私はシオンさんにお礼を言うミーシャちゃんを見て思う……。(どうやら、ミーシャちゃんはシオンさんには興味がないみたい……というより、カーマインさんとラルフさんに夢中なのかな……?)いや、分からないですよね……だって、前にシオンさんのことをそういう眼で見てたみたいだし……でも、今は安心かな?でも、一人でも協力者がいた方が良いような……気もしますけど。けれど、ミーシャちゃんが誰を想うかは自由だものね?*********闘技場東側控室にて。私はジュリアンさんに呼ばれて、東側の控室に来ていた。私に謝りたいということだけど、本当にそれだけなんだろうか……?「最初に謝らせて欲しい……すまなかった、貴女を侮辱するようなことを言ってしまって」「そんな……私こそ売り言葉に買い言葉で……」頭を下げて謝るジュリアンさん……何だかこっちが恐縮してしまいます。「それと……誤解を解いておきたいと……思ってな……」?ジュリアンさん……どうしたんだろう……何だか迷ってるみたい……。「あの……言いにくいことなら……」「いや、貴女には聞いて欲しい……同じ想いを抱く貴女には……」「……同じ想い……?」「私は……貴女の言う通り、あの方……シオン様に想いを寄せている。私の全てを捧げても良いくらいに……」!やっぱり……そうだったんだ……私と同じ……でも、やっぱり男の人が男の人をなんて……。「それで……その、貴女は私が男だと言ったが、違うのだ……」「え?」「私の本当の名はジュリアンではなく……ジュリアという……」それから私はジュリアン……いえ、ジュリアさんから全てを聞きました。ジュリアさんは貴族の家柄で、父親はインペリアル・ナイトだったこと。ジュリアさんが生まれた時に娘だったことに落胆され、物心ついた時から、父親に嫌われない様に剣術を学び、男として振る舞って来たと……そんな時に出会ったのが……。「シオンさんだった……と?」「ああ……最初は父上に連れられて行った彼の実家で出会った……彼は不思議な雰囲気を持っていた……大人びているというか、達観しているというか……年齢に見合わない人だったな……」その後、自分が女性であることが、シオンさんにバレてしまう。その時のことは頑なに話してくれなかったが、何となく想像がつくから構いません。そして、一緒に遊んだり剣の修業をつけてもらったりする内に、彼に惹かれていったのだとか。「それ以来、父に誉めて欲しいという願望は変わらなかったが、女であることに絶望はしなくなったな……私があの方に女としての情恋を抱いているのに、ハッキリと気付いた時にはもう手遅れだった……私は、あの方無しでは――いられなくなったのだ」……分かる。私も同じ気持ちだから……。「私はある時、あの方に決闘を申し込んだ」「け、決闘!?」「……私にとっては自分より強い、というのが重要だったのさ……私が男として育って来たからかもしれないな……私の中の女が激しく求めても、私の中の男が納得しなかった……もっとも、直ぐに納得することになるが」その後、ジュリアさんの申し出を受けたシオンさんと決闘になった……勝負は直ぐに着いてしまったみたいだけど。ジュリアさんは思ったそうだ……生涯仕えるならこの方しかいない……と。そこでジュリアさんは【マイ・ロード】と呼ばせて欲しいと頼んだそうだけど、シオンさんに断られたそうだ。『自分は君主って柄じゃないから』……と。けれどジュリアさんは諦めず、それなら【マイ・マスター】と呼ばせて下さいとお願い。最初は渋ったみたいだけど、結局シオンさんが頷いたらしい。シオンさんは【師匠】という意味で捕らえたみたい。けどジュリアさんは【師匠】と言う意味合いもあったけど、何より【ご主人様】という意味合いの方が強かったらしいです。ご主人様かぁ………良いかも……シオン、様……♪ハッ!?じゃなくて!それからも度々会っていたけど、シオンさんは旅に出てしまったという。ジュリアさんも色々あって家出……でも旅先でシオンさんと再会したりして、三年間経っても想いは消えず……むしろ、より深い想いを抱く様になったということ。「ここまでが、大まかな顛末だ……私が女であることは、両親を抜かせば弟と家の使用人――そしてマイ・マスターしか、知らない――」「……あの、なんでこのことを私に?」「……貴女が同じ想いを共有するから……だろうか?単純に誤解を解きたかったからかも知れないが……」「私が告げ口するとかは、考えないんですか……?」「その心配はしていない……何しろマイ・マスターが仲間と言うくらいだからな……マイ・マスターが信頼する者なら、私も信頼出来る」この人は……本気でシオンさんが好きなんだ……だから私に告げたんだ。「……分かりました。なら、私も信頼に応えないといけませんね?でも、シオンさんのことは諦めませんからね?」「フッ……無論だ。いや、むしろそのことで頼みがある……」ジュリアさんが更に真剣な顔をして、言って来た……何だろう?「頼み……ですか?」「あぁ、単刀直入に言う……あの方の寵愛を得るために、協力しないか?」ジュリアさんが言うには、シオンさんを振り向かせる為に一緒に頑張ろうと言うもの。ちなみに条件は……1、互いに協力し事に当たること。2、単独のアプローチも構わない。フォローは良いが邪魔はしないこと。3、もし、シオンさんを本気で好きになった人が居たら、こちらに取り込んでしまうこと……ただし、ミーハーな人はその限りではない。4、シオンさんがどんな結末を望んでも、甘受し、否定はしないこと。ただし、ただの逃亡は絶対阻止すべし。……というものだった。私は最初、そんなの破廉恥です!とか、禁則事項です!とか言って拒否してしまったけど……ジュリアさんの……。「……では聞くが、カレン。貴女は現状、自身の想いを告げたとして――マイ・マスターにのらりくらりと、避けられることは無いと――ハッキリ言えるのか?」「!!?」(そうだ……私が告白した時は、シオンさん……記憶飛んじゃって……ああ……思い出したら涙が……)この時点で私の心は決まった。どんな結果になろうと悔いはない……けど、どうせなら争うことなく、皆幸せなら1番ではないか……と。*********こうして私はジュリアさんと協力……いえ、『同盟』を結びました。同志であり仲間でありライバルという訳ですね。シオンさんの鈍感はかなりの物です……けど補給路と退路を潰して逃げ道を塞げば……とは、ジュリアさんの談です。あ、今度はアリオストさんを呼びに行くんですね?今は、先のことを考えなくちゃ!まずはフェザリアンを説得して、ルイセちゃんのお母さんを助けなきゃ……。あ、ルイセちゃんのお母さん……サンドラ様も確かシオンさんを……身体がよくなったら、『同盟』に誘ってみようかな?********オ・マ・ケ♪街中への道中、やはり私は少し迷っていた……協力は構わないんだけど、もしシオンさんが……誰か一人という選択肢を選ばなかったら……そんな、一人の男性にみんなで……なんて、そんなの……。「カレン……貴女は独占したいというより、傍に居たいと願っている……私と同じだ。なら、分かる筈だ……想像してみろ……あの方がもし私たち全てを側におかれたら……」モワワワ〜〜ン♪**********『マイ・マスター……御慕いしております……♪』『シオンさん……私も大好きです……愛しています……♪♪』『HAHAHA!仕方の無い子猫ちゃん達だなぁ……いや、子犬かな?よ〜し!今日も可愛がってあげよう……それとも躾が欲しいのかNA?』キラキラリーン☆(うざやか2・5倍)**********ワワワモ〜〜ン☆「はあぁぁ〜ん♪シオンさ……いえ、シオン様ぁ♪」「マイ・マスター……この私に躾を下さい♪貴方の物である証を私にぃ♪♪」くねくねくね。「ねぇママ、あのお姉ちゃんとお兄ちゃん変だよ〜?」「シッ!見ちゃいけません!!」私はその背徳感も悪くないな……と思いました。オマケ2「!?」ゾクリッ!!「?どうしたのシオンさん?」「いや、寒気というかむず痒さというか……なんとも形容がしがたい感覚が襲い掛かって来てさ……何と言うか、猛獣だらけの平原に出たが、そこは桃源郷で猛獣達も歓迎してくれた……みたいな?」「?よくわからねぇが、風邪じゃねぇのか?」「そういう、嫌な感覚では無いんだよな……嫌な予感もするが、それは実は吉報だった……みたいな?」「だったら、気にしなくても良いんじゃないか……?」「お兄ちゃんの言う通りだよシオンさん!」「ん〜〜……そうなのかぁ??」「いずれにせよ、ここで悩んでいても始まらんだろう」「もしかしたら、後で原因が分かるかも知れないしね?」「ん〜〜、そうだな。気にし過ぎても仕方ないか……ジュリアン達も待ってるし、行くとするか」なんか気になるが……まぁ、頭の隅に覚えておけば良いか。********A・TO・GA・KI☆ ご都合主義全開の番外編、いかがだったでしょうか?ジュリアとカレンのキャラ崩壊が……と、今更ですねすいません。m(__)m次回はきっちり42話を上げますので。それではm(__)m