これは限りなく実現しそうな嘘予告である。実際、作者は採用する気はあるらしい。重ねて言おう。これは限りなく実現しそうな嘘予告である……と。この嘘予告に出てくるシオンは、限りなく未来のシオンである。故にネタバレが随所に散りばめられている。もし、それが嫌い……または許せないという者は、直ぐさまこの場を立ち去ることを勧める。それでも構わないという諸君には、最新情報を公開しよう!!準備は良いか?*********「……此処は何処だ?」第一声がコレとは……我ながらどうかとは思う。だが、気付いたら周りが鬱蒼とした森林でした。……なんて状況なら、仕方ないと思うんだがな。「……まぁ、間違いなく次の世界なんだろうが……ディケイド、起きてるか?」俺はかつて、共に世界を巡った破壊者と呼ばれた仮面ライダー……アイツの名を名付けた俺の相棒に声を掛ける。『YES、MASTER……ここは何処なんでしょうか?』「まぁ、新しい世界なのは確かだな……」今回の宇宙意思は、なんとも可愛らしい少女だった。彼女が言うには、次の世界もランダムに飛ばさなければならず、元の世界には戻れないかも知れない……と、非常に申し訳ない顔で謝られたっけ。まぁ、その辺は他の世界の宇宙意思に聞いていたからな……。いわく、世界とは無数に存在し、あまりに多過ぎて世界を移動する際は特定することが不可能だと……。それは大木に枝分かれする枝……更にそれに生える葉の様に。俺が幾つか移動した平行世界が『枝』……。更に異なる時間軸を進んだ世界……俗に言うパラレルワールドが『葉』になる訳だ。まぁ、中には例外もあるらしいが……。俺が最初に生まれたグロランの世界でも、『俺が存在する世界』と『俺が存在しない世界』が存在する。他にも、もしもあの時こうしていれば……という選択肢の幅によって更に変わって行く。もしもの数だけ世界は存在する……。そう考えると、ドラ○もんの『もしもボックス』はヤバ過ぎるアイテムだろう。世界を巡る使命を帯びた俺や、仮面ライダーディケイドである士でさえ自在な世界の行き来は出来ないのに、世界を指定して体感するマシンとは……。あの世界の未来人は何を考えていたのか……。少し話が脱線したな……。とにかく、その世界を観測するのはともかく、ゲートを開けて、それを繋げて目的の世界に飛ばすには天文学的確率が必要なのだとか。先程言った様に例外もあり、例えば宇宙意思が複数の世界を管理している場合とか……そんなことは稀らしいけどな。「この世界では平穏に過ごせたら良いんだが……」俺には世界を巡る使命が ある……が、それは強制的なモノではなく、その世界に永住したいならそれも構わないそうだ。世界を渡る条件は幾つかある。『俺が自分自身の意思で、その世界を拒絶すること』『物理的な外傷以外で、俺の命の火が消える瞬間』他にも幾つかあるが、大体こんな感じだ。リリなの世界、GS世界では世界を拒絶した。この二つの世界において、俺の存在は皆に迷惑を掛けると思ったから。案の定、評議会の息の掛かった連中が俺の特性を知り、研究生物として捕縛しようとしたり……(その時の連中の言い草が『生体ロストロギア』扱い)一部の神魔が俺を危険視して抹殺しようとしてきたり――だったからな……。他の世界では後者。例外も勿論あったが……。それはともかく、平穏に過ごそうと思うならば、なんてことは無い。厄介ごとに首を突っ込まなければ良いだけだ。だが……。『無理では無いでしょうか?MASTERの性格上、目の前の困った人は放っておけないでしょう?』そりゃそうだろう?仮に誰かがカツアゲされていて、それを助ける力があったなら――人としてそれを見て見ぬフリは出来ないだろう?……まぁ、一般的には厄介ごとに首を突っ込んでる……ということになるワケだが。それに中には――。『そんなモノ糞喰らえっ』って、考えの奴も居るだろうしな――。『――ですが、だからこそ私はMASTERを好ましく想ってるわけですけど』――蛇足だが、コイツはディケイドという名前ではあるが、性格的には士というより夏美ちゃんに近く、性別的人格としては女性である。「ありがとう相棒。さて、先ずは地形の把握だな――ディケイド、周辺のサーチを頼む」『了解です』さて……此処はどういう世界なのか……。俺はディケイドに地形を把握して貰っている間に、気を探る……成程、随分と気配を感じる……この気配はモンスターか?となると、現代では無いということか……いや、現代でも魔物が居る例はあるしな……断言は出来ないか。「ん……この気配は……」『サーチ完了。付近には小さな村がある様です……文明的には中世くらいかと……遠方に城と城下町を確認しました』「ん、サンキューな」俺はディケイドに礼を言うと、先程感じた気の方向に視線を向ける。「……これは人の気配……モンスターに襲われているのか?」その周辺には人の気配……そこそこの気を持ってる奴が三人……か。『どうしましょう?』「決まってるだろう?全速力で駆け付ける!!」俺はその場から駆け出した。言った側から、厄介事に首を突っ込む自身に苦笑を禁じ得ないが――な。***********駆け付けた場所で、一人の女の子が襲われていた。「……あれはリカントに人面樹?ってことは、ここはドラクエの世界か?」なんて言ってる場合じゃないな。俺は直ぐさま女の子に襲い掛かろうとした獣人……リカントを蹴り飛ばす。お〜お〜……めがっさ吹っ飛んで行ったなぁ……。「さぁて……まだやるかい?」残った人面樹にメンチビームをくれてやると、人面樹は慌てて逃げ出して行った。流石はドラクエ……植物系モンスターでも意識があるらしい。「さて、怪我は無いかい、お嬢ちゃん?」「う、うえーーん!!怖かったよぉっ!!」俺に抱き着いて泣いているその娘を、俺はもう大丈夫だと言って落ち着かせてあげた。と、そこで呆然とこちらを伺っていたのは二つの気配……。「な、何だか俺たちの出る幕なかったみたい……」「ったく、コレなら慌てる必要はなかったんじゃねぇか?」そこに居たのは、外套を羽織り、緑を基調にした衣服を身に纏ったバンダナの少年と、同じく外套を羽織り、青を基調にした衣服を身に纏った小さな少年が居た。……何だろう?この二人、何処かで見た覚えが……。俺がその記憶力で覚えている情報を検索している時に……。「俺はダイ!で、こっちがポップって言うんだ!!」こうして俺は、竜の騎士の血を継ぐ勇者と、遠くない未来に勇気を司る大魔導師となる少年と出会った。そして気付いた。ドラクエはドラクエでも、此処はダイの大冒険の世界なのだと。「俺はシオンって言うんだ……宜しくな?」その後、俺とダイ達は少女に事情を尋ねた。いわく、母親が毒のスライムに噛まれ、毒消し草を取りに村から出て来たという。毒のスライムというと、バブルスライムだろうか?「それで、道に迷ってしまったと……」「ねぇ、お兄ちゃん……あたしを村まで連れてってぇ……おねがいよぉ……」「それくらいならお安いご用だよ。お兄ちゃんに任せな!」また泣きそうになるその娘にそう言って、頭を撫でて落ち着かせてやる。「そっちの二人はどうする?見たところ、随分この森をうろついていたみたいだが……」ダイとポップの外套は見るからにボロボロだ……確か、三日近く森をさ迷っていたんだっけ?「そうなんだ……俺たち、もう三日も森から出られなくて……」「まったく情けねぇ……大体おまえがこんないい加減な地図を描くからいけねぇんだぞ!」そう言ってダイを糾弾するポップが持ってるのは、ダイお手製の地図……原作でもお目に掛かったが……。何と言うか世界地図みたいなおおざっぱさ。確かにこの地図だけじゃあな……。せめて方位磁石でもあれば少しは違ったのだろうが。「だってさぁ、ロモスにはキメラに乗って行ったんだもん。空から見たらこんな感じだったぜ?」「空から見下ろしただけで行ける気になるな!ボケ!!」さて、そろそろ止めるか。いい加減にしないと、いつまでも言い争っていそうだし。「良ければ俺が道案内してやろうか?」「えっ!?良いの!?」「この子を送り届けてからになるけどな……旅は道連れ世は情け……ってな?ここで会ったのも何かの縁だ」俺はナイス笑顔でサムズアップ!いつも笑顔を忘れずに……世界を越えても変わることの無い『俺達の』鉄則だ。二人はそれに快く了承し、俺達は女の子を村に送り届けることになった。道中……。「ミーナ!」「マァムおねぇちゃあぁーん!!」愛を司る少女……マァムと出会った。何か、微妙に原作と展開が違う気がするが……今更か。そもそも、俺が介入した時点で『枝別れ』したのだから当然なんだが。「貴方達がミーナを連れて来てくれたのね……ありがとう!」何と言うか、笑顔が暖かい美少女だな。原作と違って、ポップがマァムの胸をツンツンした訳では無いので、二人が喧嘩別れをする訳でも……。「ご推察の通り、私たちの村はチンケな村よ……王宮のもてなしとじゃ全っ然勝負になりませんっ!!」する訳でも……。「おお!!言われんでも、このぐらいの森、スパアッと抜けたるわいっ!!」……。「さっさと行ったら!?」「!行こうぜダイ!!」「お、おいポップ!?」結局、ポップはダイを引きずってその場を去って行った……。いや、もう馬鹿らしくて止める気にもなれないわ。「……貴方は行かないの?」「俺はその娘……ミーナを村まで連れていくって約束したからな。君が来た以上、必要は無いかも知れないが……約束は基本守る主義なんでね?」ぶすっとしたマァムに聞かれたので笑みを浮かべて答える俺。そもそも今回のことはポップが全面的に悪い。何があったのかを端的に説明すると、そろそろ夜になるし、ミーナのことでお礼がしたいと言うマァムの申し出を、ポップが原作通りに蹴ったのだ。いわく、チンケな村のもてなしより王宮のもてなしの方が良いと。それをコソコソ話してたのを、マァムに聞かれたと……。「……ごめんなさい」「ん?何がさ?」「私……自分の村をけなされて、ついカッとなって……」「まぁ、気持ちは分かるさ……今回のことはアイツが全面的に悪いんだし」最初の頃のポップってあんな感じなんだな……なんか、忠夫を思い出すな……ムードメーカー的な意味で。もっとも、忠夫なら意地を張ったりせず、申し出を快く受け……いやそれ以上にマァムをナンパするだろうな。『一生ついていきます、おねーさまーーーッ!!』は、美神さんに雇って貰う時に言った台詞だが……それくらいは言いそうだな。……アイツは元気にしているかね?その後、俺はミーナとマァムと一緒に彼女達の住む村……ネイル村を訪れた。ダイには悪いが、ポップの奴は少し頭を冷やすべきだろう……まぁ、危なくなれば助けに行くし。知り合った以上、見捨てることは出来ないしな。「そう言えば、あなたの名前、聞いてなかったわ」そういえば……ダイ達には自己紹介したが、マァムにはしてなかったな。「俺はシオン……旅の剣士だ……宜しくな?」こうして、俺のダイ大世界での日々が幕を開けたのだった。*********その後、転生者は竜の騎士達と歩むことになる。ある時は蜥蜴男(見た目は鰐男)の武人と相対し……。「獣王……武勲がそんなに大事か?」「な……俺の痛恨撃を喰らった筈……!?」「真の武人とは、何事にも曲がらず己の信念を貫く為の剣………今のアンタに、武人を語る資格は無い」ある時は、師を恨み魔道に堕ちた戦士と相対し……。「どうした!?貴様は掛かって来ないのか!?」「生憎、俺はただの立ち合いだ……俺はアバンの使徒じゃないからな……アバンの使徒との決着はアバンの使徒が着けるべきだろう……それに、俺は二人が負けるとは思っていないからな」そして、死闘の末敗れたのは魔道に堕ちた戦士……戦士は再び光を得た。しかし……その光を閉ざそうと炎と氷の魔人が現れる。「クカカカカ!!生き恥をさらさずに済むように、オレが相打ちってことにしといてやるよ!!泣いて感謝しろいッ!!」打ち出される炎の弾丸……しかしそれを打ち払ったのは転生者だった。「あ?何だテメェは!?」「悪いが、お前の思い通りにさせるつもりは無いんでな……俺は貴様の様なクズには容赦はしない……慈悲は無いぞ」「けっ!!人間ごときが調子に乗りやがって!!!コイツで燃やし尽くしてやるぜぇ!!!――フィンガー・フレア・ボムズ!!」魔人から放たれる五つの獄炎……それをまともに受ける転生者。「成程……五発同時に放つメラゾーマか……相乗効果で威力も段違いに上がっているな……だが、それは『覚えたぜ』――」「ゲェ!?俺の炎を掻き消したぁ!?」転生者は軽く振り払ってその炎を掻き消した。そして魔人は蹂躙される……破壊者を継ぐ者に。「ぐっ!!?に、人間ごときが……何でこんな!?……糞がっ!!覚えてやがれ!!テメェの首は必ずこのオレが貰う!!必ずだっ!!!」そして、正史より早くに合流した蜥蜴男の武人と、光に目覚めた魔剣戦士は竜の騎士とは別に旅立った。敵の動向を探る為に。そして彼らは辿り着く……竜の騎士の少年と知己である姫の元へ。しかし、そこには向上欲と復讐心に取り付かれた炎と氷の魔人が待ち受けていた。――氷炎結界呪法。結界の中では魔法を封じられ、自身の能力を1/5にまで落とされる禁呪法……だが、転生者にそれは通じず。「ば、馬鹿な!?何故この結界の中なのに、強さが落ちねぇ!!?」「強さ?落ちているさ……大分な」その戦いが終わった後、転生者は竜の騎士達と別れた。理由は、今の段階で自分が一緒にいるのは仲間達の成長の妨げになる……という理由……それと。「俺には、大切な奴らがいる……そいつらを捜したいんだ」奇しくも、僧侶戦士の少女も旅立つつもりだったので、皆は寝耳に水な様だ。その後、転生者は大勇者の母国を訪れた……そこに攻めてくる竜の群れを撃退……もう一人の竜の騎士と対峙する。「貴様がシオンか……我が名は超竜軍団長バラン!!」「へぇ、光栄だね……魔王軍の軍団長様に名前を覚えて戴けるとは……」ぶつかり合う両者……人外の戦いを繰り広げるが、圧されるのは竜の騎士。「ば……馬鹿な……!?」「それが超竜団長様の実力かい?……温いぞ?」その頃、竜の騎士の少年は戦っていた……人々を守る為に。だが、人々は恐れる……少年の力を……。「こわあいっ!!お兄ちゃんこわいよおっ!!!」(……おれが…こわい……!?)衝撃を受ける少年の前に現れたのは死神……。「キミのあまりに人間離れした戦いぶりを見て、みんなビビっちゃったのさ。勝手な奴らだよねぇ、人間って……自分たちな街を守ってもらったくせに……ウッフッフッフッフッ……!」*********ここに記された物語はほんの一部に過ぎない……しかし、それでも彼らは進んで行く。そして、時は進み……対峙する。影の参謀と……。『馬鹿な……暗黒闘気……だと!?』「その技……闘魔最終掌だっけ?理論的にはこの技もそれと大差は無い……俺はダークネスフィンガーと呼んでるがね?」そして対峙する、力を取り戻した大魔王と、破壊者の衣に身を包んだ転生者。「……実力の差が分からぬ程、愚かではあるまい?悪いことは言わん……諦めろ。勇者であるダイは諦めているぞ?」「いや、諦めないさ……ダイも、ポップも……他の皆だってな。最後まで諦めない……それが人間だ……歩きだす前から諦めるのは……愚か者がすることだ……ってな。ポップじゃないが……例え絶望的でも全力を尽くすのが人間だ!……そう、閃光の様に、な」転生者は意図して封印していた力の一部を解放する……それにより生じた圧力に、思わず怯む大魔王。「く……貴様……何者だ!?」「通りすがりの……破壊者だ。覚えておけ!!」転生者は今、運命の鎖を解き放つ……!*********そんな訳で、嘘予告その4、ダイの大冒険編です。ちなみに、ここに入れられなかったシーンとして、ポップがシオンからダイヤのバックルを借りて鳥やトドを圧倒するという物や、グロラン世界にて近衛騎士にまで上り詰めたとある女性が、この世界でシオンの手掛かりを求めて武道大会に参加したり……というシーンも考えたりしています。また嘘予告のリクエストがあれば随時受け付けます。お目汚し失礼しました。m(__)m