注! 軽い独自設定、ひどいキャラの壊れ有
昔、ある少年が使い魔として召喚されるより二十数年前、一人の転生者がここハルケギニアのトリステインに生まれおちた。
彼は別に特別な才能を持っているわけではなかった。
確かに、貴族の家系に生まれはしたが、魔法の才能はドットに毛が生えた程度。日本のアニメ、漫画、ゲーム等からヒントを得て魔法の新たな技術を編み出したわけではない。彼は中卒だったので農業、工業に関する知識等望めるべくもない。
しかし、彼は己の体が抱える一つの苦しみを克服するために、前世の世界にあったものを再現した。しかし、それは彼と同じ苦しみを持つ者、持たない者を区別なく魅了し、果てには一つの戦争を未然に防いだ。その功をもって、彼は後の歴史書にジャン・コルベールと並んで、『偉大なる発明家』として名を残すことになる。
彼がそれを再現するにあたって、最初に目を付けたのは当然ながら魔法である。
彼は当時、とりあえず自分の目的さえ達成できれば良かった。しかし、この試みは二年で頓挫した。理由は単純明快、彼の技量不足であった。彼の苦しみの根源がある場所はとてもデリケートな部位であったため、高度な魔力操作技術が必要とされた。しかし、先述の通り彼には魔法の才はなく、新たな術式を編み出すほどの頭もなかった。
彼はその後、数々の試行錯誤を繰り返したが、それらは全て失敗に終わる。夢破れ、打ちひしがれた彼は傷心を癒すため、雄大な景観で有名なアルビオンへ観光に行った。
アルビオンと言えばなんと言っても王城がある巨大浮遊島と空船であろう。それらが何故空を飛べるのかについて、今まで開発にその人生のほとんどを費やしていた彼は今更ながらに疑問に思い、近くの船員に尋ねてみた。
「へい、俺らにゃよく分かりませんが、なんでも船に底にそりゃぁでっけえ風石を使ってるって聞きやしたが」
その答えが、彼に天啓をもたらした。
船員の言葉から「風石」というのは、その大きさによって出力が変わるらしい。と、言うことはだ。小さな風石を使えば、一定の出力で微風を発生させることができるということだ。
彼は即刻自宅に舞い戻り、貴族の持つ財力をもって各地から「風石」「火石」「水石」を取り寄せ研究室に閉じこもった。そして、「石」の大きさにその出力がどれほど比例しているか、器具に取り付け、最高の効果を発揮するにはどのようにカットすればよいのか、研究を繰り返した。
そしてついに、彼が再開発に取り掛かり五年がたった時、それはハルケギニアの地に現れた。彼は約二十年ぶりのその感触に歓喜し、家族は長年の彼の変な研究が終わったことに、共に涙を流しあった。
その後、彼はごく普通の貴族として過ごしていた。しかし、彼の家に訪問した他の貴族達にそれを使わせてみた所、彼らもその甘美な魅力の虜になってしまった。そして、彼の家のそれは瞬く間にトリステインの貴族間で話題になり、ついに女王、アンリエッタの耳に届く程になった。
以下はそれを彼女が使った時の反応である。
「あら、金属なのに温かいのですね。……えぇと、これを引っ張ればよいのでしょうか?ひゃんっ! ちょ、ちょっと待ってください。み、水が、そ、そんなところ……あっ、あ、こ……これ、は……ん、んっ!………………ハッ、はぁぁぁぁぁぁっ。……ふうっ、あら? 風が……あぁ、これで乾かすのかしら……
…………勲章には何と銘打って授ければよいのでしょう」
姫に大好評だったそれは遂に国境を越えていく
友好の証としてそれが贈られた国では……
「ふ、ふふ、ふっはははははははははっ! なんと! なんと心が震えることか! あぁ、シャルルよ、これこそお前が、いや、俺たちが望んだものなのだろうか?」
「ジョゼフ様があんな笑顔を見せるなんて……」
「おぉ、これこそブリミル様が我々に与えたもうたもの。
そうか、聖地なぞ求めずともブリミル様の御心は常に我らと共に……」
「ええ、その通りです。教皇様。これは私達に足りないものを、いらないものを教えてくれましたのです」
こうして、起こるはずだった戦争は水に流され、平和な世界が続いていった。
最後に、彼の持った苦しみと、彼が再現した物を語って、この話を終えようと思う。
そう、彼は重度の痔であり、再現したのはウォシュレットだった。
感想・批判、気が向いたら書いてください。つーか俺何書いてんだろ
補足説明;火石は便座の保温、水石は水の射出、風石は乾燥に使用。彼は無駄に完璧主義。