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No.16683の一覧
[0] 【完結】雷落し【転生・恋愛・リリカル】[チーカMA](2011/02/18 18:04)
[1] 01[チーカMA](2010/04/15 00:43)
[2] 02[チーカMA](2010/11/18 10:24)
[3] 03[チーカMA](2010/03/21 20:33)
[4] 04(微テイルズクロス)[チーカMA](2010/11/18 10:25)
[5] 05[チーカMA](2010/03/21 20:34)
[6] 06[チーカMA](2010/03/21 20:35)
[7] 07[チーカMA](2010/03/21 20:35)
[8] 08[チーカMA](2010/03/21 20:36)
[9] 09[チーカMA](2010/03/21 20:58)
[10] 設定[チーカMA](2010/04/15 01:35)
[11] 番外編 A rainy day[チーカMA](2010/04/15 10:20)
[12] 君と俺との[チーカMA](2010/12/07 05:31)
[13] 今のこの時間を[チーカMA](2010/12/08 18:45)
[14] 眠り姫[チーカMA](2010/12/13 20:09)
[15] 言葉にして[チーカMA](2010/12/18 23:47)
[16] 雷が落ちる場所[チーカMA](2011/02/19 16:25)
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[16683] 06
Name: チーカMA◆06189430 ID:79d4e75b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/03/21 20:35
06




新しい季節が来て、無限書庫も新たな風を迎えることになった。
昨年話題となった起動六課は解散し、各々希望する部署に入ったらしい。
そして我が部署、無限書庫も大きな変革期を迎えていた。

異動。

恐ろしい言葉である。
二十五人しかいない無限書庫の人員のうち、四人が異動。
そして新人の目処はたっていない。

ここ数年での無限書庫の人員増加はない。
そしていま減少が起こってしまった。
二十五人から二十一人。

それだけで無限書庫は絶望的な状況になる。
まず、無限書庫の司書の能力は他の部署に比べて格段に高い。
それは日々の激務を何年もこなしてきた一種の兵士だからだ。

仕事の量が他の部署の数倍から十数倍。
仕事が常駐する無限書庫の司書たちは休みなく書類と戦い続けている。
魔導師であるならば、そのマルチタスク数は仕事の量に追いつくために各々のペースで増やしている。
強制的に上昇するマルチタスク数は最も少ない司書でも二十は超えており、これは戦闘をする魔導師と比べても十分にある。

そんな無限書庫に目をつけたクソノ提督は人員の引抜を行った。
しかし、そんな計画を兄さんから聞いた僕はユーノ司書長と結託して抵抗する計画を立てた。
そのおかげで十人と予定されていた移動人員が四人に減らすことが出来た。
その四人の変わりに入ることになっている人員はゼロ。
もちろん予定段階であるので出る人間は確定しているが、入ってくる人間は今後変えることが出来るかもしれない。

「これより、第四回無限書庫会議を始めたいと思います」

ユーノ司書長が議長席。
二十五席ある椅子のうちほとんどが主を持たず、ディスプレイによる通信で顔だけが移されている。
ユーノ司書長を含めて数席だけ埋まっており、僕を含めた大多数がディスプレイ越しの会議だった。

「まず、今回の主題にして絶対の題目。『無限書庫の追加人員について』」
「それに関しては此方の資料をご覧ください」

会議室(休憩室)に巨大な立体画面が浮かび上がり、数値が次々と浮かんでいく。
それはここ数年、より正確に言うならば僕とユーノ司書長が無限書庫に勤め始めてからの正確な司書数だ。
さらには仕事の稼働率に徹夜率、休暇数も表示されておりその異様な数値がコレまでの悲惨な現状を語っていた。

「これが示していますように、司書数の減少は無限書庫の運営に多大な影響を齎す可能性が十分に考えられます」
「僕もこれには頭を悩ましている。現在の運営でも休暇が他の部署よりも少なく、尚且つ仕事は減るところを見せない」
「つまり、司書数を増やすしか僕達に残された道はないということだな」

ユーノ司書長の言葉に俺が補足を入れる。
結論は最初からみなの中にあるのだ。
司書数を増やさなければ自分達が過労で倒れる。
もちろんクソノ提督が把握しているものでは生かさず殺さず僕達は搾り取られ、働かされるのだろう。
しかし、僕達も素直にそれを受け入れるほど安い人間ではないと自負している。

すくなくとも戦場を立ち回るエースオブエースたちにも負けない働きをしていると思っているくらいだ。
情報とはあればあるほど有利になる。
危険なロストロギアの情報を多く得ることが出来ればそれだけその対処に時間がかけられる。
それだけの価値を持っている無限書庫の司書たちは搾取される側となっている。

だから、僕達は立ち上がる。
一週間後の人員異動会議。
それぞれの部署の部長が参加して本局、ひいては海での人員の動きが決定される。
前もってある程度の異動は決められているが、この無限書庫の部署は増員が存在しない。
しかし、それだけは許されない。

今でさえ、休暇はあれど有給というものは存在しない。
地獄の無限書庫の名は伊達ではない。
ミッドへの情報漏えいはかなり厳しい具合に取締まりされている。
無限書庫の雇用は人権的に問題があると考えていいのだ。

しかし、それは僕達の望む結果ではない。
そんなものを借りて僕達は勝利したいのではない。
僕達の勝利条件はただ一つ。
人員の増加をし、有給を勝ち取る。

そのために何でもしていいのではなく、自分達が同情される形をとることは絶対に許されない。
あくまでも正攻法で。
与えられるのではなく、勝ち取る。
無限書庫とはそんな戦士達の戦場なのである。

「そうだ。だからこそ今度の人員異動会議、僕達は勝ちに行かなければならない」

そのユーノ司書長の言葉で今回の会議は締めくくられた。









「ということがあったんだ」

通信越しに笑っている彼女は少し疲れているようだった。
元気付けようにも楽しい話というものは無限書庫で働いているだけの僕にはそんな引き出しはない。
どれだけ知識を溜めようと人を楽しませることができないと痛感しながら思いついたことを話していた。

昔から話すことはきらいじゃない。
誰かと話すと自分が馬鹿ではないと確認できたから。
自分はこんな底辺の人間とは違う。
僕は転生者だ、他の人間とは違う特別な人間だ。
心の根底にそんな感情が確かにあったのだ。

今でこそ、そんな感情は薄れ純粋に会話を楽しめるようになったのだけれど。
昔の自分を思い出すと、どれだけ自分が子供だったのか思い知る。
だけど、今はそんなことは忘れて彼女との会話を楽しむとしよう。

「お兄ちゃん、そんなことやってたんですね」
「優秀な人だとは思うけどね。生かさず殺さず、理想的な統治の仕方だ」

それが圧倒的な権力の上にあるもので、下の人間が反骨心を持っていなければの話だけど。

「でも、大丈夫なんですか?」
「大丈夫、大丈夫。ちゃんと新人は入ってきたから」

ユーノ司書長の必死の説得によって新人が五人、そのうち一人が魔導師である。
対して抜ける人員は魔導師二人に非魔導師二人。
無限書庫の運営に多少の影響は出るだろうが、人数でカバーできるだろう。
少なくとも魔導師であるその一人はかんりのマルチタスクを得ることになると思う。

確か、書類では武装隊志望だったらしいがマルチタスクがまともに使えない不良品と書いてあった。
そんなのを無限書庫にやるクソノ提督は意地が悪いと思うのだが。
それでも、人間には生存本能というのがあって死に掛ければ否が応でも能力は上がるだろう。
死にさえしなければ。

「そっか。それで、次はいつ会えるかな?」
「今度の休暇がいつになるかは分からないけど………。本局内でなら会えるんじゃないかな?」

休憩室で行うべき通信を堂々と仕事中に行っている。
無限書庫においての一種の暗黙の了解として、仕事と同時に出来るのなら何をやってもいい。
つまり、犯罪スレスレのことでさえ仕事をおろそかにしないならばしていいのだ。
これはユーノ司書長もやっていることで、よく高町一等空尉と通信をしている。

ほとんどの司書たちは最初の頃こそ仕事に追われて何も出来なかったが、最近は仕事の脇で自由にやっている。
こんなことでもマルチタスクの訓練になるのだから世の中何が功を奏すか分からない。
最近入った司書たちは四苦八苦して自分達の分の仕事をやっているが、慣れるまでにかなりの時間を要するだろう。

僕やユーノ司書長にとって片手間である仕事も彼らにしてみれば圧倒的な量なのである。
無限書庫は地獄。
地獄の中でもしたたかに生きられるのが人間なんだなぁ……、と最近痛感している。

「じゃあ、食堂ででも会えるかな?」
「分かった。じゃあ一時間後ぐらいに食堂で」
「うん。じゃあね」

通信が切れてそれに費やしていたマルチタスクを仕事の方に向ける。
ふと視線を向けると、古参の司書たちがニヤニヤと僕を見ていた。

「何?」

手元にある資料をさっさと纏めながら視線だけ向けて聞く。
古参の司書たちはニヤニヤしながら「別になんでもありませんよ?」と、楽しそうな視線を向けている。
まるでデバガメだな。
僕は自分の中だけでそんな思いを呟く。

手元にある仕事が終わるのと同時に次の仕事が回ってきて、いつになったら終わるのかと考えてしまう。
しかし、一時間後に会うことを約束しているのだからそれに会うように仕事を終わらせなければならない。
ユーノ司書長は休憩中でどうせ高町一等空尉と会話しているのだろう。
無限書庫を出たという連絡はないから、休憩室で長距離通信をしているといったところかな。

「ふくちょ~」

下のほうから名前を呼ばれる。
視線を下に向けるとそれは新人のうちの一人、非魔導師であるバーティ・キンだった。
どこか間延びした声をしている彼は魔導師でないというハンデを負いながらも必死に仕事をこなしている。
といっても他の新人も十分に戦力として成り立っていないので仕事が忙しいのだけれど。

司書たちが数年前の自分を見ているようでほほえましいような目で見ている。
しかし、実際新人達にとっては死に物狂いで仕事をこなさなければ寝られないような状況だ。
一週間前に配属された新人達が自室に戻ったのは一度か二度だろう。
そんな状況にいる新人たちが一体何のようだろう。

「何か用?仕事は手伝わないよ?」

その言葉にバーティ司書はあからさまに絶望したような顔をした。
その手には書類のタワーが出来ていた。

「それ、期限いつまで?」
「み、三日後です!」

三日後。
この量を終わらせるのにバーティ司書の処理能力から考えて五日は掛かるだろう。
そうなれば無限書庫の評判は落ちる。
仕事もまともに出来ない無限書庫。
その名前を得てしまうことは無限書庫にとってもユーノ司書長にとっても、そして何より僕にとっても好ましくないことである。

「よし、誰かに手伝ってもらうといい」

僕には関係のないことである。
ここにいる誰かに頼めば一日や二日で出来るだろう。
しかし、それではバーティ司書の能力向上、いや無限書庫の戦力増加にはならない。
出て行った四人分の能力を新人五人で補ってもらわなくてはならない。

配属して一週間の五人では一人分の仕事も満足で出来ていない。
もちろん、誰かが監督するべきであるけれどそれが出来るほど無限書庫に余裕はない。
皆が皆、自らの仕事と内職に忙しいのだ。

「そ、そんな!?」

再び絶望した顔になるバーティ司書。
無限書庫は戦場である。
無限書庫は地獄である。
これは変えようのない事実で、僕達古参の司書でも仕事が多い際には徹夜や不眠不休は当たり前の時もあるのだ。
そしてそれは確実に司書たちの怒りをクソノ提督に募らせている。

『ユーノ司書長』
『何?』
『新人が仕事終わらせられないようだったら手伝ってやって』
『いいの?』
『もちろん仕事は増やすよ?』

念話でユーノ司書長に通信を入れてその場を去る。
後ろからブーイングが聞こえてきたり、はやし立てる言葉が聞こえきたりする。

「賭けは勝たせてもらうよ!」

振り向いてそれだけ言って僕は走り出した。









「結婚式?」
「こ、声が大きいよ!」

本局にある食堂の一角。
人の多いところを避けたせいで端の端になってしまい、選んだ場所に着くまでに時間がかかって料理が冷えてしまっている。
ハラオウン執務官が食べているのはオムライス。
そして僕が食べているのはとんかつ定食。
お互いに醒めてしまった食事を食べながら最近のことを話しているとそんな言葉をハラオウン執務官が上げてきた。

「ゴメン。でも、結婚式って誰の?」
「なのはとユーノの結婚式だよ」

ユーノ司書長と高町一等空尉の結婚式。
二人が付き合い始めたのはJS事件が終わってすぐのころだ。
弱っている高町一等空尉にユーノ司書長が付け込んだといえば聞こえが悪いが単純に心配してそばにいただけ。
それで衝動に任せて告白をしていい返事をもらえたということ。

ハラオウン執務官が言うには前々から二人はいい雰囲気だったらしく、だからといって何かがあるわけでもないという微妙な距離だったらしい。
ユーノ司書長が勇気を出したのを見て昔からの友人達はやっとかという気持ちになったとか、ならなかったとか。
僕はそういった話をユーノ司書長とはしなかった。
話をしても仕事や魔法のことばかりで、そう言った話は最近になってから。
さらに言うならば僕が創りだした魔法が危険だったというのが発覚してからのことだ。

「あの二人、結婚するの?」
「するとは思うんだけど、いつかは分からないんだ。それとなく聞いてはいるんだけど」
「ユーノ司書長を見てる限りはそうは思わないんだけどな」

少なくともこれから結婚するような人間には見えない。
なんと言うか、付き合っている段階で幸せ、先のことは考えていないように見える。
こうやって会っている僕とハラオウン執務官も恋愛だなんだと話してはいても一線を越えない辺り、同じ穴の狢だ。
僕はハラオウン執務官のことはきらいではない。
むしろ好きの部類に入る。
けれど、それを自覚したところでそれをどうにかする術が分からない。

お見合いという形から入ってしまったのが失敗だったのか。
どうも距離感を掴み損ねている。
素直に好きと言えばいいのか、だけどそれは変ではないか?
もともとお見合いという形で出会ったんだからそう言ったのとは別に―――。
という具合だ。

僕やハラオウン執務官の方もユーノ司書長と高町一等空尉と同じように問題を抱えているのだ。
目の前で親友のことを本気で悩んでいるハラオウン執務官にはそんな自覚はなさそうだけど。
僕のことをどう思っているんだろう。

「なのははヴィヴィオもいるんだから結婚は早めにしてしまった方がいいと思うんだ」
「ちょっと待って。ヴィヴィオって誰?」

聞いたことのない名前が出てきた。
僕は手元のカツを口に運んで咀嚼する。
ハラオウン執務官はそういえば言ってなかったねと、大雑把に説明してくれた。
曰く、JS事件の際に保護した子供であり、保護責任者が高町一等空尉である。
同時にその後見人がハラオウン執務官であると。

「へぇ~、ということはフェイトさんの子供でもあるんだ」
「うん、そうだよ」

最近になってようやくこの呼び方にも慣れてきた。
最初に言った時には恥ずかしくて火が吹きそうだったけれど。
僕としてプレイボーイでもないのにかっこつけようとするから自業自得だとどこかで言われていそうだと思う。
ハラオウン執務官も最初の頃は顔をほのかに赤くしていたけれど、最近ではまったく動じない。

「だったら早く結婚したらいいのにな。周りから何かしないとだめかな」

ユーノ司書長の姿を思い浮かべる。
あの司書長はどこか浮世離れしている節がある。
付き合えばそれだけでいい、結婚なんて考えたこともない。
なんてことを口走るタイプだ。
それはハラオウン執務官も考えていることらしく、どうにかして二人を結婚させるつもりらしい。

「いっそのこと、こっちで企画してあげたらいいのかな」
「それはそれで問題がある気がするけど」

主に二人の親族の問題が。
ユーノ司書長はスクライアの出だからたいした問題はないと思う。
あそこの族長は寛大な人でユーノ司書長が一族に断りを入れれば付き合うのを反対しないだろう。
と、ユーノが付き合う際に言っていた。
付き合うのところを結婚と置き換えても大丈夫だろう。
問題は高町一等空尉のほうだ。

「高町一等空尉の方はどう?」
「なのはの方はね、お父さんとおにいちゃんが………」

ハラオウン執務官が言いよどむ。
よほどの傑物なのか、堅物なのか。
年頃の娘や妹の結婚に反対するのはやはり父親の性なのだろうか。
話を聞く限りは子煩悩であり、人並みに娘を愛しているらしい。

「だったら問題ないだろ。ユーノ司書長も高町一等空尉も結婚を考えていないだけで、しないわけじゃないだろうし」

お膳立てさえ済ませれば後は結婚するだろう。
高町一等空尉とユーノ司書長がセットでいるのを見たのは前のお見合いの時が初めてだけど、あの二人は案外そう言ったことに疎そうだ。
ユーノ司書長も考えてはいるのかなと思わせるような発言はするけど、それだけ。
根本的に勇気がない人だ。

「じゃあ、こっちでお膳立てだけしちゃおうか」
「二人に任せた方がいいと思うけど。そういうところも含めて結婚じゃない?」
「でも、そうならいつまでも結婚しないと思うよ」
「それは大丈夫。こっちでユーノ司書長を焚きつけるから。そっちも高町一等空尉にそれとなく頼む」
「う~ん、………分かった」

その話はそこで終わり。
僕とハラオウン執務官はその後は自分の分の食事を早々に終わらせて世間話をしていた。
最近のミッドはどうだとか、本局の高官の不倫がどうだとか、クソノ提督からの仕事が多いとか。
僕の愚痴をハラオウン執務官が聞いてくれたり、ハラオウン執務官の近況を僕が聞いたり。
それなりに楽しい時間を過ごした。

「じゃあ、また今度」
「うん、またね」

僕達はその場を後にした。
ユーノ司書長と高町一等空尉の結婚の話。
僕達はお互いの微妙な立場の上で言っているわけだけれど。
彼らのことよりも自分達のことの方を先に片付けた方がいいのかな。

「ほんと、どうしよう」

仕事は出来ても恋愛となったらからっきしだ。









「ふ~」
「フェイトさん、お疲れですか?」

椅子の背もたれに体重を任せると疲れがどっとやってきた。
どうも彼と話すのは疲れる。
いや、悪い意味じゃなくてすごく気持ち言い疲れなんだけど。
何を自分で自分に言い訳しているんだろう。

彼と話すのは上の人間と話すのと違った疲れ、気持ちいい緊張がある。
自分が恋する乙女をやっているのはおかしいけれど。
それでも、ああやって一緒に話していられるのはすごく楽しい。

「大丈夫だよ。ティアナ」
「そうですか?でも、すごく楽しそうですね」

ティアナの入れたコーヒーを受け取って一口飲む。
最近ティアナが私の好みを把握してきたみたいで、いつ飲んでも少し甘めだ。
部下として優秀なのはいいけど、優秀すぎるのもどうだろう。
執務官補佐として連れてきたのはいいけど、教えられることが少ないと教える側としては悲しいな。

「そ、そうかな?」
「はい。頬が緩んでますよ?」
「うぅ、ティアナ意地悪だよ」
「フェイトさんが分かりやすいんですよ」

これでは上司の面目が立たないではないか。
それにしても私はそんなに解りやすいだろうか。
コレでも執務官になってから数年経って、さまざまな事件を経て成長したはずなのに。

でも、確かにこのごろの私は解り安すぎるのかもしれない。
この前、なのはとあったときにも簡単に当てられてしまったし。
どうしよう、このままでは仕事に支障をきたしてしまう。

ならどうすればいいのだろう。
彼と会わないようにすればいいのだろうか。
それは無理だ。
出来る自信がない。
彼と話しているのは楽しい、多分コレが好きだという感情なんだと思う。
けど、それを制御できないせいで仕事が出来なくなるのはダメだ。

「ティアナ。私、どうすればいいのかな」
「何をですか」

机にうな垂れてティアナに聞いてもいい言葉はもらえない。
すっかりぬるくなったコーヒーを口に含んでも微妙な甘さが口を満たすだけで何もいい案が浮かばない。
ダメだなぁ、私。

「ホントどうしよう」
「フェイトさん、大丈夫ですか?」
「でも、それよりまず、なのはとユーノのことだよね」
「は?なのはさん?」

あの二人を結婚させることが重要だ。
思い立ったらすぐ行動しよう。
まず、はやてと連絡を取って相談して。

「よし、がんばろう!」
「私、フェイトさんのことが分からなくなりそうです」

そうやって私の夜は更けていった。






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あとがき


恋愛って難しいですね、書いててどう表現するか迷う迷う。
いろいろ多角的に書いてみたいと思ってるんですけどwww

※ネタバレというか、この作品の裏事情

実はこの作品、書いているうちに裏設定が出来る出来るw
出来た設定を頭の中で集めていると主人公がリリカルの本編に参加できないようになってました。










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