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No.7317の一覧
[0] グローランサー デュアルサーガ(旧題、異世界転生者の平穏)多重クロス(ネタ)[神仁](2013/12/29 20:56)
[1] プロローグ―ふわふわぴかぴか?―[神仁](2011/11/13 21:53)
[2] 第1話―チートボディなのに才能無いとか……イジメですか?―[神仁](2011/11/14 06:44)
[3] 第2話―友人・傲慢・前途多難―[神仁](2011/11/14 07:19)
[4] 第3話―ラーニングとその代償―[神仁](2011/11/20 13:11)
[5] 第4話―O・NI・I・SA・N・暴・走―[神仁](2011/11/20 20:37)
[6] 第5話―シオンVSゼノスin闘技場―[神仁](2011/11/29 18:56)
[7] 第6話―主人公補正=朴念仁?―[神仁](2011/11/29 18:51)
[8] 第7話―原作開始!―カーマインSide―[神仁](2011/11/29 19:01)
[9] 第8話―原作開始!―シオンSide―[神仁](2011/11/27 21:49)
[10] 第9話―原作開始!暗躍!!頭領、就任?―[神仁](2011/11/29 19:07)
[11] ―みにみにぐろ~らんさ~♪パーソナリティはティピと………このネタを知らない人はゲームをクリアしておまけを聞こう♪番外編です―[神仁](2009/03/18 19:49)
[12] 第10話―運命に導かれ出会いし者達―[神仁](2011/11/30 05:17)
[13] 第11話―強襲!盗賊団頭領!!―[神仁](2011/11/30 06:03)
[14] ―ラングレー兄妹の憂鬱―番外編2―[神仁](2011/12/01 17:16)
[15] 第12話―兄と妹と―[神仁](2011/12/01 17:49)
[16] 第13話―エンカウント、誤解されそうなシチュエーション―[神仁](2011/12/01 18:06)
[17] 第14話―光と光が出会う時―[神仁](2011/12/01 18:24)
[18] 第15話―影の掃討と再会―[神仁](2011/12/01 18:43)
[19] ―みにみにぐろ~らんさ~♪速報!作者はプロット変更を余儀なくされたようです。微妙にネタバレ注意―番外編3です―[神仁](2009/03/30 14:04)
[20] 第16話―それぞれの価値観と少年との出会い―[神仁](2011/12/01 19:51)
[21] ―みにみにぐろ~らんさ~♪これが出た時は作者はリアルで忙しいと思って下さいm(__)m―番外編4です。[神仁](2009/03/31 22:41)
[22] 第17話―デリス村の戦い―[神仁](2011/12/01 20:06)
[23] 第18話―宴の夜とそれぞれの想い―[神仁](2011/12/01 20:22)
[24] 第19話―邂逅…師弟で主従な二人―[神仁](2011/12/01 20:34)
[25] 第20話―闇の遣い、テレポート、ラーニング―[神仁](2011/12/01 20:56)
[26] 第21話―サンドラを救え!―[神仁](2011/12/01 21:06)
[27] ―みにみに!ぐろ~らんさ~♪パーソナリティはティピと…………アレ?―番外編5です―(楽屋裏ネタ注意)[神仁](2009/04/05 23:48)
[28] ―ジュリアン・ダグラスの憂鬱―番外編6―[神仁](2011/12/01 21:11)
[29] 第22話―魔法学院、寄り道、カレンを救え―[神仁](2011/12/03 17:14)
[30] 第23話―……慟哭……―[神仁](2011/12/03 18:36)
[31] 第24話―ラングレー家での優しい時間―[神仁](2011/12/03 22:15)
[32] ―カレンの彼への想いはマキシマム!最初からクライマックスです!―番外編7―[神仁](2011/12/03 22:23)
[33] 第25話―決意、新たに―[神仁](2011/12/04 22:16)
[34] 第26話―登場!妄想少女ミーシャ!―[神仁](2011/12/04 22:37)
[35] 第27話―ミーシャ大暴走!二人のお兄さま☆―[神仁](2011/12/04 22:51)
[36] 第28話―学院長(クソヒゲ)との邂逅―[神仁](2011/12/04 23:02)
[37] 第29話―南の遺跡、天才学者アリオストとの出会い―[神仁](2011/12/04 23:14)
[38] 第30話―いざ、フェザーランドへ!―[神仁](2011/12/04 23:27)
[39] 第31話―I Can Fly!!到着、フェザーランド!―[神仁](2011/12/04 23:37)
[40] 第32話―交渉人シオン・ウォルフマイヤー?―[神仁](2011/12/04 23:47)
[41] 第33話―ネゴシエイター・シオンの交渉内容―[神仁](2011/12/04 23:57)
[42] 第34話―妄想少女と手掛かりと闘技大会―[神仁](2011/12/05 00:07)
[43] 第35話―いざグランシル!アリオストの祖父と父親―[神仁](2011/12/05 00:21)
[44] ―ウォルフマイヤー夫妻の憂鬱……inジュリアン―番外編8―[神仁](2011/12/05 00:27)
[45] 第36話―開催!グランシル闘技大会!未然に防ごう影の企み―[神仁](2011/12/05 00:57)
[46] 第37話―準決勝……そして決勝!!激闘の果てに―[神仁](2011/12/05 04:07)
[47] 第38話―激闘!!決勝戦!!それぞれの想いと漢(おとこ)の誓い―[神仁](2011/12/05 22:33)
[48] 第39話―修羅場発生そして……魔王降臨!―[神仁](2011/12/06 19:46)
[49] 第40話―ジュリアンとの邂逅……決意と誓いと願い―[神仁](2011/12/06 19:56)
[50] 第41話―ジュリアの決意と想い―[神仁](2011/12/06 20:07)
[51] ―カレンの思考……同盟結成の巻―番外編9―[神仁](2011/12/06 20:18)
[52] 第42話―DOKI☆DOKI♪湯煙温泉紀行?―[神仁](2011/12/07 03:21)
[53] 第43話―ダニー・グレイズのフェザリアン講座―[神仁](2011/12/07 18:14)
[54] 第44話―過去の傷痕―[神仁](2011/12/07 18:37)
[55] 第45話―自覚と逃避―[神仁](2011/12/07 18:51)
[56] 第46話―歌と花とおじいさんと―[神仁](2011/12/07 19:01)
[57] 第47話―お見舞いと、情報収集と、男の約束―[神仁](2011/12/07 19:33)
[58] 第48話―女王の救出―[神仁](2011/12/07 19:48)
[59] 超・番外編……とある転生者の激闘―これで勝つる!―[神仁](2011/12/07 19:59)
[60] 第49話―シオン・ザ・ネゴシエイター再び―[神仁](2011/12/07 20:12)
[61] みにみに!ぐろ~らんさ~!微妙にネタバレ注意―番外編10―[神仁](2009/05/11 20:38)
[62] 第50話―サンドラ回復!忍び寄る影と仕官―[神仁](2011/12/07 20:34)
[63] 第51話―初任務とシオンの漫画日本昔話―[神仁](2011/12/07 20:45)
[64] 第52話―聖剣と魔剣のお話……そして新たなフラグの香り―[神仁](2011/12/07 20:56)
[65] 第53話―任務達成、初めての休暇―[神仁](2011/12/07 21:06)
[66] ―サンドラ・フォルスマイヤーの憂鬱―番外編11[神仁](2011/12/07 21:16)
[67] 第54話―シオン先生のマジカル講座!そして白々しいヒゲ―[神仁](2011/12/07 21:26)
[68] 第55話―水晶鉱山潜入……クリアノ草?いらないだろ?―[神仁](2011/12/07 21:36)
[69] 第56話―ウォレスの拳と巨人の人型―[神仁](2011/12/07 21:47)
[70] 第57話―休暇と秘書と心のしこり―[神仁](2011/12/07 21:56)
[71] 第58話―戦争勃発…忠誠と救出と月夜の晩に……―[神仁](2011/12/07 22:38)
[72] 第59話―シオンの葛藤、受け入れられた想い……―[神仁](2011/12/07 22:49)
[73] 第60話―過去との邂逅、未来への飛翔……そしてイチャラブ―[神仁](2011/12/07 23:01)
[74] 第61話―エリオット襲撃……って、何故に?計画が頓挫しそうな件―[神仁](2011/12/07 23:10)
[75] ―秘書イリスの感情―番外編12―[神仁](2011/12/07 23:15)
[76] 嘘予告!!超ネタバレ注意!『異世界転生者くんの憂鬱』[神仁](2011/12/07 23:21)
[77] 第62話―魔王再び、エリオットといけ好かないアイツ―[神仁](2011/12/07 23:33)
[78] 第63話―シオンとジュリア―[神仁](2011/12/08 18:21)
[79] 第64話―シオン先生の勉強会と、宮廷魔術師との契り―[神仁](2011/12/08 18:40)
[80] 第65話―イリスとの談話、アリオストの苦悩―[神仁](2011/12/08 19:21)
[81] 第66話―暴虐のコーネリウス―[神仁](2011/12/08 19:46)
[82] 第67話―動き出す時代……同盟と奪回―[神仁](2011/12/08 19:59)
[83] 第68話―リシャールごっことアンジェラ様と確かな証拠―[神仁](2011/12/08 20:09)
[84] ティピと!ラルフの!みにみに!ぐろ~らんさ~♪―番外編13―[神仁](2009/05/31 03:33)
[85] 第69話―暗躍するシオン……昔を思い出します―[神仁](2011/12/08 20:24)
[86] 第70話―アジト、メイド、父と母の愛と熱き血潮の漢(おとこ)達―[神仁](2011/12/08 20:47)
[87] 第71話―ジュリアのもとへ……と思いきやの四人目な件―[神仁](2011/12/08 22:24)
[88] 限りなく現実に近い嘘予告―封印されし異世界転生者―超ネタバレ注意[神仁](2011/12/08 22:36)
[89] 第72話―暗躍と説得とジュリアへの手紙―[神仁](2011/12/09 14:53)
[90] 第73話―ところ変わってカーマインSide―[神仁](2011/12/09 15:06)
[91] 第74話―情報収集、スニーキング、ティピちゃんは見た!―[神仁](2011/12/09 15:17)
[92] 第75話―対策、砦、合流―[神仁](2011/12/09 15:27)
[93] ―オズワルドの奮闘―番外編14―[神仁](2011/12/09 15:35)
[94] 超・番外編2……とある転生者の暴走―見せてやる!オリ主のチートぶりを!!―[神仁](2011/12/09 15:45)
[95] 限りなく真実に近い嘘予告―異世界転生者と並行世界の破壊者―超ネタバレ注意[神仁](2011/12/09 16:01)
[96] ティピとシオンの!みにみにぐろ~らんさ~!!―番外編15―ネタバレ注意―[神仁](2009/06/11 05:07)
[97] 第76話―戦争に策略は付き物です―[神仁](2011/12/09 16:10)
[98] 第77話―着替えと待機と死の商人―[神仁](2011/12/09 23:51)
[99] 第78話―無敵超人と策略―[神仁](2011/12/10 14:49)
[100] 第79話―同盟工作と死の商人再び―[神仁](2011/12/11 17:05)
[101] 第80話―同盟締結とGLチップス―[神仁](2011/12/11 17:23)
[102] 第81話―ベリーメロンと黒い円盤と常識の勉強―[神仁](2011/12/11 17:33)
[103] 第82話―観光地で語られる漢の挽歌と姫様との約束―[神仁](2011/12/11 17:43)
[104] 第83話―いざ、クレイン村へ―[神仁](2011/12/11 17:54)
[105] 第84話―村長との話し合いと小さなゲヴェル―[神仁](2011/12/11 18:05)
[106] 第85話―……鎮魂……―[神仁](2011/12/11 18:16)
[107] 第86話―鎮魂の祈りと信じること―[神仁](2011/12/11 18:27)
[108] 第87話―真実とシオンのお話―[神仁](2011/12/11 18:38)
[109] 第88話―レティシア姫の告白と勉強会―[神仁](2011/12/11 18:46)
[110] 第89話―カードの謎と地獄の鬼ごっこ開幕―[神仁](2011/12/11 18:54)
[111] 第90話―シオンVSグローランサーズin模擬戦―[神仁](2011/12/09 16:21)
[112] 第91話―イリスとケーキ―[神仁](2011/12/11 19:07)
[113] 限りなく実現しそうな嘘予告―異世界転生者と竜の騎士―激ネタバレ注意―[神仁](2011/12/11 19:24)
[114] 超・番外編3……とある転生者の破滅―オリ主は悪魔と手を結ぶ―[神仁](2011/12/11 19:39)
[115] 第92話―保護とチーム分け、アリオストの決意―カーマインSide―[神仁](2011/12/14 01:40)
[116] 第93話―手紙、約束、全員集合―シオンSide―[神仁](2011/12/14 17:59)
[117] ―ルイセ・フォルスマイヤーの視点―番外編16―[神仁](2011/12/14 18:05)
[118] 第94話―リビエラとカレンとサンドラと……おまけでハゲ―[神仁](2011/12/14 18:29)
[119] 第95話―甘々地獄と魔物使いのケジメ―[神仁](2011/12/14 18:58)
[120] ホップ・ステップ・嘘予告―異世界転生者とはぐれ悪魔―激烈ネタバレ注意―[神仁](2011/12/14 19:09)
[121] 第96話―最終兵器ミーシャと狂人シオンとデートな休日―[神仁](2011/12/14 20:48)
[122] 第97話―イリスの葛藤とカレンの夢と不安の影―[神仁](2011/12/14 21:10)
[123] ―イリス爆誕。シリアス&毒舌イリスさん―番外編17―[神仁](2011/12/15 01:40)
[124] 第98話―護衛とオリビエ湖と悪意の影―[神仁](2011/12/15 13:31)
[125] 第99話―ルイセの誕生日パーティー―[神仁](2011/12/16 06:41)
[126] 第100話―シオン・ウォルフマイヤー氏の極めて平穏な日常―[神仁](2011/12/16 07:06)
[127] 第101話―シオン先生の説明会と、カレンさんとの約束―[神仁](2011/12/16 13:00)
[128] ―ウォー・オブ・バーンシュタイン―番外編18―[神仁](2011/12/16 13:28)
[129] 〜if〜もしもシオンとリヒターの中身が逆だったら〜※BADEND注意[神仁](2009/11/08 23:04)
[130] 超絶嘘予告―異世界転生者と……戦国乙女?―ネタバレ注意―[神仁](2011/12/16 18:56)
[131] 第102話―暗躍する者、縛られた者―[神仁](2011/12/16 19:22)
[132] 第103話―疑惑と隠された真実―[神仁](2011/12/16 20:42)
[133] 第104話―真実と仲間―[神仁](2011/12/16 21:08)
[134] 第105話―断罪と陰り―[神仁](2011/12/16 21:39)
[135] キャラクター紹介〜第105話時点〜シオン&ラルフ[神仁](2010/01/12 16:28)
[136] 第106話―姉妹の絆―[神仁](2011/12/16 21:57)
[137] 第107話―考察、キス魔、ガチンコ訓練―[神仁](2011/12/17 02:56)
[138] 第108話―サンドラの師と触れた真実―カーマインSide―[神仁](2011/12/17 03:28)
[139] 第109話―最悪の襲来とグレンガルの最後と愛する騎士と―お触りもあるよ!―シオンSide―[神仁](2011/12/17 07:17)
[140] 第110話―闘争、脅迫、母の愛―[神仁](2011/12/17 19:10)
[141] 第111話―影の終焉、つかの間の休息―[神仁](2011/12/17 19:36)
[142] キラリと輝く嘘予告―異世界転生者のぱすちゃこんてぃにゅ〜+α放浪記―絶ネタバレ警告―[神仁](2011/12/17 19:56)
[143] 超・番外編4……とある転生者の死闘―オリ主の軌跡は自伝に残る―[神仁](2011/12/17 20:12)
[144] 第112話―決戦・バーンシュタイン―[神仁](2011/12/18 02:05)
[145] 第113話―ラルフに語られた真実と、陰謀に嵌められたシオン―[神仁](2011/12/18 15:42)
[146] 第114話―ジュリアの誓いとルイセの気持ち―[神仁](2011/12/18 18:02)
[147] 第115話―食い止められなかった凶行―[神仁](2011/12/19 16:25)
[148] 第116話―襲撃、復活、覚醒―[神仁](2010/03/04 05:17)
[149] 第117話―ペンダントと覚醒と決着へ向けて―[神仁](2011/12/19 17:46)
[150] 第118話―激突、決着、フライシェベルグ―[神仁](2011/12/20 07:12)
[151] 第119話―受けた褒美と、御前試合と、動き出すシオン―[神仁](2011/12/20 07:56)
[152] 第120話―シオンが行く!―[神仁](2011/12/20 11:53)
[153] 細部と展開が微妙に違うだけの嘘予告―異世界転生者と不屈の魔法少女―[神仁](2011/12/20 12:14)
[154] 第121話―銀の紅と銀の蒼―【15禁?】[神仁](2011/12/20 15:54)
[155] 第122話―問題児部隊とエリートと心酔する少女―[神仁](2010/05/19 23:50)
[156] 第123話―酒と休暇と触れ合う絆―【15禁?】[神仁](2011/12/21 17:52)
[157] 第124話―様々な邂逅―【15禁?】[神仁](2011/12/21 18:31)
[158] ―ジュリア・ダグラスの昔語り―番外編19―[神仁](2011/12/01 21:41)
[159] 第125話―同盟会談と新メンバーと……研修生?―[神仁](2010/09/17 00:37)
[172] 第126話―少女の願いと約束と成金―【15禁?】[神仁](2011/12/21 20:17)
[173] 第127話―シオンVS蒼天騎士団―[神仁](2011/12/22 16:25)
[174] 第128話―遅すぎた再会―[神仁](2011/12/22 17:10)
[175] なんちゃって嘘予告―異世界転生者と天体戦士―&異世界転生者と剣立つ大地―どちらもネタバレ注意―[神仁](2011/12/22 17:29)
[176] 第129話―胎動―【15禁?】[神仁](2011/12/22 17:51)
[177] 生存報告!みにみにぐろ〜らんさ〜♪―番外編20―[神仁](2013/01/02 07:42)
[178] 第130話―光と闇―束の間の祝賀会―[神仁](2013/02/17 03:00)
[179] 鋼鉄と杖の嘘予告―獣を宿した狩人と虚無の魔法使い―ネタバレ微注意―[神仁](2013/03/28 10:16)
[180] 第131話―介入―[神仁](2014/11/07 15:24)
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[7317] 第97話―イリスの葛藤とカレンの夢と不安の影―
Name: 神仁◆ea4a46c3 ID:99adae9e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/12/14 21:10


休暇二日目・魔法学院

っと、そんな訳でやってきました魔法学院。
皆はそれぞれに散って行った。
アリオストは恐らく、研究室にいるだろうな。

しかし……あのクソヒゲのお膝元……分かっていながら、休暇に来る俺は大概だな……。
まぁ、休暇先は皆の意見で決めているわけだから、仕方ないのだが。

「さて……どうするか」

とは言え……ここに来てやることは、ほぼ決まっているわけで。

・イリスと話す。

・アリオストと話す。

この二つが殆どだったりする。
我ながらワンパターンだとは思う。
しかし、せっかく魔法学院に来たのだから……とか思うわけよ。

「とは言え……たまには違ったこともしたい様な……む?」

そんなことを口走りながら、広場までやってきた俺は、左の方から見知った顔がやってきた。

「……イリスじゃないか?」

「!シオン……」

これはどうも……いつものパターンになりそうだな……勿論、嫌なんかじゃないけどな。

「今日はどうして……」

「いつもの如く、休暇だよ。そういうイリスも珍しいな……滅多にこっちまでは来ないだろ?」

「私は……保護しているグローシアンの皆さんの様子を見て来たところです」

「そうか……そういえば、魔法学院がグローシアンの保護をしているんだったな」

知ってはいるが、敢えて何も知らないフリをする……イリスに嘘をつくのは若干気が引けるが。

まぁ……イリスは知っているのだろうが……。

「あの……少し話せるでしょうか?」

「ん?また常識の勉強か?」

「ええ……その様なモノです」

ふむ……まさかとは思うが、揺さ振りを掛けに来たのかな?
なら、口を滑らせない様にせな。

……とか、思っていたのだが。

「えっと……これは?」

今、俺は食堂に来ています。
何故食堂?
と、思うだろう?

俺も思う。

「せっかくなので、お茶をしながら……と、思いまして」

そう言って、実に手慣れた手つきで紅茶を注ぐイリス……か、完璧だ。
本職のメイドや執事に負けていない……。

「良い香りだな……」

紅茶は結構飲んで来たつもりだが、この香りは……。
前世?で言うところのダージリンティーに近い香りだ……。
しかも、上質の白ワインの様な芳醇な香り……。

「最高級の紅茶です……本来なら学院長用に仕入れた物なのですが……是非、貴方に飲んで欲しくて……」

うっ……なんつー綺麗な微笑みを……系統としてはサンドラの様な笑みだな。
しかし、随分感情が豊かになったなぁ……。

「って、そんなストレートに言われると少し照れるんだが……」

「大丈夫です……私も恥ずかしいですから……」

や、ヤバイ……みなぎりそう……。
おちけつ……じゃない、落ち着け俺!!
節操無さ過ぎるぞ俺!!

だが、ほんのり赤くなりながら言われたら……分かるだろ?

俺は頬をコリコリと掻く。

「まぁ……せっかくのご好意だ。いただきます」

「どうぞ」

スゥ……。

芳醇な香りを目一杯楽しみ……口に含んだ。

……言葉が無い。

脳裏に様々な美辞麗句が、浮かんでは消えて行く……。
そう、言葉はいらない……そんな味。
しかし、それでも無理に言葉を紡ぐなら……。

「美味い……」

万感の意を込めて、俺はそう言う。
ハッキリと、それしか言えない……。
それだけ言うのが精一杯……そういう美味さなのだ。

「……良かった」

そう言って、微かな笑みを浮かべるイリス。
その顔は本当に嬉しそうだ。

「しかし、良いのか?コレ……学院長用なんだろう?」

「構いません。許可は貰っていますから」

許可……貰ってるんだ?
あのクソヒゲの性格からして、許可を出しそうには思えないんだが……。

それから、紅茶を堪能した俺はようやく本題を振る。

「……で、話したいことって何だ?」

「……シオン、貴方に尋ねたいことがあります」

む……やはりか……?
先程迄の笑みが消えて無表情……いや、違うな。
深刻そうな顔をしている……。
余程大事なことなのだろう……グローシアン関連なら、イリスには悪いが知らぬ存ぜぬで通す。

だがそれ以外なら………俺に答えられることなら、答えよう。

「……シオン……例えばですが……貴方が騎士だとしましょう」

「?ああ……」

何だ……?
イリスはどんな意図でこんな質問を……?

そうは思いながらも、俺は先を促す。

「貴方は国に仕える騎士……つまり、国の命令は絶対です。……貴方は国に非道な命令をされます。そう……例えば、反乱分子が潜む村を焼き払え……と、命令されたとします。勿論、村人を一人も逃がしてはならないと……」

「それは何とも……胸糞悪ぃ任務だな……」

……何となく、イリスの意図が読めて来たな……。

「その場合……貴方ならどうしますか?命令に従い、村を焼き払いますか?それとも命令に背き、村人を救いますか?」

「そりゃあまた……難しい質問だな」

騎士ならば……国に仕える者ならば、命令に従うのは当然。
しかし、人としてはそんなクズみたいなことはしたくは無い……。

俺の答えは決まっている……が、イリスが欲しい答えはソレでは無いのだろう……。
だから、俺は言う……。

「そんなのは、その時の状況次第だろう」

「状況……次第……」

「例えば、どうしても譲れないモノがあるならば、俺は冷酷にもなるし……納得が行かないなら、全力で助ける。イリスの例題に合わせて言うなら、もし俺が国……または、命令を出した王に心酔していたなら……あるいはソレに比肩する様な理由があれば、胸糞悪ぃことにも手を染めるかも知れないし……ソレにどうしても納得出来なかったり、守らなければならないモノ……大切な人だったり、自身の尊厳だったり……そういうモノがあるなら、断固として反抗する」

「つまり、それは……」

「まぁ、要するに自分が思う様に進め……ってこと。自分が正しいと思うこと……それを貫く!」

絶対的な正義も、絶対的な悪も存在しない……。
それぞれが自分の想いを信じて歩み続ける。
言うなれば、それが俺の信念。
LAWでもCHAOSでも無く……NEUTRAL。
酷く曖昧で……中途半端な答えかも知れないが……。

それで十分……だって人間だもの。

「……それは狡い答えではありませんか……?」

「狡くて結構メリケン粉。そういう答えは自分自身で決めることさ……人に言われるままではなく、己の意思で」

「己の……意思で……」

……とは言え、コレだけだと余りにも意地悪だよな……仕方ない。

「ではイリスに聞こう。イリスならどうする?」

「……私は……やはり命令には従わなければ」

「……それがイリスの意思なら、仕方ないな」

言葉とは裏腹に、イリスから感じる感情は『疑心』……自分は本当に正しいのか?
間違ってはいないのか……?
そんな気持ち……だと思う。
表情には出さないから、確かなことは分からないが。

「ただ……ソレは本当にイリスが『望む』ことなのか……?」

「……私の、『望む』こと――」

「そう……まぁ、例題なんだろう?なら小難しく考えることは無いって……自分の『望む』通りにやるのも一つの選択ってことさ」

そう、俺は言う。
イリスは迷っている……自身の選択を……何を選び、何を捨てるべきか。
……いや、答えはある程度出ているのかも知れない。

……ならば俺に出来るのは、ほんの少し背中を押してやることだけ。

本音を言えば、もっとハッキリと言ってやりたい。
だが、ソレをしては駄目なんだ……。
自分自身に選ばせなければならない……。

「少しは、参考になったかな?」

「ハイ……ありがとうございます」

「どう致しまして……あ、ちなみにさっきの例題……ちゃんとした俺の意見を答えると……俺が騎士なら、そんな命令を出す奴にそもそも仕えたりしないし、仮に仕えていたとしても、命令に従うフリをして村人を逃がす……バレない様にこっそりとな」

「それは……ちゃんと答えていないのでは……?」

「やっぱりそう思う?」

まあ、俺の言ってることは屁理屈だからなぁ……。
結局の所……俺自身もそんな時が来なければ分からないんだよな。

「けれど、非常に貴方らしいと思います」

「なはは……それは褒められてるんだか、けなされてるんだか……」

「……褒めているんですよ」

不可思議な問答は終了し、俺達は日常の何気ない話題を語り合う。
……どんなことをしたか、どんなことがあったか……それらを楽しそうに話すイリスを見ていると、自分のしたことは間違いだったのでは……?

そう思えてくる……。

もっとハッキリ……間違ったことは駄目だ!
そう言えたなら……。
だが、それは出来ない……常識に疎い者に、自分の正義を押し売りするなど……カルト教団の教祖と大差が無い。

あ、オズワルドの時は例外ね?
常識はあっただろうし、あくまでも押し付けたんじゃなく、選択肢を与えただけだから。

……今回のことも同じこと。
選択肢を提示したに過ぎない……。
イリスに『自分』と言う物を掴み取って欲しかったから……。

それで、最悪の事態に陥ったりしたら……その時は俺が纏めてケリをつける……俺なりの方法でな。

*********


私は迷っている。

正しいこと……間違ったこと……。
それらの板挟みになり、迷ってしまう……。

本来、それはあってはいけないこと。
私はマスターの道具であり、忠実な下僕……。
だが、私は絶対者であるマスターに対して『疑念』を抱いてしまっている。

マスターの行いが、本当に正しいことなのか……行おうとしていることは、決して許されないことなのでは無いか……?
そう、考えてしまうのだ。

それは道具である私にはあってはならないこと……そう、あってはならないことの筈……。

私がこんなことを考えてしまう様になった原因……。

「と、まぁ……それが傑作でな?」

「そうですか」

シオン・ウォルフマイヤー……。

バーンシュタイン王国出身、元インペリアル・ナイトを父に持つ貴族。
剣、魔法…共に並外れた実力の持ち主であり、皆既日食のグローシアンでもある。
マスターの標的の一人……そして、私に色々なことを教えてくれた人……。

そう……彼は私に色々な物を与えてくれた。

『常識』……『道徳』……そして……『感情』……。
そう、彼が居なければ私は人形のままだった……人形で、いられたのだ……。

私は彼に感謝している……人形の私に、コレだけのことを教えてくれたのだから……。
いや、感謝……では済まない。
理解している……私は彼に『好意』を持っている……そう、恐らく『好き
』なのだろう。
それは感謝以上の感情……これは、彼を篭絡する処か私が篭絡された……そういうことなのでしょう……。

彼の楽しそうに笑う姿、彼の真剣な表情、時折見せる悲しそうな顔……それらを見る度に、胸の鼓動が早くなり、締め付けられる様に痛む……。
最初はそれが何か分からなかったのですが……最近になってようやく理解しました。

正しいこと……好意を持つ者……それらを知り得た私だが、私の中では……マスターの存在が纏わり付く。
マスターは守る存在……マスターは絶対……マスターは……。

以前、私はある童話を読んだ……。
とある人形が、人間になろうとする物語だ。
人形は喋れる様にはなったが、嘘や悪戯ばかりをしていたので、結局は元の人形に逆戻り……。

それを見た時は滑稽な人形だ……そう思ったが。

今になって思う……。
あれは…今の私の姿そのものだったのでは無いか?

人間になりたがる滑稽な嘘つき人形……。

「生徒の一人に声を掛けられたのですが……」

「それって……告白じゃないの?」

「女生徒だったのですが……」

「……マジ?」

彼とこうして他愛のない話をする……。
それは非常に楽しい。
彼も楽しんでくれている……それが凄く嬉しい。

しかし……私は嘘つき人形。
……人間には……なれない……。

「……と、そろそろ集合時間だから戻らないとな」

「……そうですか。では、今日はお開きにしましょう」

そう……人間には……。

「まぁ、また近い内に寄らせて貰うからさ」

「はい、お待ちしています」

なれない………。

「それじゃあまた……」

「あ、あの……!」

分かっている筈なのに……。

「ど、どうしたんだよ?」

「……先程、貴方は自分の心に従うのも一つの手段と言いましたが……」

目を丸くしているシオン……私が声を上げたことで驚いているのでしょう。
ですが、私にはどうしても聞いておきたいことが……。

「その心に従って……『何か』を捨てることになったとして……得るモノは――あるのでしょうか?」

シオンの言葉の意味は分かります……。
自分で考えて答えを決めろ……そう言う意味なのだろうと。
しかし、どうしても聞いておきたい……。
曖昧な質問ではあるが……どうしても……。

「……そんなの、その時次第だろ?何を失い、何を得るか……そんなのは人それぞれだ」

「……そうですか」

「…まぁ、もっとも……『俺』なら大歓迎で『そいつ』を受け入れるがな」

………っ!?

「……で、結局この例題って何だったんだ?」

「いえ……聞いてみたかっただけですので……」

「そっか。んじゃ、本当にそろそろ行くわ……じゃあ、またな?」

「ハイ、また…」

こうしてシオンは去って行った。
……私の答えは得た。
もう、迷いません……。

嘘つき人形だとしても……嘘つき人形だから、欲が出る。
なら、私は高望みかも知れませんが……あがいてみせます。
『人』になる為に……。

*********


……ったく、あんな必死な眼で見られたら……。
結局、誘導するような言い方をしちまった……。

ちなみに……直後にすっとぼけたのはヒゲ対策だ。
十中八九、ヒゲが覗き見していたのは間違いないだろうからな……。
鈍感な愚か者を演出しといたのさ。
まぁ、普通はあんなのに騙されるか疑問だが……クソヒゲは他者を見下しているからな……なら、上手く引っ掛かってくれる可能性も――無きにしもあらず。

まぁ、どんな答えを出すかは……結局の所、イリス次第なんだよな。

そんなことを考えながら、俺は集合場所に急いだ。
そうしたら案の定、皆は先に集まっていた。

「も〜、遅いよシオンさん!」

「悪い悪い、待たせちまったな」

ティピにぷんすかぷん!と、怒られたが……別段、本気で怒っている訳では無い様なので、少し安心した。

***********

で、テレポートでローランディアに帰還。
文官さんに次の休暇先を申請……帰宅したのだった。

就寝時間……ちょっとした事件が起きた。

「ちょ……カレン、さん?」

「シオン……さん」

ただいま、カレンに絶賛押し倒され中にございます。
……何故に?

事の発端は、就寝の際にカレンが尋ねて来たことだ。
何でも、一緒に寝たいらしい……。
まぁ、それは何回かあったことだし、理性がヤバイが……それは俺が我慢すれば良いだけのこと。

そう思って部屋に通したら、いきなり抱き着かれ……押し倒された。
突然のことだったので、不覚にも対処出来ず……現在に至ると。

「シオンさん……私……」

「カレン……もちつけ……もとい、落ち着け!なんか色々とヤバ気な眼をしているぞ!?」

「私……もう、我慢出来ないんです……約束も守れない悪い子です……けど――我慢出来ないんです……」

大切なことなので二度言ったんですね分かります………とか、言ってる場合じゃねえぇぇぇっ!!?
ヤバイ!?俺様の貞操の危機!?

カレンは頬を上気させ、赤くし……眼もトローンとした眼で……。
息遣いも若干荒い………って!?
反応すんな息子よおおぉぉ!?

マイガメラを戒めつつ、俺はこの状況の打開策を考える。
まさか、カレンがこんな強行策に出るとは……。

「……もし、嫌なら……振りほどいて貰っても構いませんから……」

それは……卑怯な言い方だろう。
そんな言い方をされたら、拒めないじゃないか……。

「〜〜〜〜〜〜っ!!」

ギュッ!!

「きゃっ!?」

俺は意を決してカレンを抱き寄せた。
抱き合う形になった俺達は、ピッタリと密着しているわけで。

「あ、あああああの…こ、コレって…!?」

つまり、俺にはカレンの胸とかが押し付けられる形になり……カレンには俺のガメラが……これ以上は言えん。

「……分かったか?俺だって我慢するのは辛い……本音は今直ぐにでもカレンを目茶苦茶にしてやりたい位だ……けど、此処まで通した意地なんだ……最後まで通したい」

正直、いつ暴走モードに突入するか分からない。
それ処か、覚醒モードに移行してしまうかも知れない……けれど、俺はジッと我慢する。

「何をそんなに焦ってるんだ?」

互いに両想いになって半年近く……関係を急ぐことも無いだろうに……。

「夢を……見たんです」

「夢……?」

「シオンさんが……居なくなってしまう夢……」

カレンの話を聞くと、本当は昨夜に俺の部屋を襲撃するつもりだったらしく、その時はただ一緒に寝るだけのつもりだったらしい。

「あ、その……期待が無かったわけじゃあ……無かったですケド……」

………あ〜〜、それは一旦置いておこう。

で、結局は妄想に耽っていたら、いつの間にか寝てしまったらしい……。
で、そこで見た夢が……。

「……俺が居なくなる夢だったと?」

「その時は、ハッキリとした形では無かったんです……漠然とした不安だけで……けれど、さっき見た夢で……」

カレンが言うには、俺が居なくなる夢を見たんだそうな……。

「……夢の中のシオンさん、最後にこっちを振り向いて微笑んで……そのまま暗闇の中へ……私、怖くなって……それで……シオンさんに離れて行って欲しくなく……て……」

段々と身体が震え、涙が零れそうになってくるカレン。

俺はそんなカレンをギュッと抱きしめ、優しく髪を梳いてやる。

「あ……」

「馬鹿だなぁ……俺がカレン達の前から居なくなったりするかよ……ずっと、側に居るさ」

「本当……ですか?」

「おう!男に二言は無いぜ!!」

ニカッ!

っと、俺は自身に出来る最高の笑みを浮かべる。
それを見てカレンの震えが治まり、涙を拭った……。

「約束……ですよ?」

「ああ、任せとけって」

しっかし、カレンがそんな夢を見るとは……予知夢……というわけでは無いだろうが……。
以前、離れ離れになったことを気にしているんだろうか?
また、俺が何処かに自分を残して旅立ってしまうと?

夢ってのは、その心理状況が大きく出るらしいからな……。
カーマインやラルフのそれは例外ね?

しかし、そうなると……俺ってあんまり信用されていない?
それは結構ショックなんだが……。

「まぁ……今日は一緒に寝るから……それで勘弁してくれない?」

「……分かりました。今日はそれで我慢してあげます♪」

クスッ……と笑われてしまう。
むぅ……我が息子の我が儘ぶりを知られたからか……俺の気持ちを再確認したからか……。
まぁ、真っ赤になってるけどな……カレン。
よっぽど恥ずかしいんだろうさ。

カレンが笑顔になったんだし……それで良いんだがな。

「……おやすみなさい、シオンさん」

「……あぁ、おやすみカレン」

こうして俺達は眠りについた。
どうやら、カレンが悪夢にうなされることは無かった様だ……。

そんなこんなで翌日……俺達は次の休暇先へ向かうことに。

**********

休暇三日目・観光地コムスプリングス

早速テレポートで飛んで来た俺達は、それぞれに散って行った。
まぁ、ウォレス辺りは温泉にでも行っているんだろうが……。

「さて、俺はどうするか……」

せっかくだし、温泉にでも入るかな?

ん……?アレは?

「ラルフと……ゼノス?」

何やら二人が見ているのは、露店商の様だ。

「何やってるんだ二人とも?」

「あ、シオン……いや、珍しい物が売っていてさ」

「それが中々美味そうでな」

ラルフとゼノスが言う……美味そうってことは食べ物か?
俺は露店商の売り物を良く見る。
茶色い饅頭と卵だ……。

「さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!ここにあるのはただの饅頭と卵じゃあない!!ここ、温泉街であるコムスプリングスで無ければ食べられない……その名も」

「へぇ〜……温泉饅頭と温泉卵じゃないか」

「ありゃ、お客さんご存知で?そうなんですよ!今のご時世、温泉だけが売りじゃあ弱いってんで、街興しの一環でね。露店で評判が良ければ名産品にしようってね?」

俺の一言に反応して、商人のオッサンが嬉しそうに話す。
しかしこの世界に来て、温泉饅頭と温泉卵に巡り逢えるとは……まぁ、日本に近い文化を持つ国が東にあるらしいからな……不思議では無いか。

「じゃあ、温泉饅頭を三つ……卵を五つくれ」

「まいどありぃ!」

そう言って8エルムと交換に温泉饅頭三つと、温泉卵五つを受け取る。
ちなみに温泉卵はちゃんと袋に入れてくれた。

「ほい、二人とも」

俺はラルフとゼノスに温泉饅頭を一つずつ渡す。

「え……良いのかい?」

「興味があるなら食べた方が良いだろう……美味いぞ?」

「んじゃあ、遠慮なく……」

ラルフは少々遠慮がちだったが、ゼノスは奨められるがままに饅頭を口にする。

俺もまず一口……。

「お、イケるじゃねぇか」

「うむ、完璧な温泉饅頭だ」

外の薄皮はつるりとテカり、それに噛り付くとふんわりとした生地から微かに香る黒糖の匂い……そしてこしあんの濃厚だが、しつこくない甘味……完璧だ。

「うん、コレ美味しいよ」

ラルフもご満悦の様だ。

「コレはあんたが考えついたのかい?」

「うんにゃ、俺じゃない。旅の人に教えて貰ったのさ『せっかくの温泉街なんだから、やってみたらどうだ?』ってな」

ゼノスの問いに答える商人。
これを知ってるってことは東方の人か、その技術を学んだ料理人でも尋ねて来たのかな?

「良いんじゃないですか?これは街の名産品としては最適ですよ」

ラルフは商人としての観点からの言葉なんだろうな……。

「ありがとう。あと、温泉宿で試験的に温泉湯豆腐というモノを出しているから、暇なら寄ってみると良い」

「温泉……ユドウフ?」

「湯豆腐ってのは、読んで字の如く、湯で煮込んだ豆腐のことだ。正確にはただの湯じゃなくて、昆布ダシなんかを使ったダシ汁なんだがな」

クエスチョンマークを浮かべるラルフに説明するゼノス……よく湯豆腐のことを知ってるな……って、そうじゃなく!

温泉湯豆腐だと……今のご時世にそんな発想が出来る奴が居たのか……?

俺は以前、温泉湯豆腐というのを漫画の中で見たことがある。
そう、かの有名な漫画本……美味し○ぼだ。

実際にはお目に掛かったことは無いが……疑問に思う。
そういう元ネタを知らずに、温泉で豆腐を調理する……なんて発想が出来るモノなのだろうか?
……きっとその発想をした人は天才なんだろう。
まぁ、本当に東方の人が訪れたのかも知れないが。

「ちなみに、そのアイディアをくれた人って、どんな人だったんです?」

「おお、よく覚えてるよ……確か青髪の男で、剣を二つ持ってたから……多分、剣士じゃねぇかなぁ?」

青髪の……二刀を持つ……剣士?
何だろう……何かが引っ掛かる……。

まさか…………いや、それは無い。
奴が存在しないことは確認済みの筈だ……。

俺は疑念を振り払い、気になった温泉湯豆腐を食いに行った。
勿論、ラルフとゼノスも一緒だ。

で、温泉宿に入ると、カーマインとウォレス……それにティピも居たので、一緒にお誘いしました。

結論、温泉湯豆腐は間違い無く温泉湯豆腐だった。

形が崩れた豆腐……真っ白な汁……もう文句無しだ。

皆、宿の人の説明があったからか、真っ白な汁を牛乳と勘違いすることもなく、温泉湯豆腐を美味しく戴いた。
ついでに買っておいた温泉卵も。

ティピなど、1番がっついていたくらいだ。

「それにしても温泉の成分か……」

「正に、温泉でしか食べれないモノ……だね♪」

「ふむ……思わず酒が欲しくなるな……」

「そうだな……こういうのを食ってると、一杯やりたくなるねぇ〜」

「ハハハ……でも本当に美味しいですよ」

ちなみに、上からカーマイン、ティピ、ウォレス、ゼノス、ラルフ……だ。

「あれ?シオンさん、美味しくないの?」

「いや、そんなこと無いぞ?」

「だって……何か難しい顔をしてたから」

「?そうか?気のせいじゃないか?」

「??そうなのかな?」

ふぅ……危ない危ない……顔に出ていたか。
いや、確かに温泉湯豆腐は美味い。
向こうに存在し、それでいて食えなかった物が食えるという事実に、一種の感動を覚えたのも確かだ。

………だが、俺の脳裏には……先程聞いた青髪の双剣士の影がちらつく。

何か……何かを見落としていないか?
勘違いを……重大な勘違いをしてはいないか……?

そうこうする内に、集合時間となり、俺達は街の入口に集まる。

そしてテレポートでローランディアへ帰還。
休暇の終了を報告し、帰路についた。

その後、夕食をとる。
その際に今日の休暇をどう過ごしたかという話になった。
そういえば女性陣は何をしていたのか……。
少し気になるな。
カレンとリビエラ、ルイセはウィンドウショッピング。
ミーシャはアリオストと話をしていたらしい。
アリオスト……頑張っているんだな……。

その後、シャワーを軽く浴びた俺は、部屋に戻り就寝した……。

脳裏に過ぎる……漠然とした不安の影を拭い去れぬままに……。



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