休暇一日目・王都ローザリア「夕方になったらここに集合ね」ティピのその一言で各自それぞれに散る面々。……さて、俺はどうしようか?って、リビエラのことをサンドラに言うんだったな……。本人も交えて話すべきだよな。とりあえず、俺はリビエラを探すことにした。お、居た。「お〜〜い!」「ん?シオン……どうしたの?」俺はリビエラに事情を話す。「……という訳で、一緒に来てくれないか?」「ん、良いけど……なんだ……一緒に休暇を過ごそうって話じゃないんだ……」うわっ……心底ガッカリした顔してる。いや、そりゃあ一緒に休暇を過ごすのも良いけど……。「まぁ……何だ?やはり状況説明は大事だろ?……その後で良いなら幾らでも付き合うぜ?」「…ん、分かった。期待してるからね?」あんまり期待されても困るんだが……何しろデート経験は皆無に近いからな……あっ、ティピとそれっぽいことした様な……ティピと?カレンでもサンドラでもジュリアでもリビエラでもなく……ティピと。……なんつーか、色々と順序が逆な気がするんだ……。今更かも知れないが……。皆とも、ちゃんとしたデートをしようと心に誓った俺は、リビエラを連れてサンドラの元へ……。城門を通り、サンドラの研究所へ向かう。「よっ、サンドラ。研究は捗ってるか?」「!シオンさん……ええ、おかげさまで順調です」俺達しか居ないので、俺はサンドラを名指しで呼ぶ。するとびっくりした様子を浮かべ、直ぐに綺麗な笑みを浮かべて言う。「実は、今日はサンドラに言いたいことがあってな……彼女のことなんだが」「初めましてサンドラ様。私はリビエラ・マリウスと言います」「初めまして……ですね、リビエラ。私はサンドラ・フォルスマイヤー……知っているかも知れませんが、ローランディアで宮廷魔術師を務めています」互いの自己紹介が済んだ所で、俺は説明する。リビエラとの出会いとその後……そしてリビエラの気持ちを知り、それを受け入れたことを……。「ティピがテレパシーで伝えようか?って聞いて来たけど、直接伝えたかったからな……」「……そうですか、仕方ないですね」俺とリビエラが全てを伝えると、サンドラはしょうがないですねぇ……と言った感じに苦笑いを浮かべた。「私は……その、貴方のモノですから……貴方の意向に従います……」グハァッ!?そ、そんなモジモジして恥じらいながら――そんなトンでも発言されたら……オッサンやばいんですが!?ヤヴァイ……ドSスイッチが……。「……ああ、良い子だ」とか言ってサンドラの頭を撫でてやる俺……。サンドラは恥じらいを浮かべつつ、恍惚とした表情を浮かべている……。やばい……み・な・ぎ・っ・て・き・【ギュ!】ぎゅ?俺は横を見ると、リビエラがぎゅーっと俺の腕を抱きしめていた……ちょ、おまっ!?「サンドラ様だけズルイ……私にもし・て♪」待て、その言い方だと色々誤解される……っていうか胸が……マシュマロみたいなメロンが……!!?「仕方ないな……リビエラって意外に甘えん坊なんだな?」そう言ってリビエラの頭も優しく撫でてやる俺。そうすると、赤くなりながらも表情を緩めるリビエラ。「……こんなの、シオンだけに……なんだからね?」オマケにこんな台詞付き……正直、有頂天で怒髪天ですよ?「そう言ってくれると、嬉しいけどな」余裕に見える?いやいや、正直オーバーヒート寸前ですよ?直ぐにでも押し倒してしまいたいくらいに。正常な男なら、この状況で暴走モードに突入しない方がおかしい!なら、何故に俺が耐えられるか……そう!素数を数えているから!!素数は俺に勇気を与えてry【むぎゅ】ムギュ?「……私も、構わないでしょうか?その……私は旅に同行していないので、シオンさん分が…足りないと言いましょうか……」いや〜〜!?そんなハニカミながら腕に抱き着かないで!!?メロンが……撓わに実ったメロンがぁ!!?や……ばい…素数が追い付かない…理性が……メロン……メロン……ベリー……メロン……。その時、俺の思考に救世主が舞い降りた!!そう!メロン繋がりで降臨した、Vの姿勢が眩しいあのお方だ!!あのテーマソングを鳴らしながら降臨する。『まぁったくぅ、情けない奴よぅ』『ヴィ、ヴィクトリー○様!?』『メロンとはぁ……メロンに始まりぃ、メロンに終わるのだぁ!!』『いや、意味分からないし!!?』『人は……平等では無い……そう、人は二種類存在する……メロンを食す者と食さない者だぁ!オオォォォルハィィィルメロォォォォン!!!』『いや待て、色々混ざってるし!っていうか、このメロンを食したら即×××板行きだぞ!?』『シオンよ……お前は何を誓った?』『!……そうだ、俺は平和な世の中が訪れるまでは『そう、メロンだ!!』って、待てぇい!!』『……シオンよ、メロンの種を絶やすな……それだけだ。では……おさらばだっ!!』『……結局、メロンについて語りたかっただけじゃないのか……?』それは追い詰められた俺が見た、幻覚だったのか……所謂、電波だったのかは分からないが、おかげで冷静さを取り戻せたのは確かだ。この上、セ○や松平片栗○まで混ぜて来たら、ギャラ○ティカマ○ナムを喰らわせてやるところだったが……。それはともかく。この思考を走らせている時間は、一秒にも満たなかった。なので……。「……分かった。好きなだけ補充しとけ」等と宣うことも出来た。「はい……♪」「それじゃあ、遠慮なく……♪」こうして、俺の休暇は二人の美女に挟まれつつ、他愛のない会話をしながら過ぎて行ったのだった……。それからしばらくして、集合時間になり、俺とリビエラはサンドラと別れ、集合場所に向かった。皆が集合した後、城内に入り文官さんに次の休暇先を指定……帰路についたのだった。夕食時にルイセがカーマインとかくれんぼをした……という話を聞いた。原作知識から内容を知っている俺は、カーマインからも真相を聞いてみた。いわく、ルイセが怖い夢を見て不安になっていた所を、ティピがマスタードクッキーの復讐と称して悪戯をしたのが真相。というか、マスタードクッキーにしても、ティピが無理矢理奪い取ったのだから、その仕返しはお門違いだと思うんだがなぁ……。余談だが、就寝時にカレンがやってきて、一緒に寝て欲しいと頼んで来た。……どうも、リビエラから今日のことを聞いたみたいで、自分にも同じ様にしてほしいとのこと……。涙ぐんだ瞳で――。「……駄目でしょうか?」なんて聞かれた日には断れない訳で……。一緒に寝るだけで済ませた俺を褒めて欲しい……いやマジで。そんなこんなで、一夜明けて次の休暇先は……。********休暇二日目・魔法学院テレポートで魔法学院に訪れた俺達は、それぞれに散る。……さて、俺はどうするかな?とりあえず校内に入って、図書室で本でも読むか……………ん?俺は校内に入った途端に感じた……不快な異臭を……。何だ……この腐臭……というか焦げ臭さは……。その謎は購買兼学食がある一階にて明かされる……。あ〜……そんなイベントもあったなぁ……。そこにはニコヤカに微笑むミーシャ、そしてとっても素敵な苦笑いを貼り付けて固まっているカーマイン、ラルフ、ティピ、アリオストの姿……。そしてテーブルの上にある焼け焦げた黒い円盤……。多分、カーマインとラルフが呼ばれ、アリオストが合流した形だな……。「何を見ているのですか?」「イリスか……いや、アレをさ……」近くに来ていたイリスに、現場を指し示す。俺は気が読めるから、いきなり声を掛けられて、びっくりして声を漏らす様なことはしない。「あれは……ミーシャと、アリオストさんですね……後の二人は確か……」「俺の仲間のカーマインとラルフだよ……いや、どうもミーシャがケーキを焼いたらしいんだが……」「ケーキ……ですか……成る程」ふむふむ……と、何やら納得した様子のイリス。「貴方は行かなくて良いのですか?」「?……なんでさ?」「あの中の誰かの誕生日を、祝うのでは無いのですか?ケーキとは、誕生日に食べる物だと本で読みました」前回、色々と常識を教えたりしたからか、自分からも積極的に知識に対してアプローチしているみたいだな……うん、良い傾向だ……だが。「あのな、イリス?ケーキ自体は別に誕生日じゃなくても食べて良いんだぞ?」「そうなのですか……また新しい発見です」こうして見ると、本当に必要最低限のことしかあのクソヒゲは教えていないのだと気付く。いや、マジであのクソヒゲはどうしてやろうか……。「とにかく、今はこの場を離れよう」「……よろしければ、またご指導をお願い出来ないでしょうか?」「あぁ、常識の勉強か?俺は構わないぜ?じゃあ、図書室に行こうか?」この場に長居して、巻き込まれたら洒落にならんからな……。流石の俺でも、違った意味でトリップしてしまうかも知れん……。俺はイリスを引き連れて図書室へと向かった。……学食の方から、アリオストの声にならない悲鳴が響き渡った。……どうやら、カーマイン達はアリオストを人身御供に捧げた様だな……。きっと「ミーシャ君らしい……独創的な、味だね……」とか、感想を振り絞っていることだろう……アリオスト、南無。さて、それは置いといて……図書室にやって来た訳だけど。「さて、何について勉強しようか?」実際、一般常識に関しては自主学習もしているだろうし……。俺達はテーブル席に座りながら、どんなことを勉強するか話す。あ、原作では本棚しか無かったが、こっちはテーブルと椅子がちゃんとある。「ミーシャは、何故ケーキを焼いていたのですか?」「さっきの話か?」「はい。幾ら、誕生日では無くても食べられるとは言え、わざわざ手間が掛かる物を作るなら、買って食べた方が幾分効率的です」むぅ……一概には言えないんだが、ミーシャの場合は……。「多分、カーマインとラルフに作ってやったんじゃないかな?」まぁ、アリオストが贄になっていたが……。「何故ですか?」「何故って……ミーシャが二人を好きだからだろう?」流石にそこまで分からない訳では無いだろ?……大丈夫、だよな?「成る程……分かる気がします」「そうか……それは何より」流石に恋愛感情を一から教える……というのはなぁ……なんか光源氏計画みたいでちょっとなぁ……。その後、夕方まで常識の勉強をし、時間が来たので勉強を終了してその場を離れた。微かに……本当に微かにだが、イリスは微笑みを浮かべる様になった。これはかなりの僥倖だろう。そして、集合場所に集まり……テレポートで帰還したのだった。俺達は次の休暇先を指定し、帰路に着いた。夕食時は、やはりミーシャのケーキの話になり……それを聞いたゼノスが――。『そんなのはケーキじゃねぇ!!!』と……憤慨していた。まぁ、俺も同じ意見だが……そういえば、ゼノスが作ったケーキは食ったことがないな……食う機会はあったが、誰かさんがぶん投げて、食えなかったからなぁ……。こうして夜が更けて行った……さて、次回の休暇先は……。