第十七話 巨大子猫
新歴65年 4月15日 ミッドチルダ アルトセイム地方 時の庭園
「どうだ、研究は進んでいるか?」
「少しだけね、申し訳ないけどもうあまり自由に動ける時間は残っていないみたい」
怪樹事件から五日後。
これまで送ったデータがどのくらい研究に役立っているかを自分の目で確認するべく時の庭園に戻った俺だが、プレシアの答えは芳しいものではなかった。
「ジュエルシードレーダーの方は?」
「そっちも同じ、改良は進んでいないわ」
「うーむ、かといって無理されて死なれでもしたらフェイトの努力が水泡に帰すからな」
「………フェイトは、どうしてるの?」
「これまで通り、ジュエルシードレーダーを片手に海鳴市のあちこちを飛び回ってるよ。あれからもう一個発見したから現状では2つ回収したことになる。ミネルヴァ文明遺跡の一つも含めれば三つだな」
「無理はさせてないでしょうね?」
「そりゃ愚問だ、無理しかさせていない」
俺はあくまでいつもどおりに応じる。
「………なるほどね」
「おや、お咎めなしか」
「貴方のことだからまた考えがあるんでしょう、正直、今のフェイトを一番理解しているのは貴方でしょうし」
「そいつは見方次第だ、一番親身なのはアルフだし、フェイトが一番必要としているのはお前だ。だがまあ、フェイトが何をやりたいかを理解しているのは俺かもしれんな」
プレシアやアルフの場合、“フェイトが何をしたいか”ではなく、“フェイトにどうあってほしいか”が先に頭に浮かんでしまう。
アルフはフェイトが幸せならそれでいいと思っているが、フェイトもフェイトで似たようなことを考えているのだから意外と噛み合っていない。
プレシアとフェイトは言わずもがなだ。
だからこそ、俺はそれぞれの人間が何をしたいかだけを理解する。その上で中立になるようにそれぞれに等しく力を貸すことを、随分昔から決めている。
それが成立するのもプレシアがフェイトの幸せを願っているからこそだが、それ故にプレシアのためにフェイトを騙すこともあれば、フェイトのためにこうしてプレシアの意思に沿わないこともある。
だがしかし、マスターの意思に逆らうことはあっても、命令に逆らうことはあり得ない。
デバイスにとってマスターの命令は絶対だ。
「ここで全力を出し切らなかったらフェイトは一生後悔するだろうよ、“あの時もっと頑張っていれば母さんを助けられたかもしれない”ってな、まあ、頑張りすぎて身体壊して肝心な場面で役に立たなかったらそれ以上にトラウマが残りそうだからその辺の塩梅は難しいがな」
無理はさせるが、させ過ぎてもいけない。
限界ぎりぎりを走らせなきゃいけないが、限界を超えてもいけない。
―――だからこそ、高町なのはという存在は本当にありがたい。
ジュエルシードモンスターとの戦いならば、フェイトが重傷を負う可能性もありうるから常に万全の状態で戦わせる必要がある。
しかし、高町なのはは非殺傷設定の魔法しか使用しない。
例えどれほど大きな戦いになろうとも、フェイトが重傷を負う可能性はないのだから、フェイトの体調が良くなかろうが、気力だけで立っている状態だろうが、戦わせることは出来る。
まあ、今の状態ではフェイトの圧勝になることは目に見えているが、高町なのはの成長速度は速い。
ジュエルシードモンスターと戦い、フェイトとも何回か戦えば、ある程度の勝負は出来るところまで到達するだろう。
そこにさらにプロの助言が加われば最高だ。次元航行部隊に所属する武装局員、特に執務官などならば、その役に最適といっていい。
故に、次元航行部隊をどのタイミングで“ジュエルシード事件”に介入させるかも重要なポイントとなる。
「ところで、“ブリュンヒルト”の試射実験の日取りはいつになりそうなんだ?」
「多分5月の中旬頃ね、“ブリュンヒルト”もここだけじゃなくて他にもいくつかあるから、私達の都合もそれなりに考慮するとは言っていたわ」
「なるほど、軽く妥協して実利を取るか、あのおっさんらしいな」
レジアス・ゲイズ少将の政治的感覚は鋭い。
俺達が望んでいることをおおよそ理解した上で最大限利用するつもりと見た。
地上本部は本局に比べて予算が少ないのだから、資金が潤沢にあるテスタロッサ家を可能な限り利用したいと思うのは当然だろう。
ぶっちゃけ、かなりの資産家といえるだけの財産を抱えているのだ。
時の庭園、その駆動炉である“クラーケン”、さらには大量の傀儡兵。
全部プレシア個人の品であり、それ以外にも不動産を始めとした利権や、次元航行エネルギー駆動炉“セイレーン”を始めとした特許各種、とにかく金になるものが大量にある。
俺達でこれなのだから、広域次元犯罪者ジェイル・スカリエッティの資金源など最早数えきれないほどだろう。
奴の研究成果で公にされているものだけでもクローン牛などの家畜培養に利用され、食糧問題を解消し、多額の利益を上げている例も多くある。
実に皮肉な話だが、広域次元犯罪者の研究成果によって食糧資源を巡って起こっていた内戦が終結した例すらあるのだ。
だからこそ、ジェイル・スカリエッティという存在は管理局にとって厄介極まりない。
奴を捕まえることが次元世界に平和をもたらすのかと問われて、明確に答えることは難しいからだ。
「もし俺達が勝手に“ブリュンヒルト”を持ち出して次元航行部隊と一戦交えでもしたら問題になるが、おっさんはそうなってもいいように仕組んでいるな」
「多分ね、本局武装隊に対して“ブリュンヒルト”がどの程度の効果を発揮できるかが分かれば最高、それで生じる政治的な問題は裏側で処理する自身があるんでしょうね」
その辺を考慮に入れた上で、“ブリュンヒルト”を俺達の好きにしろと暗黙の了解をくれているわけだ。
相変わらず抜け目なく、政治的感覚が半端ない。
当然期間限定だが、こっちにとっては一定期間借りられればそれで十分なのだから問題ない。
「ギブアンドテイクってのはいいもんだな、地上本部、本局、そして時の庭園、それぞれの利害が複雑に絡んでるもんだからやりやすくて仕方ない」
「普通はやりにくいと思うのだけど?」
「俺にとってはそうじゃないのさ、拘束条件が複雑に絡んでるってことは、それぞれの立場で最適解を求めようとすればとり得る行動は自然に狭まってくる。逆に、束縛がなければ次の行動を予測するのは困難だ」
ただの微分方程式では無限に解があっても、拘束条件を幾つか加えれば特殊解に纏めることが出来る。
人間が作る組織の行動も束縛が多いから組織の行動予測は個人に比べれば遙かに容易だ。
人間は自分の価値観と組織の価値観の差異に戸惑うことが多いみたいだが、デバイスは最初から個人の思考と組織の思考は別のものであると認識している。
だからこそ客観的に解を求めることが出来る。
「まあとにかく、事態が本局と地上本部を含めた政治ゲームに移行するのはもう少し先の話だな。今はまだチーム・スクライアとチーム・テスタロッサによる個人単位のジュエルシード争奪戦の段階だ。フェイト達が知っているのはそこだけでいい、子供に社会の裏側を見せても悪影響しか出ないからな」
「そこは徹底しなさい。失敗したら溶鉱炉に放り込むわよ」
『了解、マイマスター』
「ああそれと、貴方が開発していた新型サーチャーが完成したみたいよ」
「おや本当か、意外と早かったな」
必要な入力だけ行った後、作業は全部自動化していたのでほとんど把握していなかったのだが、優秀なオートマシンたちだな。
「しかし、本当に“アレ”を使うつもり?」
「無論だ、“アレ”こそ対魔法少女用の秘密兵器、さらには“アレ”を上回る最終兵器をも開発中だ」
既に実験は済んでおり、“アレ”が武力を用いずに魔法少女を無力化するのに最適であることは確認されている。管理局法に引っ掛かることもないので後々で問題になることもなく、まさに理想の兵器と言っていい。
「まあ、そりゃあ確かに10歳くらいの女の子には“アレ”は最大の効果を発揮するでしょうけど」
「だろ、燃費もいいし汎用性も高い。実に無駄がない設計になっているぜ」
後は最後の微調整だけだ、特性はともかく外見が最大のポイントとなるので手を抜く訳にはいかない。
んー、二日くらいはこっちにかかりきりになるかな?
新歴65年 4月17日 第97管理外世界 日本 海鳴市 月村邸
いつものようにジュエルシードの探索を行っていると大きな魔力反応が観測され、しばらくするとそれを覆い隠すように結界が展開された。
おそらく、チーム・スクライアが封鎖結界を張ったのだろう。それが可能なまでにスクライアの少年の魔力も回復したようだ。
チーム・テスタロッサは三人バラバラにジュエルシードを探索していたので一番近くにいたフェイトが真っ先に向かい。
俺もそれに続き、遠くにいたアルフは多分間に合わない可能性が高いが一応向かっている。
そして、もしもの時にフェイトをバックアップするために俺も遅ればせながらやってきたわけだが―――
「でかい子猫、これは…………」
実に予想外、そして素晴らしいものを目撃することが出来た。
「ジュエルシードへの願いに雑念が混じることなく発動したケース、まさか、実物のデータが得られるとは」
正直、これは想定外だ。 ジュエルシードに雑念を混ぜずに発動させるには相当な準備と処置が必須だろうと予想していた。
【フェイト、聞こえるか?】
【何?】
【チーム・スクライアはどうしてる?】
【一応交戦中、向こうにはそれほど争う意思はないみたいだから、ジュエルシードから引き離してトールが来てくれるのを待っていたから】
なるほど、的確な判断だ。
俺達の目的はジュエルシードを確保することであってチーム・スクライアを攻撃することじゃない。
フェイトが単独なら彼らを行動不能にする必要もあったかもしれないが、俺が“ミョルニル”で封印が可能である以上、フェイトは彼らをジュエルシードから引き離しさえすればそれでいい。
封印可能な人数が多いということは、それだけで選択の幅が広がるということだ。
【いい判断だ、そのまま足止めを頼む。俺の方で子猫のジュエルシードは封印しておく、だが、その少女の砲撃には注意しろ、この前の木の事件の時の魔力値は瞬間には180万に達していたからな】
【分かった。注意するよ】
【それと、封印以外にも少しやりたいことがあるからしばらく時間がかかる】
【時間がかかる?―――――どういうこと?】
【俺達の最終目標はジュエルシードを集めてプレシアとアリシアのために使うことだ。だから、今回みたいにジュエルシードが正しく願いを叶える形で発動した例は貴重なデータになる。幸い、子猫も大人しいから細かいデータを取るには最適だ】
【つまり、その子のような状況を作り出せれば、母さんは助かるってこと?】
【その可能性を高めることは出来るな、少なくとも一つのジュエルシードを正しく起動させることが出来るようになればそれの応用も可能になる。そういった面ではこの子猫はこれまでにない成果だ】
【―――――私に、他に出来ることは?】
【そうだな――――――バルディッシュと俺が連結すれば処理速度も上がるから、こっちに来てくれればありがたいが、チーム・スクライアをほっとくわけにもいかないだろ、アルフの到着にはもうしばらくかかる】
【―――――――――ちょっと手荒になるけど、魔力ダメージでノックダウンさせる】
おっと、凄い提案が来た。 フェイトは意外と好戦的な部分があるが、今回はプレシアのためになるというのが効いているな。
高速演算開始、この状況でチーム・スクライアを気絶させるほどの攻撃をすることによる今後への影響は――――――――
【あー、あー、ちょっと待て、それがやばいかどうか考え中だ】
フェイトにしばらく待ったをかけ、演算続行。
処理中
処理中
演算終了
【分かった。ただしノックダウンさせるのは高町なのはだけにして、もし空中から落ちたらセーフティネットとかも張っておけ。多分スクライアの方が助けに入ると思うがその後は放っておいていい】
俺はチーム・スクライア監視要員であり、しばらく監視した結果、チーム・スクライアの性格は大体掴めた。
けっこう無茶やって突っ込むのは高町なのはの方で、ユーノ・スクライアはそのサポートという役割分担。
つまり、高町なのはさえノックダウンさせればユーノ・スクライアが自分だけでこちらにやってくることはありえない。
【分かった、すぐそっちに向かうね】
そして念話を切れる。
「やれやれ、プレシアの身体のこととなると見境がなくなるな。まあ、最愛の母の命の危機だ、仕方ないといえば仕方ないか」
本当に似た者母子だ。アリシアのために手段を選ばないプレシア、プレシアのために形振り構わないフェイト、ここまでくると微笑ましくなってくる。
呟きつつ、改めて巨大子猫に向かい合う。
「魔力値は―――――――たったの5000か、ジュエルシードが安定状態にあればこの程度の魔力、しかし、一度暴走すれば何倍にも跳ね上がる。厄介なことだな」
“ミョルニル”をいつでも発動できる状態を維持したまま、『バンダ―スナッチ』の能力を可能な限り利用して各種データを収集していく。
まあ、本物のISに比べれば精度は落ちるが、元々変身能力や結界や罠とかを見抜くのに特化した技能だから、子猫の状態を観測するにはそれほど性能差は出ない。
そして、しばらくすると――――
「トール、遅れて御免なさい」
高町なのはをノックダウンさせたであろうフェイトがやってきた。結果を聞く必要は特にあるまい。
「よし、早速バルディッシュを俺に接続してくれ、ついでにお前の魔力も本体に弱めに送ってくれるとありがたい。カートリッジロードの手間が省ける」
「うん、お願いバルディッシュ」
『Yes sir.』
有線ケーブルによって俺とバルディッシュのコアが接続され、情報のやり取りが始まる。やはり俺の後発機だけあって相性は抜群だ、有線による連結なら魔力のロスはほぼゼロに抑えられる
バルディッシュは寡黙だが、常にフェイトのことを考えて最適の行動をする実によく出来たデバイスだ。
リニスがフェイトのために持ちうる技術を全部尽くして開発しただけはある。
設計図は元々あり、プレシアもところどころで助言はしていたようだが、バルディッシュはほとんどリニスの手で作られた、ある意味で形見ともいえるだろう。
『汎用人格言語機能を解除、全てのリソースをジュエルシードの解析に回します』
「トール?」
『フェイト、魔力を送ってください。これより高速演算を開始します』
「トール! 一体どうしたの!」
フェイトの反応も予想通り、これまで彼女の前で汎用人格言語機能を切ることはありませんでしたから。このような必要な事態が起こらない限り、 基本的にテスタロッサ家の皆の前ではOFFにしないようプログラムされている。
『汎用人格言語機能を遮断しただけです、しばらくすれば戻しますので今は魔力の供給をお願いします』
「トールが、バルディッシュになっちゃった……………」
『No』
バルディッシュが即座に否定する。もしかすると、私と同じにされるのが嫌なのでしょうか? バルディッシュとの関係は良好なので、そういうわけでは無いと思いますが。
――演算開始
――解析処理中
――データ集計中
――演算終了
「汎用人格言語機能再起動、よし、データ収集完了、後は仕上げだな」
「あ、トールが元に戻った」
フェイトが呆然とした表情から復活した。
「そういやお前には見せたこと無かったな、アリシアが生まれるまで俺はさっきのしゃべり方がデフォルトだったんだぞ」
というか、今でも本質は変わらない。あくまでこれらの機能はテスタロッサの人間とのコミュニケーションを行うためのアプリケーションに過ぎないのだ。
「そうだったんだ、てっきりバルディッシュと接続したせいでトールがバルディッシュになっちゃったのかと思った」
「そりゃあ随分愉快な事態だが、俺がバルディッシュみたいになったらそんなに変か?」
「変っていうか、ありえないよね、バルディッシュ」
『yes, sir.』
うん、息ピッタリで何よりだ。マスターとデバイスの絆の深さが伺える。
「それはともかく、後はジュエルシードの封印だ。こっちは結構負荷が溜まってるんで、フェイト、任せた」
「うん、バルディッシュ、行くよ」
『Sealing form.Set up.』
封印用の術式が展開され、子猫の周囲を取り囲む。
『Order.』
「ロストロギア、ジュエルシード、シリアル16、封印」
『Yes sir.』
バルディッシュの先端に魔力が収束する。
魔力値――――――78万、十分過ぎる量だ。
『Sealing.』
子猫からジュエルシードが切り離され、木よりもでかかったサイズが元に戻っていく。
『Captured.』
バルディッシュにジュエルシードを封印し、これにて任務完了。
「あ、そういやアルフは?」
「こっちは二人で大丈夫そうだったから、スーパーで買い物をお願いしたよ」
「そういやそろそろ冷蔵庫の中身がなくなりそうだったな、だが、金はあるんだから外食でもいいだろ」
「駄目だよ、バランスよく食べないと栄養が偏るってリニスがよく言っていたし」
なるほど、あいつの教育方針は実に基本に忠実だ。フェイトはちゃんとお前が教えたことを覚えててくれてるよ、リニス。
「ま、俺が食うのはカートリッジだからどっちでもいいがな」
ちなみにカートリッジはカロリーメイトの箱に入れて持ち歩いており、外見も似せてあるので栄養食を一気食いしているように見える。
普通の人間に見られても違和感がないように改良した結果だ。
「トールもご飯食べれたらいいんだけど」
「飯食うデバイスってのも珍しいぞ。ユニゾンデバイスならそういうのもあるらしいが、あいにくと俺はインテリジェントデバイスだからな、食事は必要ないのだ」
一仕事終えて気の抜けた会話を交わしながら俺達は月村邸を後にする。
この屋敷は高町なのはの友人の家らしいが、ここにジュエルシードが落ちたのは多分偶然の要素も強いだろう。
敷地が広いだけに落ちていても不思議ではないからな。
これにてジュエルシードは4つ目。
正しい発動例の明確なデータも取れて言うことなし、ジュエルシード実験は非常に順調である。
チーム・スクライアが現在4つを保有しているから残りのジュエルシードは13個、そろそろはち合わせる回数も増えてきそうだ。
そしてそうなれば、今回のようにフェイトと高町なのはが戦うことも多くなるだろう。
『高町なのは、貴女にはフェイトのために是非とも成長していただきたい。彼女の全力を受け止めるほどに、彼女の悲しみを受け止めれるほどに』
私はフェイトが生まれる前から彼女を見てきた。いや、彼女を作り出したのは私であると言っても過言は無い。
だからこそ分かるのです。
フェイトは気丈に振舞ってはいますが、その瞳には強い悲しみが宿っている。
マスターの命が危ういことを、助からない可能性が高いことを悲しみ、そして、自分が何も出来ないのではないかと恐れている。
『貴女はそれを理解してくれるでしょうか、フェイトの悲しみに気づいてくれるでしょうか』
もし、貴女がフェイトの悲しみを理解し、フェイトの友達になってくれるとすれば―――
『フェイトの幸せの絶対条件に、貴女の安全と幸せも組み込まれることとなる。私もまた命題に従い、貴女のために機能する時が来るかもしれません』
“高町なのは”と“フェイト・テスタロッサ”
この二人の行く道が重なるならば、私はその道を整えることに全力を尽くしましょう。
この“ジュエルシード実験”は二人の少女の出会いの物語となるかもしれません。
その過程と結末を、私は明確に記録する。