからないものも多かったけど、アトランティスの戦士とか話し方も演技も上手くて本当にあったことみたいだった。ときどき信じられないことして怖かったけど、それも含めて私はおにいちゃんと遊ぶのが世界で一番楽しかった」
斎は穏やかな顔で俺との思い出を語る。なんかしんみりとした空気だ。俺は何かくすぐったくなってきた。
「なあ、あの絵本完成してるぞ。読んでやろうか? 」
斎は首を振る。
「魔法使いの女の子だっけ? いいよ、読むのは今じゃない気がするんだ。」
「それから、昔送った葉書が乗った雑誌が「それはやめて」」
途中で遮られる。せっかく掲載されたのに、冷たい奴だ。斎はどこか遠くを見つめながら続ける。
「おにいちゃんが高校上がって彼女ができたとき、私悲しかった大事なもの取られたみたいでさ、だから呼び方を兄貴にして関係を変えようと思って、でも結局、その彼女にふられて…って、兄貴どうしたの? 」
「その話はやめろー心が、心が痛い」
心臓を押さえて悶える俺。斎はやれやれと言った顔で
「兄貴は女に幻想持ちすぎ、女は現実的でシビアなの、お隣さんの話はさすがに気分悪いけど」
「お、おまえはどうなんだよ。彼氏とか…おにいちゃんは許しませんよ」
「私は別にいないけど、作らないだけだもの。大学とか忙しいし」
「うんうん」
俺は満足そうにうなずく。今でも妹としての自覚があって可愛いもんだ。そんな俺に斎は不満そうな顔で反論する。
「なんでうれしそうなのよ。本当なんだから」
「やはり妹は兄貴が心配で彼氏を作れないんだな。でもあんまり遅いとおにいちゃんは心配だぞ」
「もうっ! 勝手言ってなさいよ。それから、ちゃんと働きなさいよ」
「心配すんな。これでも、売れっ子なんだ。家にお金だって入れてる」
「何の仕事なんだか。それじゃ兄貴行ってきます」
そう言って斎は去っていく。俺はその背中を目で追いながら、そっとつぶやく
「頑張れ斎! 良い先生になれよ。おまえの夢だったもんな」
ーーーーーーーーーーーーーーー
数年後
そしておれは再び死のうとしていた。
出かけてた先でトラックが突っ込んできて、子供たちを助けて自分はひかれてしまったのだ。
(ああ、なんてこったお約束にもほどがある。このままじゃ神様か死神に異世界に召還されてしまう。まさかね、でも二度あることはとか言うし、それにしても痛い。めっさ痛い)
二度目の死だが、今回は痛くても余裕がある。前回はそれどころじゃなかった、熱いし痛いし、俺は残される家族のことを思った。
前世の知識のおかげで今回は親に経済的な負担を与えなかったのはよかった。しかし、あの母親とは最後までわかりあえなかったな。絶対俺が死んでせいせいしているはずだ。ちょっと悔しい、どうも俺は母親とは相性が悪いらしい。まあいいか、今回は期待に応えられなかった俺も悪いしな、こっちのことは許してやろうじゃないか。
斎にはごめんとしか言えないな。今ここにいたら怒られそうだ。逆に泣くかもしれないけど、泣かせるのは忍びないな、だからやっぱごめん。それから、おにいちゃんの仕事知ったらきっと驚くな。
親父? なんかあったけ? うそうそ冗談だよ。一番の理解者だよ親父はさ。ただの放任かもしれないけど、何も言わずにいてくれてありがとう。俺の金大事に使ってくれよ。
家族にそれぞれ別れを告げると、最後に今生を振り返る。不満はそれなりにあるけど、前世で満たされなったことを多く満たしたのだから良しとしよう。
ただ、誰かと結ばれてその先に行きたかったのは贅沢だろうか?
俺が最後の最後で考えたのは
(俺のカッコいい死に方がニュースで報道されるといいなぁ。それから、俺の魂のHDDどうしよ? あの日記とか見られたら死ぬ。あっ、これから死ぬんだっけ、まあパスワードかけたから大丈夫か俺以外にはわからないだろうし)
というくだらないことだった。
ここで意識は途絶える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
とある部屋の一室
私は倦怠感のまま、ベットに横になっています。テレビはついたままです、うるさくてうっとうしいのですが、疲れて消す気にもならなりません。
「ニュースの時間です。今日午後4時頃、帰宅中の小学生の一団にトラックが突っ込みました。」
どこにでも不幸転がっているものです、気が重くなります。
「幸い小学生は軽傷ですみましたが…」
(よかった。)
「近くにいた○○市○○の無職○○さん○○才が小学生を避難させた後、巻き込まれ、病院運ばれましたがまもなく死亡しました。」
(えっ!? …今なんて言ったの?)
私は飛び起きて、テレビを食い入るように見ます。テレビに写し出されたのは前が潰れたトラックと血の跡。そして、見間違うはずがない顔の写った写真でした。
「うそ、おにいちゃん」
私の心は絶望で染まっていきます。
作者コメント
多くの感想ありがとうございます。レスはのちほどします。誤字脱字チェックも後になるかと思います。
話の贅肉は多いダイエット足りない。要点だけしっかりとしたスタリッシュな話にしたいのですが上手くいきませんね。
斎ちゃん出番あるといいね。兄弟の掛け合い書いてて意外に楽しかった。