俺達は一路、南のフェザリアン遺跡を目指す。そしてフェザリアン遺跡に到着、番兵をしている男に許可証を提示。中に入ることに成功する。「へぇ、ここがフェザリアンの遺跡なんだ。ルイセちゃん、案内してよ」「ゴメンね。わたしも入ったのは初めてなの」ティピがルイセに提案するが、入ったことが無ければ案内のしようがないよな。「本当にゴメンね。でも授業で少し習ったから、何かあったら説明くらいは出来るかも……」「うん、期待してる!さ、アリオストさんを探そ!」ちなみに、原作ゲームと内部構造が同じなら、俺にも案内くらいは出来るが、必ずしも同じとは限らない。むしろ原作は省略している部分があるからな……ゼノスの家なんかが良い例だろう。まぁ、仮に原作と同じでも、内部に入れない筈の俺が内部構造を説明したら怪し過ぎるから、説明しないけどな。それから、アリオストの捜索が始まった。結論から言えば、遺跡の構造は原作に近かった。近いと言うのは、部屋数などは変わらないんだが、規模が違うからなんだ。ハッキリ言ってこっちの方が広い。そしてモンスターが多い!ゴーレムやスケルトンなんかの、生きているタイプじゃないモンスターが多かったため、俺としてはありがたかったが。遠慮せずに叩きのめせるからな。まぁ、この面子相手では、所詮は烏合の衆……蹴散らしながら奥まで進みましたともさ。道中、ルイセとカレンに簡単な魔法講座をしながら進みましたが。この遺跡にはウィル・オー・ウィスプというモンスターがいまして、こいつが通常攻撃をほとんど受け付けない。まぁ、俺、ラルフ、カーマイン、ゼノス、ウォレス辺りは力押しでどうにか出来ちゃうんだが、ルイセとカレンはそうはいかない。「もし現れたら、二人は魔法で攻撃する様にな?もしくは補助魔法とかで援護な」俺がそう言うと、二人とも素直に頷いてくれた。うん、いい子だ。んで、話を戻すが……俺達は奥まで来たわけだ。だが……。「ん?殺気がする……」ウォレスが殺気を感じたらしい……かくいう俺達もそんな空気を感じたわけなんだが……。見ると、アリオストが部屋の隅まで追い詰められていた。……あれがアリオストか……初めて見たが本当に美形だな。カーマインやラルフに引けを取らないんじゃないか?……なんでミーシャは靡かなかったんだ??激しく謎だ……。「くっ!ここまで来て……このままじゃ、こっちの命が危ないぞ……」追い詰められながらも、冷静に状況を分析している……なんつーか流石だな。「アリオストさん!」「はっ!ルイセ君?」「ああ、アリオストさんが危ないよ!」ティピが焦りを現にする。「せっかくここまで来て、死なれちまったら元も子もない。助けよう!」「そうだな……待ってろ、今助ける…!」ウォレスとカーマインも気合いを入れる。「すまない!」「気にすんな!すぐに済ますからよ!」「そういうことです。だから待っていて下さい」礼を述べるアリオストに、ゼノスとラルフも答える。うし、オッサンも気合いを入れるとしますかね!「さ〜て、一丁行きますかっ!!」俺のその言葉を皮切りに戦闘が始まった。「シオン!アリオストの護衛に着いてくれ!アンタが1番足が早い!」カーマインから俺に指示が飛ぶ。ん?俺が指示しないのかって?このパーティーのリーダーはあくまでもカーマインだ。まぁ、時々俺が指示を取ることはあるが……基本はカーマインに任せている。というより任せる様にした。これから騎士になる奴が、指示の一つも出来ないのでは話しにならないだろ?「了解!」俺は敵の間を縫う様に駆け抜ける。その際に敵を切り捨てるのも忘れない。――そして瞬時にアリオストの前へ。「お待たせ。後は任せな」「すまない、助かるよ」とりあえずこれでアリオストの安全は確保っと……アリオストに近付く敵は切り倒したし、俺はここで固定砲台しますかね。「マジックフェアリー!」俺は高速詠唱にて一瞬で魔法を展開、そして放つ。【マジックフェアリー】意味は魔法の妖精……まんまだな。これはマジックアローのアレンジの一つで、追尾性をより追求したマジックアローだ。分かりやすく言えば、ガ○ダ○シリーズに出てくる、ビットやファンネルみたいな物……正確に言うなら、ファンネルミサイルが近い表現だな……ちなみに俺はペーネロペー派。威力自体は通常のマジックアローと大差無いが、それぞれに不規則な動きが可能であり、己の意思一つで、別々の軌道を取ることが可能。乱戦には非常に適した魔法と言える。ただ、この魔法を使いこなすには高い空間把握能力が必要であり、魔力の消費量もマジックアローより多い。後は、ついつい『そこぉっ!』とか、『見えるっ!』とか言ってしまいそうになるのが欠点か。魔力の妖精達は寸分違わずに敵を駆逐していった。「それは……マジックアローかい?凄いな、初歩の魔法でこんなことが出来るなんて……」「ま、そのアレンジなんだけどな?完成している物も、研究次第では応用が利くということさ」アリオストが素直に感心してくれる。詠唱は聞き取れなくても、頭上に展開した魔法陣は似たような物だしな。ネーミングセンスも安直だし。ちなみに、フェアリーの形はまんまマジックアローのままでは芸がないので、蝶の様な羽みたいなものを形作っています。……当初、ニ○デ○ハピ○スとか付けようかとも思ったが、流石に自蝶しておきました。色、黒くないしね。俺はそこで蝶砲台と化してた訳だが。「1つ忠告がある。この部屋には色の違う床があるだろ?」「この床が腐ってしまっている部分ですか?」アリオストの言葉にカレンが答える。ちなみにカレンはマジックアローで迎撃し、近付いて来た敵には魔法瓶を投げ付けていた。魔法瓶とは、魔法の込められたカプセル状の瓶で、投げ付けて使用する。そうすると込められた魔法の力が炸裂する訳だ。なお、原作では永続装備だったが、ここでは消耗品になっており、幾つかセットになっている。まぁ、手榴弾や火炎瓶みたいな扱いと思ってくれて良い。しかし、この魔法瓶を作れる者は少なく、ほとんど売っていない。あと十数個くらいは残ってるみたいだが……一応俺が作れるし……今度、作ってやるかな?もしくは闘技場で手に入れたアレを渡すか?「腐った床がどうかしたのか?」「そこだけは踏まないことだ。この塔のエネルギーがもれているらしくて、定期的に放電する」「放電!?」「そういうことは……先に言えってん……だ!!」斬っ!!ウォレスの疑問にアリオストが応え、ゼノスは悪態をつきながらも、襲って来たゴーレムを一刀両断にした。流石だな。その後、俺達はアリオストの忠告通りに、腐った床を避けながら戦った。結果は言わずもがな。俺はアリオストの近くで砲台と化し、近付く奴は切り倒す。アリオストもアリオストで、剣を駆使して戦った。アリオストって、剣筋は決して悪く無いんだよな。カレンはさっき説明した通り。ルイセも魔法を主体に戦った。マジックアロー、時にはファイアーボールなんかを使いながら。ラルフ、カーマイン、ゼノス、ウォレスは前衛で獅子奮迅の戦いぶりを披露した。ラルフは、俺を抜かせば、このパーティー1の実力者である。伊達にマスタークラスを制覇してはいない。カーマインやゼノスは次点と言ったところか。しかしその実力が半端ねぇのは確かだ。ウォレスは腕が鈍っているらしいが、その戦闘経験は他の追随を許さず、何の問題も無く戦っていた。「はっ!」ガシュ!!「GUGAAAAA……」カーマインが最後に残った敵……アイアンゴーレムを切り捨てたところで戦闘は終了。楽勝だな……この面子なら当然だが。「やったぁ☆」ティピが勝鬨?の声をあげた。「大丈夫ですか、アリオストさん?」「ふぅっ、助かったよ。ありがとう」ルイセが心配して声を掛け、アリオストはため息をつきながらも、礼を述べた。「よかったな。だが、どうしてこんな所へ一人で来たんだ?」「それはこの奥にある物のためさ」「この奥に……それは一体なんなんだ?」カーマインが疑問を口にする。アリオストは見た方が早いと言って、先に奥に向かった。俺達はそれを追った……するとそこには……。「すごい数の本……」そう、魔法学院の図書室と同じくらいの蔵書がそこにはあった。「これは……この遺跡に昔からある本なのか……凄いなぁ……これだけの数が風化せずに残っているだなんて……」ラルフは偉く感動している。まぁ、確かに分からなくはない。紙ってのは劣化しやすいからな……案外この遺跡に、保存状態を維持する魔法か何かが、掛けられているのかも知れないな。「何が書いてあるのかな?ね、ルイセちゃん、読んで☆」「うん」ティピの無茶振りに、ルイセは気を引き締めて頷く。古代の遺物に触れるんだ……厳かな気分になるのも当然か。……まぁ、オチは知ってるんだがな。「……う…」「?」「…えっと、…あの……うぅ……」「どうしたの、ルイセちゃん?」ルイセの反応にティピが首を傾げる。「……う〜…………」「何、涙ぐんでるのよ!?そんなに怖いことが書いてあるの?」「……読めない……」ルイセが泣きそうな声でそう言う。「はははっ、彼らの文字だからね。読むのは至難の業だよ。それにあまり利益はないと思う」「?どういうことだよ、そりゃ?」ゼノスが疑問に思ってアリオストに聞いた。「なぜなら、彼らの本のほとんどは倫理について書かれた物だからね」「倫…理?」「嘘をつかないようにしよう。他人に迷惑をかけないようにしよう。要するに、生きていく上で必要なルールのことだな。もっとも、倫理感なんて人それぞれだけどな」俺はアリオストの言葉を継いで説明してやる。実際、俺にも俺の倫理感があるしな。「なるほどな。知識が眠る場所というわりには、簡単に入る許可を出すと思ったぜ」「倫理について……なんて読まれても困りはしないからな……」ウォレスとカーマインは納得顔で頷く。「だけど、僕の目指す物は書物ではない。こっちだ」俺達はアリオストの後に着いていく……するとそこには用途不明の機械の山があった。「うわ〜、すごいガラクタ……」確かに価値が分からない奴には、ガラクタにしか見えないだろうが……。「……これじゃない……これも違う……確かここにあった筈なんだが……」「何を探しているんですか?」「……ああ。僕が空を飛ぶ研究をしているのは知っているね?」「はい。確か空に浮かぶ板の実験をしているところを何度か……」空を飛ぶ板……と、聞くとエ○レカセブ○のリフボードが思い浮かぶよな?俺だけか?「過去、人間を支配していたグローシアンは空飛ぶ塔を持っていた。元々はフェザリアンから得た技術だそうだけどね。だが、彼らが消えたと同時に、その空飛ぶ塔も見られなくなったそうだ」「でもそれは伝承で、正式な記録は残ってなかったはずでは……」「そうだよ。もし彼らがその技術を残していてくれれば、僕の研究も楽だったのにね」ルイセとアリオストの会話が続いている……実際に塔は存在するが、場所はラスボスしか知らない。俺達はアリオストが最初に作った飛行円盤の欠点を聞いた。曰く、浮かぶことは出来るが飛べはしない。移動するには風の力に頼るしかないと。アリオストはフェザーランドを目指してるからな…その円盤じゃ、ちと頼りないな。その後、アリオストは捜し物を発見した。推進機みたいだな。