〜これまでのあらすじ!〜エリオット王と女性インペリアル・ナイトのお披露目……+サプライズ=ポールのお披露目……だけの筈なのに、何故かぽっくんもインペリアル・ナイトに大・抜・擢・☆きゃる〜〜〜んっ☆…………………。………………。……………。………ねぇよっっ!!!そして俺キメェッ!!!…いや、我ながら冷静さを欠いていたな……申し訳ない。いやね?来賓の方々も何を素直に受け入れてやがる……グルか?グルなのか?「……フッ、まさかこんなことになるとはな……」「お前……知ってたな?」「予めエリオット陛下に伺ってね……中々に俗っぽい名前だろう?仮に私が陛下と同じ立場だとしても……同じことをしたかも知れないし、な」お披露目を終えた直後、俺は俺と共に新ナイツとなったポール……リシャールと話していた。そう、ポールの正体はリシャールだったのだ!!……まぁ、気付いた人は気付いたんだろうがな。ほら、ライエル卿とリーヴス卿が仲間になりたそうな……もとい、事情を聞きたそうな目で見つめてきている。それにアンジェラ様もこっちに向かって来ているしな。「ほれ、同僚二人が話をしたいってよ?それと陛下の母上が挨拶にいらっしゃるみたいだから、ちゃんと挨拶しとけよ?」「お、おいシオン!?」聞こえな〜い、オッサン何にも聞こえな〜い。邪魔者は退散しとくから……ゆっくり話せよ?……あっ、そうだ。「ライエル卿、リーヴス卿?」「シオン……これからは同僚になるんだから、名指しで構わないよ」「口調も普段通りで構わないぞ?同僚同士で敬語も無いしな……で、なんだ?」爽やかな微笑と、それより微かな微笑に答えられ、俺は頷いて続きを口にする。「それじゃあ……ライエルとリーヴス。――暇が出来たらO・HA・NA・SHIしようZE――?」「……き、気のせいかな?なんだか発音が違うような……」ニコヤカなエガオを向ける俺を見て、冷や汗を浮かべるリーヴス……ライエルとポールも青くなってるが――。「気のせい――だと思うか?心配しなくても、父上や母上にもしっかり―――フフッ」俺はそれだけ言い残してその場を離れた―――うん、皆のあの表情を見れただけで少しは溜飲が下がったな。「しっかり……何なんだ……?」「な、何をするつもりだ……」「アレは……相当怒ってるな」いやいや……本当にO・HA・NA・SHI・☆をするつもりはないケド。正座させた上にお説教くらいは……イイヨネ?クスクス………と、イカンイカン。落ち着け俺。――実際、俺のナイツ入りは勿論、ポールのナイツ入りも予定には無かったことなのだ。以前、俺がエリオットに嘆願したこと(第72話参照)とは、ずばり!リシャールの処遇のことだったりする。本来のリシャールの人格なんかを説明したりして……その上で何か異変があったんじゃないかと。まぁ、決戦前のリーヴスと同じ様なことを嘆願した訳だな。リーヴスと違うのは、リシャールには名前と正体を偽ってもらい、エリオットの影武者的な立ち位置で頑張って貰おうと言う話になったことだ。その際、髪の色を変えるというアイディアを出したのが俺だったりする。……原作の話だが、幾ら好感度が高くても、一国の王が国を空けちゃイカンだろう?インペリアル・ナイトのジュリアにも同じことが言えるが、ジュリアの場合はライエルとリーヴスが居たしな。だから、もしエリオットが抜けた場合の代理になって貰う……あるいは、リシャール自身にパーティーに加わってもらおうかと考えたのだ。……それがこのザマだよ?蓋を開けてみれば、リシャール=ポールはナイトに任命。更には俺までナイトに任命される始末……。……うん、なんてご都合主義。そりゃあ、いずれはナイトを目指すつもりではいたが……幾ら何でもこれは無いだろう?ただでさえジュリアの願い……『女性初のインペリアル・ナイト』という、今までの伝統をブッ壊す様な宣言をしたエリオットだ……。その上で、ナイツを新たに二人任命……しかも試験も無しだってんだから……この場に居る面々はともかく、他の諸侯の反感を買うのは確実だろう。……ジュリアは早い段階でインペリアル・ナイトになったが、それでも試験は受けたらしい。その上でのナイツ入りだから、反感は少なかった……というより無かったのだろう。「驚いちゃったよ!シオンさんが、ナイトになっちゃうなんてさ」「……一体どうしてこうなったんだ?」「それは俺が知りたいくらいだぜ……」俺は溜め息と共に、答える。質問してきたのは、カーマインとティピ。とりあえず、近づいて来た二人と話しているワケだが……。「まぁ……任命されたとは言っても、形式上の措置ですから……あなた達がゲヴェルを倒してから正式に赴任……ということになりますが」「――これはエリオット『陛下』。この度は私の様な『若輩者』にこの様な大役を仰せ付かって頂き、恐悦至極でございます」「……あの……怒ってます?」「ハハハ、何をおっしゃいますか。『わざわざ』私めの様な輩を起用して頂いた――これから主君と仰ぐお方に、その様な不忠を働くわけが無いではありませんか?」「うぅ……((゚Д゚ll))ガタガタ」「シ、シオンさん、目が笑ってない……よ?」「落ち着け……深呼吸だ…な?」何を言ってるんだいティピ?俺はこんなにエガオなのに♪ハハハハハハハハハ………ハァ…まぁ、あんまりやり過ぎも良くないか。つーか、カーマイン……さりげにお前もテンパってるな?「冗談です。まぁ、愚臣からの忠言とでも取って戴ければ……」俺はニカッと笑ってそう告げる。確かに何の断りも無く、話を進めたことには憤りを感じるし、職権乱用も甚だしいその行為に、馬鹿なの死ぬの?と、思わなくもないが。元より、俺はナイツ入りを目指すつもりではいたんだ。それがこうしてナイツの称号を頂いた上、ある程度自由に動ける様に計らってもらった。正直、かなりのご都合だとは思うが……。文字通り、俺には都合が良いワケで……これで文句を言っていたらバチが当たる。まぁ、ラッキー♪くらいに思っておこう……そのほうが、些か気が楽だ。「申し訳ありません……あなた達の様な優れた人物にはそれ相応の役割が必要かと……これからのバーンシュタインの為にもあなた達は必要だったのです……それに、あなたは今まで多くのことに貢献してきました。それは確かにこの国の……いいえ、この大陸の平和に貢献したと言えます。そんなあなたに報いるために、良かれと思い……」陛下は本当に申し訳なさそうに頭を下げる……全く、らしいよなぁ……。「お気になさらず……陛下のご好意に感謝こそすれど、異を唱えることなど無いのですから」「ありがとう……シオン。そう言ってくれたなら、気が休まります」エリオット陛下に仕える者としては、あまり強くは言えないよな……。というか、陛下は仔犬チックなんだよな……打算無き保護欲と言うか、何と言うか……守ってやらなきゃ……みたいな?余程のことがあれば強く言うつもりですよ?責任ある立場ですから。もっとも、父上達は説教確定だがな。本来なら諌めるべき立場の人間が、むしろ陛下の策を助長させたのだからな……。フフフ……覚悟しておけよ……?その後、エリオット陛下に聞いたところ、ゲヴェルの問題が片付いたら改めて試験をするつもりなんだそうな。つまり、現在は肩書だけのナイツ……というワケだな。むしろ望むところだよな……これでもまだ優遇されてる部分もあるが。実力を見せれば、表立って文句を言う奴はかなり減るだろうし……陰口は分からないがな。「そういえば……さっきウォレスと話したんだが……ウォレスの眼を見える様にしたそうだな?」「ウォレスさん喜んでたよ?『お前たちはこんな顔をしていたのか……やはり、人の顔を見て話せるというのは良いものだな……』って♪」「以前からちょこちょことな?というか、それはウォレスの真似か、ティピ?」カーマインとティピの質問に答える。まだ試作品だが、コツコツ作ってた甲斐があったよな。ちなみに、そのウォレスだが……。「本当に似ているな……」「ハハハ……そりゃあそうですよ。兄弟なんですから」ラルフの顔を見て感心した様に頷いている。それを見てラルフは苦笑いだ……。ラルフ自身、俺から詳しく無いとは言え、真実を知らされたワケだからな……内心複雑なのだろう。今までのアイツなら、ウォレスの問いに――『双子ですから』――とでも答えていた筈なのだから――。それでも、兄弟と言い切ってる辺り、ラルフの気持ちが伺える。皆、この宴をそれぞれに楽しんでいる様だな……。ゼノスは原作と違って、肩身が狭い思いはしていないみたいだし、アリオストはアリオストで楽しそうだ……。ルイセ、カレン、リビエラは女性同士の話に華を咲かせているらしい。で、俺なんだが……今はパーティー会場には居ない。というのも―――。「何だかんだで、付き合いは長いよな――俺達」「そうですね――幼少の頃から10年以上……時が経つのは早いものです」ジュリアに誘われてバルコニーに向かっているからなんだが……。ジュリアいわく、会場は暑いから外で涼まないか?ということで……断る理由も無かった俺は、こうして雑談をしながら外に向かっているワケで。「そういえば明日、グランシルの闘技場にチャンピオンが来るらしいですよ?どうです?宜しければチャレンジしてみては……?」「チャンピオン……ね。そうだな……闘技大会では、そのチャンピオンと満足行く戦いが出来なかったからな……主にチャンピオンの精神的ダメージのおかげで」ジュリアの問いに、俺はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべて答える。それを聞いたジュリアは慌てた。「な、なんのことでしょうか?私とチャンピオンには何の関係も……」「俺はチャンピオンとジュリアに関係があるなんて……一言も言っていないんだがな?」「……マイ・マスターは意地悪です」墓穴を掘ったジュリアにすかさず揚げ足を取る俺。それを見て、ジュリアは半分いじけてしまった。ジュリアからしてみれば、何も知らない俺を驚かせるというサプライズをしたかったのかも知れないが……。原作知識として知ってるからなぁ……闘技場のチャンピオンがジュリアだってことは。「まぁ、俺としてもやり残した『勝負』だ……きっかり白黒着けるとするか」「……申し訳ありませんが、全力でやらせてもらいますよ?――私の成長を、ちゃんと貴方に見て欲しいですから――」「なら、俺も中途半端なことは出来ねぇな……まぁ、端からするつもりはねぇケドな?」互いに微笑み合いながら先に進む……と。「あっ!?」「と……大丈夫か?」ジュリアが躓き、体勢を崩したのを抱き止めた。「は、はい……大丈夫です……履き慣れない靴ですので、その……」ジュリアは赤くなりながら弁解をする……まぁ、ヒールの付いた靴なんて今まで履かなかっただろうからな……。俺は此処である事を思い付く……。それは原作でカーマインもやったことだ。ならば俺も……ってワケだ。「よっ、と」「マ、マイ・マスター……!?」俺はジュリアを抱き抱える……所謂プリンセス抱っこって奴だ。「ジュリアは軽いな♪」「う、嘘です!……私は女性にしたら大きいし……その……」真っ赤になりながらジュリアはしどろもどろだ。ハハハ、めがっさ可愛いにょろぜっ!!「天地身命に賭けて……嘘は言ってないぜ?」「わ、分かりましたから降ろしてください……このままでは暑くてどうにかなってしまいそうです……」そんなジュリアも見てみたいなぁ……とは思ったが、あんまりやり過ぎても何だからな。素直に降ろすことにする。そして、俺達はバルコニーに着いた……確かに外は涼しいな。「というか、まだ顔が赤いぞ?」「貴方が変なことをするから、かえって暑くなってしまったのではないですか……」「――もっと暑くなることをしたことがあるのに?」「そそそ、それは――うぅ……」ジュリアは更に真っ赤になってしまった……それこそ耳まで真っ赤という奴だ。やばい目茶苦茶可愛いんですけど?とは言え、いぢめ過ぎてバタンキューされても困るしな。「ふふ……何を想像したのか。敢えて聞かないでおくよ」「……マイ・マスター」隣り合い、星空を眺めながら言う俺の肩にコテンと身体を預けてくるジュリア。「これからも――お側に置いてください。私を離さないで下さい――私のご主人様(マイ・マスター)……」「あぁ……絶対離さない。嫌だと言ってもな。ずっと一緒だ……ジュリア」俺とジュリアは互いに見つめ合い……引き寄せ合うかの様に唇が触れ【ガサガサッ!】「「…………」」「くっ!見つかったか!もう少しで、王の所まで忍び寄れたものを!!」「「…………」」……あぁ、確かにそんな展開だったよな。仮面騎士が現れて邪魔するって言う……。ほら、こんな可愛らしいジュリアが相手だからさ……ジュリアに集中していたが、気を読んで気付きはしたぞ………というか、ライエルと言いコイツと言い……やる気になった途端……フフフフフフフフフフフフ。「まぁいい。貴様らには死んでもら「「言いたいことはそれだけか……?」」っ!!?」俺とジュリアはゆらりと動く……仮面騎士はそれを見て後退りしたが……知ったことか。「星空の下……良いムードの中、私とマイ・マスターの蜜月の時を……よくも邪魔してくれたなぁ……?私が……どれだけの勇気を振り絞ったか……貴様には分かるまい……」「……散々逃げ回ったり我慢したりしてた時は、嫌という程桃色イベント満載だったのに……いざ積極的になったらこのザマか……?フフフフフフフフフフフフフフフ………」「……ふ、ふっ……どど、どうやら潮時の様だな……今日のところは見逃して【ガシッ】ヒッ!?」「……みすみす見逃すと……」「思ってんのか……?」「ま、待て!!よく分からんがやり直す!!さっきのことは無かったことにするから、だから……な?」「「問答無用」」ガスゴスバキドカメキゴシャメチャグシャグチャ―――――!!!!!「オアアァァァァァァァァァァッ!!!??」**********しばらくお待ち下さい。**********「くたばれっ!!ギャラクシア○エクスプ○ージョンッ!!!!」「ゴハアアアァァァァァ!!!!?」ドバキャアアァァァァァァァンッ!!!!俺の怒りのアッパーカットが仮面騎士に炸裂し、奴は塀の外へと車田落ちしていった。「こ、こんなやられ方をするなんて…あんまりだ……ぐはっ!」と、奴が言ったかは定かでは無いが。とりあえず悪は滅びた……が。「大丈夫!?」「なにがあったんですか!?」まぁ、当然みんなやってくるよなぁ……。俺達は事情を説明する……。「成る程……恐らく奴は陛下を狙ってきたのでしょう」「とりあえず奴は撃退出来たようだが、また次が来ないとも限らない。城の見張りを厳重にしておこう」そう言ってこの場を去っていくリーヴスとライエル。恐らく、兵に指示をだしに行くのだろう。「申し訳ありません。みなさんを騒ぎに巻き込んでしまったようです。今日の所はこれでお開きにしましょう。この埋め合わせは、また次の機会にでもしたいと思います」こうして、エリオットのお披露目式は中断される運びとなった。まぁ、しょうがないよな……。**********で、翌日……。「本日のメインイベント!挑戦者の登場です!!」俺はグランシルの闘技場に来ていた。ジュリアと剣を合わせるために……。幸い、エリオット陛下の計らいで休暇が一日増えたのだ。アルカディウス王も、エリオット陛下が襲撃されたと聞いて、それに納得してくれたし。「そして、チャンピオンの登場です!!」現れたのはインペリアル・ナイツの制服に身を包むジュリアだった。まぁ、俺もナイツの制服を着ているが。「さて……今度こそ見せてくれるんだろうな?お前の修練の成果を……」「ああ……見せてやるさ!私の修練……その成果を―――さぁ、始めるぞ!」周りに観客がいるからか、それとも自分を鼓舞するためか―――敬語を使わずに宣誓し、ジュリアは剣を抜き放った。「チャンピオンの防衛か!?それとも新たなチャンピオンが誕生するのか!?とうとう世紀の瞬間がやってきました!!そして、今、試合開始です!!」ゴングの音と共に俺も剣を抜き放つ。使うは我が愛剣リーヴェイグ。ジュリアは半身で剣を上段に掲げる様に構える独特の構え……対する俺はやや半身になる様に構え、剣は下げ気味に……所謂、自然体という奴だ。「…………」「…………」俺達は無言のまま、互いにジワリジワリと間合いを喰い潰す。一気に間合いを詰めても良いんだが……ここはジュリアの考えに乗ることにした。恐らくジュリアにも見えているだろう……互いの制空圏が。ジュリアも達人級だからな……それにしっかりした剣術を習っている……故に、慎重に距離を潰しているのだ。「……………」「……………」周囲に緊迫した空気が充満する……。そして……互いの領域に入り、尚も近付く。それがベストの距離では無いからだ……。そして、互いに剣の間合いに入った瞬間――。「「っ!!」」その剣閃は火花を散らせた。ジュリアは振り下ろし――俺は振り上げる――。「くっ……ハアアァァァ!!」「オオォォォォォッ!!」剣を弾かれながらも、直ぐさま体勢を立て直し、横薙ぎに払ってくるジュリア。俺はそれを逆に薙ぎ払う。再びぶつかり合う剣と剣……火花を散らせる剣閃の嵐は、数十合に及ぶ迄続いた。互いに退かず、下がらず。だが……。「ハァ……ハァ……」「どうした、もう終わりか?」数百合を打ち合った後……ジュリアの息が上がってくる。それは、俺が徐々に力や速度を上げて行き、それに置いて行かれまいと、ジュリアが必死に食らいついてきたからである。今、俺はリシャール級にまで身体能力を引き上げている。それでも食らいついて来れるのは、ジュリアの修練の賜物だろうさ。だが、そろそろ限界が近いのだろう……それでも。「でやああぁぁぁぁぁ!!」ジュリアは諦めない。裂帛の気合いと共に挑んでくる。俺はそれを―――迎え撃つ!!横薙ぎに払われる乾坤一擲の剣閃――それを打ち下ろしで弾き――。「っ!!?」体勢が崩れたジュリアに剣閃を振り上げた……それはまるで燕が舞うかの様に……。その剣はジュリアの首筋にピタリと突き付けられていた。「……チェックメイトだ」「参り……ました」ふぅ……リシャールの燕返しもどき……上手く決まったな。「おっとっ!新チャンピオンの誕生だぁーーーっ!!!」実況の宣言と共に、会場は割れんばかりの歓声に包まれた……。「……おめでとう、新チャンピオン。やはり貴方には敵いませんね……」控室に戻った俺達は、何となしに雑談を交わしていた。「僅かながらも、ジュリアを鍛えた立場としては……負けたら格好がつかないからな」「出来れば、貴方を本気にさせたかったのですが……」「本気だったさ……全力は出しちゃいないが」というか、全力とか出せないって……おっかなくて。「その割りには、得意技や魔法も使わず……剣だけで戦っていたみたいですが」「まぁ、仮にも騎士になったんだしな……ジュリアも剣だけで戦っていたし……」これが実戦なら、徒手空拳有りの何でも仕様だがな……。「言っておくが、真剣(マジ)にやったからな……俺は」「――分かっています。そして、改めて思いました――我が心を捧げるのは貴方だけだと――」ジュリアはそう言うと、今までを振り返る様に語り出した。「……私は今まで、自分の人生を剣に捧げてきました。そしてその力を人々のために振るうことに喜びを感じてきた……」「正義の味方……って奴か?」「そんな大それた物ではありませんよ……私はただ、弱き人々の剣になれれば良いと……そう考えて今日まで剣を振るってきました……ですが、私にはもう1つ、ごまかし切れない気持ちがあったのです……」俺はジュリアの告白を黙って聞く……。「たった1人の為だけに剣を振るうのも悪くはない。いや、その人が喜んでくれるなら、全てを捨ててもいい。そんな気持ちを……。どうせ力を使うなら、多くの人々の幸せに繋がった方がいい。理屈ではそう分かっているのに、心が別の答えを求めてしまう……」「ジュリア……」「かつて私が貴方に戦いを挑んだのも、私が忠誠を誓う相手は、私より優れた者であって欲しいという願いの現れでした……戦いだけがその人の評価を決めるわけではない事は理解しています。しかし私にとって、自分より強いということは重要でした……私の中の女は貴方を求めていたのに、私の中の男が…それを許さなかった」しかし……と、ジュリアは続ける。「貴方はそんな私を打ち破った……あの時も、そして今回も……」ジュリアは俺に向かってひざまずく……って、待てっ!?「お、おいジュリア……」「改めて――これからも忠誠を誓います……私の認めた唯一の男……シオン。貴方に……。女として、剣として……この心と身体を捧げます」「……ありがとな、ジュリア。とは言え、これからは同僚として働くことになるかも知れないんだ……マイ・マスターとか敬語は二人きりの時だけ……な?」対外的な問題もあるし、インペリアル・ナイツになるということは、国に剣を捧げることと同義だからな。「……分かっています」「いやいや、ジュリアは結構口を滑らせてるぜ?」「……やはり、マイ・マスターは意地悪です……でも」スッ……とジュリアが立ち上がり……俺に近付き……。「そんなマイ・マスターも私は……」――どうしようもなく愛おしいのです――そう言って瞳を閉じるジュリアの意を汲み、昨夜邪魔された続きと言わんばかりに、唇と唇が重なり合ったのだった――。「本日はありがとうございました。これからも、よろしくお願いいたします」こうして、俺達の最初の休暇は幕を閉じた――。まぁ、色々あったが有意義な休暇だったな……。俺はジュリアと別れた後、皆の所へ戻って行った。そしてローランディアに戻り、休暇の終了と、次の休暇先を文官の人に告げた。んで、帰宅後……。「それじゃあ、シオンさんのインペリアル・ナイト就任祝いと、新しい旅の仲間ポールの歓迎を祝して……カンパーイ♪」「……って、何でお前が仕切ってるんだよ…ティピ?」「まぁまぁ、良いじゃないかカーマイン」「ラルフさんの言う通りだよお兄ちゃん。せっかくのおめでたい日なんだから」「飯はジャンジャン作ったから、目一杯食えよお前ら!!」「ふっ……まぁ、せっかくの仲間の門出だからな」「そうですね……これからも宜しくという意味も兼ねて!」「シオンがナイトかぁ……いつかはなると思っていたけど、ね?」「どうぞシオンさん。はいポールさんも」「ありがとうカレン」「すまないな……」帰宅後、皆が俺達を祝ってくれると言ってくれた……とは言っても、夕食が少し豪華になっただけだがな。ちなみに上からティピ、カーマイン、ラルフ、ルイセ、ゼノス、ウォレス、アリオスト、リビエラ、カレン、俺、ポールの順だ。ちなみにカレンが渡してくれたのはコンソメスープ……って、かなり手間暇掛かってんなぁオイ。「休暇が一日増えたからな……仕込みはバッチリだぜぃ!!」「流石ゼノス……料理には妥協しないな」「まぁ、趣味だからな?」そう言ってゼノスはニッ!と笑う。料理をする人なら分かるだろうが……コンソメスープを一から作ろうとするとエラい手間暇が掛かる。「うん、流石ゼノス!美味しい美味しい♪♪」「あんまりがっつくなよ?」まぁ、何と言うか軽い宴の様相となっている。皆、我がことの様に嬉しそうだ。「賑やかだな……君達はいつもこんな感じなのか?」「うんにゃ。いつもはもう少し落ち着きがある……今日は俺らを祝ってくれてるからな…テンションが高いんだろうさ。全く……ナイトになったとは言え、暫定でしか無いのに……」「そうなのか……良い仲間なのだな」「何言ってんだ。今日からはお前もその一員なんだぜ?」「そう……か」フッ……と笑みを浮かべるポール。仮にポールの正体がバレたとしても、皆なら受け入れてくれるだろう……まぁ、そうそうバレないだろうけどね。何しろ原作ではシャドー・ナイトになったゼノスに気付かなかったくらいだからな。「さて、せっかくの祝い事だ……楽しむとしようぜ!」「ああ……そうだな」そんな風に皆の好意を楽しみながら、夜も過ぎて行った……翌日、懲りずに二日酔いを発病したメンバーがいた為、次の休暇はローザリアで……ということになった。まぁ、元からローザリアで休暇を過ごす予定だったから、丁度良いんだがな?**********休暇二日(三日)目・王都ローザリア「まぁ、そんなワケだから、皆は休暇を満喫してこい。二日酔い連中は俺が見てるから」「うぐぅ……ゴメンね、シオンさん」「謝罪の気持ちは受け取るが……ティピは良いのか?休暇に行かなくて?」「半分以上はアタシの責任だから……今日はシオンさんのお手伝いをする!」「そういうワケだ……ティピを頼む……何の役に立つか分からんが……」「ちょっとアンタ!!それどういう意味よ!?」「頼まれた。まぁ、ティピだって頑張ってくれるさ」カーマインの言い方に、バッテンマークを浮かべて怒るティピ……。何故こんなことになってるかと言うと、今二日酔いになっているメンバー……カレン、リビエラ、アリオスト……この三人を二日酔いに致らしめた原因が――ティピだからだ。ティピは俺の秘蔵の酒(アルコール度はスピリッツ級)をこの三人に飲ませたのだ。ある時は気付かれない様に、ある時は言葉巧みに誘導して……。ティピからすればちょっとしたお茶目だったんだろうが、やられた方にしたら堪ったもんじゃない。俺は、酒は楽しく飲む物だと思っている。カレンにしろアリオストにしろ、以前酒で手痛い目に遭っていたので、無理に飲ませる様なことはしない様にしていたのに……。幾ら実行犯が俺では無いとは言え、間接的には俺にも原因があるので、自ら看病役を志願したワケだ。最初は皆も看病すると渋っていたが、あんまり人数が居ても逆効果……と言う俺の説得に皆は渋々納得してくれた。ただ、罪悪感からか……ティピが看病の手伝いを買って出てくれたのだ。カーマインのお目付け役……という任を一時休止させてまで。頑固に手伝うとしか言わないティピに、説得は無理と悟り、素直に手伝ってもらうことにしたのだ。「いってらっしゃ〜い」「さてと、じゃあ早速手伝って貰うぞ?」「うん!まっかせて!!」皆を見送った俺達は早速看病に取り掛かる。さて、一丁頑張りますか!!***********今日は休暇……なんだけど、カレンさんとリビエラさんとアリオストさんが寝込んでしまいました。二日酔いだそうです。わたしもなったことがあるからわかるけど……あれは辛い。シオン先生とティピが看病をするために家に残った……わたしやゼノスさんたちも手伝うっていったけど、先生が『皆は休暇を楽しんで来い』……って。先生に説得されたわたしたちは、休暇を過ごすために街に出たのでした。ティピがちょっと不安だけど……先生がいるから大丈夫だよね!本当は凄く気になるけど……せっかくの休暇なんだもん……気持ちを切り替えなきゃ!あっ、アレは……。「お兄ちゃ〜ん!」「?ルイセか……」宿屋さんの前を歩いていたお兄ちゃんを見つけ、わたしはお兄ちゃんに駆け寄ります。「どうしたんだルイセ?」そう言いながら、お兄ちゃんは優しく頭を撫でてくれます。わたしはお兄ちゃんに、こうされるのが好きで……。「えへへ……、お兄ちゃん♪」つい頬が緩んじゃいます……よぉし、決めた!「今日はね、お兄ちゃんに甘える日って決めたの。ねぇ、お兄ちゃん。いいでしょ?」「俺に甘える日?」「ダメ……かな?」わたしは不安そうな顔でお兄ちゃんを見る。お兄ちゃんはそれを見て溜め息しながら苦笑い……って、その反応は何気に酷いと思うよ?「仕方ないな……今日だけだぞ?」「やった、お兄ちゃん大好きっ♪」わたしは思わずお兄ちゃんに抱き着いてしまう。ふふ……お兄ちゃんって暖かいなぁ♪「――ねぇ、お兄ちゃん。お母さんからわたしたちが本当の兄妹じゃないって聞かされた時の事、おぼえてる?」その温かさに気が緩んだのだろうか……わたしは――。「わたし、すっごくショックだった。何だか心の一部が無くなっちゃったみたいで……すっごく悲しくて、切なくて、いっぱい泣いちゃった――お兄ちゃんはあのとき、どうだった?」普段秘めていた気持ちを――語り出す。「……そうだな。勿論悲しかったが……複雑な気持ちだったな」「複雑な気持ち……?」「――いや、昔の話だからな。それに、今は本当の兄妹みたいな物なんだ……あまり気にするなよ」「本当の兄妹……みたい?」わたしはお兄ちゃんの言葉を聞いて、胸の奥をズキッとした痛みが襲うのを感じた――なんでだろう、凄く嬉しい言葉の筈なのに―――辛い?「……ルイセ?」「また後でね――お兄ちゃん」わたしはお兄ちゃんから離れ、噴水広場に向かった。理由はない……強いていうなら、この場所が好きだから……かな?わたしは噴水が流れる水溜まり……その真ん中に橋のように掛けられた石床に足を抱えて座り込んだ……頭を過ぎるのは、さっきのお兄ちゃんの言葉……。「……………本当の兄妹みたい…か……。いつまでも、それでいいのかな?わたし……」わたしは兄妹でいいと思ってるのかな……?……ううん、そうじゃない。わたしはお兄ちゃんを……。意地悪なお兄ちゃん……けど優しいお兄ちゃん……いつも側にいてくれて、いつも支えてくれたお兄ちゃん……。そんなお兄ちゃんを……わたしは……。……そっかぁ、そうなんだ……。わたしはお兄ちゃんを……。『兄にべったり過ぎると、ボーイフレンドの一人も出来ないぞ?少しは兄離れしろよ、ルイセ?』それは無理だったんだよお兄ちゃん……。だって……比較しちゃうんだもん……お兄ちゃんと。『たく、ルイセは泣き虫だな……』そう言いながら、お兄ちゃんは優しく頭を撫でてくれた……意地悪を言いながら、それでも精一杯慰めてくれた。だからわたしは、お兄ちゃんに撫でられるのが好きなんだ……。「わたし……馬鹿だ……」今更、こんなことを思い出すなんて……。ううん、本当はもっと前から気付いてた……だって、お兄ちゃんは初恋の相手だったんだから――。そして、それは今でも変わらず……ううん、前より強く感じる感情になってる……。わたしはお兄ちゃんが……。「好き……なんだ……」妹としてじゃなく、1人の女の子として――。その事実は、わたしの心にストンと落ちて、ピッタリと合わさった。そうだよね――だって、心の底ではずっと思ってた気持ちなんだから。お兄ちゃんと本当の兄妹じゃないって聞いた時、悲しかったけど……何処かでホッとしてた。そんな感情が理解出来なくて……怖くなって余計に泣いちゃったんだ……。『ルイセね、ルイセね♪おおきくなったら、おにいちゃんのお嫁さんになる〜♪』『あのな〜……オレたちは兄妹だぞ?そんなことできないの!』『やだ!なるのっ!!』……今からでも、遅くないかな?血の繋がりが無いなら……ダメじゃないよね?「お兄……ちゃん……」……お兄ちゃんはどう思ってるんだろう?ただの妹?――それとも――。**********しばらくして夕方になり、皆が戻って来た。皆はそれぞれに休暇を楽しんだ様だ。「皆さんお帰りなさい」「カレン、もう良いのかよ?」「うん、兄さん。シオンさんとティピちゃんのお陰で」ティピも頑張って俺のサポートをしてくれた。「シオンの作ってくれたスープ……美味しかったぁ……ねぇ、あれは何て言うスープなの?」「ああ、サムゲタンって言う鶏のスープだよ」リビエラの問いに答える俺。元は韓国料理の一つで、滋養強壮、栄養満点。二日酔いには効果覿面の一品だ。まぁ、向こうと全く同じ材料は手に入らないから、正確には『サムゲタンもどき』なんだがな。サムゲタンの作り方を説明しても良いのだが、面倒なので知りたい奴はググレ……って、何を言ってるんだ俺は?「それにティピ君も頑張ってたしね?」「えへへへ……」アリオストに褒められ、照れながら頭を掻くティピ……ああいうのを見ていると可愛いよな?こうして、皆で夕食を食べ……各々の時間を過ごした後に就寝した。さてさて、次の休暇先は……。***********休暇三日(四日)目・カーマイン領エルスリードそんなこんなで、カーマインの領地にやってきた俺達……。今日はゆっくり羽根を伸ばすとしますか!「シオ〜ン!!」「ん?リビエラ……どうしたんだ?」「今日は一緒に行かない?まさか、こんな可愛い女の子の誘いを断らないでしょうね?」「だから自分で言うなって!まぁ、俺で良ければ喜んで」「そう来なくっちゃ!さぁ、行きましょう?」リビエラは俺に腕を絡ませて来た……要は腕を組んだワケですが。「んふふ……♪」何と言うかまぁ……幸せそうな顔しちゃって……こっちまで顔が緩んじまうじゃないか。ん?以前は胸を押し付けられてうろたえていた?ハッハッハッ。幾ら俺でもこれだけの美女達に囲まれれば、流石に慣れるさ。今じゃ、『煩悩退散』の合言葉はオートで作動するようになったぜ!!勿論、スイッチのONOFFも可能!!……まぁ、要するに心の奥底じゃうろたえてるワケですが何か?―――それはともかく、俺達は劇場に向かった……今日の演目はジョニー・カルテットか。「入ってみましょうよ」「だな」そしてジョニー・カルテットの演奏が始まる。ムーディーな曲が流れる……雰囲気のある良い曲だな…………ムーディーとは言っても、勝山じゃないからな?誤解するなよ?「良い曲ね……」「そうだな……」俺達は良いムードの中、その雰囲気を作り上げた曲を堪能した。その後、劇場を後にした俺達は公園のベンチに腰掛け、雑談を交わしていた。「そういえば、シオンが今着てるの……ナイツの制服よね?」「ああ……生半可な防具より余程防御力が高い……一応、賜った後で俺の魔力を吸い込ませたから、余計にな」所謂、オズワルド達に与えた『蒼天の鎧』と同じような仕様だ。もっとも、材質の違いなのか……防御効果にはかなり差があるんだけどな。敢えて言うまでもないが、この制服の方が防御効果は上だ。「でも、確か普通のナイツは紫と白の配色よね?けど、シオンのは――青と白?」「……聞いた話によると、母上が『シオンには絶対青っ!!』と、駄々をこねたらしい……で、父上も触発されて、特注で作らせたんだと」「それはまた……何て言うか……」リビエラが呆れるのも分かる。少なくとも、俺は呆れる。公私混同も甚だしいよな……まったく。「あ、でも、シオンに青が似合うって言うのは賛成かも……あ、赤とかも勿論似合うと思うけど……ほら、イメージ的に」「ありがとうリビエラ……慰めてくれて」「……本当なんだけどなぁ」まぁ、気にしても仕方ないよな……成るようにしかならないんだし。「よし!愚痴を聞いてくれた礼にケーキでもご馳走してやるよ」「え、良いの?それじゃあ、ご馳走になっちゃおうかな?」俺達はその足でカフェに向かった。そして運ばれて来たケーキを堪能する。「うん♪美味しいわ♪」「そいつは良かった…あ、リビエラ……口元にクリームが付いてるぞ?」スイッ………ペロッ。「!!!??」俺はリビエラの口元のクリームを親指で拭い、親指に付いたそれを舌で舐め取った。って、リビエラ顔真っ赤だな……。「なななな、何を……?」「ん?勿体ないな〜って。嫌だったか?」「い、嫌じゃないケド……恥ずかしくて」「もっと恥ずかしいこと――しているだろうに……」キスとかさ。「それはそうだけど……こういう不意打ちは、違った恥ずかしさと言うか……」まぁ、言いたいことは分かる。俺も以前、ティピの助言があったのでやってみたが……成程、リビエラの言う様に些か恥ずかしいな。まぁ、些かだが。それ以上にリビエラの恥ずかしがる姿が………よし落ち着け……俺自重。その後、まったりとお茶を楽しんだ後に待ち合わせ場所に行き、帰路についた。さて、明日はいよいよボスヒゲがやってくる……奴の策は潰す!!それだけで、沢山の人が泣かないで済むし……何より仲間に辛い思いをさせずに済む。今は休もう……俺はゆっくりと瞳を閉じたのだった。**********おまけジュリアへの罰ゲーム**********俺は礼を言って去ろうとしたジュリアを捕まえる。「そういえば……昨日の陛下の悪巧みにはお前も一枚噛んでいたんだよな……ジュリア?」「は、はい……その……どんな罰でもお受けします……」「じゃあ今度、メイド服を着て……俺に奉仕でもして貰おうかな?」ニヤリ……と、冗談めかして言うが……。「わ、分かりました……誠心誠意ご奉仕させていただきます……」って、待て待て待てっ!!?「言っておくが……冗談だからな?」「そ、そうなのですか……?私は……本当にしても……構わないのですが……」「……もしかして……やりたいのか?」「…………(コクンッ)」ジュリアは真っ赤になりながら頷いた……って、マジかよ?こうして、ジュリアの希望もあり、今度暇な時にメイド姿で奉仕してくれるという運びになった。今度が何時来るか分からんが……ゆっくり待つとしようか。……嘘から出た真ってのは、こういうことを言うんだな……。***********おまけ2シオンとティピの看病***********Case1・アリオストの場合「大丈夫かアリオスト?」「あ、ああ……何とか……痛たたたっ……!?」「ゴメンねアリオストさん……もうこんなことしないからね」「い、良いんだよティピ君……昨日はお祝いだったんだし……」「二日酔いによく効くスープを作って来たんだが……飲むか?」「ありがとう……戴くよ………うん、美味しい。弱った胃に染み渡るよ……」「それは良かった……まぁ、愛しのミーシャ君の手料理じゃなくて悪いケドな?」「……シオンさん、それトドメだから」「ハ、ハハハ……」***********Case2・カレンの場合「カレン、大丈夫か?」「は、はい……大丈夫で……す」「ゴメンねカレンさん……アタシが調子に乗ったせいで……」「ううん……私も調子に乗ってたから……気にしないでティピちゃん」「二日酔いによく効くスープを作って来たんだけど……飲むか?」「わぁ……嬉しいです。あ、あの……あ〜んって、飲ませてもらえませんか……?」「え?」「!?わ、私、何言ってるんだろう!?今のは忘れて…痛っ!?」「急に動いたりしたらダメだよ〜!」「うぅ……ゴメンなさい……」「ふー…ふー……ほら、あーんして……」「ふぇ!?あ、ああの……」「ちゃんと冷ましたから大丈夫だ……ほら」「……はい。あ〜ん………お、美味しいです」「それは良かった……しかし、カレンは甘えん坊だなぁ〜」「あ、あうぅ……」「なんてな!こんな時なんだから、素直に甘えてくれた方が嬉しいって♪ほら」「は、はい!……あ〜ん……♪」「あ、甘い……空気が甘いわぁ……(けど、何でか羨ましく感じたり……って、違うからね!?)」***********Case3・リビエラの場合「大丈夫かリビエラ?」「うう……頭痛いよぅ……まさかこの私が二日酔いなんて…ね」「ゴメンねリビエラさん……アタシがあんなお酒を勧めなければ……」「良いのよ……気にしないでティピちゃん」「二日酔いによく効くスープを作って来たんだが……飲むか?」「シオンの手作り?嬉しいなぁ……それじゃあ……ん〜〜♪」「……何のつもりだ?」「く・ち・う・つ・し♪口移しで飲ませて欲しいな〜♪」「寝言は寝て言え」「酷っ!?二日酔いで苦しむ美少女に言う台詞じゃないわ!」「自分で言うなよ……まぁ、起き上がれない程ならともかく、それだけ元気なら口移しは必要ないだろ……ほれ、あ〜んってして……」「あ、うん……あ〜ん……うん、美味しい♪ね、もう一回……♪」「ああ……しかしなんだ、まるで鳥のヒナみたいだな」「い、良いじゃない……ヒナでも。ほら、早くぅ♪」「はいはい……ほら、あ〜ん……」「あ〜〜ん……♪」「ゔあ゙あ゙あ゙ぁぁぁぁぁぁ……なんつーイチャつきぶり……(良いな〜…………って!違う!!本当に違うんだってばぁ!!……本当だもん……)」***********こうして、二人の看病の結果……三人は夕方には二日酔いも治まったのだそうな……。めでたしめでたし。