前書き・注意書き
・この作品ではなのはの性格が魔改造されております。
・フェイトは性格がPSP版なのは(以下なのポ)の雷刃の襲撃者状態になっております。
・この作品は読み手も書き手も構わず黒歴史を掘り返します。
以上を注意した上で(精神をガリガリ削る作業を)お楽しみ下さい。
―――聞こえますか?
―――助けてください!
―――僕に、力を貸して……!
―――魔法の、力を……
私の名は高町なのは。私立聖祥代付属中学校に通う”異端”の一角だ。
ここ高町家においては所詮三人兄弟の末っ子にすぎない。――否、そう見えるように擬態している。
「おはよう」「おはよう、なのは」
父も母も、
「兄、姉、おはよう」
「おはよ。あ、サンキューなのは」「おはよう。わかった、今上がる。続きは帰ってきてからな?」「はい」
姉も兄も。
誰もが私を普通の娘として、妹として扱う。だが同時に、この虚構の上に成り立つ日常を、私はひどく胡散臭く感じてもいた。
登校風景にしてもそうだ。
表面上は何の摩擦もなく談笑するも、腹の底から楽しむことなど無い。
スクールバスに独り――周囲に有象無象の人間がいようと、所詮私は孤独なのである――乗り込む。
「なのはー、おはよー!」
「おはよう、なのはちゃん」
最後部の座席に並んで座っているのは、誰だ? ――友。アリサちゃんとすずかちゃんだ。
有象無象の塵芥ではない、私の認める友人だ。凡下とは全く違う。
「イゼル・アディータ」(私の考えた朝の挨拶)
ただそれだけを口に出して、何食わぬ顔でアリサちゃんの隣に座る。
周囲には聞こえない程度にぼそり、と呟く。
「今、何人いるの?」
「そんなものそうそういないわよ」
「ふーん、ならば安心して”日常会話”に励むことができる、というわけだよね」
「今なんでそんなところ強調したのよ、しかもなんかいたら話せないことでもあるの?」
アリサ・バニングスは霊能力者だ。本人は「まあ確かに、前に京都で『お主は死霊に限りなく近い波長を持っておる!』と言われたわ」と言っているが、私の『絶霊雄波』(私の名付けた人間の体内に宿る神秘エネルギー)を抑えていることから、無自覚に封印術を行使できるものと考えた方が正しかろう。
「まあまあ、アリサちゃん。なのはちゃんがこうなのは割といつものことじゃない」
月村すずか。大宇宙誕生の瞬間から常に在り、地球の片隅で世界の覇権を操作し続けた血刃の皇帝の眷族が人間社会に身を落としたという一族、『夜の一族』の党首の妹だ。
それが故に人間社会に近づきすぎることは禁じられているが、私のような”深入りするわけにもいかない”人間には逆に好都合である。
―――そうやって、私の日常という名の歯車は廻ってゆく。
―――そのぼろぼろと零れ落ちる歯を、止めようともせず。
「ああ…、こう、今のなのはを見てると二年前の自分を思い出して気が滅入るのよ…」
「あはは、そのうち落ち着くだろうし待っていようよ、アリサちゃん」
「というかあの頃の霊感設定をいちいち掘り出されるお陰でいちいち頭を何かにぶつけたくなるのよ!」
「自業自得っていえばそうなんじゃないかな?」
「ああああああああああああ!」
あとがき
・アリサさんは既に卒業済みです
・夜の一族にそんな設定はありません
・レイジングハートが使うのは魔力です。絶霊雄波なんていうわけのわからないエネルギーではありません
というかもっと長くしようとしたが書いてて自分のHPが削れ過ぎて断念。死ぬ。
※某天元突破能力持ち三十路なのはさんの関連作と淡い期待を持たせてしまったようで、あまりに申し訳ないのでタイトルを改訂します。すみませんでした。