昨日は大変楽しかった……。ルイセも喜んでいたし……皆が皆、彼女の誕生日を祝福していた。……些か無礼講が過ぎる感じがしないでも無かったが……な?結局、あの後だが……まず、レティシアを城に送った。……レティシアは泊まる気満々だったが、流石にそれはマズイだろ?色々な意味で。ちなみに、その時のやり取りが……コレだ。「シオンさま……その……今日は帰りたくありません♪」「ウェ!?い、いや……それはマズイから。主に俺の理性とか色々」「……帰りたくないったら帰りたくありませんっ!……わたくしなら構いません……むしろ望むところですっ!!」「いや、何がさ!?」「それを言わせたいなんて……シオンさまって、いやらしいんですわね♪……でも、わたくし……そんなシオンさまも……好・き♪」「……もう、マジで言わせちまうか……そしたら歯止めが効かなくなるって……というか、敢えて言うことじゃねぇが……酔ってるだろ?」「よってませ〜ん♪よってませんよ〜♪」……と、言うやり取りがあった。その後、レティシアを宥めて城に送り届けた訳だ。……この際、俺が何を言ったのか……それはご想像にお任せする。……いや、あまりにしつこく絡んで来たので、ドSオーラMAXの台詞を耳元で囁いてしまった。ちょい過激な内容だったので、酔った勢いを得ていたレティシアも敢え無く撃沈。……もし、あれで更に肉体的に絡んで来られたりしたら……一線を越えていたかも知れん。まぁ、レティシアに関してはそんな感じだ。ルイセはルイセで、誰かに飲まされたのか……真っ赤な顔でカーマインに甘えまくっていた。……もう、見ていてかなりラブいオーラを出しながら。多分、尻尾があればパタパタ振っているくらいに。……何しろ、カーマインの膝の上に座ってたからなぁ……ルイセ。カーマインはカーマインで、そんなルイセを後ろから抱きしめる形を取っていた。……どうやらカーマインも誰かに飲まされたらしく、顔が若干赤い。しかも顔に出ていないが相当酔っているらしい。……当然か。飲まされたのは『ベイビーキラー』だし……。念の為に言うが、飲ませたのは俺じゃないぞ?……カレンやアリオストが酔い潰れたのを見て、面白そうとでも思ったんだろう……どうやらティピが上手く細工したらしい。で、以下が二人の会話の一部だ。「おにいちゃん……おにいちゃん、暖かくて……気持ち良いよぉ……」「俺もルイセが暖かくて気持ち良いぞ……それに柔らかくて、良い匂いだしな……」「柔らかいって……わたしそんなに太ってないモン!」「誰もそんなこと言ってないだろ?……柔らかくて、肌触りがスベスベで……触ってるだけで気持ち良いんだぞ?」「ひゃあん……っ!?頬っぺたぷにぷにしないでぇ……あふっ、そこはだめぇ……♪」「嫌なら止めるケド?」「ううん♪嫌じゃないよ♪だって、お兄ちゃんだから……♪もっと……ルイセを触って♪」「そうか……」と、延々とイチャイチャパラダイスでした。見ていて鼻血モンだった……なんか、一々エロいんだよな。多分、二人ともあの酔い方なら記憶飛んでるだろうなぁ……。若しくは夢とでも思うか……まぁ、覚えてたら互いに直視は出来んだろうし。で、そんな二人の様子が面白くない筈の妄想眼鏡娘は……。「んにゅ……カーマインおにいさまぁ……ラルフおにいさまぁ……あっ、ダメですぅ……そんなこと……ミーシャはお二人の……ですぅ……♪」実は真っ先にティピに飲まされて潰されていた。……ミーシャのその寝言と、赤く悩ましげな表情、モジモジと身体を動かす様に……不覚にも妄想回路がフル回転してしまった。……俺自重。三人をこんなにしたティピは……。「もう……食べられない……」ケプッ……と、可愛らしく息を吐き、大きく膨れた腹を撫でていた。……さしずめ、皿を抱いて溺死しそう……と言った所か。しかし、よくぞアレだけ食ったと思う。何処にアレだけ入るのか……小一時間程問い詰めたい。まぁ、乙女の秘密とか言ってごまかされそうだが。俺を含め、残った男連中とサンドラ、リビエラは飲んでいた。主賓のルイセはカーマインとあんなだし……。「その辺、母親としてはどうなんだよ?」「フフ……そうですねぇ……あの子はまだ甘えん坊ですからね。カーマインに甘えたい気持ちが強いんでしょう」「とてもそれだけには……見えないわね……アレは」「ハハハ……仲が良いのはいいことですよ」「そうだな……とは言え、俺はリビエラの意見に賛成だな。アレは兄妹のそれじゃねぇよ……」「ふっ……自身の経験談という奴か?」等と、話していた。敢えて言いたいが……ゼノスよ……自身のことを棚上げして何を言ってやがる?仮に……俺が存在せず、完全に原作通りならば……現時点でカレンはゼノスに………。……むぅ、何か考えてたら腹立って来たな。仮定の話に腹立ててもしゃーないんだが……。俺ってこんなに独占欲強かったっけか??………強いんだろうな。そんなこんなで、賑やかな誕生日が終わり、皆それぞれに就寝。そして翌日、次の休暇先へ……。**********休暇二日目・王都ローザリア……うん。言いたいことは分かる。何故、同じ休暇先にいるのか?それは簡単過ぎるシンプルな答え……。「メンバーの半数以上が二日酔いでございます」そう……カレン、アリオスト、ルイセ、カーマイン、ミーシャが二日酔いでダウンしてしまったのである。「うぅ……またやっちゃった……私って……私って……」「僕は……何をし……うぐっ!頭があぁ……!?」「うぐぅ……あたまが…あたまが痛いよぉ……」「……俺は……何故部屋にいる……昨日はルイセの誕生日を祝って……駄目だ思い出せん……というか、何か吐き気が……」「う〜〜ん……頭がぁ……けはぁ……お兄さまぁ……助けて……」……と、まぁ……こんな有様でありまして。結局、もう一日ローザリアで過ごす羽目になり申した。文官さんに予定変更の報せと、その理由を説明してな……ゼノスが。で、残った俺達で休暇を過ごすことになった。とは言え、二日酔い連中を放っておくわけにはいかない……で、ゼノスとリビエラがとりあえず残ることに。ゼノスが男連中、リビエラが女性陣担当とか……。厳正なるくじ引きの結果である。くじ引きは神聖で全てを左右する……なんて言うつもりは毛頭ないがね。……看病する気満々だった俺は肩透かしを喰らう形となった。ちなみにサンドラは研究室に戻り、ゲヴェルの文献を調べている。昨日の今日でたいした物である。ラルフは久しぶりに商人の勉強の為、商店街に行くと言っていた。スキマ屋にも寄ると言っていたな。アイツ、未だにスキマ屋に憧れてるからな……。とりあえず、スキマ家業に開眼しないことを祈る。大陸一の豪商の息子がスキマ屋とか、笑えない。いや、俺は笑えるが……ラルフの親父さんは笑えないだろう?ウォレスはその辺をぶらついてくるとか……昨日、俺と同じペースで同じ物を飲んでいた筈なのに全く二日酔いしていないとか……。若い頃は酔い潰れて、スッテンテンにされた癖に……某音撃の鬼風に言えば、『鍛えてますから』と言った所か。まぁ、スッテンテン云々はウォレス本人から聞いたことだが。もっとも、ウォレスはあたかもそういう奴が居た……風に言っていたが。原作を知ってる俺は、その殆どがウォレス自身の体験談だと知っているので、生暖かい視線をプレゼントしてあげました。ティピは残ってゼノス、リビエラの手伝い。些か悪ノリが過ぎたと、反省しているらしい。「さて……俺はどうするか……」ふむ……ここらで情報を整理してみるか……?うむ、手持ち無沙汰だし、丁度良い。俺は町を出て、西に向かう。釣竿を担いで、岬に向かった。ちなみにカーマイン達は最初、行って帰ってくるのに、ほぼ一日掛かったりしていたが……とりあえず俺は走って来たし問題無し。このくらいの距離なら、俺のグローシュ波動でゲヴェルの波動を遮るのも余裕だしな。「ここに来るのはアリオストの飛行装置で、フェザーランドに行って以来か……」ひっそりと置かれた、シエラさんの墓に手を合わせ……俺は岬の先へ行き……そこから飛び降りた。「よっ、ほっ……と」俺は岩壁を上手く蹴って、足場にしながら下に降りて行く。そして、釣りをするのに丁度良い岩場を発見。そこに着地する。「さて……と」俺は竿を振るい、糸の先に着いた針を海へ投げ入れた。ちなみに考え事する為に来たので、針は某太公望の針の様に真っ直ぐです。ハイ、釣る気無いです。まぁ、釣って帰っても二日酔い達は食べられないだろうしな……。「さて……と」俺はその場に腰を降ろす。まず、懸案事項は幾つかある。根本的なことだが……ここは『グローランサー』の世界なんだろうか?……いや、『グローランサーの世界によく似た世界』……或いは『もう一つのグローランサー世界』……とでも言えば良いのか。本来、存在する筈が無い我が一族……ウォルフマイヤー。そう、正史と呼ぶべき『グローランサー』、外史とでも呼ぶべき『グローランサーオルタナティブ』……そのどちらにも登場しない一族。だが、歴史の流れは正史の物だ。……幾らか、俺が介入して変えてしまったこともあるが……。「まぁ、世界の名称はどうでもいいよな……この世界が、紛れも無い現実だって――理解していれば」そう、紛れも無い現実だ。最初こそ、夢か何かかと思ったが……。痛みも感じれば、空腹も感じる。夢にしてはリアル過ぎる……と、乳飲み子の時分に理解した。……まぁ、色々と感触的にもリアルだったし……。それはともかく……。俺のこの力も謎だ。ハッキリ言ってチート過ぎる。俺は手を軽く目の前に掲げ、そこに『力』を込める。蒼く柔らかな光を放つ……色こそ変わらないが、ソレの力の質を変えていく。魔力、気……他にも似て非なる力が幾つか。俺が最初、それらを用いて出来たことは、身体能力の調整……それに相手の気や魔力を探ることくらいだった。それだけでも、この世界においては充分過ぎる力だった。しかし、俺には『ラーニング能力』と『アレンジ能力』なんて更にチートな能力がある。『ラーニング能力』相手の攻撃を喰らうことで、相手の基本である武術、剣術などの戦闘技術を全て理解し、己の物としてマスター出来る様になる能力。必殺技、魔法、奥義などは個別に喰らわなければマスター出来ないという縛りがあるが……。『アレンジ能力』これは『ラーニング能力』から派生する能力。『ラーニング能力』で体得した能力は全て理解することが出来る。理解出来るからこそ、改良することが出来る。それが『アレンジ能力』の全容だ。こうして覚えた能力は人に教えることも出来る。全てを理解出来るんだから、これくらいは当然。これらの能力の弊害として、戦闘技術を自身で習得する……という部分に関しては恐ろしいまでに才能が無くなってしまったのだが。もう、某史上最強の弟子や某冬木のブラウニーなど目じゃないくらいに。正に逆チート。自力で習得……というか、編み出したのが、暗闇を照らす魔法『ライト』のみ……正に、これが精一杯って奴だ。あ、戦闘関連以外の才能は普通なんで、日常生活に困ってはいないが。………もう一つの懸案事項は俺の存在だ。自分で言うのもなんだが……俺のこのチートぶりは異常だ。俺の両親も能力は高いが、こんな妙な力は持っていないし……ここまで異常な戦闘力は無い。一応、一族のことも調べたが……俺の様な能力を持った者はいなかった。つまり、俺の能力は遺伝では無いということだ。よく二次創作では、神様のうっかりで殺されて、お詫びにチート能力を与えられ、望む世界に飛ばされる……というテンプレ展開がある。だが、生憎……俺にはそんな記憶は無い。会社から帰って来て……就寝して……気付いたら赤ん坊だ。我ながら、よく発狂しなかったと思うよ。心臓発作……とか言う可能性も無い訳じゃないが……俺を見守ってくれていた沙紀の言い分を信じるなら、それは無いだろう。気付いたらこうなっていた。俺には凌治だった頃からの異能……『絶対記憶能力』がある。だから、忘れているということも無い筈だ。『絶対記憶能力』読んで字の如く、一度見聞きし、体験したことは決して忘れないという能力。俺はこの能力のせいで、一時、狂いかけちまって……医者の催眠療法で記憶と一緒に、一部を封印していたんだよな。だから、当時は記憶力が良い程度の認識だったんだが……。そんな能力を持つ俺だ……忘れているということはない筈。まぁ、神様とやらに記憶を消されているというパターンも、あるんだよな……。そもそも、俺は元の世界に戻れるのか?戻れたとして、俺はどうなる……?海堂凌治に戻るのか?それともシオン・ウォルフマイヤーとして戻るのか?そもそも……俺は戻りたいのか?向こうに残して来た親父、お袋……双子の弟の礼治……。望郷の念が無いと言えば……それは嘘になる。だが……この世界にも間違いなく居る……父上、母上、我が家に仕えてくれている使用人達……そして…………。望郷の念はある……それでも俺は戻りたくない……と思ってる…のか?……やはり、答えは出ないか。情報が少な過ぎる……。そもそも、答えが出る様なことなのか……?「いや、答えを握る存在はいる……」懸案事項その3。俺以外の転生者の存在……。便宜上、俺も『転生者』に含めておく。俺以外の転生者……そう思しき存在は二人。『青髪の双剣士』『フードを被った男』この二人だ。『青髪の双剣士』こいつの噂を聞いたのはつい最近……コムスプリングスに休暇で訪れた時だ。今までに見掛けなかった筈の温泉卵、温泉饅頭が売られていたこと。……これだけなら、俺も変には思わなかった。だが、温泉湯豆腐なんて物まで売られていたのだ。温泉湯豆腐……某国民的食文化漫画にて、出て来た料理。ハッキリ言って、その料理がある地元か、その漫画を熟知している者で無ければ知る筈が無い。まぁ、この世界に似た料理が存在する……という可能性も否定出来ないが。だが、俺が重要視しているのはそこでは無い。『青髪の双剣士』この存在そのものだ。『青髪の双剣士』……俺はこの名を聞いて、真っ先に思い浮かんだ人物がいる。『グローランサーオルタナティブ』に出てくる主人公……リヒターだ。クレイン村にはリヒターは存在しなかった。そう、それは俺自身が確認した。だが、リヒターはどこから救出されたんだった?鉱山街ヴァルミエの水晶鉱山の中から……だった筈だ。もし……仮定の話だが、クレイン村に引き取られず、別の場所に引き取られていたとしたら?……考えが至らなかったな。悔やんでも仕方ないが……。だが、街の人達に料理を教えたりしているくらいだ……悪い奴では無いんだろう。まぁ、要注意人物に変わりは無いが……。「機会があればO・HA・NA・SHI……もとい、話をしてみたいもんだ」もしかしたら、俺の求めていることに、何かしらの答えをくれるかも知れん。『フードを被った男』コイツは問答無用の危険人物だ。ラルフの夢に出て来たソイツ……ろくな性格をしていない。転生者であることは、その言動から間違いないだろう……。だが、正直コイツは好きにはなれない。……何の目的で動いているかすら判然としない。それはリヒターにも言えることだが……。……恐らく、あの時盗賊を変異させた魔力の持ち主と、ラルフの夢に出て来た男…………確証は無い。だが、俺は何処かで確信している。アレは同一人物だ。……これから奴らがどう動くか……。正直、不安は尽きないが……。「……臨機応変に対処するしかないか」そろそろ夕方になるので、俺は竿を引き上げ、街に戻って行った。そしてフォルスマイヤー家の扉を開く。「ただいま〜」「あ、お帰りシオン」「遅かったな」既に出掛けていた皆は帰っていたらしく、居間に集まっていた。「って……二日酔い組はまだ?」「うん……少しは良くなったんだけど。皆、アルコールに免疫とか無いんじゃないかな?」「とりあえず、アリオストと、カレンは幾らか回復しちゃいるが……他の面子は駄目だな」そう言うのはリビエラとゼノス。アリオストは、どうやら酒を飲んだこと自体はあるらしいので、免疫があり……カレンはカレンで、結構強烈なのを飲んだことあるからな……あの……温泉の時に……って、思い浮かべるなっ!?煩悩退散!煩悩退散!!喝っ!!ふぅ〜……よし、俺Cool。「ふむぅ……明日までには治るかな?」「それは大丈夫じゃねーか?流石にそこまで酒が残ってはいないだろ?」ゼノスの言う通りか……とりあえず夕食をどうするか。二日酔い組にはお粥でも作るべきかな……。何気に、米とかも流通しているから、夕食に米が出ることもある。ちなみに、俺がこちらの世界で米を食したのは旅に出てからだったりする。……食べた時は涙がちょちょ切れそうになったね。まぁ……それはともかく。まず、二日酔い組に料理を作ることになった。まぁ、卵粥だけどね?で、それをそれぞれに持って行く。……ちなみに俺の担当がカレンなのは仕様なんだろうか?「カレン、どうだ調子は?」「シオンさん……ええ、何とか……まだ、少し頭が痛いですけど」ベットに横になりながら、力無く苦笑いするカレン。まぁ、自業自得だからな……同情の余地は無い。だが、それでも同情してしまう俺は甘いのかも知れん。「ほら、起きれるか?卵粥を持ってきたぜ……作ったのはゼノスだが」いやはや、あやつのレパートリーの広さには脱帽である。「…食べたく、ないです……けど、食べなきゃ駄目ですよね……?」「駄目だ。食べなきゃ良くなるモノも良くならないぞ?」まだ、吐き気が残ってるんだろうが……食べなきゃ治らないっての。「ほら、少し起き上がれって……食べさせてやるから」「た、食べさせ……わ、分かりました……よいしょ……」少し赤くなりながら、納得して、起き上がってくれた。食べさせてやる……って言ったのが効いたのか?「ふー……ふー……。ほら、あ〜んってして」「は、はい……あ〜〜ん……♪」パクッ……モグモグ……。「どうだ?美味いか?」「はい……美味しいです♪」まぁ、ゼノス先生作だからなぁ……余程のことが無い限り、ミスは無いだろう。しかし……絶対立場が逆だよなぁ……あ〜んとか。「ごちそうさまでした。美味しかったです♪」「はい、お粗末さまでしたっと」その後、卵粥を食べ終わったカレン。「今日、シオンさんは何を……?」「ん?釣りをしていたな……針は真っ直ぐだけど」「それって何も釣れないんじゃあ……」等と、今日何をしていたかを話した。「……本当なら今日は、カレンとデートしていたんだよな――」「うぅ……ごめんなさい……」「まぁ、良いさ。また明日にでも……な」俺の一言に思った以上に落ち込むカレン。とりあえずフォローは入れたが。「は、はい……ありがとう、シオンさん……♪」「どう致しまして……んで、他に俺に出来ることあるか?」「それじゃあ……その……お願いが……」俺はそのカレンの願いを承諾。……軽く話し合った後、夕食に向かった。その後、皆で夕食を食べながら今日何をしていたか報告。「スキマ屋さんに行ってみたんだけど、品揃えが豊富なんだよ。やっぱりスキマ屋も良いなぁ〜♪」「ラルフ……落ち着け。そんなトランペットに憧れる少年……みたいな瞳をするんじゃない!」など……。「ティピはちゃんと手伝えたのか?」「て、手伝えたよ!ちゃんと手伝ったモン!!」などなど…。色々雑談をしながら夕食を戴いた。その後、それぞれ就寝しに部屋へ……。俺も自分の部屋へ……。向かわず、カレンの部屋へ。『一緒に寝て欲しい……』それがカレンの願いだった。かなり恥ずかしいし、理性がヤバイが……体調が優れなくて、甘えたい気分なんだと解釈。その願いを聞き入れた。俺はジャケットを脱ぎ、椅子の背もたれに掛け、それからベットの中に入った。「えへへ……シオンさんを一人占めです♪」「あ〜……まぁ、良いんだけどな。そんなにくっついて、寝辛くないか?」「そんなことないです……暖かくて、逞しくて……ホッとします」いや、俺はホッとする処か……性欲を持て余す。だって抱き着いてきてるんだぜ?むにゅんとした感触だけでも悶絶モノなのに、足を、足を絡めてきよる!?わざとか?わざとなのか!?「……分かっていてやっているだろう?」「?何のことでしょう?……仮に分かっていてやっているとしたら……どうします?」「どうもしない。いいからさっさと寝とけよ。明日もあるんだからな」「……シオンさんのイジワル」意地悪ちゃう……表面に出さない様、努力しとるだけや。いや、マジで……正直、一杯一杯。表面だけでも取り繕える様になっただけ、成長したと言える。こんなんだと、いざ解禁した時の反動が怖いが……。「……ウソです。シオンさんの気持ちは分かってるつもりです。私は待ちますから……」「カレン……」「お休みなさい……シオンさん♪」「ああ……お休み」俺はカレンを抱きしめ、そのまま眠りについた。今日は良い夢が見れそうだな……そんなことを考えながら。***********おまけ1もしも……その1「ここに来るのはアリオストの飛行装置で、フェザーランドに行って以来か……」ひっそりと置かれた、シエラさんの墓に手を合わせ……俺は岬の先へ行き……そこから飛び降りた。「よっ、ほっ……と」俺は岩壁を上手く蹴って、足場にしながら下に降りて行く。そして、釣りをするのに丁度良い岩場を発見。そこに着地する。カサカサカサカサカサカサカサカサッ!!!!シオンが着地したその場所から、まるで蜘蛛の子を散らす様に素早く逃げ去る無数のソレ……。別名・海の悪魔……。フナムシ……。オゾゾッ!?「ここで……腰を降ろして……釣りをする?」無論、シオンは別にゴキやフナムシ程度……屁とも思わない。思わないが……あの数は異常だ。灰色の絨毯……それが移動していく様は、幾ら耐性があろうとおぞ気が走る。「……やっぱ止めた」シオンはそそくさと、その場を後にしたのだった。*********おまけ2もしも……その2(糖分増加注意)「ほら、起きれるか?卵粥を持ってきたぜ……作ったのはゼノスだが」いやはや、あやつのレパートリーの広さには脱帽である。「…食べたく、ないです……けど、食べなきゃ駄目ですよね……?」「駄目だ。食べなきゃ良くなるモノも良くならないぞ?」まだ、吐き気が残ってるんだろうが……食べなきゃ治らないっての。「ほら、少し起き上がれって……食べさせてやるから」「た、食べさせ……わ、分かりました……よいしょ……あうっ」起き上がろうとするが、結局起き上がれない様だ……。「フラフラして……起き上がれません……」顔を赤くしながらも、少し息を荒げるカレンを見て、俺は不覚にもドキッとしてしまった。「しかし、横になりながらじゃあな……」粥を零すかも知れんし………あ。俺はある案を考えついた。その名も『も○のけ姫作戦』!!要するに口移し……って、野郎からそれをやるのはかなり微妙じゃね?俺自身、かなり恥ずい。いや……待てよ?カレンもそれは恥ずかしい筈……なら、発破を掛ける意味で聞いてみるか。そうすれば、頑張って起き上がるかも知れん……何より、カレンの恥ずかしがる顔を見てみたい……。そんなドS的心境も手伝って、俺はこの作戦を提案した。だが、俺は忘れていた……以前、カレンの想いを断ち切るつもりで言った台詞が……逆効果になったことを。………で。「ん……ふぅ……」口移し作戦、実行に移す羽目になりました。……ああ、うん。この事態も予測の範疇だった筈……。まぁ、言い出した以上、後には引けないワケで……。「……美味いか?カレン?」「……んっ、ハイ……美味しいです……もっと……ください……」トローンとした瞳で俺を見詰めてくるカレン。落ち着け、俺……素数だ素数を数えてCoolになるんだ……。「分かった……たくさん食べてくれ」「ハイ……ん……ちゅ……」俺は再び口移しで粥をカレンに与えていく……。くちゅ、ぴちゃ……と、響く水音は何とも卑猥だ。「全部食べたな……」「はぁ……はぁ……もっとぉ……」そう言ってカレンは俺の顔を引き寄せ、口付け……舌で俺の口内をなぞり、粥の残りを舐め取っていく。「んふ……ちゅぱ……ぺちゅ…………んはぁ……ごちそうさま、でした……♪」カレンは真っ赤になりながら、身震いしてそう言う。「ああ、お粗末さま……って、やられっぱなしは性に合わないんでな」「ふぇ……シオンさ……んむっ!?」俺は逆襲だとばかりに、カレンの唇を奪う。舌を絡め、口内を蹂躙していく……。くちゃくちゃと、唾液が絡まり合う音が響き渡り……一層興奮感が高まる。「ふぅ……んんっ!んふぅ……ちゅぴ……くちゅ……んはあぁ………はぁ……はぁ……」互いに唾液だらけになった口を離し、透明な唾液の橋が出来上がり……それを見て益々興奮が高まる。だが、苛烈にディープなのをしたせいか、カレンは……。「カレン……?」「ハァ……ハァ……ハァ……」視線は虚ろに、息を荒げ、身震いさせていた……。……あかん、やり過ぎた?「あ、危なかった……」カレンが止まってくれなければ……絶対に一線を越えていた……。「……なにをやってんだよ俺は――」カレンの具合が悪かったのを失念していた……いや、途中から何かスイッチが入っちまってた。俺はカレンの頭を軽く撫でる。「……シオ……ンさぁ……ん……♪」そんな俺を見て、ニッコリと微笑みを浮かべるカレン。「ゴメンな……無理させちゃって」「……そんなこと無い……です。……続きは……してくれないんです……か?」ようやく息が整ってきたカレンが、そんなことを聞いてきた。「……続きって?」「それはその……あう……」真っ赤っ赤になりながら、口ごもるカレン。少し意地が悪過ぎたか?「お預け……ということで。そもそも、食事のためにしたことだろ?」「あ……はい、そうでしたね」そういえば……と、苦笑いをするカレン。俺もそれに釣られて苦笑い。「でも……シオンさんが望むなら、いつでも……私は」「あ、ああ……時が来たらその時は、な」その後、俺は夕食に戻った……逃げたワケじゃないぞ!?ここまで来て、勢いで誓いを破りたくないだけだ!!……いや、本当ダヨ?