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No.9354の一覧
[0]  ネタ!!! 病気外伝(ネギま×オリジナル。)元一般人の生き方の外伝[BIN](2009/06/06 00:09)
[1] さよセル[BIN](2009/06/05 23:11)
[2] さよセル【終】[BIN](2009/06/10 21:00)
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[9354] さよセル【終】
Name: BIN◆c8942e10 ID:4057465b 前を表示する
Date: 2009/06/10 21:00
ザァーっと体に当るシャワーの温水が、私は生きていると教えてくれる。

お風呂に浸かる時は、三十数えてから上がる。私は熱いお風呂の方が好きだから自然にそうなった。
体がジ~ンとする感覚が嬉しくて。そう感じれる事が嬉しくて。
良く、エヴァンジェリンさんに・・・私のもう一人の義母に怒られた。

「もう・・・四年・・・か」

私の義父が亡くなって、それだけの時間が過ぎた。私が今もこうして居られるのはあの二人のおかげで、私が壊れなかったのは瀬流彦さんのおかげ。
偶に、とても悲しくなる。辛くなる。
あの二人はもう居ない。二人が居なくなってから気付いた。私はあの二人と写真も撮ったことがない。
時が過ぎるにしたがって、自分の記憶に有る二人の顔に自身が持てなくなっていく。

本当にこういう顔だっただろうか?

こんな表情で笑っていただろうか?

こんな表情で・・・私を見ていてくれたのだろうか?

怖い。寂しい。辛い。切ない。

そんな時は何時も、そっと瀬流彦さんが抱きしめてくれる。それ以上は何も無い。でも、それだけで私は幸せな気分に成れる。そんな時、私は思う。
私も女の子ではなく。女なんだなぁって・・・
今・・・というより、一年前から私は瀬流彦さんと一緒に住んでいる。
四年前は高校生だった自分が、今や大学生だ。長いようで短い時間、イロイロ有った。
瀬流彦さんと泣いて、笑って、衝突して・・・私達は、昔よりも仲良くなったと思う。

友達から、瀬流彦さんとの仲をからかわれたのは良い思い出だ。そうやって、少しづつ私達は成長しているんだと思う。
初めの出会いは偶然で、ソレを強く結びつけてくれたのは義父で、その結びつきを更に強くしてくれたのは義母だった。
私は、今もあの人達に助けられている。
私は、これからも瀬流彦さんに助けられて生きる。
私は、その分だけ瀬流彦さんを支えて生きる。

だって、明日は結婚式なんだから。











結婚式は、生憎と雨だった。

周りの人達は残念だと言う。でも、そんな僕に小夜ちゃんが言う

「エヴァンジェリンさんが泣いているのかも知れないですね」

「ぷっ・・・小夜ちゃん、流石にそれは・・・」

出来るかもしれないけど・・・

純白のドレスがとても眩しい。身内贔屓になるんだろうけど、小夜ちゃんがこの世界で一番綺麗だと、声を大にして叫びたい。
幸せだ。僕は信じられないくらいに幸せだ。
結婚式を挙げる教会は、シスター・シャークティが住む協会。僕も小夜ちゃんも一神教の信徒じゃないけれど。
シスター・シャークティは笑顔で言ってくれた

「女の子の一生に一度の夢!! 拒否など出来ません!!」

まぁ、日本ではそんな感じだろうけどね。でも、良かった。
僕は余り似合っていないけど、小夜ちゃんが綺麗だから・・・でも、残念だ。
この幸せは、分け合えるモノだった。あの二人と・・・

「瀬流彦さん・・・私、幸せです。たぶん・・・お義父さんも・・・お・・・義父・・・さんも・・・見てると・・・思い・・・ます」

「・・・うん。」

僕は笑った。小夜ちゃんも笑った。意外とコレはアギ君が泣いているのかもね

「瀬流彦君、主役が居ないと結婚式が始められないだろ? 早くしなさい。」

「はい、新田先生」




協会に、凛とした女性の声が響く

『汝、健やかなる時も、病める時も、豊かなる時も、貧しき時も、この女性を愛し、敬い、慰め、助け、その命の限り、かたく節操を守る事を誓いますか』

僕も彼女も、答えた言葉Yes。

生憎の雨模様だけど、こんな結婚式もロマンが在るのではないだろうかと思ってしまう僕は、相当ヤられているんだと思った

外で、大きな雷が鳴った。折角の結婚式なのに・・・

そう思った瞬間・・・僕達を含め、結婚式に参加していた人間は絶句した。

風が止んだ。雨が止んだ。雲が消えて、太陽が顔を出した。

「魔法みたいだ」

誰かが言った。

当たり前だ、コレは魔力に因るものだ。僕は小夜ちゃんをせに庇い、教会の扉をみた。

途轍もなく大きな魔力を複数感じる。ドノ魔力も大きすぎる。今、出張に出ている高畑先生でも敵わないだろう。

そして、扉が開かれると其処には・・・

「え? あっ・・・」

「ほ、本当に?」

「何故彼女が此処に?!」

僕の結婚式には多くの魔法使いや魔法生徒も参加している。周囲を見渡せば、其処には裏の関係者しか居なかった。
高度過ぎる結界術。僕では絶対にマネ出来ない


「フン・・・大きくなったな、小夜。」

「エ・・・お義母さん!!」

あの・・・小夜ちゃん? 一応、君の事は秘密に成ってるんだよ?

「心配いらん。コイツは私の血筋(と成っている)大昔に袂を分かった関係のな・・・強ち間違いでもない(大嘘)」

それなら、良いんだけど・・・

「フン、ケツの穴の小さい男だな。貴様は」

そ、そんな事は!!

「まぁ、良い。小夜、私からの結婚祝いだ。その目に焼き付けろ?」

エヴァンジェリンさんが指を鳴らす。それから数秒経つと、世界が輝いた。
周りのどよめきすら歓声に変わる。小夜ちゃんも涙目だ。白く輝く景色の中で、黒いドレスを身に纏い、黄金の髪を揺らしながらエヴァンジェリンさんが言う

「それなりに苦労したぞ? ここら一帯の雨雲を凍結させるのは」

大魔法使い・エヴァンジェリン。彼女は、小さい・・・本当に小さい氷の破片が反射する光の世界でそう笑い

「達者でな・・・小夜」

そう言って、姿を消した。

小夜ちゃんは泣いていなかった。笑っていた。本当に笑っていた。輝く世界の中で笑う彼女は美しくて・・・何処か儚げでいて、綺麗だった。

「瀬流彦さん?」

声を掛けられただけで、緊張してしまう。緊張してしまうのに・・・僕は口を開いていた

「小夜さん。僕は、僕の全てを持って、貴女と幸せに成る事を誓います」

「はい・・・私も、誓います。義母の名に賭けて・・・」

シスターの事なんてどうでも良かった。神様の祝福なんて要らない。なぜなら・・・

「良く言ったぞ瀬流彦君!!」

「絶対に離すなよ!!」

新田先生、飛鳥教授といった先達や

「悔しいけど・・・幸せに成りなさいよ!!」

「嫁さんは絶対に泣かすなよ!!」

葛葉さんや、ガンドルフィーニさんという同僚

「奥さんの料理に飽きが来ないように僕の食べ歩きにつき合わせてあげよう!!」

弐集院先生の様な友人と・・・

闇の福音に祝福されたのだから




















結婚式の後は、何処でも同じな飲み会。その中から一人、誰にも気付かれずに外に出る。
変装するのは意外と簡単だが、その人の様に振舞うのは意外な程に難しい。
それでも、二人の晴れ姿を見れたのは良かったと思う。
氷が解けないように微調整をアモン・ラーに頼んだりと大変だったが、観に来てよかった。
本当に・・・良かった。

でも、最後の最後でシスターを・・・というか神への誓いを無視するのは・・・

「まぁ、良いか。瀬流彦さんだから仕方が無い」

時々、見守ってあげよう。

新田と呼ばれていた教師の仮面を捨て、幻術を解いた青年は煙を揺らしながら振り返り言った

「結婚おめでとう。二人とも」

そう言って、振り向くと其処には二人が居た。なぜ? と思った。だが、直ぐに原因に気付いた。

(流石に四年も経てば忘れてると思ったんだけどな~)

「薬草、変えてないんだね。アギ君」

「フフ、大丈夫ですよ。私たち以外は誰も気付きません」

「ハハハ・・・うん、まぁ、黙っていてくれると嬉しいかな? 今更、戦争とかしたくないし」

新田に変装し、すり替わっていたアギ・スプリングフィールドは笑いながら二人に言った。

「僕は何も聞かないよ。アギ君にはアギ君の理由が在ると思うから、君がそういう人間だとは決断を迫られた時には理解していたから・・・だから、ありがとう」

「・・・・・・・・・」

瀬流彦は頭を下げる。小夜も続いて頭を下げる

「アギ君なりに悩んだと思う。何かを曲げたんだと思う。自分の事を死んだ事にしてまで世界から消えたんだから・・・・・・本当にありがとう。お義父さん」

「べ、別に其処まで悩んでないからね。でも・・・幸せにね」

アギはそう言うと、急いで姿を消した。後に残るは静かな世界。でも、その世界で二人は笑っていた。
嬉しいと感情の篭った笑いだった

「泣いてたね?」

「泣いてました・・・」

瀬流彦は、ふと思い出したかのように呟いた。

「エヴァンジェリンさんも・・・彼に会えたら良いね」

意外な事に、小夜は笑いながら答えた

「瀬流彦さん。実は式中にお義母さんから聞いたんですけどね」


小夜の答えを聞いて、瀬流彦は笑う。

世界が騙されたと良いながら











おまけ

エヴァギ

「エヴァさん、目が真っ赤だよ?」

「う、五月蝿い!! 貴様だって涙の後が残ってるぞ!!」

お互いがお互いの顔を見て、沈黙する。最初に言葉を紡いだのエヴァンジェリン

「綺麗だったな」

「うん。綺麗だった」

「もう、大人に成ったんだな・・・」

「・・・そう・・・だね」

シンミリとし始める空気に、アギはシマッタと思ったが。コレはコレで良いモノだとも思った。

「私も着たいな・・・」

「うん。そうだ・・・うぇ?!」

彼等の明日は、毎日が愉快なのかもしれない。



【終り】

短いのはごめんなさい。
さよセル終り。次からは一話完結のをタマ~ニ、出すかも知れないかも。
それでは、おやすみー


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