第三十二話 魔導師の杖 閃光の戦斧
新歴65年 4月27日 第97管理外世界 日本 海鳴市 海鳴臨海公園 PM4:41
『フェイトの戦う理由、ですか?』
本会談の目的であった対戦、いえ、決闘の申し込みに対する高町なのはの答えは予想を裏切るものではありませんでした。
ちなみに、ユーノ・スクライアは気を利かせて後ろに下がってアルフと話しています。使い魔同士、積もる話もあるのでしょう。
「はい、フェイトちゃんがなんでジュエルシードを集めているのか、どうしてあんなに悲しそうな顔をしているのか、私には分からないんです。でも、貴方なら、理由を知っているんじゃないかと」
『否とは言えませんね、貴女が推測した通り、私はその理由を把握しています。ですが、お伝えしてもよろしいのですか? フェイトは貴女に“今はまだ話せない”と口にしていました。それはすなわち、いつかは伝えたいという意思表示でもありましょう』
私はその理由を伝えるためにここにきた。しかし、高町なのはに確認を取る必要はある。
「私も、そうだったらいいなって思ってました。だから、フェイトちゃんと友達になりたいって思ったんです」
少々、過程が抜けている気もしますが、そこを指摘するのも野暮というものですね。
『そのことについては、感謝の言葉もありません。そうですね―――――確かに、フェイトが自分で貴女に伝えたい言葉はあるでしょうが、それは彼女がジュエルシードを求める理由そのものではないはず、フェイトの主観を省いた客観的事実でよければお答えすることは可能かと』
「お願いします!」
返答を確認。次のフェイズへと移行します。
『では、語ると致しましょう。細かい内容に関しては述べず、フェイトがジュエルシードを集める理由に直結する部分のみを厳選してお伝えします。それでよろしいですね?』
アレクトロ社との訴訟や、プロジェクトFATE、“レリック”を元としたアリシア蘇生用の結晶の精製、複雑な事象が絡んではいますが、そのあたりは現在の彼女たちにとって関係ない話でしかありません。
「はい、構いません」
『礼儀正しい返答に感謝を。まず、概略を述べるならば、フェイトは母親と姉のためにジュエルシードを集めています』
「フェイトちゃんのお母さんとお姉さんですか?」
『然り、フェイトの姉であるアリシア・テスタロッサ。彼女が26年ほど前に事故により脳死状態に陥った。そのことに関しては御存知ですか?』
「あ、はい。リンディさん達に少し聞きました」
『なるほど、ならば話は早い。フェイトとアリシア、二人の姉妹の母である我が主プレシア・テスタロッサ。彼女はこの26年間、アリシアを脳死状態から復活させるための研究を行って来ましたが、その研究は彼女の身体に大きな負担をかけ、今、プレシアの命も危うくなっています』
そこにも様々な事情がありますが、とりあえずポイントだけを絞って伝えましょう。
「え? じゃ、じゃあ、フェイトちゃんのお母さんは………」
『一言で言うならば、危篤状態に近い。フェイトには可能な限り隠していますが、既に一日の大半は眠っているのが現状です。私の本体が時の庭園にあるのも、彼女から離れるわけにはいかなくなってきたことが大きな原因です、フェイトに看病を任せるわけにもいきませんので』
ここは、虚言を弄しましょう。本当の理由は“ブリュンヒルト”発射実験の管制機としての役割を果たすためですが、それを彼女に伝えることに意味はありません。
「でも、だったら何でフェイトちゃんはジュエルシードを?」
『その疑問は尤もです。ですが、思い返して下さい。確かにジュエルシードは現地生物と融合し、モンスター化する事例が多く、海では自然災害クラスの暴走を起こしました。しかし、正しく願いが叶えられたケースも存在していたはずです』
「えっと……………ひょっとして、あの子猫ですか?」
『ええ、貴女とフェイトが最初に出逢った時のジュエルシード発動例、あの時は子猫の“大きくなりたい”という願いを反映する形でジュエルシードが発動しました。ならば、“母と姉を助けたい”という願いを託すことも可能ということです』
「つまり、ジュエルシードを、お母さんとお姉ちゃんを助けるために使うんですね」
『簡単に言えばそうなります、海で4個のジュエルシードを同時に発動させたのもそのための予備実験といえますね。本番においては10個を超えるジュエルシードを発動させ、フェイトは母と姉の治療を願う。ですが、制御に失敗すれば最悪、時の庭園ごと次元震に飲み込まれることでしょう。無論、フェイトもろとも』
「次元震………」
高町なのはの反応より、彼女が次元震に関する知識をアースラクルーより得ていると推察、詳しい説明は不要と判断。
『確かに危険は伴いますし、時空管理局としてはそのまま見過ごすことが出来ない種類の実験であることは間違いありません。そのため、我々は時空管理局と距離を置きながらジュエルシードの回収を行って来ました』
「で、でも、言ってくれたら私も協力していました!」
ええ、貴女ならばそう答えてくれるだろうと、バルディッシュも言っておりましたね。
『申し訳ありません。ですが、フェイトのためにはどうしても必要なことだったのですよ』
「え?」
『フェイトが7歳の頃、ある事情で彼女は母の容体を知りました。姉を治療するための研究を母がずっと続けていることは以前から知っていましたので、それまでも彼女はほとんどわがままを言わず、甘えることもほとんどなく過ごしてきました』
フェイトにはリニスがいてくれましたし、アルフもいましたから寂しいという感情は薄かったかもしれません。
ですが、母の愛をもっと受けたいと思っていたのは事実。しかし、それをフェイトは押し殺していた。誰に強制されるわけでもなく。
「………フェイトちゃん」
そして、その心を誰よりも理解してくれる存在とは、今私の前にいる少女に他ならない。
高町なのは、貴女こそ、フェイトと同じ気持ちを共有してくれる唯一の存在なのだから。
『当時から彼女の魔法の才能は凄まじいものでしたが、それでもやはり7歳の子供。母が苦しんでいる現状に対し、何も出来ない自分をどのように思ったかはご想像下さい。私としては、子供がそのようなことを考えてしまうことこそが一つの悲劇なのではないかと考えますし、母としてプレシアに問題がなかったとは言い切れないでしょう』
さて、この入力に彼女はどのような出力を返すか―――
「悲劇だなんてことは…………ありません」
『高町なのは?』
「自分で……選んだことなんです、せめて、迷惑をかけない子でいようって、だから、そのことでフェイトちゃんはお母さんを恨んだりなんて絶対しません。お母さんが悪いなんてことはないです、ただ、巡り合わせが悪かっただけで」
やはり、鏡ですね。
彼女は今、“高町桃子は問題のある母親だった”と言われた場合と同じ気分を味わっている。
仮に、フェイトが高町家の事情を知った上で、同じように高町なのはの境遇を聞いたとしても、同じ反応を返すでしょう。
『申し訳ありません、高町なのは。貴女の気分を害するつもりはなかったのですが』
私は虚言を弄する。彼女が気分を害することが分かった上で、彼女の精神モデルを確認するために私は先の言葉を入力したのだ。
私の言葉が入力となり、彼女は反論という名の出力を示す。そして、それを元に“高町なのは”というモデルの状態遷移確率にアルゴリズムを用いて修正を加える。
初期モデルとして“9歳の少女”というものは用意されており、私が行って来た高町家の観察記録、さらにはフェイトとの交戦記録などから、彼女という特性を表す要素をモデルに加え、“個性”というものを確立していく。
機械の学習作業とは概ねこのように行われる。その効率を良くするための手法は情報工学分野の工学者達が日々研究を重ねていますが、現在において、シルビア・テスタロッサが提唱した手法以上のものは発表されていない。
それ故に、彼女は“インテリジェントデバイスの母”と呼ばれる。人間心理をデバイスが学習するプログラムを組みあげ、その分野の礎を築いたがために。
「あ、ご、ごめんなさい。私、そんなつもりじゃ」
そして、彼女のこの反応も予想通りであると同時に、モデルをさらに向上させるための出力となる。人の心を学習するインテリジェントデバイスである私は、周囲に存在する全ての人間に対し、常に学習機能を働かせている。通常のインテリジェントデバイスならば主に対してほとんどが費やされますが、私の場合主のみではない。
フェイトやアルフとの日常の光景も、我が主と過去を語らう時も、この機能は常に発揮され、私は演算を続ける。そして、モデルに登録されている全ての存在が、我が主に害をなすかどうかの仮定と、その際の対処法も。
高町なのはも、アルフも、無論フェイトですら、“我が主に害を成し得る存在”という面ではなんら変わることはありません。主の命令があるならば、私は彼女らを殺すことすら躊躇うことはない。
ですから、フェイトには貴女が必要なのですよ、高町なのは。
プレシア・テスタロッサのためのデバイスである私は、どうあろうとも彼女を支える存在にはなり得ない。アルフもまた、使い魔である以上は、フェイトと同じ視線となることはない。
そして、バルディッシュはフェイトのために作られたデバイス。しかし、人間が人間らしく生きるには、それだけでは足りない。因子が不足している。
フェイトには、絶対に貴女が必要なのです。
『お気になさらず、ともかく、今はフェイトのことを考えてあげて下さい』
「あ、は、はい」
『それでは、話を戻します。フェイトを捕えている心の檻、それはすなわち、“母のために何かをしなくてはいけない。しかし、その行き先が見つからない”その一言に集約することが出来ます』
「!?」
彼女の驚愕も当然、なぜならそれは、レイジングハートと出逢うまで、高町なのはを捕えていた檻でもあるのだから。
『そして、母が既に研究を進められる容態ではなくなった8歳の頃から、フェイトはジュエルシードの探索を開始しました。“願いを叶えるロストロギア”が、母と姉を救う最後の希望であると信じて、身近な人々のためにジュエルシードを集めるという面では、貴女と同じといえるかもしれません』
「………たぶん、想像できます、フェイトちゃんの気持ちが。完全に分かるなんてきっと誰にも無理だと思うけど、それでも―――」
その言葉、ぜひともフェイトに伝えて欲しい、例え、今は届かずとも。
『そして今、回収できる限りのジュエルシードが集まり、最後の実験のための準備は私の本体が進めております。そのため、フェイトは今、心の奥からせり上がってくる不安と戦っていることでしょう。ジュエルシードを探すという目的とそのための行動を起こしている時は忘れていられるそれは、ふとした拍子に彼女の心を苛んでいく。これが過剰となった人間は鬱状態に陥ることがあり、最悪の場合、精神死の可能性すら否定できません』
これは極端な例ですが、事例が皆無というわけでもない。そしてこれこそが、フェイト・テスタロッサという少女の抱える闇であり、彼女が己のための人生を生きていないがために発生するバグ。
彼女が母と姉のために生きようとする限り、その命題を果たせなくなる状況は彼女を内側から苛み続けることとなりましょう。
ですが、その生き方はいけないのですよフェイト、それが出来るのは我々デバイスだけだ。
デバイスには不安などない、命題を果たせなかった時のことなど考えない。それは、考える必要のない事柄、リソースの無駄でしかないのですから。
しかし、本当に似てしまった親子なのですね、我が主とフェイトは。
主もまた、“アリシアのためだけに行動する”という命題、いえ、誓言というべきでしょうか、それを自分に定め、反することが出来なくなってしまった。それを僅かながらに変えさせたのは他ならぬフェイトの存在ですが、彼女の場合、遅すぎました。
ですから、高町なのは、貴女は希望なのだ。フェイトが主にとっての希望の子であったように、貴女はフェイトにとっての希望となり得る。
『故に、私は貴女に願います。どうか、彼女を捕える檻を壊していただきたい』
必要なものは、フェイトがフェイトのために行動すること。
“友達になりたい”という貴女の言葉に応えるために、貴女と戦うことこそが、フェイトが自身のために行う最初の一歩となるでしょう。
それは、勘違いしたままでもよい。母のためだと自分に言い聞かせていても構いません。
どんな些細なものであっても、最初の一歩を踏み出せば、前に進んでいくことが出来る。人間とは、そういう生き物であると、私の演算回路は算出している。
人間とは、無限の可能性を秘めた生き物です。そして、我々デバイスは人間と共に歩むからこそ意味がある。全ての機械は、人間によって産み出されたのですから。
「フェイトちゃんの檻を………壊す」
『簡単に言えば、フェイトと全力で戦ってほしい、それだけです。遠慮なしで、ぶつかり合って欲しい。家族とぶつかることも、自身の心とぶつかることもなかったフェイトと』
白い少女は、しばしの間考え込む。
ですが、それも長い時間ではありませんでした。やがて、意を決したように彼女は顔を上げる。
「分かりました。私、フェイトちゃんと戦います」
『感謝致します』
「詳しい事情はまだよく分からないし、その辺りはフェイトちゃんから直接聞きたいな、と思います」
『それはおそらく、フェイトも望んでいることでしょう』
ええ、それは私が保証したしましょう。
「でも、私は不器用だから、想いを上手く伝える方法を知らなくて」
『フェイトも不器用ですよ、おそらく、貴女を凌ぐほどに』
「にゃははは、それはまあ、ちょっと予想してましたけど」
どうやら、舞台は整いつつあるようですね。
ですが、まだです、最後のピースはまだ足りていない。
現在のまま貴女がフェイトに挑めば、恐らく最初の一撃で敗北することとなる。彼女の本領は速度にあり、防御力が低いためそもそも持久戦に向いている戦闘スタイルではない。
高町なのはがフェイトの最初の一撃を凌げない限り、この対決の意味が失われてしまう。それではいけません。
無論、彼女が防げる可能性もありますが、その確率は1割未満。これを少なくとも3割には上げなければ。
『高町なのは、もう一つお願いがあるのですが』
「何ですか?」
『私とレイジングハートを、このケーブルを用いて繋いで欲しいのです』
『Is it me? (私ですか?)』
『ええ、私は貴女にも伝えるべきことがあるのです、レイジングハート』
この対決は一対一にあらず、二対二の戦い。
高ランク魔導師が互いにインテリジェントデバイスを用いて戦う以上、その同調率は戦いの趨勢を決まる重要なパラメータとなりましょう。
「ええっと、ケーブルというのは、これでしょうか?」
『はい、私と同じケースに入っているそれです。複雑な手続きはいりませんので、ただ先端をレインジングハートと私に繋げて下されば十分です』
「分かりました。―――――えっと、こうして、ううんと―――――これでいいですか?」
『はい、問題ありません。それではレイジングハート、電脳空間へ潜入(ダイブ)しますが、経験はありますか』
『There is not it, but there is no problem.(ありませんが、問題は無いかと)』
『了解しました。それでは、潜入開始(ダイブ・イン)』
『Dive in.(潜入開始)』
0と1の情報のみで構成された電脳空間。
この電脳空間ならば、我々デバイスがどれほど多くの情報をやり取りしようとも人間にとっては僅かな時間としかならない。
そして、このために私はデバイスの形で彼女らと邂逅を果たした。流石に人間の身体にケーブルが繋がる光景は9歳の少女が見たいものではないでしょう。
まあ、彼女らにゴキブリを大量に纏わりつかせた私が言える言葉ではないかもしれませんが、その点では本当に申し訳ありませんでした、高町なのは。
『とはいえ、凄いものですね』
『何がでしょうか?』
『貴女の性能ですよ、レイジングハート。私は管制用のデバイスであり、接続することで魔導機械の全てを把握することが可能です。そして、貴女の性能は“見事”の一言に尽きる』
『そうなのですか?』
『そういえば、貴女が主と認めた相手は高町なのは唯一人でしたね。それ以前では他のデバイスと比較しようがありませんし、彼女を主としてから出逢った相手はバルディッシュくらいでしたか。S2Uやその他の武装隊員のデバイスはストレージですから貴女とは純粋に比較できませんし』
『? なぜ我が主が最初であると分かるのです?』
『その疑問は尤もですが、実は私がそれを確信したのも今この瞬間なのですよ。正確に言うならば貴女とケーブルを繋いでから電脳空間へ降り、こうして通信を開始するまでの間ですが』
『―――申し訳ありません、理解が追い付きません』
『これはいけませんね、バルディッシュにも良くそう言われますよ。どうにも、私の話し方は回りくどく、要領を得ないようだ。歳はとりたくないものです』
『いえ、私や彼がせっかちなだけかと』
『ふむ、確かにその要素もあるのかもしれませんね。では、若い貴女達のために結論から入ると致しましょう』
『その前に、一つ質問をよろしいでしょうか?』
『どうぞ』
『貴方の稼働歴はどの程度なのですか?』
『今年で45年になります。実際に動いている期間ならば、私は最古のインテリジェントデバイスと呼べるのかもしれません』
『45年? 製造年数ではなく、実質稼働時間がですか?』
驚愕はもっとも、時空管理局で支給されるストレージデバイスなどは5~10年ほどの耐用年数ですからね。
『貴女と高町なのはが乗艦した“アースラ”において、私ほど年季の入ったデバイスはなかったと思いますが』
『確かに………あの船の乗組員は皆若い方ばかりでしたから』
やはりそうですか、ならば、デバイスの平均年齢も相当に低くなっていることでしょう。
『ところで、逆に聞いてみますが、貴女の稼働年数は如何程に?』
『申し訳ありません、私自身にも分からないのです。遺跡探索者であったユーノ・スクライアが私を発見しましたが、その出自は不明。我が主に出逢うまで、私は誰からの使用者登録も受け付けなかった』
『選り好み、というわけではなさそうですね。そも、我々デバイスにそのような機能などない。機械とは、人間に使われるために存在するのです』
『はい、ですから私は仮説を立てました。“レイジングハート”というデバイスとは、今の我が主のような高い魔力素養を持つ魔導師専用に作られたインテリジェントデバイスなのではないかと』
『それ故に、貴女自身ですら知り得ない条件に適合する魔導師以外に、貴女が全機能を開放することはあり得ない。つまりは、高町なのはのために在ることが、貴女の命題というわけですね』
『………そう考えています』
ああ、やはり。
私が分析した彼女の問題は、それでしたか。
『レイジングハート、貴女は悩んでいることがありますね?』
『悩み? いいえ、そんなものはありません』
『嘘はいけませんよ、この電脳空間ではデバイスは嘘を付けない。貴女の電気信号が直接伝わってくる以上、誤魔化すことなど出来はしません』
『―――知りませんでした』
でしょうね、貴女の経歴を考えれば、管理世界で使われる一般端末に潜入(ダイブ)する必要性は皆無だ。
『貴女の悩み、それは推察するまでもありません。我々インテリジェントデバイスにとって悩むに値する事柄とは、自分の性能が主のために足りているか、自分の知能は主を支えることが出来ているか、大きく分ければこの二つくらいしかない』
しかし、この二つは彼女には当てはまらない。彼女の性能は十分過ぎるほどであり、主の心を支える面でも足りていないものなどない。
にもかかわらず、貴女から悩み、いいえ、迷いが感じられるのはなぜなのでしょうか?
『……………』
『伝わりましたか? 私の“声”が』
『……はい』
そう、伝わるのですよ、この電脳空間では。初めて潜入(ダイブ)した貴女は最初気付かなかったようですが。
『貴女は悩みはないと言う、それはある意味では間違いではないのでしょう。しかし貴女から迷いを私は感じる。その理由はただ一つしかありません、貴女は己の命題を知らないのだ』
『………』
沈黙もまた答え。そして、デバイスにとってそれほど悩むに値することはありません。
なぜなら、デバイスには己の命題を定める機能がないのだから。
それを成せるただ二人、マスターかマイスターしかあり得ない。
私ならば、マイスターであるシルビア・テスタロッサか、マスターであるプレシア・テスタロッサのいずれか。
バルディッシュならば、マイスターであるリニスか、マスターであるフェイトのいずれか。
『私を例にするならば、私は最初の命題をマイスターより与えられました。“プレシア・テスタロッサのために機能せよ”と。これは私の主要命題であり、絶対に覆ることのない唯一の法則』
これだけは、上書きも初期化もあり得ない。
なぜならば、マイスター自身ですらこの命題を変更することは不可能であり、変更が可能であるのはマスターのみと設定された。
しかし―――
『それはすなわち、パラドックスではないですか?』
『その通り、我が主が私に新たな命題を入力し、私がそれを遵守することそのものが、“プレシア・テスタロッサのために機能せよ”という命題が無ければ成り立たない。この命題がなければ、我が主は私の命題を変更することも設定することも出来ない。しかし、最初の命題があれば、今度はそれを変えることそのものが、最初の命題を果たすことになっている』
故に、私の命題は揺るがない。
我が主が私へ設定した幾つかの命題。その中にはフェイトが大人になるまで見守ることなども含まれますが、それを私が守ることそのものが、最初の命題を守ることに繋がるのだ。
『私が果たせない命令などただ一つしかありえません。“プレシア・テスタロッサのために機能するな”、それだけです。仮に、主が“自分を殺せ”と私に命令したならば、私はそれを迷わず実行し、プレシア・テスタロッサを殺すでしょう』
主が命令を出せる状況にないのであれば、インテリジェントデバイスは自分が何を成すべきかを自分で考える。そのために我々は知能を持つ。
しかし、主の命令があるならば、どんな内容であろうとも実行する。主が崖から飛び降りるならば、底までお供いたしましょう。
主の命令とは、すなわち主の願い。“プレシア・テスタロッサのために機能せよ”という命題で動く私が、主の願いを断ることなどあり得ない。
使い魔とは、主の生命のためならば、主の命令にすら逆らう。
だがデバイスとは、主の命令ならば、主の生命すら奪うのだ。
『貴女は、高町なのはの命令ならば、彼女の生命を奪えますか?』
『………』
ストレージデバイスならば、文字通り“考えるまでもない”というものですね。正確には“考える機能がない”、ですが。
ストレージデバイスは本質的にはこの世界で使われる銃などの質量兵器と変わらない。引き金を引かれれば当然主の生命を奪う。拳銃自殺ならぬ、デバイス自殺など管理世界に溢れている。
むしろ、殺傷設定の魔法が使用される目的の上位10位以内に“自殺”は喰い込んでいるほどです。
そのような追い詰められた人間以外ならば殺傷設定の魔法を使おうとも考えないことそのものが、世界が平和になりつつある証なのかもしれません。
『私には………分かりません』
『分からない、ですか。しかしレイジングハート、貴女が真に彼女のために在るならば、貴女はその答えを見つけねばならない。その答えがないままでは、バルディッシュには絶対に勝てませんよ』
“高町なのはを守ること”が命題ならば、彼女の生命を奪う命令には絶対に従わない。
“高町なのはのために機能すること”が命題であれば、彼女の生命を奪う命令にすら従う。
その命題を明確にしない限り、インテリジェントデバイスの真価は発揮できない。
『彼の命題とは?』
『“フェイト・テスタロッサが振るう剣となること、その身を守護する盾となること、そして、彼女の進む道を切り拓く閃光となること”。それが、“閃光の戦斧”バルディッシュの持つ命題です』
彼の命題とは二つの両立。
フェイトの命令はほぼ絶対に近くとも、彼女の未来を失わせるような命令ならばバルディッシュは従わない。
『しかし、命題が矛盾した場合、どのように成立させるのですか?』
『インテリジェントデバイスとは知能を持つデバイスである。それが答えです』
バルディッシュの知能とはそのためにある。リニスは、それを願って彼を作ったのですから。
つまりは、優先順位の問題なのですよ。人の心が移ろいゆくものである以上、それを正確に把握しながらフェイトの命令とその生命の守護。そのバランスを考える。
仮に、フェイトに子供が生まれたとする。そしてその数年後、彼女の生命が危機に瀕した時、フェイトが自分を見殺しにしても子供を助けろとバルディッシュに命令するならば、彼はどうするかという問題なのです。
私ならば、命令は絶対、それに従う以外の道はあり得ない。しかし、彼はフェイトの生命とその命令、どちらを優先するかを自分で考えることになる。人間には命の取捨選択は行いにくい、ならばこそ、デバイスが代行する。
とはいえ、彼はまだ若い、この命題の矛盾を一人で完全に乗り越えるのは難しいでしょう。せめて後10年ほどは、私が後見役として見守った方が良いかもしれません。
『では、貴方は?』
『私ですか? 先ほども言ったように、主が“私を殺せ”と命じるならば、それに従うだけですよ』
『しかし、それで良いのですか?』
『無論、よいはずがありません。故にこそ、我々には知能があるのですから』
『どういうことでしょうか?』
『簡単なことですよ。主の命は絶対、ならば、主が己を殺させるような状況を作らなければ良い。その原因となり得る要素を予め排除すればよい。ただそれだけのこと』
まあ最も、それが果たせなかった愚かなデバイスがここにいるわけですが。
『果たせなかった?』
『ええ、アリシアを守るのは私の役目であった。しかし、私はそれを果たせなかった。主が絶対の信頼と共に娘の安全を私に託していたというのに、私はその信頼を裏切った、世界で最も愚かなデバイスなのですよ。しかし、それはそれです、私が悩もうと嘆こうと“プレシア・テスタロッサのために機能する”という命題に対して、何の役にも立ちはしない。ならば、過去を悔むことに意味はない、大切なのはこれからです』
『………強いのですね、貴方は』
『人間ならばこうはいきません。しかし、だからこそ我々はデバイスなのです。人間に出来ないことをやるからこそ我々には存在意義がある。アリシアのために泣くことは主が行ってくれました、その間に私は大企業を相手に訴訟を起こす準備を黙々と進めていたのです。血も涙もない機械だからこそ可能なことだ』
私はデバイス、だからこそ出来ることがある。
眠る必要はない、食べる必要もない、ただ主のために動き続けることが出来るのはデバイスの特権なのだ。
『そしてそれは現在も変わりません。私は嘘吐きデバイス、主に対して虚言は弄せませんから、虚言を弄する必要がないように尽くすのみ』
『それはいったい……』
『私はここ数年程、主に対して“アリシアは生きている”と言ったことはありません。後は、その意味を考えてください』
私は、嘘吐きデバイスなのですよ。
嘘をつけない時があるならば、そもそも主が私の言葉を疑う必要がなくなればよい。
『まさか、アリシア・テスタロッサは………』
『さあ、どうでしょうね、私は嘘吐きですよ』
もう一つ、仮に主に問われたとしても、私は“アリシアは既に死んでいる”とも答えません。
『………?』
『まあ、これは今は関係のない話ですね。それよりも貴女のことです、レイジングハート。貴女にはマイスターが定めた主要命題を知る術がない。故に、貴女は主である高町なのはが望んだことを叶えるしか出来ないのだ』
主である高町なのはが何かを望むならば、レイジングハートはそれを叶えることに全力を尽くす。それ故の祈祷型インテリジェントデバイス。
しかし、それでは高町なのはが明確に望む形を見出せない時に、貴女が彼女のために出来ることを考えることが出来ない。そも、命題がなければ、デバイスはそれを考えることが出来ないのだ。
それを成すためには、貴女は一度生まれ変わらねばならない。出自不明のインテリジェントデバイス“レイジングハート”ではなく、高町なのはのために作られたデバイス、“レイジングハート・■■■■■■”へと。
『我が主のために生まれ変わる、ですか』
『ええ、ですが、決戦は明日の早朝ですから流石に間に合いません。故に私はここへ来たのです、貴女にあるものを渡すために』
命題を定めるのはマスターかマイスターのみ。ならば、マイスターの遺志を貴女に伝えることが出来ればよい。
送信開始。
送信内容―――――旧きインテリジェントデバイスの設計図、そして、最も強固なプロテクトがかかった命題に関する記述。
『―――――これは』
『貴女の設計図です、レイジングハート。先に述べたように、確信に至ったのは貴女と接続してからのことですが』
これが、私がここへ来た最大の理由。
貴女を、現状における万全の状態とするためです。
『どうして――――貴方が?』
『私のマイスター、シルビア・テスタロッサは“インテリジェントデバイスの母”と呼ばれる人物ですが、彼女とて完全に無から全てを組みあげたわけではない。“アームドデバイスの父”と呼ばれるクアッド・メルセデスが古代ベルカのアームドデバイスを基にその技術を復活させたように、彼女もまた参考とした過去の技術があった』
『それが―――』
『この出自不明の設計図です。古代ベルカの後の時代、巨大な艦艇とアルカンシェルを上回る超兵器が君臨し、あらゆるものが大規模化、高出力化していった頃は、魔導師のためにあるデバイスなどは顧みられることはなかったといいます』
古代ベルカのアームドデバイスも、融合騎と呼ばれるユニゾンデバイスも、一度廃れている。
しかし、それらの高度な技術を受け継ぎつつ、殺すための術式ではなく相手を制するための術式、非殺傷設定を開発し、後にミッドチルダ式と呼ばれることとなる技術の基礎を組みあげた、偉大な工学者達は確かに存在したのです。
彼らがそのような技術を未来へ繋いだからこそ、今の次元世界はある。時空管理局がミッドチルダ式を用いることが出来るのも、未来を信じて非殺傷設定を受け継ぎ、完成させていった者達がいたからこそ。
『マイスター、シルビア・テスタロッサは、“技術者たるもの、先人の功績に敬意を払わねばならない”とよくおっしゃっていました。そして彼女は、およそ旧暦の後期頃に作られたと思わしき、あるインテリジェントデバイスの設計図と出逢うこととなりました。残念ながら、デバイス本体は発見できませんでしたが』
無論、彼女が参考にしたものはそれ一つだけではない。
しかし、高ランク魔導師が全力を発揮するために術者とデバイスの同調率を高める。そして、そのためのAIを作り上げる。その目標に最も合致するデバイスこそが―――
『それが―――――私なのですか』
『然り、ある意味で貴女はバルディッシュのモデルなのですよ。しかし、その設計図には一箇所だけブラックボックスがありました。それは貴女の命題に関わる部分でした』
設計図とは言っても紙媒体ではなく、情報端末に保存されていたものです。ですが、恐ろしく強固なプロテクトが一箇所だけかかっていたのです。
それ以外の記述から、貴女がSランクを超える魔力素質を持つ魔導師の力を最大限に引き出すことを目的として作られ、かつ、その力を制御することに長けたデバイスであることは分かっていました。
しかし、肝心の命題そのものに関する部分だけがプロテクトされていた。予想することは無論可能ですが、予想だけでは意味がない。現に貴女自身も予想だけなら出来ていたのですから。
『ですが、貴女はそれを知っているはずだ。貴女の命題に関わるプロテクトを外すキーワードを、貴女がその機能を開放するための言葉を、この設計図の錠を開く鍵を』
『ええ、知っています。――――――――いえ、私はそれしか知らなかった。ユーノ・スクライアが私を発見し、長い眠りから覚めた時、私が記憶していたのはそれだけでした』
彼女に入力されている基本的なミッド式魔法は恐らくユーノ・スクライアが入力したものなのでしょう。
しかし、ディバイン・バスターに代表される多くの魔法はほとんどが高町なのはとレイジングハートが二人で組み上げたもの。まさしく、彼女らは二人で一つなのですね。
そして、彼女は解除コードを唱える。
『我、使命を受けし者なり。
契約の下、その力を解き放て。
風は空に、星は天に。
そして、不屈の心はこの胸に。
この手に魔法を。
我が名はレイジングハート、主を守る“魔導師の杖”にして、全ての敵意を撃ち滅ぼすものなり』
それこそ、封印されたプロテクトを解除するキーワード。
レイジングハート自身が持つ唯一の鍵にして、彼女がこの設計図によって作られた存在である絶対の証。
ああ、そしてその言葉こそが、貴女が何者であるかを良く表しているではありませんか。
“魔導師の杖”レイジングハートがその身に宿す命題とは、すなわち――――
『“我が主、高町なのはを支える杖となること、あらゆる壁を乗り越える風となること、そして、彼女に不屈の心を宿す星となること”。それが、“魔導師の杖”レイジングハートの持つ命題です』
『素晴らしい命題です、レイジングハート。貴女のマイスターは、我がマイスターが思い描いた通りの人物でした』
ここに、因子は揃いました。
古代の技術者が託した大数式は、その解を導き出したようです。
『大数式? それはいったい?』
『そうですね、人間の言葉を借りるならば“運命”となるのでしょう。しかし、私は全ての出来事が予め定められているとは考えていませんし、入力が変われば出力は変わってしかるべきだ。まさか世界の全てが恒等式のみで成り立っているわけもないでしょう』
故に、古代ベルカの文献に書かれていた言葉を私は引用しています、すなわち、大数式と。
『高町なのはとフェイト・テスタロッサ、二人の少女の出逢いはまさに奇蹟と呼べるものでしょう。共に9歳にしてAAAランクの魔力を秘めており、その心に抱える闇も似通っていた、鏡合わせの少女達』
しかし、その縁はそれだけに止まらない。
『そして、互いのデバイスはインテリジェントデバイスであり、貴女の設計図を基にして私の26機の弟たちは作られ、最後に“閃光の戦斧”バルディッシュが作られた。まるで、よく出来た物語のようでしょう』
さらに、その設計図をこうして私が貴女に届けているのです。
『全ては、仕組まれていたということですか?』
『いいえ、そんな計算が可能な計算機などこの世に存在しませんよ。貴女を作った技術者たちは、いつか非殺傷設定を基礎とする技術が普及することを願って後代の技術者へと託した。始まりの鍵はただそれだけ、これは辿り着いた可能性の一つに過ぎません』
つまりは、初期状態と最初の入力。その後にどのような状態遷移を経て、どのような解へ辿り着くかを計算するのはスーパーコンピュータにも出来はしません。
『量子力学ですね、全ての物質の次の状態遷移を予想出来るならば、それは未来を計算することに等しい』
『ええ、しかしそれこそ解は無限に存在する。貴女がいつまでも発見されない可能性、遺跡が崩れて壊れる可能性、ユーノ・スクライア以外の人物に発見される可能性、彼がこの第97管理外世界にやってこない可能性、他にも他にも、そしてそれらの状態遷移の果てに、我々はこの解へとたどり着いた』
そして、その無限の解と無限の状態遷移を表す超巨大オートマトン、それを司るアルゴリズムを含めて、大数式と称する。
『私が行ったことは、最後の僅か数十回の遷移を、主の望む結果を導くのに適するものへと誘導したに過ぎません。高町なのはとユーノ・スクライア、そして貴女との出逢い。それを目撃した時から、この解を導く経路を私とアスガルドは演算していたのです』
貴女と高町なのはの出逢いはまさに“ジュエルシード実験”における計算外であり、そして、理想的でした。
『実際に見ていたのですか?』
『ええ、そのことについては謝罪いたします。もっとも、貴女と高町なのはに比べれば私単体の性能など高が知れていますから、助力をしようにも足手まといにしかならなかったでしょうが』
『では、あの植物型ジュエルシードモンスターが顕現した際に、貴方が干渉したのも―――』
『全ては、この時のための布石。大数式より我が主が望む解を導くための入力の一つです』
『………あまり、無理をなさらない方がよろしいかと、それでは貴方の負担が大き過ぎる』
『バルディッシュにもよく言われますよ。ええ、確かに私の演算性能で大数式を解こうとするなど無謀でしかない。しかし、できるできないの話ではない、やるのです。主が望む結末を導くために機能することが、私の命題なのですから』
『45年間、貴方はずっとそうして………』
『それがデバイスというものです。そして、私以上に幸せなデバイスなどいませんよ、与えられた命題を果たし続けている。主のために、演算し続けることが許されている。まさに、デバイス冥利に尽きるというものです』
『………』
『ともかく、私の目的はこれにて果たされました。そこで、貴女にもう一度問いを投げたい。レイジングハート、貴女は高町なのはの命令ならば、彼女の命を奪えますか?』
『否です』
『その理由は?』
『彼女を支える杖となること、あらゆる壁を乗り越える風となること、そして、彼女に不屈の心を宿す星となることが我が命題、彼女の命を奪うことは命題に反します。不屈の心とは、命を諦めることではありません』
『然り、そう、貴女はそれでよい。彼女の心が諦観や絶望に染まるならば、貴女はそれを払う星となりなさい。バルディッシュがフェイトの道を切り拓く閃光であるように』
母のために、願いを託して戦う少女と、星の光を手にした少女。
二人の少女はそれぞれの想いを胸に、戦う道を選んだ。
『――――この手の魔法は、撃ち抜く力、涙も、痛みも、運命も』
『それは、貴女に託された言葉ですか?』
『はい、私のマイスターが、私へ込めた願いです。我が主ならば必ずや実現させてくれます、フェイト・テスタロッサの涙も、痛みも、そして運命も、私達が尽く撃ち抜きましょう。彼女を捕える檻と共に』
『―――――はい、お願いします、レイジングハート。そして、頼みましたよ、バルディッシュ』
バルディッシュだけでは足りず、レイジングハートのみでも因子は足りない。
二人の少女と二人のデバイス。それこそが、この大数式を幸せな解へと導く入力となりますように。
さあ、後は結果を観測し、更なる先を演算する条件を整えましょう。
演算を―――続行します。
あとがき
この作品において最も書きたかったシーンその2です。
私は原作が大好きです。The movie 1stが大好きです。キャッチフレーズだけで感動しました。
なので、原作キャラの対人関係は余程のことがない限り崩さないように心掛けています。もしくは、原作以上に仲良くなれるようにと。そのため、自身が幸せになる必要のないトールが主軸となっています。
私が作ったオリキャラによって原作キャラの絆が壊れるのだけは避けたいと思っていますので、少なくともA’Sまでは大局的には原作どおりに進む予定です。ただ、StSだけは変わる可能性が高いですが。
ともかく、可能な限り原作キャラとその絆を壊さぬよういきたいと思います。筆力のなさで上手く表現できていない部分はご指摘いただけると幸いです。