俺達は父上達を見送った後、こっちで匿ってるグローシアンの人達に挨拶をしてくる。俺はオズワルド達に頼んでグローシアン達の保護をしていた……これもクソヒゲの野望を阻止する為。屋敷は自由に使ってくれて良いと言ってあるので、不自由は無い様にしてある。身の回りの世話とかはシルクがしてくれるしな?挨拶をしたら、皆さん結構元気そうだった……まぁ、この屋敷周辺は、一種の幻想空間と言っても良いくらい快適だからなぁ……。無論、庭に出ても全然オッケーだし。ただ、それでも些か不自由を感じるのは事実であり、俺は素直にそれを謝罪した。皆、気の良い人達ばかりで、気にしてないと言ってくれたけどな……。あ、ゼメキス村長やアイリーンは居ない……どうにも同行を断られたらしいな。まぁ、無理強いはしない様にしていたし、転移の腕輪も渡してるだろうから大丈夫だろう。オズワルド達が真剣に対応していたなら、あの二人の性格的に腕輪を捨てることは無いだろうし。一通り挨拶を終えた俺達は、アジトを去ることにする。「それじゃあシルク、後のことは頼むぞ?」「ハイ、旦那様!旦那様のお帰りをお待ちしております♪」可愛らしく言うシルク……まぁ、グローシアンの人達もいるからな、仕事のやり甲斐はあるだろ。何気に働き者だからな……シルクは。さて、早速……。「ちょっと待ってよ」この声は……。「なんでお前がここに居るんだよ?」「あら、私が居ちゃ悪い?」いや、そういうこと言ってるんじゃないし……。俺の視線の先には、女性が居る。母上の様な長い銀髪を腰辺りまで伸ばし、左側にサイドテールにして一部を結んだ髪型。ピッタリとした黒いノースリーブの服を纏い、白いプリーツスカートを身に着けている……。そして掛値なしの美女だ。……分かる人には分かるだろう。彼女の名前はリビエラ・マリウス。元・シャドー・ナイトだった者だ。ついでに言えばⅡのキャラですね。「そうじゃなくて、俺はオズワルド達と一緒に行動してくれ……と、言った筈だけど?」「だって、屋敷から出たらもう出て行った後だったんだもの……今から追うのも何だしね」「……わざと隠れていたな?」「さて、何のことかしらね?」隠しても分かる……俺は気が読めるんだからな……いつまでも隠れてるから変だとは思ったんだがな。ちなみに何故リビエラがここに居るかと言うと……以前、俺とラルフがシャドー・ナイトを追っていたのは覚えてると思う。では、その時に面白い出会いがあった……というのは覚えてるだろうか?何を隠そう、その面白い出会いって言うのがリビエラだったのだ。正確には、リビエラと姉のオリビアの婚約者の男……だったのだが。二人は……いや、姉のオリビアもシャドー・ナイトだったんだが……Ⅱのリビエラの過去話のシーンに遭遇してな。あのリビエラを逃がす為に、婚約者の男が一人残って犠牲になったって奴。あれ?このシーンってもう少し後の話だよな??とか思いつつ、俺というイレギュラーがいる影響か?とか、考えたりした訳だが……。実はそれを助けちゃってさぁ……追っ手の兵隊さん達には気絶して貰ったりして。で、俺とラルフは男を連れて逃走……で、交渉の末、男はシャドー・ナイトを抜け、更には近くで待機していたリビエラ、オリビアも拉致。お話して、オリビアとリビエラもシャドー・ナイトを抜けることに。オリビアと婚約者も、この任務が終わればシャドー・ナイトを抜けるつもりだったらしい。とは言え、例え生きて帰ったとしても、あのガムランが生きて抜けさせる――なんてことはしないだろう。まぁ、それも交渉する際のキーの一つだったんだがな。それからしばらくはオリビアとその婚約者は、この屋敷に居を構えていた。ここなら誰にも見つからないだろうからな。今?今は父上の挙兵に賛同して、部隊の一員になっています。流石に母国を取り戻したいって言う気持ちを、押し込めたりは出来ないからな。話が逸れたな……で、リビエラなんだが、男を助けたり、色々根回ししたことに恩義を感じているらしく、俺に協力を申し出て来た。他の二人もそうだったんだが、俺が説得して我慢して貰った。が、リビエラは頑なに協力すると言い張り、俺は仕方なく頷くことにした。一応言っておくが、本気で舌戦するなら負ける気はしないぞ?だが、善意で言ってくれてるのは分かったので、素直に力を借りることにしたのだ。「相変わらずだね、リビエラさん」「あら、ラルフも久しぶり!元気してた?」そんなこんなで現在に至る……本当はオズワルドと一緒に遊撃部隊を指揮してもらう筈だったんだが。「あの、シオンさん……この人は……」カレンが首を傾げて聞いてくる。「ああ、彼女はリビエラ・マリウスと言って」「シオンとはこういう仲よ」ぎゅっ♪「!?Σ(´゚□゚`;)」リビエラが俺の腕を取り、腕を組んで来る……って待て!?「お前、冗談は止めろっての!!見ろ、カレンがあんな顔になっただろう!」あんな顔とは(´゚□゚`;)こんな顔。ちなみにエリオットは……。(□゚*;)ラルフは(^_^;)だ。シルク?シルクは(//△//)だ。「あら、冗談のつもりはないけど?」むにゅん♪!!こ、コイツ……胸を!?「ちなみに、わざと当ててるんだからね?」「バッ!?」馬鹿言ってんじゃねぇ!!と、言おうとしたが。「……シオンはこうでもしなきゃ、気付いてくれないみたいだからね……さりげなくアプローチしても気付かないし」顔がほんのり赤い……マジか?…………あぁ、考えてみたらそんなことあったかも……。何度かオズワルド達と連絡を取る際、リビエラが連絡役になったことがあったが……あの時も……その時も……。今思い出せば、怪しいと思うものは幾つも……。マジかよ……我ながら情けなくなってくる。とは、言え……これの返事となると……。「悪いが、俺は……」「知ってるよ、複数の女性と関係がある……でしょ?そこの彼女と他にも」「な、何でそれを?」「ここに滞在してる時にシオンのお母様が手紙を読んで聞かせてくれたからね……だから知ってる」は〜〜は〜〜う〜〜え〜〜……アンタ何してるんですか!?「だから、さ。私も仲間に入れて貰おうかなぁ、てね♪」「お前……それは……」「……ちなみに本気だからね」……真剣に見つめてくるリビエラ。どうやらマジらしい……だが俺は。ぎゅっ。「……カレン?」カレンが、俺の空いてる腕を取り、腕を組んで来た。「……私は、シオンさんの判断に従います。全部受け入れるって、決めてますから……」そう言いながら微笑むカレン……これは、リビエラが俺の戯言を受け入れる気だと悟ったからなんだろうな……でなきゃ今頃は……。『し、シオンさんは私達が渡しません!!絶対駄目です!禁則事項です!!』とか、言うだろうしなぁ……なんつーか、つくづく俺なんかには勿体ないよな……皆。「リビエラ……一つ聞いて良いか?何で俺なんだ?」「……最初はあの人を助けてくれた恩、後は借りを作りっぱなしってのも性に合わなかったし……それだけだった……んだけど、一緒に行動する内に段々惹かれていった……決定的だったのは、私が作った料理を全部食べてくれたことかな……」あぁ……そんなこともあったな……ってアレが決めて!?なんでさ!?って、思わず冬木のブラウニーが降臨しちまったじゃねぇか!ある期間、俺とラルフはオズワルド達と行動を一緒にしていた時期がある。当然、野宿もあった訳で、その際にリビエラが料理当番をしたことがあってな……。「皆はマズイ!って言って手をつけなかったけど、シオンは食べる手を止めなかった……食べる手を止める皆を見て『確かに目茶苦茶美味い訳じゃないけど、食えないって訳じゃないし、練習すれば美味くなると思うぞ?』って、言ってくれたよね……」確かに言った……正確にはその後に『それに残すのは勿体ないしな?』と付くが。あと、ラルフはハッキリとマズイとは言ってません。思わず手を止めてたが。ゼノスのあの料理を味わってるのだから、気持ちは分かる。俺が何故耐えられたか……それは前世?の経験からくるものである。かつて、小学生の頃……俺は弟と沙紀、それと近所の仲間と家で遊んでいた。お歳暮に贈られてきたカルピスを使って……。所謂、闇鍋的なゲームなんだが、先ずはカルピスの原液を適量。そこからゲームはスタート。何かしらのゲームをやり、一位の奴が我が家にある飲んでも害にならない液体を選び、最下位の奴に一口分を分けて飲ませるという物。残ったのは持ち越しにしてまた足す。最初は林檎ジュースとかだったから平和だった……。しかし、沙紀の奴が梅酢を加えた辺りから雲行きが怪しくなる。他の奴が何を入れたかは知らないが、俺も調子に乗って、ウスターソースに豆板醤……揚句には漬け物の汁なんかを足していた。そして、罰ゲーム飲料を飲む奴らを嘲笑っていた。……昔からSの素養はあったんだろうな…俺は。幸い、俺は連戦連勝だったし……。しかしとうとう俺も罰ゲームの洗礼を受けることになる……。色々混ざって形容しがたい色になってたそれは、この世の物とは思えない腐臭を発していた……元がカル○スとは思えないくらいだ……。しかし俺も男なので一気飲みした。――宇宙の真理が見えた気がした。気がついたらベッドの上だった……。あれ以来、どんな食べ物も平気になったし、食べ物を粗末にしないようになった。……話が逸れたな。とにかく、あれに比べたらリビエラの料理なんて全然食える。世の中には食べたくても食べられない孤児とかも居るんだ……それを考えたらなんだ!まぁ、俺がそう言うと、ラルフ、オズワルド……と食べるのを再開した訳だがね。「その後も料理の練習を手伝ってくれたりして……シオンは料理も出来て、凄く羨ましくて悔しくて……」まぁ……こちとらゼノス仕込みですから。「けど、楽しくて……その時にね……私はコイツと一緒に居たいんだ……好きなんだなぁ……ってね。一度離れたら駄目ね、もう貴方無しじゃいられない」はにかんだ感じに言うリビエラ……やべぇ、マジ可愛いんですけど……とか思う俺は節操無さ過ぎ!!う〜……どうすれば良いんだ俺は……ええい!!ままよ!!「リビエラの気持ちは分かった……が、本当に俺で良いのか?俺はもう」「それは無し。さっき答えは言ったはずよ?」そういやそうだった……なら答えは一つか。「リビエラ……俺の女になるか?」「喜んで……」俺とリビエラは誓いの口づけを交わすのだった。「シオンさん……私も……」……まぁ、カレンにもしました。とは言え、エリオットやシルクの情操教育的にとても宜しくない。と、思ってたら、ラルフが二人に後ろを向かせていた。流石はラルフ…御気遣いの紳士!!しかしこれで四人だよ四人…うぅ、俺の良心回路が痛む…。しかし、両脇の幸せそうな二人の顔を見ていると…まぁ、良いか。という気になってしまう…本当、幸せにしてやらなきゃな。その後、今度こそ本当にジュリアの部隊を説得しに行く。アジトはシルクに任せてテレポート!リビエラという……新たな仲間を加えて。