現在私とアリシアは二人っきりです。何気にこの二人だけが家に残るというのは珍しかったりします。
普段ならアリシアちゃんはフェイトさんと一緒に行ったでしょうけど、疲れて行かなかったという事はよほど闇の書弄りが楽しかったという事でしょうか。
現に今はソファーに寝そべってふにゃふにゃになっていますし。というか勝手に私の足で膝枕にしないで頂きたいんですが。
「ん~、杏おねえちゃんのひざまくらって、けっこうきもちいいかも・・・」
うん、ちょっと嬉しかったので許してあげましょう。ふふっ。
「それにまえからおもってたけど、このソファーもきもちいいよねぇ」
「そうでしょうそうでしょう。私が一日の大半をダラダラする大事な家具ですから吟味したんですよ」
「わたしもほしいかも・・・」
「ほぼ毎日こっちに来てるのに新しく買うんですか」
というかほぼじゃなくて毎日ですよね。向こうの家って人気無さ過ぎだと思いますけど、配達とか来たらどうするつもりなんでしょうか。まさか荷物もこっちに来たりしませんよね?
・・・そんな事より、いい加減足が痺れてきました。いくらジュエルシードで最低限の筋肉を維持しているからといっても、基本的に私の体は貧弱なんですから負担をかけないで貰いたいです。
自業自得?知りませんね。
それにしても、リニスさんもフェイトさん達も随分と説明に時間がかかってますね。闇の書に関して説明しているリニスさんは仕方が無いのかもしれませんけど、フェイトさんの方はそこまで詳しく説明する理由も無いでしょうし・・・
せいぜい「闇の書の守護騎士に襲われたけど止めて、ついでに頼まれたので安全な物に改造しました」程度で済むと思っていたんですが・・・
「そこの所どう思いますか?」
「ロストロギアをかいぞーしたって言ったら、杏おねえちゃんになれてない人はかたまるとおもうよ?」
「ああ、そういうものなんですか」
「うん、たぶん」
そうでしたか。そういえば守護騎士も呆然としたりしてましたし、そうなんでしょうね。私もテスタロッサ一家もすっかり慣れていたので全然気にしていませんでした。
この能力を私と両親しか知っている人が居ない時はもう少し自重していたんですけどね・・・うーん、その内無意識に使って誰かに見られたりしてしまいそうです。気をつけないといけませんね。
「「ただいまー」」
「「おじゃまします」」
「おじゃましまーす」
あ、フェイトさん達が帰ってきましたね。他に誰か着いて来ているみたいですけど。一人はなのはさんみたいですけど・・・後の二人はどこかで声を聞いた事がある様な・・・?
というかフェイトさん物凄くナチュラルにうちにお客さんを入れましたよね。ここ私の家なんですけど。いや、別に問題は無いんですけどね。
実質ここは松田家兼テスタロッサ家と化していますし。
フェイトさんたちがリビングまで入ってきました。やはり一人はなのはさんでしたね。
あとの二人は・・・あれ、何処で見たんでしたっけ?どこかで見た覚えはあるんですけど。
「杏ちゃん、また何かとんでもない事したって聞いたけど・・・」
「大した事では無いですよ。ちょっと弄っただけですし」
「聞いただけで頭が痛くなる様な改造をしておいてちょっとは無いだろう・・・ともかく、直接話を聞かせて貰いたい。闇の書は管理局にとって見過ごせない件だからな」
「そうですか?まあそれはさておき、もうすぐリニスさんが帰ってくるのでその時にでも話しますね。リニスさんが」
「君じゃないのか・・・」
「面倒ですし。あ、多分闇の書も借りてくると思いますよ。リニスさんのデバイスマイスターとしての血が騒いでるらしくて色々弄りたいみたいです」
「・・・どこから、どこから突っ込めばいいんだっ・・・」
「クロノ、きっと考えたらダメなんだよ。フェイトから話を聞いた時点でなんとなく判ってたじゃないか」
「しかしなユーノ・・・」
あ、そうでした。確か黒い人は宇宙戦艦アースラに乗った時に見た時空管理局の人でしたね。それでこっちの人は・・・フェレットの人でしたっけ?今日はフェレットじゃないんですか。
まあともかく役者が揃うまではゆっくりしてましょう。焦ってもいい事はありませんよ?
「あ、そうでした。面白そうなので今度闇の書を弄った経験を生かしてなのはさんのデバイスに闇の書にあったプログラムを組み込んでみたいんですけど、どうでしょうか?」
「にゃ!?レイジングハートを!?」
「ちょっと待て!?何とんでもない事をしようとしているんだ!?」
「っていうかそんな事出来るの!?」
あれ、物凄く驚かれてしまいましたが。もしかしてまだ私の認識が甘かったんでしょうか?
ただ守護騎士プログラムの一部とユニゾンプログラムを詰め込めるかどうか試したかっただけなんですけど・・・他のプログラムはちょっとよくわかりませんでしたし。
いえ、実際はプログラムに関しては何にもわかってないんですけどね。ただ何となく感覚的に覚えてるもので流用出来そうなのがこのプログラムだっただけで。
この能力のおかげで色々考えるだけで好き勝手弄れますし。いわば過程を飛ばして結果を得る要領でしょうか。
「本当はバルディッシュさんでもやりたいんですけど、あまりやりすぎるとリニスさんに怒られそうですし」
「レイジングハートでもやりすぎたら私が怒るの!!」
「えー」
「にゃああぁぁ!!」
「落ち着いてなのは。はい、なのはは紅茶で良かったよね?」
「あ、うん。ありがとうフェイトちゃん」
流石フェイトさんです、気が付けば飲み物を用意しているとは。
でも翠屋の紅茶を飲んでいるなのはさんが市販のティーバッグで満足できるんでしょうか?・・・あ、普通に飲んでますね。良かったです。
・・・しかしリニスさんが遅いです。何かトラブルでもあったんでしょうか?フェイトさんにお願いして念話で連絡でも---
「ただいま戻りましたー」
「おじゃましますー。ほら、みんなもちゃんと挨拶せなあかんで」
「「「「「おじゃまします・・・」」」」」
あれ、リニスさんはともかく何かいっぱい来ましたね。守護騎士と管制人格さんの声は判りましたが・・・残りの一人が主なんでしょうか?声を聞いた限りだと女の子みたいでしたけど。
てっきり主は男の人だと思ってましたが、今思い返してみれば誰も主が男だって言ってなかったですね。 守護騎士のメンバーを見て勝手に男性向けかと思ってました。
ほら、こういったものってやっぱりハーレムがどうとか考えそうじゃないですか。漫画とかだと大抵そんなものですし。
「杏、闇の書の主の子がお礼を言いたいと言っていたので連れてきま・・・なんで時空管理局の執務官が?」
「なっ!?」
「管理局だと!?」
「『落ち着いて大人しくしていなさい』・・・じゃあ後は全部お願いしますねリニスさん」
「丸投げですか!?」
「勿論です」
「杏おねえちゃーん、ひまだからゲームしよー」
「そうしましょうか」
「ちょっと・・・はぁ、まあいいです」
よし、それじゃあ何のゲームをしましょうか。