俺達はテレポートでローランディアへ跳び、今はローランディア王城へ向かっている所だ。城門を抜けて城へと続く通路の途中で……ミーシャが立ち止まった。「……どうしたの、ミーシャ?」「……やっぱりアタシ、帰る……」「帰るって……ミーシャ?」「心配しないで、ルイセちゃん。ちょっと1人になって、気持ちの整理をつけたいだけだから……」そう言い残して、ミーシャは走り去って行った。……仕方のないことだと思う。今まで慕っていた相手に裏切られたのだ……。最初こそ、自身を奮い立たせてヒゲに立ち向かいはしたが、そのヒゲを倒した今……ミーシャの心は果てしなく空虚なモノになっている筈……。皆もそう思っているのだろう……ただ、走り去るミーシャを見送るしか出来なかった。「……………」そしてイリスは、そんなミーシャを誰よりも複雑そうな表情で見つめていた……。*********ローランディア王城・謁見の間「おお、戻ったか。サンドラから話は聞いた。まさか魔法学院の学院長がグローシアンを……未だに信じられん」「研究者としては、非常に優秀な人だったのですが……」サンドラは学院生時代、ヒゲから教えを受けたこともあるらしい……だから余計に残念な想いがあるんだろう。「詳しくは私が説明致します」「その方は?」自ら名乗り出たイリス。王は見知らぬ人物の申し出に首を傾げている。「彼女の名はイリス……学院長の元秘書だった者です」「なんと……」カーマインの説明に、驚嘆を表すアルカディウス王。それもその筈……黒幕たる学院長……その共犯者が現れたのだから。いや、単純にびっくりしてるだけかもしれないが……。そう、イリスが俺達に着いて来たのは、知り得る限りの真実を告げるため。その結果、処断されることをも覚悟に……いや、イリスはむしろそれを望んでいる節がある……か?イリスは知る限りの真実を話す。ヒゲがグローシアン王族の末裔であること、この計画はグローシアン失踪事件を利用して偶発的に思い立ったこと、ヒゲの目的、自身がグローシアンになるために、グローシアンからグローシュを抜き取っていたこと……そして、自身の出生。ミーシャについては言わなかった……イリスなりに思うところがあるのかも知れない。「成る程……そんなことになっていたとはな……」結果、イリスが処断されることは無かった。何故なら、俺達がフォローしたからに外ならない。イリスがどういう奴なのか……とか、イリスはグローシアンを救おうとした……とかな。それらを説明した結果のお咎め無し。まぁ、アルカディウス王が『いいひと』だったのも理由の一つだろうが……。何より、イリスが真実を(ミーシャのことを除いて)語っていたのが大きな理由だろう。ティピを通じ、サンドラから話は聞いていた筈なのだから……。「……私を罰しないのですか?私のしたことは……」「確かに、その方がしたことは罪深いことだろう……もし、それが事実ならばな」「?どういうことでしょうか?」王の言い分はこうだ。イリスは操られていた……そして操られていた時の記憶が無い。よって、操られていた時に非道な行いをしていた……という証拠も無いと。ぶっちゃけ詭弁であり、証拠や証言を捜そうと思えば幾らでも捜せるだろう……が、この場にいる全員にその意思は無く、王の意見を肯定する形となった。皆、どれだけお人よしなのか……まぁ、俺も人の事は言えない……か。「とにかく、もうこのような事件は起きずに済みそうだな」「そうですね…」グローシアン失踪事件そのものが解決したワケでは無いが……その一端が解決したのは事実だ。全員と言うワケにはいかなかったが、保護したグローシアンは生き残ったしな。「それよりあのマジックジャマーとかいう奴、さっさと返しちゃってよ〜!あれが近くにあると頭が痛いんだから〜!!」「そうだったな……母さん」半泣き状態のティピに懇願され、カーマインは苦笑しながらマジックジャマーをサンドラに返した。「ではいつも通り、休暇を取ってゆっくり休んでくれ」こうして、三日の休暇を賜った俺達は、初日の休暇先を指定してから帰路に着いた。帰宅後……夕食を取って就寝した……皆の間に会話が少なかったのは仕方ないと言えよう。皆、それぞれに想いを馳せる……明日の休暇先を……そこに居るであろう少女の姿を。休暇先は魔法学院―――行く宛ての無いミーシャが『帰った』と思われる場所であった。**********休暇一日目・魔法学院「お前らがどうするか知らんが……しっかりやれよ」そう言ってウォレスが先に行き……。「私が力になれれば良いのですが……」「どうも俺は慰めるってのは苦手でな……だから、頼むぜお前ら」カレン、ゼノスのラングレー兄妹が続き……。「私も力になってあげたいけど……ね」「ミーシャ君……」リビエラ、アリオストが続き……。「ミーシャ……大丈夫かな?」「お前らがどういう答えを選ぶかは分からないが……ここが一つの分岐点だ。それは胆に命じておけよ?」「…………」ルイセと俺……そしてイリスが続いた。残されたのはカーマインとティピ……それとラルフだけだった。**********「皆、ミーシャちゃんを探しに行っちゃったね……」「アタシたちもミーシャを探そうよ」「そうだな……」俺達はミーシャを探しに行く……。何故、俺達なのか……幾ら俺でも何と無く分かる……。「人間じゃなかったなんて……」ん……?俺達が中央広場に来た時、二人の女生徒が話している内容が聞こえて来た……。「じゃあみんな、ずっと学院長に監視されていたの?」「なんでまだ学院にいるんだろ……」「怖いよね?何喰わぬ顔してさ……」……こういう奴らが出てくるのは分かっていた。彼女たちの気持ちも分からないワケじゃない……だが、お前たちにアイツの悲しみが理解出来るのか?憤りを理解出来るのか!?そう考えたら……。「あっ!」「やばい、行こう!」こちらに気付いたらしく、女生徒たちは走り去って行った。……俺に彼女たちをどうこう言う資格は無い。俺が本当にミーシャのことを理解しているか……そう聞かれれば、NOとしか言えないのだから。「あの子たち……」「……仕方ないね。カーマインはミーシャちゃんを探してくれ……僕はあの子達に一言いわなきゃいけないから」後は任せたよ?そう言い残してラルフは女生徒の後を追った。そして……。「お兄ちゃん!」「ルイセ……」俺を見つけたルイセがこちらにやってきた。「お願い、お兄ちゃん。ミーシャを元気づけて……」「俺が……か?」ルイセはこくりと頷いた。「わたし、なぐさめようと思ってミーシャのところに行ったの。でもミーシャ、わたしを見るとどこかへ逃げて行っちゃって……」恐らく、ミーシャは引きずってるんだろうな……自分が生み出された意味を……だからルイセを避ける。そう、ルイセだから……。「ミーシャはお兄ちゃんの事が好きなんだよ。お兄ちゃんじゃなくちゃダメなの……」そう、だからこその俺とラルフ……なんだろう。だが、ルイセにそう言われた俺は、何故か胸がチクリと痛んだ……。「だからお兄ちゃん、お願い。ミーシャを……ミーシャを助けて!」「あっ、ルイセちゃん!」ルイセは言うだけ言って走り去ってしまった……。「ったく……こっちの答えも聞かずに……大体、ミーシャの好意が向いているのは、俺だけじゃないだろうに……」「アンタ……」俺は頭を掻きながら溜め息を一つ……。ままならないモノだな……本当。「行くぞ……ミーシャを探さないとな」俺はティピを連れて先に進んだ……すると、今度は。「アリオスト……」「……ミーシャ君は屋上にいる。しかし、僕にはミーシャ君にかける言葉がないよ……自分の好きな女性をなぐさめる事もできないなんて………君なら、ミーシャ君をなぐさめる事が出来るんじゃないかな?」俺はアリオストの言葉を聞いて……改めて思ったことを口にする。「いや……俺より、アリオストが傍に居てやるべきだ」「僕が……?」「そうだよ。ミーシャの事、好きなんでしょ?アリオストさんがやらなきゃ!」ティピの言う通り、これはミーシャのことが好きな、アリオストがやるべきことだ。勿論、俺もミーシャのことは好きだが、それは女性としてでは無く仲間として……何より俺には……。『ミーシャはお兄ちゃんの事が好きなんだよ。お兄ちゃんじゃなくちゃダメなの……』そうルイセに言われた時……俺の心はざわついた。……ルイセにだけは、そう言われたくは無かった……と。こんな時に気付くなんて、皮肉な話だがな……俺には……だから、俺よりはアリオストが適任なんだ。「そうか……そうだね。自分がしっかりしないとね。……僕が行くよ。ありがとう、カーマイン君」そう言ってアリオストはエレベーターに乗り込み……。「実はさっき、ラルフ君にも同じ様なことを言われたよ」「ラルフが……?」「ああ。やっぱり君たちは兄弟なんだね……うん、だから僕が頑張らなきゃって思えたんだ……」「アリオストさん……」アリオストは向かった……ミーシャの元へ。俺は自分の気持ちに気付いた……だからアリオストに任せた。それが相応しいと思ったから……。だが、ラルフはどうだったんだ?アイツは、どう思っていたんだろうか――?「……これで、良かったんだよな?」「うん……これで良かったんだよ」ティピからの優しい答えに、俺はホッと胸を撫で下ろしたのだった……。*********僕はあの子達を追って、二階の講義室までやってきた。道中、アリオストさんに会った。アリオストさんは僕かカーマインにミーシャちゃんを任せたかったみたいだけど……僕はアリオストさんがなぐさめるべきだと告げた。……僕はミーシャちゃんを好きだったんだと思う。それがライクなのかラブなのか……分からなかったけれど。だから、ハッキリ好きだと言えたアリオストさんの方が相応しいと思った。多分、アリオストさんならミーシャちゃんを幸せにしてくれる……と。だから、せめて僕は出来ることをしよう。「あら?あなたはルイセのお兄さん?」「あのローランディアの騎士だっていう……」「いや、それは僕の弟の方だよ。だから僕は、ルイセちゃんのお兄さんのお兄さんだよ」どうやら彼女達はカーマインと僕を勘違いしたらしい……まぁ、双子だから仕方ないんだけど。「あの、なんであのホムンクルスを放っておくんですか?」「学院長が悪いことするのに使われていたんでしょ?わたし、怖いです」「私も……」彼女達の気持ちは分かる……ケド。「二人とも、ミーシャちゃんに謝ってくれないかな……?」僕は彼女達の言い方が……気に入らなかった。ミーシャちゃんは『人』なのに……まるで化け物みたいに言う彼女達の言い方が……。「なんで謝らなきゃいけないんです?」「ミーシャって学院長の手下だったんでしょ?」「事情があったんだよ……」僕は荒れる気持ちを抑えながら、事情を説明した。ミーシャちゃんが、学院長にされた仕打ちを……。「!……そうだったんですか」「でも、私たちだって怖かったんです。学校であんな事が起こっていたなんて……」「なんだか、取り乱してみんなにもいろいろ言っちゃった……どうすればいいんだろう……?」彼女達は後悔してる……自分達のしたことを、自分達が言葉にしたことを……。後悔出来るだけの優しさを持っているのだろう……。彼女達は怖かっただけなんだと思う……だから、ミーシャちゃんを、ホムンクルスだから……という見下した色メガネで見ているワケじゃあないんだ。「私たちがミーシャと仲良くして、みんなにも分かってもらうしかないよね」「そうね!」「うん!」彼女達の様な仲間が居れば、ミーシャちゃんは大丈夫だろう……。……人間かそうじゃないか……なんて、ちっぽけなことに思えてくるよ。「あ、僕が事情を話したのは秘密でね?」僕は彼女達に微笑んだ。和やかな雰囲気を作りたかったんだけど……。「は、はい!(〃A〃)」「わ、わかりました(〃д〃)」……何故か二人とも真っ赤になりながら走り去ってしまった……なんでだろう?*********「ありがとう、アリオスト先輩」「いいんだよ。僕はいつも元気なミーシャ君を見ていたいんだ」私は物影からミーシャたちを伺っていましたが……ミーシャは元気になったみたいですね……良かった。私はその場を去って行きました……もう大丈夫ですね。「これで、心残りはありません……」私は数少ない私物を整理し、学院から出ようと……。「どこへ行くつもりだ?」「シオン……」そんな私を待ち構えていたのが、彼だった……。「何故……」「な〜に、勘って奴かな?昨日もそうだったが、複雑そうな面してたからな……何か良からぬことを考えていたんじゃなかろうかと……例えば」彼は私に近付いてきて……。「自身の命を断つ……とかな」真剣な表情でそう告げたのだった。私は、何も言えなかった……何故分かったのだろう?私はそんなに分かりやすいのだろうか……?「……………」「図星…か?」私は……。「私は……罪を犯しました。本来なら、極刑を受けても文句は言えません」「まぁ、な。でも、イリスは操られていたんだし、その間の記憶は無かったんだろう?」「……ですが、私はミーシャと違い、自分の意思でマスターに加担していました」そう、私はシオンと出会い、心というモノを知った……だが、それ以前は間違い無く……マスターの道具でしかなかったのだ。「そんな私が……生き恥を晒すなど許されないことです」本来なら、罰せられるべき私が……。「違うな……間違っているぞイリス」「……?」「確かに、お前は罪を犯したかもしれない……だが、お前はそれを悔い、自分の運命に抗おうとした……それは、決して間違いでは無い筈だ」シオンの言いたいことは理解出来る……しかし、納得は出来ない。私は確かに運命に抗おうとしたが……抗い切れなかったのだから。「……と、これは建前としての意見」「え……?」「本音を言えば、間違いだろうが何だろうが、俺は知ったことじゃねぇ。だが、俺はイリスに幸せになって欲しい。人としての幸せを謳歌して欲しい……それだけさね」「それは……そんなことは……」それは酷く我が儘で、自己中心的な考えで……けれど。「お前が誰かの命を犠牲にした……とか考えてるなら、お前は生きなきゃならねぇ……誰よりも、何よりも一生懸命に生きなきゃならねぇ。その命を捨てるってことは、それは今まで奪った命に対する冒涜でしかねぇ……だから、陳腐な台詞だが、今までのことを罪だと思うなら、生きてそれを償いやがれ!……その上で幸せになるなら、罰も当たりゃしねぇだろうさ」照れながら、頭を掻いてそう言う彼は……私には輝いて見えた……。「まぁ、少なくとも悲しむ人間が居るうちは死んじゃあならねぇって……命を自分で捨てちゃならねぇ」「私には……悲しんでくれる者など……」「俺が悲しむ」「!?」「俺が悲しむ……だから――死ぬな」「あ………っ」悲しむ……?シオンが……悲しむ?私が居なくなると……悲しむ?「まっ、俺だけじゃなく……ミーシャも悲しむかも知れないがな?何しろ、姉妹みたいなモンだろう?」「……ミーシャは、そう思ってはくれないでしょう。私は……ミーシャを傷付けたマスターの、片棒を担いでいたのですから……」そう、ミーシャは許しはしないだろう……そこまで望んではいけない……だから私は……。「なら、直接本人に聞いてみたらどうだ?」「え……?」シオンが示す視線の先には……。「ミー…シャ」ミーシャや他の者達がこちらを伺っていました……。「…………」ミーシャがこちらに歩いてくる……。その顔は真剣そのものだ……屋上で見た、温かい笑顔では無い。「あの……!」「はい…なんでしょうか?」……ならば、私は甘んじて受け入れよう。彼女が私を罰するというのなら……。それを受け止めようと………。「お姉さまって、呼んでも良いですか!?」「はい……………ハイ?」受け止めようと…………は、え?「ほら、アタシ達同じ人に造られたじゃないですか?だから、姉妹みたいなモノでしょ?だから……あ、まさか私が先じゃないよね?そしたら私が姉?それも捨て難いけど……ホラ、見た目的にどうかな〜?とか……やっぱり私としてはお姉さまって呼びたいワケで……その辺どうなんだろう?」「た、確かに生み出されたのは私が先なのですが……いえ、そうでは無く」「……ん?」いえ、そんな『何か可笑しいの?』的に首を傾げられても……。「アナタは良いのですか……?私を……その、私なんかを姉と呼んで……私はアナタを騙していたんですよ?」「ん〜……アタシは難しいことは分からないケド……ソレはソレ、コレはコレかな〜って♪」「え?」「確かに……アタシは騙されてたんだと思う。でも、最初はともかく、イリスさんも辛かったんだな……って、分かっちゃったから。だから、アタシにはイリスさんを憎むなんて……出来ないよ♪」凄く暖かい……まるでタンポポの花の様な温かい笑みを浮かべるミーシャ……。私は……。「それで……お姉さまって呼んじゃ、ダメかな?」「……私などで良ければ……喜んで……」ミーシャは私に抱き着いて来た……私は戸惑いながらも、抱き返した。「ありがとう!お姉さま♪」「それは……私の……台詞です……ありがとう……ミー、シャ……」私は、恐らく……生まれて初めて『泣いた』……嬉しくて、『泣いた』……。私は、生きていて良いと言ってくれる人がいる……姉と呼んでくれる人がいる……こんなに嬉しいことは……ないのですから……。**********まぁ、何は無くとも上手く纏まってくれたみたいで何よりだ……。今のミーシャとイリスなら大丈夫……互いに支え合って生きていけるだろうさ……。「良かったわね……」「そうですね」リビエラとカレンが温かい視線を向けている。「まぁ、最初の形はどうあれ、家族が出来たんだ……今までの分も幸せにならなきゃな」「良かったね、ミーシャ……」それはウォレスとルイセも同じ様だ……いや、正確には俺ら全員が同じ想いなんだろうけどな。だって、皆の視線が優しいモンな。「みんな、心配かけてごめんなさい。アタシはもう大丈夫!アタシでお役に立てるならいつでも言って下さいね」「私も、あなた方にはお世話になりました……この恩は必ず返します。お声を掛けて下されば、微力ながら力になります」そう言って、見送りに来てくれた二人の姉妹。二人とも、今日は姉妹でゆっくり語り合いたいとのこと。ミーシャはしばらくの間、今まで通り学院生として寮に住み、イリスは教員として残ることにしたらしい。この辺は副学院長の計らいによるモノだ。イリスは学院を去るつもりだったらしいが、行く宛は無く、そこを指摘されたので教員として再採用されたのだとか……。しばらくは二人とも風当たりは強いかも知れないが、頑張って欲しいものだな……。「良かった、良かった。じゃあ、戻ろうか」「そうだな……」ティピとカーマインが締めようとして……。「シオン……」「ん?」イリスが俺に話し掛けて来た。「貴方には特にお世話になりました……この恩は中々返し切れないでしょうが……」「気にすんなって、結局…俺は自己満足の為にやったに過ぎないんだから」「それでは私の気が済みません……なので、少しづつ返していきます……コレは」イリスは俺に近付き………。チュッ♪「うむぅ!?」「「!!!!??」」唇を重ねて来た……いや、ちょ、舌は…………………………………。*********しばらくお待ち下さい。*********「……はふ……コレが……最初のお返しです」「おま、ちょ……はぁ!?」不意打ち……不意打ちだぜJK?幾らキス魔とか言われた俺でも動揺するっつーの!!しかもぴちゃぴちゃと音が鳴るくらいディープで……って、イカン!イカンぞ息子よ!?鎮まってえええぇぇぇぇ!!?「私は自分の心に従うことにしましたから……だから、コレが素直な私の気持ちです」そう言って綺麗な微笑みを向けるイリス………って、皆の視線が痛いぃぃぃぃ!!?ルイセやミーシャにティピは顔を真っ赤にしているし、ウォレスとラルフとアリオストは苦笑しているし……。カーマインはヤレヤレと肩を竦めている……って、ゼノスは複雑そうな表情で見てるし……って、カレンとリビエラから不穏な空気がああぁぁぁぁ!!?カオスな空気を残したまま、俺達はローランディアへと帰って行ったのだった。休暇先を申請した後に帰宅……昨日とは違い、賑やかな夕食と相成った。「シオンさん……」「シオン……」「おまえら、時におちつけ!?今回は俺が悪かった!この際、理不尽な仕置きも甘んじて受けよう!!だから…な?」「それくらいじゃあ、シオンは堪えないでしょう?だから、私たちはもっと大胆になることにしたの……その方がシオンにとっては堪えるだろうし♪」「シオンさんの気持ちに従うって決めましたから、シオンさんが誰かと好き合っても文句は言いません……けど、嫉妬の気持ちが無いワケじゃないんです。私たちも構ってくれないと……寂しいです」「なんか大きな誤解がある様だが……俺は見境無しでは無いんだから!?いや、ちょ、待っ、アッ―――――――!!!??」その後、何とか貞操は守り抜いた俺……危なかったケド……。……何でこんな思いまでして貞操守ってんだろう……俺。何か物悲しくなりつつ、俺は就寝したのだった……。**********おまけイリスとミーシャのお話。「お姉さま大胆だったね〜〜」「あれくらいはしないと、想いは伝わらないかも知れませんでしたから……資料にも書いてあったし」「資料?」「いえ、こちらの話です」「ケドお姉さま?シオンさんにはもう……」「知っていますよ……私はその輪の中に入る覚悟(つもり)ですから」「ええええぇぇぇぇ!?」「こういうのをハーレム物と言って、男性なら喜ばしい状況らしいですから……資料に書いてありましたし」「資料?」「いえ、こちらの話でry」**********後書きハイ、まずはごめんなさいです。m(__)m今回、内容が薄い上、更新まで時間が掛かりまして……年末で仕事が忙しかったのもあり、中々……色んな意味で申し訳ありません。m(__)mそんなわけでようやく106話更新です。