――突然だが、転生って信じるか?よく二次創作小説のオリジナル主人公――通称オリ主が出てくる時に使われるアレだ。大体が赤ん坊から始まるんだよな……んで、大概が事故死や病死――例外で死んでいないのに諸事情(神様の都合など)で転生したりする場合もある訳で。これは数少な…くも無いが、そんな例外の一つ。何が言いたいのかと言うと。「ばぶ……ぶぶぅ……」――気が付いたら、俺は赤ん坊になってました本当にありがとうございます。……………。………………。「おぎゃああぁあぁぁぁぁっ!!?(なんじゃあこりゃあぁあぁぁぁぁっ!!?)」(何コレ!?訳が分からないよ!?マジ?マジに転生なの!?てか――俺ってば、死んでないよな?)大根が走り回る(大根RAN)状態を何とか抑え込みつつ、自身の記憶を呼び起こす。――俺の名前は海堂 凌治(かいどうりょうじ)今年27になる平凡な企業戦士だ。容姿は――自慢では無いが、まぁまぁ見れる方で、エリートという程じゃないがそこそこ仕事が出来る。運動神経は良いと思う。少なくとも喧嘩で負けたことは無いし、学校の体育の成績は5だった。家族構成は親父とお袋、それに双子の弟が一人。…うむ、間違いないな。――彼女?……年齢=ですが何か?いや、モテなかった訳じゃないぞ!?悪友や同僚と遊んでる内に女性関係に疎遠になっちゃっただけで…悲しくなんか無いんだからねっ!?って、今はそんなことどうでも良いんだよ。問題は、この現状……だよな。「どうしたのかな〜、よしよ〜し♪」……さっきから、俺を抱き上げ――あやしてくれてる女性……どうやら俺の母親らしい。スッゴい愛おしそうに優しく抱いてくれている。しかも、かなりの美少女なのだ。一見すると、母親に見えない位に若々しい。そして容姿以上に惹き付けられるのが、彼女の髪の毛だ。何と言うか、銀髪って奴か?それが何とも言えず綺麗で……。「あぶ…」思わず見取れてしまった。「泣き止んだみたいだな……」そのどこかホッとしたような声に、俺は視線を横に向けた。そこには一人の男が立っていた。何処か西洋風の装束がピシッとしていて、その衣服に負けない――かなりの男前だ。明るめの茶髪を短めに切り揃えた、若き美男子。この場にあの『悪友(バカ)』が居たら『もっげ〜ろっ!もっげ〜ろっ!!』とか言うレベルの。「貴方も抱いてあげて?」「なんか壊れそうで恐いな…」どうやら彼は俺?の父親らしい。成程、美男美女でお似合いの夫婦ってことだな。彼は、俺を彼女から受け取ってゆっくりと抱き上げた。その腕は彼女と違い筋肉質で、ゴツゴツしていたが――彼女と同様に優しく……しかし言葉通りに、どこかおっかなびっくりな感じで……抱いてくれた。それを見て彼女は微笑み、彼は僅かな苦笑を浮かべた。そんな何処か温かい空気の中、俺は開いていた窓の外を何気なく眺めた。そこには、ぴかぴかと光る無数の光の球が――ふわりふわりと浮いていた。…光の球?何処かで見たことあるような……?その時の俺は、その光景に疑問を浮かべつつも、現実離れしたその光景の美しさに、釘付けにされてしまっていた。故に、ここがかつてプレイしたことのあるゲーム――『グローランサー』の世界に大変酷似した世界だと気付くまで、暫くの時間が経ってしまったことは致し方無いことであろう。とりあえず、今の俺がすべきことは……乳吸って寝て排泄し……やばい、軽く鬱になりそうだ……。