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No.17211の一覧
[0] 魔法少女リリカルなのはWarMaster(なのは×洋ミニチュアゲーム、オリキャラ介入)[カラス](2010/09/27 00:57)
[1] 第一話[カラス](2010/03/14 05:00)
[2] 第二話[カラス](2010/03/11 14:25)
[3] 第三話[カラス](2010/03/11 22:10)
[4] 第四話[カラス](2010/03/12 04:07)
[5] 第五話[カラス](2010/03/13 03:57)
[6] 第六話[カラス](2010/03/14 00:27)
[7] 第七話[カラス](2010/03/15 05:55)
[8] 第八話[カラス](2010/03/15 06:01)
[9] 第九話[カラス](2010/04/01 19:01)
[10] 第十話[カラス](2010/04/19 03:02)
[11] 第十一話[カラス](2010/05/26 00:24)
[12] 第十二話[カラス](2010/08/17 02:19)
[13] 第十三話[カラス](2010/09/27 00:56)
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[17211] 第十話
Name: カラス◆3e236f0a ID:966563b6 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/19 03:02
「さて、まだなのか?」

テストの光景を念話通信越しにルーカスは覗き見ていた。
3人がかりでなのはを教育するとは言えルーカスのやることと言えば、
誘導弾の制御や仮想訓練の内容を考えるぐらいしか無いのが実情だ。
寧ろルーカスは友軍としてどこまでなのはが戦力足りえるのか確認したいのが本音だった。
しかしそうは言ってもスフィアと打ち合うだけの射的には興味は無い。
だからこそルーカスはレイジングハートにあるデータを送信しながら覗き見ていた。

「"ディバインシューター"!」

3つの光点が独特な曲線を描いて各々の目標へ突き刺さる。
誘導弾の精度はそこそこ、しかし人間を追従できるほどの誘導はまだ見られない。
それらは全て単純なルーチンで移動する目標だったからこそ成し得た誘導とも言える。
彼が見たいものはそこではない。

「"ディバイン・バスター"!」

遠距離からCランク相当の砲撃魔法を連射して来るオートキャノンスフィアに目掛けて桜色の光の帯が奔る。
弾速、威力共に良好で、当たれば確かに何でも吹き飛ぶだろう。
しかしながら発射速度と狙いはそれほど良くはなく、スフィアでなければ返しの射撃で撃ち落とされていてもおかしくはない。
それも彼の見たいものではない。

[The last test for a battle against Mage.](最後のテストは対魔導師戦闘をします。)

固定目標を辛くも墜落させたなのはにレイジングハートのアナウンスが響き、なのはの目の前に今までのスフィアと違ったものが出現する。
それはユーノでも驚愕させるに足る人物で、魔導師として誰でも知っている少年であり、ルーカスがよく知る人物だった。
その名はクロノ・ハラオウン。執務官中最年少とされるが、その戦力はある時空艦の戦闘部隊の中で最大の戦力と聞く。

「レイジングハート、テストの相手を間違ってないかい?」

そのユーノの指摘は尤もだった。
魔法を触れて1週間にも満たない少女の対戦相手としては破格すぎるものであり、ユーノでも勝利できるかも分からない。
確かに体の資質だけならなのはは勝るかもしれない。しかし、個人間の戦闘とはパワーやリソースではない。

[This is normal. No problem.]
(これで正常です。問題はありません。)
「そうだ、それでいいんだ。邪魔をするなよユーノ。」

ルーカスとしては、この男を相手にどこまで立ち回れるのか。
それが最大の見所だった。
少女の武器は豊富なリソースとそれを直接変換して発生させる大火力。
対するはオールラウンドに立ち回り、いやらしく敵の弱みを突く狡猾な少年。
戦いの火蓋はレイジングハートの無機質なカウントによって切って落とされた。



次の日の朝、なのはの目覚めはまたもや余り良くなかった。
クロノと呼ばれるルーカスに似た少年に完膚無きまでに負かされ、小学校では得意だったテストなのに得点は50点前後。
90点以上が普通であるテストに慣れすぎたせいか、結果を言われた当初は少女は自らがあまり魔法に向いてないのかと錯覚しかけていたぐらいだ。
それに夢の中でも魔法を使いすぎたせいかなのはは疲労感が抜けずにそのままでいた。

「おはよう、なのは。」

太陽はすっかり昇り、ユーノはなのはが起きるのを待っていたようだ。
日曜日だからかなのはは遅くまで寝てしまい、ユーノはその健康情報を観察している。
魔法の使い始めは極端な疲労が起こる可能性は十分にある。
それはユーノの部族でも言われている事でもあり、ユーノ自身もその覚えは一応あった。

「ふぁあ、おはよう、ユーノ君。」

なのはは体を起こし、携帯電話を手にした。
眠そうに眉を擦るなのははあることに気が付く。
時刻は既に10時、つまりは真昼間であるということだ。
今日はユーノと魔法の練習をすると約束していたのであまり眠れなかったのもあるが、それにしても小学生が起きる時間としては遅すぎた。

「ゆ、ユーノ君。もしかして待ってた?」
「そうでもないかな、レイジングハートと今後の事を考えていたしね。」

その言葉を聞いてなのはは安堵したと同時に、一つの可能性を考えていた。
なのはは周りからしっかりした子であると言う評価はあるが、一人のときは何かとズボラな人間である。
そのズボラな部分が良く出る睡眠時の様子を見られたかと思うと、顔が真っ赤になり始めている。

「………? どうしたの、なのは。顔が赤いよ?」
「な、なんでもない。」

真っ赤な顔が戻る事はなく、その様子が何を指すのか分からないユーノはただ疑問符を浮かべるだけだった。
ただ、ユーノはなのはが赤面するその原因を疲労による風邪と誤認し、授業のペースを少し抑える事を決める。

「そうかなあ。でも、無茶はいけないよ?」

そうユーノは勘違いしながらなのはに釘を刺し、授業のメニューを再構築し始める。
勘違いしているしてないにせよ、なのはにとってすれば疲労は残っていることは確かなので、結果的にはユーノの言葉は間違ってはいなかった。




日曜日の昼、ルーカスはこの海鳴市の図書館、風芽丘図書館へと足を運んでいた。
彼の職業は厳密には戦闘員ではなく、調査員だ。
管理外世界に出向いてはトラブルを起こす事なく、その現地の文化、法律、環境を調査し、それを各団体へと報告する事が主な業務だ。
今回のような直接戦闘はやむを得ないものであることは否めないが、管理局の介入が発生すると調査結果が狂ってしまったり、調査事態が無駄になる場合がある為調査者はそのような自体を自発的に収拾させる可能性や、事態の収拾を依頼されることもある。
ここで言う各団体とは時空管理局も含まれるが、通信社や出版社など多岐に渡る。
何故なら地球で山脈や集落の画像が欲されるのと同じく、ミッドチルダ人からすれば困難な環境である管理外世界のものと言うものは付加価値が付くものだ。
その為にルーカスのような腕扱きの魔導師が市営の図書館へ通い、様々なレポートを書く為に本を借りる事は度々有る事だった。

とは言え、それだけの為に図書館へ行く訳ではなかった。

適当に様々な本を見繕い、あまり人の居ない休憩スペースに足を運ぶとそこにはルーカスが良く知る少女が座っている。
少女はイスではなく車椅子に腰掛け、その隣のベンチには彼女と明るそうに話をする妙齢の女性。
外見から推測できる年齢や髪の色は姉妹とは考えられぬほどの違いを有していた。

「こんにちは桐生さん、はやて。」
「あら、ルーカス君。今日も勉強熱心ね。」
「あ、ルーカス君。今日もおはようさんやな。」

ルーカスは彼女らに歩みより挨拶を交わす。
挨拶を交わしたついでに自動販売機から炭酸水を買い、少女の向かいに座る。
車椅子の少女の名ははやて。家庭や身体上の都合から学校を休学しており、足は原因不明の麻痺によって動かないそうだ。
生来の茶髪や比較的バランスの取れた顔つきは、比較的異性に興味が行かないルーカスにとっても将来を期待させるほどである。
しかし、そんな顔とは対照的に車椅子や細い体はこの後の人生においてどんな影響が起こるかと考えると不安なものは隠せない。

「いえいえ、ただ本を借りに来ただけですから。 おはようとは言うが、もう昼じゃないか。」

桐生と呼ばれた女性は外見上は20歳前半ではあるが、大学生でも院生でもない。
彼女ははやての叔父に雇われた住み込みのホームヘルパーであり、兄弟も親も周りに居ないはやてにとっては、姉以上で母には満たないぐらいの存在だ。
おっとりしている外見とは裏腹に、介護支援専門員や居宅介護従業者などのはやてを介護するに当たって必要な複数の資格を全て有するやり手の女性でもある。

「き、きにせんといてえな。せやけど、つっこまんでもええやんか。」
「すまないな。そういうものはつい言いたくはなってこないかい?」
「そうね。はやてちゃんったら時々変な所で抜けてるものね。」

とは桐生さんは言うものの、ルーカスははやてとの知り合った経緯を考えると人の事は言えなかった。

そう、かつてはこの図書館を探すべくルーカスははやての家の近くの公園付近を地図をにらめっこしながら歩いてたのだ。
ルーカスは日本という国の中では確実に異人に見える外見をしている。
だからだろうか、道を尋ねられれば避けられる事が多く、一度引き返そうとしていた。
その時、はやてがルーカスを呼び止め、たどたどしい英語で話しかけてきた事や、その後の自分の反応はルーカスには強烈な印象に残っていた。

『め、めいあいへるぷゆー?』
『ムリしなくても日本語はちゃんと話せるから大丈夫だよ。』

やり取りと思い出して噴出したルーカスにはやてはジト目を返す。
その目は大きめでかわいらしいのだが、その表情は拗ねそうな一歩手前と言えるものだ。

「おいおい、そんな拗ねなくてもいいだろう?」
「些細な事で噴出されたんよー?何か気になるやんか。」
「気のせいだと思うがなぁ。ほら、はやても時々そうしてるじゃないか」

と言う具合にルーカスはなんとかはやてを早くなだめようとするが、桐生はその二人のやりとりを見ながら笑っているだけだ。
ルーカスが精神力を無駄遣いしてなだめたときには、ぬるくなった炭酸と、それを口にして微妙な表情をしているルーカスを笑うはやての姿があった。


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