クロノの導きに従い、なのははユーノと一緒に、アースラの中へ来ていた。
クロノはあそこにいたのは、なのはだけだと思っていたらしい。
転移時にユーノが置き去りにされかけたものの、ダッシュしてユーノは転移魔法陣に間に合う事が出来た。
「付いて来て下さい」
クロノが先導して歩いて行く中を、なのはは後ろからゆっくりと付いていく。
なのはは初めて見る建造物の中を、キョロキョロと見まわす。
見たことも無い材質で作られた壁を眺めながら、ユーノと念話で会話する。
『ユーノ君。私、転移魔法って初めてなんだけど、ここがそのアースラって船の中で良いんだよね?』
『そうだと思います』
『聞きたいんだけど、時空管理局っていったい何?』
なのはにも時空管理局という名前から、先程のジュエルシードの回収の時の会話から、大体の事は想像出来る。
だが、知っている人間に、直接聞いた方が早いだろう。
『時空管理局とは、今回みたいに、それぞれの世界に干渉し合うような出来事を管理しているんです。
ここは管理外世界で、基本的に不干渉なはずです。
ですが、ジュエルシードのように、他の世界にまで影響がある物の反応があったから、調査に来たんだと思います。
さっき、ハラオウン艦長が、ロストロギアの事を聞きたいと言っていました。
彼らもまだ、ジュエルシードがいったいどういう物なのか、知らないみたいですね』
『ふぅん……』
なのはは顔には出さないものの、納得したような、納得していないような微妙な返答を返す。
ある程度まで歩くと、クロノが立ち止まり、なのは達に振り向いた。
「ああ、いつまでもその格好というのも、窮屈でしょう?
バリアジャケットとデバイスは、解除しても平気ですよ」
「……そうだね。それじゃあ……」
平気なのはそっちだけだ、となのはは心の中で突っ込む。
だいたい、人にはそう言っておいて、自分は解除しようとしないのは、いったいどういう事なのか。
なのはは、レイジングハートだけを待機状態に戻して首に掛ける。
「? バリアジャケットは解除しないんですか?」
「中は寝巻きを着ていたからね、あまり見せたくないの」
「そうですか……」
クロノはそうなのかと頷く。
未だに警戒されていることに気付いていないのか、それともその表情は演戯か。
クロノはユーノの方を向いて、言葉を続ける。
「君も、元の姿に戻っても良いんじゃないか?」
「ああ。そう言えばそうですね」
ユーノが自分の事を思い出す。
「もうずっとこの姿でいたから、元に戻るのを忘れていました」
「そう言えば、変身魔法でフェレットの姿してるだけで、元々人間だったね」
「ええ。あの世界は僕と体質が合わなかったので、魔力の節約の為にこの姿をしていたんですが……」
なのはも、言われなければ忘れてしまう程に、ユーノはずっとフェレットのままだった。
クッキーばかり食べていたから、太っていないか心配である。
「ここなら魔力が削られることも無いでしょうから、今戻りますね」
ユーノの身体が光を帯び、目を開けていられない程の光が辺りに広がる。
とっさになのはは、光で目を焼かれないように、瞼を閉じた。
光が収まったことを瞼の裏で認識すると、ゆっくりと目を開ける。
そこには、金の髪を持ち、どこかの民族風の衣装を着た少年が立っていた。
「はぁ……。久しぶりに戻ると、視点が高くなって良いですね」
ユーノは軽く身体を動かして、人の姿を堪能している。
「ね、ねえ……?」
なのはがユーノを指さしながら、恐る恐る聞く。
「き、君って……子供だったの?」
「あれ? 言っていませんでしたか?」
ユーノがなのはの問いに、首を傾げる。
「聞いてないよ。変身魔法でフェレットになっているのは聞いたけど……」
「ん~?」
ユーノがこめかみに指を当てて考え込む。
年齢のことなど気にしていなかったからか、ユーノはそのことは言っていなかったと思い出す。
「すいません。言ってませんでしたね。僕は9歳です」
「9歳!?」
なのはが驚く。
それで開いた口が塞がらなくなっていると、横からクロノが声を掛けて来た。
「あの、ちょっといいですか?」
「え、何?」
なのははクロノがこの場に居た事を思い出す。
「あなた達の事情は良く知りませんが、艦長を待たせているので、出来れば早めに話を聞きたいんですけど……」
「あ、ごめん」
「すいません」
なのはとユーノは謝る。
「では、こちらへ」
クロノは再び歩き出す。
「この話は後にしようか」
「そうですね」
なのはとユーノは、それで意見が一致した。
そのまま付いていくとクロノは、ある所まで来ると立ち止まった。
すると、壁と思われる程に、周りとの違和感が無かったドアが左右に開く。
「艦長、来てもらいました」
「……は?」
なのはの目の前には、こんな船の中にはとても似合わない、和風の部屋がそこに広がっていた。
壁には盆栽が並べられ、茶道の道具が置かれ、更には意味も無い鹿威しまであった。
その中央に、モニター越しに見た女性が正座して座っていた。
その女性がにこやかに笑う。
「お疲れ様。まあお二人とも、どうぞどうぞ。楽にして下さい」
「……はあ……」
なのはは部屋のインパクトに負けて、呆けた状態でそのまま素直に頷いた。
あとがき
次回! 次回こそ始まりますから!
すいません、中々話が進まない物で。
キリよく終わらせようとすると、ここで切る事になったんです。
続きは今日中に書きますから、見捨てないでください。
初っ端からなのはさんが、リンディさんにイニシアチブを取られました。
ですが、次回なんとかすると思います。
……書けると良いな。
気になったレス返しです。
ここで取り上げられなくても感想は全て読んでいますので、取り上げられなくてもあしからず。
>ただそんな簡単に知らない人にホィホィついてっちゃっていいんだろうか・・・?
めちゃめちゃ警戒しています。
>このなのはさんとリンディの会談はもちろん紅茶でしょうね?
ブランデーを入れるか、ジャムがついてくるかの違いで。
そんなことしたら、ブランデーに紅茶入れる事になるじゃないですか。
>既婚で子持ちの美少女戦麗舞パンシャーヌ(27)よりも年上ではないか……
27歳なんてまだまだじゃないですか。
>なのはさん娘を傷物にされたんだからもっと怒らなきゃ!!
だからまだ娘じゃないと(ry
警戒具合からして、静かに怒ってるんじゃないですか?
>なにこのババア二人の会話。
何故か萌えるんだけど
ありがとうございます。
こういうお世辞とか苦手なんですよね。
リンディ「あなた、ちょっと表に出なさい」
>なのはさんのことだから砂糖とミルクじゃなくてお酒入れそうだね。
むしろ酒要求しそう。
>日本酒に緑茶は似合うよね。後は・・・わかるよな?
そんなことしたら、酒に緑茶入れる事になるじゃないですか。
>ようやくリンディさんと対面か永かったな・・・
2次SSでのお約束?の身分証明の不備は兎も角、主婦の井戸端会話inアースラが楽しみww
上手く書けるか分かりません。
>執務官なんだから身分を証明するための何かしらを当然もっててもいいような気もします
持っているでしょうけど、それを見せてもなのはさんは信用しないでしょう。
どっちでも良いんです。
この場合は、ユーノが遠目からでも確認出来る、制服で納得しただけですから。