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No.10864の一覧
[0] 【完結】 私、高町なのは。●●歳 (リリカル 地球組魔改造)[軟膏](2009/11/24 01:33)
[1] 第二話[軟膏](2009/08/08 13:30)
[2] 第三話[軟膏](2009/08/10 16:34)
[3] 第四話[軟膏](2009/08/09 11:05)
[4] 第五話[軟膏](2009/08/10 09:28)
[5] 第六話[軟膏](2009/08/10 09:28)
[6] 第七話[軟膏](2009/08/10 16:53)
[7] 第八話[軟膏](2009/08/11 02:41)
[8] 第九話[軟膏](2009/08/11 14:37)
[9] 第十話[軟膏](2009/08/12 16:01)
[10] 第十一話[軟膏](2009/08/13 00:48)
[11] 第十二話[軟膏](2009/08/13 20:07)
[12] 第十三話[軟膏](2009/08/15 01:15)
[13] 第十四話[軟膏](2009/08/15 01:16)
[14] 第十五話[軟膏](2009/08/14 16:14)
[15] 第十六話[軟膏](2009/08/15 01:14)
[16] 第十七話[軟膏](2009/08/15 16:12)
[17] 第十八話[軟膏](2009/08/16 12:58)
[18] 第十九話[軟膏](2009/08/17 12:19)
[19] 第二十話[軟膏](2009/08/19 02:35)
[20] 第二十一話[軟膏](2009/08/17 18:53)
[21] 第二十二話[軟膏](2009/08/19 02:35)
[22] 第二十三話[軟膏](2009/08/19 02:34)
[23] 第二十四話[軟膏](2009/08/19 14:02)
[24] 第二十五話[軟膏](2009/08/20 11:40)
[25] 第二十六話[軟膏](2009/08/21 01:09)
[26] 第二十七話[軟膏](2009/08/21 16:16)
[27] 第二十八話[軟膏](2009/08/22 00:31)
[28] 第二十九話[軟膏](2009/08/22 20:24)
[29] 第三十話[軟膏](2009/08/23 18:47)
[30] 第三十一話[軟膏](2009/08/24 09:53)
[31] 第三十二話[軟膏](2009/08/24 18:44)
[32] 第三十三話[軟膏](2009/08/25 12:09)
[33] 第三十四話[軟膏](2009/08/25 16:42)
[34] 第三十五話[軟膏](2009/08/26 23:05)
[35] 第三十六話[軟膏](2009/08/26 23:45)
[36] 第三十七話[軟膏](2009/08/26 15:38)
[37] 第三十八話[軟膏](2009/08/26 23:02)
[38] 第三十九話[軟膏](2009/08/27 09:32)
[39] 第四十話[軟膏](2009/08/27 18:45)
[40] 第四十一話[軟膏](2009/08/28 14:21)
[41] 第四十二話[軟膏](2009/08/28 14:22)
[42] 第四十三話[軟膏](2009/08/28 18:44)
[43] 第四十四話[軟膏](2009/08/29 10:32)
[44] 第四十五話[軟膏](2009/08/29 14:48)
[45] 第四十六話[軟膏](2009/08/29 22:02)
[46] 第四十七話[軟膏](2009/08/30 18:30)
[47] 第四十八話[軟膏](2009/08/31 08:53)
[48] 第四十九話[軟膏](2009/09/01 06:08)
[49] 第五十話[軟膏](2009/09/01 23:30)
[50] 第五十一話[軟膏](2009/09/02 12:59)
[51] 第五十二話[軟膏](2009/09/03 14:39)
[52] 第五十三話[軟膏](2009/09/04 01:18)
[53] 第五十四話[軟膏](2009/09/04 15:56)
[54] 第五十五話[軟膏](2009/09/05 16:37)
[55] 第五十六話[軟膏](2009/09/06 21:49)
[56] 第五十七話[軟膏](2009/09/07 14:06)
[57] 第五十七話IF[軟膏](2009/09/07 17:30)
[58] 第五十八話[軟膏](2010/03/17 17:58)
[59] 第五十九話[軟膏](2009/09/09 00:00)
[60] 第六十話[軟膏](2009/09/09 12:05)
[61] 最終話[軟膏](2009/09/10 09:27)
[62] あとがき[軟膏](2009/09/10 10:21)
[63] ありえたかもしれない番外編[軟膏](2009/11/24 01:32)
[64] 設定集 高町なのは[軟膏](2009/09/13 23:32)
[65] 設定集 海鳴の人々[軟膏](2009/09/14 08:02)
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[10864] 第五十二話
Name: 軟膏◆05248410 ID:9b78a8eb 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/03 14:39




 母さん。

 私の母さん。

 いつも優しかった母さん。

 私の名前を優しく呼んでくれた、母さん。

 そんな母さんが、私は大好き。

 ほら、今もこうして私のために、綺麗なお花で冠を作ってくれるもの。

 綺麗な花冠を掲げて、私の名前を呼んでくれるもの。

「ね? とても奇麗でしょう? アリシア」

 え?

 アリシア?

 違うよ、母さん。

 私の名前は、フェイトだよ?

「さ、いらっしゃい、アリシア」

 母さんは近寄った私に、冠を頭に乗せてくれる。

「ほら、可愛いわ、アリシア」

 母さんが私に微笑んでくれる。

 私の口からも、今まで出した事が無いくらい、大きな笑い声が溢れる。

 ……。

 ……。

 ……。

 ……まあ、いいのかな。

 母さんは笑ってくれてるし、私も嬉しいから、それでいいや。

 私は、優しい母さんが大好きだから。






「はあああっ!」

 フェイトは真っ直ぐなのはに向けて飛ぶ。
 何よりも速く、直進して一撃当てればそれで終わる。
 しかし、なのはが掲げたレイジングハートが、とっさに張ったプロテクションに防がれた。
 それを見てとったフェイトは、なのはが張ったプロテクションを蹴って、空中で一回転してその場から離れる。

「バルディッシュ!」

『Blitz Action』

 フェイトの姿が一瞬掻き消える。
 姿を見失う程の速さで、フェイトはなのはの後ろに回り込む。
 死神の鎌でなのはの首を狩ろうとするが、またしても防がれる。

「くっ、また……!」

 フェイトが小さく舌打ちして、再び空中に飛んで距離をとる。
 それを見ていたなのはが、空にいるフェイトに話しかけた。

「フェイトちゃんってさ、良く後ろに回り込もうとするよね?
 正直だから、どこから来るか分かりやすいんだよね。
 それじゃあどんなに速くても、来る場所が分かれば私には防がれちゃうよ?」

『Divine Shooter』

 なのはの周りに五つの魔力弾が生じる。
 それが撃ち出され、フェイトに突き進む。
 フェイトはそれを避けたが、なのはに誘導された魔力弾はフェイトを追い続ける。
 フェイトは同じ魔力弾を放って相殺し、相殺出来なかったものは鎌で切り裂き消滅させる。
 しかし、五つの魔力弾を消滅したフェイトの目の前に、五つの魔力弾が待ち構えていた。
 慌ててブリッツアクションでその場を離れる。
 フェイトを囲むように待ち構えていた魔力弾は、それぞれがぶつかりあって消滅した。
 フェイトは地上にいるなのはに向けて、バルディッシュを向ける。

『Photon Lancer.Full auto fire』

 槍のような魔力弾が形成され、なのはに向かって飛来する。

「レイジングハート!」

『Round Shield』

 桜色の環状魔法陣がなのはの前に現れる。

「フル回転」

 なのはの言葉に従い、ラウンドシールドは扇風機のように残像を残しながら回転する。
 そこにフェイトのフォトンランサーが降り注ぐ。
 しかし、なのはの回転するラウンドシールドによって、方向を捻じ曲げられた光槍は辺りの地面に突き刺さった。
 一発も当てられなかったフェイトは、なのはを見ながら歯噛みする。

「強い……」

 最初に会った時はなら、既に決着は着いていただろう。
 なのははフェイトのスピードに付いてくる事は出来ず、防御する間もなくやられていたはずだ。
 だがなのはは、まだ立っていた。
 無傷のままで。
 そして見ていた。
 フェイトの動きの一挙一動を、その目で全てを見ていた。

(初めて会った時は、魔力がただ強いだけの人だったのに……。
 けど今はもう違う。とても強い。おまけに防御が固すぎる。
 攻撃はまだ一種類しか使っていないから分からないけど、あの魔力弾はとても重かったし)

 なのはの魔力弾は回転している。
 僅かにでも気を抜けば、回転する魔力弾に弾かれて、バルディッシュが手元から離れてしまう事も考えられるのだ。
 今まで見たことも無いほどの厄介な相手だ。
 何より、

「まだ一歩も動いていないなんて……!」

 なのははまだ空を飛んでいないのだ。
 だがこれは、なのはがフェイトを侮っているからではない。
 逆なのだ。なのはがフェイトの速さを警戒しているからとも考えられる。
 通常、陸戦よりも空戦の方が強いとされる。
 それは空の方が、陸で闘うよりも自由に動き回れるからだ。
 空中を移動する以外の魔法を、同時に行使出来るからという事もある。
 空中ならば遮蔽物などなく、避ける事も容易い。
 だから、空中に比べて逃げ場の少ない陸戦は、普通は空から狙い撃ちにされるだけなのだ。
 普通ならば。

 だが、なのはは普通じゃなかった。

 その堅牢な防御の前に、避ける事など不要。
 全てを受け止めた上で、相手を叩きのめす。
 なのはの戦闘スタイルはそういうものだ。
 しかし、なのはが人間である以上、死角となる部分は存在する。
 魔法の無い世界で育ったなのはにとって、普段意識しない方向からの攻撃は、何よりも怖い。
 それは普通はない真上からの攻撃であり、自らが踏みしめている地面よりも真下からの攻撃だ。
 だからこそ、なのはは空を飛ばないのだろう。
 自らは動かず、固定砲台として下から対空射撃をする。
 飛ばないからこそ、なのははフェイトの動きを目で追いかけられるのだ。

「でも……負けられない!」

 フェイトはジュエルシードを集めなければならないのだ。

「空中戦ならこちらが有利だし、飛ばないなら、飛ぶように仕向ければ良いんだ」

 集めて、そしてもう一度プレシアに笑ってもらうという目的があるから。

「バルディッシュ!」

『Photon Lancer Multishot』

 フェイトの周りに、複数のフォトンスフィアが生成される。

「また?」

 なのはがそれを見て眉をひそめる。
 攻撃が効かなかったのは、先程のフォトンランサー・フルオートファイアが散らされた事で証明している。
 だというのに、数の少ないマルチショットを選択したフェイトに、なのはは疑問を覚えた。
 だがフェイトはなのはの疑問には答えず、バルディッシュの先端をなのはの方へと向ける。

「レイジングハート」

『Round Shield』

 なのははまた同じようにラウンドシールドを出現させ、回転させる。
 それを見ても、フェイトは呪文を止めようとはしない。

「ファイア!」

 フェイトの掛け声と共に、フェイトの周りで待機していたフォトンスフィアが撃ち出される。
 それは再び、なのはのラウンドシールドに防がれると思われた。
 だがしかし、それはなのはの張るシールドでは無く、その手前の地面に着弾する。
 叩きつけられたフォトンスフィアは、轟音を上げて炸裂する。
 衝撃で地面を抉り、砂煙が撒き上がる。

「これはっ!?」

 なのはは視界を塞がれ動揺する。
 しかし、直ぐに思い直し、張ったままだったラウンドシールドを更に回転させる。
 グルグルと回転するシールドによって、なのはの周りの砂煙は吹き飛んでいく。
 だが遅かった。
 地面にへばり付く程に体勢を低くし、鎌を構えたフェイトが砂煙の中に潜んでいた。
 なのはがそれを視認すると同時に、フェイトは鎌でなのはの足を狩る。
 それがなのはの足に当たる直前、またしても桜色の壁が邪魔をする。
 だが――

「ブラストォッ!」

 フェイトがバルディッシュに付いたままの鎌を爆発させた。

「きゃああっ!」

 咄嗟に張った構成の荒いバリアでは防げず、なのはは上に吹き飛ばされる。
 そのままでは海に墜落するため、なのはは空中で飛行魔法を使い制止する。

「!? フェイトちゃんはっ!?」

 なのはが自分を吹き飛ばしたフェイトの姿を探すが、先程の場所には既にその姿はない。
 だが、なのはの耳に、フェイトの声が聞こえた。

「撃ち抜け、豪雷」

『master!』

「え?」

 なのはがレイジングハートの警告に従い、上を見上げる。
 そこには、なのはの頭上に金の環状魔法陣が設置されていた。

「サンダースマッシャー!」

『Thunder Smasher』

 なのはよりも上空にいたフェイトが、バルディッシュの刃をその環状魔法陣に叩きつける。
 その先には、なのはがいる。

「ああああああっ!!」

 雷を纏った砲撃を至近距離で放たれ、なのはは痛みと感電で絶叫する。
 そのまま海面に叩きつけられ、海に沈んだ。

「はあっ……はあっ……」

 フェイトは荒い息を吐きながら、海を見つめる。
 なのはを空に飛ばした事は成功だが、フェイトにも代償はあった。
 通常、鎌は飛ばしてから爆発させる所を、バルディッシュに繋げたまま、フェイトは爆発させた。
 幾ら保護していたとはいえ、爆風を浴びたフェイトとバルディッシュも無事では済まない。
 その上、なのはが気付くよりも速く、上空まで先回りして魔法を撃たなければいけない。
 それは、フェイトであっても、かなりの体力を消耗するものであった。
 あれだけの砲撃を間近で受ければ、普通ならばただでは済まない。
 だが……、

「やっぱり、これでもだめか……」

 フェイトは、まだ信じていなかった。
 なのはがこれで終わるという事を。
 あれだけ粘り強い相手を、これで倒す事は出来ないと分かっていた。
 フェイトの言葉通り、なのはは上がって来た。
 フェイトと同じ高さまで上がって来たなのはだったが、無傷という訳にはいかなかったようだ。
 バリアジャケットの翠屋の制服は、あちらこちらがボロボロになっていた。
 なのはは何も言わない。
 ただ、フェイトを見つめている。
 フェイトの撃った魔法の残滓か、なのはの周りにパリパリと電気が残留している。
 それがなのはの怒りを表しているかのようで、フェイトを焦らせる。
 次で決めなければいけない。
 そんな思いを抱いた。
 だからこれが、フェイトの全力全開。
 フェイトは後方に大きく距離を取った。
 そしてバルディッシュを両手で持ち、呪文を詠唱する。

「アルカス クルタス エイギアス 疾風なりし天神 今導きのもと撃ちかかれ バルエル ザルエル ブラウゼル」

 フェイトの足元に巨大な魔法陣が形成され、フェイトの周りには大量のフォトンスフィアが生成させる。
 5……10……20……まだまだ増え続ける。
 そして、遂に増加が停止した。
 フェイトが生成したフォトンスフィアのその数、実に38基。

「フォトンランサー・ファランクスシフト」

 フェイトの最大魔法にて、なのはを今度こそ沈める。
 最大魔法である以上、魔力を大量に使う。
 これを避けられれば、フェイトに後は無い。
 だが、フェイトは避けないと確信していた。
 フェイトはこれまでの闘いから、なのはは攻撃を受けた時、回避ではなく防御に重点を置くと気付いていた。
 なのはは避けず、全てを受け止めた上で反撃をしようとすると、そう理解していた。
 だからバインドなど使わず、なのはに向けて魔力を込める。
 全てを打ち砕く、この魔法で勝負を決める。

「撃ち砕け、ファイアー!!」

 38基のフォトンスフィアから、毎秒七発の一斉射が4秒間。
 合計1064発の魔力弾が、光の尾を引きながらなのはに叩きこまれる。

「くぅっ……!」

 フェイトは必死で魔法を制御する。
 同時発動・制御の苦手なフェイトにとって、とても辛い作業だった。

「あああっ!!」

 なんとか4秒間の制御に成功し、魔力弾は全てが撃ち込まれた。
 全てを撃ち終わって縮小したスフィアを掻き集め、一つの球にした後はそれも投げつける。
 フェイトの魔法が炸裂して、なのはの周りには黄色い煙が発生し、なのはの姿は見えなくなった。







「うっひゃあ~、すっごいね、あの子」

「ああ、あれは僕にも出来ない芸当だな」

 モニターでなのはとフェイトの闘いを見ていたエイミィとクロノが、フェイトを称賛する。
 クロノはなのはやフェイトと違って、魔力がそこまで多くは無い。
 だからこそ、技巧で攻めるやり方を得手としている。
 フェイトがやったような、大量の魔力によって掃討する方法は使えないのだ。

「前にも聞いたと思うけど、クロノ君、あの子と闘って勝てる?」

「大丈夫だろう。まだそれほど、制御技術も高くないみたいだからね」

 だが、だからといってクロノが弱い訳ではない。
 技術という面では、魔法に関わったばかりのなのはや、未だ制御技術が未熟なフェイトとは比べ物にならない。
 その上、執務官としての経験とそれに裏打ちされた自信がある。
 フェイトとクロノが闘えば、まずクロノが勝つだろう。
 だがクロノはアースラの切り札。
 早々動く訳にはいかない。
 この後にプレシアの逮捕もしなければいけないのだから。

「なのはさん、大丈夫かなぁ? さっきも近くから砲撃もらって海に落ちたし……」

「大丈夫だ。あの人の防御の固さは折り紙付きだし、攻撃にしても、まだアレがあるしな」

「アレ? クロノ君、何か知ってるの?」

 意味深な言動をするクロノに、エイミィが尋ねる。

「知っているというよりも、この間の海で、あの人が撃った魔法があっただろう?」

「ああ、トルネードバスターだっけ? あれも凄いよね。人に撃ったら死ぬんじゃない?」

 四つの回転する光が直進する様は、見ていて圧巻だった。
 あれを人が受けたら、身体が捻じ切れるとエイミィは思ったのだ。
 クロノも頷く。

「そうだ。あの人もそれが気になっていたみたいでね。
 だから、どうにかして威力を弱体化する方法を考えていたらしい。
 尤も、あの人はバリエーションと言っていたけど、もう既に別の魔法になっているけどね」

「ふぅん……?」

 エイミィは再びモニターを見やる。
 クロノもそれに倣う。

「何でもいいけど、もうどちらも長くは持たないだろう。
 そろそろプレシアが手を出して来るはずだ。
 エイミィ、逃がすなよ」

「分かってるよ」

 エイミィとクロノは、二人の闘いを見つめていた。






 フェイトは煙を見つめていた。
 正確には、その中にいる高町なのはを見つめていた。
 もう出せる手は全て出しきった。
 後は、どうなっているかを見極めるだけ。
 そう思ったとき。
 フェイトの背筋が粟立つ。

「くっ!」

 慌てて下に逃れる。
 ゴヒュッ! という空気を切り裂く音を立てて、桜色の閃光が一つ、フェイトの頭上を越えて行った。
 その音にフェイトは戦慄を覚える。
 あれだけの攻撃力を未だ隠し持っていた事に。
 そして、それが当たった時、自分がどうなるかという事に。

「はっ!?」

 そんなフェイトの身体が、再び危険を察知する。
 フェイトに向かって、なのはが射出した回転する先端が、二つ向かって来ていた。
 その様に、フェイトは思わず守りに入る。
 逃げるのが得策だと分かっていたのに、動きを止め、シールドを張ってしまった。
 シールドを張った左腕に、衝撃が走る。
 目を瞑り、自分がその先端に貫かれる様を想像した。
 だがいつまで経っても痛みは訪れず、フェイトは目を開けた。
 そこには、シールドに突き刺さった二つの先端があった。

「防げた……?」

 そう思ったとき、先端の一つが発光する。
 そして、フェイトの全身を包みこむ程の、大きな桜色の球形が出来ていた。

「これは、プロテクション!?」

 なぜ今更こんなものが、それもフェイトの方に張られたのか分からず、フェイトは混乱する。
 だが、まだ終わってはいなかった。
 慌ててそれを破ろうとバルディッシュを構えたフェイトだったが、残っていたもう一つの先端が発光する。
 今度は複数の環が生まれ、フェイトを包むプロテクションごとフェイトを拘束した。
 プロテクションは、外から力を加えられるがままに形を変えて、フェイトの動きを制限する。 

「今度はリングバインド!? いったい……?」

 フェイトは動けない状態のまま、空を仰ぐ。
 既に風によって煙は払われ、ボロボロになったなのはがそこに居た。
 手には先端が一つまで減ったレイジングハートを持っている。
 なのははフェイトを見ながら言った。

「今のは焦ったよ。何せ、回転するシールドさえ突き破る程の大火力だとは思わなかったから」

 なのははレイジングハートを構える。

「本気でやるっていったもんね。だから、恥ずかしさとか捨てて、呪文の詠唱もする事にするよ」

『Spiral Breaker』

 レイジングハートに、周りから光が集まっていく。
 辺りに散った魔力を、なのはが掻き集めているのだ。
 そして、なのはがその魔法を発動する呪文を、朗々と歌いあげる。


「彼の者に 破砕の光を 星よ集え 全てを捻じ切る力となれ」


 なのはの詠唱に従い、周りから魔力が集まり、光がドンドンと大きくなっていく。
 魔力が集束していくその様は、まるで流星のように星の光となる。
 なのはの身体よりも大きく膨れ上がり、その光の球は完成する。


「貫け 閃光」


 その光は、グルグルと回転するレイジングハートの先端によって、回転を加えられる。


「一撃必倒! スパイラルゥゥゥ――」


 そして、回転が臨界を越えた時、その魔法は発射された。



「ブレイカァァァアアアッ!!」



 何とか逃れようとする、その努力を嘲笑うかのように、桜色の光の魔砲は、フェイトを包みこんだ。








あとがき

なのはさんが悪役に見えた人、挙手をお願いします。
私はそう見えました。ノ
書いててこれやばくね? と思いましたが、気にしない方向で行きます。
本当はもっと色々やろうかと思ったんですけど、上手く出来なかったので没です。
なのはさんに太陽拳やらせたり、フェイトに「目が、目があっ!」って叫ばせたりとかです。
リングバインドで人間独楽回しとかもやろうかな、と思ったんですけど無理でした。

今回スターライトブレイカーが回転してスパイラルブレイカーにパワーアップしました。
掛け声が一撃必殺じゃないのは、殺したら駄目だろうというなのはさんの配慮です。


前回、凄く感想が増えたので狂喜乱舞しています。
内容については、坊さんの正体と、闇の書の行方についてが多かったので、一応軽く説明します。

まず寺の坊さんの正体について。
これは多くの人が気付いていると思います。
分からない方は、「寺生まれのTさん」でググってみて下さい。
読んだあと、あなたは必ずこう思うでしょう。
寺生まれってスゴイ、と。


次に闇の書のその後についてです。
これなんですが、どうなったのかは正直考えていません。
設定を考えないのは、皆様のご想像通りでいいかと思っているからです。
ですから、闇の書がこれで消滅したと思う人はそれで構いません。
これでは闇の書は転生するだけだろ、だからまたはやての所に現れるんだと言う人もそれで良いと思います。
そして、これで浄化されて夜天の書に戻った。その後はやての所に現れるんだと言う人も有りです。
皆様がこうしたいと願うその通りの結末になったと思って下さい。
これで無印で出て来ることは無くなった。
今分かっていることはそれだけです。
よかったら、私の代わりに続きを書いて下さい。



気になったレス返しです。
ここで取り上げられなくても感想は全て読んでいますので、取り上げられなくてもあしからず。

>にしても、そうなるとグレアム提督どうなるんだろうw
>どちらにしろグレアム+ぬこ姉妹南無だなww

出現して直ぐ消されたので、まだ探しまわっているはずです。

>ちょ、っと……?

謙遜です。

>そしてなのはさん、その、フェイトちゃんを死なせないようにね!

色々と頑張ってます。

>このタクシー、後ろ半分が変形して空飛んだり…
しませんよね?(汗)

今のところその設定はないはずです。

>はやてさん、アンタなんばしよっとねー!?

いきなり現れた得体のしれない本、普通は気味悪がると思います。

>それよりはやてが走り屋だったとは・・・
きっと高○涼介に最速理論を叩き込まれているに違いないwww

当然ですな。今はタクシーの運転手ですけど。

>それにしてもDとのバトル中に乱入するリィン・・・構ってもらえないからって事故死させる気かwww

乱入したときに丁度バトルしていただけです。

>ただ、壊れながらも締める所ではきちんと締めるキャラが多い中で、砂糖中毒が仕事に悪影響を与えているリンディさんに少し呆れてしまっただけなのです。
そして、公私の分別を弁えたプロ意識の強い人物の多いこの世界においては、このリンディさんはもう管理局員として「終わってる」んじゃないかと思っただけなのです。
リンディさんという人は、外道・腹黒・子煩悩・天然などと様々な味付けをして描かれる人ですが、凌辱系の話でもない限り、基本的に私情で仕事に関する判断を左右されることの無い人物として扱われていると思います。
それがこのありさまだと、自分には幾許かの違和感があったのです。

そういうことだったんですね。
分かりました。
もっと公私の区別を付けるようにします。
ケーキの話は勤務時間外にしましょう。
……あれ?
航行中の艦長に勤務時間外なんて無いんじゃ……どうしよう。

>スターライトブレイカーというよりドリルブレイカーとか言い出して撃ちそうなんですがw

残念! ドリルは既に使われているのでスパイラルブレイカーです。

>ちょっww八神さん、豆腐屋と勝負したことあるんかいwww

一時は勝利するかと皆が思ったその瞬間に、闇の書が転移してきたんですよね。

>ハチロク(航空機ではない)で配達する某豆腐屋がいるなら、モータースポーツ絡みできっと猫実工大とかも存在しているような素敵世界なのでしょう。

いるかなぁ?
女神様とかがいたら乱入してきそうな気もしますけど。

>……まさか幼い頃に両親を無くし、孤独な少女時代を過ごした反動で、若い頃はグレてレディースやってたとか?

はやてさんの過去は謎に包まれています。

>九歳の少女を本気で叩きのめそうとしているさんじゅうにさいって、その事実だけ抜き出すとプレシアママンのことを非難できないですねw

気にしちゃいけません!
対等の状態で闘っているので大丈夫だと思います。

>そういえば重要なことに気付いたのですが、日本では結婚経験のある人でなければ、
養子を取ることが出来ないと思うのですが……(出典は某ひぐらし)、

なん……だと……?
そこの法律だけ、都合良く無かったりしないかなぁ。

>取り敢えず、リインⅠ殺した坊さん出てこいや。
地獄通信使って生きたまま地獄へ落としてやる。

あの人はもの凄く善行積みまくってるんですよね。
なんか地獄に落ちてもあっさり帰って来そうな気がします。


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