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No.7970の一覧
[0] 【種運命】機動歌姫 偽ラクス様【魔改造?】[kuboっち](2011/12/14 08:37)
[1] 偽ラクス様、立つ[kuboっち](2009/04/18 23:02)
[2] 偽ラクス様、戦う[kuboっち](2009/04/18 23:12)
[3] 偽ラクス様、叫ぶ[kuboっち](2010/02/25 23:53)
[4] 偽ラクス様、感謝する[kuboっち](2010/04/01 00:46)
[5] 偽ラクス様、語る[kuboっち](2010/04/25 05:34)
[6] 偽ラクス様、誓う[kuboっち](2010/05/04 23:35)
[7] 偽ラクス様、奮戦する[kuboっち](2010/06/15 23:42)
[8] 偽ラクス様、迎える[kuboっち](2010/09/09 19:12)
[9] 偽ラクス様、誘う[kuboっち](2010/10/30 23:20)
[10] 偽ラクス様、祈る[kuboっち](2010/11/17 09:15)
[11] 偽ラクス様、伝える[kuboっち](2011/01/27 08:29)
[12] 偽ラクス様、降りる[kuboっち](2011/01/30 13:53)
[13] 偽ラクス様、解放される[kuboっち](2011/03/10 10:10)
[14] 偽ラクス様、遭遇する[kuboっち](2011/03/16 06:26)
[15] 偽ラクス様、対決する[kuboっち](2011/03/28 22:12)
[16] 【嘘も良いところ】魔道歌姫☆真ラクス様【クロスもしてる】[kuboっち](2011/04/02 00:08)
[17] 偽ラクス様、肩の力を抜く[kuboっち](2011/04/28 23:04)
[18] 偽ラクス様、デビューする[kuboっち](2011/05/15 11:11)
[19] 偽ラクス様、共感する[kuboっち](2011/08/06 20:58)
[20] 偽ラクス様、萌える[kuboっち](2011/08/11 21:54)
[21] 偽ラクス様、理解する[kuboっち](2011/09/16 05:04)
[22] 偽ラクス様、悟る[kuboっち](2011/09/16 05:09)
[23] 偽ラクス様、恐怖する[kuboっち](2011/10/11 22:35)
[24] 偽ラクス様、再出撃する[kuboっち](2011/11/11 05:14)
[25] 偽ラクス様、投げ飛ばす[kuboっち](2011/12/14 08:35)
[26] 【悪ふざけ】魔道アイドル☆真ラクス様【短編だよ】[kuboっち](2012/01/16 21:24)
[27] 偽ラクス様、去る[kuboっち](2012/04/24 05:08)
[28] 偽ラクス様、ライブする[kuboっち](2012/06/07 19:16)
[29] 偽ラクス様、投げ飛ばされる[kuboっち](2012/08/28 09:55)
[30] 偽ラクス様、後悔する[kuboっち](2013/02/21 18:54)
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[7970] 【悪ふざけ】魔道アイドル☆真ラクス様【短編だよ】
Name: kuboっち◆d5362e30 ID:86a73ab5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/01/16 21:24
注意1 アイドルマスターが面白かったからいけない。
注意2 アイマスキャラが掴み切れていないに違いない。
注意3 真ラクス様が人間を辞めていないはずがない。
注意4 悪ふざけ以外の何物でもない。
注意5 年末年始、テラ魔物。







765プロに所属するアイドルたる如月千早が早朝にその公園を散歩するのは日課の一つである。
辺りはまだ些細な程に弱い朝日と朝霧が包み、彼女以外に人影はまばら。

「ん~」

大きく伸びと共に深呼吸をひとつ。素顔に当たる僅かに冷たい風が心地よい。
それなりに売れてきたとはいえ、早朝のこんな時間にこんな場所で衆目に追われるほどのBIGネームでは無い。
だが昼間に同じ場所を素顔で悠々と闊歩できる身分では無い。人混みを歩くならば帽子や眼鏡で軽く変装する必要がある。

「名前が売れるのはアイドルとして喜ばしい事なんだろうけど……」

それを煩わしく感じてしまう点で、私は同僚の子たちとは違うのかもしれない。
アイドルというのは私にとって目標や夢では無く『手段』なのだ。



「歌を……歌うために」


公園の敷地内でも奥まった場所、人もほとんど来ない寂れた野外ホールがある。
それこそ私たちのような職業の人間が音楽を披露する為に作られたのだろう。
しかし少しばかり小型過ぎた為か? 最新技術を駆使した音響機器が設置されている訳でもないからか?
見えて来た白亜の壁や椅子には草臥れた色を魅せ、踏み入れた先には落ち葉が積もっていたりする。

「今日も誰も居ないっと……」

ライブでも準備でもしていたら使えなくなるところだった。

「んっんっ!」

軽く咳払い。大きく朝の澄んだ冷たい空気を吸い込んで……

「あ~あ~ん~」

発声練習。
音響機器の類は設置されていないが、ホールと言う形状の関係で音は良く響く。
スタジオなどの完璧な状態には劣るものの空の下で思いっきり声を出し、それが一定量の反響を持って帰ってくる。

「それじゃあ……」

喉が温まってきたのを確認し、私は歌い始めていた。
最近は名前や顔がテレビなりに露出する場面が増えている以上、何時までこんな早朝の秘め事を続けられるかは分からない。

「□□□♪」

歌う。
まず自分のオリジナル。まだ数は多くないが、徐々に増やしていきたい
次は流行の歌、いわゆるオリコンの上位曲。その順位に存在する事が疑問に思う歌も在るが、それはそれで研究する価値がある。
そして小学校の音楽の時間で習うような歌。それが私の歌の原点たる以上、蔑ろにする事は決してない。


「……ふぅ」

時間にして一時間少々。太陽の光は徐々に強くなり、周りからは人の気配が満ちてくる。
ここでの時間はこれにて終了だろう。そう思った時だった。

「素晴らしい歌でしたわ♪」

「っ!」

軽やかな拍手と更に軽やかな声が辺りを満たす。入口からゆっくりと歩いてくるのは自分よりも少し年上の女性。
まず目を引くのはその輝くような桃色の髪。女神の如きたおやかな微笑。
カジュアルなコーディネートでありながら、何処か浮世離れした印象を感じる衣服。
それらの要素が一切の違和感なく合致し……何故かこんな場所にいる事に不自然さを覚えない。

「ありがとう……ございます」

「あぁ……人様の歌でここまで心を動かされたのは久しぶりで……そう、『あの方』以来ですわ」

軽快なステップをやはり違和感無く伴い、私の方へと階段を下りてくる。

「お名前を伺っても?」

「如月……千早です」

「歌を歌うお仕事をされているのですか?」

「アイドルを少々……」

「代表曲は?」

「今のところは……青い鳥です」

「所属事務所は?」

「765プロです」


そこまで淀みの無い会話を繰り広げて、私は『ようやく』疑問に襲われた。
『どうして私はこんなに簡単に色々と話してしまっているのだろうか?』と
正直な話、私は人付き合いというのが大の苦手だ。アイドルとしては致命的な弱点と言える。
同僚として同じ事務所に所属している他のアイドル達と話すのさえ、私が一方的に苦手意識を持っている。
誰もが私とは違う眩しくて、真っ直ぐな娘達ばかりだから。

「どうして……」

「?」

そんな相手とすら会話が続かないのに、如何して初めて会った『浮世離れしているのに違和感を覚えない奇妙な女性』とこうも会話が弾んでいるのだろう?

「それでは近いうちにまたお会いしましょう」

感じた事の無い疑問と不安に答える訳でもなく、ただ名残惜しそうに背を向ける女性。
この感じた疑問に一切の答えを提示する事無く、背を向けることに対して良い訳もしない人物。
普通に考えれば決して気分のいい存在ではないだろう。しかしその背中を見送ると感じる事は一つだけ。

『また会いたいな』

この人がただしいとするならばやっぱり私が可笑しくなったという事なのだろうか?










961プロ。961はクロイと読むそうだ。
そんな名前のプロダクションが存在する事は芸能界、もっと言えばアイドルをと言う職業に片足でも踏み込んでいれば誰もが知っている名。
ネーミングのセンスがうちの会社に似ていると思ったら、ウチの社長とは浅からぬ因縁があるらしい。

互いを比べてみると……
プロデューサーやアイドル達の自主性を重んじる765プロ、社長のワンマン過ぎる経営の961プロ。
小さなビルの二階に居を構える765プロ、大きなビル一つを丸ごと使う961プロ。
未だに芽が出ているか?と疑問符をつけたくなる私たちだけの765プロ、今をときめくジュピターを始めとして、有名どころを複数有する961プロ。

……あれ?……なんだか比べているとため息が自然と零れてしまう。
蟻と象を比較して何の意味があるというのか? まぁ、それは横に置いておこう。


「この招待状の宛先……間違っていませんか?」

「いや、間違いはないよ」

向こうの社長と私たちの社長とは面識があるらしいが、象と蟻には直接的な接点は無い。
もちろんそれは会社としてそうであるし、私 如月千早は向こうさんとは一切の接点なんて存在しない。
一度だけテレビ局の廊下でジュピターとすれ違った事がある程度だ。
しかし眼鏡とビジネススーツが似合う当社たった一人のプロデューサーは困惑の色が強いままだが、断定の言葉を放つ。


「間違い無く君への招待状だ。961プロの新人アイドル発表会への」

『961プロが超大型の新人アイドルを発表する』
これは数日前から話題になっていた。CMは勿論、CDショップなどを中心に招待状に同封されていたチラシと同じポスターが貼られていた。
それはあまり宣伝としては伝えるべき情報に欠けるシンプル過ぎるデザイン。

真黒な紙に白で染め抜かれた記号が三つ。
漢字でも平仮名でも無く、アルファベットですらない……カタカナである。

カタカナで紙の右端を埋めるように三文字だけ。
後は下に小さく発表の日時と場所のみ。


『キケ。』

……とある。キケとはつまり『聞け』とか『聴け』という意味なのだろう。
アイドルとしての売りはその歌唱力と言う事を余りにも大きく喧伝している。


「しかし、この煽り文句は大きく出すぎだと思うんだけど」

「私もそう思います」

プロデューサーが同封されたチラシを見せながら私に問う。

「これじゃあ歌が余程のモノ……千早を一蹴にするくらいじゃないと完全に物足りないな?」

「それは褒めて貰っていると考えても?」

私は『歌』と言う一点においてならば765プロのトップである事は勿論、アイドル業界においても5本の指に入ると自負している。
コレは決して独り善がりな意見などではない。中立的な見地を持つ人々からの評価だ。
しかし歌だけでは決してアイドルとしては成功しないらしい。大変に口惜しい事に。


「それに場所も可笑しい」

「場所?……礼拝堂ですか?」

新人アイドルのお披露目の場所なんてデパートの屋上で行われるような小さなイベントで十分と言われるご時世。
私は有名バンドの前座で一曲歌ったのが初めてだった。

「大きく売り出すならもっといい場所があるだろう。カメラは当然入るんだろうけど……」

「まぁ、もっとも不可思議な事は私に招待状が来たことですが」

結局最初に感じた疑問に矛先が戻り、プロデューサーも考えるのを諦めたらしく肩の力を抜いて、随分と意地悪な笑みを浮かべる。

「まぁ、後は本物を確認してからのお楽しみかな? 
プロデューサーの一人くらいは向こうも許してくれるだろうから、僕も同行するよ。
千早にも歌だけで勝るつもりらしい新人アイドルのお手並み拝見と行こうじゃないか?」










「いよいよみたいだな」

隣に座ったプロデューサーが私に耳打ちする。必要な照明以外が落とされ、舞台上にはプレゼンターたる黒井社長が姿を現す。

「音響機器は最新鋭でしたね?」

「だけど他は全部、何処にでもある礼拝堂だ」

照明、普通。座っている場所長椅子。正面には古臭いステンドグラス。
流石に『歌』を売り文句にしている以上、スピーカーなどは最新鋭のモノになっていたが、それだけだ。
この場所とて誰もが知っているような名所・旧跡と言う訳ではない。
私たちを始め、集まっている芸能記者やカメラマンたちもこの場所を特定するのには、多大な労力を払った事だろう。
普通なら在りえないはずの場所を探す手間をかけさせられた彼らの口からは、私たちが感じた疑問を加味して……『961プロもついにミスったか?』とか聴こえてくる。


「私はこのアイドルを世間に発表するか迷いました」

何処まで偉そうで胡散臭い声はまずそう告げた。

「何故ならば彼女はこれまでのアイドルという概念を破壊してしまうような存在だったからです」

『更にハードルを上げた?』
その場にいた誰もがそう感じただろう。
よっぽどの自信作なのかもしれないが、それにしても前提となる様々な条件と鑑みれば、余りにも理想を先行させ過ぎている。

「しかし今日ここに発表する事を決意したのは……何よりも彼女の歌が素晴らしかったからです。
 彼女を私だけのカナリアにしておけるほど、私は欲に溺れた人間では在りません!
 ではどうか心して聞いて頂きたい。アイドルの名は……『ラクス・クライン』。デビュー曲は『メシア』!!」


『礼拝堂でメシアだと!? しかも日本人じゃない!?』
礼拝堂、外国人、しかもデビュー曲から曲名がメシアという仰々しいセレクト。
完全にコケる。歌う前から、アイドルの登場前から専門家の集まりである記者たちには確固たる予測を与えていた。

厳かに響き始めたのは備え付けのパイプオルガン。荘厳だが古臭く、何処か痛んだ音。
点灯するスポットライトが照らし出すのは女性。桃色というトンでもない髪色。
少し胸が薄い気もする理想的プロポーションを包むのはアイドルの仕事着と呼ぶには物足りない至ってシンプルな白のワンピース。
整い過ぎた顔立ちと混沌としながらも優しさを滲ませる不思議な色の瞳。


「公園の!?」

千早が驚きの声は辺りのザワメキとパイプオルガンの音色に掻き消され、小さく彼女 ラクス・クラインが微笑む。

それだけ。

それだけで十分。

与えられた不利な余りにも不利な条件の数々を一気にリセットする破壊力。

その場に居た誰もが自分の的確な予想を捨て去り、逆に彼女に対して『無条件の好意』を持って耳を傾ける。


「救いましょう」

それが第一声だった。割れて濁ったオルガンの音で一切阻害されず、逆に引き立て合う。


「手を差し伸べましょう」

突き出された手には『確証がない』救済の予感を『輝くほどに』宿している。
理由は無い。だがそう感じさせる何かがある。彼女はそういう『モノ』なのだと誰もが理解する。


「張り付けられた十字架の上で、なお世界を救うのです。故に……メシア」


在るカメラマンはカメラを取り落とした。
在る芸能記者はメモ帳とペンを取り落とした。
在る心臓が弱いプロデューサーは命を取り落とした……が慌てて拾い上げた。
在るアイドルは驚愕と羨望と嫉妬を持って自我を取り落とした。


そこからは全てが聖句。全てが聖書に刻まれた物語。
最新鋭の音響機器からはパイプオルガン以外の音が流れ、ラクスの口からは輝かしい神話の時代が響く。
素晴らしい音響効果を目指して作られた訳ではない木製の礼拝堂を一切の隙間なく『蹂躙する優しき言葉』。
指の先から脳の中枢まで『犯しつくす囁き』 『清流の如き濁流』。


「あぁ……」

誰かの感嘆のため息。それが幾重にも重なる合唱。
彼女の背後でステンドグラスの聖母が輝きを増していく。
ちょうど光が差し込み易い場所に太陽が入っただけなのだろう。
だがそれすら自然が彼女の為に生み出した奇跡……そう納得させるだけの歌。



「なんで……」

如月千早は世界すら平然と揺さぶる歌声から解放され、周りで仕事や自分を思い出した大人たちのザワメキを聴きながら零す。

「どうして……」

如月千早にとって、歌とは全てだ。
歌うために生きてきて、歌うためにアイドルをしている。

「どうして……」

だがそれは眼前の存在の完膚なきまでに否定された。
今の目の前で展開された『悪魔の如き聖歌』に堂々正面から対抗できる歌。
そんな歌を千早は持っていなかった。故に自分はアイドルたりえず、歌う事たりえず、存在する価値は無い。


『ここまでおいでなさい』

「っ!?」

気がつけば壇上からラクスは自分へと視線を向けて……手招きしていた。
誘っている。笑われている。同時に認められている。この怪物は私の歌を『宿敵』足りうると言っている。

「プロデューサー……この歌を私は超えます」

「ちっ千早?」

プロデューサーは驚きを持って自分が任されたアイドルの方へと視線を向けた。

「私には歌しかないから」

研ぎ澄まされていく。余計なモノをすり減らし、歌う事のみに特化していく。
プロデューサーや事務所の仲間たちとの交流で丸められた『千早』が尖らされて逝く。
胸に疼くのは幼い少女にしては重すぎる死者への愛しさと謝罪。自ら定めた定めにのみ忠実な器械へと変わっていく。


「プロデュース、よろしくお願いしますね?」


人間としては全く嬉しくないのだが、この時プロデューサーとして世紀の歌姫 二人目を背負う事になった彼は仕事柄、嬉しく感じる他ない。





『ラクス・クラインの歌は人生を変える』

彼女が生まれた世界は勿論、偶々流れついた平穏な世界ですらそんな風に称えられ、崇められ、恐れられる事になった。








本当はここからストイック過ぎる方向に覚醒し、歌に必死さと悲壮感が増した(間違った)覚醒千早が主役になる『鬼道アイドル☆チハヤ』を書く予定だったのだが、『種運命関係無くね?』と気がついて止めました。

続きが読みたい危篤な方は『鬼道アイドル、希望』と書き込んでみたりしたら、万が一にも続きが!?……そんなバカな。


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