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No.17010の一覧
[0] リリカルホロウA’s(リリカルなのは×BLEACH)[福岡](2011/08/03 21:47)
[1] 第壱番[福岡](2010/04/07 19:48)
[2] 第弐番[福岡](2010/03/07 06:28)
[3] 第参番(微グロ注意?)[福岡](2010/03/08 22:13)
[4] 第四番[福岡](2010/03/09 22:07)
[5] 第伍番[福岡](2010/03/12 21:23)
[6] 第陸番[福岡](2010/03/15 01:38)
[7] 第漆番(補足説明追加)[福岡](2010/03/17 03:10)
[8] 第捌番(独自解釈あり)[福岡](2010/10/14 17:12)
[9] 第玖番[福岡](2010/03/28 01:48)
[10] 第壱拾番[福岡](2010/03/28 03:18)
[11] 第壱拾壱番[福岡](2010/03/31 01:06)
[12] 第壱拾弐番[福岡](2010/04/02 16:50)
[13] 第壱拾参番[福岡](2010/04/05 16:16)
[14] 第壱拾四番[福岡](2010/04/07 19:47)
[15] 第壱拾伍番[福岡](2010/04/10 18:38)
[16] 第壱拾陸番[福岡](2010/04/13 19:32)
[17] 第壱拾漆番[福岡](2010/04/18 11:07)
[18] 第壱拾捌番[福岡](2010/04/20 18:45)
[19] 第壱拾玖番[福岡](2010/04/25 22:34)
[20] 第弐拾番[福岡](2010/05/23 22:48)
[21] 第弐拾壱番[福岡](2010/04/29 18:46)
[22] 第弐拾弐番[福岡](2010/05/02 08:49)
[23] 第弐拾参番[福岡](2010/05/09 21:30)
[24] 第弐拾四番(加筆修正)[福岡](2010/05/12 14:44)
[25] 第弐拾伍番[福岡](2010/05/20 22:46)
[26] 終番・壱「一つの結末」[福岡](2010/05/19 05:20)
[27] 第弐拾陸番[福岡](2010/05/26 22:27)
[28] 第弐拾漆番[福岡](2010/06/09 16:13)
[29] 第弐拾捌番<無印完結>[福岡](2010/06/09 23:49)
[30] 幕間[福岡](2010/08/25 18:28)
[31] 序章[福岡](2010/08/25 18:30)
[32] 第弐拾玖番(A’s編突入)[福岡](2010/08/26 13:09)
[33] 第参拾番[福岡](2010/10/05 19:42)
[34] 第参拾壱番[福岡](2010/10/21 00:13)
[35] 第参拾弐番[福岡](2010/11/09 23:28)
[36] 第参拾参番[福岡](2010/12/04 06:17)
[37] 第参拾四番[福岡](2010/12/19 20:30)
[38] 第参拾伍番[福岡](2011/01/09 04:31)
[39] 第参拾陸番[福岡](2011/01/14 05:58)
[40] 第参拾漆番[福岡](2011/01/19 20:12)
[41] 第参拾捌番[福岡](2011/01/29 19:24)
[42] 第参拾玖番[福岡](2011/02/07 02:33)
[43] 第四拾番[福岡](2011/02/16 19:23)
[44] 第四拾壱番[福岡](2011/02/24 22:55)
[45] 第四拾弐番[福岡](2011/03/09 22:14)
[46] 第四拾参番[福岡](2011/04/20 01:03)
[47] 第四拾四番[福岡](2011/06/18 12:57)
[48] 第四拾伍番[福岡](2011/07/06 00:09)
[49] 第四拾陸番[福岡](2011/08/03 21:50)
[50] 外伝[福岡](2010/04/01 17:37)
[51] ???(禁書クロスネタ)[福岡](2011/07/10 23:24)
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[17010] 第弐拾壱番
Name: 福岡◆c7e4a3a9 ID:4ac72a85 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/29 18:46




最初に動いたのは、意外にもクロノだった

通常、管理局のセオリーとしてはこの手のケースでは相手に投降・降伏の意思があるのか否かの確認をする

だが、クロノはソレをしなかった

今までのウルキオラの行動、そして先ほどのウルキオラの言動
自分達を管理局と知った上での、宣戦布告

そして、今は次元断層を引き起こそうとするプレシア・テスタロッサの共犯者


故に、クロノは余計な問答は時間の無駄と判断したのだ。




「スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!!!」




クロノが叫んで、杖の先に魔力を込める
青い魔法陣と共に、ソレは出現する

全長1.5メートル前後の青い宝剣
それは青い魔法陣の光に照らされて、その数は次々と増えていく

一つ、二つ、三つ、十、二十、五十……百……二百!!

総数二百を超える、宝剣の群れ
そしてその全ての照準が、白い死神に合わされる。



「フルバースト!!!」



クロノが吼える
その咆哮と共に、全ての青い宝剣はウルキオラに襲い掛かり



それは、決戦開始を知らせる狼煙となった。










第弐拾壱番「最終決戦・vsウルキオラ」










全剣射出
その全ての青い剣は弾丸の様に射出されて、空を切り裂きながら疾風の速度でウルキオラに迫る。

それは並みの魔導師では、例え十人いたとしても防御し切れずに魔力の刃で切り裂かれていただろう。


だが



「その程度か」



翠光が輝く
指先に霊子を収束させて、ウルキオラの虚閃は宝剣を薙ぎ払う。


だが、一発の砲撃では剣の嵐の全ては落とせない。

撃ち洩らした宝剣、その数は四十余り
それは唸りを上げてウルキオラに襲い掛かり


「スナイプ・ショット!!!」


疾風が、閃光となる
加速された宝剣は、青い流星の様に輝きながらウルキオラにその脅威を向ける。



「俺をその手の攻撃で斃したいのなら」



白銀が煌く
翠光が輝く



「どこかの滅却師を超えてからにするんだな」



白銀の閃光が、青い閃光を切り裂く
翠光の弾丸が、青い宝剣を砕く

斬魄刀と虚弾
白銀と翠の閃光の暴風は、襲い掛かる青い宝剣の全てを喰い尽くす

その二つは、一切の容赦無くクロノの宝剣の全てを葬る。


だが十分、それで十分。
その僅かな時間、ウルキオラはその場に縫い止められて


「ブレイズ・キャノン!!!」


ウルキオラの死角から
その硬直を狙って、アリアの砲撃が唸りを上げる。

Sランクの砲撃
直撃すれば例えウルキオラでも、ある程度のダメージは負うであろうその一撃

だが


「甘い」

「……な!!!」


砲撃は、切り裂かれる
ウルキオラのその斬撃によって、その砲撃は真っ二つに切り裂かれて


ウルキオラは響転を発動させた。


「……!!!」


アリアの目が、驚愕と共に見開く。

その速度、正に超速
疾風迅雷と言っても過言ではない、目にも止まらぬその速度

ウルキオラは砲撃直後のアリアとの距離を瞬時に詰める

そして、白銀の閃光が三日月の軌道を描いてその命を刈り取る。


しかし


「させるかああぁぁぁ!!!」


もう一つの黒い影は飛び出す
それはアリアの双子の片割れ・ロッテだ。

一つの盾が、白銀の軌道を食い止める
数瞬の拮抗を持って盾は切り裂かれて、その僅かな時間の間にアリアは跳ねる様なバックステップで距離を取る。

ロッテはアリアの安全を確認して、拳を構える
その拳に魔力を収束させて、床を砕くような勢いで踏み込んでウルキオラに向かう。


だが


「邪魔だ」


その指先が、ロッテとその延長上のアリアに向けられる
そしてウルキオラは響転を発動させたまま、その一撃を放った。


――虚閃――


「……!!!」

「……な!!!」


二つの影を纏めて翠光が飲み込む

巨大な砲撃に一呑みにされて、二人は同時に葬られる……筈だった。



「舐めるなああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「……!!!」



翠光が、曲がる
その軌道は曲がって、大きく横に逸れる。

一体、何が起こったのか?
答えは単純だ。ロッテは収束させた拳の魔力を瞬時に巨大化させて、虚閃を『殴り』飛ばしたのだ。

虚閃を殴り飛ばす
その予想外の対処の仕方に、ウルキオラの動きは一瞬止まり


「ウオオオオオオォォォォぉ!!!!」


間髪を入れずロッテは反撃に出る、そして同時に二つの影は飛び出す
白い影と橙の影が飛び出す。


「……三人、か」

「!!……気付かれた!?」

「構いません! 突撃あるのみです!!!」


緑の瞳が、その影を捉える
アルフとリニスは、ウルキオラ隙を突いたつもりだった。

背後と死角から、その必殺の瞬間を狙って飛び出したつもりだった。

しかし、ウルキオラの探査神経はその二つの存在を完璧に捕らえてきた。


だが、三人は止まらない
数はこちらが有利、幾らウルキオラでも瞬時にこれは捌けない!!



「まだ、甘い」



だが、崩れない

リニスの斬撃は、斬撃によって止められる

アルフの魔力弾は、翠弾によってその体ごと迎撃される

ロッテの拳は、その手首を掴まれる


「んな!!!」

「どいていろ」


ウルキオラは、掴んだソレを振り回す。
自分の刀と膠着を続けているリニスに向かって、掴んだロッテを体ごと振り回して投げ飛ばす。


「……ガァ!!!」

「グゥ!!」

「消えていろ」


投げ飛ばされて、リニスとロッテは共に床の上をゴロゴロと転がって
ウルキオラの指が、ソレに照準を合わせる。

翠光が一瞬輝いて、虚閃が発射される
それと同時に、その少女が牙を剥いた。



「サンダー・スマッシャー!!!」



黄金の砲撃が、翠光の砲撃を迎え撃つ
爆風の様な唸りを上げて、二つの砲撃は唸りを上げてぶつかる。


そして次の瞬間
フェイトは更に、砲撃をもう一段階進化させた。


「バルディッシュ! セカンド・フォーム!!!」

『Yes sir!!!』


黄金の砲撃は、その形態を変える
面から点へ、槌から矛へ、その在り方を変える

瞬時に霊子を収束させて、発射させた虚閃
勝機を逃さない、その時を狙って集中して収束させた必殺の砲撃


その力の関係は、明白だった。


「……!!!」

「いっけええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


黄金が、翠光を押し返す
ウルキオラは決して油断していた訳ではなかった。

寧ろその逆、勝機を決して逃さない為に放った虚閃……これの溜めが、僅かに時間不足……力不足だった

動けない獲物は仕留める事が出来ても、向かってくる敵には力が足りなかったのだ。

そして、想定外だった
フェイトの成長が、ウルキオラの予想を上回っていたのだ。


「……なるほど」


しかし、ウルキオラもソレで終わらない。

瞬時に霊子の収束を解いて、迫り来る黄金を斬魄刀で切り裂く
一対一ならともかく、今は多対一だ。数秒の硬直でも、それは命取りなる。

だから、ウルキオラはソレを選択した
そしてその選択は、間違っていなかった。


砲撃直後の、フェイトの硬直
それをウルキオラは見逃さなかった。


「今度は外さん」


――虚弾――


翠光の弾丸が放たれる
虚弾は虚閃の速度の二十倍、その速度は音速すらも超越する。

それとほぼ同時だった
フェイトの前に、緑色の壁が出現したのは


「……!!!」


緑の壁が、その弾丸を受け止めた。


「早く離脱して!!!」


プロテクション

ユーノはフェイトの砲撃が弾かれると同時に、その準備を終えていたのだ
保険のつもりで準備をしていたのだが、どうやら間違っていなかったらしい。


ユーノの言葉を聞いてフェイトは即座に離脱して、その直後プロテクションは虚弾に破壊される。

そして、ウルキオラはユーノの存在に気づく
その瞳が、指先が、ユーノを捉える。


そして次の瞬間、『彼等』は次の手を撃つ。



「「デュアル・バインド!!!」」



ユーノとクロノが、同時叫ぶ
そのリングと鎖は、同時にウルキオラを束縛する。

それはユーノが考えていたウルキオラへの策
リングタイプとチェーンタイプ、異なる二種類のバインドの同時併用だ。

四肢と全身、二種類の束縛
その二つの併用は、相乗効果によってその力を倍増させる。


「少しは学習している様だが」


だが、ソレは持たない
リングには罅が入り、鎖は千切れかけている。


「まだ甘い」


単純に、力が違うのだ
紙の鎖で、龍を束縛する様なものだ。


だが、十分
その僅かな時間で十分


この僅かな時間稼ぎで、自分達の策は成った!!!



「……これが私の……」



ウルキオラの探査神経が、その魔力を捉える。



「全力全開!!!!」



視線を、上に向ける。

それは圧倒的魔力
プレシアにすらも比肩しかねない、巨大で強大な力の唸り

桜色の砲撃は、その照準を合わせる。




「スターライト・ブレイカアアアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!!!」




その一撃が放たれる
その力、その圧力、その霊力、全てが圧倒的

少なくとも、ウルキオラが此方に来てから体感した力の中では最強クラス



(……回避は、少し厳しい……か?……)



ウルキオラは現状を考える
今自分を束縛しているコレを破ってからの響転では、恐らく間に合わない。

この束縛は簡単に敗れるが、それでも数瞬から一秒の時間は使うだろう。


それでは、恐らく間に合わない
この砲撃からは、逃げられない


この束縛を破ってから響転を発動させたとしても、恐らくは安全圏まで逃げ切れないだろう。


直撃は避けられるが、それだけだ


この一撃は回避できない


ウルキオラは、その事を結論付けた。















……勝った!!!……


その瞬間、そこにいる誰もがそう思った

なのは達は、事前にその策を考えていた

もしも、プレシア・テスタロッサよりも先にウルキオラと交戦する事になったら?

そして、その交戦は避けられないモノであり、そうしなけれはプレシア・テスタロッサの元に行けなかったら?


長い時間は、掛けられない

かと言って、戦いは避けられない



ならば、答えは一つ
それは、最初から全力の……短期決戦だ。



先ずはなのは以外の七人に、ウルキオラの注意を向けさせる。

その準備が完了するまで、ひたすらその七人は囮・陽動に徹する。

そしてその七人がウルキオラを引きとめている間に、なのはは正真正銘の全力まで全開まで、力を溜める。


そして準備が完了したら、タイミングを見計らって誰でも良いからウルキオラをバインドで引き止める。

ウルキオラをバインドで固定して、一秒でも、一瞬でも長くそこに縫い止める。


そして、絶対かつ確実な隙を作る。


そして、その策は成った!
自分達の予想通りの、尚且つ理想通りの形で成った!!


なのはの最大出力、最大の火力を誇る収束型砲撃魔法
その威力は正にSランクオーバー


例えウルキオラでも、直撃すればただでは済まないだろう


仮にこれで仕留められなくても、確実にダメージは負うだろう
ならばそのダメージの分だけ、今後は自分達が優勢に戦闘を進められるだろう

もはや、回避は不可能
それは必殺のタイミングであり、必殺の一撃


故に、そこに居る全員は自分達の策が成功した事を確信した。





――グラン――





そう、彼等は間違い無く





――レイ――





成功を、確信して『いた』





「セロ」





――その瞬間までは。




















次元航行艦アースラ・ブリッジ
そこは現在、騒然としていた

一度落ち着いた筈のその場所は、再びざわめきたっていた。


「!!……次元震、僅かにですが増大!」
「空間歪曲発生!! 発生場所は……時の庭園です!!」

「現地のエル隊長に振動制御の指示を! そして『アースラ』はディストーション・フィールドの第二次展開!!」

「了解!!」


アースラの中で、リンディは現状を把握しながら指示を出していた
オペレーターの局員はかなり浮き足だったが、どうやら何とか落ち着きを取り戻した様だ


……今の『アレ』は……何?……


リンディは、オペレーターに指示を出しながらそう思っていた

考えているのは、さっきの映像
時の庭園のサーチャーから送られた、次元震を増大させた原因となったモノの映像を


……『アレ』は、魔法なの?……


そう思った瞬間、リンディは直ぐに思う


……巫山戯るな……馬鹿げている……


……アレは、もはや魔法ではない……


……アレは、『兵器』の領域だ……


そして思う、自分達はもしかしたら……過小評価をしていたのかもしれない

その本当の脅威の力を、見誤っていたのかもしれない

そう結論付けた瞬間、リンディは悪寒と共に冷たい汗が流れた。






















そこには、巨大な空間が出来ていた
いや、それは空間ではない……巨大な、穴だ。

時の庭園の天蓋に開いた、巨大な穴
それはまるで一流ホテルの展望台の様に、紫の天の姿を盛大に見せつけていた。


「……ほう、今のを避けたか? 存外良い反応だな」

「…………」


ウルキオラは感心した様に言う
その緑の瞳は、自分に砲撃を放ち自分の一撃から見事に生還した少女
高町なのはと、その体を支えるフェイト・テスタロッサを捕らえていた。


だが、二人は何の言葉を発しない
そこに居る誰もが、言葉を発しない


勝った、と思った

作戦は、成功したと思った。



だが、それは儚い幻想だった
その幻想は、余りにも呆気なく砕かれた。


目の前のその男に、余りにも簡単に壊された。


その一連の光景を、そこに居る全員は見ていた
あの瞬間、なのはの砲撃が当たる寸前に……あのウルキオラは束縛を引き千切った

そこまでは、想定内だった
もはや、回避は不可能……正に、そのタイミングは必殺と言っても過言ではなかったからだ。


だが


なのはの一撃は
その必殺とも言える一撃は、ウルキオラには届かなかった。


その必殺の砲撃は、更に強大な翠光によって呑まれて消え去ったからだ。


そしてその翠光の砲撃がなのはを飲み込むその瞬間、弾けた様にフェイトは飛び出してなのはを抱えて離脱した。

そして、その翠光の砲撃は時の庭園の天蓋に穴を開けたのだ。



「……今のが、全力か?」



だから、思った
そこに居る全員は、その一連の光景を見て悟った……悟ってしまった。



……強い……


……レベルが、違い過ぎる……



甘かった、自分達は甘かった

誤っていた、見誤っていた
自分達は、間違っていた

ウルキオラを低く見過ぎていた
今までのウルキオラの最強というレベルを、過小評価し過ぎていた。


この策は、通じない
ウルキオラに対して、『短期決戦』等と言うこの策は通じる訳がない。


「……そうか……」


その事を、全員は心の底から理解してしまい



「残念だ」



その瞬間、翠光が奔った。


















「……ほう、今のを避けたか? 存外良い反応だな」


ウルキオラはその一連の光景を見て、僅かに感心した様に呟いた

その一撃を放った後、ウルキオラの元にプレシアからの念話が届いた



『ちょっとウルキオラ! 貴方派手にやり過ぎよ!! 何を好き勝手に私の庭園を壊しまくっているのよ!!』



その声に、冷静と余裕はない
言葉には憤怒と不満、そして不安が練りこまれていた


『貴方、ひょっとして自分の役目を忘れているんじゃないのでしょうね?
今のは方角が上だったから良かったものの、下手をしたら計画に思いっ切り支障が出る所だったわよ!!
こっちが終わるまでは、今の砲撃は極力使わないで頂戴。それじゃあ、後は手筈通りに頼むわよ』


そう言って、プレシアからの念話は途切れる
そしてウルキオラは考えた。



(……王虚の閃光、か……確かに、コレは使うつもりでは無かったのだがな……)



ウルキオラは一撃放ってそう思った
確かに、今の桜色の砲撃は強力だった。

プレシアの砲撃にも迫る圧倒的火力、そのエネルギー、その威力

確かに回避は出来ないタイミングだった

だがそれでも、防御は十分に間に合った筈
回避は無理でも両掌を使った防御は間に合ったはず、それで十分今の砲撃は防げた筈

迎撃の必要は無かった筈


だが、何と言えば良いのだろうか?

体が咄嗟に反応した、ウルキオラは反射的に迎撃を選らんでしまったのだ。


その砲撃を避けられないという結論に達した時、不意にあの時の戦闘の記憶が

黒崎一護に敗れた時の記憶が、突然頭の中を駆け巡ったからだ。



(……コレが、敗北の影響……と、言うヤツか?……)



どうやら相手方の攻撃に対して、自分は少々過敏になっている様だ。

自分で自分の行動に対する考察を纏める
それと同時に、相手の戦力に対しての考察を進める。



(……流石に、八人の全ての相手は面倒だな……)



そしてウルキオラは改めて扉の前に響転で移動して、その全員を視界に納める。


手強い
それがその八人に対する、ウルキオラの率直な評価だった。


確かに個々の力は高い
だがそれでも、それが只の烏合の衆だったのなら…自分を捕らえる事など不可能だった筈

個々の実力とその錬度は高く、チームワークが取れている
つい先日まで、互いに敵同士だった者達がコンビネーションで攻めて来る


故に手強い。



(……これ以上は、アレの計画に支障が出るな……)



当初の予定では、ここで二~三人は潰しておきたかったが仕方が無い

僅かにでも気を抜けば、その牙は自分の咽喉元に迫るだろう
油断大敵……窮鼠、猫を咬むという言葉もある。



「……今のが、全力か?」

「…………」

「……そうか……」



相手は答えない。だがその表情からその答えは既に解かり切っている。



(……そろそろ、か……)



そろそろコイツ等も、その結論に達するだろう

その方法しか無いと、理解し始める頃だろう

ウルキオラは頭の中で今後の行動について纏め上げて




「残念だ」



指先に霊子を収束させて、虚閃を撃つ
その砲撃は、唸りを上げて目の前の八人へと襲い掛かり



「「ブレイズキャノン・デュアルシュート!!!」」



その砲撃が放たれた。













翠光が輝いた、ほぼ同時だった
その二人が翠光の前に踊り出て、双の掌を合わせるように砲撃を放ったのは。


「「ブレイズキャノン・デュアルシュート!!!」」


二重の声が響いて、その砲撃は翠光を迎え撃つ
その二つの黒い影の砲撃は、ウルキオラの虚閃を真っ向から迎撃した


「リーゼ!!!」


クロノがその光景を見て叫ぶ、それで同時にもう一つの影は飛び出した



「リニス!!!」

「ハアアアアアアアアアアァァァァァァァ!!!!」



アルフが叫んで、リニスが吼える

それは風の如き疾走で駆け抜けて、ウルキオラに迫る
そして白銀の一閃が、背後からウルキオラを襲う


だが!!


「それで終わりか?」


白銀が白銀を迎撃する
翠光は砲撃を迎撃する

迫り来る二つの脅威を、ウルキオラは同時に防ぐ


だが、ソレで終わらない!!


「「まだまだあああああぁぁぁぁ!!!!」」

「はああああああぁぁぁぁぁ!!!!」


砲撃が、翠光を撃ち破る
白銀が白銀を押し返す



「……!!!」



虚閃と斬魄刀を同時に押し返されて、ウルキオラ響転でその場から瞬時に離脱する
それと同時に、三つの影は飛ぶ

そしてリーゼの放った砲撃は、ウルキオラが守護していた扉を破壊した。


「ウオオオオオオォォォォォ!!!!」

「セリャアアアアアアァァァァァァ!!!!」


ロッテとリニスが吼える
野生の唸りの様な咆哮を上げて、同時にウルキオラに襲い掛かる


刀が吼える、両腕が唸りを上げる

それらは必殺の気魄を込めて、ウルキオラに襲い掛かる。

ロッテの四肢を駆使したラッシュが、リニスの烈火の様な剣戟が
ウルキオラをその場に縫い止める



「皆! ここは私達三人が抑えます!! 皆はプレシア・テスタロッサの確保に向かって下さい!!!」



アリアがクロノ達五人に向かって、叫ぶ様に言う


「……んな!! 無茶だアリア!!!」

「そうですよ! たった三人でなんて……そんなの無茶です!!!」


そのアリアの言葉を聴いて、クロノとなのはが驚いた様に声を上げる

無理、無謀、不可能

その言葉を聞いた、五人が真っ先に思い浮かんだ言葉がソレ等だった


八人でやって、やっとウルキオラと対等だったのだ
それをたった三人で抑える、そんなのは無謀だ。



「目的を見失うなクロスケエエエエエエエエエエェェェェェェェ!!!!」



ロッテが、怒鳴るようにして叫ぶ。



「私達の目的は、ウルキオラと闘う事ではありません!! プレシアを止める事です!!!」



更に続けるように、リニスが叫ぶ

それと同時に、二人はウルキオラに攻撃によって弾き飛ばされる

しかし、次の瞬間
アリアがウルキオラに、数多の光弾を嵐の様にウルキオラに撃ち込む。



「クロノ! 貴方は執務官でしょう!? ならば、目的を見誤ってはいけません!!!」

「フェイト! アルフ!! 貴方達はプレシアを止めたい! そう思ってここまで来たのでしょう!!? ならば、それを忘れてはいけません!!!」

「大体ねええぇぇ!!! 前にも言ったでしょうクロスケエェ!! 弟子が師匠の心配をするなんざ十年早いのよおおおぉ!!!」



自分達の策は失敗した

短時間でウルキオラを斃すのは、不可能だと分かった

仮に勝てたとしても、時間を大きく消費する
例え勝てたとしても、体力・魔力を大きく消耗する


それでは、ダメだ

それでは、プレシアは止められない

それでは、次元断層を止められない


故に、三人は思った
故に、三人は気付いた
その方法しかないと、気がついた。


誰かが、ここでウルキオラを足止めする
そしてその間にプレシアを止める、確保する。


もう、それしかない

だから悟った、理解した。



その方法しかないと言う事を

もう、その方法しか残されていないという事を



五人は、心の底から理解してしまった。



「行くぞ!」

「……で、でも!!!」

「なのは、行くしかない! 三人の事が心配なら、尚更早く行くしかない!!」



クロノが号令を掛けてなのはが躊躇うが、ソレをユーノが抑える

そして、その言葉を聞いてなのはも頷く。



「……行こうアルフ!」

「~~~~!!! ああ、もう!!! 了解だよ!!! リニス!戻ってきたばかりで死ぬんじゃないよ!!! 死なないでおくれよ!!!」



フェイトの決意を感じ取り、アルフも覚悟を決める。

五人は決断した
その選択を手に取った。



「直ぐに戻ってくる!! それまでは持ち堪えていてくれ!!!」

「アリアさん! ロッテさん! リニスさん!! 直ぐに戻ってきますから! ですから、それまでは無事でいて下さい!!!」

「無茶だけは絶対にしないで下さい! こっちも直ぐに終わらせて来ますから!!!」

「リニス、行ってくる!!! 無事でいてね! 私達が母さんを止めて戻ってくるまで、本当に無事でいてね!!」

「こっちはちゃっちゃと終わらせてくるから! だから、本当に無茶だけはしないでおくれよ!!!」



五人はその扉を潜り抜ける

その様子を、三人はその目で確認して



「……さて、あちらも準備が整ったみたいですね」



煙が晴れる

そこには、依然無傷でそこに立つ自分達の敵

自分達が、戦わなければならない敵



「……流石に、無傷というのはショックですね」

「ハイスペックなオールラウンダー、そんな感じですかね?」

「さーて、精々弟子に無様な姿を晒さない程度には頑張らないとねー」



三人は、互いに目配せをする。

今更だが、奇妙な物だった
特に打ち合わせた訳ではない、事前に相談していた訳ではない。


ただ、その方法に気がついたタイミングが一緒だっただけ

そして、ソレを実行しようとしたタイミングが一緒だっただけ


ただ、それだけだ。


ただそれだけで、嘗ては互いに立場が違う者同士が、今はこうして協力し合っている


そして奇しくも、自分達は全員が使い魔だ。



「結成、使い魔連合軍って所かしら?」

「うわー、安直だねロッテ」

「良いんじゃないのですか、分かり易くて良い名前だと思いますよ」



そう言って、三人は小さく笑って戦闘体勢に入る。



「……なるほど、お前等が俺の相手か」



ウルキオラは、その三人を視界に納める

そして、その立ち位置の違いに気付く

三人が居るのは、先ほど自分が居た位置

その三人は、その行く手を阻む様に立っていた。



「ここから先へは……行かせません!!」


リニスは刀を構えて


「貴方の相手は、私達三人です!!」


アリアは幾多の光弾を形成して


「さーて、それじゃあ今からお子様にはついていけない
ちょいと過激な、戦場のダンスパーティーへと洒落込みましょうかぁ!!!」


ロッテはその四肢に魔力を込める



「……良いだろう……」



その意気に、ウルキオラは応える

相手の目的は分かった、そして自分の役目も果たした

故に、ウルキオラも構える。




「力の差を教えてやる」




翠光が輝く

三人が咆哮を上げる


五人の道を守るため、己が使命を果たすため



三人の使い魔と

白い死神の闘いは



今この時、この瞬間を持って

更に苛烈の一途を辿る。












続く












あとがき
 えー最新話を投稿させて頂きました。今回から遂に無印編の最終決戦突入、ウルキオラ戦がスタートしました!

さて、本編では見て解かる様に早速ウルキオラが王虚の閃光をぶっ放しました!!
本編でも説明はされていますが、それ以上に作者がコレを描きたかったんです!! 第弐番で出して以来、ずっと出ていていなかったんです!!
と、言う訳で本編で説明を補足しつつウルキオラの王虚の閃光を使わせました。

さて、次に管理局サイド……なんか、使い魔三人がどこぞの弓兵みたいなポジションについています。死亡フラグが半端じゃないです……(汗)

次回は遂にプレシアも参戦します。
プレシアはこの作品のメインキャラの一角なので、今から描く事にワクワクしつつプレッシャーを感じております


それでは次回に続きます!!


追伸・そう言えば、今回はなのはさんのOHANASHIを出すのを忘れ……ゲフンゲフン、次回に続きます



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