※今回、タガが外れた為か、若干いつもよりシオンが調子に乗ってるので、ご注意を……。***********……何故こうなった?「どうした?何か考え事かね?」「あ、いや……そういうワケでは――」俺は今、ラングレー家にて、ベルガーさんやカレンと酒を飲み交わしている。こんな状況になった経緯を語るとだな……。***********「頼もーーーっ!!!」ドタバタドタバタ!!「は、はい!!ど、どうしたんですかシオンさん!?」俺の声に反応して、カレンがやってくる。慌てて来たのか、身なりを整えながら――って。「よく俺だって分かったな?」「私がシオンさんの声を……聞き間違えるワケないじゃないですか」「……そっか」嬉しいことを言ってくれる……。思わず顔が綻ぶ……。っと、そんなことより。「実はカレンに話があってな?任務の帰りに寄らせてもらったんだ」「私に話……ですか?」俺はカレンに事情を説明しようと「どうしたカレン?」…む…。「あっ、お父さん」そう、カレンの親父さんであるベルガーさんがやってきたのだ。「むっ、君は……」「お久しぶり……という程でも無いですが。保養所以来ですかね」「あの時の……。あの時は君に助けられたな?」俺達は互いに挨拶を交わす。「君のことはカレンから聞いているよ。成る程、確かに聞き及んだ通りの青年みたいだな――」ベルガーさんは俺を見て頷く。――カレン……俺のことをどんな風に話していたんだ……?「丁度良い……君には聞きたいことがあったんだ。時間は――空いてるかな?」「――構いませんが」……一見、朗らかな笑みを浮かべているが――眼が笑っていない――。――カレンから全てを聞いたか……?―――ならば、俺も覚悟を決めるか。「シオンさん……私……」「大丈夫だよカレン。ただ、話をするだけだから――」カレンが不安そうな表情を浮かべている――俺は安心させる様に、ニカッ!!と、ベストスマイルを浮かべ、サムズアップしてやる。まぁ――ある程度の覚悟は――しておかなければならないだろう。……それこそ『娘が欲しいなら私を倒してからにするんだなっ!!』的な展開すら予測して、ラングレー家にお邪魔した俺だったのだが……。「ふむ、色々と聞きたいことはあるが……ただ話し合うのは面白みに欠けるからな」言うなり、ベルガーさんが取り出したのは一升瓶……って、アレは!?伝説の銘酒と名高い【馬の洗い水】!!?「ふふふ……この酒の価値を理解した様だな……流石と言っておこうか……」「……なんて恐ろしい人だ。これだけの銘酒を手に入れるとは……」ラングレー家って、確かさほど裕福では無いだろうに……秘蔵の酒か?幾らゼノスの稼ぎがあるとは言え、容易に手に入る酒じゃねぇぞ………。「あの……シオンさん?お父さん……?」一人取り残されたカレンをそのままに、ベルガーさんは不敵な笑みを浮かべ、俺は只々戦慄しているのだった……。まぁ、冗談半分(半分は本気)はさておき……。「しかし、何故酒を……?」「何、酒は雄弁に語るからな……時には、拳や剣を交える以上に……な」むぅ……一理あるな。元より、酒飲みとしてはこの挑戦……受けるしか無いワケだが。……単純に酒を飲むだけじゃないってのは、重々承知しているし。「もう、お父さん……シオンさんは忙しいのよ?お仕事の帰りにワザワザ寄ってくれたんだから……」「大丈夫だカレン。本当に後は帰るだけだし……多少の酒じゃ影響無いから……俺は」そう言ってカレンにサムズアップする俺。……本当は職務中に飲酒など言語道断なのだが、幸いというか、前世?の頃から酔っぱらうという感覚とは無縁だったりする。そんな俺からすれば、酒は嗜好品でしかない。少なくとも、ぐでんぐでんになることは無い。――だからと言って、言語道断なのは変わらないんだがね。***********―――と、まぁ……こういう経緯があったワケなんだが――。「あはは♪シオンさ〜ん♪らめれすよ〜♪シオンさんはぁ〜、偉い騎士様なんれすからぁ〜♪こんなとこで、お酒なんか飲んでちゃあ……もう〜……告げ口しひゃいましゅよ?アハハ♪」「それは困ったな……そんなことされたら、就任早々に首が飛ぶ」「むぅ〜……冗談れすぅ!わらひがぁ、シオンさんにぃ、そんなことぉ、するわけないじゃなぃれすかぁ〜……」「――俺も冗談だ。バレた所で、反省文の提出くらいで済む……だから、涙ぐむなよ……な?」最初に述べた通り、ベルガーさんだけで無く、カレンもこの酒宴に参加しているワケで。さして酒に強くないカレンは、既にぐでんぐでんに近く、俺に絡んで来たり、かと思えばうるうると涙ぐんだり……。チクショウ!可愛いじゃねぇか!!「ふむ、カレン。辛いならもう休んだらどうだ?」そう忠告するのはベルガーさん。……しかし、カレンに酒を奨めたのって、実はベルガーさんだからな?「らいじょ〜〜ぶっ!もう、お父しゃんは心配性にゃんだからぁ……だから髪の毛が無くなっちゃうのよぉ?ウフッ……ウフフ♪」「…………orz」それに対して、どストレートな言い方で返すカレン……あっ、ベルガーさん、めがっさ凹んでる。――気にしていたのか……。「……カレン、冗談抜きで休んだらどうだ?この調子だと後が辛くなるぞ?……色々な意味で」主に二日酔い的な意味と、ベルガーさんの心がブロークン的な意味で。「……もう、シオンさんまれっ!そんなこと言っれると、キスしひゃいますよ!というか、してくだひゃい♪」「……なんでさ」俺は、カレンの脈絡の無さに『駄目だコイツ早く何とかしないと……』的な心境になる。普段なら、それもアリだと思うが、幾ら俺でも親父さんが居る前で接吻する程の猛者では無い。……ドSスイッチが入ったら分からないが、少なくとも今は無理だ。―――ベルガーさんの視線が痛いもの。ギャ○漫画日和のうさ○ちゃんの視線並に痛いもの。とは言え、このままじゃ埒があかんし……。―――やむを得ないか。ポフッ。「ふぇ……?」「良い子だから、もう寝ろって……また、話をする機会は作るから――な?」なでりこなでりこ……と言う感じで頭……正確には髪を撫でてやる。すると、カレンは気持ち良さそうに――若干くすぐったそうにしながらも、素直にそれを受け入れてくれていた……。ベルガーさんの視線が痛過ぎるが……此処はスルー!!「……わかりました……約束……れすよ……?」「あぁ、約束だ……なんなら指切りするか?」「ゆび……きり……?」やはり、無理していたのか、コテンと俺に身体を預けてくるカレン。俺の提案に首を傾げているのが分かる。って、指切りを知らないのか……いや、当たり前か。この三国大陸にはそんな風習なんて無いしな。「指切りってのはな……」俺は指切りのやり方と、簡単な説明をした……まぁ、カレンのこの様子から考えて、明日には忘れてる可能性大だが。なお、本当の『指切り』とは――その昔、日本で……女性が本当に愛する男性に、その想いの形として自身の小指を切り落として、それを男性に捧げていたのが、その起源と言われているが……。そんなト○ビア的なことは言わない。……本当に実行されたら怖いからな。で、その想いを裏切ったならば、針千本を飲ませる……と。……コレって、現代の【ヤンデレ】に通ずる何かがあると思うのは俺だけかしら?――まぁ、それはともかく。「「ゆ〜びき〜りげんまん、嘘ついたら針千本の〜ますっ、ゆ〜びきった!」」「……約束、ですよ……」「おう……約束だ」指切りをした後、もう限界だったのか、カレンは俺に身体を預けたまま、瞳を閉じて寝息をたて始めた――。「―――コレで良いですか、ベルガーさん?」「ふむ、やはり気付いていたか……」「当然です……カレンから色々聞いているなら、俺がインペリアル・ナイトだってことも知っているんでしょう?……まだ、知り合って間もないですが……任務帰りとは言え、そんな奴を酒宴に誘う程、貴方は常識はずれでは無いでしょう?」俺は、カレンを支えながらベルガーさんに視線を向ける……。やはり――というか、ベルガーさんは一対一で俺と話すために、カレンにも酒を飲ませたのだろう。「君と酒を飲み交わしたかったのは本当だぞ?――まぁ、先ずはカレンを寝かし付けて来ると良い……部屋の場所は知ってるんだろう?」「……俺がカレンに何かをするとは思わないんですか?」ベルガーさんは、カレンを寝かせてこいと言って来た。なので、俺は疑問を口にする。「おや?君は父親が居るのに、その娘へ何かしようとする様な常識はずれなのかな?」「さっきの仕返しですか……分かりました。寝かせて来ますよ」ベルガーさんは、ニヤリッ……と、悪い笑みを浮かべながら疑問に答えてくれた。俺はそんなベルガーさんに苦笑しつつ、カレンを部屋に運んで寝かしつけてくる。……さて、どんな話をするのやら……。***********私は、カレンを抱き抱えて行く彼を見送る。そして考える――。彼――シオン・ウォルフマイヤーのことを……。あのゲヴェルを殴り飛ばす程の非常識な戦闘力を秘めた男……。最近、インペリアル・ナイトに就任したらしい……。つまり、心技体……全てを兼ね備えていると、国に認められたということになる……。そして……カレンから聞いた内容――彼の人格と……信じられないが、彼を慕うであろうカレン『たち』の取り決め……。彼の纏う雰囲気は、一見歳相応に見えるが……何処か老成している様にも思える。ふとした瞬間に、同年代と話している様な錯覚を受けたりもした……。それに、カレンを本当に大切に想っているというのも理解した。……まぁ、複数の女性と関係を持つというのは、正直褒められた姿勢ではない。私の部隊にも、複数の女性と関係を持ち、色男を気取っていた奴が居たが―――彼……シオンは奴とは少し違う気がする。彼の瞳を見れば分かる――彼は何処までも真剣だ。少なくとも、色男を気取っている風ではない。「……もとより、女性関係に関して――偉そうなことは言えないのだがな……私は」とは言え、娘がその女性関係の内の1人となると、流石に複雑な心境だが……。例え、直接的な血の繋がりが無かろうと……カレンは私の大事な娘なのだから――。だから見極めようと思った……アイツの残した忘れ形見であるカレンを、託すのに相応しいか否かを―――。***********「お待たせしました」「いや、さほど待っていたわけでは無いよ」カレンをベットに寝かせてきた俺は、直ぐに戻ってきたわけだが……さて、何の話をするのやら……。俺はベルガーさんの座る対面の椅子に腰掛ける。「ふむ、何から話したものか――」「回りくどい言い方は無しにしませんか?――聞きたいことがあるのでしょう?」「――ならば、単刀直入に聞くとしようか」話す内容を思案するそぶりを見せるベルガーさんに、俺はバッサリと提案を告げる。ベルガーさんは頷き、その提案を受けた。「君は―――カレンのことをどう思っているのかね?」「――大切な女性です。生涯を共にしたい……そう思っている女性です」ベルガーさんは、睨み付ける様に俺の眼を真っ向から見遣る……。俺もそのまま視線を返す。決して眼は逸らさない……逸らしてたまるか。「ふむ……そうか」…………………。………………。…………。……えっ、終わり?「どうしたのかね、鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をして……」「いや……それだけですか……?カレンから色々聞いているんじゃあ……?」「ああ、聞いているよ……君の人と成り、強さ、それに――カレンの他にも、君が女性と関係を持っていることもな……」「ならば、何故……」この世界でも一夫多妻制という奴は、ハッキリ言って異端だ。向こうの世界程、規制は強く無く、法的な罪に問われこそしないが――それでも一夫多妻なのは一部の貴族や王族くらいで、少なくとも一般人は一夫一妻なのが普通――。「――何故……か。、強いて言うなら、君の人と成りを確認したことと――その眼が理由かな?」「――眼?」「その眼を見れば分かる――君がどれだけ真剣なのか、な。それに、女性関係で君に何か言える程、私は立派な人生を送って来たわけでは無いのでな……」むぅ……買い被り過ぎだって……。というか、女性関係にだらし無かったのかい!?いや、恐らく再婚した時のことを言ってるんだろうけど――。「それはどういう――とは、聞かない方が良いのでしょうね」「気遣いは無用……と、言いたいが……そうしてくれると助かる」恐らく、カレンやゼノスにもまだ言い出せていないだろう事実……それを俺なんかに教える筈がない……だろ?いずれにせよ、何時かはベルガーさんも二人に話すだろう……。願わくば、それが原作の様な遺言にならない様に祈りたいな……。「とにかく、君の意志は分かった。君ならば、カレンを蔑ろにすることはあるまい……何より、あのゼノスが認めたというならば、元より心配はいらないだろう」買い被りだと思うが……まぁ、カレンを悲しませるつもりは無い。ゼノスが云々――というのもカレンから聞いたのだろうか?「それに――私は父親らしいことは、何一つしてやれなかったからな……そんな私が、あの子の決めたことに口出しなど、出来る筈が無い……」「……それは違う」「……何?」自嘲気味に言うベルガーさんに、俺は異議を申し立てる。「幾ら時が経とうと、どんな事情があろうと――貴方が父親であることに変わりは無い……まぁ、二人とも既に大人になってしまってはいるけど……今からでも遅くは無いでしょう?少なくとも、ゼノスやカレンにとっては……貴方は間違いなく父親なんですから」そう、どんなに時が経とうと、例え血の繋がりが無かろうと、二人にとってベルガーさんは紛れも無い父親――。だからこそ、ゼノスは傭兵になってまで父親を探し続け、原作において……カレンは苦悩したのだから――。兄以上に想っていたゼノスと血の繋がりは無く、想いを深めていた主人公(原作の話なんで、敢えてカーマインとは言わない)が父親と同一存在だった……なんて事実を知らされれば、頭がぐちゃぐちゃに混乱するのはやむを得ないだろうさ。―――そういう意味では、俺の存在はある意味プラスになったんだろうか……?カレンが俺なんかを想ってくれているおかげで……事実を知ればショックではあるだろうが――少なくとも、原作の様な苦悩はしなくて良いのだろうから……。「っと、すいません――生意気に語ったりして……」「――いや、謝ることは無い。……君の言う様に、二人が私のことをまだ父親だと思ってくれているのなら……嬉しいのだがね」そう言って微笑んでみせたベルガーさん。……あの世で待ってるだろうベルガーさんの奥さんで、ゼノスの実の母親でもあるシエラさんには悪いかも知れないが――ベルガーさんには、出来るなら天寿を全うして貰いたい――。ゼノスや……カレンを悲しませたくないから……な。***********その後、酒を飲みながら色々語り合い――夕暮れ時になったので、お暇させてもらった。結局、俺とカレンは父親公認ということになった……。久しぶりに『やっぱり俺って、ご都合主義の星の下に生まれたんじゃね〜か?』と、勘繰ってしまったのは仕方ないだろう?――肝心のカレンとは、あまり話せなかったが……来て良かったんだろう……多分。遅かれ早かれ、ベルガーさんには知らせなければならなかったのだし……。さて、バーンシュタインに帰還した俺は、直ぐさま陛下に報告へ向かったワケだが……。**********バーンシュタイン王城・謁見の間「――何してるんだ?」「む、シオンか……」「シ、シオン!助けて下さいよ〜!」えっと、俺の目の前には正座させられているエリオット陛下と、怒気を現にしたポールが居た。「聞いてくれシオン……陛下ときたら、また……また城を抜け出そうとしたのだ!!」「違いますよ……僕は民の皆さんの生活を「問答無用っ!!」……はい」「民の生活を陰ながら確認する……それは確かに有意義なことかも知れません。ですが、貴方様は王なのです!もっと王としての自覚を持ちなさい!!」……成程、抜け出し癖が発動したか。「……とりあえず、任務完了致しました。各国に会談の日時を伝え、それについて了承を戴きました……では、私はこれで(棒読み)」「ちょ、シオンさん!?助け「陛下?」……ふぁい……」俺は報告だけした後、そそくさとその場を後にした。エリオット陛下が、子犬の様な眼差しで助けを求めてくる……思わず以前の様に、さん付けで俺を呼ぶくらいには、追い詰められているのだろう。しかし、これも自業自得……因果応報。修羅の形相をしたポール君の説教は確定。触らぬ神に何とやら――陛下、少しは懲りて下さい。俺は謁見の間を後にしたのだった――。「良いですか陛下!?貴方はもっと――」「ひええぇぇぇ!?ごめんなさあぁい!!」***********と、まぁ――陛下への報告も済んだし、俺は皆が訓練している練兵場にやってきた。「よぉ、ただいま!」「お帰りなさい、シオン将軍!丁度、訓練が終わった所ですよ?」俺が整列している皆に声を掛けると、リビエラが返事を返してくれる。――皆、そこそこボロボロで、結構疲れている様だ。「そうか、皆お疲れ様だ――今日はゆっくり休んで、明日に備えてくれ!」「「「「「了解!!」」」」」全員がそう返した後、それぞれ兵舎に戻って行った。エリックはレブナントを厩舎に連れていってから、部屋に戻るらしいが――。「で、俺に何か用があるのかリビエラ?」「え、ええ――重要な話があるので……宜しければ、後ほどお尋ねしても宜しいでしょうか?」一人残ったリビエラが、俺に聞いてくる。重要な話……何かあったのか……?まぁ、いずれにしろ――。「――分かった。俺は少し汗をかいてから行くから、その後で良ければ」「はい!では、後ほど………覚悟しててね?」ゾクリッ!!?こ、この感覚は――。「リビエラ―――よもや今朝の続きをしようってんじゃ無いだろうな?」そう、この感覚は今までに何度も感じた……ピンクタイフーンの予兆!!「ん〜〜……当たらずとも遠からず、かな?……シオンは、嫌かな……?」うぐ、上目遣いは反則だろ……?「い、いや……嫌じゃないけどな……」むしろ、また暴走するのを恐れているだけだから……後は、職場でそんなことしたら、歯止めが効かなくなるのも恐いが……。「――良かった♪それじゃあ、楽しみにしててね♪」ニコッと嬉しそうな笑みを浮かべ、その場を去っていくリビエラ――。間違いなく、何かを企んでいるな――?とは言え――。「結局、真っ向から受け止めるしか無いんだけどなぁ……」これも惚れた弱み……かな?――って、今更か。さぁて、修練修練っと!***********その後、基礎となる筋トレをしたり、各種武器を使った型や技の復習をしたり、精神修練の為の瞑想や、魔法の復習をしたりした。幾らチートボディで、尚且つ才能が無いとは言え、日々の修練は既に日課になっているからな。技を覚える……ということに関しては悲しいくらい無才で、ラーニング能力やアレンジ能力で補ってるのが現状だが……少なくとも、肉体的には無才では無いらしく、筋力や魔力なんかは未だに成長していることから考えると―――この日課も満更無駄では無いってことなんだろうさ。――まぁ、これ以上成長してどうするんだ――と言われたらそれまでなんだが。既にとっぷりと日が暮れている処か、思いっきり真っ暗になっているし……。「……そろそろ、戻るか」良い汗かいたし……シャワーで汗を流して、飯食って……か?――いっそのこと、帰宅するってのもアリだな。まぁ、リビエラとの約束があるから、帰宅するにしてもリビエラの用件を済ませてからになるか――。―――何は無くとも、一旦戻りますか。……その後、俺は部屋に戻り、シャワーを浴びて汗を流す。俺の執務室は、仮眠室と風呂場を完備しとります……。「改めて思うが、つくづくなんちゃってファンタジーだよなぁ……」シャワーや風呂、冷蔵庫なんてのもある。明かりだって火では無く、ほとんどが電灯だし……。それ等を動かすエネルギーが、電力では無く魔力……科学では無く、魔導学という違いはあるんだけどな……。「ふぅ……さて、汗も流したし……出るか」風呂場から出て、脱衣所にて身体を拭き、着替える。仕事も無いから、ラフな私服(黒いワイシャツ、黒いスラックスという感じ)だが――。まぁ、良いだろう――。城内を移動するなら制服で無ければ駄目だろうが、コレは所謂【寝間着】……パジャマだからな。「さて、サッパリした後はキリッと冷えたポン酒でも飲むか――いや、その前に飯を……ん?」コンコンッ。仮眠室(とは言っても、冷蔵庫なんかもあり、一般兵の宿舎よりは断然快適に出来ている)の扉をノックされる――。ちなみに、言うまでもないが執務室と仮眠室は繋がっている。つまり、俺に用事がある誰かが尋ねて来た……ということだな。まぁ、考察するまでも無く……十中八九リビエラなんだがな。気配で分かるし……ただ、何故か気配が一つじゃない……。「……全く、何を企んでるんだか。まぁ、毒を食らわば皿まで――だな……何とも甘い毒になりそうな予感だが」その毒を食らえば、その甘さに溺れるだろうことは想像に難くない。――それでも。「受け入れるのが、男の度量か――それとも、これも惚れた弱みか――」俺は深呼吸をしてから、返事を返す。「誰だ?」「私……開けてくれる?」俺はリビエラの返事を聞き、扉を開ける。「よう、遅かった………な………」そこに居たのは、蒼天騎士団の制服を纏ったリビエラと……。「マ、マイ・マスター……」お披露目会の時のドレスを身に纏ったジュリアの姿……だった……。***********うぅ、マイ・マスターが見ている……私を……。嬉しいが、顔から火が出る程、恥ずかしい……。マイ・マスターが帰って来たとリビエラに告げられ、ならば今日は話せるだろうか……しかし、任務で疲れているだろうか……とか、色々悩んでいたのだが――。『せっかく会うんだから、女の子らしい格好しなさい!』と、リビエラに言われたが……私の持つ女性らしい衣装は――アンジェラ様から戴いたこのドレスしか無いわけで――。こうして、ドレスを着てマイ・マスターの執務室――その中にある仮眠室の扉を叩き、マイ・マスターと対面しているわけだが……。「もう……何を固まってるのよ?シオンのことだから、ジュリアが居ることには気付いてたんでしょ?何か言ってあげなさいよ」「あ〜……まさか、その格好でここまで?」「っ!!?」や、やっぱり、変なのだろうか?いや、この前にマイ・マスターは綺麗だと言ってくれたし……。……いや、でも、やっぱり――。「って、そうじゃないでしょ……」「あ、いや……二人が並んで歩いてたら目立つだろうな……的なつもりで言ったんだが」「時間が時間だからか、誰かに会うことはなかったわ……って、他に言うことあるでしょ?」***********リビエラに白い目で見られた……。いや、気になるじゃんか?まぁ……リビエラの言いたいことは、そういうことじゃないのは分かっているんだが――。「……あうぅ」モジモジ……。恥じらいまくるジュリアを見遣って……もっと見てみたいと思ったりなんか、してないんだからねっ!?……俺キメェ。「――まぁ、何だ……似合ってるよジュリア……」「!マ、マイ・マスター……」うわぁ……凄い瞳が潤んでいて……マジで可愛いんだけど……。「嬉しいです……凄く、嬉しいです……マイ・マスター……」「って、ジュリア!?」ジュリアは俺の身体に抱き着いて来た……あ、良い匂い……じゃなくて!!「温かいです……もっと、私を抱きしめて……下さ、い……」「…………」そんなにウットリした表情で頼み込まれたら―――断れるワケ、無いじゃないか―――。「あっ………」俺はリクエスト通り、ジュリアを抱き返してやる。「――これで、良いか?」「は、はい……ありがとう……ございます……」いや、コレくらいでお礼を言われても困るが……。むしろ、俺のほうがありがとうございます!!というか……。「むぅ……二人とも、私のこと忘れてない?」「忘れてるわけないだろ?――リビエラもこっちゃ来い」「んっ♪」一人放置されて、むくれていたリビエラだが――俺が手招きすると満面の笑みを浮かべながら抱き着いて来た――何コレマジで可愛いんですけど?俺は二人纏めて抱きしめてやる―――うん、暖かいし良い匂いだ……。リア充?……俺もそう思うよ――でも。「んふふ♪シオン♪」「あぁ、幸せです……♪」――こんなに嬉しそうにしてくれているんだ……なら、俺もそれを甘受するまでさ……何と言われてもな?「シオン……んっ♪」チュッ♪「んむっ」「あぁーーっ!!」――リビエラにチッスされますた。それを見たジュリアが大声を上げた……って、ちょ……声がデカいって!?……まぁ、幸い俺の執務室周辺に他の誰かの気配は無かったから良かったが……。「んちゅ……ねちゅ……ふああぁぁ……」……ハイ、それはもう深い深いチッスで、めがっさ気持ち良かったんですがね?「……ずるい、リビエラばっかり……私だって……!」「ちょ、ジュリんんっ……!?」ジュリアは軽くむくれたかと思うと、次の瞬間には俺と唇を重ね合わせていた……。「んふ……ちゅる……ぺちゅ……」……改めて思うが、やはりリビエラとジュリアは唾液の味も違う気がするなぁ……。……うんゴメン。一見、余裕そうだが……実際はいっぱいいっぱいデス。俺の心の中……鋼の砦の跡地にて、今現在の俺の危険性をキバヤ○が五月蝿く説いてるが……。うん、それ無理♪ニコヤカにキ○ヤシに告げた後、俺は再び意識を現実に向ける……。「マイ・マスター……はしたないとは理解しています……ですが、それを承知でお願いします……私に、御慈悲を下さい……もう、我慢……出来ません……」「私も……あの日のことを想うと……身体が熱くなって……お願い、シオンに……静めて……欲しいよ……」……こんな美女が、二人も、魅惑的な表情で、おねだりしてくるんだぞ?――色々とタガが外れた俺に、我慢出来るワケ―――無いだろうがぁ!!「……『サイレント』」俺は消音呪文を仮眠室に掛ける……これで、万が一にも声が漏れることは無い……。って、このアレンジ魔法は本当に重宝してるなぁ……最近はこういうことばかりに使っている気がするが……。多分、気にしたら負けだ。「……コレで、外に声が漏れることは無い」「あら……聞こえても構わないんじゃなかった……?」俺は二人にそう告げるが、リビエラは笑いながら俺に言ってくる。確かに、あの時リビエラにはそう言ったな。「俺個人としては一向に構わないんだけどな?流石に、城内でそんなことしてるなんてバレたら、ナイツの沽券に係わる」「んっ……色々と、大変……なのね……んあっ!?」「あふっ!?まい……ますたぁ……手つきがぁ……いやらしいですぅ……ひぅっ!?」俺一人ならまだしも、ウォルフマイヤー家、そしてジュリアにも迷惑を掛けることになるからな……。――もし、執務室の外に誰か居たり、誰かが来る気配があったりしたら――此処まで大胆なことはしていなかっただろう。――ハイ、ムニュムニュと二人のお尻を触ってオリマス――本当にありがとうございました!……ゴメン、もうテンションが変だ。「――ジュリア、本当に良いんだな?今日は、最後までいくぜ?」「ハイ……最後まで……してっ、下さい……っ!」俺にイタズラされながらも、真っ直ぐに俺を見詰めてくるジュリア――。「――ずっと、ずっと……待っていたんです。……貴方と、こうなれることを……ずっと……」―――胸が熱く、締め付けられる。ジュリアは俺を想ってくれていた――。今、思い起こしてみると……恐らく、昔から……。「――なるべく、優しくする」そんな彼女の想いに答える様に、ジュリアの頭を撫でる……ジュリアを落ち着かせる為……というより、自分自身を落ち着ける為に――。「マイ・マスター……あっ……ま、待ってください……」「……?」そう言うなり、ジュリアはおもむろにドレスを脱ぎ始め、下着も外した……要するに真っ裸である……。「……その、せっかくのドレスを……皺にしてはいけないだろうと………あ、あんまり見ないで……下さい……」胸とか、大事な部分を隠しながら……ジュリアは身体をほてらせ、モジモジと身もだえている。ヤ、ヤバイ……スイッチ入っちまう……。というか、既に愚息が臨戦体勢なんですが……。「で………リビエラ、お前は何をしている?」「あ……だって、ジュリアばかり見て……私は見てくれないんだもの……」愚息の臨戦体勢に一役買った者―――リビエラが俺の後ろに回り込み、ズボンの上から愚息を刺激してきたワケで――。というか、そんなむくれた様に――悲しそうな表情されたら……申し訳ないやら、嗜虐心をそそられるやら――。「心配しなくても――リビエラもコレでもかって位……愛してやるよ」あっ、ヤバ……スイッチ入った。「うん……!一杯、愛してぇ……♪」リビエラもウットリした顔をしている様だ……。ゴメン、ジュリア……なるべく優しくしてやりたいケド……多分、無理かも……。「ほら、ジュリアもこっちに……隠さずに、全てを見せてくれ……」「……は、はい……マイ・マスター……」俺はジュリアに指示を出す……ジュリアは怖ず怖ずとそれに従ってくれる……。隠してた手を退けて……ゆっくりと俺の元へ――。「――綺麗だぞ、ジュリア」「そ、そんな……あぁ!?」俺は心の底からの想いを口にして、恥じらうジュリアの胸に触れる……。リビエラとはまた違った感触だが、ムニュンと柔らかく、張りがあり――メロンの様な大きさという点では変わらない――。「あっ、まっ、ひぅ!?そんな……優しくっ、揉んじゃ、あっ!?」「ふふっ……良い反応だな、ジュリア……。――ほら、リビエラも」「あっ、待って――急に、あはぁ!?」――夜は更けて行く――。二人の女性は唄う――大切な者との繋がりに、心の喜びと、身体の喜びを込めて――。いや、気取った言い方は止めよう……。簡潔に言おう。最初こそ、優しくしようとしたが……また暴走した俺のせいで、二人とも失神してしまったワケで……。とりあえず―――色々と汗やその他諸々でベタベタになったので、二人の身体を綺麗に拭き、脱ぎ散らかされた衣服をたたみ――って、前もこんなことしていたよなぁ……。……まぁ、無茶苦茶ヤッた当事者として……コレくらいはやっておかないとな……。とりあえず……まだまだ足りないんだが、気絶しているのに続ける程、俺は鬼畜じゃないからな…………一応。「さて、寝るか――」と、言いつつも……幾らナイツの使用する部屋とは言え、仮眠室だからな……。ぶっちゃけベッドが狭い……ダブルより狭く、シングルよりは広いくらいか?なので、辛うじて三人川の字で寝れる……位の大きさだったり。いっそのこと、備え付けの椅子に座りながら寝るか、執務室のソファーで寝るかしようとも思ったが……。「……なんだかんだ言っても、俺も男なんだよな……」二人と一緒に居たいっつーか、なんつーか……。……今は幸せそうに寝てる二人を見てたら和むというか……男子諸君なら分かるだろう!この気持ち!?……ゑ?もげろ?リア充氏ね?―――まぁ、うん……色々とスマン……どうやらまだテンションが変らしい。「それじゃあ……寝るか……お休み」俺もベッドに横になり、そのまま眠りにつくのであった……今日は良い夢が見られそうだな……。……なんか、また変なフラグが立った様な……杞憂だよ……な?しかし、それが杞憂では無かったということが、翌朝判明することになるが……この時の俺には気付く術が無かったのである……。単に見通しが甘かった……というのもあるが。***********……う……ん……。もう、朝か……?カーテンの隙間から溢れる木漏れ日により、目を醒ます私……。……私は昨日……マイ・マスターと……契りを交わしたのだよな……?夢……では無いのだな……。私の横には健やかに眠る御主人様……シオンが居る……。「フフ……フフフ……♪」い、いかん……顔が緩む……♪私、御主人様――シオンと……あぁっ、夢じゃないんだ!ずっと……ずっと、望んでいた……。勿論、恥ずかしさもある――。互いに裸なのだから、それも当然だろう……。でも、それ以上に嬉しい……あぁ、この方に本当の意味でこの身と心を捧げられたのだから……。嬉しくない筈が無い……。「……コレからも、貴方のお側に……私の御主人様(マイ・マスター)……」私はマイ・マスターにその身を寄せる……あぁ、マイ・マスター……暖かいです……。――それにしても、昨日は……す、凄かったな……。最初は初めての私を二人で………うぅ……。だ、だが最終的には私もリビエラもマイ・マスターに………あぁ、最後までマイ・マスターにお付き合いすることが出来なかった我が身が歯痒い……………なまじ、あんな快感を味わったことないから、余計に申し訳ないというか……。うむ!そのためには修練あるのみだな!!マ、マイ・マスターに鍛えてもらって………いや、決して私が気持ち良いからでは無く、マイ・マスターに満足して頂くために………いや、期待してないワケじゃない。もっと、もっと愛して欲しい……それゆえに鍛えなければ!!――――そういえば、リビエラは何処に【ゴソゴソ】……あぁ、うん……気付いては居たさ……。私は私とマイ・マスターに掛かっていた布団を剥ぎ取る……。「リビエラ……何をやっ……て……」「ん……?あ……ジュリア……こ、これはね……シオンのコレを静める為にね……」「ず、狡いぞリビエラ……私も……」な、何事も修練!……そう、修練なのだから……マイ・マスターにご奉仕するのも、仕える者の勤め!!それに――マイ・マスターにご奉仕するのは――凄く幸せだから……。「じゃあ……二人で……ね?」「あぁ……そうだな……」その後、私たちはマイ・マスターにご奉仕し―――起きたマイ・マスターに……その、美味しく戴かれてしまった……。いや、マイ・マスターは止めようとしたんだが……リビエラや私が、その……それを見兼ねてというか、私たちに御慈悲をくれたというか……。あうぅっ!気持ち良くて、幸せだけど……こんなことでは仕事に身が入らないでわないかぁっ!?私はこんなにふしだらな女だったのか………マイ・マスターはこんな私でも好きだと言ってくれたが……良いのですか……こんな私で……あぁ、御主人様ぁ……♪くぅっ!?い、イカン!!ナイツ足る者、こんな有様ではイカン!!煩悩退散!煩悩退散!!喝っ!!***********――はい、リビエラの時同様、朝のエロゲ的イベントに見舞われたシオンです。昨夜に考えていたことが現実になったワケで――。ぶっちゃけ、美味しく頂きました――。あっ、止めて石を投げないでっ!?いやね?あんな切なそうな表情されたら――断れないだろJK?勿論、事が済んだら……ちゃんとシャワーを浴びて、制服を来て、それぞれ仕事に向かったぞ?その辺、責任のある立場だからな……俺もジュリアも。とは言え、何やら駄目な部分が囁く……。調教……とか、野外……とか、不穏な言葉が脳内に飛び交う……。誇りを持った駄目人間になろうと誓った俺だが、流石にソレは駄目過ぎるだろう?駄目人間というより鬼畜だし……幾ら心がオッサンでも、遺○や臭○みたいな所業なんて俺には出来んぞ?…………と、言い切れない所が恐い……少なくとも、スイッチが入った俺ならやりかねない……。―――鋼の砦は壊れたが、○バヤシが居るから大丈夫だろう―――多分。三国同盟会談まで、あと二日……そして戦勝祝賀会まで……あと五日。今日も一日頑張ろう……。***********……と、思ったのだが。「え?休暇?」「ええ、今朝仕事を貰いに行ったら――今はする仕事が無いらしいわよ?それと、陛下からシオンに二日分の休暇が出てるらしいから……」と、リビエラに聞かされた。どうやら、ワーカーホリックになったのも、満更無駄では無かったらしい……が。同盟工作……というと聞こえが悪いかも知れないが、文字通りあちこち飛び回ったからな……その分、休暇を早く貰えたのかも……。本来は三日の休暇が貰えたらしいのだが……三日後には三国同盟会談があるため、二日になったとのこと……。「……むぅ、いきなり休暇と言われてもなぁ……リビエラ達の訓練もあるし……」「その件だけど……」リビエラは改めて説明してくれる。休暇明け……正確には三国同盟会談終了後……『彼ら』が正式に蒼天騎士団に入団することになると……。「仕事が早いなぁ……」「そんなこと無いわよ……シオン将軍の権限があればこそ――だからね」「無茶が通れば道理も通る……けど、あまり褒められたことじゃないよなぁ……ナイツとは言え、俺はまだ新人なんだし」あまり強権発動してばかりだと、周囲の反感を買うからな……。何はともあれ、俺は休暇と相成った。なお、リビエラが敬語を使ってないのは、此処が俺の執務室であり、周囲に俺達しか居ないからである――って、当たり前か。「そんなワケだから、貴方はゆっくり羽根を伸ばして来てね?」「大して働いていないのに、なんだか申し訳ない気分だな……」「そう思ってるのはシオンくらいだってば……後の事は私たちでやっておくから」「……あぁ、分かった……お言葉に甘えさせて貰うよ」リビエラは胸を張って自分達に任せろ!と言う。―――なら、その好意に甘えてみるか。「ありがとうな……リビエラ」***********「しかし、いざ休暇と言われても一体何をすれば良いやら……」降って湧いたこの休暇……どう使おうか……そんなことを考えながら、俺は城を後にした。尚、ナイツの制服から私服に着替えてあります。青を基調にしたジャケット……『デュエルガード』を身に纏った、普通の格好だ。まぁ……それはともかく。実際は予定は決めてあるんだが……。「約束したからな……」暇を作って遊びに行くってな……。「問題は、誰の所に行くか……だよな?」かなり贅沢な悩みだが、俺なんかを待ってる人達が居る……。だが、それは一人じゃない……だから。「期間は二日、待ってる人は………うぐぅ……」俺は少し悩んだ後、行き先を決めた……。まずは……。***********「さて、やってきましたローランディア!」そんなワケで、ローランディア王都ローザリアにテレポートしてきた俺。会いに来たのは――――サンドラとレティシア。……なのだが。「よくよく考えなくても、関係者以外は城には入れないよなぁ……」任務――ナイツとして来たならともかく――。今の俺――私服だし、私用だし。……考えてみたら、城に入れる要素が少ない。ははは……どないしよ?「まぁ……真っ正面から訪ねるしかないか」多分、大丈夫だろうとは思うが……。理由としては、ローランディアの上層部の一部とは顔見知りだし、何回も城に出入りしていたし――恐らく、ちゃんと説明すれば―――。***********「どうぞ、お通り下さい」「ありがとう」と、こうなったワケで。経緯を説明すると、城門まで来た俺は門番へサンドラに会いに来たことを説明(レティシアの名前は敢えて出さない。他国の騎士にしか過ぎない俺が、一国の姫君であるレティシアを公に名指しするのは色々と問題があるから)、更に俺の名前を出した……。そうしたら、門番の彼がサンドラに確認しに行ったらしく、城内に入って行き……戻って来たらこうなったと……。多分、大丈夫だろうとは思っていたが……まさか、こんなスンナリと入れるなんて……。前回来た時も同じ様に入れたが……あの時は任務として、ナイツとしてだったからまだ分かるんだが……。自身のご都合主義体質を喜ぶより先に、この城の防衛意識が心配になっちまう……。ともあれ、俺は城内に入ることが出来たワケで――。「シオンさん!」「サンドラ様……わざわざお出迎え頂かなくても……お忙しいでしょうに」「いえ、シオンさんに訪ねて頂いたのですから、これくらいは……」わざわざ出迎えてくれるなんてな……ありがたいよな……。「それで、今日は一体どのような……?」「――約束を果たしに来ました」「約束――?」俺に用件を尋ねて来たサンドラ。俺は一言……約束のことを告げる。サンドラは首を傾げるが――。「時間を作ると、言ったじゃないですか――」「あっ――」俺の言葉を聞き、サンドラはハッとした表情になる――もしかして、忘れていたか?いや、忙しかったんだろうな……。「今日一日は時間を取りましたから――忙しいなら、日を改めますが……」「……す、すいません――ですが、夕方からならば時間が取れますから……」サンドラは、ゲヴェルに関する資料……伝記の様な物を作成する為のメンバーの総責任者みたいな立場だからな……私情でその大業とも言うべき仕事をボイコットするワケにはいかないだろうしな――。「そうだ……もし何でしたら、姫とお会いになられてはいかがでしょう?――姫も貴方にお会いしたかった様で「シオン様!」……噂をすれば、ですね」サンドラは自分が仕事をしている間に、レティシアに会ってはどうだ?と、提案してきた……。俺としてはレティシアとも約束していたので、願ったり叶ったりなんだが……なんて話をしていたら、レティシアがこっちにやってきた。情報が伝わるの早っ!?いや、案外サンドラが門番から話を聞いた時、レティシアも近くに居たのかも知れないが……。「ど、どうしたのですか?シオン様……その、今日はどんなご用が……」「いえ、以前の約束を果たしに来たのです……」しどろもどろになりながら尋ねてくるレティシアに、俺はサンドラに説明した内容と同じ説明を行った。「……と、こういうワケです」「そ、そうだったのですか……それでは!宜しければお話でも……いかが……ですか……?」「――そうですね。こちらこそ喜んで」「そうですか!それではコチラに……」愛らしい満面の笑みを浮かべながら、俺の腕にしがみついてくるレティシア……って、レティシア?何やら柔らかい感触を腕に感じるのですが?というか、だな……。「周りの視線が痛いのですが……」「あ!申し訳ございません!!」そう、この場には俺やサンドラ、レティシアの他にも、兵士達が居たりするワケで……。女性兵士はキャアキャアと黄色い声を上げながら、男性兵士は呪詛を呟きながら俺達を見ている……。って、それだけかよっ!?「普通はもっと問題視するモノだろう……一国のお姫様が、どこの馬の骨とも知れない男と腕を組んだりしているんだから――」「そのことですが……シオンさん、ローランディアでは結構名前が知れ渡ってるんですよ?」「は?」俺の疑問に答えたサンドラ……その答えを聞き、俺は(゚Д゚)←こんな顔になってしまう。「シオン様は、ローランディアでルイセちゃんたちと一緒に、様々なことを成し遂げていたことを、皆が理解しているのですわ……勿論、シオン様だけでは無く、協力して戴いた皆さんについてもですが――」「……マジ?」どうやら、俺を含め協力者の立場に居た者は、ローランディアでは結構有名だったらしい……。「特にシオンさんは、ルイセと同じグローシアンで、インペリアル・ナイトになっていたこともあって……知らない者は殆ど居ないのでは……と」「……マジ?」大事なことなので二回言いまryサンドラの言い分からして、この間ナイツとして訪問したことも影響しているらしいです。どんだけ〜。***********その後、一旦サンドラと別れた俺はレティシアに連れられて彼女の部屋に―――行く前に、アルカディウス王に挨拶しに向かったワケだよ。流石に何の許可も無く城内を闊歩するワケにはいかない――特に俺の様な立場の人間は……な。その辺は心得ているって。「よく来てくれたな、シオン殿。聞けば休暇だそうではないか……ゆるりとしていかれよ」「ありがとうございます。ですが、宜しいのですか?今回は任務では無いのですが……」「構わんよ。シオン殿には世話になりっぱなしだからな……それに、その方との再会を、レティシアも待ち望んでいたようだからな?」「も、もう!お父様ったら……っ!!」こうして、アルカディウス王から許可を貰った俺は、改めてレティシアに連れられて彼女の部屋に向かったのだった―――って、信頼されすぎだろ?今の俺って、他国の騎士なんだが……良いのか?まぁ……信頼されてる以上、その期待は裏切れないよな。***********私は、シオン様と共に私の部屋へ……。その……別に期待しているワケでは……ありますけど……キスとか、シオン様さえ良かったらその先も……イヤですわ、そんな――はしたない!でも……。「それで……って、レティシア?」「っ!?な、なんでござりましょうか!?」「いや、この話は面白く無いか?ってか、口調が変だぞ?」「そ、そんなことありません!とても、その……楽しませて頂いておりますわ!ほ、本当ですよ?」そ、そうでした……私、シオン様に御頼みして新しいお話をしてもらっていたのでした……せっかくシオン様がお話してくれているのに……私のバカッ!!「そうか?まぁ、それなら――」そう言ってシオン様はまた話を続けてくれた――。シオン様のお話は、とある剣士に連れられた子供の物語。剣士である父親、その息子の物語……。少年は父親に連れられて、故郷の地へとやってくる……そこで少年は様々な冒険をする。故郷の村にある洞窟の中、父親の友人である宿屋の主人、その娘である少女と共にお化け退治、妖精に導かれ、妖精の国を救うために―――そして……。「と、今日はここまでにしておこうか」「そんなぁ……もっと聞かせて下さいませ……」私がむくれた表情をしてみせると、シオン様は柔らかく微笑んでくれた。「そろそろ夕食の時間だろ?休憩するには、良いタイミングだと思わないか?」「あっ……」言われて気が付く――窓から降り注ぐ光が、オレンジ色になっていることに……。「しかし、それだけ集中して聞いてくれているんだから、語り部としてはこの上ないお客様だな」「もう、シオン様ったら……」クックッと、可笑しそうに笑うシオン様……。もう!意地悪なのですから……!コンコンッ――。そんな時、私の部屋の扉を叩く音――。私は返事を返します。「誰ですか?」「サンドラです――夕食の準備が調ったとのことです」サンドラ様がわざわざ呼びに来てくれた――多分、今日の仕事を終わらせて来てくれたのでしょうが……。「ありがとうございます――それでは、参りましょう」「ああ、そうだな――」私とシオン様は、サンドラ様に連れられて食事の席へ――。シオン様は今日、客人としてこの城に泊まっていって頂けることになり、夕食も一緒にして頂けることになりました……。それで、お部屋は以前エリオット王が使っていた客間をお使いになるとか――。「そういえば、サンドラ様……カーマイン達は?」「あの子たちは今日の役目を終えて、家に帰って休んでいますよ」「サンドラ様は良かったのですか?」シオン様は、周囲に気を配って敬語で話しております。シオン様はカーマインさんたちと帰らないで良かったのか……と、サンドラ様に尋ねます。すると、サンドラ様は首を横に振り――。「私はまだ仕事が残っていますから――それに、その……シオンさんと、話もしたいですし……」「……承知しました。私などで良ければ、喜んで」サンドラ様の様子を見て、シオン様はフッと柔らかく微笑んだ……。綺麗な笑み……私はそれを見て心地良く感じる……まるで、全てを包み込んでくれる様な……温かさ。たぶん、サンドラ様も感じていると思う……。この温かさは凄く心地良い……けど、もっと温かさが欲しい……もっとシオン様を感じたい……だから、私は決意を固めたのです……。私の全てを――この方に捧げることを――。***********「ふぅ……食った食った♪」サンドラに案内されて姫や王の食卓に、同席することになった俺……幾ら貴族とは言え、王族の食卓に同席することなど今まで無かったから、ハッキリ言って緊張しまくりだった。態度には出さなかったけどな。粗相はしなかったと思うが……。ちなみに、サンドラは再び研究室に戻って行った。仕事熱心と言うか、何と言うか……。そこで食事を摂った後、俺は割り振られた客室にやってきた。「中々、有意義な一日だったな……レティシアとも話をしたし……だが」サンドラとはあまり話せなかったな……。後で来るとは言っていたが、仕事が忙しかったんだろう……。結局、夕方に来た時も直ぐに仕事へ戻って行ってしまった……。――それとも、今から来るつもりとか――?「ハッハッハッ、それ何てエロゲ………って、笑えないよな……」昨日とか正にそんな感じだったし……。……なんだろう?何か大いなる意思という名のご都合主義でも働いているんじゃないか……?今まで、一線を超えようとしても超えられなかったのに………。ま、まぁ……流石に我がエロース脳から来る妄想の感は否めないケド……。アレだ、色々経験しちまったから駄目人間指数も上昇しちまったのかも知れんねぇ……。そもそも、夜に男の部屋に来るとか……幾ら相思相愛だからって、そんな奇跡『コンコン』………おちけつ、おちけつ……もとい落ち着け、落ち着け……扉をノックされたからって、動揺してどうする?例え、外に居る気配が二つあって、よく知った者の気配だとしても――。「はい?」「わ、私です――開けて……貰えますか?」俺は客室の扉を開け、来客を迎え入れる。「サンドラ様……レティシア姫まで……こんな夜分にどうしたのですか?」「夜分遅くにすいません……あの、今……宜しいですか?」「ええ……立ち話もなんですし、どうぞ中へ」俺は二人を中に招き入れる……。もちつけ、もちつけ……もとい、落ち着け、落ち着け……。そうだ、素数を数えry「で、どうしたんだ二人して」部屋の扉を閉め、周囲の気配を確認した上で、砕けた口調で話し掛ける。「約束通りに、お伺いしました……お待たせして申し訳ありません」「いや、もとより急に尋ねて来た俺が悪いんだし……だから、そんな顔するなよ……な?」申し訳なさそうにするサンドラを見て、若干の嗜虐心が沸くが……それ以上に愛おしさが勝る。つい、サンドラの頭をなでりこした俺は、悪くない筈だ。……多分。「や、止めて下さい……」「嫌なら止めるけど?」「い、嫌では無いですけど……なんだか、恥ずかし……」なでりこなでりこ♪「う、うぅ……」真っ赤になりながら、小さくなっているサンドラ……。多分、自分の歳とかそんなことを考えているから、恥ずかしいんだと思うが……その反応が可愛過ぎるので止めてやらない♪「シ、シオン様……私にも……」「喜んで……」なでりこなでりこ♪「シオン様の手……温かくて、大きいです……♪」なでりこ昇天しそうな程に心地良さそうに、目を細め、微笑むレティシア……。二人共、二者二様の反応で和むなぁ……。っと、いかんいかん……。「さて、せっかく尋ねて来てくれたんだ……話でもしようか?」「「あっ……」」俺は二人を撫でていた両手を止め、話でもしようと提案する……って、そんな残念そうな顔しないでくれよ……。「止めない方が良かった――?」「いえ、その、そんなことは――!」「私は、もっと続けて欲しかったですわ……」サンドラは真っ赤になりながら慌てて……レティシアは素直に自分の気持ちを吐露する。そんな二人を見て、俺は思わず笑みが零れる……。「まぁ……撫でて欲しいというなら、俺としても吝かじゃないんだがな?二人とも髪の毛サラサラだから、撫でていて気持ち良いし」「もう……こんなおばさんをからかって……楽しいですか?」「からかってるつもりは無いって……それに、前にも言ったけど、こんな綺麗なおばさんなんて居ないよ」というか、サンドラも含めて未だに綺麗なお姉さんで通る人は結構居る。エリオット陛下の母、アンジェラ様もそうだし……。尚、俺の母上は未だに可愛い女の子レベルの化け物なので、敢えてノーカン。「なら……それを、証明してくれます、か……?」証明……?もしかして……。「……あ〜、その、何だ……俺の勘違いじゃないなら、それは……」「約束してくれましたよね……平和になったら……あの時の続きをしてくれると……」サンドラはゆっくりと俺に身体を預け、胸元に顔を埋めてくる……。やっぱり……覚えていたのか。だが……勿論、サンドラは知っている筈だ……。「サンドラ……それは」「分かっています――貴方が忠告してくれた、我が師……ヴェンツェルが何かを企んでいる可能性……今この時が、つかの間の平和でしかないことも」そう、サンドラは知っている……今この瞬間が、つかの間の平和に過ぎないことを……。「ですが、だからこそ………勇気が欲しいのです。あんな思いは、もうしたくない……大切な人は失いたくないんです……」あんな思い……それはクソヒゲに裏切られたことを指すのか、ルイセが壊されかけたことを指すのか……それとも、未だに詳しく聞いたことの無い、今は居ない旦那さんのことを指すのか……。正確な所は分からない………だけど。「……分かった。証明してやるよ……サンドラの勇気になるかは分からないケドな?」普段は気丈に振る舞っていても、誰かに縋りたいと――不安を塗り潰して欲しいと願っていたのかも知れない。原作通りなら、或いはそういう『弱さ』をさらけ出すことは無かったのかも知れない……。だが、サンドラは俺なんかに好意を持っちまった……縋れる相手が出来た……それが、そういう弱さをさらけ出す結果に、繋がっちまったのかも知れない……。全て俺の憶測だし、自意識過剰なのかも知れない……それでも。「シオン……さん……」それが彼女の勇気になるというなら……どこまでも支えてやる。不安だって吹き飛ばしてやる!!「シオン様……私も……」「レティシア……」「私は、愛する殿方に全てを捧げたい……そう思って、今日此処に来ました……私の愛する方は、貴方だけです……シオン様」レティシアも俺に身体を預けて来て……俺はそれを受け止めた。「私には、他の皆さんの様に戦う力はありません……シオン様のお力になることも……できません……ですから、絆が欲しいのです。切っても切れない……強い繋がりが。せめて、それが貴方の力になる様に―――貴方の『帰れる場所』くらいには、ならせて欲しいのです……」「レティシア……」言葉も無い……。こんなに想われていることに、胸が熱くなる――一杯、一杯熱くなる――。「レティシア……その気持ちが凄く嬉しいよ……だから」だからこそ、俺はレティシアの想いを……。「遠慮無く貰うぜ……レティシアの全てを」「!!は、はい!貰って下さい……私の、全てを……」俺は二人を優しく抱きしめ……口付けを交わす。「ふぁ……ちゅる……ぺちゅ……あぁ、シオンさんの唾液……美味しいです、よぉ……」互いの舌が絡み合い、透明な掛橋を作り……ぷつんと途切れた。サンドラの淫靡な表情は、俺のスイッチを切り替えるには十分な破壊力だった……。「じゃあ、次はレティシアだな……」「ひゃう……ちゅぱ……ぺちゅ……んちゅ……ふあぁ、凄いれすぅ……シオンさまぁ……」深いチッスにはまだ不慣れなのか、レティシアは深チュウだけで腰砕けになる。ピクンピクンと身体を震わせている様が、スイッチの入った俺を更に勢いづかせる……。「ふふふ……夜は長い。一杯愛してやるからな……」「あぁふっ!シオンさぁんっ……!」「ひぅ!?シオンしゃまぁ!!」***********翌朝――いの一番に起きた俺様ちゃん。――朝のエロゲ展開を防ぐ為、颯爽と起き上がったのである。昨日?あ〜、とりあえず言えることは……だ。サンドラが凄かったということだ。やはり、経験者だからか、久しぶりだからか……スイッチ入った様で、見事な乱れっぷりでした。レティシアは懸命に俺に着いてこようとして、早い段階で戦線離脱したけど、サンドラは俺に付き合い続けてくれたし……。―――結局、気絶させちまったケド。結局、二人ともスゲェ良かったというか……何と言うか……。―――アレだ、自分でもパネェと思うわ……。自重すれ、俺!!そろそろ節操無いとかのレベルを凌駕してきているって!!「……すぅ、すぅ……」「んぅ……ふ……」「………まっ、いっか」いやだって、こんな幸せそうな寝顔を見たら……分かるだろう?もう、お持ち帰りしたくなるくらいの愛らしさだZE?―――しかし、ローランディアの宮廷魔術師であるサンドラと、ローランディアの姫君であるレティシア………ローランディア王国の重役と、象徴たる姫君にまで手を出すとか……。……絶対、ろくな死に方しねぇだろうな……俺。ハーレムとか、人として褒められることじゃねぇし……しかも猿みたいに、その、しまくりだし……人として最低だよな。「……でも、幸せだって――思っちまうんだよな……」こんな俺を想ってくれて、それを甘受している皆……。俺なんかでも、幸せになっても良いのかな……って、思っちまう。「少なくとも、胸を張ってなきゃいかんよな――」俺は寝ている二人の髪を軽く撫で、二人を起こさない様に立ち上がって着替える。案の定スッポンポンなので……。手早く着替えた俺は、二人が起きるまで、その寝顔を何とは無しに眺めるのだった……。***********その後、レティシアとサンドラ(互いに真っ裸であること、後は昨日のことを思い出したのか、顔が真っ赤だった)も、起きて着替えた。「うぅ……シオン様と……昨日……はうぅ……」「わ、私は……あんなはしたなく……は、恥ずかしい……」この様に、着替えてからもしばらく二人とも身悶えていたので……朝の性理現象で天元突破していた我が息子が、更にエラいことになりかけたが……流石に自重した。「ほら……シャキッとしろよ。そんなんじゃ、周りに変な目で見られるぜ?」「は、はい……わかっては……いるのですが……」「シオンさま……わわわ、わたくし……」――こりゃあ、しばらく治りそうに無いなぁ……。結局、二人が落ち着くまで、たっぷり30分近く要したのであった………どっとはらい。三国同盟会談まで――あと一日。そして、戦勝祝賀会まで――あと四日。運命の歯車はゆっくりと、そして確実に刻まれて行く……って、格好付けて言っても説得力無ぇ……やったことがやったことだから、って、あ!石を投げないで!?***********「――もう、行ってしまわれるのですか?」「ええ、他にも寄る所がありますので……皆には、宜しくお伝え下さい」ローランディア城謁見の間前。レティシアとサンドラに見送られながら、俺は旅立ち……と言ったら大袈裟か。とにかく、ローランディア城をあとにしようとしていた。レティシアが寂しそうにコチラを見遣る……うぅ、何か訳の分からない罪悪感が……。そんな中、結局カーマイン達には会う暇が無かったので、宜しく言っておいてくれと伝える俺。「分かりました――確かに伝えておきましょう……また、会いましょうね?」「勿論ですよ。ありがとうございます」俺はサンドラ様に礼を述べる。もう、色々とありがとうございますというか……。……あぁ、しかし……何と言うか。「それでは――また」名残惜しい……なんて、俺が言ってたら駄目なんだろうなぁ……。そんなことを思いながら、俺は二人に再会を約束してその場をあとにした。「はぁ……幸せなのは良いが、どうやって責任を取ろう?」こうしてインペリアル・ナイトになった以上、胸を張って皆に相応しい男になった……そう思いたい。とは言え、今すぐ身を固めることは出来ないんだよなぁ……ナイツになったばかりだし、な。「まぁ、グダグダ考えても仕方ないか――」今更、誰かだけを選ぶという選択肢は無いのだ―――なら、意地でも皆で幸せになるしか無いだろう?「なら、もっともっと頑張らないとなっ!!」少なくとも、周りを納得させるくらいには、な。その後、俺は次の目的地へと向かうのであった――。***********おまけ1その後のカレンさん。「うぐぅ……あ、頭が痛いよぉ……」朝起きたら、吐き気こそ無かったけど、物凄い頭痛が襲って来て、私は寝込んでしまっています。うぅ……なんでこんなことにぃ……。「自業自得……よね……あぅ!」二日酔い……お酒を飲み過ぎたから……こうなっちゃった……。せっかく……シオンさんが来てくれたのに……。「うぅ……私の……ばかぁ……」もう、帰っちゃったよね……お城に戻る途中だったわけだし……。でも………。「うっすらと……覚えてる……」温かい何かに包まれたことを……安らぎながらも、胸の高鳴る香りを……。多分、シオンさん……私を部屋に運んでくれたんだ……。「嬉しい、なぁ……」もしそれが事実だったなら、シオンさんとお父さん……喧嘩しなかったってことよね……?もし喧嘩してたら、自分の娘を運ばせたりしないよ……ね?兄さんの時はあんなことになっちゃったから……少し心配してたんだけど……よかったぁ……。「そういえば……お父さんは……」あ、そうだ……鈍った身体を動かしてくるって言ってたっけ……?お父さん、さすがにゼノス兄さんの世話になりっぱなしでは納得出来ないみたいで、闘技場に行ったんだよね……。「私も頑張らな、きゃ……!!」まずは……二日酔いを治さなきゃ……。その後、シオンさんの書き置きを枕元にある台の上から発見。少し元気が出たのは内緒です……♪***********おまけ2英雄VS転生者「くっ、強い……」私は今、闘技場に来ている……。まだまだ動ける私としては、息子の稼ぎに頼ってばかりはいられん……そう思い立って、闘技場で腕を磨き直すことにしたのだ。幸い、賞金や賞品が貰えるから、家の為にもなる……。そして、私は戦って、戦って、戦い抜いて!!遂に決勝まで辿り着いた……まぁ、此処までの相手はウォーミングアップにすらならなかったが……。***********「さぁ、いよいよ決勝戦!!怒涛の勢いで勝ち抜いて来た筋骨隆々のスーパー老人……ベルガー・ラングレー選手!!」ろ、老人………まだそんな歳では無いんだが……。地味にショックを受けていると、対戦相手も入場してくる……。「ふらりと現れ、遂にはこの闘技場の覇者となった男!!人呼んで『グランシルの青い雷』……リヒターだああぁぁぁぁっ!!」ワアアアァァァァァァァァッ!!!対戦相手の全容が現れた瞬間、会場の熱気は最高潮に高まる。……若いな。相手を見た、第一印象はコレだった……。……?私を見て、眼を見開いている……?と、思ったらヤレヤレと言った風に首を振る……何だ?「「「キャアアァァァァァ♪リヒターさぁん!!」」」「「「リ・ヒ・ター!リ・ヒ・ター!!」」」凄い声援だな……彼はその声援に答える様に、その拳を天高く突き上げた。すると、更に会場が熱狂する――。「それでは……試合開始ですっ!!」***********こうして、現在に至る――。戦ってみて分かったが……彼はとんでもなく強い!!信じられないことだが、私の全盛期に近いかも知れん……。両手の大剣を巧みに扱うその様は、まるで嵐。隙を伺っていたが、その隙が見当たらず、時に隙を見つけたと思って切り込むと、それが罠であり、手痛い反撃を受けるのもしばしばだった……。今の私は、かつて培った戦闘による勘……コレに頼っているに過ぎない。「ふふふ……真に最強オリ主と化した俺に此処まで着いてくるとは……流石と言えるな」「な、何を言っている……」「さて、降参してくれませんか?これ以上は大怪我をしてしまいますよ?」彼は私に警告してくる……確かに全体的に私が押されている。少なくとも、今の私ではまず勝てまい。「……分かった、降参しよう」その日、私は世界が広いことを知った……。自分より強い人間は居ない……なんて、自惚れていたつもりは無いが。……気のせいか、彼とは何処かで会った様な気が……。「みんなぁ!!応援ありがっとうーっ!!愛してる……ZE☆(きらーんっ)」「「「「きゃあぁ〜ん♪リヒターさああぁぁぁぁん♪」」」」……………いや、やはり気のせいだろう……うん………。彼に負けたことに、どうしようも無いやる瀬なさを感じながら……私は闘技場を後にした。***********後書き的な何か。え〜、更新が遅れて申し訳ありませんです。m(__)m仕事が忙しかったり、プロットがスパッと決まらなかったりで、こんなことに……。結局いつも以上にグダグダ感が否めない感じになりましたが、如何でしたでしょうか?というか、忘れ去られていないか本気で心配です。(TAT)次回はもう少し早めに更新したいと思います。それではm(__)m