温泉最高です。特に露天風呂が最高です。
ここ海鳴温泉は露天風呂に混浴のお風呂がありますが、混浴ではない露天風呂もあるので助かります。
外壁の向こうから流れ込んでくる涼しい風を顔に感じながら、暖かい温泉に身を浸かってひたすらボーっとする・・・これほど幸せな事はそうそうありません。
難があるとすれば今が夏である事でしょうか。個人的には冬の露天風呂が好きなので。あの温度差が気持ち良いですし、雪が降ってたらもう最高ですね。
・・あ、今回に限ってもう一つ難がありました。
「ほほー、フェイトちゃんの成長がここまで早いとは思わへんかった・・・」
「ちょ、ちょっとはやてどこ触って・・・ひゃ!?」
「はやてさんはちっちゃいよね。杏お姉ちゃんと同じくらい?」
「身長は同じくらいじゃないかな?」
「っていうかはやてはいつまでフェイトの胸を触ってるのよ」
「アリサちゃん、そんな事言ったら・・・」
「じゃあ次はアリサちゃんやー!」
「しまった!?」
「はやて落ち着け、流石に暴走しすぎだ」
やかましい・・・活気があるのは嫌いではありませんけど、うるさいのは勘弁して欲しいです。
しかし現状温泉が貸切と変わらない状態ですし、特に問題にならないせいで注意するものアレなんですよね。何より面倒ですし。
今は子供組だけですけど、これで大人組まで居たらもっと騒がしく・・・いや、流石に大人組は注意してくれますかね?
「杏ちゃん、やかましいって顔してるよ」
「やかましいですからね。温泉はもう少しゆっくり入るべきです」
「お姉ちゃんも似た様な事言ってたよ」
希さんだけは唯一のんびり入っててくれています。いい人です。きっと温泉好きだというお姉さんに教育されているんでしょう。
もし会ったらちょっとお話してみましょうか。どんな人か気になりますし。
「うぅぅ・・・散々な目に会った」
「おやフェイトさん、脱出できたんですか」
「お疲れ様、フェイトちゃん」
「ありがとう。疲れたよ・・・」
という訳で三人でのんびりと雑談しながら温泉を満喫です。平和ですねぇ・・・
「そうそう、そういえばフェイトさんが森の中でツチノコっぽいものを見かけたらしいですよ」
「え!?本当に!?」
「そ、そんなに食いついてくるんだ。希ってそういうのに興味あるの?」
「え、あ、いや、あはははは・・・」
この反応は・・・いや、いけませんね。こういう場合には深く考えない方がいいです。
流石にUMA愛好くらいなら大した問題にはなりませんけど、本人が隠したがっている様なので追求したりしてはいけません。・・・何よりまた面倒な事になったら嫌ですし。
散々とんでもないイベントに遭遇してますし、たとえ希さんの興味に関する話でも無理に関わったらどんな事に巻き込まれるか・・・校庭に円を描いてベントラーとか勘弁ですよ?あ、それUMAじゃないですね。
温泉から上がりました。明るいうちから入っていたのでまだ空には太陽が存在しています。希さんはご自分の家族の下へと戻っていきました。
さて、夕飯の時間まではあと一時間少しらしいです。という訳で・・・
「ちょっとツチノコに関して情報収集でもしましょうか」
「にゃ?温泉に入ったのにすぐ外に行くの?」
「っていうか何でツチノコ?」
「さっきフェイトが見かけたんだって」
みんな微妙に興味があるみたいですね。
「とりあえず外には出ませんよ。私は外出しなくても聞き込みが出来るので」
「あ・・・確か植物とお話が出来るんだよね」
「こういう時に杏のソレは卑怯よね・・・」
「何かいい情報があったら私がサーチャー出してあげるね」
「ありがとうございますフェイトさん。その時はお願いします」
という訳で客室から見える範囲内の植物みんなに色々聞いて回る事に。
「(・・・知りませんか?)」
『---』
「(んー、そちらの木の方は?)」
『---』
「(見てませんか・・・でも聞いてはいるんですね)」
いまいち捗りませんね。ちょっとだけ期待していたみなさんも今はもうトランプを始めてますし。
「(・・・という訳なんですが、何か情報はありませんか?)」
『---』
「本当ですか!?」
見た事があるという返答に思わず叫んでしまいました。ツチノコは実在するのかもしれません!
「え、何?もしかして何かわかったの?」
「ほ、本当にツチノコが居るの?」
「ちょっと待ってください。今詳しく情報を聞きます」
『---』
目撃情報が現れ始めたのは去年の夏頃。どうやら河原付近を主な行動区域にしているらしく、その辺りの植物に聞けばきっと多くの情報が得られるだろうとの事です。
今情報を聞いている雑草さんが見かけたのは今年の二月付近の事で、何やら不思議なオーラの様なものを放ちながらあちこち這いずり回っている蛇の様な生き物を見かけたらしいです。
その姿はやはりツチノコの様に不思議に膨らんだ胴体を持っているらしく・・・うぅむ、これはかなり有力な情報なのでは?
というかツチノコが不思議なオーラを放つってどういう事でしょう?
「もしかして、以前ちょっとだけ考えた説が当たりなんでしょうか」
「説?」
「はい。他の世界に居る魔法的な生物がたまたま地球に紛れ込んだのがUMAの正体なのではないか、と」
そう説明すると他の皆さんは納得したのかそれぞれ頷きました。この仮説は結構当たってそうですけど、どうでしょうか?
「ともかく場所の予想はつきました。フェイトさん、私のお昼寝スポット辺りにサーチャーをお願いしていいですか?」
「うん、まかせて」
あの辺りでフェイトさんはツチノコを見かけましたし、あの辺も川の近くなので付近に居る可能性はそれなりに高い筈です。
とりあえずサーチャーの映像を全員で見ているんですが・・・気が付けば大人組の人達も見てますね。話を聞いていたんでしょうか。
「それにしても便利ですよねサーチャー。私の能力と合わせたら無敵じゃないですか」
「杏が情報を得て、フェイトがサーチャーで調べる・・・確かに便利よね。探偵にでもなれるんじゃないかしら」
「それに杏は映像越しでも生放送なら会話も操作も出来るしね」
「「「「えっ?」」」」
松田家とテスタロッサ家以外全員絶句しました。あれ、話してませんでしたっけ?まあどうでもいいですね。今はツチノコです、ツチノコ。