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No.15302の一覧
[0] 【完結】リリカルなのは ~生きる意味~(現実→リリカル オリ主転生 最強 デジモンネタ)[友](2015/01/12 02:39)
[1] プロローグ[友](2010/01/04 15:51)
[2] 第一話[友](2010/01/04 15:52)
[3] 第二話[友](2010/01/04 15:55)
[4] 第三話[友](2010/01/05 00:19)
[5] 第四話[友](2010/01/17 13:53)
[6] 第五話[友](2010/01/17 14:31)
[7] 第六話[友](2010/01/24 12:46)
[8] 第七話[友](2010/01/31 15:55)
[9] 第八話[友](2010/02/07 10:27)
[10] 第九話[友](2010/02/14 15:40)
[11] 第十話[友](2010/02/21 11:01)
[12] 第十一話[友](2010/04/04 09:45)
[13] 第十二話[友](2010/04/04 09:46)
[14] 第十三話[友](2011/05/03 21:31)
[15] 第十四話[友](2010/03/28 07:45)
[16] 第十五話(前編)[友](2010/04/04 09:48)
[17] 第十五話(後編)[友](2010/04/04 09:49)
[18] 第十六話[友](2010/04/04 09:51)
[19] 第十七話[友](2010/04/18 07:24)
[20] 第十八話[友](2010/04/25 14:47)
[21] 第十九話[友](2010/05/02 21:59)
[22] 第二十話[友](2010/05/09 07:31)
[23] 第二十一話[友](2010/05/16 15:36)
[24] 第二十二話[友](2010/06/06 15:41)
[25] 第二十三話[友](2010/05/30 09:31)
[26] 第二十四話(前編)[友](2010/06/06 15:38)
[27] 第二十四話(後編)[友](2010/06/06 15:39)
[28] 第二十五話[友](2010/06/06 15:36)
[29] 第二十六話 (2013年11月14日 改訂)[友](2013/11/14 22:27)
[30] 第二十七話[友](2010/06/27 17:44)
[31] 第二十八話[友](2010/08/17 21:11)
[32] 第二十九話[友](2010/08/17 21:11)
[33] 第三十話[友](2010/09/19 16:35)
[34] 第三十一話(前編)[友](2010/09/19 16:30)
[35] 第三十一話(後編)[友](2010/09/19 16:34)
[36] 第三十二話[友](2010/11/07 14:58)
[37] 第三十三話[友](2010/12/05 15:37)
[38] 第三十四話[友](2010/12/05 15:36)
[39] 第三十五話[友](2011/01/16 17:21)
[40] 第三十六話[友](2011/02/06 15:02)
[41] 第三十七話[友](2011/02/06 15:00)
[42] 第三十八話[友](2011/03/13 18:58)
[43] 第三十九話[友](2011/03/13 18:56)
[44] 第四十話[友](2011/03/27 15:55)
[45] 第四十一話[友](2011/04/10 20:23)
[46] 第四十二話[友](2011/04/24 16:56)
[47] 第四十三話[友](2011/05/03 21:30)
[48] 第四十四話[友](2011/05/15 14:37)
[49] 第四十五話[友](2011/05/29 20:37)
[50] 第四十六話[友](2011/06/12 22:18)
[51] 第四十七話[友](2011/07/10 23:20)
[52] 第四十八話[友](2011/07/25 01:03)
[53] 第四十九話[友](2011/07/25 21:26)
[54] 第五十話[友](2011/09/03 21:46)
[55] 第五十一話[友](2011/10/01 16:20)
[56] 第五十二話[友](2011/10/01 16:27)
[57] 第五十三話[友](2011/10/01 16:19)
[58] 第五十四話[友](2011/10/30 20:17)
[59] 第五十五話[友](2011/11/27 20:35)
[60] 第五十六話[友](2013/04/21 19:03)
[61] 第五十七話[友](2013/04/21 19:00)
[62] 第五十八話[友](2013/04/21 18:54)
[63] 第五十九話[友](2013/08/22 00:00)
[64] 第六十話[友](2014/03/23 23:15)
[65] 第六十一話[友](2014/03/23 23:13)
[66] 第六十二話[友](2014/05/06 17:27)
[67] 第六十三話[友](2014/08/13 19:34)
[68] 第六十四話[友](2014/11/30 22:33)
[69] 第六十五話[友](2014/12/31 20:29)
[70] 最終話[友](2015/01/12 02:26)
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[15302] 第二十六話 (2013年11月14日 改訂)
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/11/14 22:27
第二十六話 生きる意味(後編)






父さんと母さんが居て、普通の生活をする。

それが、俺の望みだった。

でも・・・・・本当にそれでいいんだろうか?

俺を信じてくれたあいつ等を裏切る真似をして・・・・・・本当にいいんだろうか・・・・・?

家族での朝食が終わる。

「さて、ユウ」

父さんが俺に声をかけてきた。

「何?父さん」

「何時までここに居るつもりだ?」

「えっ?」

「お前には、待ってる人たちが居るんだろ?」

父さんの言葉に、俺は俯く。

「それは・・・・・・でも・・・・俺なんかが・・・・・・」

俺がそう言いかけた所で、

「おい、ユウ」

「えっ?」

父さんに呼ばれて、俺はそっちを向く。

その瞬間、

「バカ息子ォーーーッ!!」

「がっ!?」

思いっきりアッパーカットで吹っ飛ばされた。

「ウジウジ悩むな!それでもお前は私達の息子か!?」

父さんがそう怒鳴る。

「ユウ、耳を澄ませてみなさい」

母さんがそう言ってくる。

俺は目を閉じ、耳を澄ます。

「聞こえる筈よ。貴方を呼ぶ声が・・・・・・」

母さんが呟く。

『おら!ユウ!!はやてを泣かすのは許さねえからな!さっさと起きろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』

ヴィータ・・・・・

『ユウ!フェイトを泣かしたら絶対に許さないからね!だから、早く起きな!!』

アルフ・・・・・・

『ユウよ!お前は長き時の中でも稀に見る善人だ。この場で死なすわけにはいかん!!』

ザフィーラ・・・・・

『ユウよ・・・・・この気持ちがそういうものなのか私にはまだ分からない・・・・・・だが、私はお前に消えて欲しくは無い!シャマルも同じ気持ちだ!だから、目覚めろ!ユウ!!』

シグナム・・・・・・

シャマル・・・・・・

『ユウ・・・・・君には借りを作ってばっかりだ・・・・・・君のお陰で、父さんも戻ってきた・・・・・・・だから、少しぐらい、礼を言わせろ!!』

クロノ・・・・・・・

『ユウ!こんな美少女達を放っておいて、勝手にいなくなろうとしてんじゃないわよ!!起きなさい!』

アリサ・・・・・・・

『ユウ君!お願い、起きて!!』

すずか・・・・・・・

『ユウ!夢なんかで満足しないで!私達と一緒に生きようよ!』

アリシア・・・・・・

『ユウ君・・・・・・あなたにはアリシアとフェイトを貰ってもらうつもりなんですからね。こんな所でいなくなるのは許さないわ。起きなさい!!』

プレシアさん・・・・・

『ユウ・・・・・私はもう、あなた以外を主とするつもりはありませんよ!起きてください!』

リニス・・・・・・・・

『私達は、皆で幸せになるんや!だから、はよ起きるんや!!』

はやて・・・・・・・・

『ユウ・・・・大好きだから・・・・・一緒に居たいから・・・・お願い!起きて!ユウ!!』

フェイト・・・・・・・

『好きだよユウ君・・・・・だから、起きて!!』

なのは・・・・・・・・

それぞれの声が聞こえる。

そして最後に、

『ッ・・・・・起きろバカァァァァァァ!!!』

桜の泣きそうな声が聞こえた。

俺は目を開ける。

「皆・・・・・・なんで・・・・・?」

「ユウ・・・・・貴方は自分では他の人を幸せに出来ないと考えてるかもしれないけど、他の人の幸せは、貴方が決める事じゃないのよ」

母さんは俺に向かって微笑む。

「ユウ、貴方は、あの子達のことが嫌い?」

母さんの言葉に、俺は首を横に振る。

「そんなことはないよ・・・・・」

「じゃあ、あの子達の辛い顔を見ると如何思う?」

俺はなのは達の辛い顔を想像する。

「・・・・・・そんな顔には・・・・させたくない」

答えはすぐに出た。

「じゃあ、貴方が今ここで消えれば、彼女達がどう思うかは分かるわよね?」

「・・・・・・・うん」

「なら、如何すればいいかは、分かるわよね?」

「・・・・・・うん!」

答えは初めからわかってた。

この世界で、俺が生きる意味は、確かにあった。

けど、俺はその事を認める自信がなかっただけ。

「俺は・・・・・・・・・俺は!・・・・・・あいつらの笑顔の為に、俺は生きる!」

俺はその言葉を口にした。

「ハッハッハ!その意気だぞユウ!1人の女といわず、お前を想ってくれる女の子全員を幸せにしてやれ!」

父さんは俺を茶化すように言ってくる。

「まあ、冗談は置いといて、決心はついた様だな、ユウ」

父さんは真剣な顔で言ってくる。

「うん・・・・・俺・・・・・戻るよ・・・・・・・」

俺はそう呟く。

「それならユウ、あの子も助けてあげて」

母さんがそう言うと、いつの間にか周りの景色が消え、闇になっている。

そして、母さんの後ろには寂しそうにたたずむリインフォースの姿。

しかし、こちらには気付いていないようだった。

「あの子も幸せにしてあげないと可哀想よ。だからユウ」

母さんの言葉に俺は頷く。

「わかってるよ母さん」

俺は、リインフォースに歩み寄る。

「リインフォース・・・・・」

俺はリインフォースに呼びかける。

「お前は・・・・・」

「お前はこんな所で何やってるんだよ?」

俺は、リインフォースに尋ねる。

「・・・・・・・・・・」

リインフォースは無言。

「何ではやてと一緒に外に出なかったんだ?」

「無理だったからだ。私がこの場で転生機能を停止させなければ、闇の書の完全破壊は叶わない」

リインフォースの言葉に、

「嘘だな」

俺はハッキリと言った。

「防御プログラムは、元々夜天の魔導書の為のプログラム。だから、防御プログラムを夜天の魔導書から切り離した時点で、転生機能は無効化されているはずだ」

俺がそう言うと、

「・・・・・確かにその通りだ」

「ならば何故?」

「今回の主は・・・・・・私には眩しすぎる」

リインフォースは呟く。

「私は、罪深き、血塗られた魔導書だ。そんな私で、今回の主を汚したくは無い・・・・・・」

リインフォースは懺悔するように呟く。

「はやてはそんなこと気にしないと思うぞ」

俺がそう言うと、

「そうだろうな・・・・・主は優しい。こんな私でも、受け入れてくれるだろう・・・・・・」

「だったら・・・・・」

「しかし、だからこそ今の主を汚したくないのだ!」

リインフォースはそう言う。

「・・・・・お前は・・・・・それでいいのか?」

俺は大事な事を尋ねる。

「私は・・・・・主のために最善の方法を取っているだけです・・・・・」

「なら、何で泣いているんだ?」

リインフォースの瞳からは、大粒の涙が止め処なく流れている。

「・・・・・・・・確かに・・・私の罪が許されるのなら・・・・・・・・主と共に過ごしたかった!だが、私は今まで、幾つもの世界を滅ぼし、幾億もの命を奪ってきた。そんな私の罪を誰が許すことが出来ようか?」

リインフォースは泣きながらそう叫ぶ。

まるで、唯の女性のように。

だから俺は、

「確かに罪を許すことはできないかもしれない。 けど、一緒に背負っていくことはできる」

そう言ってやった。

「えっ?」

「お前が自分の罪を許すことができないから、はやての傍に居られないと言うのなら、お前の罪、俺にも半分背負わせてくれ!」

「な、何を………?」

「お前は、ここで消えていい奴じゃない。 お前にも、幸せになる権利がある………いや、お前こそ、誰よりも幸せにならなきゃいけないやつなんだ。 少なくとも、俺はお前には幸せになって欲しい」

「な、何故………?」

「確かにお前は今まで、『闇の書』として多くの世界を滅ぼしてきたのかもしれない。 けど、その度に心を痛め、誰よりも苦しんで来たのは、他ならぬお前だ」

「あ…………」

リインフォースは涙を零す。

「だから、一緒にここを出よう」

俺は手を差し出す。

「し、しかし………」

リインフォースはまだ渋っている。

「さっきも言っただろ? お前が自分の罪を許せないから傍に居られないと言うのなら、その罪を俺が半分背負ってやるって」

「…………お前の気持ちは正直嬉しい………だが、なんの関係もないお前に、私の罪を背負わせる訳にはいかない」

俺の言葉に、リインフォースはそう返してくる。

ったく、頭硬いんだから。

「そんな事は関係ない。 俺はお前を助けたい。 だからお前の罪を背負う。 それに、俺は少なからず古代ベルカの血を受け継いでいるしな」

「何………?」

リインフォースは怪訝な声を漏らす。

「見てろ」

そう言って、おれは右半身から青の魔力光を、左半身からオレンジの魔力光を発生させる。

そして、2つの魔力光が交わる身体の中心から、その2種類とは違った魔力光が発生する。

その魔力光が、俺の身体を包む。

この魔力光こそ、俺の本当の魔力光。

青やオレンジの魔力光は、その魔力光が劣化した色に過ぎない。

「な・・・・・・・」

その色を見て、リインフォースは驚愕している。

その色は『虹色』。

かつて、古代ベルカを治めていた『聖王』の証。

そして、今の俺の瞳の色も、右は青に、左は赤に変化しており、これも聖王の特徴である、オッドアイとなっている。

「そんなバカな・・・・・・聖王の血筋は、遥か昔に途絶えた筈・・・・・・」

リインフォースは、信じられないといった表情で呟く。

「確かに聖王の血筋は途絶えた。でも、それは虹色の魔力光を発現できる血筋が途絶えただけだ。虹色の魔力は発現できなくても、聖王の血を受け継いだ家系は、今も続いていた。それが、俺の父さんと母さんの家の血筋。そして、ブレイズとアイシクルはその2つの家系に代々伝わってきた、聖王の武具」

俺は最初、ブレイズとアイシクルは父さんと母さんの魔力に耐えられる特注品だと思っていた。

けど、修行の途中で俺の虹色の魔力が発現した時、真実をブレイズとアイシクルから聞いたのだ。

俺はリインフォースを見つめ、

「という訳だ。 まあ、聖王の血を受継でいるからって、王様になる気も威張り散らす気もないから、畏まったりはしないでくれ」

俺は一呼吸おいて、手を差し出し、

「一緒に皆の所へ帰ろう、リインフォース」

そう言った。

その言葉にリインフォースは涙を零し、

「…………はいっ」

しっかりと頷き、俺の手を取った。


俺は、父さんと母さんに向き直る。

「じゃあ、もう行くよ、父さん、母さん」

俺は少し名残惜しさを感じるが、父さんと母さんにそう言う。

「ええ・・・・ユウ、一つだけお願いがあるの」

母さんがそう言ってくる。

「何?母さん」

「貴方の立派になった姿を、私達に見せて」

母さんの言葉に、

「うん、分かったよ」

俺はハッキリと頷いた。

俺は、ブレイズとアイシクルを取り出す。

そして、

「ブレイズ、アイシクル、プロテクト解除!」

俺はデバイスに呼びかける。

『『Yes, Master.  Joint Progress.』』

ブレイズとアイシクルが浮かび上がり、2つのデバイスが1つとなる。

そこには、澄んだ水色の宝石が存在していた。

俺は、その宝石を握る。

「目覚めろ、真の聖王の武具・・・・・・オメガ!!」

その瞬間、そのデバイス、オメガが起動する。

俺は光に包まれる。

左腕にはオレンジを基調としたアーマーが装着され、手には竜の頭のような手甲が。

右腕には青を基調としたアーマーが装着され。狼の頭を模した手甲が装備される。

そして、中央の頭から足にかけては、白を基調とした鎧が装備され、背中には外側が白、内側が赤のマントがはためく。

オメガモンの姿を模したバリアジャケット。

「すごいぞユウ」

父さんが感心した声を漏らす。

俺は左腕を一度振る。

すると、左手の竜の手甲の口から、大剣が飛び出る。

俺は、その大剣を振り上げ、そこで一度止まる。

「・・・・・父さん・・・・・母さん・・・・・例え、夢でも幻でも・・・・・また会えて、嬉しかったよ・・・・・」

俺は振り返らずにそう言った。

俺は振り上げた大剣に魔力を込める。

「断ち切れっ!!グレイソーーーードッ!!」

俺は、渾身の力を込めて、大剣を振り下ろした。

その瞬間、空間は真っ二つになり、俺とリインフォースはこの空間から脱出した。






俺達が脱出した後、

「それにしても、ユウの奴、最後まで私達のことを夢の住人だと思ってたなぁ・・・・」

「まあいいじゃありませんか。少しでもユウが変わってくれたんですから」

「そうだな・・・・・・頑張れよ、ユウ」

「頑張ってね、ユウ」









【Side なのは】




「桜お姉ちゃん!!」

私は思わず叫んだ。

一発一発がディバインバスターに匹敵するほどの魔力弾が、嵐の如く桜お姉ちゃんに襲い掛かる。

お姉ちゃんは、集束砲の疲労からか、上手く動けない。

あれだけの魔力弾を受けたら桜お姉ちゃんでも唯ではすまない。

でも、その時だった。

もう駄目と思ったとき、突然小型化した怪物の1体が弾け飛び、そこから虹色の光が飛び出したの。

その虹色の光は、既に放たれていた魔力弾を追い越すスピードで桜お姉ちゃんのところに到達し、桜お姉ちゃんが虹色の光に包まれました。

そして、その虹色の光は、桜お姉ちゃんに向かって放たれた魔力弾を、全部何でもないように受け止めました。

「綺麗・・・・・」

私は思わず呟きます。

「なっ!? 虹色の魔力光!?」

シグナムさんが驚いた声を上げます。

見れば、ヴィータちゃん、シャマルさん、ザフィーラさんも驚愕の表情を浮かべています。

すると、徐々にその虹色の光が収まっていき、その光が消えると、桜お姉ちゃんの近くに銀色の髪で赤い瞳の女の人。

「リインフォース!」

はやてちゃんが叫びます。

どうやら、あの女の人が夜天の魔導書の管制人格らしいです。

リインフォースさんは、はやてちゃんに微笑みます。

そして、右手に青い狼の頭のような手甲、左手に竜の頭をおもわせるオレンジ色の手甲、更に頭から足までを白い鎧で覆った、右目が青、左目が赤い人が、虹色の魔力光を纏いながら、桜お姉ちゃんを守るように立ちはだかっていました。

その姿は、正に騎士というに相応しい姿をしています。

「ま、まさか・・・・・聖王!?」

ユーノ君が驚愕した声を漏らします。

「せい・・・・おう・・・・・?」

私は、何のことかと首を傾げます。

「ユウ!」

リニスさんが叫びました。

え?ユウ君?

ユウ君らしき騎士が私達の方に振り向きます。

「ユウ・・・・・よね・・・・・・?」

桜お姉ちゃんが、確認するように呟きます。

「ああ。悪かったな、心配かけて」

そう頷きました。

「全くよ!心配かけさせないで、このバカ!」

桜お姉ちゃんは、泣きながらも嬉しそうにそう叫びます。

ユウ君は、バリアジャケットで顔は見えませんが、微笑んだ気がしました。

すると、リンフォースさんがはやてちゃんに近付きます。

「申し訳ありませんでした。主」

リインフォースさんは、はやてちゃんに謝ります。

「それはええけど・・・・・・もう目の前から居なくならんといてや」

はやてちゃんは泣きそうな顔でそういいます。

「はい・・・・・主」

リインフォースさんはそう言って頷きました。

その時、

「すまない、折角の再会に水を差してしまうんだが・・・・」

クロノ君がそう切り出しました。

「ユウが出てきたのなら話は早い。このままアルカンシェルで「必要ない」えっ?」

クロノ君の言葉を、ユウ君が否定しました。

「ここは、俺が片を付ける!」

ユウ君はそう言ってマントを翻しながら、闇の書の闇の怪物達に向き直った。

その仕草が、まるで物語の中に出てくる騎士様のようで、私は見惚れます。

フェイトちゃんや、はやてちゃん達も、きっと同じです。

その瞬間、再び怪物たちが一斉砲撃を放ちました。

数え切れないぐらいの魔力弾が、ユウ君に迫ります。

「「「「「「「「「「ユウ(君)!!」」」」」」」」」」

皆が一斉に声を上げます。

でも、ユウ君は、

「これ以上・・・・・俺の目の前で誰も傷つけさせない!!」

そう叫んで左手を振り上げると、竜の頭のような手甲の口から、大きな剣が飛び出しました。

そして、左手を身体ごと大きく振りかぶり、

「うぉおおおおおおおおっ!!」

魔力弾の着弾の瞬間に、思いっきり薙ぎ払った。

驚く事に、その一振りで無数の魔力弾は全て弾き返されます。

「凄い!」

誰かが声を上げます。

跳ね返った魔力弾が怪物の群れの一部に降り注ぎ、吹き飛ばします。

次に、ユウ君は、右腕を軽く振りました。

すると、右手の狼の頭のような手甲の口から、巨大な砲身が飛び出します。

その巨大な砲身を、眼下の怪物達に向け、

「ガルルキャノン!!」

その砲身から、物凄い魔力が凝縮された魔力弾を放ちました。

その魔力弾は高速で地面に向かう。

予想される着弾点の周りから怪物たちが逃げるように散り散りになります。

でも、

――ドッゴォォォォォォォォォォォォォォン!!

そんなのは全く関係ありませんでした。

魔力弾は地面に着弾した瞬間、超爆発を起こし、怪物の群れを飲み込みます。

ユウ君は、また砲身を別の群れに向け、放つ。

――ドォン!

今度は着弾前に別の方へ向け、また放つ。

――ドォン!

更に別の方向へ向け、放ちます。

――ドォン!

合計4箇所に撃ち込まれた魔力弾は、全ての怪物を飲み込みました。

「凄い・・・・・・・」

私は自然と声を漏らします。

正に圧巻といえる物でした。

でも、ユウ君は、まだ気を抜いている様子はありません。

私も、目を凝らすと、爆煙の中に、まだ何かいるのが分かります。

煙が晴れると、そこには、また先程とは違う怪物が存在していました。

なんていうか、イモリの身体にクモの足をくっ付けた様な怪物です。

「・・・・・・アーマゲモン」

桜お姉ちゃんが、なにやら呟きましたが、私には何のことか分かりません。

「あれが・・・・・闇の書の闇のコアです」

リインフォースさんが呟きました。

すると、ユウ君のバリアジャケットが光に包まれ、水色の宝石になりました。

「ユ、ユウ君!?」

突然バリアジャケットを解除したユウ君に、私は驚いた声を上げます。

「さあ、最後の仕上げだ・・・・・・オメガよ、剣となれ」

『『Yes, Master.  Paladin Mode.』』

ユウ君の言葉にオメガと呼ばれたデバイスが応えると、水色の宝石が輝き、白い長剣へと姿を変える。

ユウ君は、その剣に手を伸ばし、両手でしっかりと握った瞬間、光に包まれ、白を基調として所々に金色の装飾が成されたバリアジャケットを纏い、背中には天使の翼を連想させるような純白の翼があった。

ユウ君はその剣を正眼に構え、怪物を見据える。

そして、一呼吸置き、次の瞬間、

「うぉおおおおおおおおおおおっ!!」

背中の翼を羽ばたかせ、一気に突撃しました。

ユウ君は一直線に怪物へと向かいます。

でも、その時、怪物が大きな口を開け、そこに凄い魔力を集めていました。

その魔力量は、簡単に見積もって、スターライトブレイカーの3倍以上。

それほどの魔力が凝縮された魔力弾が、怪物の口から放たれました。

「「「「「「「「「「ユウ(君)!!」」」」」」」」」」

皆が一斉に声を上げます。

でも、ユウ君は全く速度を落とすことなくその魔力弾と激突し・・・・・・・

あっさりと真っ二つにして、その魔力を四散させた。

その様子に私達は声を失います。

怪物は、同等の魔力弾を次々と放ちます。

ですが、それは全てユウ君に切り裂かれ、四散し、ユウ君の足止めにすらなっていませんでした。

「ユウ!!」

桜お姉ちゃんが叫びます。

「いっけぇーーーーーーーっ!!」

「オメガソーーーーーーード!!」













――ドスッ













桜お姉ちゃんの声に応えるように、ユウ君が剣を怪物の頭に突き刺しました。

怪物の大きさからすれば、ユウ君の刺した剣は、針で刺された程度に思えました。

でも、その一突きで怪物の動きは、ピタリと止まった。

ユウ君はゆっくりと剣を引き抜き、怪物に背を向けて、血振りをするように剣を振り、

『『Initialize.』』

デバイスの言葉と共に、怪物が眩い光を放つ。

その光に、思わず目を庇いました。

光が収まり、目を開けると、怪物の姿は消え、ユウ君の後ろには、直径20cmぐらいの光の球がありました。




【Side Out】







オメガの能力、『初期化イニシャライズ』。

対象を問答無用で初期化してしまう能力だが、これは本来のオメガの能力ではない。

オメガの本来の能力は『消滅デリート

対象を完全に消滅させてしまう能力だが、今の俺ではオメガを完全に使いこなせない為に、能力を劣化させた『初期化イニシャライズ』しか使えない。

だが、そのお陰で、今回はリインフォースを救うことが出来た。

「リインフォース!」

俺はリインフォースを呼ぶ。

リインフォースは、呼びかけに応えて、俺の傍まで飛んで来た。

俺は後ろの光の球を指し、

「初期化した防御プログラムだ。これを組み込めば、お前には問題が無くなるだろ?」

俺はそう言った。

「気付いていたのですか?このままでは私は消えなければいけなかったことに・・・・・・」

「まあな。でも、これがあればその必要も無いだろ?」

「・・・・・・はい」

リインフォースは、光の球に向き直り、両手を伸ばす。

そして、まるで抱くような仕草で光の球を吸収した。

俺は、その様子を見て、思わず笑みを零す。

「ユウ!」

桜を先頭に、皆が俺の方に飛んでくる。

俺はバリアジャケットを解除し、オメガもブレイズとアイシクルに分離した。

「うっ・・・・?」

と、その瞬間、身体全体から力が抜け、体勢が崩れる。

「ユウ!?」

咄嗟に桜に支えられる。

流石にオメガの使用はキツかったか・・・・・

オメガフォームで大暴れした上に、パラディンモードで『初期化イニシャライズ』まで発動させたんだ。

かなり身体に負担がかかったな。

魔力も枯渇寸前だし・・・・・・

「ちょ、大丈夫!?」

桜が心配そうに声をかけてくる。

「ああ・・・・魔力を使いすぎただけだ。心配ない」

「魔力の使いすぎって・・・・・まあ、あれだけの威力なら頷けない事も無いけど・・・・・・」

桜は驚いたように呟く。

すると、突然シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラが跪く仕草をする。

「聖王陛下!聖王陛下とは知らず、今までの数々の御無礼、真に申し訳ありません!」

シグナムがそう言った。

「ちょ、皆!?いきなり如何したん!?それに、聖王陛下って一体何のことや!?」

守護騎士の突然の行動に驚くはやて。

「あ~~・・・・つまりなはやて、簡単に言えば、俺は、シグナム達の国の王族の末裔なんだよ」

俺ははやてに分かりやすく説明する。

「「「「「「ええっ!?」」」」」」

なのは達が驚く。

「じゃ、じゃあユウ君って、もしかして王子様ってこと!?」

なのはが気付いたように声を上げる。

「お、王子様って・・・・・・まあ、そうなるのか?」

なのはの言葉に若干呆れながらも、一応肯定する。

けど、俺は王子様なんて柄じゃねえぞ。

やりたくも無いし。

「まあ、とりあえずシグナム達? 俺に対してそんなに畏まらないでくれ。俺は確かに聖王の血を継いでいるけど、王様なんかになる気は無いんだ。第一、むず痒い」

俺はシグナム達にそう言った。

「し、しかし!」

やっぱりお堅いシグナム達は受け入れ辛いか・・・・・

まあ、こういうときは、

「じゃあ、命令。俺とは今までどおり接する事。これは絶対命令ね」

俺はそう言う。

こう言われれば納得するしか無いだろう。

「わ、わかりました・・・・・あ、いや、わかった」

まあ、最初は不自然だが仕方ないだろう。

すると、クロノが近付いてきた。

「ユウ・・・・・」

その顔は辛そうだ。

「逮捕か?」

俺は何でもないように答える。

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」

皆が驚愕した表情を浮かべる。

「何でよ!?」

桜が叫ぶ。

「蒐集活動。闇の書の発動。その他諸々。挙げ句の果てにロストロギアの無断使用」

オメガは、確実にロストロギアに分類される代物だろう。

「立派な重犯罪者の仲間入りだな」

「ッ・・・・・」

クロノは僅かに声を漏らす。

「まあ、最初は俺が首謀者になって逮捕されようと思ってたんだが・・・・・」

「ユウ!何言って!?」

「そうするわけにはいかない事に気がついたんでね」

「え?」

俺は、桜やみんなを見て言う。

そして、クロノに向き直り、

「悪いけど、全力で抵抗させてもらうぞ」

俺は、そう言い放った。

「・・・・・・・」

クロノは辛そうに拳を握り締める。

その時、

「エイミィ、聞こえる」

リンディさんがアースラに通信を繋ぐ。

『はい、何でしょう?』

エイミィさんが応える。

「今回の戦闘記録で、ユウ君が映っている部分・・・・・・特に虹色の魔力光を出している所は絶対に削除しておいて」

「「「「「「「「「「『!?』」」」」」」」」」」

リンディさんの発言に、俺を含めて皆が驚く。

「今回の出来事は、ユウ君が合意の上で闇の書に蒐集され、はやてさんが自力で管制人格と共に闇の書内部より脱出。そして、皆さんの力で闇の書の闇を破壊した・・・・・・以上です」

「どうして・・・・・?」

俺は思わず呟く。

「ユウ君。今回のケースは、あなたが聖王であることに問題があるの」

「?」

リンディさんの言葉に、俺は首を傾げる。

「ミッドチルダには、時空管理局とは別に、聖王教会という組織があるわ。聖王教会は、その名の通り、『聖王』を崇め称える宗教組織。聖王教会は、時空管理局と関係が深く、次元世界にも大きな影響力を持つわ。故に、時空管理局が聖王であり、闇の書を救ったユウ君を逮捕したりしたら、聖王教会との関係は一気に悪くなる。しかも、ユウ君の両親が時空管理局の提督によって殺されたも同然である事は、既に公表されている。つまり、時空管理局は聖王の血縁者を2人も殺していたことになる。そうなれば、聖王教会の時空管理局に対する評価は地の底に落ち、最悪・・・・・・・」

「最悪、次元世界レベルの戦争にまで発展する危険性があるわね」

リンディさんの言葉を引き継いで、桜が言った。

「そういう事よ・・・・・・」

リンディさんは頷く。

「よろしいですね?グレアム提督」

リンディさんはグレアム提督に確認するように問いかける。

グレアム提督は深く頷き、

「ああ。私も協力しよう。迷惑をかけた、せめてもの償いだ」

そう言った。

と、そこでリンディさんは神妙な顔から、優しく微笑む表情に変わり、

「とまあ、こんな理由を付けてみたけど、実際の所、ユウ君を逮捕するなんてしたくないのよ。確かにユウ君のしたことは、管理局の法には引っ掛かるけど、結果的に殆ど被害はなし。それに・・・・・・」

リンディさんはクライドさんに寄り添い、

「クライドを・・・・・取り戻してくれた・・・・」

そう言った。

「リンディ・・・・・・」

クライドさんはリンディさんの名を呟きながら、リンディさんの肩を抱く。

・・・・・・・この2人も万年新婚夫婦なのか?

2人の世界に入ってしまった2人は置いといて、

「ユウ君!じゃあ、これからも一緒にいられるんだよね!?」

なのはが問いかけてくる。

「ああ。そうだな」

俺は頷いた。

そこで、俺は皆に確認しておかなければならない事があった。

「なあ、皆・・・・・」

俺は、みんなに問いかける。

「本当に・・・・・・俺でいいのか?」

俺はそう言った。

すると、俺の肩を支えていた桜が微笑み、

「バカね、自分がどれだけ思われてるか教えてあげるわ」

そう言って、桜は俺の頬に手を添え・・・・・

「んむっ?」

「「「「「「「「「「ああっ!!??」」」」」」」」」

皆の叫び声が聞こえた。

俺は、一瞬状況が理解出来なかった。

目の前には、桜の顔。

そして、唇に感じる柔らかい感触。

自分が桜にキスされてると気付いた瞬間、顔が一気に熱くなった。

しかも、桜の舌が俺の口の中に侵入し、俺の舌が絡めとられる。

余りに突然な事、しかも、前世も含めてのファーストキスという事実に、上手く思考が働かない。

しかもディープキス。

俺は頭が真っ白になった。

「ぷはっ」

暫くして、桜が離れる。

桜は頬を染めながら、

「前世も含めた、私の本当のファーストキスよ。ここまでされて分からないなんて、言わせないんだから!」

「あ・・・・・ああ」

そう言った桜の言葉に、俺はボーっとしながら頷く事しか出来なかった。

「さ・・・・ささ・・・・・・桜ぁーーーーーーーッ!!いきなり何してるんですかぁ!!!」

「にゃぁあああああああああああああああっ!!桜お姉ちゃん!!いきなりユウ君に何するのーーーーーーーっ!!!」

「桜ちゃぁぁぁぁん!!抜け駆けはズルイでぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

「桜ぁーーーッ!!いきなり抜け駆けしてんじゃないわよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

「桜ずるい!!私もキスするぅぅぅぅぅ!!!」

上から、リニス、なのは、はやて、アリサ、アリシアが大爆発。

因みに、他の方にはいきなりのディープキスは刺激が強すぎたらしい。

顔を真っ赤にしている。

そんな皆に、桜は、

「私は一番出遅れてるからね。遠慮はしないわよ。あと、ユウのファーストキスは私が貰ったからね」

意味深げな笑みを浮かべながらそう言った。

その瞬間、ギャーギャーと喚きながら皆が桜に詰め寄る。

それを見て、

「・・・・・悪い気は・・・・・しないな・・・・・」

俺は呟く。

俺は、そんな様子を眺めた後、何気なく空を見上げた。

空には、雲1つ無い青空が広がっている。

「ありがとう・・・・・父さん・・・・・母さん・・・・・」

青空の向こうで、父さんと母さんが微笑んだ気がした。

そして、

(幸せになりなさい、ユウ)

(私達は、いつでもお前を見守っているぞ)

空耳かもしれないけど、そんな声が聞こえる。

その声を聞いて、少しでも良いから、前向きになろうと、俺は思った。






あとがき

やりたい放題やった二十六話の完成です。

こんな感じになりました。

ユウの聖王設定。

チートに更に磨きがかかりました。

無茶すぎるか?

でも、リインフォースのフラグを立てるためにはこの位しないと・・・・・

まあ、どっかで見たことある流れでしょうが、オメガモンといったらこの流れしか思いつかない。

あと、オメガの能力と、初期化の流れは納得できたでしょうか?

そこが一番心配です。

それで今回、桜がデレました。

如何でしょう?

最後の纏まりが上手くいかなかったな・・・・・

とりあえずA`S編もこれにて終了。

空白期か・・・・・

オリジナルを作るのは苦手です・・・・・・

多分更新が止まるかも・・・・・・

その前に、リリカルフロンティアをそろそろ更新したいなぁ・・・・

とりあえず、次も頑張ります。




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