「よし、到着!」瞬転にて、ジュリア軍陣地の近くまでやってきた俺達。「……思ったより進軍出来てないみたいだな」「王様が言うには、攻めあぐねているらしいから……」ゼノスが言う様に、ジュリアの軍は思ったより進軍出来ていない。もちろん、エリオットを旗印に反旗を翻してからの期間を考えれば、十分進軍していると言えるのだが……援軍が届いているのなら、今頃はもっと先に進めている筈なのだ。ハッキリ言って、原作より進めていない。まぁ、若干展開が早めなのも……関係あるとは思うがね。カレンの言う様に、攻めあぐねているのも……事実なんだろう。「で、どうするんだい?」「そうだな……とりあえずジュリアンの陣地に行こう。詳しい話を聞いてみなくちゃ、何が起きてるのか分からないからな」アリオストの問いに、そう返した俺。実際は、何となく理解しているんだがな。展開が早い分、あのハゲが動いているんだろうと推測している。絶対の確信は無いんだが……。『ジュリア……ジュリア……』『マ、マイマスター!?……これは幻聴か?』『前にも同じことを言っていたな?』『やはり……では幻聴ではなく……』俺は事情を説明する。ジュリアや父上達が、攻めあぐねていること、その原因を探り……出来るならそれを解決する為に来たことを。『そんなワケで、今からそっちに行くから話を通しておいてくれ』『分かりました。それではお待ちしております』「よし……アポゲッツ!」「あ、あぽげっつ……ですか???」カレンが首を傾げている……可愛いなぁもう……でなく!アポイントメントとかゲッツなんて分からんよなぁ……特に後者。「ジュリアンに俺達を陣内に通してくれる様に頼んでいたのさ……これを使ってな」俺は右腕に着けた腕輪を見せる……【転移の腕輪EX】俺が作った魔導具である、簡易テレポートアイテム【転移の腕輪】にテレパシー……念話機能を付与したスペシャルアイテムである。ジュリアにはコレを渡している為、俺とジュリアはティピとサンドラの様にテレパシーでやり取りが出来るのである。って、皆には今更だったな。それからしばらくして、俺達はジュリアの陣営に向かう……途中、兵に止められたが、その兵は俺やカレンの顔を覚えていたらしく、更にジュリアからの説明もあった為、特に問題無く陣内へ通された。「!皆さん……」「お元気そうで何よりです。エリオット陛下」「や、やだなぁ……止めてくださいよシオンさん……」「なはは、悪い悪い」陣の中央にある、大きめのテント……そこで俺達を待っていたのは、エリオットとジュリアだった……。何か……二人と別れてから、そんなに月日は経っていない筈なのに……やけに久しぶりな気がするなぁ……。「ジュリアンも、健在の様で何よりだ」「お前たちもな……」ジュリアは本当に嬉しそうに微笑む……うむ……久しぶりに見たが、ジュリアの微笑は綺麗だなぁ……。って、言ってる場合じゃないんだよな、うん。自重しろ俺。「所で、思ったより進軍してないみてぇだが……」「それが……」ゼノスの質問にジュリアが答えた。いわく、兵糧が少なくなって来ていること。それゆえ、無理に攻め込むことは出来ないと……。ただでさえ、兵力に差があるのに、兵糧まで少なくなっていては、戦線を押しやることは叶わない……と。相手が、何処の馬の骨とも知れない者ならば……また違うのかも知れないが……。どうにも、向こうの司令官はインペリアル・ナイト……アーネスト・ライエル卿らしい。その知謀もさることながら、彼は最前線に出て無双しやがるからタチが悪い……。同じインペリアル・ナイツでも、ジュリアやリーヴス卿は前線に身を起きこそするが、指揮に徹する場合が殆どだそうな……勿論、前線にある以上、強敵が居るならば、兵を鼓舞する為にも戦うらしいが、最前線にて積極的にというワケでは無い。ライエル卿は積極的に最前線に出て、先頭に立って敵を蹴散らしつつ、指揮を取る……或いは、自身を囮にした上で敵を策に嵌め……多大な戦果を上げているらしい……その在り方は刹那的だが、誇り高い騎士の在り方とも言えよう。ちなみに、王であるリシャールは除外。無論、前線に出ればライエル卿以上に厄介な存在になるだろうが……普通、大将は前線に出ない……というのがセオリーだからな。大将の首級を挙げられたら、それだけで一軍が瓦解する。まぁ、セオリーからは大きく外れるが……大将が圧倒的な武力で敵軍を殲滅して士気を上げる……なんてパターンも無いことは無い。その場合、王と言うより神格化されるだろうが……というか、恐らくリシャールでもそれは無理だろう。いや、リシャールは一騎当千の猛者だが、数千から万の大群を一人で蹴散らせる程では無い。この世界で出来るとすれば、全力ゲヴェル……フルパワーボスヒゲ……封印されてるが、ゲーヴァス……辺りかな?ラルフもやってやれないことは無い……くらいの力はあると思う。……俺?無理……では無いな。話がそれたな……。とにかく、ライエル卿は厄介だ……って話だ。「だが、このままってワケにもいかないだろ?それこそ士気に影響が出るんじゃないか?」「せめて、ローランディアとランザックの援軍が到着すれば話は違ってくるのだが……」俺の言葉に答えるジュリア……やはり援軍は来ていないのか。「……すまないが、恥を忍んで頼みがある。我々の後方……ローランディア方面に向かって、援軍がどうなっているのか…確認してきて貰えないか?こちらに援軍が向かっているのなら、何故一向に到着しないのか……調べてきて欲しいのだ」「ああ……そのために俺達が来たんだからな」俺達はジュリアの頼みを快く引き受けた。元々、そのために来たのだし……何より、ジュリアの頼みだしな。俺達は休む暇無くローランディア……ガルアオス監獄方面に向かう。ローランディアにしろ、ランザックにしろ、大部隊がジュリアの軍に合流するならこのルートしか無いからだ。一個人なら、獣道とかはあるが……な。で……ジュリアの陣地から南下してきたワケだが。「ありゃあ……バーンシュタイン兵じゃねぇか?何でこんなところに……」そう、ゼノスの言う様にバーンシュタイン兵らしき奴らが居たのだ。人数は二人……どうやら見張りらしいな。「よく見てみろよ……奴らはバーンシュタイン兵じゃない……見た目は正規兵の装備に似せてはいるが」「何だって……?」「私にはよく分かりませんけど……」アリオストもカレンも訝しげにそのバーンシュタイン兵を見ている。ちなみに、今は岩影から様子を伺っている。「普通、バーンシュタインの正規兵には、所属する部隊を象徴する紋章が刻まれているモノだ……インペリアル・ナイツやシャドー・ナイツは例外だが……」インペリアル・ナイツは元より少人数であり、ナイツそのものが国の象徴みたいなモノだ。ちなみに、インペリアル・ナイツ専用の鎧もあるが、そっちにはバーンシュタイン王国の国旗に使われている紋章が彫り込まれている。以前、父上が着けていたのを見たので知っているワケさ。シャドー・ナイツは、象徴になる紋章は無い……専用の装備はあるが……元々影の実行部隊なんで、むしろ象徴となるモノがあってはならない。「この距離から……見えるのかよ?」「ああ……これでも視力は良いんでね」ちなみに、原作ではウォレスがいち早く気付いたりしているが……シルエットしか見えないウォレスには、紋章を見分けることは出来ない。ならばウォレスの聴力によるモノか、気配を読む感覚によるモノだと思われる。恐らく、会話の内容をいち早く聞いたか、偽兵士の体捌きを気配から察知したのだろう。訓練された兵士と、兵士のコスプレをした盗賊では、練度が全然違うだろうし。「ギャハハ!それでな……」「そりゃあ傑作だなぁ!!」……平時ならいざ知らず、訓練を積んだ兵士が、あんなアホ面晒して馬鹿話をしてるワケ無いしな……。「んで……どうする?」「まぁ、どうするもこうするも、ブッ潰すんだけどな」奴らが妨害してるのは明白だし……。なら、潰すだけだ。「皆、少し待ってろよ」ヒュンッ!!「!?消えた……瞬転か?」「いや、魔力は感じなかったが……」ドサッ…ドサッ……。「二人とも、アレを……!」カレンが指を指した先には、見張りを昏倒させた俺が皆を手招きしていた。……おおっ、驚いてる驚いてる。「お、おい……何やったんだよ?」駆け寄って来て、開口一番に尋ねてきたゼノス。「いや、ただ少し速く動いただけなんだが……」「「「………はい?」」」俺は詳しく説明する……。*********「そういやぁ、あの娘はどうした?お前が熱を上げてた……」「あぁ、ありゃあ駄目だ」「?何でだよ?」「………息子がいやがった」「……こぶ付きかよ」「ふぅん。本気で好きなら、全部飲み込むくらいの器量を見せるべきだと思うがねぇ?」「なっ!?誰ガッ!!?」「なグァ!!?」素早く、男達の背後に回り込んだ俺は、それぞれの首に手刀を叩き込んでやった。無論、手加減してな?全力なら真っ二つですんで。二人がゆっくりと地面に倒れたのを確認した俺は、皆に向かい手招きをしたのだった。**********「と、まぁ……そういうワケ、だ」俺は説明しながら、見張り二人の装備を剥ぎ取り……俺の魔導具【緊縛君一号】にて簀巻きにして放り投げていた。無論、見張りはパンツ一丁だ。「よ、容赦ねぇなオイ……」そうか?別に全力では無いし……命を取られるよりずっとマシだと思うんだが。それに装備品が勿体ないじゃん?ちなみに、カレンは顔を真っ赤にしながら両手で顔を抑えてイヤンイヤンしていた………してほしいのか?ってか、カレンの妄想レヴェルが日に日に増している気がするんですが。……オッサンも妄想止まらん様になってしまうんですが。まぁ、遥か高み(ミーシャ)には程遠いがな。「そんじゃあ、道を塞いでいる馬鹿どもにはご退場願おうかねぇ」「よっしゃあ!行くかっ!!」「さて、鬼が出るか蛇が出るか……ってね」「任せて下さい!」それぞれに気合いを入れつつ……俺達は先に進んで行った。そこには、馬鹿笑いしながらローランディア、ランザックの援軍に対して罵声を浴びせる、バーンシュタイン兵隊長(偽)の姿が。周囲には、それに呼応して馬鹿笑いしているバーンシュタイン兵(偽)の姿も多数。ちなみに、その場所は以前にレティシアを救出した場所であり、連中はローランディア方面の橋を落としている為、ああして馬鹿笑いが出来るのだ。「やれやれ……馬鹿笑いが耳につきやがるぜ」「!?誰だぁ!?」ゼノスの声に反応して、こちらを振り向く、なんちゃってバーンシュタイン兵の皆さん。「誰かって?あまりに援軍が来ないから派遣された、偵察役だったりするんだよなぁ……コレが」「なっ!?」俺の言葉の意味を理解したバッタモンどもは、驚愕に目を見開いている。「ば、馬鹿な!?見張りの奴らは何をしていた!?」「ああ、奴ら?奴らなら楽しそうにお喋りしていたな。……もっとも、今はぐっすりお休み中だろうがな」それを聞いて、焦りを浮かべる偽兵達。「そんなわけで、大人しく捕まってくれない?今なら、五体満足でいられることを保証するけど?」「え、えぇい!怯むな!!相手は高々4人!!数ではこっちが上なんだ!!」「数では……ね?」俺は連中にそこそこ強めのメンチビームを喰らわせる。「「「「「!!!ウヒィヤアアァァァァッ!!!?」」」」」バッタバッタと気絶していく偽兵ども。辛うじて耐えているのは、偽隊長と側近と思われる二名。「おやおや、頼みの数も俺達より少なくなっちまったな?」「がは……ば、化け物……」「化け物……?違うな……俺は悪魔だ」その時の様子をゼノス達は語る……まるで本当の悪魔の様に、羽とか触覚が生えている様に見えた……と。俺は両手をワキワキさせながら、腰を抜かした偽隊長達に近付く。「テメェらの黒幕が誰か吐いて貰おうかな?」「だ……誰が……たた例え殺されたって……」「………あっそ♪」この時の俺は、とっても素敵な【エガオ】をしていたらしい……。「うるああぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!!!」「ギャハハハハハ!!!?ちょ、待っ!!?グヒャヒャヒャヒャヒャ!!!?言う!!言うから助けウヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!?」――――しばらくお待ち下さい――――「ふむ……やっぱり犯人はあのハゲだったか……」俺は下手人がグレンガルであることを聞き出した。【秘技・くすぐり地獄の刑】コレを喰らって吐かない奴は殆どいない。全くいないワケじゃないけど。偽隊長?失禁して泡を吹きながら痙攣してますが何か?「さあぁてぇ……とぉ」くるぅーり。「「ヒィッ!!!??」」「君らだけほったらかしは哀れだから……ね?」「いやいや!!そんな気遣いはいらねぇから!!」「こ、降参!!降参するから!!勘弁してくれぇ!!!」「ハハハ……まぁ、そう言わずに……うるあぁぁぁぁぁぁーーーっ!!!」「「止めろ……止めギャアハハハハハハッ!!!?誰か助ブァハハハハハハ!!!?」」残りもきっちり、くすぐり地獄の刑に処した俺は、何かを成し遂げた漢の顔をしていた。ちなみに、ゼノス達は事前に渡しておいた【緊縛君一号】にて、気絶している奴らを簀巻きにして貰っていた。「ほ、本当に容赦がねぇなオイ……」……皆が俺に畏怖の視線を向けていたのは、気のせいだと思いたい。とりあえず、気絶した連中を一カ所に纏めてから集まる俺達。「なんか……僕達のやることが無かった様な……」「そんなことないぜ?今から、もう一働きしなきゃならないんだからな」「?それってどういう……」アリオストは拍子抜けした様子だが……油断大敵。ゼノスは気付いたらしい……なんだかんだで気を感じれる様になってきているみたいだ。カレンは分からないらしいが。「と、まぁ……そういうワケだから……いい加減出てこいよ」「……よく分かったな?」現れたのはグレンガルと愉快な手下ども。また、団体さんのお着きだねぇ……。「また会ったな……毎度邪魔ばかりされているのは、中々堪えるんだがな?」「どうやらまだ懲りていないらしいな……このハゲは」「ハゲじゃねぇ!これは剃ってるんだ!!」何やらハゲが主張しているが……無視しよう。ハゲだし。「で?わざわざ団体さんを引き連れて……纏めて降参してくれるのか?」「冗談……ここいらで決着を着けようと思ってな?テメェらに邪魔され続けたら、商売あがったりなんだよ」……どうやらこのハゲは、俺達と戦り合う道を選んだ様だ。「商売って言ったな……テメェ、何を企んでやがる?」「企むとは人聞きの悪い……俺はこの世でもっとも尊い物のために働いているだけだぜ?」「この世でもっとも尊い物……?」ゼノスの問いに答えるグレンガル。カレンは分からないみたいだが……この手の野郎が考えることは、案外少なかったりする。「お前にとって一番尊い物……当ててやろうか?……金だろ?」「ほう…よく分かってるじゃねぇか」やっぱり原作通りか……予想はしていたが。「これからの時代は力じゃない!商売が世の中を支配していくんだ。そのためには金がいる。その足掛かりとして俺の作った武器を、売って売って売りまくって、金を稼ぐ!!だから今、この戦争を終わらせるわけにはいかねぇんだよ」「死の商人……って奴か」「論理的……と、言ってもらいたいねぇ」グレンガルの目的を理解した皆……だが、何処が論理的なんだか……俺には分からん。「では、学院長と繋がっていたのは何故だ?」「マクスウェルか……そういえば奴を始末したのはお前らだったな?それに関しちゃ、感謝半分、迷惑半分だったぜ」「どういうことだ……?」「奴からは依頼を受ける報酬として、学院の研究成果や、武具を作るのに必要な魔水晶なんかを横流しして貰っていたのさ」「なっ……!?」アリオストの質問にサラっと答えるグレンガル。アリオストはショックを隠せない様だ。「まぁ、そろそろヤバいとは思っていたがな。だから奴を始末してくれた事には感謝している。だが、お陰で奴から魔法技術を仕入れることが出来なくなっちまった……その点では迷惑してるのさ。まぁ、学院の研究成果とやらは使えない物も多かったがな」「成程な………一つ聞くが、以前にフェザリアンの女王を拉致ったのは……テメェだな?」グレンガルの感謝と迷惑とやらを聞き、俺は確信していたことを問い質す。「あぁ…アレか。飛行技術とやらを手に入れたからな。フェザリアンの技術をご教授願おうと思ってよ。ところがあの女王は口を割りやがらなかったからな……力付くでと考えてた矢先に、テメェらが邪魔をしやがったな?」「僕たちの研究を……そんなことの為に使うなんて……!!」グレンガルが言う真実に、アリオストは憤慨する。自身の……そして学院の研究成果を馬鹿にされ、尚且つ悪用されたことを……。「……最後通告だ。大人しく降伏しろ……さもなくば」「さもなくば……なんだ?」俺は警告する……金のために様々な凶行に及んだこの男。金のためなら他者を顧みない男。俺は、金を稼ぐことを悪いこととは言わない。金が一番大事だという奴を、否定したりはしない。だが……。「お前を……殺す」俺の大事なモノを傷付けようとするコイツは……許さん……!「ッ!!?……相変わらず……化け物じみた奴だ……だが、コイツらには通じねぇぜ?」俺の殺気を受けて、震える上がるグレンガル……だが、グレンガルの言う様に奴が引き連れて来た手下は何の反応も示さない。この気は……確か……!「教えてやるぜ……金の力って奴をなぁ」奴がそう言った瞬間、手下の奴らに変化が……コレは……!?「そんな……アレは……!?」カレンも気付いた様だ……間違いたくても、間違えられる筈がない。……奴らは。「ふふふ……どうだ?金で買った化け物どもだ。多少、高くついたがテメェらを始末出来るなら必要経費って奴さ!」間違える筈が無い……俺が初めて殺したニンゲン……そのニンゲンが変異したモノ。「……お前にソレを売り付けたのは誰だ?」「言うと思ってるのか?これから先も贔屓になる相手だ……ベラベラ喋るわけにはいかねぇな」「………そうか」もはや、悩む必要は無い……。コイツを放っておいたら……仲間達が傷付く……ならば。「覚悟しろハゲ野郎……慈悲は無いぞ」俺は愛剣リーヴェイグを抜き放った。どういう方法かは分からないが、コイツらを操っているのは、グレンガルだ。ならば、コイツを討つ……討たなければ、皆が……やられる。「皆、行くぜ……覚悟は良いか?」「……はい!」「言われるまでもねぇ」「任せてくれ!」全員やる気みたいだな……なら、後は奴らを潰すだけだ……!俺とゼノスは連中に向かって駆け出した。カレンとアリオストは後方から呪文を唱えている。「ハアアァァァァァァッ!!!」俺は襲い掛かって来た盗賊の姿をした変異体に立ち向かう……。相変わらず速い……だが、以前と変わらない……つまり。「俺にとっては……遅いっ!!!」『GYUAAA!!?』俺は躊躇わずに変異体を縦に真っ二つにする。真っ赤な飛沫が飛び散る……嫌な感触に顔を歪めそうになる。しかし、顔には出さない……。後悔はしない……幾らでも、背負うと決めた。今は犠牲者のことを考える時では無く―――敵を打倒する時だ。俺は返す刃で、次の敵の首を切り裂く……最早、この程度では揺るがない――揺るいではいけない。「くっ……野郎ぉぉっ!!!」『GUEE!?』ゼノスは一瞬、拮抗したが……闘気を発した瞬間、鍔ぜり合いを制し……一気に切り裂いた。ゼノスの腕も上がっているということだろう。だが、致命傷の筈のソイツはゆっくり立ち上がり……深手の筈の裂傷を端から再生させていた。「ゼノス!!確実に止めを刺せ!!でなければ、そいつらは何度でも立ち上がるぞ!!」「チィッ……!!」俺の忠告を聞き、直ぐさま変異体に詰め寄り、その首を切り飛ばした。赤い飛沫が、噴水の様に飛び散る……。……嫌な光景が頭を過ぎる。だが、止まらない……止まるつもりは……無い!「これなら……!『マジックフェアリー』!!」カレンは、俺達の援護のため誘導弾である【マジックフェアリー】を放つ。それらを喰らっても、変異体は倒れず、その身体を揺らがせ、その場に留めるだけだったが……それで十分。その隙を突き、俺とゼノスが切り込むからだ。『GAAAAAA!!!』「そこだっ!!」アリオストは中距離から、魔法爆薬を使い攻撃。アリオストの使用する魔法爆薬は、数ある魔法爆薬の中でも上位に位置するニトレイト。その威力はかなりの物だ。爆煙の中から、ズタボロの変異体が飛び出し、アリオストに襲い掛かる……救援に駆け付けることも出来たが、俺はアリオストを信頼して任せた。「何処まで耐えられるかな……?」アリオストは腰の得物……妖魔刀を抜き放ち、変異体を素早く、何度も切りつけた……。そして、しっかり止めを刺した。実は、アリオストはラシェルの修行タイムでは、魔法だけでなく、剣も学んでいる。……驚くことに、剣を使うのは得意なのだそうで……。アリオストの剣術は、魔導学者になる前……まだブローニュ村に居た頃に教わったモノらしい。確かに以前、その太刀筋を見た時に『結構悪くない』とは思ったが……。せっかくなのでと、修行したならば、こうなったワケで。ゼノスの様な剛剣の使い手では無いが、剣速のスピードは中々侮れないモノがある。無論、剣のみでは俺達の中で一番未熟だが、本来の戦法……魔法爆薬と魔法詠唱を加えた総合力においては、他のメンバーに引けを取らない。「うおらあぁぁぁぁ!!」「む……」ガギイイイイィィィィィン――――。変異体をあらかた片付けた所に、誰かが切り掛かって来た――十中八九グレンガルだが――俺はそれをリーヴェイグで防ぐ。「……残るはテメェだけだ」「く、くそがっ!俺はまだこんなところでやられるわけにはいかねぇんだ!!」グレンガルが無造作に連撃を放ってくる。「俺の!この武器をっ!!」その一撃一撃は重く威力がある――だが。「売って!売って!!売りまくってぇっ!!!」どうしようもなく――『軽い』――。「金を!誰よりも多くの富みを!!財産を!!」そこに技は無く、心も無く――あるのは力と自身の武器と金への執着のみ。「この手にするんだあぁぁぁ!!!」そんな一撃など――。「俺に届くかああぁぁぁぁぁっ!!!」斬っ!!!「ごふぉ……!!?」俺の袈裟掛けの一撃は、奴の斧ごと…奴を断ち切った。「ば、馬鹿な……俺の武器が……俺の武器が負ける筈がねぇ……」原作でウォレスに『武器に頼り過ぎ』と言われていたが……。「確かに良い武器だ……武器に振り回されない力もあった……だが、それだけだ。お前は武器を『使っていた』だけに過ぎない……真に武器の主になれなかった……それがお前の最大の敗因だ」「まだだ……俺はもっと金が……金を……金を…………か……ねぇ…………………」――最早、俺の声は届いておらず……その手で空を掴み、最期まで金を求めながら倒れ伏した……。グレンガルの死を示す様に、奴の斧は光に包まれ……一つの指輪がその場に残ったのだった。「……力ではなく、商売が世の中を動かす……か。その考え自体は決して間違ったモノじゃなかった……だが」「シオンさん……」「……大丈夫だカレン、俺は大丈夫だから」……商売の――金のために誰かを傷つける。それは悪いことなんだろうが、それ自体を肯定は出来ないが、否定もしない……それが戦争――それでもやり過ぎ――気に入らない――仲間を傷付けられるのが許せない――それがエゴだというのは理解している。――恨みたいなら恨め。全部背負って進む……もう二度と、立ち止まらないと決めたから。「とりあえず、終わったね……」「ああ……後は援軍に来たローランディアとランザックに説明を……む?」……この気……この魔力は……!「どうしたよシオン?」「悪い……ゼノス達で説明しておいてくれ……直ぐに戻る」「シオンさんっ!?」俺は瞬転を使い、その場を後にした………忘れもしない、あの時の気配に向けて……!!**********ふむ……どうやらグレンガルは負けちゃったみたいだねぇ……。まぁ、アレは以前の奴と強さは変わらないからねぇ……あくまで安定性と操作性を求めた物だし。特に操作性……僕以外でも操れる様に操作するアイテムを作製して。グレンガルは良い実験台になってくれた……しかし、シオン君はともかく……他のキャラに倒されるとは思わなかったなぁ……これもシオン君の影響かな?これはもう少し性能を向上させないとだなぁ……。「ともあれ、データは取れたんだ……これで『チャキッ』!!?」「……お前は誰だ?何の目的がある?」シオン君……何で此処に……テレポート?それにしてはタイムラグが……。「素直に答えるなら良し……さもなくば殺す」シオン君は剣の刃を、僕の首に突き付けている……冗談でしょ?幾ら殺し合いをした後とは言え、あの無様に壊れ掛けていた甘ちゃんの彼が――。「冗談だと思っているなら諦めろ……俺は――本気だ」ゾッッッッ!!!?「!!か……はっ……!!?」なん…何だ……コレは…………殺気………?コレがシオン君の……?僕が……怯えている……?「お前があの時、変異した盗賊を俺にけしかけたことは分かっている」……以前、僕はシオン君をリシャールと同等か少し上程度と断定していたけど……僕は、大きな思い違いをしていたんじゃあ……?「答えろ――死にたくなければな」彼は本気だ――。――素晴らしい。素晴らしいよ!!想像以上の力っ!!!それがいずれ、僕のモノになるなんて!!ああ、素晴らしい!!素晴らし過ぎて興奮しちゃうじゃないかぁ!!……けど、まだその時じゃあない。僕が表舞台に立つのはまだ少し先……。せっかくのご馳走だけど、下手を討って…喰うつもりが、喰われることになったら大変だから……。「どうぞご自由に。やれるモノなら『ザンッ!!』ね――」本当に……本当に斬ったね?やられちゃったよ……まぁ、所詮は【影】だけどね?**********俺は問答無用で男の首を撥ねた。容赦をしてはならない。それがこの男の第一印象だった。男を見た瞬間、俺の中の何かが警告した……この男は危険だと。だから刃を突き付け、躊躇無く斬った……筈だった。「!?なっ………!?」しかし、斬った筈の男は健在で……斬ったのは男の……【影】?「ふふふ……怖い怖い……まさか容赦無しとは、ね」俺が呆然としている隙に、奴はバックステップで距離を取った。……あの程度の距離なら、一気に喰い潰せるな。そう考えていたのもつかの間。なんと、男は自分の影に飲み込まれていくではないか……。「クックックッ……僕達はまだ合い見える時じゃあない……もっと相応しい場面、場所がある……」「遠慮するな」俺は一足で距離を喰い潰す……相手には瞬間移動をした様に見えただろう。「此処で殺られておけ」俺は今度こそ奴を捕らえた……捕らえた筈だった。だが……。「な……分身か!?」「『幻日』が発動したか……僕にもまだまだ運が残っていたらしい」次の瞬間、男は完全に影の中へと消えていた……だが、気を探れば……。………!?気や魔力を……感じない!?『僕は君を見くびっていたよ……まさかこんなに強いなんてね?冷や冷やしたよ……これからは、行動を自重しないとね』……奴の声が聞こえる。だが、気配を感知出来ない……。『またいずれ……相応しい舞台……相応しいシーンで!!その時こそ……存分に相手をしてあげるよぉ!アッハハハハハハハハ!!!』…………行ったか。「チッ……らしくねぇ……」普段の俺なら、理由を聞いたり……聞いたりはしたが。だが、いつもと心情が違った……俺は、最初から…殺すつもりで――。相手の信念を否定しない――それが俺の信念だった筈だろう?だが――奴にはそんなモノは無かった。奴にあるのは――悪意。そして……奴は『遊んでいた』。……まるで、ゲームをしているかの様に。「……落ち着け。直感だけに頼るな……冷静になれ」奴は俺と同じ転生者……これは間違いない……と、断定は出来ないが……確率は高まった。奴の言っていた【幻日】……俺の記憶に間違いが無ければ、覚えがある。確かロマンシング・サガ3の太陽術の一つだった筈だ。……となると、あの影は【シャドウ・サーバント】か?いや、それならあの影の中に沈んだのは何だ……?恐らくなんらかの移動術なんだろうが……。「情報が少な過ぎるな……」俺はため息を吐いた。此処で考えていても埒があかないな……。「戻るか……」俺は再び瞬転……皆の元へ戻って行った。**********戻ってみると、既に説明は終わっており、谷間を挟んでブロンソン、ウェーバーの両将軍と対峙することになった。二人が言うには、この橋を張り直し、直ぐに援軍に向かうとのことだったが……。「その必要はありませんよ」「何だと?」「どういうことだ?」俺は説明する……援軍全てを連れてテレポートをすると。正確には瞬転だが。「けれど、どんなに優れたグローシアンでも、テレポート出来るのは10人未満が限界だと……」「普通はな」アリオストの疑問にサラっと答える俺。ローランディア、ランザック両軍合わせて……一万弱か。まぁ、イケるでしょ?アリオストを始め、皆がまっさか〜♪という顔をしているがな。ただ、気絶させたバッタモンどもを回収する為に何人か残って貰わねばならないが。結果、橋の修理と気絶している奴らの回収、遺体の後始末のために、ローランディア側から数人が残った。「じゃあ、準備は良いですか?……瞬転!!」こうして俺達は、援軍を引き連れて、ジュリア軍陣地の前へと向かったのだった。*********で……。「本当にやりやがったよ……」「はは、は……何と言って良いやら」野郎どもが苦笑いを浮かべているが、まぁ、気持ちは分かる。こういう時はチート乙と言えば良いと思うよ。「とは言え、ちょっと疲れたけどな」流石に万単位だし、テレポートでは無く瞬転だし……なんか、本格的に魔法使ったなぁ……という疲労感は初めてだなぁ……まぁ、魔力的には1/1000くらいの消費だろうか?「……これがテレポートなのか」「グローシアンとは凄いものなのだなぁ……」ウェーバー将軍とブロンソン将軍が関心した様にそんなことを言うが……。皆が皆……俺基準では無いから。俺は反則チート野郎なんで……。余談だが、援軍を引き連れて来たらジュリアとエリオットがびっくらしていた。原因を調べて来て欲しいと頼んだのに、大軍を引き連れて戻って来たのだから、当然と言えば当然なんだが。「流石だな……まさか援軍まで連れて来てくれるとは……」「いや、まぁ……ついでと言うかなぁ……だが、物資も届いたんだ。これで巻き返すことが出来るだろう?」「ええ、これで兵のみなさんの士気も高まると思います。本当に、ありがとうございます!」エリオット君、そんな輝いた笑顔を見せないでくれ!オッサンには眩し過ぎる!「今日はもう日が暮れる……良ければ泊まっていくと良い。テントしか無いが、疲れくらいは癒やせるだろう」「そうだな……ここはご好意に甘えるとしますか?」「そうですね……私は賛成です」「俺も構わないぜ?」「僕も異存は無いよ」満場一致で決まりだな。俺達は、ジュリアとエリオットの好意に甘えることにした。テントを用意され、それぞれにテントを寝床として割り振られたのだった。**********パチパチ……。松明の火が弾ける音が聞こえる。「つーか、眠れん」どうしても思い描くのは、あのフードの男……。奴の目的は何だ……?奴は本当に……転生者なのか?「今、考えても仕方ないんだがな……ん?」この気配は……。「すまない、起きてるだろうか?」やっぱりジュリアか……。「ああ、入っても良いぜ?」テントの入口から入って来たのは、間違いなくジュリアだった。こう、改めて顔を合わせるのは、本当に久しぶりに感じるなぁ……。「それでは、失礼する…」「どうした、眠れないのか?」「ああ……少しな」むぅ……?なんか喋り辛そうだな……。「『サイレント』」俺は、テントに消音魔法を張る。「これで、外に話を聞かれることは無い……消音結界を張ったからな」「……お気遣い戴き、申し訳ありません」「そういう時は、ありがとうって言ってくれた方が嬉しいんだけどな……俺は」「も、申し訳ありません……」「また謝ってるし……」「あ、あう……」真っ赤になりながら、吃っているジュリア……そんな生真面目なところも……嗜虐心をそそるっつーか。落ち着け、俺自重。「悪い悪い、あまりにジュリアが可愛い反応をするから、ついイヂメたくなっちまった」「……マイ・マスターは意地悪です」クスクス笑ったら、ジュリアは少しむくれてしまった………何コレ可愛過ぎるんですけど?……もちつけ、もとい!落ち着け俺。「で?俺に用事ってなんだ?」「……になって」「?よく聞こえないんだが……」「〜〜っ!マ、マイ・マスターが気になって眠れなかったんですっ!!」「……………」落ち着け漏れ……もとい俺。素数だ!素数を数え(ry 「分かっています……今は戦時中です。そんな中でこんなことを言うなんて……指揮官失格ですよね」「いや……そこまで言うこと無いだろう?ジュリアはよくやってるって……」落ち着け……落ち着け……落ち着け。最近、暴走気味だからな俺は……色々我慢しまくっていたせいか、タガが外れかけているのか?いや……待てよ?別に自重しなくても良いと誓った筈だろ?「それよか、座ったらどうだ?何時までも立っているのもなんだろ?」「は、はい……それでは横に……宜しいでしょうか?」「ああ、構わないぜ?」俺は、自身が腰掛けていた簡易ベッドの横を少し空ける。そこにジュリアが申し訳なさそうに座る。「なんだか……こうやって話をするのは、久しぶりな感じがします……」「そうだな……こうして顔を合わせて話すのは、随分と久しぶりに感じるな……」嬉しそうに微笑みを浮かべるジュリア……やべぇ、マジで可愛い。「念話では何度か話しましたが……やはり、こうしてマイ・マスターの顔を見ながらというのは……一味違うというか……」「ははは、そう言ってくれると、男冥利に尽きるな」もじもじするジュリア……やばい、めがっさお持ち帰りしたいにょろぜ!!冷静に対処している様に見えますが内心一杯一杯ですが何か?「マイ・マスター……」「!?ジュリア……?」ジュリアが抱き着いて来た……やばい……み・な・ぎ・っ・て・き・た・!!「暖かいです……マイ・マスター……」プチン。「俺も暖かいぜ、ジュリア……」俺はジュリアを抱きしめ返す。ジュリアの鼓動が伝わる……。「ジュリア、ドキドキしてるだろ?」「……ドキドキもしますよ。マイ・マスターに抱きしめて戴いているんですから……」「可愛いことを言ってくれるな……」「マイ・マスター……んむぅ!?」俺はジュリアの唇を奪う……ジュリアは驚きに目を見開くが、直ぐに眼を閉じ、抵抗せずに甘受している。何処かに残っていた理性で、相変わらずジュリアの唇柔らかいなぁとか、相変わらずキス魔な俺キモい(≧ω≦)とか考えていたが……。「んふぅ……んちゅ、ぺちゅ…」そんな、俺の深いキスを甘受し……むしろ、貪る様に積極的に舌を絡めてくる。「あはぁ……」ゆっくりと唇を離す……透き通った粘性の橋が出来上がり……そして途切れた。「ま、まい……ますたぁ……♪」……こんな事態を予想していたワケじゃあない。だが、このテントには幸い、サイレントを掛けてある。俺は抗い続ける鋼の砦にゴルディオンハンマーをかましつつ、砦が再建しない様に何度も光にする。具体的に言えば、自分に暗示を掛けて、条件反射を封じようと言う策だ。「ふぁ…!?」俺はジュリアをベッドに押し倒す。その際に、やってやる……やってやるぞ!!と、自身に暗示を掛けるのも忘れない。「マイ……マスタぁ……切ない…です……」「なら……その切なさを、取っ払ってやろうか……?」「は、はい……お願いします…私に、マイ・マスターの慈悲を、下さい……」俺はジュリアの頬を撫でる……ジュリアは潤んだ瞳を向けてくる。……俺の中のキバ○シが五月蝿いが……例えハルマゲドンが起ころうと、俺は止まらん!「はぁ……あふ……」「初めて触れたけど……ジュリアの胸って柔らかいんだな……」「やぁ……マイ・マスター……手つきがいやらし…っいぃ…ですぅ…っ」「これからもっといやらしいことをするつもりなんだが……?嫌なら止めるか?」「いやぁ……やめないで……やめないで下さ…あぁっ…!」俺は服の上からジュリアの胸をいぢめる。その感触は蠱惑的で、それは見た目には分からないが、メロンの様な重量感がある……。今はナイツの制服を着用している為、サラシの様な抑えがあったが、その上からでもコレだ。……それを解いたらどうなってしまうんだろう?見てみたい……。俺は夢遊病にうなされる様に、ゆっくりとジュリアの制服に手を掛け…。「……………」………この気配は。「マ、マイ……マスター……?」唐突に動きを止めた俺を、荒い息を整えながら俺を見遣るジュリア。その表情は何処か不安そうだ。俺は急激に理性が浮上していくのを理解した。「……敵だ。どうやら忍び込んで来たらしいな」「え……!?」気を張っていれば、もっと早くに気付けた筈だが……ジュリアに集中し過ぎて……まだまだ俺も未熟だ。思考を戦闘用に切り替える……切り替える…………切り替え―――。……自己暗示を掛けながら……頑張ったのに。確かに原作でそんなイベントもあったケドさ。何か?世界の修正力ってヤツですかコノヤロウ!!「マ、マイ・マスター!?」そんな内心を表情には出さずに、俺は外に飛び出す。「ま、待ってください!私も……!!」ジュリアが何か言っていたが、そのまま外に出る……方角はあっちか。「コソコソしていないで、出て来たらどうだ」「気付いていたか……」現れたのは、インペリアル・ナイツの一人。本来なら、ナイツ・マスターが纏うべき【赤】を纏うインペリアル・ナイト。「ライエル卿……」「シオンか……ウォルフマイヤー卿が離反したことを考えれば、お前がここに居るのも頷けるか」アーネスト・ライエル……義と忠の騎士……。彼が俺の前に立ち塞がった……。**********あとがきかゆ…うま。もとい、また病気が……嘘予告や番外編を書きたいです……安○先生……。orzそんな精神状態なので、近い内にまた書いてしまうかも知れません。しかし私は謝らry相変わらず駄文ですが……しかし私はryそれではm(__)m