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No.15302の一覧
[0] 【完結】リリカルなのは ~生きる意味~(現実→リリカル オリ主転生 最強 デジモンネタ)[友](2015/01/12 02:39)
[1] プロローグ[友](2010/01/04 15:51)
[2] 第一話[友](2010/01/04 15:52)
[3] 第二話[友](2010/01/04 15:55)
[4] 第三話[友](2010/01/05 00:19)
[5] 第四話[友](2010/01/17 13:53)
[6] 第五話[友](2010/01/17 14:31)
[7] 第六話[友](2010/01/24 12:46)
[8] 第七話[友](2010/01/31 15:55)
[9] 第八話[友](2010/02/07 10:27)
[10] 第九話[友](2010/02/14 15:40)
[11] 第十話[友](2010/02/21 11:01)
[12] 第十一話[友](2010/04/04 09:45)
[13] 第十二話[友](2010/04/04 09:46)
[14] 第十三話[友](2011/05/03 21:31)
[15] 第十四話[友](2010/03/28 07:45)
[16] 第十五話(前編)[友](2010/04/04 09:48)
[17] 第十五話(後編)[友](2010/04/04 09:49)
[18] 第十六話[友](2010/04/04 09:51)
[19] 第十七話[友](2010/04/18 07:24)
[20] 第十八話[友](2010/04/25 14:47)
[21] 第十九話[友](2010/05/02 21:59)
[22] 第二十話[友](2010/05/09 07:31)
[23] 第二十一話[友](2010/05/16 15:36)
[24] 第二十二話[友](2010/06/06 15:41)
[25] 第二十三話[友](2010/05/30 09:31)
[26] 第二十四話(前編)[友](2010/06/06 15:38)
[27] 第二十四話(後編)[友](2010/06/06 15:39)
[28] 第二十五話[友](2010/06/06 15:36)
[29] 第二十六話 (2013年11月14日 改訂)[友](2013/11/14 22:27)
[30] 第二十七話[友](2010/06/27 17:44)
[31] 第二十八話[友](2010/08/17 21:11)
[32] 第二十九話[友](2010/08/17 21:11)
[33] 第三十話[友](2010/09/19 16:35)
[34] 第三十一話(前編)[友](2010/09/19 16:30)
[35] 第三十一話(後編)[友](2010/09/19 16:34)
[36] 第三十二話[友](2010/11/07 14:58)
[37] 第三十三話[友](2010/12/05 15:37)
[38] 第三十四話[友](2010/12/05 15:36)
[39] 第三十五話[友](2011/01/16 17:21)
[40] 第三十六話[友](2011/02/06 15:02)
[41] 第三十七話[友](2011/02/06 15:00)
[42] 第三十八話[友](2011/03/13 18:58)
[43] 第三十九話[友](2011/03/13 18:56)
[44] 第四十話[友](2011/03/27 15:55)
[45] 第四十一話[友](2011/04/10 20:23)
[46] 第四十二話[友](2011/04/24 16:56)
[47] 第四十三話[友](2011/05/03 21:30)
[48] 第四十四話[友](2011/05/15 14:37)
[49] 第四十五話[友](2011/05/29 20:37)
[50] 第四十六話[友](2011/06/12 22:18)
[51] 第四十七話[友](2011/07/10 23:20)
[52] 第四十八話[友](2011/07/25 01:03)
[53] 第四十九話[友](2011/07/25 21:26)
[54] 第五十話[友](2011/09/03 21:46)
[55] 第五十一話[友](2011/10/01 16:20)
[56] 第五十二話[友](2011/10/01 16:27)
[57] 第五十三話[友](2011/10/01 16:19)
[58] 第五十四話[友](2011/10/30 20:17)
[59] 第五十五話[友](2011/11/27 20:35)
[60] 第五十六話[友](2013/04/21 19:03)
[61] 第五十七話[友](2013/04/21 19:00)
[62] 第五十八話[友](2013/04/21 18:54)
[63] 第五十九話[友](2013/08/22 00:00)
[64] 第六十話[友](2014/03/23 23:15)
[65] 第六十一話[友](2014/03/23 23:13)
[66] 第六十二話[友](2014/05/06 17:27)
[67] 第六十三話[友](2014/08/13 19:34)
[68] 第六十四話[友](2014/11/30 22:33)
[69] 第六十五話[友](2014/12/31 20:29)
[70] 最終話[友](2015/01/12 02:26)
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[15302] 第三十五話
Name: 友◆ed8417f2 ID:315f8cfe 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/01/16 17:21
第三十五話 トラブル+巻き込まれ=俺?




俺がスカリエッティに拉致されてから1ヶ月。

俺は未だにスカリエッティの所にいた。

何故ならば、スカリエッティはこの1ヶ月、逃亡計画の為の準備をしていたからだ。

俺の一言が切っ掛けでこのような事になってしまったので、最後まで見届ける事にしたのだ。

別にほっといても良かったのだが、これでスカリエッティ達に何かあったら後味が悪い。

故に、俺はまだここに居るのだ。

この逃亡計画は、この施設内にあるガジェットⅣ型(この時はまだ名前は無いが)を暴走させ、この施設を破壊すると共に、それに紛れて逃亡を図るというのだ。

その為、最高評議会にばれない様に慎重に準備を進め、目覚めていないナンバーズを秘密裏に運び出し、最高評議会も知らない秘密研究所に移した。

そして、いよいよ今夜に計画の大詰めを迎える。

今夜0時に、ガジェットⅣ型が暴走するようにプログラムしているので、その混乱に乗じて逃げるだけだ。

俺は、1ヶ月も連絡を入れてない高町家の事を考えていた。

1度位は連絡を入れようかと思ったが、それが原因で情報が漏れる可能性があったので、やむなく止めた。

まあ、帰ったら魔法弾の嵐と剣の乱舞が待ち構えているのかなぁ~、などと考えていると、

「おい! ユウ!」

トーレが声をかけて来た。

「なんだ? ……って、聞くまでも無いだろうけど」

「ああ。 言うまでも無いだろうが、模擬戦だ!!」

トーレは力強く言ってくる。

「おい、今夜に作戦の決行だろ? 休んでおくべきじゃないのか?」

俺はそう聞くが、

「今日が最後だからだ! この1ヶ月、模擬戦で全敗どころか、まともな一撃すら入れてはいない! そのまま勝ち逃げされて堪るか!!」

トーレはそう叫ぶ。

1ヶ月前、トーレから訓練を兼ねた模擬戦の相手を頼まれたのだが、その時に全く寄せ付けもせずに完勝してしまった。

その事が悔しかったのか、毎日の様に模擬戦を挑まれる。

まあ、1対1では相手にならないので、クアットロとチンクを含めた3対1で行なっているのだが、それでも楽勝であった。

トーレのライドインパルスも、見切れる範囲だし、チンクのランブルデトネイターも俺の防御を抜くには力不足。

クアットロのシルバーカーテンは、アイシクルの無差別攻撃でクリア。

ぶっちゃけ苦戦する要素が1つもなかったりする。

まあ、普段から10対1の戦いに慣れている俺としては、3人相手など如何って事はない。

「はぁ~………何度も言うように、あんまり女性を傷つけるようなマネはしたくないんだけど……」

俺はそう言う。

普段からなのは達と戦っているので、矛盾しているかもしれない。

その言葉を聞いた瞬間、トーレは頬を赤くした。

「ええい! 何度も言うが、お前は何故私達を女扱いする!? 私達は戦闘機人だ! 戦う為に生まれた兵器だ!!」

トーレはそう叫ぶ。

「別にその考え方を否定するつもりはない。 唯、俺がお前らを女性だと勝手に思ってるだけだ」

「むぅ」

「ま、いいさ。 軽めにならやってやる」

俺はそう言うと、トーレと共に訓練室へ向かった。



まあ、結果は言わずもがな俺の圧勝。

アイシクルでクアットロを速攻で気絶させ、トーレをライドインパルスのスピードを上回る動きで撃破し、チンクのナイフを全て撃墜して終了した。

そういえば、俺の自惚れかもしれないが、トーレとチンクにフラグがたっている様な気がしてならない。

この1ヶ月、模擬戦で気絶させた後、トーレ達を部屋まで運ぶ際、途中で目覚める事が何回かあった。

その時の運び方が、まあ、なんと言うかお姫様抱っこだった為、羞恥か怒りか、顔を真っ赤にしていた。

いや、まさかね。

……………でも、今までのパターンを考えると、否定しきれないのが悲しい。

ま、まあ、今夜の夜逃げが上手くいけばもう会うこともないだろうし、そんなに深く考える必要もないか。

……………ないよな?

そう前向き(?)に考える俺だが、自分のトラブル巻き込まれ体質を侮っていた事を知るまであと約10時間。







さて、時間が経つのも早いもので、現在の時間は深夜11時59分。

間も無く計画の実行時間だ。

「ふむ、いよいよ自由への旅立ちのときだ!」

スカリエッティが嬉しそうにそう叫ぶ。

何でこんなに性格が変わったんだろうか?

いや、目的が変わっただけで、性格はあんまり変わってないか?

「………暴走プログラム発動まで、後10秒」

ウーノがカウントダウンを開始する。

「……6……5……4……3……2……1……」

ゼロと宣言する瞬間、

――ドゴォォォォン!

爆発音と共に、研究所に衝撃が走る。

「何事かね!?」

スカリエッティの言葉に、ウーノがモニターを開いていくと、

「……どうやら、管理局が侵入してきた模様です」

そう報告する。

ウーノの言葉に、俺はモニターを覗きこむと、渋い大柄の男性を中心とした管理局員が映っている。

「………おいおい、ゼスト隊かよ」

俺は呆れた声を漏らす。

今日が、原作で言うゼスト隊の壊滅の日かよ!

俺は心の中で叫んだ。

なんつうタイミングの悪さ。

更に運が悪い事に、

「ドクター。 管理局の侵入によって、研究所内の機械人形にプログラムされていた侵入者迎撃プログラムが作動。 それと同時に、暴走プログラムも作動した為、こちらからはコントロール不能です」

ウーノがそう報告してくる。

つまりは、ガジェットⅣ型が侵入者……ゼスト隊に攻撃を開始するけど、その停止命令がこっちからは出せないって事。

何処まで運が悪いんだよ!

「あらまあ、どうしましょ?」

クアットロが、軽い口調でそう言ってくるが、

「仕方ない、作戦変更。 この研究所は俺が破壊する。 皆は俺の合図でいつでも脱出できるようにしといてくれ」

俺はそう言って駆け出した。






【Side ゼスト】



私達の部隊は、戦闘機人に関する事件を追っていた。

だが、レジアスは、明日には私の部隊を別の案件に移す事を宣言してきた為、今現在分かっている違法研究所と思われる場所への突入捜査の予定を早め、今夜決行することにした。

その違法研究所へ突入した後、分隊長であるナカジマとアルビーノでコンビを組ませて、別ルートで捜索させ、私は他の隊員と共に正面から突破する。

突入後、然程間を置かず、迎撃システムらしき多脚生物型の機械人形たちが群がってきた。

迎え撃つ我々だが、予想以上に数が多い。

「おおおおおおおっ!!」

私は己の槍を振るい、機械人形達を鉄屑へと変えてゆく。

だが、その鉄屑となった機械人形を乗り越え、更なる数の機械人形が現れる。

「くっ!」

そのとき、部下の苦戦する声が聞こえる。

見れば、部下達が機械人形の数に押し切られようとしていた。

「させん!!」

私は思わず動いた。

攻撃を受けようとしていた部下の前に立ちはだかる。

が、

「ぐぅっ!」

鎌による攻撃を受け止め損ね、利き腕である右腕に浅くない傷を負ってしまう。

「隊長!?」

部下達の悲痛な声が響く。

「ぐっ……うおおおおおおっ!!」

私は槍を左手に持ち変え、目の前の機械人形を突き壊す。

だが、機械人形は容赦なく迫り来る。

「くっ……」

私は、槍を構えながらも己の浅はかさを呪った。

碌に調べもせずに突入した結果がこの有様。

今のところ、死者は出ていないものの、それも時間の問題だろう。

いや、全滅の可能性も少なくない。

別ルートで捜索しているナカジマとアルビーノも心配だ。

私が、この場をどのように切り抜けるか思案していた時、

「そこの騎士! 下がれっ!」

突如響いた子供の声。

突然の言葉に、私は瞬間的に反応してしまい、思わず下がってしまう。

その瞬間、

――バサッ

目の前にはためく白と赤のマント。

――ジャキッ

振りかぶられたオレンジ色の手甲を纏う左手から飛び出す大剣。

その左腕は、まるで竜を連想させる。

「うおおおおおおおおおおっ!!」

その叫びと共に大剣が振るわれた瞬間、

――ゴウッ!!

凄まじき衝撃波が発生し、視界に映る範囲にいた機械人形を1体残らず吹き飛ばした。

「「「「「なっ!?」」」」」

私も含め、その場を目撃した部下の全員が驚愕の声を上げる。

今の攻撃が、砲撃や広域殲滅魔法に類するモノであったのなら、まだ理解できた。

だが、今の攻撃は、単純に剣を振るった際の空気の衝撃――剣圧によるモノだ。

私とて、槍を振るった際の剣圧で攻撃する事は可能だ。

だが、その攻撃範囲は身体強化を全開にしたとしても、精々が数m。

しかし、今の子供が放ったものは、この通路の見える範囲。

少なくとも20m範囲は吹き飛ばしている。

それだけでも驚愕に値するのだが、それ以上に驚愕するものが今の我々の眼に映っていた。

それは………

「に、虹色の魔力光…………」

部下の誰かが呟いた。

そう、驚くべきことに、その者が纏っていた魔力光は、遥か昔に途絶えたとされる聖王の証である、虹色の魔力光。

その子供がゆっくりと振り向く。

改めてみれば、背丈からして10歳程度。

竜を連想させるオレンジの左腕の手甲。

蒼き狼を思わせる右腕の手甲。

頭の先から足までを白き鎧で覆い、背中には、外が白、内が赤のマント。

鎧の隙間から覗く眼は、赤と青のオッドアイ。

「…………管理局か」

その子供が呟く。

「き、君は一体……?」

私は思わずそう尋ねてしまう。

「……俺は、この研究所に捕まっているとある人物を助けに来た。 そいつはもう助けたから、おさらばしようとしていた所に、アンタ達が突っ込んできて勝手にピンチになっていたから見てらんなくて出てきただけだ」

その子供の言葉に皮肉が混じっていたが、正にその通りのために言い返すことは出来ない。

「そうか……すまない…………」

私は、礼を述べておく。

「……その代わりと言う訳ではないが、君と、君の助けた人物を管理局で保護しよう」

私は管理局員の使命に基づいてそう発言した。

だが、

「……フフッ……保護……ね」

その子供は感情の篭っていない乾いた笑いを漏らす。

私がそれを怪訝に思っていると、

「2つ、教えておいてやる」

突如そう言ってきた。

「先ず1つ。 俺もアイツも、管理局を全く信用していない」

その子供は、迷い無くそう言う。

「「「「「なっ!?」」」」」

その発言に驚愕する私達。

「そして2つ目。 なにより、アイツを拉致し、この研究所に捕らえるよう命じたのは他でもない! 管理局の最高評議会だ!」

続けて発言した言葉に、私達は声を失う。

「信じるかどうかはそっちの勝手だ。 少なくとも俺達は、管理局を信じるつもりも無ければ、保護なんて真っ平御免だ」

その子供は、キッパリとそう言った。

私が思うに、嘘をついている様子はない。

と、そのとき、

『……こちら、Bチーム! 現在、侵入者迎撃システムと思われるロボットと交戦中! 状況は不利! 応援を!』

別行動のナカジマから応援要請の通信が入る。

が、余裕が無いのか、すぐに通信が途絶する。

私は槍を握る。

「行くのか?」

その子供が問いかけてくる。

「部下を見捨てるわけにはいかんからな」

「その腕でか?」

その言葉通り、私の右腕からは、血が流れ続けている。

まともに使う事は出来ないだろう。

「それでも、仲間を裏切る事はできん」

私は、自分の思いを口にした。

すると、

「ふうぅ………」

彼は、大きなため息を吐き、蒼い狼を思わせる右腕を横に向けると、巨大な砲身が飛び出す。

そして、

「貫け、ガルルキャノン!」

その砲身から、凄まじい魔力を秘めた圧縮魔力弾が放たれた。

――ドゴゴゴゴォォォォォォン!!

その魔力弾は、壁を一直線に撃ち抜いていく。

すると、彼はその穴に飛び込んだ。





【Side Out】






【Side クイント】



隊長への応援要請をした後、私とメガーヌは機械人形の大軍に必死で抵抗していた。

正直、数が多すぎる。

でも、ここで死ぬわけには行かない。

愛する夫と娘達が待っているから。

私はその想いを胸に、拳を振るう。

「はぁあああああああっ!!」

リボルバーナックルで、また1体を破壊する。

でも、次から次へとキリがない。

既に囲まれているので、撤退も不可能。

隊長達が来るまで持ちこたえられるかどうか………

そう思っていた時、

――ドゴォォォォォォォン!!

突如後方の壁が爆発し、多くの機械人形を巻き込んだ。

「何っ!?」

メガーヌが驚愕した顔で叫ぶ。

私も其方に気が向いてしまった。

でも、機械人形たちはそんな事お構い無しに襲い掛かってくる。

私が気付いた時には、既に鎌状の武器が振り上げられていた。

「しまっ………」

私が、声を上げようとするのとほぼ同時に、鎌が振り下ろされる。

ギンガ………スバル………あなた………

その瞬間思い浮かぶのは、やはり愛する家族。

私は死を覚悟した。

でも、

――キィン!

その瞬間は訪れなかった。

気付けば、私に向かって振り下ろされた鎌ごと、目の前の機械人形は横一文字に両断されていた。

「えっ………?」

私は思わず呆けた声を漏らす。

目の前には、左腕の竜の頭のような手甲に大剣を装備し、更には虹色の魔力光を纏った子供の姿。

その姿は、正に騎士と言うに相応しい。

「……怪我はないか?」

「は、はい………」

その子供の問いかけに、私は思わず返してしまう。

「クイント!」

メガーヌが私を心配して駆け寄ってくる。

「あの……貴方は……?」

その子供に気付いたメガーヌが問いかける。

でも、

――ガシャ

その足音に、私とメガーヌは反射的に背中合わせになり構える。

私達の周りには、未だに数え切れない数の機械人形が存在していた。

「くっ!」

思わず声を漏らす私。

すると、

「2人とも、巻き込まれたくなければ動くな」

「「えっ?」」

突如聞こえたその呟きに私とメガーヌは思わず其方に顔を向けてしまう。

そこには、大剣が左手の竜の口に収納され、両腕を掲げる子供の姿。

しかも、左手の竜の手甲には灼熱の炎を、右手の狼のような手甲には凄まじい冷気を纏わせている。

そして、

「ダブルッ!」

その掛け声と共に右腕を床に打ち込む。

その瞬間、無数の氷柱が床から飛び出し、メガーヌが注意していた側の通路の機械人形たちが一瞬にして串刺し、もしくは氷漬けになる。

「なっ!?」

メガーヌが驚愕の声を上げた。

更に、

「トレントォッ!!」

灼熱の炎を纏った左手を続けて床に打ち込んだ。

それと同時に、床から炎が壁のように吹き出し、私が注意していた側の通路の機械人形達を一瞬にして破壊……いえ、蒸発させた。

「嘘………」

私は思わず呆けた声を漏らす。

桁違いの威力に驚愕する私達。

その時、

「ナカジマ! アルビーノ!」

壁に開いた穴から、隊長達が姿を現す。

「「隊長!」」

私とメガーヌは同時に声を上げた。

「2人とも、無事か?」

「はい!」

「この子のお陰で」

隊長の言葉に、私達は答える。

すると、隊長はその子の方を向く。

「……ありがとう。 君のお陰で大切な部下を失わずに済んだ…………だが、聞かせてくれ。 君は管理局を嫌っているのだろう? 何故私達を助けてくれたんだ?」

管理局を嫌っているという言葉に、私は内心驚いたが、

「確かに、管理局員が俺の知らないところでどうなろうと俺は知ったこっちゃない。 けど、俺の手の届く範囲であんた等を見捨てたら、気分が悪い。 それだけだ」

その子供はそう言うと、右手の狼の口から巨大な砲身が飛び出し、その右腕を上に向ける。

――ドゴォォォン!!

その砲身から、強力な魔力弾が放たれ、天井に外まで続く穴を開けた。

すると、

「今から5分後に、この研究所を跡形も無く破壊する。 巻き込まれたくなければ、早く逃げるんだな」

そう言い残して、その子供は天井の穴から外へ飛び出していってしまう。

「隊長、どうしますか?」

私は隊長へ問いかける。

「………恐らく、あの子供は本気だろう…………仕方あるまい。 全員、撤退する!」

「「「「「「「了解!」」」」」」」




【Side Out】







【Side ゼスト】





あの後、すぐさま脱出し、研究所が見える小高い丘の上に私達はいた。

あれから、そろそろ5分。

すると、研究所の上空に、虹色の光が見える。

確認するまでも無く、あの子なんだろう。

私達は、遠目にその様子を窺っていた。

その子は、右手の巨大な砲身を眼下の研究所に向ける。

そして、その砲身から一発の魔力弾を放った。

その魔力弾は研究所に向かって一直線に突き進む。

そして、その魔力弾が研究所に着弾した瞬間、

――ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォン!!!

一瞬にして爆発が研究所を覆い尽くした。

衝撃波が、私達がいる丘の上にまで襲い掛かる。

「「「クッ!」」」

私達は、障壁を張ってその衝撃波に耐える。

そして、その衝撃を耐え切り、研究所があった場所を確認した瞬間、

「ッ!?」

私は絶句した。

そこには、研究所など跡形も無く、ただ巨大なクレーターが存在していただけであった。

私は、慌ててこの光景を作り出したであろう少年に目を向けるが、すでにそこに彼の姿は無かった。





【Side Out】





俺は研究所を消滅させた後、スカリエッティ達との合流地点に向かった。

オメガフォームとなったのは、あの姿なら普段の俺とは結び付けられないと思ったからだ。

リンディさん達も、聖王の魔力光が発現した部分は報告してないって話だし。

瞳の色も違うから、よっぽどの事ではバレない筈。

合流地点に着くと、そこには既にスカリエッティ達がいた。

「全員無事か?」

俺はとりあえずそう聞く。

だが、

「フフフ……素晴らしいよユウ君。 まさか聖王の血筋だったとは!」

スカリエッティは興奮した様子でそう言う。

そんなスカリエッティとはうって変わって、ナンバーズたちは唖然としていた。

「ま、まさかあれほどだったとは………」

チンクが呆然と呟く。

「クッ! 私達との模擬戦は、半分以下の実力であれほど圧倒されていたのか!」

そう悔しそうな声を上げるのはトーレ。

「参っちゃうわねぇ……」

そう愚痴るクアットロ。

「凄かったわね」

そういうのはドゥーエ。

「ドクター、落ち着いてください」

我関せずでスカリエッティを落ち着かせようとしているウーノ。

「まあ、とりあえず俺はこれで帰るからな」

俺がそう言うと、

「「ッ!?」」

明らかに反応するのが約2名。

おい、まさか本気でフラグ立ってるんじゃないだろうな?

すると、スカリエッティがニヤニヤして、

「そうだ、ユウ君。 私達も、一度君に付いて行っていいかね」

そんな事を言ってきた。

「何でだよ!?」

俺は思わず突っ込む。

「いや、最高評議会の命令とはいえ、君を拉致したのは私達なんだ。 せめて君の家族に謝罪をしたくてね」

「下手すりゃ殺されるぞ。 俺も近接戦闘に限ってだが、士郎さん……俺の保護者に勝てるとは思えないからな」

俺はそう言うが、

「何、心配ないだろう。 君の話からすれば、誠意を見せればいきなり殺される事はあるまい」

スカリエッティは、あっけらかんとそう言う。

「俺もなるべく止めるようにはするが、保障は出来ないぞ」

「かまわないよ」

スカリエッティがそう言うので、俺はやれやれと思いながらも了承した。

しかし、スカリエッティの真の狙いが別にあり、そのせいで俺の気苦労が増える事になるとは、この時の俺は思ってもみなかったのだった。







あとがき


第三十五話の完成。

さて、StSキャラ第2弾、ゼスト隊の方々でした。

ご都合主義の如く生き残りました。

本当なら高町家まで書こうと思ったけど、思った以上に長くなった為、ここで区切りました。

なんか、当初の予定がズルズルと長くなっていってる………

StSに入るまで後10話ぐらいかかりそうな気がする。

というか、StSに入るのか?という疑問が多いですが、それは次回で分かると思います。

今年は、生きる意味で始まって生きる意味で終わります。

では皆様、良いお年を。




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