春とはいえ、早朝の空気はまだまだ肌寒い。
道場の板張りの床の上ともなれば、足元から広がるそれは刺すように鋭い。
「ふっ……!」
それでも、レイジングハートと同じ位に切りそろえられた棒を教えられた通りに、一心不乱に桃子は振る。
寒さが気になるどころか汗が鬱陶しく感じるが、それを拭うこともせず、素振りを繰り返す。
今までのままではプレシアと対等に戦えるまでにはいかないのだ。技術がどうこうという次元ではなく、彼女のむき出しの心の前にして縮こまってしまった自分のままでは、戦いという場まで自身を押し上げることができない。勝負という対等の位置に上がれない。
レイジングハートがあんなボロボロになってしまったのだって、彼女の言葉にいとも簡単に翻弄された自分に責任がある。
だから、体の奥に溜まったもやもやを追い出し、心構えを作り上げる。
そのために選んだのが、道場であり、素振りだった。
「……」
戸口に寄りかかって、汗を散らす桃子を見詰める影が一つ。
真剣そのものの桃子はそれに気づくこともないし、彼も別になにか声をかけようというわけではない。腕を組み、ただただその姿を眺めているだけ。
やれやれと、恭也は息をつく。
確かに高町桃子という女性は母親であるということを考慮しなくても芯がしっかりしていると彼自身も思う、ただそれゆえに少々頑固になってしまうのが欠点であるが、これはしかたのないことと言える。
なぜ母がこんな時期に突然護身のためという名目でこんなことを始めたのか、それは知らない。もう彼女の息子になって長い恭也だ、たぶん教えてくれないだろうとぼんやりながらわかっていたので聞こうとは思わないが、なにかあれば止めるのが自分の使命だとも思っている。
太刀筋はその人の心を映すという。それは得物が棒になっても代わらず、素振りの音や棒の筋道を見ればたいてい心のうちがわかる。
だから、もしなにか悪いものが混じっていたら止めようと、そう思っていたのだ。
「……」
恭也は音も立てず戸口から離れた。
再びやれやれと、今度は頭を振った。
――父さんのことをとやかく言えないかもな。
太刀筋は彼女の性格を現すかのように真っ直ぐで、迷いがなかった。
経験と鍛錬の量が自分を凌駕している父がなにも言わないのに、最近になってようやく太刀筋から心が読み取れるようになった自分では無理からぬかもしれない、とも思うが、どこかはがゆく感じて仕方ない恭也でもある。それでも結局、彼は母を止めることはせず、彼自身が少々母に甘いのではないかと思っていた父と同じようにそっと見守るしかなかった。
それでもまあ、ちょっと背中を押す程度に手伝いをするのはいいだろうと自身を納得させる。さしあたって母の代わりに家族の朝食の準備をしておこうと恭也は母屋へと戻っていった。
――殺人料理しか作れない美由希が変な気をおこさないうちにな。
RPGゲームを一度でもやったことがある人間ならば即座にラスボスやら魔王やらの部屋を思い浮かべるような、玉座の間。
リニスはこの部屋があまり好きではなかった。
ただでさえ次元空間内に停泊している庭園は薄暗いというのに、暗い照明で淡く照らすだけという「つまづかなければいい」といった程度の明かりは、気分をげんなりとさせる。
それでも来なくてはならないのは、ひとえに自らの主が出立、帰還共にこの場所を選ぶからである。
ただの気まぐれによる雰囲気作りなのか、自らの決意を思い出すための習慣なのか、それは彼女のあずかり知らぬところで、一つ言えることは、
「自分で時間を指定したんですから遅れないで下さい、まったく……」
無人の部屋の中、好きでもないのにため息が漏れる。
使い魔ではあるが、リニスとて主のプレシアと四六時中一緒にいるわけではない。というより、あまりプレシアがリニスを長い間身辺に置くことを好まない。使い魔に一室を与えるという点では待遇がいいと言えなくもないが、使い魔と主の間にある精神リンクも余程のことがない限り切られたままだ。今だって、念話を送っても応答がないためにリニスは待ちぼうけを食っている状況である。
また、ため息が出た。
プレシアは全部を自分で抱え込もうとする癖がある。それも重度の。
彼女の使い魔として誇りを持つリニスにしてみれば、主を支えるべき自分が信頼されていないというのは悲しい。
何より、自分はプレシアの目的の全てを知るわけではない。この言い方は語弊があるかもしれない、けれどプレシアから全てを打ち明けられたわけではないのだ。
最終目標だけはわかっている。これは家族全員の「約束」だ。そしてそのためにジュエルシードを集めていることも知っている。だが、そこからどうするのか、それだけはプレシア自身が一切口を割ろうとしない。
「あなたは知らなくていいことよ」
以前聞いた時はそうそっけなく言われただけだった。だから、言い知れぬ不安だけが残る。
背後でドアがきしみ開く音によりリニスの意識が思考の海から戻る。
「なにを…………プレシア、本当に大丈夫なんですか?」
振り向くまでもなくやってきた人物の正体はわかるため、振り向くと同時に遅れたことに文句をつけようとしたリニスだったが、プレシアを見ると心配の言葉が先に出た。
「大丈夫もなにも私には問題はないわ」
何事もないように言ってのけるプレシアではあるが、毎日彼女と顔を合わせているリニスにその変化がわからないわけがない。つかつかとプレシアに近寄ると、その顔にびっと指を伸ばす。
「なにが問題ないんですか、いつもより化粧濃くしてごまかそうとしてますけど目の下に隈がありますし、全体的に顔色が悪いじゃないですか」
先ほどまでの思考もあって、隠し通そうとするプレシアにいつも以上に苛立ってしまう。
「やっぱり、最近の活動のせいで体の調子が悪化しているんじゃないですか?」
「自分の体のことくらい自分が一番わかっているわ、気にしないで」
突きつけられた指を払い、プレシアは部屋の中央へと歩いていく。
患っている病により元々優れているとは言えなかった彼女の顔色はさらに血の気が薄く病的で、衰えを見せない瞳にさす意志の光がギラギラと輝く。
「ですが、やはり少しくらい休息を取ったほうが……」
「何度も言わせないで、私にはなにも問題はないわ」
食い下がるリニスの言葉を無視して、背を向けたままプレシアは転移魔法を展開する。
「これも何度も言っているけれど、私たちに時間はないのよ。それはあなたもわかっているでしょう?」
「……はい」
結局従うことしか出来ず、力なくリニスは頭を垂れる。
ぎり、と知らぬ間に歯と歯が鳴った。
「まあ、あなたが休みたいというなら私は止めないわ……それならそのままそこにいなさい」
「待ってください!」
リニスは弾かれたように顔を上げる。
いつの間に座標指定が終わっていたのか転移魔法は発動直前だ。
「行かないわけがないでしょう!!」
怒鳴りながらギリギリで魔法陣の中へ走りこむ。
瞬間、紫色の輝きが増し、視界を覆う。
最後にリニスの目に入ったのは、すぐ近くにいるのに今にも自分を置いてどこかへ消えてしまいそうなプレシアの背中だった。
夕方の海鳴臨海公園。
海に沿ってたてられているフェンスに身を任せ、桃子は沈み行く太陽を眺めていた。
その胸元には、すっかり全快したレイジングハートが揺れている。
『どこの世界でも、夕陽はあんまり変わらないものですね……』
『あら、そうなの?』
ユーノに念話を返す。
肩の上のフェレットがむくりと後ろ足だけで立ち上がった。
『まあ、世界によっては太陽が二つだったり色が違ったりとか色々ありますけれど、夕陽を眺めているとどこか寂しい気分になるのは変わりません』
『そっか……』
潮風に吹かれて散る髪を、そっと手で押さえる。
空の青に釣られてか海の青までがほんのりと橙色に染まっている景色は確かに郷愁の念を誘う。
『やっぱり、ユーノくんも帰りたいなぁって思ったりする?』
『どうでしょうね。僕らスクライアの一族は遺跡発掘が生業なので、定住をしないであっちこっちの世界をいったりきたりなんですよ。だから、故郷っていう感覚がいまいちわからなくて』
『だったら、ご両親に会いたいとか思ったりは?』
『ああ、僕……親はいないんです』
『え?』
ユーノの一言に耳を疑い、桃子は肩の上にいる彼に視線を向けるが、彼は海の方をじっと眺めたまま動かない。
波が岸に押し寄せる音だけが桃子の耳に響いた。
『いいんですよ。親がいた記憶すら僕にはないんですから。親がいなくて悲しいもなにもいるのといないの差すらわかりません。それに、スクライアのみんなが家族みたいなもので寂しく思ったことなんてないです』
明るい調子でユーノは言ってくるが、それでも桃子は申し訳なく思う。
フェレットとは言ってもユーノの中身は人間と変わらないし、子どもである。確かに彼の言う通り、親がいないこと自体は気にしていないのかもしれないが、いわゆる普通と違うことを子どもが気にしないわけがない。
『でも、ごめんなさいね』
『だからいいって言ってるのに……』
おかしそうに笑うユーノだったけれど、桃子は無理矢理浮かべた笑みを返すのがやっとだった。
『それに、ジュエルシードを放置したままじゃ申し訳なくて帰れないですよ。というよりこのまま帰ったらなにをされるか……』
ユーノはなにを想像したのかぶるっと全身を震わせる。
『あらら、それじゃあユーノくんのためにも桃子さんもっとがんばらなくちゃね』
『いえ、そんな。無理をしない程度でいいんですよ』
『これでも家族が欠けた時に感じる思いはよくわかってるんだから。きっとスクライアの人たちみんなユーノくんが無事に早く帰ってこないかと待ってるわよ』
『そんなものですか?』
『そんなものよ』
さて、と一言呟き、桃子は伸びをする。ぽきり、と背中が音をたてる。
その後は大きく深呼吸。潮の香りがいい刺激だった。
『よっし、気分転換完了! 今日もジュエルシード探索がんばろう、おー!』
右手を天に突き上げた丁度その瞬間だった。
桃子の肌に、もう嫌という程感じた感覚が刺さる。
『これは、ジュエルシード!』
『え、えーと……さ、幸先のいいスタートよね、うん』
なぜか桃子のことを待っていたかのようなタイミングで励起するジュエルシード。しかも桃子から程近い位置。
ポジティブに捉えようと頑張るものの、どうも釈然としないものを感じる桃子とは対照的に、ユーノはきびきびとなすべきことをしようと動き出している。
「封時結界発動!」
潮風も波音も静まり、世界が少しばかり灰色がかった色合いに変化する。
「桃子さんもレイジングハートを!」
「そ、そうね……」
肩透かしをくらった感じでどうも調子が出ないなぁと思いながら、桃子は首元から取り出したレイジングハートを掲げる。
「Stand by ready. Set up.」
桃色の光に一瞬包まれ、桃子は装いを変える。
いい加減に嫌々ながら付き合いが長くなってきた白と青のバリアジャケット。どうも最近違和感を覚えることが少なくなったような気がする、という危機感がちらりと桃子の頭を掠めた。
「って、いけないいけない。今はとにかくジュエルシード優先よね」
頭を振って、気持ちを切り替える。
とにかく、今は危険がないようにジュエルシードを封印。町に被害も出ないしユーノを早くスクライアの家族のところに返すこともできて一石二鳥、問題はバリアジャケット変更を拒否するレイジングハート以外にはないと気合を入れる。
「さ、行きましょう!」
「はい!」
「Go ahead!」
レイジングハートをしっかりと握り、駆け出す。
海沿いを暫く走り続けてすぐ、道の中央に平穏と間逆の存在がいた。
「あれね!」
魔力による感覚も、視界のそれがジュエルシードの暴走体だと告げている。
道のど真ん中をふさぐようにいるのは一本の巨大な木。しかし、以前の町中を覆った木やビック猫といったただサイズが大きくなっただけのようなものとは違った。
「――――!!」
くぐもった、野太い呻き声があがる。
幹の途中からは、夏の怪談に出てくる幽霊のような形の腕が生え、幹本部には目と口かと思ってしまうような洞が三つもある。
「注意してください。最初の頃と同じでたぶん抵抗してきます」
「そうみたいね」
相手から目を離すことなく、ユーノに桃子は頷き返す。
「でも、色々と練習してきた魔法を実戦で試してみるチャンスよね」
「Divine shooter.」
正眼の位置に構えたレイジングハートのコアが煌くと、桃子の周囲に桃色の魔力弾が四つ構成される。
「まずはこて調べから……シュートっ!」
レイジングハートを振り下ろすと同時に、螺旋を描いて四つの魔力弾は木のジュエルシードモンスターへと向かっていく。
「――!?」
魔力の反応を感じ取ったのか、モンスターは桃子のほうへ振り向く。しかし向く方向は変えられても、元々が木ということもあり移動はできない様子のモンスター。
これなら当たる、そう思った桃子だったのだが、桃色の尾を引く魔力弾はもう少しで直撃というところで掻き消えた。
否、正確にはかき消されたのだ。
「ええっ!?」
「根っこ!? そんな攻撃方法なんて!」
地中からまるで触手のように飛び出てきた四本の太い根により、ディバインシューターは防がれてしまう。
対プレシアの牽制用として作ったとはいえそれなりに威力があるそれを弾かれ桃子は微妙にショックだった。
「――――!!」
そんな桃子の心中など知ったことではないモンスターは、お返しとばかりにその四本の根を伸ばして桃子へと攻撃せんと迫ってくる。
「Flash move.」
レイジングハートの発動した瞬間移動魔法で一本目は避ける。
ユーノとは離れてしまったが、無事に攻撃を避けることができていたのは視界の端で確認したし、リニス相手に立派に立ち回れる彼なら大丈夫だろうと桃子は桃子でモンスターの相手に集中することにする。
「……っとと」
移動先にすぐさま二本目と三本目と連続が襲い掛かってくるが、当たらないようにしている訓練とはいえ、士郎の振るう高速の小太刀を向けられる経験を何度も繰り返している桃子は、ひるむことなく体が動く。士郎や、打ち込み合っている時の恭也や美由希に比べれば根の動きもゆっくりなこともあり、自分でも驚くくらい冷静に左右へのステップで避けていくことができる。
「む……」
が、モンスターにもそれなりに知恵があったらしく、四本目の根を避けた先に、以前に避けた根が待ってましたとばかりに突っ込んでくる。
反射的に桃子は、レイジングハートを振り上げる。避けられないならば、正面から受けて立つ他はない。
「……はっ!」
習った通り、素振りの通り、体に叩き込んできた型通りに、レイジングハートを打ち下ろす。
彼女の一閃は根と見事にかち合い、その分の反動が桃子にも伝わり、跳ね返されそうになるレイジングハートを抑えるように力を込める。
動きが止まったのはその一瞬だけ、魔力により限界まで強化されていた力により、弾いて攻撃を逸らすのに成功する。
「Nice strike. (いい打撃です)」
「まだ終わってないけどね」
「Flier fin.」
いくら筋力を強化していても、地面に立ち続けるということは無理であり、半ば飛ばされるように宙を舞った桃子は、打ち上げられていた体が落下に転じた瞬間に飛行魔法を展開し上空へ位置をとる。
あのまま飛ばされていれば落下していたであろう地点をみると、待ち構えるようにモンスターの根の残り三本が集まっていた。
「面倒くさいから、まとめて!」
ディバインシューターを弾ききれる程の強度を持つ根が四本もあっては、避けるだけで時間を浪費してしまうため、もっと重い一撃で殲滅しようとする。
くるりと一回転させたレイジングハートを地面に向けて構えると、足元の他、とデバイス自体に魔力の増大・加速を行う環状魔法陣が四つ展開される。
「Divine」
「バスター!!」
桃色の閃光が垂直に大地に降り注ぎ、魔法の直撃以外にも膨れ上がる爆発が集まっていた根の数本をあっけないほど簡単に消し去る。
「――!!!?」
「まだまだ! シュートっ!」
驚きかそれとも衝撃か、幹の体をよじるモンスターに、今度こそと桃子はディバインシューターを再び四つ生み出して飛ばす。
「――!!」
ぼろぼろながらかろうじて残った一本の根を近くに引き寄せてどうにか対応しようとするモンスター。
「僕だっているんだ!」
しかし横合いから伸びる緑色のチェーンバインドがその根に巻きつき自由を奪う。振りほどこうと根は全身で激しく暴れるが、ユーノのバインドはとても固くて外れず、そうこうしているうちに根の横を通り抜けて魔力弾が本体に迫る。
「――――!!!」
「えっ!?」
だが、今度は桃子が驚く番だった。
モンスターが一際高く咆哮を響かせたかと思うと本体の前に青色のシールドが展開され、桃子の魔力弾はまたしても防がれてしまう。
「むぅ……」
『ことごとく邪魔してきますね。面倒です』
うなる桃子にユーノも驚きの抜けない様子で念話を飛ばしてくる。
『色々とやるより、思いっきり正面から打ち抜いたほうが早いみたいね』
『ですね』
一度深呼吸してから、桃子はモンスターの本体へとレイジングハートを構える。
「思いっきりいくよ!」
「All right. Charging.」
全てを打ち抜くべく、練られた魔力が渦をまいて凝縮されていく。
「――!」
「そうは、いかないよ!」
自身の頭上で渦巻く高魔力に危機感を覚えたモンスターは新たに根を数本生み出し、天へ向けて伸ばそうとするが、ユーノのバインドが絡みつきそれをさせない。
根が多いためバインド自体の数も増え、同時に先ほどに比べ強度も低下したため暫くすれば拘束は外れてしまうが、その時間稼ぎだけで十分だった。
根が完全に拘束を抜け出すその前にチャージは完了。先ほどの抜き打ちを超える威力の砲撃魔法の準備が整う。
「ディバイン!」
「Buster.」
飛び出す桃色の砲撃は太く、このレベルの砲撃は始めてであり、反動で跳ね上がりそうになるレイジングハートをぐっと押さえつける。
「――!!」
モンスターの展開する青いシールドと砲撃が衝突。
ディバインシューターではボールをぶつけられた壁程度にしかびくともしなかったが、今度はディバインバスター。先ほどとは違いシールドはへこみ、ひびが走っていく。
「くうっ!」
「――!!」
それでも、あと一歩の威力が足りない。今にも破れそうなのに破りきれない。
ジュエルシードという次元一つを脅かす魔力を秘める宝石から生み出されているが故か、そのシールドの強度もおそろしく固い。
このまま押し切れなかったらどうしようという、浮かんできた嫌な考えを無理矢理頭から追い出す。
「サンダー……」
力比べをする彼女とモンスターのさらに上空。桃子にとっては忘れられない声が響く。
「スマッシャー!」
「――!!?」
いつの間にかモンスターの真上に陣取っていたプレシアも砲撃を打ち込んだ。
モンスターはプレシアの砲撃にもシールドを展開する。
「――!!」
しかし、桃子一人相手でもギリギリだったところに同等の砲撃である。同時展開によりシールド個々の性能は確実に下がってしまう。
そうなれば結果は火を見るよりも明らかだった。
「――――!!??」
今まで鉄壁を誇ってきた青いシールド、その二つが桃色と紫色の二つの砲撃の前にあっけないほどあっさりと割れる。
「――――!!!!」
あっという間に二色の魔力光がモンスターを覆い尽くしていく。着弾の爆煙があがりその姿が見えなくなる中、断末魔の叫びだけが耳に届いた。
「……」
「……」
声をかけあったわけでもないのに、二人同時に砲撃を止める。
暫しの時間が経ち、盛大に巻き上がった煙が消え去る。そこには堂々と鎮座していたモンスターの姿はなく、封印が完了したジュエルシードが宙高く浮かんでいるだけ。
「…………」
「…………」
お互いに視界を交錯させる。
目を逸らすことなく、無言でジュエルシードから離れた地面に降り立つ桃子。ジュエルシードから離れたとはいえ桃子の警戒が解かれているわけではないので、以前のように隙をついて奪取に動くわけにもいかず、プレシアも同じようにジュエルシードから離れた地点に降り立つ。
『桃子さん、僕が隙を見て……』
『だめよユーノくん。リニスさんがまだ姿を見せてないのよ?』
『そういえば……』
今気づいた、とばかりに呟くユーノにそっと念話で囁く。
『あっちもなにかを考えてるんでしょうから、ユーノくんはリニスさんに注意しておいて』
奇襲をしかけたと思ったところをリニスに奇襲されては洒落にならない。桃子の考えていることは納得できるので、プレシアと桃子が一対一というのは不安ではあるが、ユーノはそちらへ警戒を向ける。
桃子とプレシアは、先ほどからずっと視線を逸らさずお互いの瞳の奥を見据えあう。
余裕のある感じであくまで自然体といった様子のプレシアと、レイジングハートを正眼に構える桃子。対照的に見える両者だが、眼前の相手を最大の脅威と認識している点では一致していた。
海沿いで、夕陽に照らされ二人は相対する。
「体……大丈夫じゃないんでしょう?」
ぴくりとプレシアの眉が動く。
「別に、大したことじゃないわ。それにしても敵の心配とは余裕ね」
「なんであなたがそんな体なのに、家族もいるのに必死でジュエルシードを集めようとするのか教えてくれれば、敵にならずにすみそうだけれどね」
家族、というところでプレシアの表情が一瞬だけ暗く歪んだのを桃子は見逃さなかった。
「ねえ、本当に教えてくれないの?」
「ふっ」
下手な冗談を笑い飛ばすような冷笑をプレシアは浮かべる。
「私がはいそうですかとぺらぺら話すとでも?」
「……無理、でしょうね」
言葉とは裏腹に残念そうに、桃子は眉尻を下げ、息をついた。
「あたしは、ただこの町に危害が加わるのは嫌。だからジュエルシードを求める理由を明かしてくれないんだったら、あなたにやすやすとそれを渡すわけにもいかない。ただ、それだけなの。だから、ね?」
わかるでしょう、と語りかけるが、プレシアは鼻で笑い吹き飛ばす。
「もう御託はいらないわ。私たちの接点はただジュエルシードただ一つ。あなたがそれを望み私も望む以上、戦うしかないわ。こんなところに降り立ったのはただこの前みたいに暴走されて困るというただそれだけ」
「……」
汗ばむ手でレイジングハートを握りなおす。
「あなたと話をするためではないのよ!」
「くっ!」
言葉と共に地面を蹴って飛び上がったプレシアのデバイスの先から連続でフォトンランサーが射出される。
飛行魔法を展開し、桃子も空を飛ぶ。距離をとるのではなく、プレシアへ突っ込むように。
「っ!?」
今までの桃子の様子から彼女は自分と同じ射撃・砲撃タイプだと思っていたプレシアは、その予想を外れた動きに驚きの色を滲ませる。それでも、射撃をやめないのは流石である。
「はっ!」
桃子は目の前の最初の魔力弾をレイジングハートを振るってかき消すと、左手を掲げてラウンドシールドを展開する。
次々と後続のフォトンランサーが突っ込むが、防御に天分を発揮するユーノ監修の構成に魔力を多く詰め込んだシールドは破られず、弾幕を突破する。
爆煙の中を切り抜くように突っ切った桃子の正面、クロスレンジの位置にプレシアがいて、次の打撃に向けてレイジングハートを振りかぶる。
「ちっ!」
この距離では射撃も意味をなさないと悟ったらしいプレシアも、桃子の打撃に備えて杖を構える。
「はあっ!」
「ふっ!」
両者が同時に得物を振らんと動き……
甲高い音共にその得物は同時に受け止められた。
「えっ!?」
「なっ!?」
驚愕に目を見開く二人の間。
どこからともなく現れた人物が、レイジングハートを左手で、プレシアの杖を右手の杖で受けとめていた。
「ストップです」
凛とした間の人物の声は女性のもので、よく響いた。
「ここでの戦闘はあまりにも危険に過ぎます」
若葉のように鮮やかな緑色の長い髪を揺らした女性は桃子とプレシアの顔を交互に見た。
「時空管理局執務官リンディ・ハラオウンです。突然で申し訳ありませんが、詳しい事情を聞かせていただきます。どうやらお二人共ミッドチルダ式魔法を使っている様ですし、看過できませんので」
桃子とあまり年が変わらないだろう妙齢の女性であるリンディは余裕のある微笑みを浮かべ、二人のデバイスを抑えたまま徐々に高度を下げていく。合わせて桃子とプレシアも地面へ向かって降りる。
二人がおとなしく一緒に地面に降り立つと、リンディは満足そうに頷いた後、すぐに表情を真剣なものに引き締める。
「まずはお二人とも武器を引いてください。勧告に従わない場合はこちらからの攻撃も辞しません。ですから……」
「プレシア!!」
斜め上方から薄紫色の魔力弾が着弾する。
「誰です!?」
舞い上がる土煙に目を細めながらも、リンディは鋭く攻撃の来た方向を見る。
宙にいるのはリニス。その両脇には今すぐ発射できる準備が整った魔力弾を二つ展開している。
「逃げますよ!」
言葉と同時に準備していた魔力弾を再び打ち込む。
「くっ!」
再び巻き上がる砂煙と爆煙は先ほどの比ではなく、視界を完全に遮断する。リンディは腕で顔を覆うが、目に埃が入らないようになるだけで、視界が回復するわけではない。
歯噛みしつつも次に起こる事態に備えてデバイスを構える姿は、管理局のエリートである執務官の優秀さを物語っていた。
桃子も同じように腕で埃を避けながら、次にプレシアが取りそうなアクションを考えていた。
彼女が、リニスに言われたようにそのまま逃げるだろうか?
いや、逃げない。なぜなら彼女の目の前には、
「ジュエルシード!」
桃子ははっとして先ほどまでジュエルシードがあったところへ、暗い視界の中を飛んでいく。
「待ちなさい!!」
後ろでリンディの声が聞こえるが、そのまま煙を飛び越えていき、
「ちっ!」
「やっぱり!」
そこには、桃子同様にジュエルシードに手を伸ばすプレシアがいた。
「くぅっ!」
桃子も全速で向かい手を伸ばすが、スタートの差はいかんともしがたくプレシアのほうが先にジュエルシードに手をかけようとし、
「くあっ!!」
桃子のすぐ横を飛んできた青色の魔力弾がプレシアに直撃する。ジュエルシードまであと一歩というところでプレシアは体勢を崩し落下していく。
「プレシアさん……えっ!?」
その姿に声をあげた桃子だったが同時に、自分の体も青色のバインドに四肢を拘束される。
視界のプレシアはまさにまっさかさまといった様子で頭から落ちていく。
「プレシアーっ!!」
落下直前でリニスが間に合い、プレシアをキャッチする。
全身を振るわせるように呼吸をするプレシアは額に汗を滲ませつつ、実に忌々しそうにリンディを睨みつけた。
「忠告は前もってしましたから。非殺傷設定ですが、今の直撃では動くのも辛いのではないですか? どうかおとなしくお話を聞かせて欲しいのですけれど」
リンディがリニスとプレシアに向ける黒いデバイスの先端には青色の魔力弾が迸っていて、今にも発射されんというばかり。
プレシアを抱えたままでは避けきれないと、主人を庇うように身を屈め目を閉じるリニス。
「武装解除をお願いします。さもなければ……」
しかしリンディは一拍置き、
「ちょ、ちょっと待って下さい!!」
上空から降ってきた桃子の声に、ふと意識をそちらにずらしてしまった。それは一瞬だが決定的な隙になる。
「……っ!」
一瞬にしてリニスは、構築もなにもなくとにかく目くらましになるようにと地面に魔力を叩き込み、先ほどと同じように視覚を遮断する。
「またですか!!」
慌てて飛び出したリンディが、土煙と爆煙のカーテンを抜けた先には、一気に距離をとったところで転移魔法を発動するリニスの姿。
「転移を中止しなさい!!」
すかさずリニスめがけて準備していた魔力弾を打ち出す。
抜き打ち気味ながら寸分たがわず目標へと向かっていく。
「そうも、いきません!」
逃走先を指定されないようにジャミングをかけながら多重転移をせねばならないリニスには同時にシールドを張る余力はない。
だから、リニスは左手だけでどうにかプレシアを支えると右手で帽子に手をかける。
「まだ、やることが残っているんです!!」
そのまま帽子を放り投げる。
直進してきた魔力弾に帽子がぶつかり、そこで爆発が起こる。
「なぜっ!?」
自身の攻撃が帽子に防がれたことにリンディは驚愕し、その隙に準備が完了したリニスが高らかに声を張る。
「転移!!」
薄紫色の光が瞬いたと思えば、既にプレシアとリニスの姿はない。
結界内に静けさが広がる。
「はぁ、なるほど……」
暫くプレシアとリニスがいたあたりを眺めていたリンディだったが、息をつくと同時に肩を落とす。
「使い魔の服というのもバリアジャケット同様に魔力で構築されているもの、頭部を守る帽子ともなればそれなりの魔力が篭っている。つまり、一発だけですけれど魔力弾程度なら防げる、と。あーあ、軽率だったかしら……」
残念そうに一人呟きつつ、バリアジャケットを叩いて散々巻き上げられた埃を落とす。
「あ、あのー……」
一人の世界に入っているところ非常に申し訳なかったのだが、桃子は未だに空中で拘束されたままだったので、恐る恐るリンディに声をかける。
「あら?」
ふと振り向いた彼女は桃子を見て目を丸くする。
「あらら、ごめんなさい立て続けに色々起きてて忘れちゃってたわ」
先ほどまでの凛とした雰囲気とは違った柔らかい雰囲気で申し訳なさそうに笑い、ふわりと桃子のほうへ飛んできた。
「今、解除しま……暴れませんよね?」
目の前まできて、ジト目で桃子を探るように見やる。
「暴れません!」
確かに飛び出しはしたけれど、なんか不満な桃子は怒る。
「Mode release.」
このまま長引いても面倒だと気づいたか、レイジングハートは桃子のバリアジャケットはそのままに自ら待機状態に戻った。
「あら、インテリジェントデバイスですか? いいもの持ってますね」
「あの、いいから解放して欲しいんですけど……」
「ああ、ごめんなさい」
逆に桃子にジト目で見られ、すまなそうに笑ってみせた後、リンディはその白い手袋に包まれた手でバインドに触れる。
すると、あっけなくバインドは消滅し、桃子の四肢に自由が戻る。
「ふぅ……」
支えがなくなったのですぐに自分で飛行魔法を発動して高度を維持しながら、桃子は一息つく。
改めて目の前の女性を見る。
見た目はまだまだ余裕で20代といった感じだが、やはり先ほど思った通りに年のころは自分と同じように思えた。緑色の髪は桃子より長い。
バリアジャケットはといえば、なんかSF映画に出てくるなにかの特殊部隊の制服っぽいデザインで、色は黒だった。
――まあ、あたしや、プレシアさんなんかよりよっぽどまし、よね……
なんだか、悲しくなった。
「こほん」
リンディが咳払いをしたため彼女の顔に視線を戻す。
「えーと、改めて事情をお聞きしたいのだけれど、いいかしら?」
「あ、はい」
こくんと桃子が頷くと、満足そうにリンディは笑みを浮かべる。
「逃走した二人を除くと今いるのはあなただけかしら?」
「あ、いえ……」
「あの、僕もいます執務官! ユーノ・スクライアといいます!」
もう一人、と言おうとしたところで地上からユーノの声があがる。
どうやら、出てくるタイミングが全くなくてようやく口を挟めた、といった感じでちょっと声に必死さが混じっている。
「そうですか、ではあなたにも事情をお聞きしますがよろしいですね?」
小さなフェレットに一瞬驚いた様子のリンディだったが、すぐに丁寧に尋ねる。
「はい、僕のほうからもお伝えしたいことが多々ありますので」
「あらあら、それはじっくりお聞きしたいわね」
とりあえず今いる場に全員に確認が取れたことを確認し、未だ空中に浮いていたジュエルシードを回収してリンディはほっと一息つく。
そこを見計らったように、リンディの眼前の空中にウィンドウが開かれた。
『お疲れ様リンディ』
「あ、レティ。ほんとごめんね、もう一組のほうには逃げられちゃったわ」
『まあ仕方ないわよ。ジュエルシードを持っていかれることは回避できただけでよしとするわ』
「あー、ありがと」
手を合わせて謝るリンディに、ウィンドウに浮かぶ薄紫色の髪を持つ女性は手をひらひらと振って気にしていないと伝えた。
『それよりも、私も詳しい話を聞きたいから、二人をアースラまで連れてきて欲しいのだけれど、構いませんか?』
ウィンドウ越しに、眼鏡をかけた理知的な瞳が桃子を見詰めてくる。
「はい」
魔法のはずなのになんかSFチックになってきたなぁ、と益体のないことを頭の片隅で考えつつ、桃子は無言で頷いた。
「はぁ……はぁ…………」
荒い息が室内に木霊する。
それはベットの上から漏れてきていた。
「プレシア……考え直しませんか?」
ベットの脇の椅子に腰掛け、主の額に浮かぶ汗を搾ってきた濡れタオルでふき取りながら、リニスは力なく言葉を零した。
「いくらあなたに才能も力もあるとは言え、管理局を相手取るのはきつすぎます。それにプレシア・テスタロッサといえば先方に顔が割れているでしょう」
「それが……どうしたって、言うの?」
切れ切れに、しかししっかりとプレシアはリニスに言葉を返す。その瞳に湛える光は全く衰えていない。
「ここまできて、全てを諦めろというの?」
「諦めろなどと言っていません。ただ、私は考え直して欲しいと言っているだけで……」
「考え直す? バカなこと言ってるんじゃないわよ」
軽蔑するようにプレシアは鼻を鳴らし、リニスは今まで溜まっていた鬱憤も同時に湧き上がり、目の前が赤く染まる。
「なにがバカなことですか!」
立ち上がると同時に椅子が後方に弾き飛ばされ、盛大な音をたてる。
「……」
しかしプレシアは眉一つ動かさず見上げてきて、それが余計にリニスの苛立ちを増幅させる。
「現実を見てください! 管理局ですよ!? 素人の魔導師とその使い魔が相手とは違うんですよ、個人でどうこうできるレベルですか!? できることとできないことくらい区別がつくでしょう!!」
言い切ったリニスは、肩で息をしながらプレシアを見下ろす。
プレシアは視線をリニスから反対側へ逸らす。
「できるできないじゃないのよ……」
ぽつりと零された声に、リニスはよく聞こうと一歩ベットへ身を寄せて、
「やる以外私にはないのよ!!」
吼えたプレシアが、ベットから起きるのも辛いはずのプレシアが、気づいた時には自身の胸倉を掴み上げてきていた。
「私にはもう消えていく時間しかないのよ! このままで幸せをあの子に残すことができるわけがないじゃない!! 管理局? だからなによ!!」
ひゅーひゅーときつそうな呼吸音を漏らしながらも、プレシアはリニスの瞳を真正面から覗き込むことをやめず、手に込めた力をさらに強める。
「これしか未来を変える方法はないのよ! だったらなにがあっても突き進む以外ないでしょう! このままじゃあの子にはなにもないままなのよ!!」
プレシアの瞳の奥に澱む狂気の一端に気おされかけたリニスだったが、睨み返す。
「だからって、あなたが身を滅ぼすようにしたら、あの子だってフェイトだって悲しみます!!」
「なら何をしろというのよ!!?」
「そ、それは……」
「なにも無しに好き勝手言わないで!!」
プレシアが魔力を全身から漏らしながら、リニスを突き飛ばす。
「うあっ!」
壁に背中から衝突し、息が詰まる。
ずるずると壁に背をもたれる形で座り込んでしまったが、リニスはプレシアを睨むことをやめない。
「あなたが……あなたが全てを教えてくれれば私だってもっと考えられます。それをせずに一人で全部抱え込んで、私に大事なところを隠しているあなたに、ならばどう接しろというのですか!!」
興奮のゆえか、プレシアの体からはところどころ制御しきれない魔力が漏れ、ばちばちと紫電を散らせている。
全身で息をしながら、少し落ち着いたのかゆっくりと彼女は言葉を紡ぐ。
「私は、約束をしたのよ……二人と」
「二人?」
リニスは怪訝な表情を浮かべ、言われた言葉を繰り返し見返すと、しまったとばかりにプレシアが顔を顰めているのが見えた。
「どういう、ことです?」
どうにかきしむ体に鞭打って立ち上がる。
「フェイトとの約束ならば私は知っています。ですが、あなたは今二人と言いましたよね?」
「…………」
面倒なことになったと言わんばかりにため息をプレシアは漏らす。
「どういうことですか、もう一つ約束があるというのですか?」
「あなたは、知らなくていいことよ……」
「プレシアっ!」
声を荒げるが、当の本人はどこ吹く風。何事もなかったかのようにベットへと戻っていき、リニスに背を向けてしまう。
「説明して下さいプレシア! どういうことなのですか!」
「私はもう寝るわ。もう、あなたも休みなさい」
「ごまかさないで下さい!」
ベット脇まで寄って怒鳴るが、プレシアはもう言葉を返さない。
こうなったプレシアは梃子でも動かないというのは身をもってわかっているが故に、リニスは歯噛みする。
癖で頭の帽子に手を伸ばし、先ほどの執務官との戦いで投げ捨てたのだということに気づいて、手を下ろして硬く握り締める。
「いいでしょう、今日は聞かないでおきます……」
ですが、と言葉を繋ぐ。
「いつか必ず聞かせていただきます」
捨て台詞のように残してリニスは退出する。最後に見たプレシアは、やっぱり背中だけだった。
『後書き』
やった、一気にお母さんを二人も増やせた! これでついにメインから動かせるお母さんが四人になりました。ようやく「ドキッ! お母さんだらけのリリカルワールド」という謳い文句にふさわしくなってきた気がします。
桃子さんは砲撃が苦手ということはありません。むしろ大得意です。ただプレシアさん対策に接近戦に重きを置いているだけです。だってレイハさんだもの。
リンディさんも出たということで次回の更新時には意を決してとらハ板に移ろうと思いますのでよろしくお願いします。
ご意見ご感想お待ちしております。