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No.15953の一覧
[0] なのはの頭になんか住んでるの…。(いろいろカオス・魔王を魔改造・非十八禁の限界に挑戦)[サッドライプ](2010/01/28 00:14)
[1] 無印編(捏造設定かもしれない。だって難しいんだもん……(コラ。)[サッドライプ](2010/01/31 00:14)
[2] A’s編(虐殺注意報。)[サッドライプ](2010/02/05 00:20)
[3] 空白期編;なのは[サッドライプ](2010/02/11 00:19)
[4] 空白期編;フェイト[サッドライプ](2010/02/16 23:58)
[5] 空白期編;はやて1[サッドライプ](2010/03/03 14:48)
[6] 空白期編;はやて2[サッドライプ](2010/03/15 06:26)
[7] 空白期編;はやて3[サッドライプ](2010/03/31 01:52)
[8] そしてStsへ…·1[サッドライプ](2010/04/09 23:03)
[9] そしてStsへ…·2[サッドライプ](2010/04/16 13:15)
[10] そしてStsへ…·3[サッドライプ](2010/04/23 15:14)
[11] そしてStsへ…·4[サッドライプ](2010/05/14 11:26)
[12] そしてStsへ…·5[サッドライプ](2010/06/18 20:42)
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[15953] なのはの頭になんか住んでるの…。(いろいろカオス・魔王を魔改造・非十八禁の限界に挑戦)
Name: サッドライプ◆a5d86b40 ID:dffb9f54 次を表示する
Date: 2010/01/28 00:14
<思考盗撮、、、高町桃子。>

 高町桃子にとって次女のなのはの誕生には特別な意味があった。いや勿論長男の恭也や長女の美由希にも愛情は惜しみ無く注いでいるが、二人は夫の士郎が自分と再婚した際に連れて来た子供達な為自分の腹を痛めて子供を産むのはこれが初めてなのだ。それでなくとも自分の娘、特別でないと嘘を吐く必要も無いという事もある。

 そんな中産まれたなのはなのだが、普通の赤子とは言い難かった。

 健康面では問題は無い。健全で理想的そのものの成長を続けていた。

 問題は精神面とでも言うべきなのか。おとなし過ぎた。授乳やおしめの交換などを要請する時の必要最低限でしか泣くのを見た事が無い。それでさえ一般的な甲高い悲鳴に近い泣き声でなく、呻く様に相手に聴こえる最低限度の声量で呼び出し、こちらがなのはの要求を理解したと判断したらそれも収まる。じゃれてみたり胸に抱いてみたりしても滅多に反応を返さなかった。

 更に時が経つに連れ異常は際立っていった。地面を這い、二つの足で立ち、やがて泣き声でなくとも自分の要求を伝えられる様になると殆ど全く喉を震わせる事が無くなったのだ。子育ての本で赤子が片言でも言葉を話せる様になるとされる時期の倍を待っても喋る気配を見せない。

 病院に行ったが声帯に異常は無かった。それ以前に色々な所になのはの様子を相談したが、解決する気配はとんと無い。

 さぞかし不気味な子供だろう。なにせ何時言葉を発してもおかしくない程度の知能はとっくに持っているのだ。此方の言うことはきちんと理解して従うし、全文ひらがなの文章なら労さず読む事が出来ている。その意味では寧ろ普通より速すぎる知能の発達を見せているのに言葉を発そうとしない。だが情の深い高町家の面々は根気よく待つと決めた。

 そしてなのはが初めて言葉を発した日。その声はいつまで経っても桃子の耳からこびりついて離れる事は無いだろう。

 自宅、一人で家事をしていたところをなのはに服の裾を引っ張られる。こちらを真っ直ぐ見つめる視線。何だろうと思いながらもよく見れば唇と喉が微かに動いていると気付き期待の感情が沸き上がる。

 桃子はその時、気の早い喜びさえ感じていた。この娘が人生で初めて発する一言は何だろう?やはり『まま』や『まんま』だろうか?そうでなくても、日常よく使われる言葉らしい。知能は十分発達している為そちらの可能性の方が高いだろうか?でも取り敢えず母と呼んでくれると嬉しい。

 そんな桃子の期待に、なのはは半分応え半分裏切った。囀ずる様な可愛らしい音色の声を発しはしたのだ。

 今まで口を利かなかったなど嘘の様に流暢な声を。

 冷たさを含んだおぞましい声を。

 滅多に見た事の無い笑顔と共に。

 反して虚ろな瞳と共に。

「 そ の 目 、 だ れ の 目 ? 」

 と。

 直後電話が鳴り響く。夫が爆弾により重傷を負った事を報せる電話が――。

 プツッ―――――。

<接続終了。>



<思考盗撮、、、高町士郎。>

 その夜、高町士郎がなのはの部屋を訪ねたのに深い理由は無かった。

 まだ幼いなのはには早い気もしたが、自宅を建てた際に元々それを見越していた為なのはにあてがう部屋が空室のままだった事もあり、つい先日なのはだけの部屋を五歳の誕生日に贈ったのだ。

 家族全員が風呂から上がり、なのはなら寝ていても何もおかしくない時間帯。現に部屋の電気は消えている。だが剣術というものをやっている―――以前の大怪我から現役の剣士は引退したが―――彼はなのはが起きている気配を感じ、そっとドアを開けた。まさか『勝手に入らないで』などと怒鳴ってくる年頃でもあるまい。

 入ってみると、なのはは真っ暗な部屋で士郎に背を向けた状態で明るいパソコン画面を見ていた。買い換えた際に古いパソコンをなのはの部屋に置いておいたのは失敗だったか、あれでは目を悪くする―――と取り敢えず部屋の電気を点ける為にスイッチに手を掛ける。

「ハァハァ………しおりんテラモエスww」

「ッ!?」

 親の贔屓目を抜いても近所のアイドルになる程度には可愛らしい幼女からあり得ない言葉が漏れた気がしてスイッチに掛けた手をつい引っ込めてしまった。その時、ふとそろそろ目が慣れたのかなのはが見ているパソコン画面が詳しく眺められた。

 大事な部分を隠すという用を成していない、現実世界ではなかなか見られないフリフリの制服を着崩して絶妙に首から上が画面の外に出ている男子学生に抱き締められている女の子の絵。露出した下腹部には申し訳程度のモザイク。いわゆる、十八禁のエロゲという………って待て。幼児の健全な精神の成長に著しく悪影響を与えそうなゲームを中止させようと近付いて、

「ふふ……っ、可愛い、……はぁっ、ねぇ拓巳っ?なのはは?ふぅ……なのははどう?…………ひゃあ!?」

「なの、は……?」

「なのはは、きゃはうぅ……っ…なのはは萌える?ふ、はっ、ねえ拓巳ぃ……あはぁんっ!!」

 遅すぎる、というべきか。士郎はここに来て漸くなのはの様子も尋常でない事に気が付いた。なのはもパジャマをはだけ、譫言を誰にともなく呟きながら毛も生えていない秘部を小さな手で掻き回している。

「……っ!うふぁ、嬉しい、嬉しいのたくみぃああああっ。ひゃ、す、しゅ、しゅしゅごいよぉぉぉ~~~~っっっ!!!」

 息が荒くなり、抜き差しする指の動きが激しくなる。パソコンの灯りで辛うじて分かる、汗でぬめる柔肌。

 自慰をしているのか。まだ生理も遥か先の幼子が。

 否、と本能が告げる。なのはのそれは自慰ではない。『拓巳』という相手のいる、立派な性交渉だと。

「ひ、は、は、は、はぅ……。来る、来る、なに…ぃか……っ、来る、来るくるくるくるっ!!ぃひゃああああああああああぁぁぁぁぁぁっっっっ――――――――――――――――――――――!!!!!」

 そんな中なのはの動きがより激しさを増し、やがてぴくぴくと痙攣する。絶頂を迎えたのだと悟る余裕も無く、士郎の頭は余りの事態に回転を停止している。

 パソコンの中の女の子もいわゆるロリに分類される容姿で、白濁した液が結合部から垂れているのもやけに生々しかった。

 結局、その後唯一彼が行動に移す事が出来たのは。

「なのは!」

「………っ?」

 くったりと全身の力が抜けたなのはを主に下半身から込み上げる衝動のままに押し倒すくらいだった。

 プツッ―――――。

<接続終了。>



<思考盗撮、、、高町恭也。>

 その日、高町家では一家揃って卓に付き、家族会議を始めようとしていた。

 腕を組み、じっと動かない恭也。

 そわそわと落ち着きの無い美由希。

 真剣な表情で佇んでいる桃子。

 ばつの悪そうに視線を落とす士郎。

 そして、

「……うん、そうだね。今日は何も無かったと思うけど…………うん、うん、いいよ。ありがと拓巳。」

 それには興味を示さずに明後日の方角に向かって何事か喋っているなのは。

 家族会議といっても、実は話自体はある程度もとから進んでいる。議題はなのはについて。

 もう小学生に上がろうかという年頃のなのはだが、何かに熱中したのも誰かに甘える様子も家族の誰も見た事が無かった。奨学金が楽々取れる程度の頭脳を持っていても、彼らはなのはに友達というものがいるかどうかも知らない。おそらくはいないだろう、と予測は出来てしまうが。

 なのはの異常性は増すばかりで、こちらから何かを言っても返答が無い事はないが大抵が生返事と呼ばれるもの。瞳に輝きは無いし今の様によく分からない一人言も多い。外でもそれならば、友達になってくれる子は少ないのではないか。

 おそらく、なのはのそれには士郎の大怪我が関わっているとなのはを除いた話し合いで結論されていた。士郎が長期入院して、他の面々は看病と生活費を稼ぐのに非常に忙しくなり、その間幼児のなのははずっと構われる事なく過ごした。ただでさえ少し変な子供だったなのはが更に歪んでしまうには十分だっただろう。今のなのはは個性と言うには多少逸脱してしまっている。

 ちなみに士郎がばつが悪そうにしているのもそれを気にしていると思われた。まさか『それ以上の自分が原因の心当たりがある』訳でもあるまいし。

 そんな過程はともかく、この集まりの目的はなのはの真っ当な成長を意図していた。

 まずは、友達。取り敢えずいるかどうかを訊いて、いないなら人付き合いの大切さを説いて作らせる。それだけで得る物があるだろう。何より今更ながら寂しい思いをさせたくない。

 まず桃子がなのはに婉曲にそれを実行しようと話し掛けた。

「ねえ、なのは。幼稚園はどう?」

「……どう、って?」

「ほら、楽しい~、とか、こんな事があった~、とか。」

「普通。」

「普通じゃなくてね。なのはがどんな風に過ごしてるかとか知りたいなあ、って。」

「普通。」

「あ、あの、なのは?普通ってどういう―――、」

「普通は普通なの。」

「…………ぐぅ。」

 桃子、撃沈。そう言えば小学生の時分クラスに一人は感想などで先生に何を訊かれても『フツー』としか答えない生徒がいたなあ、と恭也は遠い目になりかけた。

 だが遠回りが駄目なら次は直接というのが鉄板で、それに口下手だから出来るならこれぐらいだと自分で立候補したのだ。現実逃避している暇は無いと恭也が選手交替する。

「なのは。兄はお前に友達がいるかどうかを知りたい。」

 すると間が空いて少しだけなのはが考え込む。だがすぐに顔を上げると、至極軽い調子でさらっと言った。

「いないんじゃないかな。」

「「………っ。」」

 何の気負いも感慨も無く、まるで電線を見上げたら一羽も鳥が止まっていなかったとそんな風にどうでもよさげな答えが出た事に唖然とする。

「、だったら、幼稚園とか外で何をしてるんだ?」

「ずっとお話してるよ?拓巳と。外でも家でも。」

「たくみ……?」

 まるでその『拓巳』がいればそれで全て良いかの様な態度。言われてみればなのはの一人言にもよくその名前が出ている。幼稚園の先生にはそんな人はいなかったと思うし、近所のお兄さんか誰かだろうか。

「なのは、その拓巳さんと会えるだろうか?」

「え………?」

 何故かそこでなのはの顔に動揺が走る。

「………拓巳?わたしの望む事?…………そんな、わたしだけでいい。拓巳は、わたしだけとずっと一緒……!」

「なのは……?」

「周囲共通認識なんかいらない。………そう、そうだよ?わたしたちは二人で一つなんだからね?」

「なのはっ!」

「お兄ちゃん。」

「っ、何だ?」

 いつもの一人言とは違う、不安定にぶつぶつと喋るなのはに半ば怒鳴り付ける様に呼び掛けると、ぬっと顔を上げる。唇が歪んでいるだけの笑顔が恭也の顔の正面に来た。何故か、解離性同一性障害などという言葉が浮かぶ。

「お兄ちゃんは、いや、わたし以外の誰も拓巳には会えないよ。話もできない。わたしが望まないから、絶対に。」

「何故だ?」

「だって。――――――西條拓巳は、妄想の存在だから。」

 プツッ―――――。

<接続終了。>



<思考盗撮、、、アリサ・バニングス。>

 彼女にとって高町なのはというのは、惰性の友人と言うのが一番正確だろうか。

 話は小学校入学当初まで遡る。

 資産家として名を知られるデビット・バニングスの一人娘として育てられた彼女は、当時初の学校生活に緊張していた。英才教育を受けて来た自分は周りの同年代の子供とは精神年齢が違う。それは悪く言えば自分が異質・異端であり、そんな差異を彼女は敏感に感じ取っていたのだ。

 事実大抵の子供はアリサを遠巻きに見守るだけで孤立していた。一言輪に入れて欲しいと言えば済む話なのだが、意地っ張りで変に臆病な性格のせいでそれも出来ない。

 そんな中アリサは無意識に自分と同類の、休み時間も一人でいる面々を探していた。精神年齢が高いと言っても、それと寂しいという感情は別物なのだ。

 二人見つけた。一人は授業中だろうが所構わず自分の世界に浸って一人言を漏らす女の子。もう一人は物静かそうで、空気と馴染む様に周りと関わらず本を読んでいる少女。彼女なら、とアリサは後者の方に―――前者は少し無理だった―――精一杯の勇気を振り絞って声を掛けた。

…………それが、何故その子―――月村すずかのカチューシャが寄越せ・嫌だ・じゃあ無理矢理なんて流れになっていたのかはあまり覚えていない。緊張でいっぱいいっぱいだったから。だが気付いた時には意地で後に引けなくなっていて、すずかの髪の毛を引っ張ったりしてカチューシャを力ずくで取るしかないと思い込む状況だった。

 傍からみるといきなりいじめが発生した、その光景を目撃した生徒の数は少なくは無かった。当たり前だ、校舎裏に来い~などの学生の不良みたいな状況のセッティングをしていた訳ではなかったのだから。

 だから放っておけばその内正義感の強い子供あたりがアリサを止めただろう。そしてその子供とアリサ・すずかで夕暮れの河原の殴り合い理論で友情が芽生えたかも知れない。

 が、アリサの行動が止められたのは全く別の要因だった。更にその後の彼女らの関係も全く違う形のものになる。

「いい加減、うるさいの……っ!」

「なに………、えっ!?」

「ひぃっ!!?」

 その光景は、ある種のトラウマとしても彼女らの中に鮮烈に残っている。

 無骨にして魅了的。

 流麗にして破滅的。

 絢爛にして絶望的。

 壮烈にして神聖的。

 それが現代に於いて飾られる以外の用いられ方がある筈がない。現実的に考えれば。

 それが十にも満たない幼子の手に在っていいものである筈がない。現実的に考えれば。

 乱雑に見える紋様が刻み付けられた握り手の、両端から生えた両刃の凶気。赤とも青とも緑とも黄とも、何色とも言える不可思議な光沢がその重圧を増す。慈悲と冷酷さが、狂気と穏健さが、愛嬌と醜悪さが、恋慕と薄情さが、二つの刃が一対となって柄で繋がっている。それは何時か彼女が言った、二人で一つという在り方の鏡像。

 限りなく直線に近い曲線で構成された、全長ニメートルを超える武器。ディソードの名を持つそれが、片方の刃はアリサの眉間に、もう片方の刃はすずかの首筋に、薄皮一枚の所で突き付けられている。

 先程アリサが話しかけなかった方の女の子、高町なのはによって。

「きゃあああぁぁぁぁっっ!!」

「……。ほんっとうにうるさいなあ。もう―――、」

「―――!!!」

 面倒くさげに振りかぶる。巨大な武器をランドセル一つで登校した彼女がどこに持っていたとかその小さな腕では持ち上げる事すら無理だろうとかそんな現実的な疑問を無視して。『現実的』。それに照らして有り得ないのならば現実ではないのだろうか。否。それは基の現実が間違っているだけだ。二人の少女に刃が振り落とされる『事実』は変わらない。

 と、思われた。

「―――え、拓巳?でも…………うぅ、わかったの。拓巳がそういうなら。」

「「………っ?」」

「アリサちゃんにすずかちゃんだっけ。よかったね。」

 ぴたり、と止まってまた一人言を言ったかと思うと、にこやかに二人に笑いかけて立ち去るなのは。何が起こったのかも分からず次から次へと動く事態に、二人とも泣く事も忘れてぺたんとその場に座り込むしかなかった。

「……っ。」

「アリサちゃん、どうしたの?」

 あの時の光景を思い出し、ついぶるっと震える。お茶を濁したが、鋭いすずかには分かってしまったらしく微笑みが引きつっていた。

 本気で死を覚悟した瞬間。この平和な日本で何故小学校に上がったばかりの自分達がそんな思いをしなければならなかったのか。おかげで滅多な事では動揺しなくなってしまった。

 まあ、言っても理不尽でしかないのだろう。強いて言えばなのはが同じクラスになってしまった不幸か。

 なのはがディソードというらしいあの武器を振り回した件。結局先生側にも伝えられたが、当の凶器が見つからなかった為うやむやに終わってしまったのだった。

 一方でアリサとすずかは暫くすっかりなのはに怯え、言い方は悪いが金魚のフンの様になのはのご機嫌取りばかりする学校生活を送っていた。奇妙な緊張感を共有して変わった友情を二人で育んだりもしたのだが、最近になってみるとそれがある程度は被害妄想だった事も悟った。

 なのはは自分の領域を煩わせない限り周囲に害を与える事は全く無い。逆に奇嬌な言動に慣れさえすれば適度な距離感を常に一定に保てる一人ぐらいならいてもいい友人たり得る。現にすずかと三人で今学校の屋上でお弁当を広げている辺り、何故か嫌いにはなれそうにないのだ、高町なのはという少女を。それはすずかも一緒だろう。

「いい天気だねー。暖かいし、でももうすぐ夏かぁー。…………ぅ、拓巳はいいよね、暑いのわたし嫌い。………………そんなの、べたべたするし疲れるし。夏なんか来なければいいのに。時間よ止まれーなんて。……………え?やだなぁ、本当にやったりしないよそんな無駄遣い。…………うん、うん。」

「毎度の事だけど拓巳って何なんだろうね……。」

「っていうかその気になればなのはは時間止められるの?」

 なのはは相変わらずこの調子だが、一人言しながらでも聴こえる周囲の会話は全て拾っていたり弁当を食べるペースがそんなに遅くないのがさりげに凄い。挙げ句にこの奇妙な空気がアリサは気に入ってしまっているから始末が悪い。

 弁当を食べ終え、至極リラックスした気分で伸びをしながら空を見上げる。晩春の暖かい風と広々とした青空。本当に青一色の空は逆に気持ち悪いという主義のアリサにとってぽつぽつと忘れられた様に幾つか雲が浮かんでいるのも高得点だ。景品は無いが。

「…………ぅん?」

 ふと、その雲の内の細長い一つが。一振りの剣に見えた気がした。

 プツッ―――――。

<接続終了。>



<おまけで思考盗撮、、、神っぽい視点を持つ誰か。>

………結局、どういう事なんだい?

………さあ。

………そんな無責任な。

………責任の持てる見解なんて無理だもん。そもそも何の話なのかも分からない。

………変な高町なのはの話じゃないの?タイトル通り頭になんか住んでる。

………その割には決定的に描写が足りないんだよ。

………みんななのはについて語ってるよ?

………肝心ななのは自身の内面の描写が無い。所詮主観での人物判断でしかないから、それが合ってる必然性も無い。

………どういうこと?

………確かに解釈出来る通りカオスヘッド原作の西條拓巳と星来・オルジェルの関係の様に、半ば人格を持っていると錯覚出来る程の確かさを持った妄想の西條拓巳をなのはが作り出したのかも知れない。

………あるいはお約束に則って最終決戦後咲畑梨深に殺された西條拓巳が何故かなのはが生まれた時に彼女の頭の中に住み着いた、とかでもいいね。

………だがそれは視点を垣間見た私達が二次的に作った印象でしかない。

………結論を先に言うね。視点となった人物がきちんと事実に即して描写しているかどうかすら怪しいんだよ。

………うわー、屁理屈。

………え?え?

………つまりね、さっき言った様な解釈が一般的だけれども、それを導き出す材料がフェイクの可能性があるって事だよ。

………なのはがディソード『みたいな剣』なんか持ってなくて、アリサが何かを錯覚していた可能性。なのはに一人言でいない誰かに話し掛ける癖なんか無い、唯の恭也達の聞き間違えの可能性。ただパソコンで遊んでいただけなのにラリってた士郎が勝手に想像で興奮して襲い掛かった可能性。桃子が若くして痴呆でなのはは本当は何回も喋っているのにその度に忘れちゃってる可能せぅわ何をするやめ(ry

………思えば士郎さんってかなり鬼畜よね。『つい先日五歳の誕生日~』の『つい先日』を十年以上水増しするのかしら。まあそれは置いといて、うん。なんとなく解ったわ。

………更に言えば切り替わった四人の視点に出て来る『なのは』が同一人物である確証すら、実は無いという。

………それは屁理屈以外の何物でもないわね。

………屁理屈と理屈の差異なんて紙一枚ほどもないの。

………例えそうだとしても、こんな理論で話を読んでたら何も成立しなくなるよ。ミステリーのトリックになら使えるかも知れないけど。

………だからここで責任の持てる見解は無理だって話に戻るんだよ。書き手が勝手すればいくらでもどうにかなってしまう物語だから。特にこの作品は。

………あれ?

………どうしたの?

………書き手が勝手すれば、って。そんな実力も度胸も作者にある訳ないと思うけど。

………ぎくっ!

………((怪しい。))

………あ。描写不足ってそういう事。

………わーわーっ!

………つまり?

………単に文章力の関係で描写が足りない部分やこれ以降破綻するかも知れない展開を言い訳する為にこの会話で変な理論捏ね回して―――、

………ふっ、そう。わたしが犯人<さくしゃ>だよ。でも同時にあなた達が犯人でもある。だってこれは――――あなたが望んだ妄想だから。

………あ、こら、また適当な事言って誤魔化――、

 プツッ―――――。

<接続が、切られた。>



※この会話だってどこまで正しいかなんて判りません。それ以前にこれを映している画面は、読んでいるあなた自身は………どこからが現実でしょうか?実は意外と――――。


※というのは置いといて、この物語は無印編、A’s編、空白期編、Sts編へと続きます。もしそれを読んでくださる場合、おまけのメタな文章は無かった事にして進んだ方がいいかもしれません。ただカオスヘッド的テーマな考察がやってみたかっただけなんです。



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