プレシア・テスタロッサの心を映し出すかのように暗かった時の庭園が、今は明るかった。
しかし、それは彼女の心境の変化を意味しない。
緩慢な崩壊をしつつある時の庭園を照らし出す青白い光は、発動者の気持ちを代弁しているように冷たく淡々としている。
「……」
転移魔法で時の庭園の正面に降り立った桃子は、右手をぎゅっと胸の前で握りこむ。
「Are you OK?」
「ええ、大丈夫よレイジングハート。それよりも……」
睨みつける桃子の視線の先は、まさに沸きあがるように出現してきた数体の傀儡兵がいた。どれも油断なく桃子に対して構えている。
「時間もないし、一気に突破しちゃいましょうか?」
「All right. Buster mode set up.」
「ディバイン……バスター!!」
桃色の閃光が迸り、桃子の身長の何倍もある傀儡兵も、彼女の砲撃の威力には勝てず飲み込まれていく。
撃ち終わった後には、行く手をさえぎるものはなにもない。
「一気に行くわよ最深部まで!!」
「ちっ……鬱陶しい!!」
右手でS4Uを振り、左手で汗で額に張り付いた髪を払いながら、リンディは毒づく。
突入したのはよかったものの、遮蔽物の多い庭園内では一体一体はそこまで強いわけではない傀儡兵が奇襲的に現れるので、貴重な時間と魔力と体力を浪費させられていた。
発動してしまったジュエルシードのタイムリミットは予測できないがゆえに、焦りも生まれる。
「ああもう! またなの!?」
一体倒したと思えば、左から壁を壊して今まで見たこともない大型の傀儡兵が出現した。
「スティンガー!」
肩についた傀儡兵の砲塔がリンディを捕らえる前に、先に攻撃魔法を発動する。大型ではあるが鈍重な傀儡兵は避けられない。
――これでまた一体撃破!
そうリンディは確信していた。なんだかんだで魔導師ランクでS-を持つ彼女である。そう思っても当然だ。
だが、現実は意外に厳しい。
「なっ……くっ!!」
リンディの攻撃は、命中直前で現れた傀儡兵のバリアによって防がれ、お返しとばかりに目標を捕捉した砲塔が魔力を吐き出す。
そのまま走り抜けようとしていたリンディは、どうにか身を捻ってかわすが、連続で放たれる魔力弾により回避に集中することを要求されてしまう。当たる気もしないし反撃しようとすればどうにかできるのだが、スティンガーで打ち抜けなかった強固なバリアを打ち破るにはそれなりの準備が必要で、それには時間が足りない。
「ほんとに、鬱陶しい……」
毒づくリンディの脳内に、念話が届いた。
『リンディさん!』
『桃子さん!?』
なぜここに? と、咄嗟に返しそうになって、彼女の性格なら突っ込んでくるかと納得してしまい、魔力弾を避けつつ、ため息をついた。
『その傀儡兵は私が一発砲撃を打ち込むから、その隙に!』
おそらくなんだかんだと傀儡兵に時間を取られている間に追いついた桃子は少々離れたところからこちらを見ているのだろうと結論付け、一方では荒削りながら効果的な彼女の作戦に同意する。
『わかったわ。外さないでよね?』
『そっちこそ、仕留め損なわないでよね?』
軽口を交わすと、実際は見えていないのに桃子の不敵な笑いが見えたような気がして、リンディも笑みを深める。
――まあ、確実に砲撃が当てられるようにしてあげますか。
才能は負けていても、執務官として、魔法の先輩として負けられないという思いが湧き上がった。
「ほらほら、そんなんじゃ私には当たらないわよ! スティンガー!!」
傀儡兵の注意を出来る限り自分に向けようと、バリアに防がれることは織り込み済みの射撃を行う。
案の定それはあっさりと傀儡兵に到達することもなく爆煙をあげて掻き消えた。
「バスター!!」
だが、その一瞬を、傀儡兵の処理がリンディへの攻撃と防御に占められたタイミングを桃子は見逃さなかった。
打ち込まれた砲撃に傀儡兵もバリアを張って対抗するが、威力だけで見ればSランクオーバーである桃子の砲撃は、片手間では防げない。自然と、強度を求めてバリアは砲撃の着弾地点を中心に収束していくし、傀儡兵は動きを止める。
それは、入り込むスペースが出現したことも同時に示すのだった。
「まったく、面倒ばっかりよ!」
不平を零しながらも、リンディは迅速に傀儡兵の懐へと飛び込んだ。
制御AIがあるであろう頭部へ到着すると、感情のない機械の目がこちらを見てくる。それに、勝ち誇った笑みをこれ見よがしに浮かべてみせて、言い放つ。
「それじゃ、さようなら。ブレイク・インパルス」
デバイスを押し当て、対象に強大な衝撃をぶち込む。
一瞬で頭部は破壊され、傀儡兵はバランスを崩していく。
――あら「ちょっと」強くやりすぎちゃったかしら?
心にもないことを思いながらブレイク・インパルスの衝撃を使い後方へ飛び退いたリンディは、制御を失い紙同然となったバリアを突き破った砲撃に打ちのめされる傀儡兵を空中でしっかりと確認した。
「お見事ね」
着地したリンディの後ろに、桃子が降り立つ。
「『お見事ね』じゃないわよまったく……」
「まあまあ」
「けど、現状のところ戦力が欲しかったのは確かなのよね」
「でしょ?」
「褒めてないわよ」
「あうっ!」
嬉しそうに笑った桃子の額にリンディはチョップを入れた。
ひどい! と文句を言いながら額をさする桃子に苦笑を漏らしながら、とりあえずこの先の方針を決定しようと口を開く。
「これからのことなんだけど――」
「余所見は、あまり感心しませんよ?」
「っ!?」
「その声は!?」
突如降ってきた声に、警戒態勢をとる二人。
「でないと、こういうのがいますから……ねっ!」
だが、その声の主は二人を攻撃するということはなく、上空からの急降下で影から二人を狙っていた傀儡兵を破壊した。
「リニスさん!?」
「どうも」
驚く桃子に、帽子の手をあててリニスは柔らかに微笑んだ。
だが、リンディは警戒を解いておらず、油断なくデバイスを構えている。
「プレシア・テスタロッサの使い魔が何の用? それに、どうしてプレシア・テスタロッサが亡くなった今、あなたはまだ普通に行動を取れるの?」
「そうですね。まずなぜ私がまだこうしていられるかと言えば、そもそも私とプレシアの契約における最大目標はが家族の再生だったからでしょうね。まあ、教えられてなかったことが多すぎて、一発あのすかした面に一発入れたい気分ですけどね」
リニスは肩を竦める。
「でも、魔力供給は絶たれているはずよね?」
「はい、プレシアからの供給はありません。ですけど……」
ポケットを漁ると、リニスは赤色の宝石のようなものを取り出した。ジュエルシードによく似た形態をしており、安定はしているものの高い魔力が感じられる。
「こんな現状じゃもう使うこともないだろうと思って、さっき取ってきたんですよ。動力炉のこれ」
「なるほど……ねえ」
よくわかっておらず頭の上に?マークを浮かべている桃子とは逆に、リンディは納得した様子で頷く。
宝石を再びポケットへしまいこむと、リニスは二人に意外な提案を放った。
「そこで突然ですが。共闘しませんか?」
「え?」
「へっ?」
素っ頓狂な声をあげた二人を見て、くすくすとリニスは笑った。
死を確信していたし、その通りになったはずだった。
それなのに、プレシアはぼんやりと意識が浮上するのを感じていた。
――な、ぜ……
ぴくりと、指先が動く感覚もある。
段々と頭ははっきりとしていき、鉛のように重いまぶたもゆっくりと上げることが出来るようになった。
「っ……」
青白い光が眼底を刺し、反射的に顔を顰める。
「ここ……は?」
暫くして明るさに慣れると、周囲が見えてきた。そこは病的なまでに青白い世界で、非現実的な空間だった。
横になっていたらしく、上半身をゆっくり起こすとプレシアは違和感に気づく。
「体が……」
ありえないくらい体の調子がよかった。枷のように全身を包み込んでいたあの倦怠感も、胸の中央部に突き刺さる槍のようなあの痛みもなにもない。
このような状況で不謹慎ではあるが、いつになく爽やかな気分で立ち上がる。
体を捻ったり腕を回して見るが違和感はなかった。
――なにが目的なのかしら、ねえ……
とりあえず青白い空間を歩きだしたプレシアは、周囲に目を配り、再び驚愕する。
「この……服装は!」
プレシアを囲むようにそそり立っていたのは、鏡だった。
そして鏡に映る自分の姿は、病と自分を偽るために厚化粧を施し、魔女的な服装に身を包んだそれではなかった。
「なぜ、こんな時に……」
ふらふらと近寄り、プレシアは鏡に手を付く。驚いたような恐れるような表情が大きく映し出されるが、彼女の注目は
そこではない。
「なんで、こんな……」
化粧は密かに自慢であった彼女の美貌を引き立て邪魔にならない程度に抑えられ、落ち着いた色合いのロングスカートと長袖のシャツ。
昔の自分だった。
アリシアを失っていなかった……いや、フェイトが生まれてすぐまでの。
だからこそ、全てをなげうった今の彼女にはこの上ない皮肉だった。
「今更……」
ひとりでに涙が流れ、視界がぼやける。
鏡は、そんな彼女をせせらわらうかのように、今度は映像を流し始めた。全部、プレシアの記憶だ。
アリシアと一緒に夕食をとって笑顔を見せる自分。
フェイトが自身の出生を知っても笑顔で自分を母と慕ってくれたことに涙する自分。
仕事へ向かう自分を悲しそうに見上げるアリシアにすまなそうに謝る自分。
風呂場で転んで泣き出したフェイトを宥める自分。
アリシアが描いた家族全員の絵を見て頬を緩める自分。
フェイトがピーマンをアルフに押し付けようとするのを叱る自分。
全て、今更だ。
「っ……!」
鏡面に爪をたて、歯を食いしばる。
えぐられる心の痛みに、今にも叫びだしたくなるが無理矢理押さえ込み、うめくように漏らした。
「いったい、私になにを求めるというのジュエルシード……」
大体、予想が付いていた。光の色がジュエルシードのそれであったし、そもそもこのような異常な事態を引き起こそうものなどロストロギアぐらいしか考えられない。
発動させることは出来なかったはずだが、なにかの拍子で発動したのかもしれない。まあ、もしここが地獄でこれが自分への罰だというのならば、神様とやらを呪いころしてやるところだとはプレシアも思うが。
「もう……全部遅すぎるのに」
ずるずると崩れ落ち、床に手をついてしまったプレシアは嗚咽が抑えられない。
「うっ……ううっ……」
あふれ出る雫は途切れることはない。
なぜこうも切ないのか。
どうして、こうも世界は自分に厳しいのか。
どうしようもない思いが渦を巻き、元々限界に近かった彼女の精神を締め上げる。
もう、彼女の心が砕け散るのも近い、そんな時だ。
小さな、だけど決して聞き逃すことはない呟きが、耳に入った。
「……母さん」
初めは幻聴かと思った。とうとう自分も焼きが回ったかと。
「……なんで、いなくなっちゃうの」
だが、どうやら本当に聞こえてきていたらしい。
「……約束、したのに」
耳朶を打つその声に、すっと頭が冷える。
――フェイ、ト……?
すすり泣くその声は聞き間違えるはずもなかった。
ゆっくりと顔を上げる。
「……寒いよ」
やはり、聞こえた。
両腕両足に力を込め、プレシアは立ち上がる。
「……寂しいよ」
フェイトの姿は見えないけれど、声の聞こえてくる方角はわかる。
「……一人は、いやだよ」
娘が泣いている。
プレシアが足を進める理由はそれで十分過ぎた。
青白い世界の奥へと、プレシアは進む。
「こちらとしてはジュエルシードの封印をしなければ、フェイト一人でさえも生き残ることがないのです。そして、そちらも被害を最低限に抑えるためには封印作業は必須。どうです? 現実的だとは思いますが」
指先にひっかけた自身の帽子をくるくると回しているリニスの説明を聞いたリンディは顎に手を当てて考え込んだ。
リニスの発言は確かである。海上で六つのジュエルシードを封印できたのは、今いる三人に加えてプレシアとユーノがいたからこそで、1.5倍の九つという数のジュエルシードをリンディと桃子、来たとしてユーノを含めた三人で苦もなく成功するとは残念ながらなるはずがない。
リニスに隠された思惑があるのか、とも思えるがプレシアの目的がある意味で純粋すぎるものであったことを考えると、そういうこともなさそうである。
ただ、どうも踏ん切りがつかないリンディであった。
眉を顰めているリンディにいい加減一言かけようと桃子が口を開きかけた丁度その時、リンディの目の前に空中ウィンドウが浮かび上がる。
『くぉらぁ!! リンディ!!』
「ひゃっ!!」
『なにちんたらやってんのよさっさとなさい!!』
画面一杯に広がるのは怒り心頭に発しているレティ。あまりの不意打ちにリンディは悲鳴をあげた。
「で、でもねレティ……」
『うるさい!!』
「あう」
弁明しようとするリンディをぴしゃりと一喝。レティは一息ついてから前のめりになっていた体を戻すが、まだまだいらいらは鎮まらないらしく刺々しい口調で語る。
『こっちが必死こいて次元振動を抑えようとしてるのにあなたは時間を浪費?』
「うー、だってリニスさんが……」
『他人のせいにしない! 時間もない、人手もないの今の状況でしょうが、さっさと三人揃って行きなさい』
「えーと、いいの?」
『優先順位はジュエルシードの沈静化でしょうが。だいたいあなたいつも色々一人で抱え込みすぎなのよ、あのときだって……』
いつの間にやらレティの話の雲行きが怪しくなった。
――じ、時間がなかったんじゃ?
どうやらリンディも同じことを考えているらしく桃子同様に表情が引きつっている。一転してリニスはなにやら面白いものを見れたとばかりに愉快そうだが。
「あー、わかった! わかったから! だからお説教は次元の狭間にでも捨てといて!」
手を前に突き出し、声をあげてレティの話を遮ると、それに彼女が文句を言う前にとリンディは言葉を続けざまに叩きつける。
「超特急でジュエルシードのとこまで行ってどうにかしてくるから、後ろはお願いねレティ」
ウインクを飛ばされて気勢をそがれたのか冷静になったのか、レティは眼鏡の場所を右手で直すと苦笑しながらひらひらと手を振った。
『そうね……なら、ジュエルシードの方は引き続き任せます。幸運を祈るわよリンディ執務官。あ、そうそう。とりあえず応援としてユーノさんを送るわ』
「了解ですレティ提督」
びしっとお互いに敬礼を交わす。二人の口元に浮かぶ微笑はよく似ていて、桃子にはそれが両者の長年の友情と信頼の証のように思えた。
ほどなくして空中ウィンドウは消え、リンディは振り返る。
彼女の目前にいるのは桃子とリニス。
「それじゃあ二人とも、いっちょ行きますか!」
「ええ!」
「はい。それでは私が先導しましょう」
不敵な笑みを交わしあうと、時の庭園の構造に詳しいリニスを先頭に全員が走り出す。
途中にはやはり傀儡兵が立ちはだかるのだが、
「邪魔を!」
「するんじゃ!」
「ないわよ!」
一体はリニスに切り裂かれ、ある一体はリンディの魔力弾に打ち抜かる。他の一体は桃子の振るうレイジングハートに吹き飛ばされた。
アリシアの眠っていた場所まで、あと少し。
まるで雲の上をあるいているようにどこか安定しない床の上を、ゆっくりとプレシアは歩き続けていた。
娘の姿はまだ見えないが、聞こえてくる嗚咽は確実に大きくなっていて、徐々にではあるが近づいているのがわかる。
プレシアの頭は早くフェイトの元へ行かねばと急くのだが、心がそれを押しとどめ、相反する命令に苦慮した体はゆっくりと歩くことを選択していた。
――ジュエルシードの空間、そしてその場にいるフェイト……つまり、そういうことね。
頭を振って天を仰ぐが、今彼女が歩いている空間は残念ながら四方八方同じ景色で気分転換にもなりはしなかった。
彼女がわかっていることは、ジュエルシードを発動させてしまったのは恐らくフェイトであろうということだ。恐らく彼女は不幸にも事切れたプレシアを見つけてしまったのだろう。
先ほど聞こえたフェイトの呟きにあった言葉を思い出せば簡単に推理は働く。
「『一人はいやだよ』ね……」
ある程度時間が経ったのに耳から離れない言葉を口に出してみたが、小さく呟いたというのにその言葉はプレシアに纏わりつくように広がった。
フェイトがなにを願ってしまったのか、プレシアにしてみればそれも簡単に想像がつく。
自分の今の格好はどうだ。
娘と幸せに暮らしていた遠き日の姿だ。
まだ数年しか、いやすでに数年共に家族として過ごしているからプレシアはわかる。アリシアと同じく、フェイトも母親のことが大好きで、それゆえにプレシアの死を受け入れられなかったのだろう。
受け入れられないから、世界を否定し、運悪くジュエルシードがその願いを聞き取った。とても単純だった。
「まったく皮肉ね……」
プレシアが無理矢理浮かべた笑みは、引きつり無残なものだ。
フェイトは、拒絶した今から幸せだった過去へと戻ることを望んだ。だけれども、彼女のその過去はアリシアから受け継いだ記憶でしかない。それがプレシアに突きつけてくるのだ。結局、お前はフェイトになにを残していたのか、と。
母親としてフェイトへ向けていた愛がアリシアに劣ることはないと断言できる。だが、それをなにか形にするようなことは殆どしてこなかった。
「まあ、それでもやっぱり私たちは親子だったわけだけど」
忌まわしきアリシアを失った事件よりも前の今の自分。それは、フェイトが望みジュエルシードが齎したものだ。
けれど、プレシアが願ったものも同じなのだ。
彼女も同様に、過去を乗り越え切り開いた未来を家族と再び共に歩むためにアリシアを蘇らせようと思っていたのである。
そこここに些細な違いはあれど、親子に願いに大きな違いはなかった。
目の前に鏡映しの自分を見せ付けられ、プレシアはふと気づく。
「永遠の都アルハザード……」
舌に乗せたその単語は、彼女がジュエルシードを用いて目指そうとした場所。
一般には御伽噺の類と見なされているが、プレシアはその存在の確信を得ていた。そして、それが次元の狭間で眠っているとも。だからこそ、ジュエルシードの力でもって道を生み出そうとしたのだが、どうやら考えを変える必要がありそうであった。
――失敗する気はないわ。やるからには必ずアルハザードにたどり着いてみせましょう。だけど……
フェイトはどうするのだろう?
さっきまではあの高町桃子か時空管理局に保護されるだろうと考え、しかる後に迎えに行けばいいかなどと思っていた。しかし、冷静になって考えればなんとも酷い。
彼女は人形ではないのだ。とりあえず押入れにしまっておいて、必要になったら取り出すなどということはできない。病によるタイムリミットにより冷静さを欠いていたというのも言い訳にもならない。
現に、プレシア自身のエゴに付き合わされてしまったフェイトはこうして傷ついているのだ。
「……」
無言で、自分の両手を見詰めた。
もう一度、フェイトを抱きしめることが、いやその資格が自分にあるのだろうかと自問してしまう。
そのまま背を向けて逃げ出したくなる。
視界の手は小刻みに震えていた。
足が止まった。
「私は……」
自信を喪失したプレシアは唇をわななかせる。
けれども、何度も何度も主張していたというのに彼女は忘れていた。例え彼女自身がどう思おうと、変わらない事実があることに。
「……かあさん」
すぐ側から聞こえたフェイトの声。
それが耳に入った瞬間すっと悪いものが抜け落ちるように後ろ向きだった心は方向転換し、足も再び動き出す。
――そう。そうよ……どんなにバカでも惨めでも、私はあなたの母親なのよね。
記憶の1ページがプレシアの脳裏に蘇った。
アリシアを失い絶望する自分。それしか喋れないのかのように機械的に繰り返したものだ。
『魔法の才能も、頭脳もいらないわ……娘がいないなら!』
プレシアの全ての根幹は母親だ。大魔導師と謳われたその魔力でも頭脳でもない。結局は母親であるというその事実だけなのだ。
「ふ……難しく考えすぎて一番簡単なことを忘れるってやつかしら」
プレシアが笑みを浮かべると、空間全体が光り輝き、彼女を包んだ。
あまりの明るさに反射的に目を閉じたプレシアが光が止んだのを感じて恐る恐る片目を開けと、すぐに両目が驚愕に開かれる。
「これ、は……」
大きなベットに本が沢山積まれた勉強机、さらには天井に描かれた満天の星座群。
そこに現れたのは時の庭園の一角、フェイトの部屋であった。
まさか戻ってしまったのかと思ったが、窓の外を見た瞬間にそれは即座に否定される。窓枠に切り取られた空間に見えるのは、アルトセイムの森と空でも、次元空間の不気味なマーブル模様でもなく、まさに暗黒であったのだ。
とどめには、フェイトだ。
膝を抱えて、部屋の片隅で震えているフェイトはなにも見たくないのか顔を埋めて自分の世界に閉じこもっていた。
「……」
すぐ側にいるけれど、声をかけてもきっと届かない。なぜだかそう確信できたプレシアは、微笑みを浮かべたまま無言でそっと近寄り……優しく後ろから抱きしめた。
玉座の間を突破した三人は、揃って表情を険しくさせた。
「これは……」
目の前には青白い巨大な渦があった。九つのジュエルシードが圧倒的な魔力を迸らせているそれは、凝縮された台風のようで、三人もうかつに近づけない。
「ちょーっと、大変かしら?」
「リンディさん、さすがにこれは洒落にならないわよ……」
リンディが冗談を言うが、それに乗れる余裕は桃子にもなかった。
場を和ませるのに失敗したリンディは苦笑いするが、顔の横を汗が滴り落ちていた。
「これ、どうしたら封印できると思いますか?」
「力技……は無理よねぇ」
「かといって搦め手もないわ」
リニスの疑問に、桃子もリンディも妙案はなし。三人の顔には一律に焦りが浮かぶ。
だが、桃子はすぐさま表情を引き締めると、焚きつけるるように二人へと声を上げた。
「でもなにもしなかったらなにも起きないわ! とりあえずやれるだけやるしかないわ!」
レイジングハートの先端を渦の中心に向け、桃子は叫ぶ。
「空間にある魔力は十分。スターライトブレイカーで、押し切る!!」
渦を睨みつける桃子の足元に魔法陣が浮かび上がり、早速魔力の収束が始まる。
反応が遅れた二人だったが、ようやく腹を括ったのか構えを取った。
「確かに、やるしかないですね」
「女は度胸、ってとこかしら」
桃子の右には薄紫色のリニスの魔法陣が、左には青色のリンディの魔法陣が同時に浮かび上がる。
力を溜める。思いも込めて。
桃子とリンディは言わずもがなだが、使い魔たるリニスの力量はAランクを大きく凌駕するもの。
もし、この一撃が通れば未来が開けるかもしれない。
だが、そうやすやすと上手くは行かないようなのである。
自身のすぐ側で高まる魔力に反応したのか、渦がそれまでとは異なる動きを見せる。それまでは不規則であった魔力の奔流が、規則的に一点に集まっていく。
「っ! まずい!!」
叫んだのはリンディ。咄嗟に攻撃魔法をキャンセルし防御魔法を展開しようとするが、間に合わない。
ジュエルシードの渦が彼女らへ向けて砲撃を撃つのが先だった。
――やられた!
思ったのは誰だったか、それとも全員だったか。とにかく三人はぎゅっと目を閉じた。
それでも、身に降りかかったのは砲撃ではなく耳に届く、まだまだ幼い少年の声だった。
「プロテクション!!」
声に反応した三人の眼前には、一面に広がる青白い砲撃。そしてそれと自分の間に展開される緑色の巨大な防御魔法と少年の姿。
「ユーノくんっ!?」
「遅れて……すいません!」
振り返ることなく返したユーノは、歯を食いしばり全身で砲撃の圧力に耐える。
「僕は攻撃魔法なんて全然使えないけど、防御だけは……負けられないんだ!!」
シールドに魔力をつぎ込み、防ぐ。
ユーノの防御魔法の硬度と才能は相当なものである。はっきり言って桃子のディバインバスターやプレシアのサンダースマッシャーにも難なく耐えられる程だ。
しかし相手は無尽蔵の魔力を持つジュエルシード。瞬間威力だけならば桃子とプレシアの方が上かもしれないが、こちらは途切れることがない。
「く……う…………」
両手で支えるものの徐々にシールドに皹が広がる。
もう耐えられない。そう彼は思った。
「子どもにばっかりやらせてちゃ大人としてダメダメよね」
「そうですね。男性に守られるのことに憧れる女性は多いかもしれませんが、私たちはそんな柄ではないですし」
「あーそれは言えてるわ」
「え……?」
ユーノのシールドにそっと手が添えられ、見る見るうちに硬度が戻っていく。
不思議そうに左右を交互に見るユーノに対し、リンディとリニスは微笑みを浮かべる。
「一人で無理ならもっと大勢でやればいいでしょ?」
「最終的に勝てばよいのですから」
シールドを共に支える二人はさも当然といった様子で言い放つ。
「取りあえず、今は攻撃を防ぎましょう。後は桃子さんにお任せ」
「……丸投げ、ですか?」
「いいえ違いますよ。信頼です」
浮かべる年上の二人の女性が、なぜ悪戯の成功した子どものような表情を見せるのかユーノにはわからなかった。
だけれども、そんなことを考えるのをやめてユーノはシールドの維持に意識を集中させた。桃子ならなんとか出来そう、そう思って。
「Master.」
リンディとリニスがユーノの補佐へと立ち上がったすぐ後、レイジングハートが桃子に声をかけた。
「なに?」
「Please use Jewel Seeds.」
「なっ!」
さすがの桃子もレイジングハートの提案には驚愕する。
「な、なに言ってるのレイジングハート、正気!?」
「Yes, I said seriously. (ええ、本気で言いました)」
返答は相も変わらず涼やかだが、桃子は落ち着いていられない。
「今ジュエルシードなんて使ったら被害が広がっちゃうわよ!!」
「No, master. On condition that we control them we can overcome this difficulty. (いいえ違いますマスター。ジュエルシードをコントロールしさえすれば、今を切り抜けられます)」
「で、でも……」
「Make a dicision master. Enemy has a terribly strong power , so we have not any other choice. (マスターご決断を。奴は恐ろしく強大な力を持っています。他に術はありません)」
「う……」
レイジングハートの言うように、桃子単独ではスターライトブレイカーを用いたとしてジュエルシードを打ち破れるかは怪しい。というより可能性は低いだろうし、極限まで威力を求めてチャージしようとすればそれだけ時間がかかるので、三人の防御が崩されてしまうかもしれない。となると、こちらもジュエルシードの力をぶつけて相手を押さえ込むというのはなるほど道理に適っているように思える。
とはいえ、ジュエルシードの制御を誤れば、皆揃ってお陀仏だ。
――ど、どうすれば……
逡巡する桃子に、レイジングハートは言い含めるように声をかけ続ける。
「I believe you, master. And of course, I assist you with my all strength. (私はあなたを信じています。それにもちろん私もあなたを全力で補佐します)」
「レイジング、ハート……」
「Please be use Jewel Seeds. (どうか使ってくださいジュエルシードを)」
全く動じていないレイジングハートの声に、桃子も覚悟を決める。
「そう……ね。そもそもプレシアさんと戦うって決めた時だってかなりの無茶だったものね」
両足でしっかりと体を支えて立つ。
「それでも、あたしは勝てたもの。これくらい……どうってことないわ!」
「Jewel Seeds put out. (ジュエルシード放出)」
レイジングハートから吐き出された八つのジュエルシードが桃子の眼前に浮かび、展開された制御術式の魔法陣のに取り込まれる。
「Sealing cancele. (封印解除)」
「くっ……」
封印が解除された瞬間。吹き荒れる魔力と、間近で暴走しているジュエルシードの波動を受けて、桃子の手元のそれも暴れようとうごめき始めた。
レイジングハートの補佐のもと、マルチタスクも総動員、魔力の出し惜しみなしでジュエルシードを押さえつける。
ぎりっ、と食いしばった歯が音を立てた。
「言うことを……」
ちょっとでも気を抜けばアウトになりかねない状況を、意地で乗り越える。
「聞きなさい!!」
そして、ジュエルシードの破壊衝動を無理矢理一方向へ向け、解き放った。
冷たい。
それが最初の感想だった。
前に抱きしめた時はどうだったろうかと思って、最後に抱きしめたのが何ヶ月も前の遠く昔であったことに愕然とした。
だから、さらにぎゅっと抱きしめた。
「……だ、れ?」
か細い声が腕の中から聞こえた。
「私よ、フェイト」
「かあ……さん?」
「ええ、そうよ」
もぞりと動いたフェイトは膝にうずめていた顔を上げ、虚ろな目で振り返る。そして、驚きに目を見張った。
プレシアの腕の中で体を反転させる。
真正面に、穏やかな笑みで自分を見つめてくれているのは紛れもない母親の姿。幻かとも思うが、自分の体に伝わる温もりがそれを否定する。
「嘘……」
「あら、フェイトは母さんがいないほうがよかったのかしら?」
冗談半分に言うと、ぶんぶんとフェイトは顔を振る。二つのお下げが鞭のように飛び、首を痛めないかと心配になるほどの勢いだ。
「でも、だって、母さんは……っ!」
「私はここにいるわよ」
目じりに残っていた、一人で泣いていた名残の雫を拭ってやると、そのまま頭を撫でてやる。
「かあ、さん……」
拭ったばかりだというのに、また瞳が潤み出してきた。ただ、今度は涙の色が先ほどとは少々違う。
「母さんっ!!」
「あらあら」
飛びついてきたフェイトの勢いは凄まじく、プレシアは尻餅をついてしまった。打った部分はひりひりと痛むが、彼女は笑みを絶やすことなく、娘を抱きしめる。
「う、ううっ……」
自身の胸に顔を押し付けて涙に咽ぶ娘の背をあやす様にさする。
「怖かったよぅ……」
「うん」
「寒かったよぅ……」
「そう」
「寂しかったよぅ……」
「ごめんなさいね」
親子二人の穏やかな時間が流れる。相当力が入っているのだろう、背中にフェイトの爪が食い込んでいたが、プレシアはなにも気にならなかった。
暫くすると、フェイトも落ち着いたのか顔をプレシアの体から離して、ごしごしと袖で目元を擦った。
「落ち着いた?」
「……うん」
恥ずかしそうに、だけど嬉しそうにフェイトは微笑む。
しかし、すぐに表情を曇らせ、俯いてしまう。
「でも、これは夢なんだよね……」
「どうしてそう思うの?」
「だって、ほんとは母さんは」
思い出してしまったのか、またもや涙が浮かぶが、唇を噛んであふれ出すのを耐える。
「かあ、さんは……死んじゃって…………」
「そう、ね……」
否定できず、プレシアも沈んだ声を漏らした。
娘に辛い思いをさせてしまったことをまじまじと見せ付けられ、心が握りつぶされるようだ。
「あ、でもね! もういいんだ」
「え……?」
続けられたフェイトの声はどこか明るく、上げられた顔は不器用ながら笑顔だった。
「だって、夢かもしれないけど母さんに会えたんだもん。夢から、覚めなければいいんだよね?」
「……」
冷たいものがプレシアの背中を通り抜けた。
フェイトの中に片鱗を見てしまった。かつて自身の全てを支配していた、狂気の片鱗を。
「嫌なことばっかりなせ界なら、もう私はいらない。それだったら、母さんと一緒な夢のほうがいいよ。ね、そうだよね母さん?」
このままではいけない。本能的にプレシアは察する。
娘には未来がまだまだあるのに、それをこんなところで閉じるなど、許せない。
「フェイト」
呼びかけ、頬に手を当てた。フェイトは気持ちよさそうに目を細めている。
「確かに、世界は辛いことが一杯よ」
こればかりは否定できない。
「だけどね。本当の幸せも現実でしか手に入らないの」
「そんなことないっ!!」
フェイトは悲痛な叫び声をあげる。
「現実なんて、もう母さんがいない! それに私は夢の中で母さんに会えたよ! 幸せだよ!!」
「いいえ、違うわフェイト」
顔を寄せ、しっかりと娘の瞳を見詰めた。
「これは、現実で手に入れた幸せを思い出して慰みに浸っているに過ぎないの」
「……違うっ!」
「違わないわ!!」
「ちがうちがうちがうちがうちがう! ちがう!!」
耳を両手で押さえ、目をぎゅっと閉じてフェイトはうずくまってしまう。
「聞きなさいフェイト!!」
プレシアも声を荒げるが、フェイトは壊れたラジオのようにひたすら「ちがう」とだけ呟きながら頭を振っていた。
「フェイト!!」
プレシアはフェイトの肩を両手でがっちりと掴むと、びくりとフェイトの体が震えた。
開かれた両目がプレシアを捉え、しかしきっと細められた。
「母さんなんか……母さんなんか……約束守ってくれなかったくせに!!」
「っ!」
「私信じてたのに、またみんな一緒に幸せに暮らせるって!」
一度決壊したフェイトは止まらなかった。
「母さんの邪魔にならないようにって我慢したよ!」
涙を流しながらも、愛が深いがゆえの恨みを吐き出していく。
「なのに! 母さんは私のこと置いていった!!」
フェイトは、生まれて初めて自分の母親を睨みつけ、糾弾した。
「ねえ、なんで!?」
「…………」
娘が自分の真正面に立ちはだかっているというのに、動揺した素振りも見せない。
同時に、プレシアはなにやらそれまでと違った魔力の波動を感じていた。
――どうやら、あちらさんも頑張ってるみたい、ね。
微かに伝わるその魔力に、つい全身に記憶された痛みを思い出す。ジュエルシードを挟んでなんども対峙した桃子の魔力が感じられた。
現実ではまだ戦っている人間がいる。そのことがプレシアを力つけた。
「いいこと、フェイト……」
そう言って、プレシアは息を吸い込むと……手を振り上げた。
乾いた音が響く。
「え、あ……」
なにが起こったのかよくわからないという様子でフェイトはひりひりと痛みを訴える自身の左頬に手を当てる。
呆然と見上げると、そこには腰に手を当てた母親がいた。
「頭は冷えた?」
「……」
フェイトからの返事はないが、プレシアは話を続ける。
「確かに、私も一度は諦めかけたわ。けれどね、私はここにいるの」
もう終わりかと思った瞬間、約束を守れないことを侘びた。否定できない事実だ。
だが、それはもはや後がないと思ったがゆえで、今は違う。
こうして彼女は自我を持っている。
まだまだ戦える。
「約束を破ったなんてどうして決め付けられるの? まだ私はここにいるのに」
「でも……ここは夢で、本当は母さんは死んじゃって……」
「いいえ」
きっぱりと言い放ったプレシアの顔に浮かんでいたのは、凄みのきいた、完全の確信を持った笑みであった。
「私は死んでいないわ」
根拠はどこに、とフェイトは思うが、あまりにも堂々とし過ぎているプレシアの姿に息を呑んでしまい、もしかしたらと思ってしまう。
「ほん、と?」
「ええ、フェイトが心の底からそう思ってくれればね?」
「……え?」
フェイトは首をかしげてしまう。どうしてそこで自分が出てくるのだろうかと。
可愛らしい仕草に頬を緩めながらプレシアはそっとしゃがみ、フェイトと視線の高さを合わせる。
「それはね、私がフェイトのお母さんだからよ」
「……?」
「ふふっ」
やっぱりわからないといった様子のフェイトについ声を漏らしてしまったが、ゆっくりとまた説明していく。
「母親というのはね。子どもが本当に応援してくれた時に一番力を出せるの。だから、フェイトが私は死んでいないって思ってくれれば、そうなるわ」
「……ほんとに?」
「ええ、ほんとよ」
「……ほんとにほんと?」
「ほんとにほんと」
「……嘘じゃない?」
「嘘なんかつかないわ」
この上なく大事なものを持つように、フェイトの両手を包み込む。
「フェイトは、どう思う」
「私は……母さんに生きていて欲しい」
ぎゅっと。手を握り返される。
「本当に?」
「ほんとに!」
「本当に本当?」
「ほんとにほんとだよ!」
「嘘じゃない?」
「そんな嘘つかないもん!」
必死に首を左右に振るフェイトに、プレシアはまた笑みを深くする。
「フェイトは、元の世界に帰りたい?」
「……」
この質問には答えづらいらしくフェイトは言葉に詰まる。それでも急かすことなくプレシアは見守り、返事を待った。
「……母さんも、いるよね?」
が、出てきた言葉は質問に対する返事ではなかった。
「もちろんよ。だってフェイトがそう思ってくれてるんだもの」
「じゃあ、帰りたい」
「本当に?」
「ほんとだよ。だって、母さんが待ってくれてるんだから!」
元気よく言い切ったフェイトの声が響き渡り、二人を青白い光が再び包み込んでいく。
周りの世界が虚ろであやふやなものになっていく中。お互いに繋ぎあった手の温もりだけは消えなかった。
『後書き』
遅くなって申し訳ありませんが第十二話です。
それにしてもなんだかプレシアさんが主人公化している。おかしいな、桃子さんのSSのはずなのに。
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