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No.8642の一覧
[0] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>[三年G組将軍先生](2009/05/10 15:35)
[1] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主> その2[三年G組将軍先生](2009/06/02 16:32)
[2] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その3[三年G組将軍先生](2009/05/12 16:33)
[3] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その4[三年G組将軍先生](2009/05/14 15:21)
[4] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その5[三年G組将軍先生](2009/05/15 12:13)
[5] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その6 [三年G組将軍先生](2009/05/16 14:02)
[6] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その7[三年G組将軍先生](2009/05/17 14:23)
[7] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その8[三年G組将軍先生](2009/05/18 15:00)
[8] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その8.5[三年G組将軍先生](2009/05/19 12:50)
[9] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その9[三年G組将軍先生](2009/05/23 17:14)
[10] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その10[三年G組将軍先生](2009/05/23 17:10)
[11] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その11 ちょいグロ表現あり[三年G組将軍先生](2009/05/25 17:27)
[12] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その?一本目[三年G組将軍先生](2009/05/25 23:15)
[13] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その?二本目[三年G組将軍先生](2009/05/26 22:11)
[14] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その?三本目[三年G組将軍先生](2009/05/27 12:41)
[15] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その?四本目[三年G組将軍先生](2009/05/28 00:30)
[16] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その12[三年G組将軍先生](2009/05/30 00:04)
[17] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その13[三年G組将軍先生](2009/05/31 20:08)
[18] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その14[三年G組将軍先生](2009/06/01 13:12)
[19] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その15[三年G組将軍先生](2009/06/02 16:22)
[20] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その16[三年G組将軍先生](2009/06/04 21:42)
[21] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その17[三年G組将軍先生](2009/06/04 23:54)
[22] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その18[三年G組将軍先生](2009/06/06 12:23)
[23] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その19[三年G組将軍先生](2009/06/07 11:29)
[24] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その20[三年G組将軍先生](2009/06/10 18:40)
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[8642] 恋姫無双~店主徐晃伝~ <転生オリ主>その19
Name: 三年G組将軍先生◆b1f32675 ID:382977c2 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/07 11:29
どうも、こんにちは。徐晃です。
現在とある計画を立案中です。
何かと申しますと・・・『串揚げ徐晃南皮店』です。
もうね、屋号のセンスの無さに泣きそうです。
でも、思いつかないんです。
最初は徐州から攻めようかなと思ったのですが、北の方が人口多いんですよね。
で海も近いし、良い食材がたくさん手に入りそうです。
ん?何故に居酒屋じゃないかって?
それはですね、商品を絞り職人でなくても出来る環境を作る。さらに、食材回転を上げ鮮度の良い物を提供する。で、仕入れを増やす事によってコストを下げる!
美味い、安い、早い。をモットーにやりたいと思っています。
で、洛陽を本店として、色んな商品を開発しレシピを作り各店に配る。
なんと素晴らしい案でしょう。
これならここに居ても色んな商品を作る理由が出来ます。
あんまり関係無い事してると、詠がうるさいんですよね。
ただ、この壮大な計画には一つだけクリアしなくてはいけない項目があります。
最重要と言っても過言ではありません。
冷蔵庫です。
この問題をクリアしない限りは前へ進む事が出来ないでしょう。
それが終われば箱の問題とかその他も進んでいくでしょう。
で、今は華琳さんを攻略すべく策を練っています。いえ、お菓子を作っています。
そう、ご機嫌取りです。
暫く俺は店を皆に任せて、修行中でした。
と言っても、情報収集とお菓子の研究を行なっていたんです。
まずは華琳さんの好物を探る。
最初に俺の取った行動は鴨を狩りに行きました。
こいつを探すのも苦労しましたが、努力の甲斐あって、何羽か確保。
この鴨の生レバーを稟さんへの献上物とし、密約を交わしました。

「おお、徐晃殿!この肝臓はいつものよりも素晴らしいです!」
「ありがとう御座います。で、先ほどの・・・」
「それくらいお任せ下さい。探りを入れてみましょう」
「ありがとう御座います!」

てな感じですね。
さらに。
保険として風ちゃんにも密約を持ちかけました。
風ちゃんはさっぱりした物が好きで、食事よりもお菓子の方が好きみたいでしたので、これまた一つ考えました。

「お兄さん、これはなんですか?」
「これは葛餅だよ。練り合わせる時に柑橘を混ぜたから、さっぱりしてていい感じだと思うんだけど?」
「ええ、とても美味しいです。風、気に入っちゃいました」
「それは良かった・・・で、さっきの件だけど」
「成功報酬、また葛餅でお願いしますね~」

てな具合です。買収しまくりです。
本当は三軍師全員と密約を交わしたかったのですが、華琳様命の人ですから、難しいと読んで外しました。
まあ、あの郭奉孝と程仲徳が力を貸してくれるのなら問題ないでしょう。
文若ちゃんだと、何かボロが出そうな気もしますしね。
うん。
で先日、風ちゃん達からの報告書が届いたんですよ!
もうね、ウヒョヒョーでしたよ。
これで勝ったと思いましたが・・・

『美味しいもの    稟』
『その日の気分    風』

ふざけるな!なんだこれは!ガキの使いか!
まだ稟さんのは分かる。いや、分からんけど。千歩譲ろう!
何だ風ちゃんのは?天気予報か!良純呼んで来い!良純!
もうね、誰も頼りません。あれを読んだ時には愕然としました。
俺の苦労を返せ!
そんなこんなで策は失敗でした。
所詮素人ですよ。ええ!それが何か!
分からないので、超必死に考えました。
あの人の大体の好みは分かっているつもりです。
大体ですが。割と付き合い長いですしね。
珍しくて、美味しくて、甘すぎない。この三点なんです。
ただ、嫌いな食材とかは一切分かりません。
どれだけ美味く作ってあっても、入っていたら食べもしないでしょう。
誰かにあげるならまだ可愛いですが、最悪捨てますよ?あの人。

食べた事が無い美味しそうなお菓子
↓「あら美味しそうね。徐晃中々じゃない?」
嫌いなものが入ってる
↓「こ・れ・は・何かしら?」
食べた事がない物を他の人間が最初に食べるのはムカツク
↓「・・・・・・」ポイッ
だから捨てて作り直しをさせる
↓「作り直しなさい」
一回目が失敗だから評価はそこそこ止まり
 「最初からこれを作りなさいよ。まだまだね」

うん。間違いない。こうなる。
絶対こうなる。
最初は忍び込んでやろうかとも思ったんですが、死にたくないし却下。
それとなく聞き出してやろうかとも思いましたが、稟さん、風ちゃんがこの体たらくですから、難しいと踏んで却下。
季衣は知らないだろうし、霞さんも同じく。
三人娘も同様でしょう。
最後の砦は、夏侯姉妹。なんですが・・・。
あの二人も猫耳同様、華琳様命!でしょうし・・・
分かりません。だから運任せです。
でも、考えます。超必死!
女の子ですから、果物は嫌いじゃないと思うんですよね。
で、甘すぎないように作れば良い訳ですから、まあ、これは簡単ですね。
あとは珍しい物・・・珍しい・・・この時代に無い物
って事でパイにしました。
でもパイという単語は出したくないので、焼き菓子という名前で。
地雷は撤去しておく方が安全ですしね。
それにしても、パイって難しいんですよね。
何回か焼いてみましたが、サクッと行かない。いや、サクッとはしてますよ。
でも、果物とカスタードを入れようかと思いまして。だからもっとサクッと作りたいな~、て感じの現状です。
最初は塊が焼きあがりましたね。うん、あれは酷かった。
多分混ぜ方がおかしいんです。あれは。パンみたいでしたから。
だからこねるのを程々で止めて、畳むだけにしてみました。
これだと結構良い仕上がりです。
でも問題は水分のあるものを入れて焼く訳ですから、どうやってパイ生地をサクッと焼くかです。
作っては見ましたが、フニャというかベチャでした。
何で?って感じです。
検討もつきません。だから実験しまくりです。
おかげで、お小遣いがもうありません。
多分あと本番一回を除けば一回分くらいしかありません。
どうすっけーなー?

「流琉~?どうすれば良いと思う?」
「分かりませんよ、知りませんもん」
「じゃなくて・・・中身は瑞々しいけど、底や周りがサクサクする作り方」

後はヒントが出てくれば作れます。きっとね。
あ~白玉の時みたいには行きませんね~。
神が降りない。

「でも、これも十分美味しいですよ?」
「そうですよ、お兄様?」
「うん。美味しいわよ?これ以上は贅沢じゃない?」

今は三人ともお菓子タイムです。
折角なので食べて貰ってます。俺はあんまり要りませんし。

「窯の温度を上げて焼いてみたらどうですか?」
「それは焦げた」

試しました。一応。
でも、窯の火加減は恐ろしく難しいです。付きっきりですよ。
ちょっと低めの温度で焼かないと駄目なんですよ。これは。火加減が難しいです。

「中身の水分を減らすのはどうですか?お兄様?」
「それも試した。パサパサしてて美味しくない」

カスタードの水分を減らして焼いてみましたが、これも駄目。カスタードはしっとりしてないと美味しくなかったです。

「発想を逆転させるのよ。こういう場合は」
「というと?」
「それは考えてよ」

おーい、名軍師~。それは酷くないか~。
でも逆転の発想か・・・成歩堂君ですね。
懐かしい。
しかし・・・どうすればいいんだ?

「あー・・・分かんねー」
「でもこれで納得しないのは、ある意味凄いわ」
「そうだよね詠ちゃん。こんなに美味しいのに」
「そうですよ」

まあ、味には自信があります。大分、デザートの研究も進んでいますからね。
この程度で満足しては、華琳さんの了承は取れない気がするんですよね~。
ここは何としても勝ち取らねばいけませんし。
その為の努力は惜しみません。
でも、お小遣いは惜しみたい。

「あー、どっかに案落ちてないかな~」
「そんな訳ないじゃない」

ですよねー。

「やっぱり、パイ生地が無理なのかな~」
「どうしても中に水気が入る訳ですから、底の部分もさくさくにするのは無理なんじゃないですか?」
「そこを何とか」
「何とかって、兄様」

無理なんですかね~。
多分、こんな感じだったと思うんですけど?何か違うのかな?
う~ん。
行き詰ったかな?今日はもう止めましょう。
多分無理。また今度。

「今日は店手伝うよ。気分転換しないと」
「本当ですか?兄様?」
「うん。最近は任せてばっかだったしな。お菓子の研究飽きたし」

営業しましょう、営業。
さて、仕込みの追加でもやりますか!




「久々の営業は楽しいな。やっぱ」
「兄様は給仕でも凄いですね」

今日は久々でしたから、張り切っちゃいました。
元々はバイトさんが焼き場に一人入る事になってましたから、俺は給仕。
給仕をしながら、焼き場のフォローに入ったり、片付けしたりと獅子奮迅。
楽しいですね。やっぱ。
給仕も楽しいかも。
いつもはカウンター前のお客さんだけですから。今日は殆ど全客周りましたね。
でも、焼き場の方が楽しいかな。多分。
今日はいつもより多く、お客さんを入れれました。
満席になってからが一番良く働けたかな?
片付けと掃除も終わり、今日は月が帳簿を付けています。
詠と月は字が凄く綺麗なんですよね~。
やっぱり育ちの違いですかね。
でも、流琉も綺麗だよな?
俺だけか?汚いの?

「月、一段落したらお茶にしましょ?お菓子の残りもあるし」
「そうだね、詠ちゃん」
「いいですね。ちょっとくらいなら大丈夫でしょうし」

ふむふむ。女の子ですね~。
お兄ちゃんは嬉しいです。
しかし、昼間の残りって。冷めてて美味しくないと思うけど、そんな事ないのかな?
温かいのしか食べてないから分からんな。

「冷めてたら美味しくないだろ?」
「そんな事ないですよ、お兄様。だ、だって・・・お兄様が作ったお菓子ですから・・・」

ふむ。冷めてもいけるのか。

「一口おくれ」
「いいですよ、兄様。どうぞ」

冷蔵庫で冷やしてたのか。
ふむ。どらどら。
うん悪くないね、冷えてても。でもこれはパイ生地だと合わないな。
やっぱり焼きたてのサクサクの方が美味い。これはこれでって感じですね。
それにこれなら、タルトとかいう奴じゃねえの?
・・・ん?

「そうだよ!タルトにすれば良いんだ!」

ヤバイ!俺、天・才!
どうやって作るんだ?つーかタルトってなんだっけ?
甘くってイチゴが乗ってて。いや、イチゴ関係ない。

「に、兄様?」

ちょっと黙ってろ。
生地はサックリだった気がする。んで甘い。
とにかく食材買いに行かないと。ああ、もうやってないし。
明日か。朝一番で動くぞ。
後は後は・・・今何が出来る?・・・あった!

「お小遣い、前借りさせて下さい」

土下座だ!




あの土下座から幾日。とうとう完成しました。
果実たっぷりカスタードクリームタルト!
このタルト冷まして食べます。当然ですが。
最初は切り分けるとカスタードが流出して、まな板がカスタードまみれでした。
それも良い思い出です。余り固まらないんですね。カスタードって。
その後も、なんかかんかで問題続出。大変でした。
しかし!この、前借一ヶ月分のお小遣い大半を掛けて完成させたタルト!
余りの出来栄えに、意味も無く流琉を胴上げしました。一人胴上げです。
そのあと殴られたのも良い思い出になる事でしょう。
で、それを持ってお城へ直行です。
今朝完成しましたので、出来立てです。
今はお昼ご飯時でしょうから、華琳さんも手が空いているでしょう。
空いてなかったら、空けさせましょう。
無理ですね。

「華琳さーん?ここですかー?」

食堂・・・居ない。ん?元譲さん発見!

「おお、徐晃ではないか」
「元譲さん。この前のお弁当どうでしたか?」
「おお、あれか!中々美味かったぞ。で、今日はどうした?」

この前、出かけるから飯を持って行きたいって言ってましたので、お弁当を作ってあげました。喜んでくれて何よりですね。
お弁当ビジネス・・・考えておこう。

「華琳さんに用事です」
「ふむ・・・華琳様は自室で食事を取られている。最近は軍師の誰かと一緒だな」

ほほう。仕事が多いのかな?
邪魔しちゃ悪いか?

「詳しくは知らんが、忙しいという訳ではないから大丈夫だと思うぞ?」
「そうですか、どうもありがとう御座います」
「お邪魔はするなよ?」
「分かってますよ、では」

ふむふむ。仕事が詰まってる訳ではないのか。
何かあるのかな?
とりあえず、近衛の人に話を付けましょう。
で、待つこと暫し。
入室許可が下りました。

「入りますよー」

中には猫耳とクルクルのお二人。食事も終わってまったり、といった感じでしょうか。

「何か用かしら?」
「ええ、まあ。華琳さん、お菓子食べませんか?」
「・・・何が目的かしら?」

ふむ。ばればれですね。
では直球勝負です。

「実はですね。冷蔵庫を作って欲しいんですよ。ここ以外の所でも」
「・・・そう、やっぱり貴方ね?稟と風を使って探りを入れさせたのは?」

ばればれー。全部ばれてるー。

「いやー、ばれましたか?」
「おおよそね。貴方くらいしか居ないもの」

恐れ入りますね。
聞く所によると・・・




「今日は焼き菓子ですか、華琳様」
「ええ。稟もお茶にする?」
「ありがとう御座います。お好きなのですか?焼き菓子?」
「美味しいものなら何でも好きよ?もちろん・・・貴方の体も・・・」
「か、華琳様・・・ここは、そ、外で・・・」

以下省略。
どうせオチは鼻血でしょ?
稟さんは体張って頑張ってくれましたか。
で、風ちゃんは・・・




「華琳様~」
「ん?何、風?」
「お菓子は何がお好きですか~?」
「・・・気分次第かしら?これと言っては無いわね」

えー。そりゃねーよ。
風ちゃん、あんまりだ。
直球すぎる。いや、山なりじゃん。
ホームランでしょ、それは。
俺の人選ミスか、もしかして?

「詳しく話しなさい。聞いてあげるわよ?」
「か、華琳様。あれは軍事機密です。おいそれとは!」

ふむ?軍事機密なのか?冷蔵庫って?
でも、この時代ではありえないから、そうなのかも知れないな。
猫耳は止めるけども、華琳さんの目は・・・話せ、か。

「えっとですね。新店を出そうかな~、と思ってまして。南皮に」
「南皮ね・・・海産物でも扱う気かしら?」
「色々です。串揚げ専門店を考えてます」
「自分でやれないから出さないのでは無かったの?」

そういや、そう言ったっけ?

「洛陽で出すのは試験的な一部です。俺が作り方を出して、店に流す。で、店がお客さんに出す。これだと洛陽でも色々作る事は出来ます。理由になりますから」
「理由?詠ね」
「そうなんですよ。あんまり仕事と関係ない事してると怒られるんです」
「はあ?貴方本当に店主やってるの?何それ、怒られるって?馬鹿じゃないの?」

五月蝿いよ、猫耳。
こっちにも色々事情ってもんがあるんだよ。

「なるほどね・・・で、冷蔵庫か・・・良いわよ。協力してあげても」
「か、華琳様!?」

なんですとー!
何故にこんなあっさり?何か裏があるな?
つか、風ちゃんと稟さんを使った俺の立場はどうなる?

「桂花?少し席を外して頂戴。呼ぶまで入って来ないように」
「か、華琳様!いけません!このような男と二人きりなど!」
「桂花?」
「・・・か、畏まりました」

ん?何の話だろ?二人っきりが良いなんて。
愛の告白はありえんしな。
あったら指差して笑ってやる。

「いい!華琳様に何かあってご覧なさい!この城から生きて出られるなど思わない事ね!」

何もしないって。
しかし、三下のテンプレじゃないか、それ?

「分かってますよ」
「いい?絶対よ!」

出て行く前にも睨まれました。
困った子ですね。

「で、何の話ですか?」

華琳さんは立ち上がり、机の中から何かを取り出しました。

「見てもらいたい物があるの。これよ」

黒い塊?・・・なんじゃこりゃ?

「これは?」
「火薬よ」

ふむ。

「少し説明しましょうか。座りなさい」

薦められる椅子に掛けます。
火薬ね~。詳しくないぞ?そんなもん。

「この前、徐州を攻略したのは知っているでしょ?」
「はい」
「といっても殆ど戦闘はしていないのよ」

なるほど。やはり逃げたか。
でもチャレンジャーですね~。
益州は遠いぞ?北郷君よ。

「既に逃げてましたか?」
「誰から聞いたの?いえ、知っていたのね?」

まあ、知っていたと言うか、何と言うか。

「まあ、そんな感じですよ。で」
「北海を抜けて、劉備の領内に入ってからよ。地面に罠が埋めてあってね。真桜が解明してくれたけど。竹の中に火薬が仕込んであってね。体重を掛けると爆発する仕掛けになっていたのよ。死者は無し。負傷者だけ出たわ。そのおかげで進軍速度が遅くなってね。本城に着いた時にはもぬけの殻。追いついた時には、荊州を抜けていたわ。最後の橋で追いついたけどね」

ふーん。で?

「で、何ですか?」
「この火薬、見た事が無いのよ。それに火薬の小型化は難しいの。徐州の劉備があれだけ大量の火薬を保持出来るとも思えない。この火薬に心当たりは無いかしら?正直お手上げなのよ」

北郷君かな?この前まで学生さんだったみたいだし、理系なのかな?
どうなんだろ?
火薬ね。安い火薬・・・あれかな?

「多分ですけど、北郷君でしょうね」
「『天』いや、未来の知識ね」
「恐らくは。多分これは黒色火薬だと思います。作り方とかは分かりません」
「分からないのね」
「いや、知っていても教えませんよ?まんま武器じゃないですか」
「冷蔵庫と引き換えよ」
「んな阿呆な。じゃあ、冷蔵庫作ってくれないんですか?」
「最初から作るなんて一言も言ってないじゃない」

うわー、汚ねー。

「冗談よ。教えてくれれば無料で作ってあげたけどね」
「本当に分かりません。料理だって二十年以上も前の記憶を掘り起こして作業してますから」

そうなんですよね~。なんとか覚えているものを書き留めてはありますが。
名前だけとか、どんな味とか、こんな見た目とか。その程度ですけどね。
おかげで小遣いが無くなる無くなる。おっと逸れましたね。
黒色火薬の名前は知ってます。
作り方とかは考えた事もないですね。
軍事に関わる気は無いですし。
でも、間接的に協力はしてる形ですけどね。仕方無しです。分かってはいます。
ん?そうか、だから猫耳を外に出したのか。
華琳さん優しいっす。涙出そうっす。

「火薬に関しては結構。もういいわ。次は・・・菓子ね」

おお、忘れてた。
そういや、そうだった。

「美味しかったら作ってくれませんか?」
「そうね。自信があるの?」
「それは当然。前のプリンより素晴らしい出来かと」
「へぇ~。面白そうね、それ。良いでしょう。気に入れば作ることは許可しましょう」
「ありがとう御座います」
「気に入らなければ・・・ぷりんの作り方でも教えて貰いましょうか」

勝った!
小遣いほぼ二か月分の力を思い知れ!

「結構大きいですよ?皆で食べますか?」
「そうね。その方が良いでしょう。中庭に行って待っていなさい。直に向かうわ」
「分かりました」

勝手知ったる何とやら。
お城はいつの間にか詳しくなりました。
ここを抜ければ中庭に・・・風ちゃん?
木陰でお昼寝中の風ちゃんを発見。
折角のお菓子ですからね。見つけたのですから起こしてあげましょう。

「おーい、風ちゃん?風ちゃん?」

返事が無い、ただの屍のようだ。
では無いですけど・・・
人を起こす時は、濡れ布巾を顔に掛けると一発なんですが。
今無いし。
ふむ。鼻摘んでみますか?
どうかな?
起きる気配が無い、ただの屍のようだ。
でも無く。
困りましたね。どうしようかな?でも・・・
・・・放っておきますか。
と立ち上がって中庭に向かうと声を掛けられました。

「む~。お兄さんは薄情者です」
「起きてたんだろ?寝息が規則正しすぎるよ」
「そこは気付かない振りを」
「あのね・・・ま、いっか。風ちゃんもおいでよ。お菓子持ってきたからさ」
「風はお菓子で釣られませんよ?」

と言いつつ付いてくる風ちゃん。
それに君は葛餅で買収されたでしょ?

「寝ている女の子をだっこで、とは考えなかったのですか?」
「ふむ。それね。今日は手荷物があるからね。無かったらしてたと思うよ?」
「そうですか~」

うーん。未だに良く分からん。
結構店に来てくれてるし、話もするんだけどな。
つかみどころが無い子ですね。
でも、そこが魅力的でもあります。
あと、可愛いし。
中庭のお茶専用テーブルの準備をしてっと。
ああ、割とこういう事やらされます。
用事があって来たら、お茶淹れろって。
この時代のお茶は面倒なので好きじゃありませんが、淹れれます。
月が教えてくれました。
待つこと暫し、現れたのは、三軍師と君主様と姉妹二人の計六人。
うん。割りやすくていいですね。五人とか難しいですから。

「徐晃?今日は何を振舞ってくれるのかしら?」
「ではでは、じゃじゃーん」
『おおーー』

お、歓声付き。
でも、クルクルは興味を示さない。嫌いな物でも入っているのか?
違うな?あの顔は・・・割と気に入っていると見た。

「徐晃?見た目もこだわったのね」
「まあ、それなりに。おかげで小遣い殆ど無いですよ」

では切り分けるとしましょう。

「どうぞ」
「では頂きましょう」
『はい』

どうかな?
美味しいとは思うけど。
皆揃ってパクリ。

『・・・美味しい・・・』

揃ってポツリと漏らす。
ふむ。好感触。問題は・・・

「徐晃?」
「はい」
「これは何と言う菓子なの?」
「タルトです」
「樽と?徐晃、見た目とは違い珍妙な名前だな?」

それはお前の頭だ。

「姉者。美味いのだから良いではないか」
「うむ。そうだな秋蘭。徐晃、なかなか良く出来ているぞ」
「結構自信作ですからね」

いつもながら、この阿呆毛はどこかムカツク。でも面白いから良い。

「周りの生地もさくっとしていて、中の物はこの前のぷりんでしょうか?でも味が違うような気が」
「稟さん、前に食べたのは普通のプリンです。これに使ったのはカスタード入りプリンって感じかな。舌触りも良いでしょう?」
「ええ、素晴らしいです」

ここに一番金が掛かってます。
この配合バランス!切っても流れ出ない!しかも滑らか!
もうね、毎日やってると気がおかしくなりそうでしたね。三食カスタードプリン付きとかね。

「風はですね~。乗っている果物が良いと思いますね~。かすたーど?が甘いけど、この果物の酸味で丁度良い感じになりますね~」

そう、そこです!
よく気が付いてくれた!
俺は嬉しい。

「これはカスタードと果物の調和に狙いを付けた物だからね。甘いカスタードだけでも良いかも知れないけど、ちょっと酸味のある果物と併せた方が、味がぼけないでしょ?」
「ええ、甘いけどすっきりしていて~。いくらでも食べれちゃいますね~」

ああ、分かってくれた。俺は嬉しい。
味云々より、こういった理解をしてくれる方が嬉しいです。
味は三人の妹が、お墨付きをくれてますからね。

「徐晃?」
「はい」

ドキドキします。緊張ですね。

「菓子専門店の予定は?」
「うーん。やはり食事優先ですね。趣向品は後です。でも計画段階ではありますが、ありますよ」
「洛陽で出しなさい。それが条件よ」

それって冷蔵庫の許可が出たって事?

「冷蔵庫・・・作ってあげましょう。その代わり、費用は持ちなさい」
「ん~、値段次第なんですよね。実は」
「ならこうしましょう。貴方の村の石炭堀り、私が買いましょう。そのものをね。報告書によれば脈になっているそうじゃない。貴方縦にしか掘らないから産出量が少ないのよ。私が買い取って横に掘るわ」
「でも、横穴は危ないですよ?」
「戦に出るよりよっぽど安全よ。それにそんなものは考えれば良いだけ。で、どうなの?」

ここで返事をしないと次は無さそうだな。
高順さん達の仕事は、南皮店を出すのであれば、また一つ村を買うか?
そこで、漁をやってもらおう。他にも色々あるしな。
資本も手に入るし。危険な仕事は華琳さんが何とかしてくれるし。
多分危なくないようにやるんでしょう。どうするかは知らないけど。

「分かりました。それで結構です」
「結構。久しぶりに当たりを引いたわ。貴方の料理で当たりを引いたと感じたのは、初めてあった時以来ね」
「他は不味いみたいな言い方ですね」
「褒めれば調子に乗るでしょう?仕事中以外は。それにこう言っているのだから、認めてはいるのよ」

ならそう言えって。
素直じゃないね、この子は。

「細かい事はまた後日って事で。俺はこれで失礼します」

ん?猫耳の感想聞いてないや。

「そういや忘れてた。荀彧さんはどうですか?」

一同の視線が猫耳に集まる。
ん?気が付かなかったけど、何かブツブツ言ってますね。
と、突然。

「貴方何て物作ってるの!太るじゃない!そんなに太らせたいの!」
「?・・・じゃあ、食べなきゃいいでしょ?」
「出来る訳ないでしょ!あっ、分かったわ!わざとでしょ!そういう策なんでしょ!キィィーーー!!!」

ジタバタしてます。
うーん。美味しかったって事でいいんですよね?
自信ないな、こう言われると。

「美味しいらしいですよ~。お兄さん」
「だよね?」

なんだかなー。
美味しいなら美味しいって言えば良いのに。
華琳さんも荀彧ちゃんも素直じゃないですねー。
人生損しますよね。
そう思いませんか?
と思った昼下がりでした。



あとがきです。

長いけど削れなかったです。
気が付けばお漏らし少女は出てこずw
ま、いっかw
ではまた次回をよろしくお願いします。



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