**********それは聖剣と魔剣を巡る物語……。主人公の青年が騎士に任命された日に、運命の歯車が動き出す……。その青年が騎士となった日……敵の国が進攻を開始する。仕えるべき王も、尊敬していた騎士も、敵の将軍に討ち取られてしまう……青年と、青年の妹分と弟分は命からがら逃げ出した……。と、ここまで言って何の作品のことを言ってるか分かった人は、相当だと思う。ぶっちゃけラン○リッサーですが何か?しかもⅢ。恋愛関係のイベントが盛り込まれたのはⅢからだからな……その辺をプッシュされてやらされたのさ……悪友に。まぁ、ストーリーも面白かったしどっぷり嵌まったワケなんだが。ちなみに俺は男ならジェリオール、女ならルナが好きだ……メインヒロインはクレアじゃないか?という意見もあるかも知れないが、あのOPムービーを見たら……なぁ?あ、シルバーウルフもカッコイイよな。ジュグラーはもふもふしたくなるよな?ちなみに悪友はティアリスたんハァハァ……らしい。……話が逸れたな。今はルナとの初対面、リファニーや村人達を救出する辺りの話をしていた。皆、食い入る様に聞いている。「……で、領主の娘であるルナの案内で、ディハルト達は領主の屋敷に訪れた……」「それで、それからどうなったの?」「なんか話の流れからして、ただ領主に会える感じじゃないわよね……」ルイセも興味深々に続きを促し、ティピは普段使わないんじゃないだろうか?という頭を使って物語を推理する。「それから……と、続きはまた今度な?」「え〜〜?これからが良いところなのにぃ」「そうですよ、何故続きを話して戴けないのです?」ミーシャとレティシア姫がぷくーっと膨れっ面で拗ねている。……そんなんされても可愛いだけなんだが。「なに、せっかくの語らいに無粋な輩を混ぜることも無いと思いまして」俺は女性陣を背に庇う様に移動する。「シオンさん?」カレンは首を傾げるが、他の男性陣は気付いた様で、武器を抜き放ち臨戦体制。「成る程……邪魔者が来た様だな」「お迎えの人たちじゃないの?」ウォレスが武器を抜き放つ中、ミーシャは脳天気に言い放つ。「だったら、こんなに殺気を撒き散らしはしねぇだろ……」「……どうやら団体様ご招待……かな?招待した覚えは無いけどね」ゼノスとラルフも剣を構える……ラルフに到っては人数もきっちり把握してる様だ。「……と、そんなワケだ。隠れんぼは終わりにして出てこいよ」「チッ……ここまで来て見付かるとは……」原作でオズワルドが現れる場面で現れたのは……あのモンスター使いだった……確か、エリックだったか?「――どうやらまだ懲りていないらしいな……」俺はリーヴェイグを抜き放ち、構える。「俺が言っていたことを覚えているか?……仲間に手を出すようなら塵一つ残さんと言ったぞ?」俺は怒りを滲ませながら、殺気をぶつける。エリックは顔を青くしながら後退る。「くっ……悪いがこれも仕事でな……確かにお前には勝てないかも知れないが、ここでそこの姫に傷一つでも負わせれば、護衛役のお前達が責任を取ることになるだろう……お前達の信用は地に落ち、最悪死刑は免れまい……ちっ、胸糞悪い仕事だ」……どうやらアイツは乗り気では無いらしいな……この作戦を考えたのは……盗賊団頭領グレゴリーか。「ふむ……悪いが、そうはならないぜ?」俺はエリック目掛けて剣を突き付ける。「万が一、姫が傷つけられる様なら責任なんぞ幾らでも取ってやる……だが、俺が……俺達がいる限り、姫には指一本触れさせやしねぇ!!!」俺は高らかとエリックに宣言する。エリックは思わず言葉を呑むが、再び声を張り上げる。「だ、黙れ!!口先だけならばなんとでも言えるんだからな!!……お前ら、行くぞ!」「へい!」見ると盗賊やモンスター達が展開している。これはまた随分と団体だな……盗賊自体は5人程度だが。「まぁ…数で潰せるならやってみろって話だな」「あの……、私はどうすればいいのでしょうか?」そう言う俺にレティシア姫が話し掛けて来る。それは本来カーマインの役目なんだが、近場にいたのは俺だからな。本来なら西に下がってろ……と言いたいが、後方からも怪しい気配が幾つか……伏兵、いや増援だろうな。「……ならば、私の側を離れない様に……必ずお守り致します」俺はその選択肢を取ることにした……まぁ、瞬時に移動するのは訳無いんだが、念の為にな。近くにいて守り通せないようなことは……絶対しないからな。「……はい、シオン様!」ん?様って……俺は視線をレティシア姫に向けると、顔を赤くしながら俺を見詰める姫の姿が……って、うえぇぇ!?何故!?俺ってばニコポもナデポもしてないってばよ!?……いかん、混乱しすぎてナ○トみたいな口調になっちまった……。えーーと、思い当たる節は………もしかして、『姫には指一本触れさせやしねぇ!!!』とか言った辺りだろうか?確かになんか妙な感覚を感じたが、まさかアレだけでは……。「……あんなことを――殿方に力強く宣言されたのは初めてです……守って下さいましね?」やっぱりアレかぁぁぁぁ!?何!?この身は恋愛原子核で出来ている……とでも言う気か!?いや、落ち着け……素数だ、素数をryよし、俺クール。クールだ俺。よく考えれば、そんなこと一発で惚れた腫れたなどありえないだろ?原作でだって、惚れたとか無しに赤くなるシーンはあるんだし……うむ!きっと間違って様付けして、恥ずかしかったに違いない!そう解釈する!!「任せて下さい、貴女には指一本触れさせませんよ!」俺はニッ!と、最高のスマイルを贈る。姫を安心させる為……微笑なんかしてニコポさせない為だ。「はい!頼りにしています!」うむ、緊張が解れた様だな…何より何より♪………カレン?何で泣きそうな目でこっちを見るのかな?……いや、大体の事情は分かるけどもさ。……変に期待させても酷いよな……なんとかしないと。「って、今はそれどころじゃねぇっての!」俺は忍び寄る敵に高速詠唱と詠唱時間短縮のスキルを駆使し、瞬時に魔法を構築。敵の群れに魔法を放つ。「ファイヤーボール!!」ドゴーーン!!と、言う音と共に複数の敵が吹き飛ばされる。アレンジ魔法以外もちゃんと使えるんだぜ?まぁ、こういう時でもないと、広範囲魔法なんて使わないからな。「さて、俺も引くワケにはいかないからな……命が惜しくない奴は――掛かってこい」俺は敵に、剣呑な殺気を向けながらそう告げる……まぁ、これで戦意を失ってくれれば御の字なんだが……。盗賊達は逃げ出した……が、モンスター達は逃げ出さなかった……まぁ、操られてる状態だからな、無理も無いと思うが……。戦闘は一方的な物だった……正直、俺達に勝てる奴はそうそういないと思う。俺とルイセ、カレン、ミーシャは、レティシア姫を中心に四方を囲う陣形を組んでいる。俺が最前列、左右をルイセとミーシャ、後方をカレン……という具合にだ。俺達は魔法を唱える砲台となり、姫を守る壁となる。運よく攻撃魔法を切り抜けてきた奴は俺が切り倒す……そんな形だ。カーマイン、ラルフ、ゼノス、ウォレスは遊撃手だ。敵を倒すのに縦横無尽に駆け回り、成果を上げていた。モンスターは続々と集まって来ていたが、それらを駆逐され、後はエリックを残すのみとなる。「どうする?後はお前だけだぜ?」「く、くそ……このままでは……」そこに先程逃げ出した筈の盗賊達が戻ってきた……おまけを連れて。「なんてざまだ……」「か、頭……」その惨状に頭を抱える盗賊団頭領グレゴリー……やはり来たか。「お前は下がっていろ……後は俺が仕留めてやる。この兄貴の作った試作品を使ってなぁ!!」ブゥン!!お?いきなり武器が現れた……アイツの指輪が変化したのか?指輪から魔力の流れを感じた……間違いなくリング・ウェポンだな……しかも、結構強力な精霊石を使ってるみたいだな。「クハハハハ!兄貴の作ったコイツがありゃあ、鬼に金棒よ!!」確かに、何やら身体能力も強化されてるようだが……っと、この気配は。「ん、何事だ?」「はっ!ライエル様!あれを!」ライエル卿と愉快な仲間達……もとい、部下達か。「何と無礼な……フッ…我々の前で狼藉を働いたことを後悔させてくれよう」ライエル卿は愛用する双長剣を抜き放ち、グレゴリーに宣言する。「なんだ、お前らは?先にお前から血祭りに上げてやろうか!?」「無知とは恐ろしいものだな……」「どうやら死にたいらしいな!?うりゃあっ!」グレゴリーは巨体に似合わぬスピードで踏み込み、ライエル卿も踏み込み、互いに剣を合わせた。原作では一撃で切り捨てられていた筈だが、リング・ウェポンの力か、鍔ぜり合いにまで発展させてしまう。「ガハハハハ!!この武器があればどんな奴でも敵ではないわっ!!」「……成る程、確かに優れた武器の様だな……だが」ヒュオンッ!!「使い手がこの程度ではな…」ライエル卿が風の様に駆け抜け、剣を振り切った形で静止する。グレゴリーは顔に笑いを貼り付けたまま、ゆっくりと倒れ伏せた。「頭!?……頭が一撃で……化け物だ!」盗賊団の誰かがそう言うが……。「違うな」「えっ?」「一撃に見えたかも知れないが、実際には三回攻撃している……相手の斧を滑らせ懐に入り、左の剣で切り払い、右の剣で突き刺し、更にその右の剣を振り切っている」俺は疑問を浮かべるルイセに説明してやる。実際、ライエル卿はかなりの実力の持ち主だな……グレゴリーも決して弱くは無いんだが……流石はインペリアル・ナイトか。「そんな……私には見えませんでした」「……結構見えた奴らもいたみたいですよ?俺みたいにね」そう言うレティシア姫に、俺はカーマイン達を指し示す。カーマイン達はライエル卿の剣閃を見て、ライエル卿の実力を認識したようだった。「くっ!引け!退却だ!」エリックの言葉に全員が散り散りに逃げ出した。と、それならさっさと用件を済まさないとな。俺はレティシア姫に手を差し出す。姫は怖ず怖ずと言った感じでその手を取る。まぁ、ライエル卿の所までエスコートしようとしたのだ。実戦の空気に触れて、震えてたみたいだったしな。俺の手を取ると、姫の震えは止まった様だ。ライエル卿の元へ向かい、レティシア姫の手を離す。姫は少々名残惜しそうだったが……気のせいだと思おう。「ご無事でしたか、レティシア姫?遅くなって申し訳ありません。私、インペリアル・ナイトのアーネスト・ライエルと申します」「いいえ、危ないところを助けていただき、ありがとうございました」俺は姫から一歩下がる。カーマイン達のいる方からは、「アイツは……」とか、「あの人がインペリアル・ナイト……」とか言う声が聞こえる。まぁ、コムスプリングスで一度会ってるからな……驚いてるんだろ。「また会ったなシオン」「我々は存外に縁があるのかもしれませんね」「ふむ……かも知れんな……これでお前がナイツになれば言うこと無しなのだがな」だから買い被り過ぎだって……ナイツに入れることが決定事項とかどんだけよ?