私は彼らと別れてから、我が家を目指していた。――ダグラス家。そこが私の家……インペリアルナイトを多く排出してきた家柄……名門と言っても良いだろう。多くのダグラスの名を受け継ぐ者たちが、インペリアルナイトの称号を戴いている。我が父も、数年前までナイトを務めていたのだから、その優秀さは推して知るべし……だ。「ふむ……今日は宿に泊まるとするか…」私は道中にあった宿に泊まることにした。もう夕暮れだしな……。随分歩いたから当然か……。私は宿に入り、部屋を取る。私は部屋に入ると、ベットに腰掛けた。「ふぅ……明日には家に着けるな……」私は服を脱ぎ、胸のさらしを緩めた。……また、大きくなってきたな……。私は何気なく自分のそれに触れる。「……マイ・マスターは大きい方が好きなんだろうか?……なら……嬉しいのだが……」これがマイ・マスターの手なら…こう……動かし…て………ハッ!?わ、私は何を考えている!?私は直ぐにその手を離した……はしたない。……これもあの方のせいだ。……あの方がサンドラ様に触れていた時、私は羨ましかった……。分かっている――あの方はサンドラ様の治療をしていただけだ。……不謹慎だとは思う……でも、私にも触れて欲しかった。あの方に望まれたら、どんなことでも出来るのに。どんなことでもしたいのだ。「我がマイ・マスターは鈍感過ぎる……いや、もっと私が積極的にならなければならないのか……」例えば……愛の言葉を告げるとか……駄目だ!恥ずかし過ぎる!ある意味ナイツを目指すより困難かもしれない……。しかし!くじけてはいられない!「あの方はこれからも、二人きりの時にはマイ・マスターと呼ぶのを許可してくれた……二人きりの時は、私のこともジュリアと呼んでいただけているのだし……」その上、見聞の旅が終わればインペリアルナイトを目指すとも言っていた……マイ・マスターなら先ず間違いなく、ナイツ入り出来るだろう……些か優し過ぎるのが欠点……いや!あれは長所だ!だが騎士としては……。だが、あの方と私が共にナイツになれば、より多くの者達を守ることが出来る………それに、一緒にいる時間も増える……。いや、これはついでだぞ!?……本当なんだからな……?……私は誰に言っているのだろう……?私は、ふと思う。以前は、自分が女であることに絶望していた……もし、マイ・マスターに出会わなければ、今もそうだったかもしれない……。だが、むしろ今は女であることに感謝している……ナイツになるには障害だが、女の身ならばあの方と添い遂げることも出来る……添い遂げる………あっ…♪……駄目ですマイ・マスター……お戯れを……♪「い、いかんいかん。心頭滅却!心頭滅却!喝!」あの方から教わった、心に平静を与えるまじないを唱える。あの方は煩悩退散という、まじないも言っていたんだが……わ、私のこれも煩悩という奴なんだろうか……。「やはり……もう少し大胆になろう……こうして悶々としているよりは、余程健全だろう」先ずは父上を説得してマイ・マスターとの仲を認めて戴い……て、違う!!ナイツを目指すのを認めてもらう為に……私の信念を貫く為に……説得をするのだ。間違えてはいけない……。「やっと見つけた私の信念なのだから……真っ直ぐに貫くと――誓ったのだから……」見ていてください……マイ・マスター……私はやり遂げてみせます…!そんなこんなで、一日が過ぎていったのであった。*******番外編、ジュリアンの憂鬱編です。ジュリアンとシオンの過去話はまたいずれ。