ミッド観光の発端となったのは、はやてさんの発言でした。
「リンディさんが管理局の見学に来て見ないかって言っとったで~」
恐らくなのはさんやフェイトさんが管理局に入ってくれれば助かるという思惑があったんでしょうが、本人達もはやてさんやプレシアさんの職場は気になっていたらしいので行く事になりました。
そこで、いっその事みんなで観光旅行に行こうという話になりまして・・・何故か私も参加する事態になってしまったという事ですね。
「でも管理局の見学は後回しなんですね」
「せっかくはやての休暇に合わせたのに、わざわざ職場に行くなんて可哀想じゃない」
「私は別に構わへんけど」
「ワーカーホリックですもんね」
「その若さでそれは問題じゃないかしら・・・」
それはともかく観光ですね。
私達が現在来ている所はミッドチルダの中央都市である、クラナガンという街です。
ここはミッドチルダで一番大きい都市らしく、ここに来たら大抵の事は出来るみたいです。時空管理局の地上本部もあるらしいので、きっと治安もいいんでしょうね。お膝元ですし。
「ふと気になったんですが、ミッドチルダって一国が世界を統一してるんですか?」
「一応ベルカ自治区が存在しとるけど、基本的にはそうやな」
凄いですねミッドチルダ。世界統一なんて偉業を達成していたとは。まあそれくらいでもないと次元世界の平和を守ろうなんて思いませんか。
ともかくそれ程のものなら魔法関連の事件に巻き込まれるなんて事は無いでしょうね。
『---』
「そう、思ってたんですけどね・・・」
「どうしたの?」
「いえ、違法魔導師がこっちに逃走してきているとそこの木に教えて貰ってしまいました」
「・・・私達、魔法に関わると途端に事件体質になる気がするよ」
「どちらかというと杏お姉ちゃんが、かな?」
「私のせいですか」
でも思い返してみると何らかの事件が起きる度にそれに関わっている自分が居るんですよね。あ、誘拐事件もありましたから、魔法じゃなくて非日常関連に関わったらでしょうか。
・・・やっぱりミッドチルダ観光なんて来ない方が良かったのでは?のんびりする事も出来なさそうですし。
ここ最近大きな事件に遭遇していなかったせいで油断していたのかもしれませんね。
「とりあえず巻き込まれたら面倒なので・・・皆さ-ん、その悪人を捕まえて下さーい」
『---』
「杏ちゃんはそれで済むんだもんね・・・」
「平和の為に汗水垂らして働いている管理局員に喧嘩売ってる様なものよね」
「知りませんね」
事件に巻き込まれる前に解決出来たんですからそれでいいじゃないですか。深く考えたらダメですよ。
『---』
「おぉう、違法魔導師を追っていた管理局員さんが負傷したみたいです。結構大怪我みたいですよ」
「なんやて!?い、急いで治療せな!」
「私も手伝います!」
「・・・私達はどうしましょうか」
とりあえず、管理局員さんの治療の為に向かったはやてさんとリニスさんをその場で待つ事になりました。
はやてさんが居ればどうにでもなるでしょうね。最強魔導師ですし。
暫くして二人が戻ってきたので本格的に観光開始です。ちなみに負傷した・・・ティーダさん?ははやてさんの魔法であっさり治療完了したらしいです。
その後本来ならはやてさんも一応着いて行った方が良かったらしいのですが、せっかくの休日なので後から行く事になったらしいです。
さて、まずは空腹を満たす為にどこかで食事をしようという話になりました。私もそれなりにおなかが空いています。
はやてさんがオススメの店を紹介してくれるとの事だったので期待していたんですが・・・
「何故日本食料理店なんでしょうか」
「でも美味しいで?」
いや美味しいのはいいんですが、どうせ異世界に来たんですから異世界らしい料理が食べたかったんですよね。
ほら、聞いた事の無い魚を使った料理とか、よく分からない調理法で焼いたお肉とか・・・ちなみに私は両親のお土産のおかげでゲテモノもある程度は食べられます。
「でも料理に関しては地球の西洋と似たり寄ったりで、あまり違いは無いわよ?」
それはガッカリですね。異世界のくせに。
「珍しい料理を食べたいなら他の管理世界に行った方がいいと思うで」
「それは面倒ですね・・・」
「私はちょっと気になるかも。他の世界のケーキとか食べてみたいし」
フェイトさんは研究熱心ですね。でもフェイトさんが他の世界のデザートを作れる様になったら・・・良いですね。応援しましょう。
そして私に美味しい異世界ケーキを食べさせてください。
そんなこんなで結構美味しい日本食を皆さんで食べました。さて、観光再開です。