テスタロッサ一家が地球に住む事が決まってからは手続きの為、両親が暫く日本に滞在する事になりました。
前の連休以来の一家団欒ですね。手続きが終わったらまた旅行に行くらしいので、今のうちに甘えておきましょう。
一人でも大丈夫ではありますが、やはり両親がいないのは多少寂しいですし。・・流石に恥ずかしいので直接言いませんけどね?
それにしても、やはり手料理は美味しいです。特別料理が上手な訳ではないと思いますが、とても私好みというか・・・ああ、これがお袋の味というものなんでしょうね。
両親がいるのにお袋の味に飢えているとは、流石に家庭環境に問題がある様な気がしてきました。
まあだからといって両親は旅行を止めませんし、私も止めないんですけどね。中々歪んだ家族です。嫌いじゃないですが。
さて、家族との団欒を楽しみつつだらけながら生活を続け三日が経ちました。
どうやら当初の予定通りに手続きは完了したらしく、今は両親と一緒に雑談しながらコーヒーを飲んでいます。
何やら両親がエジプトで未発見のピラミッドに侵入してきたとか言っていますが、それが本当ならとんでもない事なのではないでしょうか。
というか、もしかして私の両親の職業はトレジャーハンターだったりするんでしょうか。遺跡で聖杯とか探してても違和感が無い両親ですし。
暫くするとプレシアさんとフェイトさんとアリシアちゃんがやってきました。
アルフさんとリニスさんはどうやら自宅で色々忙しく準備しているらしく、今日は来ていないみたいです。
これから詳しい話し合いになるのですが・・・とりあえずアリシアちゃんが暇しそうなので、アリシアちゃんの指示に従う自動操縦のぬいぐるみを派遣しておきましょう。
ぬいぐるみの種類は猫と犬とアルマジロです。何気にアルマジロのぬいぐるみが一番もふもふしています。割とお気に入りです。
あ、ちなみに両親にはもう魔法関係について話してあります。全然驚いてはいませんでしたけど。
「・・・というわけで、身分は説明した通りです」
「ええ、ありがとうございます」
「次は住宅なんですが・・・」
本当に戸籍も何とか出来たんですね。戸籍っぽいものの実物を見るまで信じきれませんでしたが・・・本当に底知れない両親です。
で、住宅は・・・あれ?ここってもしかして。
「これってうちの隣の空き家ですよね?」
「そうよ。近いし丁度良かったからね~」
「何が丁度いいのかよく分かりませんが」
「友達の家が近いと遊びやすいだろう?少しでも遠いとめんどくさがって遊ぼうとしないだろうし」
否定はしません。むしろ肯定しましょう。何せ家の中を歩く事すら面倒な私なのですから。
「とまぁ、こんなものですね。仕事に関しては流石に勝手に決めるわけにはいきませんでしたので、そちらでお探しください。」
「何から何まで本当にありがとうございます。・・・それで、あの事に関してはどうでしょうか?」
「勿論そちらも問題なく手続き出来ました」
む、あの事?何でしょう、何かこっそりと進めていた事でもあるんでしょうか。
「うふふ、はい、フェイトちゃんとアリシアちゃんにプレゼントよ」
「え?なになにー?」
「あ、えっと・・・ありがとうございます?」
「ほら、二人とも開けて御覧なさい」
あ、箱を見てわかりました。あれと同じものを私も持っていますし。
「あ、これって・・・」
「杏お姉ちゃんが着てた制服と同じ?」
「やっぱり聖祥の制服ですか。まあ日本に住むんですから、義務教育はちゃんと受けなくちゃいけませんしね」
「じゃ、じゃあもしかして私とアリシアも学校に!?」
「そういうことね。こっそりお願いしておいたのよ。驚いたでしょう?」
「わぁ~・・・あれ?でもわたし五歳だよ?学校って六歳からじゃないの?」
「大丈夫、戸籍上は六歳だから」
それは大丈夫ではないと思います。いや、何とかなっていますから大丈夫なんでしょうか?
・・・大丈夫なんでしょうね。一歳くらいなら誤差の範囲内といっても問題は無いでしょうし。気にしない事にしましょう。きっと悩むだけ無駄です。
しかし、フェイトさんとアリシアちゃんも学校に来るんですか・・・高町さんが混乱しそうな気がしそうです。
・・・ん?高町さん?そういえば、まだ学校を休んでますね。もしかしてまだジュエルシードを探しているんでしょうか?
「プレシアさん、時空管理局に連絡ってしました?」
「まだよ。昔やってた研究や科学者の情報を整理している途中なのよ。ついでに昔の研究仲間で外道な事ばかりしてた連中と連絡を取って管理局に売ろうと行動してる最中だから、出頭はもう暫く先ね」
「流石プレシアさん。若々しくなっても思考は魔女ですね。違法研究していただけの事はあります」
「うるさいわね・・・昔の事は言わないで欲しいわ」
まあ色々な意味で黒い歴史ですしね。あまりネタにしない様にしましょう
「ねえねえ!学校っていつからいけるの!?」
「二日後の月曜以降ならいつでも大丈夫だよ」
「やった!フェイトフェイト、帰ったらいっしょに学校の準備しよーね!」
「うん。えっと、ペンとノートはいっぱいあったと思うから・・・」
「ふふっ、どうやら管理局に行く前に軽く引越しを済ませた方が良さそうですよ、プレシアさん」
「ええ、そうね。リニスに念話で連絡しておくわ」
それにしても本当に嬉しそうですね。私は学校なんて面倒としか思えませんが・・・まぁ初めての学校みたいですし、仕方ないかもしれませんね。
願わくばこのまま魔法なんて関係ないイベントだけが続いてくれれば嬉しいんですけどね。
そして私を過度に巻き込まなければなおベストです。とはいえ・・・
「杏お姉ちゃんもいっしょに学校いこうね!」
「うん、杏も一緒。面倒とか言いそうだけどね」
「確かに面倒ですけど学校にはちゃんと行ってますよ」
巻き込まれるのか確実なんでしょうけどね。ちょっと面倒です。
そして二日後の転入時、フェイトさんやアリシアちゃんと私の出会いを聞かれたり学校の案内を任されてしまったり、そこから世話焼きなバニングスさんと月村さんに関わったりと面倒事がありました。
そして遠藤さんに「松田さんに友達が増えた!?」と大いに驚かれたりしました。失礼ですよね。
あ、バニングスさん達にも友達になろうと言われたんですが・・・
「二・三人以上居ると付き合いが面倒そうなので遠慮しますね」
「なっ!?」
「め、面倒なだけで友達を拒否されちゃった・・・」
「杏、それは流石に酷いと思うよ」
「まあ松田さんらしいけどね」
そんなこんなで結局友達にされてしまいました。二人のお嬢様と友達に・・・面倒な事に巻き込まれなければいいのですが。
ところで高町さんはまだ戻らないのでしょうか。プレシアさんに事前連絡する様に言った方がいいでしょうか。・・・いや、面倒なので放っておきましょう。
暫くしたらプレシアさんが出頭して判明するでしょうし。