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No.15953の一覧
[0] なのはの頭になんか住んでるの…。(いろいろカオス・魔王を魔改造・非十八禁の限界に挑戦)[サッドライプ](2010/01/28 00:14)
[1] 無印編(捏造設定かもしれない。だって難しいんだもん……(コラ。)[サッドライプ](2010/01/31 00:14)
[2] A’s編(虐殺注意報。)[サッドライプ](2010/02/05 00:20)
[3] 空白期編;なのは[サッドライプ](2010/02/11 00:19)
[4] 空白期編;フェイト[サッドライプ](2010/02/16 23:58)
[5] 空白期編;はやて1[サッドライプ](2010/03/03 14:48)
[6] 空白期編;はやて2[サッドライプ](2010/03/15 06:26)
[7] 空白期編;はやて3[サッドライプ](2010/03/31 01:52)
[8] そしてStsへ…·1[サッドライプ](2010/04/09 23:03)
[9] そしてStsへ…·2[サッドライプ](2010/04/16 13:15)
[10] そしてStsへ…·3[サッドライプ](2010/04/23 15:14)
[11] そしてStsへ…·4[サッドライプ](2010/05/14 11:26)
[12] そしてStsへ…·5[サッドライプ](2010/06/18 20:42)
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[15953] A’s編(虐殺注意報。)
Name: サッドライプ◆a5d86b40 ID:f564bbb8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/05 00:20
<思考盗撮、、、ヴィータ。>

 信じられない。この数分で随分と頼もしさを感じられなくなってしまった相棒を振るいながらも、その思いが心の中に濁流の様に押し寄せる。

 人形、道具として扱われてきた自分達を、初めて家族として傍に置いてくれた主、八神はやて。ロストロギア・闇の書の守護騎士ヴォルケンリッターとしてではなく只のヴィータとして、命に代えても守りたいと思った温もりをくれた人。

 だが、その闇の書が主を侵食し下半身からやがて生命に拘わる部分まで麻痺させていっていると知った時。『他人を傷付けてはならない』という約束を破り生物から魔力の源たるリンカーコアを蒐集し闇の書にくべる決断を仲間達とした。闇の書が真の覚醒を見れば侵食は止まり、はやては健康体に戻り再び歩ける様になる筈だから。

 蒐集が半ばまで来た所で灯台もと暗しという事か自分達の世界である地球、それも住んでいる海鳴市に尋常でない魔力を持っている少女がいるのに気付いた時、ヴィータは迷わず蒐集する為に戦闘を仕掛けた。拠点の目と鼻の先で行動を起こし管理局にはやてが見つかるリスクもあったが何より時間がないし一刻もはやくはやてを回復させてあげたい。魔力は大きいが経験が浅いのも、自分の初撃を捌く手際で分かった。失敗する危険は殆ど無い。悪いがはやての為に何日かでも入院してもらう。死にはしないからいいだろう。

「お断りだよ。なんでたかが見ず知らずのガキの為にそんな思いしないといけないの。」

「………え?」

 その思考を読んだとしか思えない言葉を発しながら、少女はバリアジャケットの帯に杖のデバイスを差す。最初はミッドチルダ式の魔導師らしく誘導弾と砲撃で戦っていたのに、どこからともなく空いた両手に握った長大な剣をこちらに向けていた。

「――――ッ!!」

 ゾクリ、と。戦場で従って損した事が無い勘が、その奇妙な色彩と形の剣を未曾有の危険と告げている。咄嗟に回避行動を取ったヴィータの頬を、投擲された剣が回転しながら削って行った。

 間一髪躱した剣は、重力下の物理法則に反逆して完全な直線を描いて空の向こうへ飛んで行く。すぐに結界の境界線に届くと――――それこそ戦術級の砲撃でなければ破壊できない筈の結界が、紙の様に切り裂かれ崩壊した。

 それに戦慄する暇も無い。慌ててしゃがんだ上を何の前触れもなく今投擲したばかりの筈の剣で少女が薙ぐ。勢い余って後ろにあった信号機が綺麗に両断された。魔力を持たない人が入れない様に事前に張ってあった結界が壊れた事で、位相が重なり残骸の落下音に上を見上げた目撃者達が騒ぎ出す。それに構っている余裕も、無かった。

「…………うん。拓巳も怒ってるし、三十倍にして送り返してあげる。もちろん入院なんかで済むとか思わないでね、通り魔さん?」

 いっそ愛らしい笑顔。だがヴィータは、本能的に標的の選択をミスした事を悟るのだった。


 信じられない。何度も何度も心の中で繰り返す。

 すぐに異変に気付いたシグナム・シャマル・ザフィーラ三人共が駆けつけシャマルが結界を張り直した。そしてシグナムとザフィーラと、三人合わせて接近戦を仕掛け………未だ少女は無傷。

 あり得ない話だ。いくら切れ味の良すぎる刃物を持っていても、空中での構えはまるで素人。柄の両端から刃が出るという特殊な形状の剣故に、何時自分を切ってもおかしくない程にその振り方も大雑把。たとえ剣の異常な切れ味に警戒しなければならないとしても、ヴィータ達に負ける要因はそれ以外皆無。

 どんな武術の達人でも、三人以上で囲まれたら絶対に敗北するという。まして長い戦いを共に経験し互いの呼吸も完全に理解している騎士達が同時に掛かっているのだ。

 なのに―――。

(なんで………なんで掠りもしないんだよぉっ!)

「どこ狙ってるの。」

 シグナムが大上段から仕掛ける。その腕を切り落とさんと振られた異常な切れ味の剣にレヴァンテインを交わす事を試す気も無く攻撃を中止して体一つ分下がるしか無い。

 ザフィーラが剣の合間を縫って組み付こうとする。やる気の無さそうな蹴りがしかしもろにカウンターとして側頭部に食らわされよろける。

 後ろからヴィータが鉄槌を小刻みにスイング。阿呆を見る様な目で腰を引いた少女に、距離的にはあと一センチほど届かない。

 三人全く同時に仕掛ける。少女がギリギリまで引き付けた様なタイミングで体を捻りながら剣を一回転させ、全員が慌てて退くしかない。

 さっきからずっとこんな感じだ。こちらの攻撃を見切っている様子は無い。スピードだってさっきピンク色の魔力光を撒き散らしていた時と変わらない。なのに雲を掴む様に攻撃が当たる気すらしない。

「………あ。」

 そんな少女の胸から、突如腕が生えた。シャマルの転移術式『旅の鏡』による遠隔蒐集。それがここまでの苦労が嘘の様にあっさりと決まったのか。

『きゃあああああぁぁっっっっ!!?』

「「っ!?」」

「……シャマルッ!!」

 そんな淡い期待は、念話でうるさいくらいに響いた悲鳴によって断ち切られる。腕が少女のリンカーコアを抜き取る筈が、引っ張られてシャマル自身が旅の鏡を通ってこちら側に来てしまう。

 それどころか。腕が。沈んでいく。少女の体の中に。肘まで飲み込まれ、ずるずるとそのまま引き込まれる。もがいても動かない。

 ずるっ、ずるっ。獲物を丸呑みにする食虫植物の様に、ゆっくりと少女の体がそれよりも二回りも大きいシャマルを飲み込んでいく。

「い、いやぁぁ………っっ!」

 既に右半身が飲み込まれてしまった。左脚。腹。無闇にばたばたと残った左腕を動かして唯空を切る様は食われる昆虫そのもの。制御の利かない未知の恐怖にシャマルの顔が涙でくしゃくしゃに歪んでいる。いきなりの光景に呆けるしかなかったヴィータと視線が合った。

「っ、助けて、ヴィータちゃん助け、――――――――――。」

「あ……、シャマルッ!シャマルーーーーー!!!」

 我に返って助けようと動いた時にはもう遅い。持っていた闇の書ごと、シャマルは完全に飲み込まれてしまった。

「………ふぅ。で、もういい加減ネタ切れ?飽きちゃったんだけど。」

 飲み込んだ少女は何事も無かったかの様に戦慄しているヴィータ達に話しかける。その平然さが、何よりも恐ろしかった。

「あ、悪魔………!」

「悪魔?………もう、拓巳!そりゃ次元を異にするって意味では広義でそう捉えられなくも無いけど。女の子にそんな事言うなんて酷いの。」

「何を、ふざけた事を……!?」

 思った事が率直に口に出てしまったヴィータと、恐怖に震えているのを隠せないまま反応するシグナム。

「…………真剣なんだよ乙女にとっては切実だよ?…………それはさておきって、まあ誤魔化されてあげるけど。………………そうだね。俺tueeeとか最強って見てる分には嫌いじゃないんだけど、自分がやると本当につまらないよ。初めてなのにノーミスクリアが当たり前のゲームと同じ。ちょっと遊んでみたけどすぐに飽きちゃう。」

「…………。」

 その恐怖に囚われた心でも遠回しに自分達が弱すぎると言われている事に気付き騎士の誇りが傷付けられ、ザフィーラの目が細まる。

「うん。いや、あなた達が弱い訳じゃないんだろうけど。フェイトちゃんくらいなら確実に勝てるんだろうけど。でも。どれだけあなた達が強くても、0と1でしか世界を認識出来ない以上ギガロマニアックスには絶対勝てない、ってだけなんだよ。文字通り次元が違うから。」

 そう言って少女は剣を振り翳す。この期に及んでその姿は、不思議とやけに綺麗に見えた。

「それじゃあ、さよなら。あなた達も送ってあげる。」

 そして、ヴィータの身体のナカを冷たくて熱い風が駆け抜ける。

(あ、れ………?)

 気の抜けた声が出ようとして、何故か出ない。視線を下に降ろしてみる。腕が何故か無い。脚も無かった。見慣れた胴体は、どこ?視界が急にぐんと流れた。その中に、為す術無く切り刻まれてバラバラになるシグナムとザフィーラが映る。

 どんくさい奴らだ。声が出ないので表情だけで苦笑して、そうしている間にも景色の流れる速度はどんどん速くなっていく。なにか、大きくて、かたいモノが、ちかい?なんていうんだったっけ、あれ。

 ああ。

(じめん、だ………。)

 プツッ―――――。

<接続終了。>



<思考盗撮、、、クロノ・ハラオウン。>

 突如かつての父の上司であり恩師であるギル・グレアムに呼び出され、母息子共々彼の邸宅に赴いた。それに少なからず困惑を抱えていたのは否定しきれない。なにせグレアムは自身の提督権限を使ってハラオウン母子の仕事を最低限に減らしてまで自分に会わせる様な無茶までしたのだ。ただ事ではないと容易に知れた。

 最近十年ぶりに闇の書の守護騎士の蒐集活動が始まっている。前回父を犠牲にして終息した事件だ、浅い因縁ではない。あるいはそれかと予想していたが、実際はその斜め上を行っていたのだった。

 挨拶もそこそこに見せられた映像。守護騎士が次々と現れ一人の魔導師と思しき少女を襲っている。少女の動きは危なっかしく、途轍もない強運で粘っているが撃墜も間もなくと思われた。そして決着を付けるべく不意討ちと予想される目的の為に、分割された映像、つまり別の場所で湖の騎士が旅の鏡を使おうとした時、それが起こった。

 父の因縁で調べていたデータと違う、真っ黒なゲートが湖の騎士の前に開くと、それに手を突っ込んだ湖の騎士は闇の書を持ったまま逆に飲み込まれ出てこない。執務官としてその黒いゲートの様なものに違う心当たりがあるクロノ達にまさか、という考えが即座に過った。

 そこに追い討ちを掛けられる。湖の騎士が飲み込まれるのと時を同じくしてそれを認識した筈も無いのに何か恐ろしいものを見た様な表情で微動だにしなくなる烈火の将、紅の鉄騎、盾の守護獣。それに少女がゆっくりと近付くと、持っていたアームドデバイスと思われる剣で―――。

「ウッ………!!」

 惨殺。いくら忌まわしきロストロギアの付属品のプログラムといえど、見た目はヒトガタの破壊としては常に現場で働いているクロノですら吐きそうになるほどの『解体』だった。殺害、という生易しい言い方では足りない、血飛沫を上げさせながら首を腕を脚を腹を容赦なく無造作に斬断する。

 すぐに映像は終わる。重い沈黙が流れそうになったが、表情だけでも取り繕ったリンディがか細い声で質問した。

「結局、闇の書事件はこの後どうなったのですか?湖の騎士が、闇の書が飲み込まれたアレはまさか……。」

「その『まさか』だ、リンディくん。音声や魔力反応等のデータ解析の結果九割方あの少女のレアスキル―――仮称『ギガロマニアックス』―――虚数空間の完全制御の発動と予想された。」

「「………っ!?」」

 過去類を見ない程強力かつ凶悪なレアスキル。あのアームドデバイスらしいものの異常な切れ味も、それ――無限に崩壊する負の性質の応用と考えれば納得が行く。

「闇の書事件はもう二度と起こる事は無いだろう。流石の闇の書も虚数空間に放り込まれてしまえば暴走も転生も出来まい。君達の人生を狂わせた元凶が――――ずいぶんと呆気ない幕切れだったよ。」

 今日はそれを教える為に呼んだんだ、とグレアムは言葉を切った。

「「………。」」

 今度こそ重い沈黙が流れた。

 クロノの胸に様々な想いが去来する。幼少の記憶の中の朧気な父、殺した理不尽な世界への嘆きと怒り、そんな世界で一人でも救おうと力を求めた事。それらの体験を通して時空管理局執務官の自分の今がある。ある意味闇の書事件はそんな自分の原点とも言えるものだった。

 憎んだのは世界の理不尽で、闇の書自体には心が囚われる程のものは感じていない。だが父の仇となる以上やがて再び活動を開始した時、捜査するなら自分がという思いも少しはあったにはあった。それが、聞いた話ではフリーの管理外世界の魔導師、それも僅か九歳の少女に返り討ちに遭って異界の彼方に葬り去られたとは。

 寂しさとも怒りとも付かない不思議な感情が去来する。それに答えを出せないまま、取り敢えず別の気になった事を訊いた。

「何故、こんな映像があるのですか?」

 映像の内容の途中までを考えればこの映像を撮った人物は、危険な闇の書の守護騎士に狙われている少女を見捨て冷静に観察していたとしか思えない。誰が、何の目的で?どうやってグレアムはその映像を得た?

 それにグレアムは答えを返さない。ちらりと視線が執務机の方に向いた。先を追うと何かの書類が乗っている事に気付く。

「……養子縁組の書類だよ。」

「養子?」

「八神はやてくんという。会う事があったら宜しくしてくれ。」

「それが何の関係――、っ!」

 老いと共に増えていく深い皺に悔恨の情が刻まれているのを見て、察する。詳しい事情までは分からないが、後ろ暗い事を尊敬する恩師がしていたと半ば直感だった。

「仇敵は勝手に滅び、私のした事は幼い少女に家族を二度も失わせ徒に孤独にしただけだった。分かっているさ。こんな事は今更で、偽善で、……自己満足でしかないと。だが、だからといって償わなくていい筈も無い……。」

 疲れ切ったため息と同時に吐き出す様にグレアムは言い、それきり項垂れる。どんな過ちを犯したのかさえ知らないクロノには声を掛ける事も出来ない。困っているとリンディに横から引っ張られた。

「本日はお教えいただきありがとうございました。では。」

 そのまま礼をしながら小さく言うとグレアム邸を辞する。

 広い前庭を突っ切り通りに出た辺りで重い面持ちでリンディが再び口を開いた。

「……私達は人々の平和を守る為に、残酷な様でも出来る最善を尽くさなくてはならない。でもね、そうやっていってると、いろんな事を積み重ねていく過程でどんどん後悔が増えていくの。なまじ自分自身が正しいと信じてやったから、他人に頼る事さえ出来ずに抱えこむしかなくなる。」

「僕らに何か出来る事は―――、」

「無いわね。何よりあの人自身が『ギル・グレアム』として望まない。――――――あ、でも一つだけあるかしら。」

「?」

 言葉を途中で区切り、いきなり今までの真剣さが嘘の様な小悪魔な笑みを浮かべ始めたリンディ。また非常識な事を言い出す、という経験則は今回も狂ってはくれなかった。

「あの、高町なのはちゃんって言ったかしら?管理外世界でフリーの魔導師らしいわね。管理局にスカウトしちゃいましょう♪」

「……はあっ!!?」

 プツッ―――――。

<接続終了。>



※フェイトとはやてが名前しか出てこないA’s、完。

※主観のヴィータ達と客観のクロノ達の認識の差異。

※チートスペック主人公限定だがある意味最も手っ取り早く後腐れの無い闇の書事件解決法。………ぬぉ、ヴォルケン好きの方々、石を投げないでっ!?

※テンプレ通りの最強蹂躙モノじゃね?って気付いたのは書き終わってから。でも上げる。だって虫シャマル書いてて楽しかったんだもん…………あれ、なんか上から降ってき(ry

※そして三人娘は管理局へ。展開が多少強引なのは半ばわざとな部分もあります。

※それに関連して、詳しい解説などで空白期編が多少長くなるかも……。



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