たとえ次元断層ができたとしても、周囲に世界は存在しない。飲み込まれる世界がないのなら、どんな危険なことでもできる。
「プレシア、全ての準備は整った。あとは、待つだけだ」
「悪いわね、つきあわせて」
「俺のお節介だ。気にする必要はない」
玉座の間で、プレシアに治療をかけ続ける。同時に別の私がプレシアの躯、そして病を解析している。更に偽装攻撃要員ともう一人、仕上げ要員で玉座の間は固められている。動力炉でもう一人。これで5人の俺が戦闘体制に入っていることになる。
「何故、手伝おうと思ったのかしら?」
「未来を知っていた、そして力を持っていた義務感、だったのだろうな、最初は。今はもう判らん。知ってしまったからか、一度決めてしまったからか、同情なのか、怒りなのか……」
「……そう」
その表情からは何も読み取れない。色々なものがごっちゃで、その一つ一つを取り上げることなど不可能。
「いや……幸せに、プレシアとフェイト、いや、アリシアも。幸せでいてほしかった。いや、俺が知るみんなに、幸せであってほしかった」
「随分と傲慢ね……」
「一応、神だからな」
フェイトとアルフはのこのこと外を歩いていて管理局に捕まる。予定通りに。
フェイトの魔力は尽きかけているように偽装した。必然、その供給を受けているアルフもエンプティ。ナノマシンは本当に便利だ。
[[いいですか、尋問には『知らない、判らない、コムギコカナニカダ』と答えてください]]
《エイダの戯言は無視しろ。とりあえず、私が言うように答えるんだ》
《うん……》
《わかってるよ。アンタしか頼れる奴はいないんだ》
アジーンは何を考えてあのナノマシンを造ったのだろう。念話だと傍受されるから、体内通信ができるのは非常に嬉しいが。
しばらくして、クロノが取調室に入ってきた。
プレシアのこと、その目的のこと、フェイトの意思のこと、フェイトの正体のこと。
嫌になるくらい、根掘り葉掘り。仕事だから、治安組織だから仕方ないとしても、子供にさせるべき仕事でも、そして子供に訊くべきことでもない。もう少し育ってから、少なくとも、紳士と呼ばれるくらいになってから出直して来いとエルテは言うだろう。
その殆どが「知らない」という答えで返された。保険として催眠暗示で、今は記憶に封がしてある。素直なフェイトに、究極の知らないフリをさせる裏技だった。
フェイトが何も知らないことを知ったクロノは、最後に溜息を一つ、ルーデル機関アースラ支部となった独房にフェイトを連れてきた。
「……もう、何も言わない」
「賢明だな」
独房の入口が全て真っ白な壁。まさかと思って扉を開ければ、更に広くなった執務室。風呂・トイレ・キッチン・仮眠室付き。
「独房ではないが、拘留することはできる。さぁ、フェイト。面白い紅茶の飲み方があってな」
「まあ座れ」と二人に促し、私は真っ先にソファーに座る。
「出入り自由じゃないか」
「私が許すと思うか?」
「確かに。でも君は容疑者なんだ、信用はできない」
「容疑者、か。悪いことは一切していないがな」
「僕を撃墜しただろう! それに無登録の違法魔導師、管理外世界での魔法使用、それに」
「それは、貴様らの世界の法だろう? よそ者が突然来て、公開もしていない法、いや、あるのかすら定かではない上に全く別世界の法で、勝手に『貴様は犯罪者だ逮捕する』。おかしくはないか?」
「その言い逃れはできない。管理局を破壊すると脅したり、プレシア・テスタロッサのことを知っていた。管理局のことを知らないはずがない」
「たとえそうだったとしても、私はその法に従う義理はない。それに私を捕まえてどうするつもりかな?」
「裁判を受けて、そしてしかるべき罰を受けてもらう」
「どうやら、管理局崩壊スイッチを押す気満々のようだ」
「そんなあり得ないブラフで動くような組織じゃない」
「いずれ知るさ。たとえ私を拘束できたとしても、それが無意味だということに。そもそも、私を拘束できるとでも思っているのか?」
時を止め、クロノの眉間にデザートイーグルを突き付ける。無論、エイダのない私には時は止められない。アースラに潜んでいる別の私が止めた時の中で、私だけが自由に動ける。
手の獲物はマルイのガスガンだが、銃口の見えない少年には、どの非常にできのいいイミテーテッドの真贋を見分けることはできない。
「!!」
「名前からしたら、クロノの十八番な気がするがな。どれだけ強くても、人間は時の流れに逆らえん。最強のスタンド使いでもなければ」
「あ。アルフが言ってた、ザ・ワールド?」
今まで空気だったフェイトが、面白いほどにぽんこつなことを言う。
「スタープラチナでもいいんだが、私はどちらかというとDIO様の方が好きだ」
「私はジョータローの方が好き、かな」
私は物騒なものをテーブルに置き、フェイトと話し始める。今までハブっていた償いのように。
「質量兵器の不法所持だ!」
「違うだろう、クロノ。銃砲刀剣類所持等取締法違反だ。もっと法律を勉強したらどうだ。ほら、六法全書」
11年前から一切差し替えられていない加除式六法全書をクロノに差し出す。
「それに、これはオモチャだ」
6mmBB弾を込めていない状態でトリガーを引く。激しくブローバックして、スライドストップがかかった。
「病的、あるいは異常ともいえる管理局の質量兵器アレルギーはよく知っている。迂闊なことはしないさ」
「ねえガルディ、これって質量兵器?」
「地球の質量兵器を模したオモチャだ」
「まったく……ガルディ?」
「んっ……んっ……んぅ!? ゴホッ!」
紅茶を飲んでいたフェイトがむせた。
「どうした、フェイト?」
「辛い……」
「まあ、生姜紅茶だからな。ゆっくり飲んでみろ。砂糖を多めに入れるといい感じだぞ」
「うん……あ、おいしい?」
「何故疑問系なんだ」
「いつもガルディがいれてくれる紅茶とは全然違う味だったから」
「まあ、そうだな。紅茶に生姜なんて普通考え……るか。キノコ紅茶だったか、そんなものも存在したような気もするし」
今度リンディにでも飲ませてみようか。
「エルテ! ガルディとはどういうことだ?」
「エルテ・ガーデル・ルーデル。そういえば、フェイトにはそうしか言ってなかったな」
「そうなの?」
「エルテ・アーク・ルーデルにフェイトは会っている。同じ顔だから見分けがつかないだろうがな」
「ガーデル・ルーデル、それが、本当の君の名前か」
「私はエルテ・ルーデル。あえて言うなら、エルテ・オリジン・ルーデル、もしくはエルテ・アンサインド・ルーデル。あ、フェイト、紅茶ばかりでは飽きるだろう。ジンジャークッキーもあるぞ」
カップが空になると反射的に注いでしまう悪癖のおかげで、フェイトはさっきから紅茶ばかり飲んでいる。茶菓子を出すのを忘れていたせいなのだが。
「ジンジャークッキー?」
「生姜のクッキーだ。こっちはほとんど辛くない」
「そうなんだ……あ、ほんとだ」
「クロノも。毒など入ってない。全く、飲んで落ち着いたらどうだ?」
「君のせいだろ!」
「無粋な輩はお茶会の邪魔だ。出ていけ」
「ここがどこか知っているのか!」
「ルーデル機関アースラ支部」
「独房だ!」
「兼支部だがな。面影すらないが、最初に言っただろう、私が番人だと」
「だからそれが駄目だと言っている!」
「やれやれ。頭が固いな。サンダーヘッドかおまえは……リンディが呼んでいる。クロノ、行ってこい」
「何故判るんだ!」
『クロノ・ハラオウン執務官、リンディ提督がお呼びです』
エイミィの声が、艦内放送で流れる。クロノはよほど頭に来ていたのか、舌打ちを一つ。
「この件は保留だ! いいか、絶対許可なく出るな!」
と、トゲのついた肩をいからせて扉の向こうへ消えた。
「アルフの尋問が終わったらしい」
「うん、判ってる」
そういえば、リンクしていたか。
「母さん、大丈夫かな」
「回復と負荷軽減を常時かけている。そうすぐは死なん」
「そっか。なら、安心だ」
「アリシアも蘇生させる」
「……そう、なんだ」
「もしかして、『自分は要らない子』とか思ってないか?」
「!」
「それはプレシアに対する侮辱だ。アリシアを諦め、フェイトの未来のために殉ずる。これほど想われていて……何故そう思える?」
「そう……だね」
「おまえが止めてやれ、フェイト」
「うん、絶対に!」
「エルテをどうにかする方法はないか?」
「リミッタ付き手錠も出力だけで壊しちゃうんでしょ? 無理無理」
「何か目的があるのは判るんだが、その目的に対して全く動こうとしないのが不気味だ」
アースラのブリッジで、クロノとエイミィはエルテについて話していた。『本人』に聞かれているとは知らないまま。
「それにガルディ、いやガーデル……」
「なにそれ?」
「フェイトがエルテをそう呼んでいたんだ。エルテ・ガーデル・ルーデルというらしい。本人は否定していたけど」
「ガーデル? ちょっと調べてみるね」
「エルテ・アーク・ルーデルも調べてくれ。エルテ・ルーデルはたぶん、一人じゃない。拘束が無意味というからには、今独房にいるエルテはエルテの言うルーデル機関の末端構成員の可能性がある」
オリジンやアンサインドは『敢えて言うならば』とエルテは言っていた。原型や無印というからには、恐らくあのエルテがオリジナルだ。魔力的分身、レアスキル、あるいは人造魔導師。悪夢のような魔力資質を持つエルテ・ルーデルの集団、その一人が『あの』エルテだったとしたら。
この想像は、エルテが嘘を言わないという前提条件が存在する。しかし、クロノはその条件を疑うことはなかった。エルテは隠すことはあっても嘘は言わない。短いが今までの付き合いから、クロノは『エルテは嘘をつかない』と信じていた。フェイトが嘘をつけるとは思えなかったのも一因だ。
「これ……かな?」
「なんだそれは?」
日本語で大きく『ハンス・ウルリッヒ・ルーデル』という見出しが書かれた情報ページ。遅れて、ミッド語で訳されたページが現れる。
「管理局のデータベースにはなかったんだ。もしかして、と思ってね、地球の情報検索エンジンで調べてみたんだ。ルーデルとガーデルという単語の関連性から、多分これで合ってると思う」
「……ソ連人民最大の敵、スツーカの悪魔、アンサイクロペディアに嘘を言わせなかった男? 大丈夫なのか、この情報?」
「見た感じ、このページが一番詳しいみたい。ジョークサイトなんだけど、この人に関しては嘘を書くより事実だけの方が面白いみたいだね」
「……いや、これはジョークだろう? 戦績の数字がおかしい」
普通なら、嘘だと言える数字だ。そう、普通なら。
「と、思うでしょ? どの文献でも『最低』その数字なんだよ?」
「……『破壊神』か。エルテもそんなことを言って――――相棒ガーデルマン?」
「そう、ガーデルマン。さすがに『アーク』との関連性は見つからなかったけど、『ガーデル』の由来は多分、これだと思う」
「医者、そしてハンス・ウルリッヒ・ルーデルの不死身の相棒。それだけわかっても意味がないか……」
「だけどものすごいデタラメな人だねぇ~。30回撃墜されて重傷は5回だけ、しかも脚がなくなっても出撃って。それに付き合えるガーデルマンも凄いけど」
ちなみに、被撃墜は全て対空砲によるもの。戦闘機には一度も墜とされていない。
「管理局に欲しい人材だな」
「敵には絶対回したくないねぇ~」
彼らは知らない。既にその『欲しい人材』と接触していることを。その『欲しい人材』が後に『管理局の白い悪魔』と謳われることを。いや、既に『冥王』と言えるほどに強くなっていることを。
「収穫は無しか……」
「ねぇねぇ、案外これ、使えるかもよ?」
「地球の情報検索システム?」
それは、Google先生とまで敬われる検索システム。何かあれば『ググれ』と言われるほど、地球では一般的かつ最高の情報元である。
「エルテちゃんの言葉の中で、『ルフトヴァッフェ』って単語があったんだけど、どこかで聞いた覚えがないかな?」
「ここ数年でシェアを拡大したデバイスメーカーだ」
「ほら、これ」
開かれたページは『ドイツ空軍』に関するウィキペディアの記述。
「そういえば、エルテちゃんはドイツ系日本人とか言ってたよね?」
「ドイツ空軍……」
ルフトヴァッフェ印のデバイスは、『どれだけ酷い扱いをしても壊れず、どれだけ高出力の魔法にも耐えられ、どんな攻撃にも耐え、どんなことにも使える』と謳われ、しかしそれはルフトヴァッフェ社のキャッチコピーではなく、ユーザの評価なのだ。
「エルテちゃんのアヴェンジャー、GAUシリーズに似てない?」
「いや、ルフトヴァッフェ社の射撃系デバイスの殆どが、この世界の質量兵器そのままの形なんだ」
表示されているカタログには、そんなに詳しい者でなくとも一度は見たことのある銃火器だらけ。その隅には、アイゼンクロイツとLuftwaffeの文字。
「ADAシリーズ……他のシリーズは目的や形状に共通するものがあるけど、これだけ用途、や形に一貫性がない。インテリジェント、ストレージ、アームド、シューター、ベルカ、ミッド……他のどのシリーズの枠にも入らなかった『その他』のグループと普通は思うだろうが、待機状態、システムヴォイス、そして独特の設計概念がアヴェンジャーによく似ている。少なくとも、エルテ・ルーデルが関与しているのかただの偶然か、いずれ調べる必要がある」
「ミッドには地球出身の人もいるから、偶然かも」
「もし、エルテが言う『ルーデル機関』が実在して、それがルフトヴァッフェ社と関連があったとして……それを調べるのは本局に戻ってからになりそうだ。今問題なのは、エルテが何者で、何が目的で、どう行動しているかだ」
「『破壊神の器』で、『ある母子の幸せ』が目的で、どう行動しているかはわからないってのが現状だね」
「破壊神、このハンス・ルーデルという人物で間違いないな。血縁関係があるかはわからないが……」
「でも、なんで『器』なんだろうね? エルテちゃんの魔力だけで充分『破壊神』だけを名乗れると思うんだけど」
「そもそも、あんな魔力量は突然変異だとしてもあり得ない。人間のリンカーコアが保持できる魔力量じゃない」
「比較予測でアースラ動力炉の数百倍から数十万倍……あるいはそれ以上。非常識だよね」
「人造魔導師であることは間違いない。だとすると……」
「ガルディとかアークとかはオリジナルのエルテちゃんから造られた人造魔導師の名前かな?」
「だとしたら悪夢だ。エルテ・ルーデルの存在そのものが抑止力どころか世界を支配する力になりかね――――」
何の前触れもなかった。アラートが鳴り響く。
「次元震反応!」
「なんだと!?」
「フフフ……」
「何を見ているのかしら?」
「敵の慌てぶりを。エイダ」
「Ja」
次元震を、完全に制御された次元震を更に大規模にしていく。たとえ周囲に世界があったとしても、何らの影響すら与えない。
一度、本当にアルハザードがあるか確認するためにこっそり次元断層を作ったのだ。この躯の馬鹿スペックを思い知らされた。
「まったく、非常識ね……」
「同感だ」
この時点で世界の十や二十、軽く滅ぶ規模だ。
「なかなか優秀な敵ね、もう転移してきたわ……」
「俺の知る中で最高の戦力だ。これ以上遅かったらおかしい」
「フェイトが話したのかしら? まっすぐこっちに来るわ……」
「俺が教えることを許可した。どうせ結末は同じ、なら無駄な時間をかけるだけ無意味だ」
「そうね……」
玉座の間の扉が乱暴に開けられ、武装局員が雪崩込んでくる。
「プレシア・テスタロッサ! 管理外世界での魔法行使、ロストロギア強奪その他の疑いで逮捕する!」
アースラのブリッジは騒然となる。
「あれは……」
「フェイト……ちゃん?」
カプセルに保存された、フェイトによく似たその存在。正しくは、フェイトがその存在によく似ているのだが、彼女たちにそれを知る由はない。
『アリシアに! 触らないで!』
一瞬で保存室から吹き飛ばされ叩き出される局員。そして、何の予備動作もなく放たれる魔法。それはプレシアが得意とする雷系の魔法ではなく、エルテの最もよく使う魔法『ノスフェラト』によく似ていた。
局員は例外無くその紫の光に叩きのめされ、地を這う。
「まずい! 緊急転送!」
「やってる!」
モニタの向こうの惨状に、さらにプレシアが行動を起こす。
『邪魔よ、あなたたち』
紫の魔力球、それに魔力がつぎ込まれて、溜め込まれていく。
『消えな――――』
その掲げられた手が降り下される前に、どうにか転送は間に合い、局員の姿は消えた。
「医療班! 急いで!」
待機させていた医療班が応答するのを確認し、リンディはメインモニタに映し出される光景に眼をやる。そこには、カプセルに――――アリシアの遺体にすがりつくプレシアの姿が映し出されていた。
『あぁ、私のアリシア……』
「あれがアリシア……」
エイミィが呆然と呟く。そして、そこにいる誰もが、その存在に気づかなかった。
『もう、これで終わり。アリシアのいない、陰鬱な世界も……アリシアの代わりの、できそこないの人形を娘と扱うのも……』
「できそこないの、人形?」
『フェイト、あなたのことよ。せっかくアリシアの記憶をあげたのに、似ても似つかない人形にしかならなかった……アリシアの代わりに愛でる愛玩人形にすら』
「え?」
「え?」
「なんだと?」
その場にいるはずのない存在、フェイト・テスタロッサがそこにいた。ブリッジの入口の前に。エルテと手をつないで。
その顔には、驚きと、戸惑いと、絶望が見て取れる。エルテに真実を教えられてはいたが、さらに深い暗示で記憶を封じられていた。全ては、エルテの書いたシナリオの通りに。
『いいことを教えてあげる。私は、あなたを創り出してからずっと……』
「エイミィ! 通信切れ!」
クロノの判断は遅かった。
『大嫌いだったわ』
糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちるフェイトを、エルテは支え、背に負う。その眼に光は、ない。エルテのわずかに色の違う眼は闇色に淀み、フェイトの紅の眼は何も映していない。いや、エルテはフェイトをブリッジに連れてくる前からこうだった。
笑う、嘲うプレシアを無視して、エルテはブリッジから出ようとする。
「どこにいくのかしら?」
「医療班の仕事を増やしてくる。無意味だろうけど」
まだ、暗示は切らない。
計画の第二段階に移行する。
傀儡兵を時の庭園に配備、足止めを偽装する。やろうと思えば今すぐでもできるが、可能な限りプレシアの計画が失敗したと管理局に思わせないといけない。そう、ストーリーはギリギリで、観測者が見ていてハラハラする方が、当事者にとってはリアルに見える。
「では、行ってくる」
「無意味かもしれないけど、気をつけなさい」
「そのつもりだ。俺が育てた二人だ、足元を掬われかねん」
私が二人、中ボスとして彼等を適度に痛めつける。動力炉前と、玉座の間の前。適度に疲弊してもらう。
「エイダ」
『High maneuverability Armed Armor, Run』
ASP-177eと92式特殊装甲服を組み合わせたような形の、バリアジャケットとは別物の高機動武装装甲。以前なのはに見せた、XSP-180と92式のハイブリッドとは似て非なるものだ。背は180cm弱、髪の毛は黒く紅く染め上げ、レッドアイに隠されていない右の眼は、色素を失ったように虹彩が紅い。そして装甲に全く似合わない、背に存在する黒き翼、アルティミシア・ウィング。誰もこれを私だと認識できはしない。
「リミット、ランクS-」
『アヴェンジャーが維持できません』
「デザートイーグル」
『了解』
この手、両手に2kg程度の重みが追加される。右手の6inchハンドキャノン、左手の24inch。24inchは、ハンドガンの面影はあるものの、もはやライフルと言っていい。エイダの設計だ。
「ツェリザカの方がいい気がするが」
『50BMG用に改造したものなら』
「口径が小さくなったはずなのに戦車に喧嘩を売れる気がするのは何故だろう」
『形はリボルビングライフルです』
「長銃でマズルブレーキがついているんだろう?」
『更にバヨネットも付属しています』
「マズルブレーキついていて何故それがつけられる?」
『ピカティニーレールを応用してみました』
変態技術屋エイダ。エイダに教育を受けたアジーンも優秀だがどこか変だし、今後どうするべきか、悩ましい。
「さて、馬鹿をやっている時間はもうないか」
[[来ました]]
アースラからの転移反応。
《最終章、名付けるとしたらどうするかな?》
[[タイトルというものは、物語が終わってからつける方がいいらしいです]]
《じゃあ、グリュークリッヒエンデを見届けてからつけないと》
《あとがき》
長らくお待たせしました。
ダチの依頼でゲームのシナリオ書いたり別の作品書いたり試験あったり卒研発表あったりでなかなか書く暇がなく。
ちなみにグリュークリッヒ・エンデ(Glücklich ende)とはハッピーエンドという意味です。長らくドイツ語と離れていたせいで正しいかどうかは判りません。一応、Google翻訳で変換したらハッピーエンドとなったので大丈夫だとは思いますが。
タイトルは『彼女は暗中飛躍する、アンノウンはしない』という意味。イミフですな。
懐かしいラーメンズネタ。
アースラ支部はこれ以上大きくはなりません。
私が知っている装甲服はケルベロスやredEyesしかないので。ACでもいい気がしますが、私のテレビは画質が悪く詳細が見えないのです。
ちなみに、なのはに見せたのはXSP-180 Mk54パラディンと92式のハイブリッドで、今回はASP-177eスワッシュバックラーと92式のドッキングです。どちらもガスマスクとHMDで顔を隠しています。
バリアジャケットは戦闘に向いていないと思うのは私だけだろうか……
暗躍少女……その発想はなかったわ! と思いましたが、リリカルに相当する単語が思いつきませぬ。
デストロのままでいいか……他にいいのがある気がする!
A'sでは表舞台にでる予定なので、このままでいいかとか考えていたりしております。あくまで予定なので、今まで通り暗中飛躍するかも知れませんが。
今回で終わるはずが、だらだらと続いております。しかもそこまで長くない。
私は小学校の読書感想文を全て出さなかった偉業を成し遂げただけあって、文章を書くのがヘタクソです。最近になって日本語の文法を勉強しだした始末。ついでに言うと、工業大学なので『わかりやすい説明文』を書くことを必要とされるので心情描写とかはどうにも苦手です。
現在必死こいてop.ローズダストを読み直しています。福井晴敏は偉大です。かなり影響を受けています。小説に反映できるかは別として。
小説を勉強するには小説を読むのが一番です。
言い訳タイム終わり。
では、次回をお楽しみに。
あ、もしかしたら三月になる可能性をここに明記しておきます。