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No.15953の一覧
[0] なのはの頭になんか住んでるの…。(いろいろカオス・魔王を魔改造・非十八禁の限界に挑戦)[サッドライプ](2010/01/28 00:14)
[1] 無印編(捏造設定かもしれない。だって難しいんだもん……(コラ。)[サッドライプ](2010/01/31 00:14)
[2] A’s編(虐殺注意報。)[サッドライプ](2010/02/05 00:20)
[3] 空白期編;なのは[サッドライプ](2010/02/11 00:19)
[4] 空白期編;フェイト[サッドライプ](2010/02/16 23:58)
[5] 空白期編;はやて1[サッドライプ](2010/03/03 14:48)
[6] 空白期編;はやて2[サッドライプ](2010/03/15 06:26)
[7] 空白期編;はやて3[サッドライプ](2010/03/31 01:52)
[8] そしてStsへ…·1[サッドライプ](2010/04/09 23:03)
[9] そしてStsへ…·2[サッドライプ](2010/04/16 13:15)
[10] そしてStsへ…·3[サッドライプ](2010/04/23 15:14)
[11] そしてStsへ…·4[サッドライプ](2010/05/14 11:26)
[12] そしてStsへ…·5[サッドライプ](2010/06/18 20:42)
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[15953] 空白期編;はやて2
Name: サッドライプ◆a5d86b40 ID:3546bf84 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/03/15 06:26
<思考盗撮、、、月村すずか。>

 航空武装隊所属、八神はやて三等空尉。彼女と愛しのなのはちゃんとの模擬戦が決定した際―――上官のレジアスから回って来た話だから拒否権は無いし拒否する程のものでもない―――それを伝えたなのはの反応はまさに予想通りのものだった。

 即ち、誰それ、と。

 なのはが消し飛ばした闇の書の元マスター、と言っても思い出すのにかなり時間が掛かる辺り流石だと言える。なのはにとって忘れるくらいどうでもいい事だったので、思い出してもだからどうしたという訳ではないのだが。ただたまにはケチで魔力ランクも低過ぎる犯罪者相手では出来ない全力全開の弱い者いじめもいいよね、とは言っていた。

 なのはに関しては頭のネジが数本飛ぶすずかは概要を聴いて楽しそうにしている彼女を微笑ましく見ているだけだ。ただ、なのはが面白そうにする相手が人間の女性である事に多少胸がちくりとはする。そんな幸福感と同時の嫉妬な心境にポエムっぽく『心のマルチタスク』と名付けてみた。なのはに鼻で笑われた。

 それはそれでイイのだが、その感情は実際になのはとはやてが対峙した時に大きくなる。

「………。言葉にすればやっと見つけた、って感じや。不思議と殺意は湧かんもんやな。」

「へぇ?」

 言葉と裏腹に眼にこもるのは不穏極まりない負の感情。それを真っ直ぐに態度に表す様にするはやてと対照的になのはの機嫌がぐんぐん上昇していくのが分かった。

 『魔王の嫁』と恐れられる様になってからなかなかなくなった、直接ぶつけられる悪意。それを管理局に入ってから半ば日課の様に、真実面白半分で叩き潰す策謀を組んでいたのはすずかだった。中でも二人がかりで性犯罪者の汚名を上司に着せた時は傑作だった。なのはのさも純潔を無理矢理奪われそうになった乙女の様な涙目の仕草―――今となっては騙せる奴はいないどころかこの世の終わりかと思って卒倒する人が出るだろう。主に直属の上司の秘書辺りが―――に萌えまくって。が、最近やり過ぎてめっきりなくなったのでなのはにとって久しぶりの叩きのめして楽しめる敵意なのだ。

 そして、そんな事情を知る事も無いはやては、自身の激情のみに囚われるのみ。知っていれば、却って益々怒り狂うだろうが。

 そんな中で、模擬戦は始まった。

 開始早々、様子を見る事もせずに八神はやては前進する。前進、と言うには些か乱暴に風を引き千切る様な雰囲気でレヴァンテインを掲げ突進。

(まあ、そう来るよね……。)

 それを見て呆れた風にすずかは肩を落とし溜め息を吐く。

 その気になれば射撃どころか砲撃魔法で弾幕を張る事の出来るなのはに遠距離戦を挑むのは自殺行為だというのは彼女を少しでも調べればすぐに判る話だ。それが近接戦に特化したベルカ式の使い手ならばなおのこと。故になのは相手にひたすら接近戦を挑む魔導師は多い……見飽きる程に。

 敢えて特筆するとすれば、模擬戦開始時の互いの距離が二十五メートルと近め―――高速移動魔法を使えば一秒足らずで詰められる―――である事と、八神はやてのバリアジャケットが文字通りの『騎士甲冑』と言える程に装甲でガっチガチになっている事。肩·腕·胴·背·脚と、通常の魔導師の衣の上に間接の妨げにならない最大限の範囲をプレートで固めている。あれが見た目通りの鉄塊ならば大の男でなければ重みで身動きが取れなくなるだろう、と思えるほど。

「ディバインシューター。」

 関係ない、と『実力差が著しい格下を殲滅する』際に愛用している魔法を迎撃として起動する。とはいえ格下用とはあくまで用途の違いであって『殲滅』と名の付く以上そこに容赦は一切無い。砲撃で弾幕を張れるなのはが射撃をたった一人に対して行えばどうなるか―――十字砲火の蜂の巣、よくてなぶり殺し。

 なのはの周囲に生まれるディバインスフィアの数は十七。放たれた魔力弾が『一秒足らず』の間に疾走するはやてに殺到する。眼球、眉間、人中、こめかみ後頭部頸背骨腋心臓脇腹鳩尾股間etc.――えげつなくも一つたりとて外す事なく人体急所を撃ち抜く無慈悲の弾丸。移動中の相手にここまで精確に射撃魔法をぶつけられるのがなのはの『魔王の嫁』たる所以なのだが、これを躱した者は居てもまともに喰らって立っていた者は居ない。非殺傷設定とはいえ当たり所が良いかどうか以前に悪い所にしか当てていないので再起不能者も当然指の数では利かないほど出している。

 だが―――、

「嘘っ!?」

 光の雨に打たれながら、しかし速度を減じる事なく、痛みに顔をしかめるでもなく、バリアジャケットに綻びすら無い状態でなのはに斬りかかったはやての姿に予想を覆され、すずかは思わず声を上げる。そのままなのはのシールドとレヴァンテインが衝突し戟音に爆ぜた。

「ふぅん。その重っ苦しい鎧は実際多重フィールドを層状に組んだもの。攻撃を喰らう度に一番外側をジャケットパージしてダメージを実質ゼロにしている、って感じかな?面白いこと考えたね。」

「一発で見抜くか。流石やけど―――、」

 防御魔法も使った様子がなかったのに無傷でいられたタネをなのはがあっさりと見破る。

 防護服のエネルギーを外側に解放して一瞬だけ防御力を急上昇させる緊急にして最後の回避手段、ジャケットパージ。はやては幾重にも薄いバリアジャケットを『重ね着』する事で何度もその発動を可能にした。

 勿論それだけフィールドに魔力を食われているのだから消耗も著しい。バリアジャケット自体が魔力量が足りず使えない魔導師もいるのだから、それを何十枚も重ね掛けすれば数値だけならなのは以上の魔力量を持つ八神はやてと云えど馬鹿にならない消費の筈だ。

―――長期戦ならば、の話だが。

「手遅れや。カートリッジロード……『紫電一閃』!!」

 火薬が炸裂した様な音が響いたと思った瞬間、一端シールドに弾かれた刃が強烈な光を纏って切り返される。一瞬の抵抗の後裂けたシールドの残滓と、

 なのはの頬から、一筋の紅血が跳ねた。

「―――っ。」

―――息を飲んだのは誰だったか。

 なのはが一旦下がって距離を取る。はやては躊躇いなく前に出、斬り掛かる。射撃で駄目なら砲撃でと言わんばかりに放たれたディバインバスターの閃光の中を泳ぎ、磨り減っているのだろうが見た目には変わらないバリアジャケットのまま、

「カートリッジ、ロード!」

―――高町はさっさと終わらせるだろう、と思っていたレジアス達?

 レヴァンテインを降り下ろす。再びシールドを切り裂く様はまるで先のやり直し。しかし切っ先が届く前にふわりとなのはは舞う様に身を躱す。その分だけ反応が遅れたのか、今度は迎撃する間も無くはやてに追撃を受けてしまう。

「カートリッジ、ロード!」

―――心の底ではやての心配しかしていなかったリンディ達?

 フィルムを巻き戻したかの様に三度同じ光景。

「カートリッジ、ロード!」

―――あるいは、勝てるかもしれないなどと思い上がった予感を瞳に宿した、八神はやて自身だろうか?

 何度も、何度も繰り返す。なのはが距離を取り、放つ射撃や砲撃を正面から一直線に突破しカートリッジにより防御を破る斬撃をはやてが放つ。

「カートリッジ、ロード!」

―――いずれにせよ、表情を一気に消したすずかと、当のなのはでは決してないのだろう。

「カートリッジ、ロード!」

「カートリッジ、ロード!」

「カートリッジ、ロード!」

「………っ!?よせはやて、相手は君の消耗を狙っている、それにそんな急に何度もカートリッジシステムを使えば―――、」

「構わん、このまま決める!カートリッジロードっ!!」

―――彼らの中には、一つのシナリオが出来ていたのだろう。身体に負担を強いるカートリッジシステムを乱発してでも特攻を掛け、次第に追い詰められるなのはが負ける、という光景が。だからクロノは今ではその負担について心配している。だが。

 相手の消耗狙い?高町なのはがそんな生易しい存在である筈がないだろうに!

「クロノ·ハラオウン執務官。模擬戦への口出しは感心しませんよ?」

「な……っ!?」

「ふむ、月村……。成る程。さて、リンディ·ハラオウン提督、これではまるで私闘ではないですかな?聞いていない、こんな事で貴重な人材を失いでもしたら困りますな。あなたにとっては管轄外の人材なのでしょうが。」

「………。」

 動じないすずかを見て共にいたレジアスは察したのだろう、万が一なのはが負傷·戦線離脱する前に止めるべきかと悩む態度から一転リンディを責める方向に矛先を向けた。

 そんな間にもなのはは『ついにはやての猛攻の前に体勢を崩し』、距離を取る事も迎撃する事も出来なくなる。その隙を逃さずはやてが『最後の』攻撃を放つ。

「止めや、カートリッジロード………紫電一閃!!」

 降り下ろされるレヴァンテインが、なのはのかざしたシールドに、

「―――――そろそろ満足した?」

「………え?がッ――!!?」

 罅すら入れる事も出来ずに弾かれた。

 今までカートリッジを使えば確実に突破出来ていた事がまるで嘘のよう。技後の硬直のまま呆然とするはやての鼻面を、わざわざなのはは打撃強化魔法フラッシュインパクトを素手に掛けて思いっ切り殴り飛ばした。

 くすくす。くすくす。嘲り笑う。

「なーに驚いてるの?あなたと同じ、二重にシールドを張って衝突の瞬間に外側をバーストしただけ。………そうだね、いくら即興で組んだとはいえ、これ魔力消費が激し過ぎて割に合ってない。こんな魔法使ってるのあなただけなの。」

「、そんな―――!」

(あーあ、なのはちゃんってば。)

 なのはの意図が読めたすずかにも嘲笑が伝染る。驚くはやても無理はない、自分が二ランク上のなのはに有利に持ち込めた切り札の一つをそっくりそのまま返されたのだ。それも前知識無しで一発で成功させ、その上でその魔法に失格判定を出したのだから。ならば次に何をするかも分かるというもの。

「足りない。………うん、いや、使い所だね。切り札は伏せるもの、奥の手は隠すもの。108式とは言わないまでも、変身はあと二回残してるから意味があるんだよ?………そこ、ネタが古いとか言わない。カートリッジロード、レイジングハートエクセリオン·モード『シラヌイ』。」

「なっ………!?」

 もう一つの切り札、カートリッジシステムもそのまま返すだけの事。それははやてだけの専売特許ではないのだと。

(ほんと、悪趣味なんだから……。)

 ああ、絶望とはああいう表情を言うのだろう。

「その追加装甲、どこまで保つかな?――――さあ、いたぶり尽くしてあげる。」

 処刑宣告が下された。

<接続終了。>



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