「ただい―――――マッドサイエンティスト」
『おかえりなさ―――――いくら何でも無理がありませんか?』
「おまえもな」
互いにダメだししつつ、瑞樹は異様な静けさに眉を顰める。
普段なら、瑞樹が帰ってくるなり『おかえり、みずきっ』とかなんとか言いながらフェイトが駆け寄ってくるはずなのだが、今日はフェイトどころかアルフすら出てこない。
『愛想をつかされたのでは?これで外泊は事実上2回目ですし、しかも今回は連絡すらしていませんよね』
「冗談でもヤメロ。そもそもあの状況で冷静に連絡なんぞできるかっ!!」
なのはに顔を見られた時はカナリ焦った。
すぐに開き直って、正体も何もかもぶちまけてしまったわけなのだが、その後もいろいろと考えてしまったため、連絡のことは脳裏に掠めもしなかったのだ。
「つーか言い訳どうしよう!?神はまた・・・・フェイトに無言のまま睨まれ続ける時を過ごせと言うのか・・・・・・」
あれはいつだったか。
脳が思い出すことを懸命に拒否しているため、正確には思い出せないが確かフェイトにケーキを焼く約束をしていたときのことだった気がする。
よく思い出せないが結果的にそれは叶わず、瑞樹は実に健康によろしくない時間を過ごすことになった。
『マスターがケーキを焼き上げるまで、一言も口をきいてもらえませんでしたね。というかよくそんなに早く焼けましたね』
「何も言わないけど半眼で四六時中睨みつけられるんだぞ!?全力で焼いたに決まってるだろうが!!!」
無表情に見えるが、少しだけがっかりしたことが見て取れるフェイトの表情に、心のファイヤーウォールはあっさりと突破された。
もはや神が立ちはだかろうとも、ケーキを焼かないという選択肢はなかったと断言できる。
「・・・・・・・・そんなわけでフェイトに睨まれるのは御免だから早いところ謝ろう」
『そうは言ってもどこにいるんでしょうね』
瑞樹は適当に部屋を歩き回り、扉を開けて回る。
まずはフェイトの部屋。
「・・・・・いないな」
『留守・・・・なんでしょうか』
まさか未だに瑞樹を探して回っているということはないだろうか。
瑞樹は念話を使いフェイトに呼びかけてみる。
『・・・・・・返ってきませんね』
「妙だな・・・・・・」
念話にも返事がないとなると、これはもう不自然の一言で済ますには楽天的過ぎる。
何かあった――――――あまり考えたくないが、そう思うのが自然だ。
「・・・・・・・・」
瑞樹は知らず知らずにうちに足早になり、残りの部屋も片っぱしから探していく。
「・・・・・・・フェイト?」
いた。
フェイトは何故か瑞樹の部屋で、アルフに膝に乗せて座り込んでいた。
とりあえずフェイトの姿が確認できたことに瑞樹は安心するが、どこかおかしい。
フェイトは座り込んだまま、じっと壁の方を向いている。
瑞樹が声をかけても無反応。
「フェイト」
もう一度呼びかけてみる。
「・・・・・・・・・」
返事は、ない。
気づいていないのか、瑞樹の方を向きもしない。
「フェイト!!」
「あ・・・・・みずき・・・・・・」
近寄って肩大声を出すと、ようやくフェイトはこちらを向く。
虚ろな表情で、力を失った瞳で。
『マスター!!アルフさんがッ・・・・!?』
「アルフ・・・・・!?」
「・・・・・・・・・」
フェイトの膝の上でぐったりとしているアルフは、全身がひどい傷で覆われていた。
「何があった?!」
「・・・・・・・・・・」
フェイトは何も言わない。
ただ、黙って瑞樹の顔を―――――――いや、その瞳には何も映っていない。
呆然と何もない空間を彷徨っているだけだ。
「くそっ・・・!!!」
瑞樹は毒づくとすぐにアイリスを起動させる。
エクスカリバーの鞘を、力無く項垂れるアルフに押し付ける。
淡い光がアルフを包み込むことを確認すると、瑞樹は再びフェイトに目を向ける。
「おい、フェイト!!いったい何があった!?あの黒騎士はどうした?!」
瑞樹が飛ばされたあと、あの場に残ったのはフェイトとアルフ、そして黒の騎士の三人。
あいつがアルフを傷つけ、フェイトをこんな状態にしたのだろうか。
だとしたら――――――――。
「オレは・・・オレは・・・!!何のためにここにいるッッ!!!」
『マスター・・・・・・』
フェイトを守りたいと思った。
ささやかな願いを胸に秘めて頑張る、この少女の心を守ってやりたと思っていた。
しかし、その結果がこれだ。
まったく守れなかった。
「う・・・・あ・・・・み・・・ずき・・・かい・・・?」
「アルフ!?いったい何があった!?!?」
「あの・・・・黒い・・・やつ・・・が・・・・・・」
「あ・・・あのヤロウッッ・・・!!!」
湧き出る黒い衝動。
味方なのか敵なのかわからなかったから放置していたが、これではっきりした。
アレは敵だ。
瑞樹は沸き立つ衝動をそのままに、黒い騎士を倒す算段を立てる。
戦力差――――――そんなもの知ったことか。
今更、実力が上の相手を恐れはしない。
最悪の場合エクスカリバーでもなんでも使って奴を殺――――――――。
『マスター!!少し落ち着いてください!!!』
「っ・・・・・」
『お願いですから・・・・落ち着いてください。それを使ってたとえアレを倒せたとしても・・・・フェイトさんは喜びません』
「・・・・・・・・・・すまん」
『いえ・・・・今はアルフさんの回復を待って、話を聞きましょう?動くのはそれからでも遅くないはずです』
「ああ・・・・そうだな」
アイリスに窘められ、瑞樹は深く息を吸う。
深呼吸すると、黒く燃え盛っていた感情が少し落ち着いた。
「・・・・アルフ、喋れるか?」
「う・・・・なんとかね」
少しは回復したのか、アルフはフェイトの膝元から起き上がる。
黒騎士が瑞樹になりすまし、瑞樹のいない一日をフェイトと共に過ごした。
そして正体が見破られ、黒騎士はフェイトをプレシアの元へと誘った。
もちろんアルフは止めた。
でもフェイトは耳を貸さずに、母親の元へ行った。
その結果がこれだ。
放心したフェイトを抱え、傷だらけになりながらも、アルフはなんとかここまで逃げてきた。
アルフの口から語られる事実を、瑞樹は静かに聞いていた。
「・・・・・そうか。フェイトは知ったのか」
「あんた・・・・・初めから知ってたんだね・・・フェイトのことも、あの女の目的も・・・・」
アルフの語気が荒くなる。
立ち上がることはできなくとも、その眼はギラギラと光を放つように瑞樹を睨みつけている。
「・・・何のことだ?」
「とぼけるんじゃないよ・・・・あんたは知ってたんだ。あの女がジュエルシードを使って何をしようとしていたのか・・・・・だからあんたもフェイトを助けてたんだよ」
憎しみすら籠った目で瑞樹を睨みつけるアルフ。
「・・・・・・・・・」
アルフは恐らく知ってしまった。
建前上、そうなっている事情をプレシアから聞かされたのだろう。
恐らくフェイトをさらなるどん底にたたき落とすために、プレシアがわざわざ言った。
「あんたは・・・・結局あの女の味方だったんだね・・・・・」
瑞樹がプレシアに協力するのは、目的を同じとしているから。
プレシア本人がどう考えているかは知らないが、表向きはそうなっている。
「それは・・・・・・」
――――違う、と言いかけて口をつぐむ。
何を今更、と頭の中でもう一人の自分が鼻で笑う。
すでにフェイトは心身喪失。
アルフは憎しみをもって瑞樹と対している。
何を言ったところで、もはや何も変わらない。
「あたしはいいよ・・・・でもね・・・・」
アルフは痛みを堪え必死に立ちあがり――――――
パンッ―――――――!!!!
「っ・・・・・」
――――――瑞樹の頬を叩いた。
「あんたまでッ・・・・!あんたまでフェイトを裏切ることないじゃないかッ!!!」
「・・・・・・・・・・」
「フェイトはね・・・・フェイトは、あんたのことを心から信じてたんだよ!?あんたのことが・・・・・あんたのことが本当に好きだったんだ!!!」
「・・・・・・・、・・・・・」
アルフは泣いていた。
瑞樹のバリアジャケットに縋りつき、肩を震わせて泣いていた。
そんなアルフを見て、ズキズキと心が悲鳴をあげる。
打たれた頬よりも、鋭く鈍い痛み。
直視できずに、目を逸らした。
「どうしたんだい・・・・?なんとか言いなよ・・・・・・・・なんとか言いなってばっ!!!」
見上げた瞳は、アルフは否定を求めていた。
そんなことはない――――――アルフはその一言だけを切実に欲していた。
長い沈黙、アルフの瞳は瑞樹と捉えて離さない。
「・・・・・・・・・・・わるい」
「そんな言葉がッ・・・・そんな言葉が欲しいんじゃないッッ!!嘘、だよね・・・・・?またいつもの冗談だって・・・・嘘だって言ってよ・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
無言。
瑞樹は、何も言わない。
アルフは絶望したように顔を歪めると、張っていた力が抜けたように膝をついた。
「・・・・・・フェイト、聞こえてるか?」
「・・・・・・・・・」
フェイトは何も答えない。
「そのまま聞いてくれ。オレはお前を管理局に飛ばすよ。なのはならきっと力になってくれるから」
「・・・・・・・・・・・・」
「いろいろ黙っててごめんな・・・・・もっと上手くできればよかったのに・・・・オレは、やっぱり誰も救えないらしい」
乾いた笑いが零れた。
「アルフもそれでいいか?」
「・・・・・勝手にしなよ。あたしはあんたと違ってフェイトの味方だからね。どこまでもついていくさ」
淡く苦笑すると瑞樹は、フェイトとアルフに手を掲げてパチンと指を鳴らせた。
黄金の魔法陣が展開し、二人を包み込む。
「・・・・・・ごめんな」
「・・・・・・・・・・・」
『マスター、どうして本当のことを言わなかったのですか?』
「言っても仕方ないからな・・・・・」
形は違えど、結局フェイトはプレシアから直に拒絶されてしまった。
瑞樹がどう取り繕ったところで、それはもはや変化しない。
「プレシアはいないけどオレはフェイトの味方だ・・・・・とでもいうか?そんなこと言ってもフェイトは救われない」
『・・・・・救われますよ』
「それが例え欺瞞でもいいと?母親に拒絶されて、拠り所を求めて、依存の対象がただオレに代わっただけだとしても?」
プレシアしか信じる相手がいなくて、盲目的にプレシアを信じていたフェイト。
信仰対象に否定され、空いた心の隙間をプレシアの代わりに瑞樹で満たすことに、本当に意味はあるのか。
「意味、ないだろ。拒絶された今となっては、もうフェイトには自分でプレシアを振り切ってもらうしかないんだよ」
安易な手助けは、むしろフェイトの自立を妨げることになる。
『勝手な言い草ですね。だからさっさと殺しておけと言ったではありませんか』
結果的に瑞樹がやったことは、結局フェイトを傷つけるだけとなってしまった。
皮肉なことに、黒騎士の言った通りの結末だ。
「それは・・・・もう何も言えないくらいオレが悪い。完全にオレの失策だ」
『失策とかそういう問題じゃありませんよ。初めから希望なんてなかったんです。自分のことばかり考え、フェイトさんを蔑しにしたプレシアさんなんて、さっさと殺しておけばよかったんです』
アイリスの棘々しい物言いに、瑞樹は複雑な顔をする。
「・・・・・何でお前もあの黒騎士も、そうやってプレシアを悪者にしたがるかなぁ・・・・」
『まだそんなことを・・・・では逆に聞きます。マスターはどうしてそうまでしてプレシアさんを庇うのですか?』
「プレシアはただアリシアを助けたかっただけなんだよ」
『実験の事故・・・・でしたか。自業自得じゃないですか』
「そうは言いきれない。研究の失敗がプレシア一人の性だと言えるのか?本当にプレシアの構築した理論に欠点があったのか?設備は?原因は他にあったんじゃないのか?」
『・・・・・・・・・・・・・』
「オレは資料を見ただけだから詳しいことはわからないけどな、事故の対応が早すぎる気がするんだよ。面倒なことを掘り起こさる前にさっさと処理してしまえ・・・・みたいにな」
『・・・・・・・それは、何かあったということですか?』
「推測で言ってるだけだ。実際どうだったかは知らない・・・が、オレが言ったことが本当じゃないって証拠もない」
『・・・・・わかりました。プレシアさんにも同情の余地があることは認めましょう。ですが、それは仕方ないことではないのですか?』
プレシアには悪いが、それはただ運が悪かったと言うしかないのではないだろうか。
それこそこの世界には、突然の事故で家族を亡くした人が大勢いるだろう。
『何も彼女だけが特別不幸だったわけではないでしょう。どうしようもない、数ある中の仕方がないことの一つです』
「・・・・・・・・」
確かに、アイリスの言っていることは正しい。
でも―――――――。
「どうしようもなくてもな・・・・どうしても、諦められないことだってあるんじゃないか・・・?」
『マスター・・・?』
「失ってしまったものは仕方がない。だから諦めろ?ああ、確かに正論だよ。オレの世界じゃどんなに頑張っても死体は死体のままだ。焼いてやることくらいしかできなかったよ」
だがここは魔法が存在する世界。
たとえ可能性がどんなに小さなものでも、アリシアを取り戻す方法が確かにあった。
「取り戻す方法がそこにあるなら・・・・どんなに可能性が低くても、それに縋りたくなる気持ちを否定なんてできない」
世界の全てを天秤にかけたとしても、その価値が揺らぐことはない唯一がある。
知らない世界に住む、顔も知らない他人なんて知ったことじゃない。
例えこの世の全てを犠牲にしても、どうしても取り戻したい。
プレシアはそう願ったはずだ。
かつての―――――のように。
「大勢と一人・・・・全と一。確かに普通は前者を優先させるべきだ。それが一般論だし、関係のない連中からしてみればふざけんなって話だ」
しかしとプレシアと―――――にとっては、前者と後者の間に絶対的な差があった。
心に空いた空洞に絶望し、理解した。
誰にも認められなくても、他の何を犠牲にしてもかまわない。
それほどまでに重かった。
大切だった。
数が例えどんなに圧倒的でも、天秤は『一』に傾く。
それが二人の共通点であり、真実だった。
「だけど・・・・オレはプレシアを責められない。あの時言ったことは全部が嘘じゃないんだ。諦めずに・・・・・・例え狂っていようが、燃え尽きることなくアリシアのために頑張ってるプレシアを・・・・オレは否定できないよ」
―――――は結局、諦めてしまったから。
『・・・・だからプレシアさんもフェイトさんも救おうとしたのですか?』
「ん・・・・そんなとこ。この際だからオレは両方から憎まれても構わない。ただ二人には普通の家族になってもらいたかった」
瑞樹を共通の敵として、プレシアとフェイトを結びつける手段もあるにはあったが、あの二人をまとめて相手にするだけの戦闘能力が瑞樹にはなかった。
『マスターは・・・・それでいいのですか・・・・?』
「・・・どこに文句のつけようがある?二人は仲良しで、ハッピーエンドだろ」
『そうではありませんッ!!マスターは・・・・マスターはどうなるのですか?』
瑞樹は努力していた。
叶わない理想に向かって、迷いながらも進み続けていた。
それなのに、最後はフェイトからもプレシアからも疎ましく思われたまま終わるなんて、あまりに報われないのではないか。
しかし瑞樹はいつものように、困ったように笑うだけ。
「ん・・・・わかんね。でもそんなモンだろ?傭兵って誰かを助けるけど、傭兵のことは誰も助けてくれないんだよ」
まるでそれが当たり前だとでも言うように。
『・・・・カッコイイつもりですか。そんな自己犠牲なんて「違う違う」じゃあ何ですか!!』
アッハッハと笑う瑞樹に、アイリスは口調を荒くする。
「別にさ、世界のために・・・とか、全人類のために・・・とか言ってるわけじゃない。ただ身近で親しい人の幸せのために、これが最善だと思ったからだよ」
溺れて死にそうな自分の子供を、親が命と引き換えに助けるのは自己犠牲だろうか。
いや――――――断じて否、だ。
きっとその親は命と引き換えにしてでも、子供の未来を守りたかったのだ。
「自分と引き換えにしてでもさ、フェイトの幸せな未来を見たかったんだよ。それだけの価値が、オレにはあったからな」
『・・・っ・・・・・、・・・・・』
「まぁ・・・・少しは自分に酔ってるのかもしれないけどな」
困ったように苦笑する。
そんな瑞樹に、アイリスは恨めしそうな声で呟いた。
『・・・・・・ばか・・・マスターのばかっ・・・・・そんなことを言われたら・・・・・何も言えないじゃないですか・・・・っ』
「ははっ・・・・否定できないなぁ・・・」
誰もいなくなった自分の部屋で、瑞樹は静かに立ち上がる。
やらねばならないことがある。
アイリスには、恐らく大馬鹿呼ばわりされるだろう。
だが、止まるわけにはいかない。
「アイリス、何を馬鹿なって思うかもしれないけど・・・オレの頼み、聞いてくれないか?」
『・・・・どうせプレシアさんに会いにいくとか言い出すんでしょう?』
「む・・・・・よくわかったな」
『わかりますよ。この期に及んでまだ諦めてないんでしょう?止めても無駄でしょうから、もう止めません』
「アイリス・・・・・・」
『でも、一つだけ約束してください』
「ん・・・なにを?」
『絶対に死なないでください。というか死んだら私が殺します』
「いや意味が・・・・」
『マスターが死んで地獄に落ちたら、そこからさらに奈落の地獄までたたき落として差し上げます』
「ははっ・・・・・・絶対に死ねないな」
瑞樹はふっと頬の端を歪める。
アイリスがかすかに微笑んだ気がした。
「んじゃ、行きますか」
『慎ましく、ですね』
黄金の光が瑞樹を包み込む。
眩い光が消え――――笑いが絶えなかった家から――――誰もいなくなった。
時の庭園。
まるで時間そのものが止まってしまったかのような、一切の変化が無い居城。
「よう、遅かったじゃないか」
聞きなれない声がこだまする。
常にプレシアが腰かけていた玉座に、―――――――――漆黒の騎士が膝を立て、乱暴に座っていた。
瑞樹の姿を確認すると、黒騎士は楽しげにくつくつと笑う。
今まで幾度となく瑞樹の予定を狂わせた敵。
「・・・・プレシアはどうした?」
「ククッ・・・・さぁな。強いて言うなら、下剋上ってやつだな」
「下剋上?」
「そうだ。玉座にオレが座っている。それが答えだよ」
「・・・・・・・」
のらりくらりと、瑞樹をからかうように黒騎士は答えをはぐらかす。
この場で消してしまいたい衝動を、胸の内に必死に押し込める。
そんな時間すら今は惜しい。
「・・・・・・今はお前に用は無い。プレシアはどこだ?」
「つれないな・・・・軽口くらい付き合えよ。これが最後になるんだぜ?」
クルクルと器用に剣を弄びながら、黒騎士は瑞樹に楽しげに言葉を投げる。
「もう一度言うぞ。プレシアはどこだ?答えればよし、答えなければ・・・・・・」
エクスカリバーに手をかける瑞樹に、黒騎士はさらに声を高くして笑う。
「クククッ・・・・力づくか。自分のことながら威勢だけは本当に良い」
「・・・・・・・・・さっきからわけのわからないことをッ・・・!」
『マスター・・・落ち着いてください』
「怒るな、怒るな。じゃあ特別に教えてやるよ」
カッ――――。
黒騎士は回していた剣を床に突き立てると、静かに、冷酷に言い放った。
「プレシアはな、そこで寝てるぜ」
突き立てた剣の柄に両手を乗せ、心底どうでもよさそうに玉座の横の、閉じた扉の先を顎でしゃくる。
「尤も――――もう二度と目覚めないがな」
クロロです。
第17話です。そろそろ終わるかな・・・・?
覇さん>>>
すいません。
東方の使者さん>>>
本当にままならないですね。
現実でも誰かの代わりになるのは無理なわけで。
それでも大切に思ってるから、やらないこといけないことがあるんでしょう。
ラストまでもう少し、頑張りますので応援お願いします!
本城さん>>>
ジャミングが解けた、ということでなのはも念話で連絡を取って回収してもらったということにしてください。
表現不足で申し訳ないw
指摘されるまで気づかないこともあるので、これからも指摘していただければ幸いです。
フェイト嬢、やはり攻撃を受けましたw
これからもフェイト嬢とアルフさんを可愛く描写していけたらなーと思ってます。
よろしければもう少しだけお付き合いください~。
でわでわ。