鉄が軋む音、鼓膜を破るかのような大きな爆発音、肉が避け骨が折れる音、怒号、悲鳴、断末魔――戦いによって生まれる音は遠ざかり、かすかにしか聞こえない。スバルとともに戦っていた局員たちはすでに抵抗する力を失い、冷たい地面にはいつくばっているのか、それとも、一縷の望みをつなぐために、すでに砦としての用を成していない隊舎まで退いたのか――出来れば後者であって欲しい、スバルは激しい戦闘のあとが残る屋外訓練場で、ノーヴェの攻撃を何とか耐えしのぎながら、そう考える。
濃密なAMFが充満しているため、念話もつながりにくくなっており、スバルにそれを確かめる術はない。いや、もし念話が通じたとしても、その余裕はなかっただろう。
スバルが持てるすべてのマルチタスクを使わなければ、為し得ることが出来ない、そんな難事をスバルはなそうとしていたのだから。
「……!」
無言で繰り出されるノーヴェの右の拳を、スバルは両腕を交差して受ける。
攻撃を受けきったところで反撃を叩き込もう、スバルはそう考えていた。スバルとノーヴェ同じタイプの戦闘機人であるが、パワーと頑強さはスバルのほうが上。その代わりスピードはノーヴェのほうに分がある、しかし、拳を振りぬき、体が伸びきった体勢ではそのスピードを活かすことはできない、ゆえにスバルの反撃は命中するはずだ。ガードはされるかもしれないが、気にすることはないだろう。ガードの上からでもダメージを与えられるだけのパワーをスバルは持っているのだから。
それは、スバルが少ない経験のすべてをかき集めて考えた戦闘プラン。何度か拳を交えたことによって把握しているノーヴェの能力まで踏まえた、彼女が現状の実力で行える最善のプランであった。
だが、それは最初の段階でつまずく。
「……え?」
ノーヴェの拳が、スバルの交差した両腕に叩き込まれる。しかし、襲ってくるはずの衝撃に歯を食いしばったスバルはあっけにとられた。
軽すぎる、その拳にはまるで腰が入っていない、体重が乗っていない。見せ掛けだけの、突き出されただけの攻撃。フェイント。
「しまっ……くぅ!」
そのことにスバルが気づくと同時に、彼女の左の太ももに思い衝撃が走る。ノーヴェは右の拳を突き出すとともに右の足を低く繰り出していた。
その蹴りは、万全の体勢で繰り出されたわけではないので、一撃必殺の威力を伴っているわけではない、が、まったく予想外の部位に攻撃を喰らえば、いくら頑強さに自信があるスバルとて耐えられるわけがなかった。
「……!」
痛みに顔をゆがめ、体勢が崩れたスバルに、ノーヴェの返しの左の拳が叩き込まれる。
万全の体勢で放たれた、腰が入り体重が乗った拳が、こめかみをえぐる。
耐え切れるはずがない、いくらスバルが戦闘機人として、頑強さを誇ろうとも、人である限り、人の形をとっている限り、急所は急所。そこに必殺の威力がこめられた拳が叩き込まれたのだ。
意識が刈り取られても、いや魂が刈り取られてしまってもおかしくはない。
だが、
「いった~~……」
スバルは、魂を、意識を刈り取られるどころか、倒れもしなかった。たたらを踏み、倒れそうな体を持ち直す。
「うん、やっぱり、強いよ……」
こめかみから血を流し、脳震盪でも起こしているのか、血の気がない真っ青な顔色。だが、そこに浮かんでいる表情は、ノーヴェに向けられたものは、間違いなく笑顔と呼ばれるものであった。
「……」
必殺の一撃を耐えられたことが予想外だったのか、それともまるで家族に向けられるような、暖かい笑顔にあっけに取られたのか、ノーヴェは追撃の手を止めて、じっとスバルを見つめている。
スバルは普段と変わらないような笑顔を浮かべているが、少し押すだけでも倒れてしまうのは誰が見ても明らか。ここで手を緩めずに攻撃し続ければ、簡単に勝負がつくというのに、ノーヴェはじっと動かない。それどころかまるでスバルを気遣っているかのような視線を送っている。
その様子を見て、やっぱり、とスバルは思う。
今回も、前回も、ノーヴェはスバルの呼びかけに何も反応を示さなかった。まるで何もかも忘れ去ったかのように、無言のまま拳を振るってきた。
言葉を交わしたのは一度だけ、触れ合っていたのは半日にも足らない短い時間。しかも、それさえも、もう何年も昔のことだ。普通に考えれば忘れていてもおかしくはない。それに、スカリエッティはプロジェクトFを自在に操る。だから記憶を消すことなんて造作もないことだろう。
だが、スバルは信じて疑わなかった。ノーヴェは自分のことを覚えていると。しっかりとした理由があるわけではない。だが確信していた。
交わした言葉は、十にも満たない単語に過ぎない。だが、幼かったスバルをガジェットから守ろうと戦ってくれたその背中からは、言葉以上にあたたかいものが感じられた。それはまるで母のようであり、スバルにはあれがその場限りのものだと考えることは到底出来なかった。
だから、スバルはいつの日かきっと来るであろう再会を信じて己を鍛え、今度は自分がノーヴェを助けてあげる番だと意気込んでいた。
ノーヴェがスバルの呼びかけに、何の反応を示さなくてもずっと言葉を、感情をぶつけ続けた。背中を押してくれた姉に答えるために、諦めるわけにもいかない。もう一度、ちゃんと友達として言葉を交わすそのために全力を尽くす、試せることは何でも試す。言葉が届かなければ、眼差しを、目を背けられれば、体をぶつけてスバルの体に篭っている熱を伝えよう。
そのすべてはまだにノーヴェに届いていない。ノーヴェはいまだに一言も口にしていない。だが、そのすべては無駄でなかったのだ。スバルは今の一連のやり取りで確信する。
ノーヴェはスバルのことを覚えている。すべてをというわけではないのかもしれない。だけど、一番大事なものを忘れてしまったわけではない。
「えへへへ」
スバルの口から場違いな笑い声が漏れる。あまりの嬉しさから抑えることが出来なかったのだ。
ノーヴェは、敵対している今もスバルのことを気遣っている、案じている。疎ゆでなければ今の一連の攻防は説明が出来ない。ノーヴェはスバルに余計なダメージを与えないように、意識を刈り取ることだけを考えている、スバルはそう考えた。
まったく無防備になったあの瞬間、戦闘機人の力であれば、バリアジャケットの上から頭蓋を砕き、命を奪うことはたやすかったはず。だが、ノーヴェの行った攻撃は、粉砕するための攻撃ではなく、あくまで脳を揺らすための、意識を刈り取るためだけのものであった。
スバルは遠のきそうになる意識の中でそれをはっきりと感じ取り、そして湧き上がってきた歓喜の感情により意識をつなぎとめることが出来た。
もしかしたら、オリジナルと呼ばれる戦闘機人であるスバルを捕獲するように命じられているのかもしれないが、そうだとしても、ノーヴェの攻撃はスバルを気遣いすぎている。
戦闘機人はある程度のダメージならばパーツさえ変えればすぐ直るのに、ノーヴェはそれさえもさせないように攻撃しているとしか考えられなかった。それはまるでスバルに訓練をつけてくれる母のようだとスバルには思えた。
「……」
ノーヴェは笑っているスバルを無表情のまま見つめている。スバルはノーヴェと視線を合わせ瞳を覗き込んでみるが、やはりそこにも何もない。きっと、感情を外に出す、ことを禁じられているのだろう、そんな風に思えた。
もしかしたら、高町さんに付きまとっているクアットロとか言う戦闘機人の仕業かもしれないと、スバルは思った。うわさを聞く限り、あの戦闘機人は人を、感情というものを馬鹿にしたような感じがするのだ。クアットロなら、ノーヴェから感情を奪い取るとかそう言うひどいこともしそうだ。
なら、とスバルは考える。
そのクアットロがかけた呪縛さえとけば、昔のノーヴェに戻ってくれるのではないだろうかと。スバルは、そのためにどうすれば言いか考えようとして、すぐにやめる。どうせ、スバルの頭でどうにかなるような簡単なことではないだろう。その手のことは、自分たちを診てくれているマリーに任せよう。
だから、とスバルは笑顔のまま拳を構える。ノーヴェをマリーの下に連れて行く。それも出来るだけダメージを与えないようにして。
「いくよ、ノーヴェちゃん! 待っていてね!」
ローラブーツの車輪が地面を激しく噛み、スバルの体をノーヴェのもとに一瞬で運ぶ。
今、互いを傷つけないように気遣うまるで模擬戦のような、けれども真剣な戦いが幕を上げた。
魔法少女リリカルなのは Verbleib der Gefühle
第二十五話 『Ragnarøk 』
決意が、秘められた想いの大きさが、そのまま結果につながるのなら、どんなに世界はすばらしかっただろう。
スバルの抱いている想いは確かに無駄ではなかった、届いていた。だがそれだけだ。ノーヴェを救うためには、まず打ち倒さなければならない。それも出来るだけ無傷で。
スバルはそれがどれだけ困難なことか思い知らされていた。スバルとノーヴェは戦闘機人としてはパワータイプとスピードタイプという違いはあれど、その性能はほとんど互角といえるものであったが、二人の間には歴然たる差が存在していた。
「ぅ……」
腹部を殴打されたスバルは歯を食いしばって、こみ上げてくるものに耐える。
ノーヴェは意識を刈り取ることが難しいと判断したのか、スバルの体力を奪う戦法に切り替えた。もしかしたら、これ以上頭部にダメージを与えるのは思わしくないと考えたのかもしれない。スタミナを奪い身動きを取れなくなったところを捕縛するつもりなのだろう。
戦闘機人であるスバルの体力は無尽蔵であるといっていい。通常ならば、そういった攻撃をされても十分に耐え切ることが出来るだろう。
だが、相手も戦闘機人、そしてすべての構造を知り尽くしているスカリエッティの知識を得ているのか、その攻撃はあまりにも的確すぎた。
一撃一撃がスバルのスタミナを確実に奪っていく。
スバルとて、どこを攻撃されたらいけないかということは身にしみて分かっている。母や姉とつんだ訓練は決して無意味にやっていたわけではないのだから。
しかし、分かっていれば防げるというものではない。分かっていても防げない、いや、分かっているからこそ防げない、そんなスバルの知識を逆手に取るかのような攻撃をノーヴェは繰り出していた。
右と思えば左、左と思えば右、また右かと思えば下。変幻自在の攻撃をノーヴェは繰り出してくる。シューティングアーツはその一撃の威力に目を奪われがちな格闘技だが、実際には、その一撃を叩き込むために相手を崩す小技が豊富な格闘技である。そのことをスバルはあらためて思い知らされていた。
シューティングアーツという同じ技を使っているからこそはっきりと出てくる圧倒的なまでの、まるで大人と赤子とも言えるような、技術の、経験の差。
スバルにはノーヴェの攻撃を読むことが出来ず、スバルの攻撃は簡単にノーヴェに防がれる。戦闘機人としての稼動暦はスバルのほうが長い、訓練もノーヴェと出会ってからすぐ始めたのだから、ここまで差が出るのはどう考えてもおかしい。だが、確かにそれは二人を大きく分け隔てていた。
ノーヴェはゆっくりとだが、確実にスバルのスタミナを奪っていく。
スバルがまだ立っていられるのは、その頑強さと、ノーヴェの気遣いのおかげに過ぎない。そしてそれを踏まえてももはや時間の問題であるといえた。
これを覆す手段は、未熟なスバルのシューティングアーツにはない。スバルはまだシューティングアーツのすべてを熟知しているわけではなく、どちらかといえば、花があり、未熟なものが目を奪われがちな一撃必殺に傾倒していた。それは確かにスバルの性能にあっており、類まれなる威力を宿していた。スバルの全力の一撃ならば、剛をよく柔を制することが出来るかもしれない。だが、今それを解き放つことは許されない。スバルの目的はノーヴェを破壊することではないのだから、ゆえに使えば絶対に有利になると分かっているISも使うことが出来ない。
「ははは……」
自分はなんて不器用なのだろうと、スバルは自嘲の笑みを浮かべる。想いをぶつけることも、拳を交えることも真正面から出しか出来ない。同じようにまっすぐな想いを抱いている兄はいろいろな手段を持ているが、自分はまるで暴走列車のようにまっすぐぶつかり、そして受け止めることしか知らない。兄のような戦い方にあこがれていろいろ教わり試してみたが、ほとんど身につかなかった。
「ノーヴェちゃん……」
こんな不器用な自分をノーヴェはどう思っているだろうか?
視線をノーヴェに向けるが、その瞳には変わらず感情は浮かんでおらず、冷たく、スバルを観察しているだけであった。だが、どうしてか分からないが、スバルにはノーヴェの思考が感じ取れた。
「本当に優しいよね……」
ノーヴェの構えが若干変わる。いや、戻った。いくら攻撃しても、すでにデータ上はスバルのスタミナは尽きていてもおかしくないはずなのに、スバルが倒れないので戦法を変えたのだろう。これ以上体にダメージを蓄積するよりは、危険ではあるが、脳を揺らして意識を刈り取ったほうがまだ安全と考えたのかもしれない。
なら、自分がやることはそれを受け止めることだけ、そうスバルは結論付ける。どうせ、かわそうとしても、防ごうとしても、技術の、経験の差がそれをさせてくれるはずがない。なら、素直に受けよう。
「うん、いいよ、来て……」
スバルは、まるで受け入れるかのように、両腕を開いてノーヴェを待ち受ける。その姿は両手にこめられた大きな魔力を除けば、まるで親しい友人に抱擁をかわそうとしているように思えただろう。
その狙いは誰が見ても明白だ、ノーヴェの攻撃を耐え切り、その両手にこめられた魔力で、ノーヴェを昏倒させようというのだろう。
確かに、そこにこめられた魔力は戦闘機人であるノーヴェの意識を奪えるほどの量があり、決まれば、スバルの望みどおり、ほとんど無傷でノーヴェを捉えることができるだろう。
だが、その前提が無謀すぎる。無防備にノーヴェの攻撃を受けて意識を保っていることなど出来るはずがない。いや、もしかしたら、スバルの強い想いは意識をつなぎとめることが出来るかもしれないが、立っていることは絶対に出来ない。戦闘機人といえど、脳を揺らされれば平衡感覚が失われる。通常の人よりは遥かに強い耐性を持っているが、揺らす相手が同じ戦闘機人となれば結局は同じだ。倒れてしまえば、相打ち狙いの反撃など出来るはずがない。
ノーヴェもそう言う結論に達したのか、その視線はスバルのあごに向けられている。あごへの一撃ならば脳を十分に揺らすことが出来、なおかつ、余計なダメージを与えることもない。
「……」
数瞬の沈黙の後、ノーヴェが地面を蹴りつけ、スバルの懐にもぐりこむ。そして右の拳を突き上げる。ボクシングなどでアッパーと呼ばれるその攻撃は脳を揺らすには最適な攻撃。
無防備に待ち構えていたスバルはノーヴェの攻撃を身動きせずに受け止める。
ノーヴェの拳はきれいにスバルのあごを捉え、脳を揺らす。
「ノー……ヴェ……ちゃん……」
立っていられるはずがない。意識を保っていることすら奇跡とも言える。
ゆっくりと後ろに仰向けに倒れこむスバル。
そして、なぜか、それを追うように、まるで引きずられるかのようにノーヴェも倒れこむ。
「よかった……ノーヴェちゃん優しいから絶対ここを攻撃してくると思った」
倒れてきたノーヴェをスバルはやさしく迎え入れる。
ノーヴェもそれがさも当然のように受け入れるように見えた。
だが、よく目を凝らしてみれば、スバルとノーヴェの間にうっすらと光の線が見え、それがノーヴェとスバルの体を惹き合わせるように巻きついているのが確認できただろう。
バインド。
兄の戦い方に、倒すことではなく捕らえることを目的としたその戦い方に、あこがれたスバルがねだって教えてもらった、そして身につくことがなかった魔法。
騎士型であるスバルは体外に魔力を放出することが苦手だったのだ。ましてや設置型のディレイドバインドなど、夢のまた夢だった。だが、スバルはどうしても諦め切れなかった。
そして思いついたのがこの方法。
自分にバインドを設置する。このことを話したら兄は呆れていたが、自分らしいと、褒めてもくれた。確かにその方法なら絶対に特定の一人なら捕まえることが出来るなと。
「いくよ、ちょっとびりっと来るけど我慢して!」
スバルはノーヴェをその魔力が篭った両腕で抱きしめる。
その魔力の衝撃はノーヴェだけでなく、抱き合っているスバルにも襲ってきているはずだが、気にしている様子はまったくない。
それどころか、その表情には苦痛どころか、やっと目的を達成できた喜びが感じられた。
「……うわ、やば」
安心したのか、スバルは少しの間気を失ってしまっていたようだ。
だが、それはほんの数秒、そんなに長い時間ではないだろう。
ノーヴェがその両腕の中に抱きしめられたままなのだから。
「……えへへへ」
スバルの表情が崩れる。恍惚とした笑み。
ぎゅっと、暖かい体を抱きしめる。
「でも……」
ずっと、こうしていたいと、スバルは思ったが、のんびりしている時間はない。少し休んだおかげか立つことが出来る、走ることが出来る、それならばいかなければならない。
迷惑をかけた、わがままを聞いてもらった。なら、今度は自分がそれを返す番なのだから。
「ノーヴェちゃん、後でいっぱいお話しようね」
ノーヴェを特性の捕縛錠で拘束しながら、あたりの様子を伺う。時折、ガジェットが飛んでいるが、このあたりで戦闘が行われている様子はない。戦闘の光が見える場所は三つ。隊舎をはさんで反対側にある二つと、ぼろぼろになった隊舎の中。反対にあるのは、兄と弟が戦っているのだろう。じゃあ、、一番激しく見える隊舎の中は誰が戦っているのか?
「お母さん……?」
念話も通じず、まったく状況が把握できないのに、スバルは、そう確信した。その確信がスバルを悩ませる。
どこに救援に行くべきか?
一番、戦闘が激しいのは、そして一番守らなければいけないのは隊舎であるが、このぼろぼろの体でそこに言ってどれほど役に立つのだろうか? それだったなら、まだ優勢に戦っているように見える兄か弟のもとに言ったほうが役に立てるのではないだろうか? しかし、そこまでいくには距離がある。外の戦いをおさめてから中の救援に行って間に合うのか。
スバルには判断がつかなかった。
そんな、スバルをさらに混乱させる出来事が起こる。
『敵も味方も関係ねぇ! これを聞いているやつは全員ここから退避しろ! 急げ!』
念話でもなく、通信でもない、隊舎のスピーカーの音量を全開にした父の怒号であった。
それとほとんど同時に、まるで地震のような衝撃をあたりが襲う。
「え、なに? 何が起こっているの?」
スバルが状況を確かめようと、辺りを見回すと、隊舎を、いや、この周辺全体を包み込む、光り輝く結界が目に入ったのだった。