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No.15302の一覧
[0] 【完結】リリカルなのは ~生きる意味~(現実→リリカル オリ主転生 最強 デジモンネタ)[友](2015/01/12 02:39)
[1] プロローグ[友](2010/01/04 15:51)
[2] 第一話[友](2010/01/04 15:52)
[3] 第二話[友](2010/01/04 15:55)
[4] 第三話[友](2010/01/05 00:19)
[5] 第四話[友](2010/01/17 13:53)
[6] 第五話[友](2010/01/17 14:31)
[7] 第六話[友](2010/01/24 12:46)
[8] 第七話[友](2010/01/31 15:55)
[9] 第八話[友](2010/02/07 10:27)
[10] 第九話[友](2010/02/14 15:40)
[11] 第十話[友](2010/02/21 11:01)
[12] 第十一話[友](2010/04/04 09:45)
[13] 第十二話[友](2010/04/04 09:46)
[14] 第十三話[友](2011/05/03 21:31)
[15] 第十四話[友](2010/03/28 07:45)
[16] 第十五話(前編)[友](2010/04/04 09:48)
[17] 第十五話(後編)[友](2010/04/04 09:49)
[18] 第十六話[友](2010/04/04 09:51)
[19] 第十七話[友](2010/04/18 07:24)
[20] 第十八話[友](2010/04/25 14:47)
[21] 第十九話[友](2010/05/02 21:59)
[22] 第二十話[友](2010/05/09 07:31)
[23] 第二十一話[友](2010/05/16 15:36)
[24] 第二十二話[友](2010/06/06 15:41)
[25] 第二十三話[友](2010/05/30 09:31)
[26] 第二十四話(前編)[友](2010/06/06 15:38)
[27] 第二十四話(後編)[友](2010/06/06 15:39)
[28] 第二十五話[友](2010/06/06 15:36)
[29] 第二十六話 (2013年11月14日 改訂)[友](2013/11/14 22:27)
[30] 第二十七話[友](2010/06/27 17:44)
[31] 第二十八話[友](2010/08/17 21:11)
[32] 第二十九話[友](2010/08/17 21:11)
[33] 第三十話[友](2010/09/19 16:35)
[34] 第三十一話(前編)[友](2010/09/19 16:30)
[35] 第三十一話(後編)[友](2010/09/19 16:34)
[36] 第三十二話[友](2010/11/07 14:58)
[37] 第三十三話[友](2010/12/05 15:37)
[38] 第三十四話[友](2010/12/05 15:36)
[39] 第三十五話[友](2011/01/16 17:21)
[40] 第三十六話[友](2011/02/06 15:02)
[41] 第三十七話[友](2011/02/06 15:00)
[42] 第三十八話[友](2011/03/13 18:58)
[43] 第三十九話[友](2011/03/13 18:56)
[44] 第四十話[友](2011/03/27 15:55)
[45] 第四十一話[友](2011/04/10 20:23)
[46] 第四十二話[友](2011/04/24 16:56)
[47] 第四十三話[友](2011/05/03 21:30)
[48] 第四十四話[友](2011/05/15 14:37)
[49] 第四十五話[友](2011/05/29 20:37)
[50] 第四十六話[友](2011/06/12 22:18)
[51] 第四十七話[友](2011/07/10 23:20)
[52] 第四十八話[友](2011/07/25 01:03)
[53] 第四十九話[友](2011/07/25 21:26)
[54] 第五十話[友](2011/09/03 21:46)
[55] 第五十一話[友](2011/10/01 16:20)
[56] 第五十二話[友](2011/10/01 16:27)
[57] 第五十三話[友](2011/10/01 16:19)
[58] 第五十四話[友](2011/10/30 20:17)
[59] 第五十五話[友](2011/11/27 20:35)
[60] 第五十六話[友](2013/04/21 19:03)
[61] 第五十七話[友](2013/04/21 19:00)
[62] 第五十八話[友](2013/04/21 18:54)
[63] 第五十九話[友](2013/08/22 00:00)
[64] 第六十話[友](2014/03/23 23:15)
[65] 第六十一話[友](2014/03/23 23:13)
[66] 第六十二話[友](2014/05/06 17:27)
[67] 第六十三話[友](2014/08/13 19:34)
[68] 第六十四話[友](2014/11/30 22:33)
[69] 第六十五話[友](2014/12/31 20:29)
[70] 最終話[友](2015/01/12 02:26)
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[15302] 第四十八話
Name: 友◆ed8417f2 ID:7d3a0122 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/07/25 01:03

第四十八話 喫茶翠屋のとある一日





さて、闇の書事件から9年。

アニメで言うStS編まで、後1年と迫った訳だが、この世界でもはやては機動六課を作るつもりらしい。

最近は、部隊のメンバー集めに奔走中だ。

と言っても、その殆どは仲間関係だが…………

因みに、俺達翠屋メンバーも何故か誘われた。

なんでも、隊舎内で店を開いてほしいらしい。

うまい食事での隊員の士気高揚が目的と言う無茶苦茶な理由だ。

というのは口実で、秘密裏の戦力アップが目的なんだろうけど………

この世界では、機動六課の後ろ盾にレジアスさんまでいるため、結構な無茶が可能らしい。

機動六課の設立理由については、アニメと同じ少数精鋭の実験部隊という理由の他に、BTT社で開発した一般人でも魔法が使えるデバイスの実用試験という理由もある。

因みに、そのデバイスの詳しい内容は俺も知らない。

アリサ達が秘密にしているからだ。

何でも、完成した時のお楽しみらしい。

あと、以前保護した4人の子供達は…………

まずヴィヴィオ。

桜を中心とした6人の母親がいるわけだが、その性格はアニメの通り。

甘えん坊で、よく泣いて、ピーマン嫌いの普通の女の子。

次に星。

現在は高町 星。

なのはのスパルタ教育の賜物か、その性格は礼儀正しい。

まんま星光の殲滅者となった。

その次はライ。

ライ・テスタロッサ。

星とは逆に、溺愛のフェイトの下で育てられたせいか、明るく良い子に育ったのだが、まあ、所謂アホの子になった。

別に頭が悪いというわけではないのだが、精神年齢が子供達全員の中で、一番低い。

…………いや、寧ろライが普通で、ライ以外の子供たちの精神年齢が高すぎるだけか?

最後に夜美。

守護騎士達から主のように接するようにされて来た為か、喋り方が闇統べる王と同じになった。

無茶苦茶偉そうに喋る。

まるで王様のように。

誤解しないように言っておくが、闇統べる王のように、他人を『塵芥』とか言う事は無いし、根本的な性格はやさしい子だ。

ただ、喋り方が偉そうなだけ。

あと、スカリエッティだが、計画の最終段階に必要な事で、ガジェットを作ってアニメのようにロストロギアを集めるようにしている。

ただ、一般人に被害は絶対に出さないようにプログラムしてだが。

まあ、近況報告はこのぐらいにして、今日も喫茶翠屋クラナガン支店の開店だ。








「…………………ふう」

コーヒーを一口飲んで、そう溜息を吐いたのは、カウンター席に座る、最近常連客になりつつあるレジアスさん。

休暇の度にこの店に来るようになっている。

はやての紹介で翠屋の事を知り、さらにそこのマスターがこの俺、ユウ・リムルートと知って、一目散に翠屋を訪ねてきた。

でも、いきなりの土下座は吃驚したな。

最近は、オーリスさんも時々来るようになっている。

でも、管理局の中将と副官に、そこまで自由な時間があるのかと思ったが、考えないようにした。

すると、翠屋の入口が開いたため、

「いらっしゃいませ」

俺はカウンターから挨拶した。

その客は、

「こんにちは~!」

常連客のスバルと

「へ~、ここがスバルのお勧めの喫茶店か…………」

オレンジの髪のツインテールの女の子。

確認するまでもなくティアナだな。

「おう。 スバル、いらっしゃい」

俺は改めて声をかける。

「こんにちは、ユウさん」

カウンター席に座りながら、スバルはそう挨拶を返す。

俺は、ティアナに視線を向け、

「そっちの女の子は友達か?」

とりあえずそう聞く。

「はい! 私のルームメイトでコンビを組んでるティアです!」

スバルは嬉しそうにそう紹介した。

「は、初めまして、ティアナ・ランスターです」

ティアナは、いきなり紹介された事に吃驚しているのか、少し詰まりながら頭を下げた。

「こちらこそ初めまして。 喫茶翠屋へようこそ。 俺はマスターの利村 ユウだ。 よろしく」

「はい、よろしくお願いします」

「それで、注文は?」

俺がそう尋ねると、

「シュークリームと、オレンジジュースをお願いします」

スバルがそう言い、

「じゃあ、私はコーヒーとシュークリームで」

ティアナがそう言った。

「分かりました。 少々お待ち下さい」

俺は営業スマイルを浮かべて注文を受け、コーヒーの準備に取り掛かる。

少しして、2人は横に座るレジアスさんに気付き、

「レ、レジアス中将!?」

ティアナが盛大に驚き、

「あ、レジアスおじさんだ。 こんにちは」

スバルは普通に挨拶する。

スバルも翠屋の常連なので、最近常連になりつつあるレジアスさんとはよく顔を合わせているため、知り合いなのだ。

「ス、スバル!? あ、あんたレジアス中将に何て口を!?」

訳を知らないティアナがスバルを叱ろうとするが、

「構わんよ。 今ここに居るのは、唯の休憩中の、何処にでもいる中年オヤジだ。 それに、この翠屋では管理局関係は持ちこまないというのが暗黙のルールだ」

レジアスさんはそう言う。

まあ、俺があのリムルートと知っての言葉だが。

「は、はぁ…………」

ティアナは呆気に取られている。

その時、

「お待たせしました」

桜がオレンジジュースとシュークリームを乗せたトレイを持って、2人の所へ来た。

「あっ、ありがとうございます」

スバルは笑みを浮かべてお礼を言い、

「え? ええっ? 高町 なのは二等空尉!?」

ティアナはなのはとそっくりの桜の顔に、再び驚愕する。

「あはは! 違うよティア。 この人はなのはさんにそっくりだけど、なのはさんじゃなくて、なのはさんの双子のお姉さんの桜さん」

「ふふっ! よろしくね。 ティアナ……だっけ?」

桜はそう聞く。

まあ、桜本人は分かっているだろうが。

「は、はい! ティアナ・ランスターです!」

「そう。 私は高町 桜。 改めてよろしくね」

「は、はい……よろしくお願いします」

ティアナは、驚きすぎて茫然となっている。

「はい、こっちもお待たせ」

俺はコーヒーをティアナに差し出す。

「ど、どうも………」

ティアナは、そうお礼を言ってコーヒーを受け取り、一口飲んだ。

「あ、おいしい」

ティアナはそう漏らした。

「ありがとう。 そう言ってもらえると嬉しいよ」

俺は素直に礼を言う。

「ティア、桜さんのシュークリームも食べてみなよ。 絶品だよ!」

スバルがティアナにシュークリームを進める。

そう言われたティアナは、シュークリームを口に運ぶ。

そして、一口被りつくと、

「ッ!?」

表情が驚きに染まり、

「こ、こんなにおいしいシュークリーム初めて!」

そう驚愕していた。

すると、

「ユウ君、会計を頼むよ」

実はテーブル席に居たスカリエッティと、ウーノ、トーレ、チンク。

「了解」

俺はレジへ移動する。

「ああ、それからシュークリームの詰め合わせを頼む。 妹達に持って行ってやらねば」

支払い役のトーレがそう言ってきた。

「ん、分かった」

俺は、持ち帰り用の箱にシュークリームを詰めてトーレに手渡す。

「うむ、感謝する」

トーレは箱を受け取った。

すると今度は、

「では、ユウ様。 ヴィヴィオお嬢様をお借りいたします」

ウーノがそう言ってくる。

その横に、ヴィヴィオが居る。

何でも、スカリエッティからヴィヴィオにプレゼントがあるとか。

「ん、ヴィヴィオ。 あまり遅くならないうちに帰ってくるんだぞ」

俺がそう言うと、

「は~い。 パパ、さくらママ。 行ってきま~す!」

「心配せずとも、帰りは私が送ろう」

チンクがそう言った。

「いってらっしゃい」

桜がそう見送って、ヴィヴィオはスカリエッティ達と一緒に店を出る。

因みに、他の子供達は全員学校だ。

ヴィヴィオも、来年から初等科に通う予定になっている。

星、ライ、夜美の3人は、エリオ達の一つ下。

リーナやルーテシアと同学年だ。

序に言っておくと、子供たちの魔導師ランクは、

エリオ   AAA+

キャロ   AAA-(ヴォルテールはS)

リィン   AA

アギト   AA

星     AAA

ライ    AAA

夜美    AAA+

久遠    A(成人モード時はAAA)相当

ヴィヴィオ C(平常時。 聖王の鎧持ちなので、Sランクの砲撃も無力化)

である。

エリオとキャロはトレーニングバインドで鍛えている成果。

星達は元々持っている資質である。

普段はリミッターで全員Dランク以下まで落としているが、有事の際にはキャロ以外は俺かそれぞれの母親の判断で解除可能である(キャロは、ユーノとヴィータ)。



まあ、そんなこんなで暫くすると、

「ん?」

何やら外が騒がしい。

時々、魔力反応も感じる。

どうやら、外で戦闘というか、事件が起こっているらしい。

まあ、首突っ込むつもりもないので放置しようと思っていたが、

――ガッシャァァァァァァン

何かが入口を突き破って、店の中に転がり込んできた。

「な、何だぁ!?」

俺は思わず叫ぶ。

俺はカウンターから飛び出して、転がり込んできた『何か』を確認する。

そこには、

「ギンガ?」

傷ついたギンガが店の中に倒れていた。

「ギン姉!?」

スバルが一目散にギンガに駆け寄る。

「…………う……スバル……?」

ギンガがそう漏らす。

「大丈夫か?」

俺がそう声をかけると、ギンガは慌てて右腕を隠すような仕草をした。

「ッ!? ユ、ユウさん! お願い! 見ないでください!!」

ギンガはそう叫ぶ。

だが、俺は見えていた。

ギンガは右腕の二の腕辺りを負傷しており、その場所の皮膚が破れ、機械の内部が露わになっていた所を。

スバルも、慌ててその場所が見えないように移動するが、もう遅いことに気付いた。

「ユ、ユウさん………い、今のは………」

スバルが、言い辛そうに言葉を濁す。

俺は、如何したもんかと頭を掻いていると、

「ザマぁないな、管理局員さん?」

割れた入口に、一人の男が現れる。

「ッ!」

ギンガは右腕を隠したまま、立ち上がろうとする。

どうやら、この男がギンガを負傷させた犯罪者のようだ。

俺は一度溜息をついてその男の前に歩み出る。

「ユ、ユウさん!?」

その行動に驚くスバル。

「いらっしゃいませお客様。 暴力行為は、他のお客様のご迷惑になるのでお控するようお願いします」

俺がそう言うと、

「ああんっ!? 頭悪いのかテメェ!?」

その男はデバイスを突き付けてくる。

「………このまま立ち去るのでしたら、入口の修理費だけ払ってもらえれば十分です。 しかし、そうでないのなら、不本意ながら、力尽くで退去していただく事になりますが?」

「クハハハハハ! 笑わせてくれるねえ。 俺の魔力ランクはAAAだぞ! 無知とは愚かだな!」

「その言葉は、立ち去るつもりは無いと判断してよろしいので?」

「おお! その通りだ! 序だから、お前の店も滅茶苦茶にしてやるよ!」

すると、その男は客席にデバイスを向けた。

他の客達が悲鳴を上げる。

そして、その男は、躊躇なく魔力弾を放った。

魔力弾はまっすぐに客席へ向かい………

白銀の障壁にぶつかって弾けた。

「な、何っ!?」

その男は驚愕する。

「全く………本当に撃つ馬鹿とは思わなかったわ」

桜が呆れながらそう言った。

次の瞬間、黄土色とオレンジ色のバインドによって、雁字搦めにされる男。

「なっ!?」

「お客様達を狙った事は許せませんね。 覚悟はいいですか?」

「馬鹿なやつだね。 よりにもよって、この翠屋で暴れようとするなんて」

厨房からリニスとアルフが出てきてそう言った。

「親父~、如何する? 燃やすか?」

アギトが男の頭上で火の玉を作りながらそう言い、

「いえいえ、それよりも氷漬けにしてやりましょうよ、とーさま?」

リィンがフリジットダガーを男の周りに浮かべながらそう言った。

「ともだち…………いじめた……………」

久遠が成人モードで、バチバチと電撃を放ちながら威嚇する。

「へ? え? え? え?」

男は、訳が分からないといった表情で、周りを見渡す。

ファリンは、ギンガの傍により、

「大丈夫ですよギンガちゃん」

そう声をかけている。

「さて…………覚悟はいいな?」

俺は少し魔力を放出させて、その男を睨みつける。

少しと言っても、Sランクを超えているが。

「ひっ……ひっ……ひっ………」

男は震える。

「ひえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

その悲鳴がきっかけとなり、アギトに燃やされ、リィンに氷漬けにされ、久遠に感電させられている。

黒こげとなったそいつを、

「おらぁっ!!」

魔力を込めた拳で殴り飛ばした。

その男は、入口から外に吹っ飛ぶ。

「…………確かに無知とは愚かだな」

カウンター席に座り、全く動じていなかったレジアスさんがそう呟いた。




男を外に吹っ飛ばした後、御客達を退店させて、俺達はギンガに近寄る。

ギンガは、皮膚が破れて内部の機械が見える右腕を抑えながら俯いていた。

大方、戦闘機人と………いや、普通の人間ではないとばれた事がショックなのだろう。

まあ、だからと言ってそんなことで差別する奴なんて、この翠屋には居ないが。

「大丈夫か? ギンガ」

俺は、ギンガを不安にさせないように優しく語りかける。

「あのっ、ユウさん! ギン姉………ううん。 ギン姉と私は…………!」

スバルが声を上げる。

俺は、全てを聞く前に、

「純粋な人間じゃない…………って言いたいのか?」

そう聞いた。

「…………はい」

スバルは、俯きながらも頷いた。

ティアナも、辛そうな表情をしている。

ギンガも、益々俯く。

だが、

「………で? だから何だ?」

「「「えっ?」」」

俺の言葉に、3人が呆気にとられた声を漏らす。

「心配しなくても、そんな事で差別する奴なんて、この翠屋には居ないわよ」

桜もそう言う。

「桜さん………」

「第一…………」

俺は、そう呟きながらファリンに目配せする。

ファリンは、俺の言いたい事を理解したのか、頷いてギンガ、スバル、ティアナの前に出る。

そして、右手で自分の左手首辺りを握り、数回捻るような仕草をすると、

――キュポン

というような音を立てて、ファリンの『左手』が外れた。

「「「……………え?」」」

3人は一瞬固まった後、声を漏らす。

「ファリンは、戦闘機人以上に人間から離れてるしな」

俺がそう言うと、

「因みに、義手なんてオチではありませんからね~」

ファリンが付け加えるようにそう言った。

「あ……あの、ファリンさんは一体……?」

ギンガが茫然と呟く。

「ファリンは、地球………第97管理外世界の失われた古代技術によって作られた自動人形…………まあ、ミッド風に言えば、完全自立機動人型ロストロギアってとこだな」

厳密には違うかもしれないが、イメージ的にはこっちの方が分かりやすいだろう。

「ファリンさんが…………ロストロギア?」

スバルが信じられないといった表情で呟く。

「まあ、失われた技術で作られたって意味ではね」

桜もそう補足した。

「だ・か・ら! 戦闘機人だからって気にせずに、今まで通り翠屋に来てね♪」

桜は、笑顔でそう言った。

「桜さん…………ユウさん……………」

ギンガは、涙を滲ませながら、俺達を見る。

「…………ありがとう…………ございます……………」

そして、そう呟くと共に、一筋の涙を流した。







あの後、レジアスさんが事後処理の為に人員を呼び、俺達は簡単な事情聴取を受けた。

あと、過剰防衛による説教も。

流石にあれはやりすぎたらしい。

ギンガは病院送り。

スバルとティアナも付き添いで行ってしまった。

あと、入口が壊れてしまったので、今日はもう閉店。

だが、このぐらいなら直ぐに直るらしいので、明日からは通常通り運営出来る筈だ。

俺達が、壊れた入口の片づけをしていると、

「お父さん、ただいま!」

「ユウさん、ただいま」

「父様、ただいま帰りました」

「おとーさん、ただいまだぞ!」

「父よ! 今帰ったぞ!」

子供達が帰ってきた。

「ああ、お帰り。 エリオ、キャロ、星、ライ、夜美」

俺がそう言うと、

「入口が壊れてるんですけど、何かあったんですか?」

キャロがそう尋ねてくる。

「ああ………まあ、ちょっと乱暴な客が来てな」

俺はそう答えておく。

「むっ! 悪い奴だな! 僕がぶっ飛ばしてやる!」

ライが叫ぶ。

「その必要は無いぞ。 俺がぶっ飛ばしといたから」

俺はライにそう言うと、

「ちぇっ!」

おい、何でそんなに残念そうな顔をする。

「父よ! そんなことより、オヤツが食べたいぞ! 準備せい!」

「お前、仮にも父親にそんな言い草は無いだろ!」

いつもの事だが、夜美の言葉に俺は思わず突っ込む。

「夜美、強請るのはいいですが、その前に手洗いとうがいを済ませなければだめですよ」

8歳とは思えない性格だが、三人娘の中ではお前が一番まともだよ、星。

「ふむ、仕方あるまい」

夜美はそう言うと、エリオの腕を掴んだ。

「え? 夜美?」

エリオは困惑する。

「さっさと行くぞ、エリオ。 そして、我と共にお茶をするのだ」

夜美はそう言うと、エリオを引っ張っていこうとする。

すると、

――ガシッ

夜美が掴んでいる腕とは反対側の腕をキャロが掴んで引きとめた。

「エリオ君とお茶をするのは私だよ!」

「ええっ!? キャロ!?」

キャロの言葉に、エリオが驚く。

「ああっ! 2人ともズルイぞ! 僕もエリオとくっ付くぞ!」

そう言いながら、ライがエリオの背中に飛びつく。

「うわっ!? ライ!?」

更に困惑するエリオ。

すると、

「貴方達! 何をしているのですか!? エリオが迷惑していますよ!!」

星が青筋を浮かべながら叫んだ。

俺はそんな子供たちを見て溜息を吐く。

最近気付いたのだが、どうやらこの4人は、エリオに好意を持っているらしい。

その事を少し前に桜に尋ねたのだが、

「今更気付いたの? 結構前から知ってたわよ。 親が親なら子も子ね」

と呆れられた。

そのまま4人は奥へと消えていく。

それを見送った時、

「ただいま!」

ヴィヴィオの声がして振り返る。

そこには、チンクに連れられたヴィヴィオの姿。

「お帰り、ヴィヴィオ」

俺は微笑んでそう言った。

「ヴィヴィオ、お帰り」

桜がそう言うと、

「ただいま! さくらママ!」

ヴィヴィオが嬉しそうにそう言った。

俺はチンクに視線を移し、

「チンク、ヴィヴィオを送ってくれてありがとう」

そうお礼を言った。

「い、いや、ヴィヴィオは私にとっても娘みたいなものだからな。 礼を言われるほどの事ではない」

チンクは頬を染めつつ、照れたように視線を外しながらそう言う。

「それでも、ありがとう」

「ま、まあ、そこまで言うなら、どういたしましてと言っておこう」

チンクは、顔を赤くしたままそう言った。

「ねえねえ!」

すると、ヴィヴィオが何やらせがんで来る。

「ん? 如何したヴィヴィオ?」

俺が尋ねると、

「パパ、ママ、見てて!」

ヴィヴィオはそう言って、ポケットから赤い宝石のような物を取り出す。

デバイスか?

そして、それを上に掲げると、

「セイクリッドソウル! セーットアップ!!」

そう叫んだ。

その瞬間、ヴィヴィオの身体から虹色の魔力光が迸る。

「「へっ?」」

俺と桜は思わず素っ頓狂な声を漏らした。

ヴィヴィオから感じる魔力は、Sランクを超える。

それを感じたリニスが、即座に結界を張ってくれたのには感謝だ。

やがて、その光が収まっていき、

「じゃーん! 見て見て!」

見た目十代後半の聖王の姿となったヴィヴィオが居た。

「「……………………」」

俺と桜は沈黙したまま顔を見合わせ、

――コクリ

と同時に頷きあうと、

――ガシッ

と同時にヴィヴィオの手を取って奥の部屋へと駆け込んだ。

そして、すぐさまスカリエッティに通信を繋げる。

『やあユウ君、ヴィヴィオへのプレゼントは気に入ってくれたかな?』

スカリエッティはそんな事を言ってくる。

「お………」

俺が叫ぼうとした瞬間、

「スカリエッティ! あんたまさか、ヴィヴィオをレリックウェポンにしたんじゃないでしょうね!!??」

それより早く桜が叫んだ。

すると、

『はっはっは! そんな命知らずな事するわけないじゃないか。 ヴィヴィオには、レリックを元に作りだしたデバイスをあげて、一時的に聖王の力を引き出せるようにしただけだよ』

スカリエッティはそう言った。

「何でそんな事?」

俺が尋ねると、

『何、万一の為の保険だよ。 何かと君達は事件に巻き込まれやすいみたいだからねえ、必要最低限の自衛のための力さ』

「「…………………」」

それを聞いて俺達は押し黙る。

否定できないからだ。

『まあ、起動には君達の許可が必要なように設定出来るようにしている。 如何するかは、君達しだいだ』

「…………そうか、わかった」

俺はそう頷く。

が、

「なら、せめて説明だけはして欲しかったな。 流石に吃驚したぞ」

『ははは! まあ、それが目的だったからね。 驚いてくれて何よりだ』

「おい!」

『おっと、娘達が呼んでいる。 もう切らねば。 では、お休み』

そう言って、通信が一方的に切れた。

「………はあ」

俺は溜息を吐く。

「うゆ? 如何したのパパ?」

ヴィヴィオが首を傾げる。

「何でもないよ」

俺はヴィヴィオの頭を撫でる。

「? えへへ、パパッ!」

それが嬉しかったのか、ヴィヴィオが抱きついてきた。

「おわっ!? ヴィヴィオ!?」

改めて言うが、今のヴィヴィオは聖王モード。

つまりは十代後半の姿だ。

まあ、何というか女性らしいスタイルの為に、当たるものが当たってしまう。

「ヴィ、ヴィヴィオ! その姿で抱きつくのは止めなさい!!」

それに気付いたのか、桜が叫んでヴィヴィオを引きはがす。

「うゆ? 何で?」

その意味を分かってないヴィヴィオは首を傾げる。

「何でも!」

流石に説明するにはヴィヴィオは幼いために強引に引きはがしにかかる。

「やっ!」

だが、逆にその行動が更にヴィヴィオが俺に抱きつく強さを強めてしまい、胸の膨らみが俺に押しつけられる。

「うぐっ……………」

ヴィヴィオは俺の娘、ヴィヴィオは俺の娘、ヴィヴィオは俺の娘。

そう俺は心の中で唱えつつ、煩悩を抑え込む。

その光景は、暫く続くのだった。









あとがき

第四十八話の完成。

また一週間遅れてしまった。

夏バテなのか、創作意欲が湧かなかったんですよね。

申し訳ない。

さて、今回は日常編。

とか言いつつ、犯罪者の乱入が入りました。

しかし、ミッド一の魔導師の巣窟に入ったものは無事で帰れるはずがありません。

子供たちのレベルと、ヴィヴィオの聖王モードが出ました。

キャロ、星、ライ、夜美は、エリオにぞっこんです。

さて、この先どうなるのか?

次回はStSの準備編になるかと思います。

やっとStSに入れます。

思った以上に空白期が長くなったなぁ………

では、次も頑張ります。





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