俺様の名はオズワルド!シオンの頭を筆頭にして、己が信念の為、日夜戦い続ける男だ!勿論、給料は戴いてるがな!しかし、最近それは口実で、本当に信念の為に戦ってる感がある……自分でも似合わないって自覚はあるんだ!ほっとけ!!そんな俺だが、今は頭の親父に当たるレイナードの旦那に随伴して、王都に向かい進軍している。子分のビリー、マーク、ニール、ザムも一緒だ。まぁ、これも偏にバーンシュタイン王国を偽王から開放する為だという……そんな戦いに参加してるとは、我ながら信じられないぜ。……リビエラの奴は勝手に残りやがったが……、リビエラは頭が連れて来た娘で、確かに優秀だし、色々な知識もある……まぁ、料理の腕は今ひとつだが。あれなら、俺様のほうがまだまともな物が作れるぞ?……まぁ、頭にゾッコンだったみたいだから、仕方ないっちゃあ仕方ないのか?しかし、ここまで来ることが出来たのは俺達が奮闘したからだ!それは胸を張って言えるぜ?特にレイナードの旦那を説得しに行った時なんかな……。*********「ここが……頭の……」俺は思わず見上げちまう……で、でけぇ……目茶苦茶でかい屋敷だ……。「……インペリアル・ナイトの息子だってのは、マジみたいですね……」ビリーも同じ様にぽかーんとした顔で見上げてやがる。「正確には元…って付くらしいけどな……」「スゲェっす!流石は頭っす!!」「…………」マークも、ビリーの言い分を訂正しながらも開いた口が塞がらない。ニールの野郎は興奮してやがるし、ザムの奴も目が点になってやがる。ちなみにリビエラは元シャドー・ナイトらしいので、バーンシュタイン王都に足を運ぶのはヤバイってんで、アジトで留守番だ!「よし!行くぞお前ら!!……頼もーーーっ!!」俺は門の前まで行き、大声で叫ぶ。すると、執事らしき爺さんが出てくる。「………当家に何用でしょうかな?」警戒してやがる……まぁ、俺らの格好を見たらな……明らかにカタギには見えないからな。しかし!俺様には切り札がある!!「俺達はシオン・ウォルフマイヤーからの使いだ。ここに紹介状もある。家主への面会を願いたい」俺はこの時の為に頭から預かった紹介状を提示し、それを柵ごしに執事の爺さんに渡した。「!!こ、この筆跡は……し、少々お待ちを」爺さんが慌てて屋敷に入っていく……多分、家主に見せるんだろ。まぁ、間違いなく頭が書いた物だからな……確認するまでもねぇだろう。しばらくすると、執事の爺さんが慌てて戻って来て門を開く。「大変失礼致しました!どうぞ、お通り下さい」……そこまで腰を低くされることもねぇんだが……ま、良いか!気分も良いしな!「おし、行くぞお前ら!!」「「「「うっす!兄貴!」」」」俺達が通されたのは応接室の様な場所……そこに居たのが、口髭を生やした茶髪の男……。そして、長い銀髪を携えた少女にも見える女……。「私がこの屋敷の主、レイナード・ウォルフマイヤーだ」「私はリーセリア・ウォルフマイヤー……レイの奥様なんですよ♪」「いやリース……今はそういう話をしているんじゃなくてだな……」この二人……特に男の方からただ者じゃない雰囲気を感じた俺だったが……一気に空気が緩んだ……。頭いわく、この二人は頭の親で、一言で言えば……。「あら、愛する夫の妻だと宣言することは、悪いことじゃないでしょう?……駄目だった?」「やれやれ……リースには敵わないなぁ」『バカップル』なのだそうだ……。言葉の意味を聞いたら、馬鹿みたいにイチャツクカップルのことを言うらしい。「あ・な・た……♪」「リース……♪」成る程……納得した。なんか空気が違う……。流石の俺達でも、この空気を破るには勇気や根性、その他諸々の何かが必要だった。それから十数分後……「ゴホン、それで…何用かな?」やっと正気に戻ったレイナードの旦那は、ようやく話を聞いてくれるらしい。なんか、果てしなく疲れたぞ俺様は……。しかしそこは任務…俺は旦那に手紙を渡す。シオンの頭からの手紙だ。内容は現在のバーンシュタインの内情について書かれた物だ。調べたのはシオンの頭と、ラルフの旦那だが。俺達もある程度の事情は教えて貰っている。……信頼されてるってことなんだろう。照れるぜ!!「……ここに記されていることは真か?」「へい、その通りで」レイナードの旦那は難しい顔をして唸る……。俺は旦那の言葉を肯定する。「……俄かには信じられん。これは言わば、反乱を促す様な物だ……こんな物をシオンが……だが、この文字は間違いなくシオンの文字……」ワナワナと震えながら、手紙を握り締める旦那……。こりゃあ駄目か……?頭も『父上は頑固だからな……もしかしたら、納得してくれないかも知れない』と、言っていたからな……。「レイ……あの子が、シオンが言うからには、理由があるはずよ?あの子が、考えも無しにこんなことを言うとは思えないもの」「リース……」ここで意見を出したのが、同じく手紙を読んだリーセリアの姐さんだった。「現に、この手紙にも理由が書かれているじゃない……」「……分かっている。……宮廷魔術師のフォルトナ殿が賊に襲撃された事件があったが……もしや関係があるのかも知れん……王家の剣たる我らが、王家そのものに疑念を抱くなど、あってはならないことだ……だが」手紙に何が書かれていたかは分からない。しかし、重要な……そして決定的とも言える事柄が書かれてるんだろうよ。「……話はわかった。オズワルドと言ったな?お前達がこのアジトとやらに案内してくれるのだな?」「はい、その為に使いに来た次第で」「わかった……ならば私は今すぐ兵や使用人達を集めておこう……リースも準備しておけ」「わかったわ、レイ」そう言って、レイナードの旦那は応接室を出て行った。「オズワルドさんよね?息子の手紙で読んでたわ……楽しくて熱い仲間だって」「いやそんな滅相もねぇ!……俺達が、勝手に頭を担いでるだけでさぁ」仲間か……そう思ってくれてるなら、この上なく光栄だがよ。マジでな。「レイの扱きは大変だろうけど……みんな頑張ってね?」「「「「「……はい?」」」」」なんのことだ?この時の俺達には分からなかったが、後で嫌と言うほど思い知らされることになる。それから数時間後……広大な庭には千人近い数の兵士、そして十数人の使用人達が集まった……もう周りは夕方だったが。既に事情は説明され、反応は様々だが、最終的には全員が納得……レイナードの旦那に着いていくことになった。流石はシオンの頭の親……人望は負けちゃいねぇな。そして全員の意思確認をし終わった俺は、転移の腕輪を使用……アジトに飛んだのだった。********その後が地獄でな……どうも、届けた手紙の文末に、俺達を鍛えておいて欲しい的な言葉が書かれていた様で(しかも全力でとか書かれていたらしい)、兵士の調練のついでに、レイナードの旦那による、地獄の特訓を敢行された。その後も変な奴がアジトに迷い込んで来て、そいつが難癖つけて来たりしやがったので、一悶着あり、追い返そうとして危うく殺されそうになったりもした。『オリ主の俺が成敗してやるぜ小悪党!!』とか、訳の分からないことを言っていたそいつは、レイナードの旦那にボコられ、結界の外へポイされたが……あの野郎も相当強ぇのに、それに勝ったレイナードの旦那も相当だな……流石はシオンの頭の親父……。それ以降、俺達は真面目に訓練を続けた。まぁ、色々あるが……5人掛かりで一人に勝てなかったのは悔しかったし、自分の身も守れないで何かを守るなんざ出来やしねぇからな!!にしても、あの襲ってきた野郎……俺が盗賊団にいたころ……悪事を働いてた時に殺しちまった連中の家族とかだったのかも知れねぇな……。レイナードの旦那も命は取らなかったみたいだから、また俺を襲ってくるかも知れねぇなぁ……そんときは、覚悟を決めなきゃなるめぇな……。だが、俺はただでやられてやる程お人よしじゃねぇ……せいぜいあがいてやるさ。そのうえで死んじまうなら、悪党らしい死に様なんだろうぜ……。「……滑稽かも知れねぇが、弱きを助け強きをくじくってのに、全力を傾けるくらいが俺に出来る最善だからな」かつて、ガキの頃に憧れたそれを、一度堕ちた俺が成そうってんだからな。「オズワルドの兄貴!そろそろシュッツベルグに着くらしいっすよ!」「おう、わかった!!」小難しいことを考えんのは止めだ!!いつでも笑顔を忘れずに……それが俺達だ!!そうでしょう、頭?********後書KING。誰だお前は!?……と、言いたくなる様なオズワルドの独白の回でした。一応、ウォルフマイヤー夫妻説得の裏側……な感じですが、いかがでしたでしょうか?説得した時期は敢えてぼかしてありますので、脳内保管して下さい。m(__)mP・S……襲って来たのは彼です。超番外編2で詳しく書き込む予定です。それではm(__)m