「少しは自力で動いたらどうですか!」
「お断りします」
「そんなに怠けてばかりで、筋肉が弱って大変な事になりますよ!」
「ジュエルシードでサポート済みです」
「・・・そんな事だと、将来どうやって働くつもりですか!」
「私は宝くじの抽選生中継で抽選番号を操作出来るんですよね」
「そ、それは卑怯です!倫理的に問題があります!」
「私は倫理より欲望に生きます」
「リニス、杏のは何言っても無理だと思うよ」
「杏おねえちゃんのダラダラはもうなおらないよ」
「しかし、しかしですねぇ!流石にこれは!」
どうも、松田杏です。夏休み中に際限無くだらけきっていたら、本日休日のリニスさんに怒られました。他人の家庭の方針に口を出すなんて問題ですよね。
まあ私もテスタロッサ家に口を出したのですが、それはそれ、これはこれです。気にしてはいけません。
しかし何が引き金だったんでしょう?寝転がりながらテレビを見つつ夏休みの算数の宿題をしていただけなのですが。
「バルディッシュに計算させて、その答えを鉛筆に書かせるだけで自分は何もしていないではないですか!」
「能力は使ってますが」
「頭を使って自分で解きなさいと言っているんです!アリシアだって自分でやっているんですよ!?」
「よそはよそ、うちはうちという言葉が日本にはありましてですね」
「もう、ああ言えばこう言う・・・」
「あ、やっぱりこの二人は兄妹でしたか」
「昼ドラなんて見ていないで話を聞いて下さい!」
「うるさいですよ」
「ごめんねリニス、もうちょっと静かにしてくれないかな?」
「リニスうるさーい」
「リニス落ち着きなよ。テレビの音が聞こえないじゃないか」
「どうして全員昼ドラ見てるんですかー!!
そんなの面白いからに決まってるじゃないですか。このドロドロっぷりと何度も大逆転する展開がたまりません。
まあ私は今の昼ドラよりも前回の昭和時代を舞台にした昼ドラの方が好きでしたけどね。最終回の色々な投げっぱなしっぷりは認められませんが、それ以外は中々でした。
今の悪くは無いんですけれどね。今後の展開に期待です。
「昼ドラのDVDでも買ってみましょうか・・・」
「あ、私も見たい。買ったら貸してもらえないかな?」
「わたしはアニメがいいなー」
「普通に映画にしないかい?」
「あ、貴方達は・・・」
そうピリピリしない方がいいですよ。人生は余裕を持ってのんびりダラダラ楽しんだ方がお得です。私はそれを両親を見て学びましたから。
・・・さて、昼ドラも終わりましたし、リニスさんが説教している間に算数の宿題も終わりました。次は・・・
「お昼寝します」
「私は・・・もうちょっとテレビ見るね」
「宿題しよーっと」
「散歩でも行こうかねぇ・・・今日は比較的涼しいみたいだし」
「もう、もういいです。私はバルディッシュのメンテナンスでもします。・・・うぅ、こんな生活で大丈夫なんでしょうか。フェイトとアリシアの将来が・・・」
なんとかなります。きっと。ほら、フェイトさんとアリシアちゃんはいざとなれば持ち前の才能を活かして時空管理局に就職したらいいじゃないですか。
今はプレシアさんも勤労奉仕で働いてますし、コネの一つくらいなら出来ると思いますし。
まあその時空管理局にどんな職種があるのかわからないんですけどね。興味もありませんし。
とある日、以前すずかさんの家に遊びに行ったので今度はアリサさんの家に行く事になりました。勿論お迎えつきです。
アリサさんは苦手です。リニスさんは何だかんだで口だけに留めてくれるので楽なのですが、アリサさんは容赦なく実力行使に出ます。流石にそこまでされたら動かざるを得ません。
・・・という訳でバニングス家へやってきたのですが、月村家に負けず劣らず大豪邸です。フェイトさんとアリシアちゃんの・・・実家?の時の庭園も結構な豪邸ですし、私の身の回りの人は皆お金持ちですね。
なのはさんの家はそれなりの大きさがあるけど普通の家と言っていましたが・・・道場のある家は普通じゃないです。敷地面積どれくらいなんでしょうか。
それはともかくアリサさんの家です。
アリサさんはすずかさんと双璧を為すように犬が大好きで、やはりバニングス家も犬天国と化していました。もふもふです。
うぅむ、やはり犬も可愛いですね。難点は吠えるのがうるさいという事でしょうか。躾られているのであまりうるさくしないのですが、流石にこうも犬が多いと至る所から犬の鳴き声が聞こえてきます。
これで可愛くなければ帰っているところです。もふもふです。
「杏って動物が好きなの?すずかの家でも猫にもふもふしてたけど」
「気持ち良いじゃないですか、もふもふ。個人的には猫のもふもふの方が好みですけど」
でもペットは飼いません。ペットの世話なんて数分で投げ出す自信があります。
アルフさんやリニスさんみたいに全部自分でやってくれるなら喜んで飼いたいのですが、そんなペットは居ませんしね。だからといって魔法に関わって使い魔を作るというのはちょっと勘弁ですが。
まぁリンカーコアが無いので不可能なんですけどね。多分。
とある日、今度はなのはさんの家に行く事に・・・と言いたい所ですが、家ではなくご家族が経営している翠屋へ行く事に。お迎えはありませんでしたが、美味しいデザートの為なら仕方ありません。
といいつつも衣服や靴まかせで殆ど自力では歩いていませんが。難点は暑さだけですね。嫌になります。
「私の両親もそうですけど、海鳴に住んでいる大人の人は何故こうも若い人ばかりなんでしょうか」
「にゃ、にゃはは・・・そういえばそうだね」
「母さんもアリシアが生き・・・えっと、海鳴に来る様になってからちょっと見た目が若返ったしね」
「フェイト・・・」
フェイトさん油断しましたね。アリシアちゃんがニヤニヤしながら見つめてますよ。
というか自分の生死に関わる話をニヤニアしながら見るとは恐ろしい小学一年生ですね。死んで生き返ったことをこうも軽く簡単に受け止めるなんて。
実感が無いだけなのかも知れませんが。
なのはさんのご両親がサービスしてくれるという事で 、オススメのシュークリームを食べてみました。
これは凄いです。人気の店と聞いていても混んでいたら嫌なので来ていませんでしたが、これなら混んでいても納得です。こんなものが都会じゃなくて海鳴で食べられるとは・・・
これの為なら多少歩くのも許容出来るかもしれません。でもやっぱり面倒なので食べたくなったら誰かに買ってきて貰いますか。
フェイトさんとアリシアちゃんの分も買うと言ったら喜んで買ってきてくれそうです。満面の笑みで食べていますし。
「ふわぁ・・・」
「へぇ・・・」
「くすっ」
何か三人娘に笑われました。何だというのでしょうか。
「あんたの満面の笑みが珍しかっただけよ」
「にゃはは、杏ちゃんっていつもだるそうな顔してるから」
「普段から笑ってればいいのに」
・・・なんでしょうこの妙な恥ずかしさは。勘弁してください。
そんなこんなでイベントをこなし、残りの夏休みは殆ど自宅の中で過ごしつつも満喫しました。そして早くも明日から二学期です。
このまま人生ずっと休んでいたいのですが、義務教育くらいはきちんと終わらせないと流石に恥ずかしいので頑張りましょう。
休みさえしなければ良いんですから。たとえ寝ていようが話を聞いてなかろうが。あ、テストもちゃんとしますよ?
さて、このまま平和が続くといいのですがね。