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No.10864の一覧
[0] 【完結】 私、高町なのは。●●歳 (リリカル 地球組魔改造)[軟膏](2009/11/24 01:33)
[1] 第二話[軟膏](2009/08/08 13:30)
[2] 第三話[軟膏](2009/08/10 16:34)
[3] 第四話[軟膏](2009/08/09 11:05)
[4] 第五話[軟膏](2009/08/10 09:28)
[5] 第六話[軟膏](2009/08/10 09:28)
[6] 第七話[軟膏](2009/08/10 16:53)
[7] 第八話[軟膏](2009/08/11 02:41)
[8] 第九話[軟膏](2009/08/11 14:37)
[9] 第十話[軟膏](2009/08/12 16:01)
[10] 第十一話[軟膏](2009/08/13 00:48)
[11] 第十二話[軟膏](2009/08/13 20:07)
[12] 第十三話[軟膏](2009/08/15 01:15)
[13] 第十四話[軟膏](2009/08/15 01:16)
[14] 第十五話[軟膏](2009/08/14 16:14)
[15] 第十六話[軟膏](2009/08/15 01:14)
[16] 第十七話[軟膏](2009/08/15 16:12)
[17] 第十八話[軟膏](2009/08/16 12:58)
[18] 第十九話[軟膏](2009/08/17 12:19)
[19] 第二十話[軟膏](2009/08/19 02:35)
[20] 第二十一話[軟膏](2009/08/17 18:53)
[21] 第二十二話[軟膏](2009/08/19 02:35)
[22] 第二十三話[軟膏](2009/08/19 02:34)
[23] 第二十四話[軟膏](2009/08/19 14:02)
[24] 第二十五話[軟膏](2009/08/20 11:40)
[25] 第二十六話[軟膏](2009/08/21 01:09)
[26] 第二十七話[軟膏](2009/08/21 16:16)
[27] 第二十八話[軟膏](2009/08/22 00:31)
[28] 第二十九話[軟膏](2009/08/22 20:24)
[29] 第三十話[軟膏](2009/08/23 18:47)
[30] 第三十一話[軟膏](2009/08/24 09:53)
[31] 第三十二話[軟膏](2009/08/24 18:44)
[32] 第三十三話[軟膏](2009/08/25 12:09)
[33] 第三十四話[軟膏](2009/08/25 16:42)
[34] 第三十五話[軟膏](2009/08/26 23:05)
[35] 第三十六話[軟膏](2009/08/26 23:45)
[36] 第三十七話[軟膏](2009/08/26 15:38)
[37] 第三十八話[軟膏](2009/08/26 23:02)
[38] 第三十九話[軟膏](2009/08/27 09:32)
[39] 第四十話[軟膏](2009/08/27 18:45)
[40] 第四十一話[軟膏](2009/08/28 14:21)
[41] 第四十二話[軟膏](2009/08/28 14:22)
[42] 第四十三話[軟膏](2009/08/28 18:44)
[43] 第四十四話[軟膏](2009/08/29 10:32)
[44] 第四十五話[軟膏](2009/08/29 14:48)
[45] 第四十六話[軟膏](2009/08/29 22:02)
[46] 第四十七話[軟膏](2009/08/30 18:30)
[47] 第四十八話[軟膏](2009/08/31 08:53)
[48] 第四十九話[軟膏](2009/09/01 06:08)
[49] 第五十話[軟膏](2009/09/01 23:30)
[50] 第五十一話[軟膏](2009/09/02 12:59)
[51] 第五十二話[軟膏](2009/09/03 14:39)
[52] 第五十三話[軟膏](2009/09/04 01:18)
[53] 第五十四話[軟膏](2009/09/04 15:56)
[54] 第五十五話[軟膏](2009/09/05 16:37)
[55] 第五十六話[軟膏](2009/09/06 21:49)
[56] 第五十七話[軟膏](2009/09/07 14:06)
[57] 第五十七話IF[軟膏](2009/09/07 17:30)
[58] 第五十八話[軟膏](2010/03/17 17:58)
[59] 第五十九話[軟膏](2009/09/09 00:00)
[60] 第六十話[軟膏](2009/09/09 12:05)
[61] 最終話[軟膏](2009/09/10 09:27)
[62] あとがき[軟膏](2009/09/10 10:21)
[63] ありえたかもしれない番外編[軟膏](2009/11/24 01:32)
[64] 設定集 高町なのは[軟膏](2009/09/13 23:32)
[65] 設定集 海鳴の人々[軟膏](2009/09/14 08:02)
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[10864] 第五十一話
Name: 軟膏◆05248410 ID:9b78a8eb 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/02 12:59




「八神さん、海鳴臨海公園までお願いね」

「まかせとき」







 なのは達が準備をしていると、微弱な魔力反応を感知した。
 恐らくフェイトがこの世界に来たのだろう。
 こんなに早く来る事になった事に、なのはは微妙な焦りを感じた。
 そんななのは達が、タクシーで目的地へと向かっている時、クロノから念話が掛かってきた。

『なのはさん、今いいですか?』

 なのはは運転席を一瞬見やり、クロノに答える。

『今は移動中だから、ずっと念話でなら良いよ。ああ、アルフさんにも繋いでね』

『分かりました』

 そして念話はアルフも聞く事になった。

『僕が今朝、プレシアについての情報をエイミィに催促したのを、なのはさんは覚えていますか?』

『ああ、そういえばそんな事も言ってたねぇ……』

 横で聞いていたアルフは、その事を思い出したのか、念話で間延びした声を出す。

『実は先ほど、その情報が届きました』

『そう……。それで、どうだったの?』

『その事なんですが、あまり良い情報ではありませんでした』

『なんだい、その良い情報じゃないってのは?』

 アルフがクロノのその言葉に食いつく。
 だが、クロノの口は重い。

『それがですね……その……』

『あ~もうっ! まだるっこしいね! 男ならさっさと喋んな!』

『まあまあアルフさん、落ち着いて』

 なのはがアルフを抑える。

『それで……クロノ君、その良い情報じゃないっていうのは、情報が信用出来ないって事?
 それとも、その情報は確かで、知らない方が良いような情報だって事かな?』

『……後者です』

 クロノは答えるのも億劫そうに言った。

『正確には、知ると気分が悪くなるような情報です』

『気分が……悪くなる?』

 なのはは顔はそのままに、眉だけ僅かにピクリと動かした。

『これから闘うなのはさんや、アルフは聞かない方が良いかもしれません』

『あたしも? あたしはフェイトの使い魔だよ。それでも聞かない方が良いってのかい!?』

 アルフは喉でグルグルと低く唸る。
 なのははそれを再び抑えるように手で示した。
 幸い、何も言われなかったが、おそらく聞かないふりをしてくれているのだろう。

『使い魔だからこそ、聞かない方が良い事かもしれないんだ』

 クロノはそう言った。
 その言葉に、なのはもクロノが知った情報の事が段々と気になって来た。

『ねえ、クロノ君。私にもその事、教えてくれる?』

『……ですが、これから貴女はあの子と闘うんですから、その集中を解くかもしれない事は……』

『そんなにも隠されたら、そっちの方が気になって逆に闘えないよ。
 ……それに、どんな事を知ったからって、私がやる事に変わりは無いから』

『……分かりました』

 クロノは渋々従う。
 そこにアルフが割って入る。

『あたしにも教えとくれ』

『アルフ……』

『アルフさん……』

『……あたしは、使い魔だ。フェイトの使い魔なんだ。
 だから、例えそれがどんな酷い事だって、あたしは知らなきゃいけない。
 ……そんな気がするんだ』

 強い意志を秘めた目で、アルフは言い切った。
 その言葉にクロノも絆されたのか、軽い感じで返す。

『分かった。でも、聞いた後に、聞かなきゃよかったと愚痴らないでくれよ』

 アルフも軽口で返した。

『あたしはそんな、器の小さい事はしないよ』

『それじゃ、話します』

 クロノが一呼吸おいてから、なのは達に話し始めた。

『……最初の事故、ヒュードラの事件の時に、プレシアは実の娘を亡くしています。
 その娘の名前は、アリシア・テスタロッサ』

『アリシアちゃん……ね』

 なのははその名前を記憶する。

『このアリシアという少女、亡くなった時はまだ5歳だったそうです。
 誰に対しても物怖じしない性格で、研究所では大人たちに、マスコットとして可愛がられていたみたいですね。
 散逸した当時の研究者の手記にそうありました。
 ……ですが、この少女の容姿が問題なんです』

『その問題って?』

 クロノは静かに答えた。

『かろうじて残っていた彼女の写真のデータを見ると、フェイト・テスタロッサと瓜二つなんです』

『何だって!?』

『……でもそれだけじゃ、ただの良く似た姉妹ってだけだと思うけど?』

 なのはもクロノの言葉に、嫌な予感が走った。
 出来れば否定して欲しいと思って。
 そんななのはの疑問に、クロノは答えた。

『ここからが確信です。プレシアの研究は多岐に及んでいました。
 ですが、彼女が最後に行っていた主な研究は二つです。
 使い魔とは異なる、使い魔を超える人造生命の生成。
 そして……死者蘇生の秘術です』

『……つまり』

『ええ。フェイト・テスタロッサは、アリシア・テスタロッサのクローンのような物、と考えられるのではないかと。
 アルフが言っていた、プレシアの「人形」という発言は、ここから来ているのかもしれません。
 その言葉は、彼女が自然に生まれた存在ではない、という事を示しているのではないでしょうか?』

 クロノの言葉に、なのはは顎に手を当て考え込む。
 それを察したのか、クロノも黙り込んだ。
 しかし、静かに話を聞いていたアルフは黙っていなかった。

『なんだい、そんな事か』

『アルフ? 君、もしかして知って……?』

『知らなかったよ、そんなの』

 アルフの口調に、知っていたのかと問うクロノ。
 だが、アルフはそれを否定した。
 クロノの言った言葉を鼻で笑う。

『あたしはもっと、聞いた瞬間にあのババアを殺したくなるような、そんな胸クソ悪い話が飛び出すと思ってたんだよ。
 でもアンタの言葉じゃ、フェイトが普通とはちょっと違う生まれ方をした、ってだけじゃないか。
 ただそれだけの事だろ?
 それに、そのアリシアってやつが居なくならなきゃ、あたしはフェイトと会えなかったしね』

『……君は……』

 クロノがアルフのあっけらかんとした答えに絶句する。

『……そうだね。フェイトちゃんの生まれがどうこうって事は、あまり問題じゃないし』

 なのはもアルフの言葉に同意した。

『フェイトちゃんはフェイトちゃんだからね。
 どんなに似ていても、アリシアちゃんじゃないから。
 だから、問題はそこじゃない』

『……そうですね』

 クロノも同意した。

『問題はそんな事をしたプレシアの方ですから』

『そうだよ。そっちの方が重要だね』

 ただ子供を産んだだけなら、それで構わない。
 自分が何らかの理由で子供が作れないから、別の方法に頼って子供を欲するのはよくある事だ。
 だが、プレシアは違う。
 その別の方法で生まれたフェイトを、アリシアとして扱うつもりだった。
 しかし上手く行かなかったから、フェイトに辛く接するようになったのだろう。
 アルフの言っていた証言の中に、フェイトは昔は母さんは優しかったと言っていた。
 だからフェイトは、その時の記憶を信じて、今もまだプレシアに従っているのだろう。

『ともかく、調べられた情報はこれで全てです。あとはなのはさん任せになります。頑張ってください』

『分かったよ。じゃあね』

 そしてクロノとの念話は終わった。

「……話は終わったんか?」

 そこで運転手から話しかけられた。
 まるでエスパーのように出番を待っていたかのようだ。
 そのタイミングの良さに、なのははもしかして今の話を聞かれていたんじゃと不安になった。
 だがそんな事は無いだろう。
 この世界で魔力資質を持っている人間が、そうそう転がっているはずがないからだ。
 いきなり話しかけられ、なのはは動揺する。

「え、あ、いやその……」

 しかし、運転手はなのはのそんな様子はどうでもいいのか、言葉を続ける。

「この間のフェレットの時も思ったけど、いつの間に店長はアイコンタクトで長話出来るようになったんや?」

「えっと……それは……」

「まあええわ。もし良かったら今度教えてな」

「き、機会があったらね」

 なのははそんな事を言って誤魔化した。
 運転手はそれに満足したのか、今度はアルフに話しかけた。

「確か……アルフさん、言うたな?」

「ああ、あたしかい? それでいいよ」

 アルフは話を振られて応対する。

「昨日、凄い怪我しとったけど、もう大丈夫なん?」

「平気だよ。あたしの身体は頑丈なんだ」

 アルフは軽く腕を曲げ、力こぶを作る真似をした。
 それに気を良くしたのか、運転手は尚も話しかける。

「そらええ事やな。それでアルフさん、車に酔ったりとかはしてへんか?」

「ああ、それは大丈……そういえばこれ、全然揺れないね」

 アルフは座席をポフポフと叩く。
 運転手はアルフのその不思議そうな顔を見て、ニヤッと笑う。

「せやろ? なんせわたしは、水を入れた紙コップを、一滴も零さずに山を往復出来るからな」

「それは凄いね。それも何かの漫画の受け売り?」

 なのはが今度はどこから仕入れて来たのかと尋ねる。
 だが運転手は前を見ながら、首を軽く横に振る。

「ちゃうちゃう。これは知り合いから教えてもらった技術や。
 その知り合いは豆腐屋やっててな、そうやって走れば配達する時に豆腐が崩れないんやって」

「へぇ、そうなんだ」

 なのはが感心する。
 基本的になのはは店から動かないため、そうやって配達をする人の苦労などは知らないのだ。

「その知り合い、無茶苦茶速くてな。競走しても誰も勝てんかった。
 しかもやり方がえげつないんよ。
 別に卑怯な事やないんやけど、普通やらんやろって事平気でやって来るキレた人でな。
 溝にタイヤ落として内側走るわ、後ろにおったらライト消してプレッシャー掛けてくるわ。
 しかもそれが成功すんねん。本当にありえへんやろって感じの人やったわ」

「す、凄いね、その人」

 なのはは汗を一筋流す。
 運転手は昔の事を思い出して気が大きくなったのか、更に喋る。

「最近はもう会いにいってないなぁ。それなりに遠いから仕方ないんやけど」

「何かあったの?」

 運転手の少し沈んだ様子を見て、なのはは尋ねた。

「それがな、一度その人と勝負した事があるんよ。でも、負けてしもうてな。
 それからやな、何か熱が冷めたのか、あんまり行かなくなったんよ」

 その時なのはは、運転手の目に怒りが灯っている事に気付いた。

「……それもこれも、あのクソ本のせいや!」

 運転手はハンドルを握りながら、忌々しげに叫んだ。
 アルフがその声に小さく飛び上がる。

「ど、どうかしたの?」

「どうかしたの? じゃあらへんよ!」

 運転手は前を睨みながら言葉を続ける。
 叫んで少しは落ち着いたのか、なのは達は話を聞く事が出来た。

「……わたしが勝負したのは十年くらい前なんやけどな。
 その時、下り、上り、下りの三回勝負やったんよ。
 最初の下りはあの人が勝って、次の上りはわたしが勝った。
 だから、最後の下りの勝負、それで全てが決まるはずやった。
 でもな、わたしが前に躍り出たとき……事件は起きた」

 なのはもアルフも、静かに話を聞いていた。
 邪魔をしてはいけないと感じたからだ。

「わたしの目の前に、黒いモノが現れたんよ。
 目の前って言っても、車の目の前で子猫が横切ったとか、そんなレベルやない。
 文字通り、顔の目の前や」

 運転手は、それを教えるように、片手で顔の前をひらひらと扇ぐ。

「いきなり現れたそれが、わたしの顔面に激突してな。
 おかげで、わたしの外人みたいに高かった鼻が、鼻ペチャになってしもうた」

 それは元からなんじゃないか、と思わずアルフが突っ込もうとしたが、なのはが念話でそれを抑えた。

「事故ったりはせえへんかったけど、それでわたしの車はスピンしてもうて、それで負けたんよ。
 結果は結果やからな。
 それで以前みたいな熱は冷めて、タクシーの運転手やろうって思ったんやけど、まあそれは別の話やな。
 勝負の後で、わたしにぶつかって来て、わたしの視界を奪ったそれは、鎖で雁字搦めにされた本やった」

「なんでそんな物が……」

「わたしが知るわけないやろ。
 そもそも鎖で読めへんようにされてたら、本の意味無いやんか。
 鎖を解く鍵穴とかも無かったし、ペンチで切ろうと思っても無理やった。
 気味悪かったから、近くの寺に持っていって供養してもらったで」

「ふうん……」

「その寺の坊さんが『破ァッ!』てやったら砂になって消えてったから、やっぱり悪いモンやったんやろな」

「そうなんだ……」

 なのはがそう相槌を打つと、タクシーは停まった。

「変な話に付き合ってもらって悪かったなぁ……。海鳴臨海公園、着いたで」

 運転手の言葉に、なのはが顔を外へ向けると、そこはもう海鳴臨海公園だった。
 なのははアルフにお金を渡し、念話で言付ける。

「それじゃ、ありがとね」

 なのははそういって降りた。
 アルフは少し首を傾げたが、なのはからもらった諭吉を運転手に渡した。
 そして、なのはから言われた言葉を、そのままアルフは繰り返した。

「えっと……釣りはいらない、取っときな!」

 それを聞いた運転手は、先程までの暗い顔では無く、パアアッと明るい笑みを浮かべた。

「おおきに……」

 運転手は感慨の籠った声で言った。
 アルフはそれを聞いて気分が良くなり、勢い良く車から飛び降りた。

「また利用してなぁ!」

 そういって車は走り去って行った。



 なのはは深呼吸を一つして、気を引き締めた。

「ここなら、結界を張れば大丈夫だよ」

 誰もいないような静寂が包む中、なのはは呼び掛けた。

「もう、出てきていいよ。フェイトちゃん」

 風がなのはの髪を揺らす。
 静かに待っていると、後ろに今までとは違う風を感じた。
 なのはが振り向くと、黄色い光を出す電灯の上に、フェイトは立っていた。

『Scythe form』

 フェイトは何も言わず、ただバルディッシュを構えた。
 そのフェイトに、傍らに立つアルフは呼び掛ける。

「フェイト……もう止めよう? 
 あんな女の言う事なんて、もう聞いちゃ駄目だよ。
 このままじゃ、フェイトは不幸になるばっかりじゃないか。
 だから……」

 フェイトは静かに頭を振る。
 小さな声で、フェイトは言った。

「……それでも私は、あの人の娘だから……」

 なのははその言葉に、先程のクロノの言葉が脳裏をよぎる。
 そして顔を僅かに顰めた。
 しかし、それも一瞬の事。
 一度目を閉じ、なのはは気持ちを切り替える。
 首に下がっているレイジングハートが赤く光り、なのはの姿はいつもの翠屋の制服へと切り替わった。
 泡立て器と化したレイジングハートを、右手に握る。
 なのはが目を開け、静かにレイジングハートを掲げる。

「ただ捨てれば良い訳じゃないんだ。そして、逃げれば良い訳でもない。
 逃げる事が悪いとは言わないよ。でも、逃げてるだけじゃ何も変わらない。
 例え怖くても、どんな想いを持っていても、立ち向かわなきゃいけない時は必ず来る。
 そして、今はその時。だから……」

『Put out』

 レイジングハートの声と共に、なのはの周りに12個のジュエルシードが浮かぶ。

「賭けようか。お互いの持つ、全てのジュエルシードを」

『Put out』

 バルディッシュの中に格納されていた、9個のジュエルシードがフェイトの周りに浮かぶ。
 なのははフェイトに話しかける。

「ねえ、フェイトちゃん。
 この間はクロノ君に邪魔されて、決着は着かなかったよね。
 だから、もう一度やろう。
 あの時と同じ、この場所で」

 フェイトは何も答えない。
 だが、その目はなのはの事をずっと見ていた。

「私達は、まだ数える程しか会っていない。
 でも私は、フェイトちゃんの事はよく知ってる。
 これは不公平だと思わないかな?
 だから今度は、フェイトちゃんが私の事を知ってくれると嬉しいな。
 後の事はそれからだよ。全部、それから……」

 なのははレイジングハートをフェイトに向ける。
 フェイトは何も言葉にしないが、バルディッシュを構えて警戒する。

「始めようか、本気の勝負を。
 私の力は、ちょっと凶悪だから……死なないでね、フェイトちゃん」

 そして、二人の激闘が始まった。





あとがき

という訳で、頭文字Dがこの世界にはありません。
同じ世界という設定ですが、もう出て来ません。
なのはさんではなく、はやてさんの方に関わっていたんですね。
このおかげで、はやてさんの車は揺れが少なく、お年寄りにも大人気となっております。
分かった人……いたかな?
いたら凄いですね。

あと今回、はやてさんがやばい事してますが、あまり気にしないで下さい。
べ、別にA's始められそうもないから、フラグを片っ端から折ろうとか思ってないんだからね!
……本当ですよ?

そして次回、遂にフェイトとの決戦です。
スターライトブレイカー、出るかな?


気になったレス返しです。
ここで取り上げられなくても感想は全て読んでいますので、取り上げられなくてもあしからず。

>はやての登場は
なのは「八神さん!海鳴臨海公園まで!」
だとみた!

使わせて頂きました。ちょっと変えましたけど。

>りんでぃさんは もはや なのはさんの いいなり で ぜったいふくじゅう ですね
なのはさんがフェイトを養子に迎えたいとか言ったら、ケーキを代価に嬉々として各種の手続き・工作を行なってくれるんだろうな
そして、「フェイトさんの様子を見るのが条件ですので」とか嘯いて嬉々として海鳴に移住して翠屋に入り浸るんだろうな
もうとっとと引退するべきですね
アンチやヘイトは数あれど、こんなにひどいリンディさんにはそうそうお目にかかれないと思う

ちょっと悪ノリが過ぎましたか。
安易に笑いが取れるので、ネタで使い過ぎましたね。
キャラが崩れてしまったことは否めません。
不快な思いをされたのでしたら、すいませんでした。
これからは自重します。
リンディさんが出撃する所とかで、もっとかっこよく書けるようがんばります。

>まあ、リンディの甘味への執着も有る意味凄いですが、
これはなのはが酒へ執着するのと同じようなもの、とおもえば充分ありだと思います。
原作一期でもわりとお茶目なシーンはちらほらと有りましたし。

そういって頂けるとありがたいです。

>なのははプレシアに会って、その言を聞いて何を想うのでしょうか。
フェイトの生い立ちを知った後の反応が見ものですね。

とりあえずやる事は変わらない、と言っていました。

>なのは世界に無いものですか……
要る物が時の庭園にたどり着くための空間移動機能、と考えると、
ヤ○ト・9○9・エ○ラルダス等の松本○士作品が思い浮かんでくるのですが、
どうでしょうか……

タクシーが時の庭園に行く為のものじゃありませんww

>50回おめでとう御座います。
>最後になりましたが、50話突破おめでとうございます。
この先もお体に気をつけて、執筆がんばって下さい。

ありがとうございます。
書いて投稿して、様の反応を見ない事には次の話が書けない自分としては、ここまでモチベーションが続くのは珍しいです。
最近はちょっとスピードが遅くなっていますが、頑張りますので応援よろしくお願いします。




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